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特開2024-164406加工装置のチューブポンプ装置及びそれを備えた加工装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164406
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】加工装置のチューブポンプ装置及びそれを備えた加工装置
(51)【国際特許分類】
   F04C 5/00 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
F04C5/00 341G
F04C5/00 341D
F04C5/00 341C
F04C5/00 341B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079854
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000137845
【氏名又は名称】株式会社ミヤナガ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 典英
(72)【発明者】
【氏名】藤本 大生
(57)【要約】
【課題】加工装置のチューブポンプにおいて、メンテナンス時におけるチューブ交換を容易にする。
【解決手段】加工装置のチューブポンプ装置は、駆動装置からの回転動力が入力されて回転軸線周りに回転するロータと、ロータを回転自在に支持するサポートと、を有するロータアッセンブリと、ロータに回転自在に支持された複数のローラを含むローラ群と、ローラ群を覆ってローラ配置空間を画定するローラハウジングと、を含む。ローラハウジングは、ローラ群を径方向の一方側から覆い、サポートに支持された第1半体と、ローラ群を径方向の他方側から覆ってローラ群との間でチューブを挟む内円弧面を有し、チューブをローラハウジングの内外に通過させる一対のチューブ通過路を少なくとも部分的に画定する第2半体と、第1半体に第2半体を着脱自在に固定する固定構造と、を含む。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工ツールを回転駆動する駆動装置と、前記駆動装置によって駆動されて前記加工ツールに冷却液を供給するチューブポンプ装置と、を備えた加工装置のチューブポンプ装置であって、
前記駆動装置からの回転動力が入力されて回転軸線周りに回転するロータと、前記ロータを回転自在に支持するサポートと、を有するロータアッセンブリと、
前記回転軸線周りに周方向に間隔をあけて配置され、前記ロータに回転自在に支持された複数のローラを含むローラ群と、
前記回転軸線に直交する径方向の外側から前記ローラ群を覆ってローラ配置空間を画定するローラハウジングと、を含み、
前記ローラハウジングは、
前記ローラ群を前記径方向の一方側から覆い、前記サポートに支持された第1半体と、
前記ローラ群を前記径方向の他方側から覆って前記ローラ群との間でチューブを挟む内円弧面を有し、前記チューブを前記ローラハウジングの内外に通過させる一対のチューブ通過路を少なくとも部分的に画定する第2半体と、
前記第1半体に前記第2半体を着脱自在に固定する固定構造と、を含む、加工装置のチューブポンプ装置。
【請求項2】
前記第2半体は、前記一対のチューブ通過路を画定する一対の溝部を有する、請求項1に記載の加工装置のチューブポンプ装置。
【請求項3】
前記一対のチューブ通過路は、前記周方向における前記第2半体の両端部に分かれて配置されている、請求項1又は2に記載の加工装置のチューブポンプ装置。
【請求項4】
前記一対のチューブ通過路は、前記回転軸線が延びる軸線方向から見てそれぞれ湾曲した形状を有し、
前記一対のチューブ通過路のうち前記ローラ配置空間に対向する内開口は、水平方向に向き、
前記一対のチューブ通過路のうち前記ローラハウジングの外部に対向する外開口は、下方に向いている、請求項3に記載の加工装置のチューブポンプ装置。
【請求項5】
前記一対のチューブ通過路を画定する面であって前記チューブを下方から支持する面は、前記内開口から前記外開口に向けて湾曲したアーチ形状を有する、請求項4に記載の加工装置のチューブポンプ装置。
【請求項6】
前記ローラハウジングは、前記回転軸線が延びる軸線方向から前記ローラ配置空間を覆い且つ前記サポートに支持された透明カバーを更に含む、請求項1又は2に記載の加工装置のチューブポンプ装置。
【請求項7】
前記周方向における前記第1半体の両端部は、前記第1半体に対する前記第2半体の着脱方向に延びたガイド面を有し、
前記周方向における前記第2半体の両端部は、前記着脱方向に延び且つ前記回転軸線が延びる軸線方向から見て前記ガイド面に前記着脱方向に直交する方向に重なる被ガイド面を有する、請求項1又は2に記載の加工装置のチューブポンプ装置。
【請求項8】
前記周方向における前記第1半体の両端部は、前記周方向の端面である合わせ面を有し、
前記周方向における前記第2半体の両端部は、前記第2半体の前記内円弧面に隣接し且つ前記第1半体の前記合わせ面に突き合わされる合わせ面を有し、
前記第2半体の前記両端部は、前記径方向における前記第2半体の前記合わせ面の外側において前記第1半体に前記径方向の外側から重なるように前記第1半体側に突出した突起を有し、
前記固定構造の一部は、前記突起の外面に配置されている、請求項1又は2に記載の加工装置のチューブポンプ装置。
【請求項9】
前記周方向における前記複数のローラの隣接間隔は、前記ローラの外径よりも短い距離である、請求項1又は2に記載の加工装置のチューブポンプ装置。
【請求項10】
前記ロータアッセンブリは、前記駆動装置からの回転動力を減速して前記ロータに伝達する減速機を含み、
前記減速機は、遊星歯車機構を含み、
前記ロータアッセンブリは、前記遊星歯車機構に回転動力を入力する伝達軸を有し、
前記伝達軸は、前記駆動装置の回転動力を前記加工ツールに伝達する伝達軸を兼ねる、請求項1又は2に記載の加工装置のチューブポンプ装置。
【請求項11】
請求項1又は2に記載のチューブポンプ装置と、
加工ツールを回転駆動し且つ前記チューブポンプ装置を駆動する駆動装置と、を備える、加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加工装置のチューブポンプ装置及びそれを備えた加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、穿孔装置が開示されている。前記穿孔装置は、ドリルビットと、前記ドリルビットを回転駆動する駆動装置と、前記ドリルビットの刃先に冷却液を供給する供給流路と、前記供給流路を通じて冷却液を刃先へと圧送するチューブポンプと、を備える。前記チューブポンプは、前記供給流路の一部をなすチューブと、前記チューブを押圧する複数のローラからなるローラ群を含む押圧機構と、前記ローラ群を収容するローラハウジングと、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-160342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記チューブポンプでは、前記チューブが押し潰されるように前記ローラハウジングの内周面と前記ローラ群との間に挟まれている。そのため、メンテナンス時に前記チューブを交換するためには、前記ローラ群を覆っている前記ローラハウジング等を取り外すべく前記チューブポンプを分解する必要がある。
【0005】
しかし、前記チューブは前記ローラハウジングの内周面と前記ローラ群との間に挟まれているため、チューブ交換に手間がかかる。また、前記チューブポンプの分解にあたって前記ローラ等が外れると、再組み立てが煩雑になる。
【0006】
そこで、本開示の一態様は、加工装置のチューブポンプにおいて、メンテナンス時におけるチューブ交換を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る加工装置のチューブポンプ装置は、加工ツールを回転駆動する駆動装置と、前記駆動装置によって駆動されて前記加工ツールに冷却液を供給するチューブポンプ装置と、を備えた加工装置のチューブポンプ装置であって、前記駆動装置からの回転動力が入力されて回転軸線周りに回転するロータと、前記ロータを回転自在に支持するサポートと、を有するロータアッセンブリと、前記回転軸線周りに周方向に間隔をあけて配置され、前記ロータに回転自在に支持された複数のローラを含むローラ群と、前記回転軸線に直交する径方向の外側から前記ローラ群を覆ってローラ配置空間を画定するローラハウジングと、を含む。前記ローラハウジングは、前記ローラ群を前記径方向の一方側から覆い、前記サポートに支持された第1半体と、前記ローラ群を前記径方向の他方側から覆って前記ローラ群との間でチューブを挟む内円弧面を有し、前記チューブを前記ローラハウジングの内外に通過させる一対のチューブ通過路を少なくとも部分的に画定する第2半体と、前記第1半体に前記第2半体を着脱自在に固定する固定構造と、を含む。
【0008】
本開示の一態様によれば、メンテナンスの際には、固定構造による固定を解除して第2半体をローラ群から径方向に遠ざけることで、チューブがローラ群と第2半体との間に挟まれた状態が解消される。よって、チューブポンプ装置を備えた加工装置において、メンテナンス時にチューブを容易に交換できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る加工装置であって、タンクに接続された状態の加工装置を示す概略図である。
図2図2は、図1のチューブポンプ装置からポンプ本体、第2減速機及び位置決めガイド治具を取り除いて、第1減速機の遊星歯車機構を露出させた斜視図である。
図3図3は、図1のチューブポンプ装置からポンプ本体及び位置決めガイド治具を取り除いて、第2減速機の遊星歯車機構を露出させた斜視図である。
図4図4は、図1のチューブポンプ装置から透明カバー及び位置決めガイド治具を取り除いて、ローラ群を露出させた斜視図である。
図5図5は、図1のチューブポンプ装置から位置決めガイド治具を取り除いた斜視図である。
図6図6は、図1のチューブポンプ装置の動力伝達構造を示す模式図である。
図7図7は、図1のチューブポンプ装置の背面図である。
図8図8は、図7のチューブポンプ装置の第1半体から第2半体を取り外した状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。なお、以下の説明では、ドリルビット8及びチューブポンプ50の回転軸線AXが延びる方向を軸線方向及び前後方向とし、それに直交する縦方向を上下方向とし、前後方向及び上下方向に直交する横方向を左右方向として定義する。
【0011】
図1は、実施形態に係る加工装置1であって、タンク190に接続された状態の加工装置1を示す概略図である。図1に示すように、加工装置1は、チューブ180を介して、冷却液又は後述する懸濁液を貯留するタンク190に接続される。タンク190は、後述するチューブポンプ50よりも下方に配置されている。
【0012】
加工装置1は、加工ツールの一種であるドリルビット8と、ドリルビット8に冷却液を供給するチューブポンプ装置10と、ドリルビット8を回転駆動し且つチューブポンプ装置10を駆動する駆動装置5を含む電動ドリル2と、を備える。駆動装置5は、電動ドリル2の筐体3内に収容されている。
【0013】
チューブポンプ装置10は、チューブポンプ50と、チューブポンプ50に前側から隣接する減速機11と、を備える。減速機11は、駆動装置5からの回転動力を減速してチューブポンプ50に伝達する。減速機11は、第1減速機20と、第1減速機20に後側から隣接する第2減速機40と、第1減速機20に前側から隣接するカバー12と、を備える。
【0014】
加工装置1は、チューブポンプ50及び減速機11の前側かつドリルビット8の後側に設けられる冷却液供給機構150と、ドリルビット8の刃先9を加工対象の被切削位置へとガイドして位置決めする位置決めガイド治具160と、位置決めガイド治具160の前端部から下方に延びる把持部170と、を更に備える。冷却液供給機構150は、前後方向に延びる連結部材168により、減速機11に連結される。
【0015】
チューブ180は、その一端がタンク190に接続され、その他端が加工装置1の冷却液供給機構150に接続される。チューブ180は、タンク190からチューブポンプ50に向けて冷却液が流れる吸引チューブ181と、チューブポンプ50を構成するポンプチューブ182(図4等参照)と、チューブポンプ50から冷却液供給機構150に向けて冷却液が流れる吐出チューブ183と、を含む。吸引チューブ181及び吐出チューブ183は、チューブポンプ50の下方に配置されている。チューブ180は、一体チューブでもよいが、吸引チューブ181及び吐出チューブ183にジョイントを介してポンプチューブ182を着脱可能に連結したものでもよい。
【0016】
冷却液供給機構150の内部には、冷却液の供給流路が設けられる。また、ドリルビット8は中空であり、ドリルビット8の内部空間は、その基端及び刃先9において開放されている。ドリルビット8の内部空間は、冷却液供給機構150の供給流路に連通している。チューブポンプ50の駆動によって、吸引チューブ181を介してタンク190内の冷却液を吸い込んだチューブポンプ50が、吐出チューブ183を介して冷却液供給機構150に冷却液を吐出し、冷却液供給機構150からドリルビット8へと冷却液が圧送される。
【0017】
位置決めガイド治具160は、駆動装置5の回転動力が出力される伝達軸7の回転軸線AXと平行に延びる一対の伸縮機構162と、一対の伸縮機構162それぞれの先端部に取り付けられる位置決めガイド部材164と、を含む。なお、図1では、一対の伸縮機構162のうち一方の伸縮機構162のみが現れており、他方の伸縮機構162は一方の伸縮機構162に隠れて現れていない。一対の伸縮機構162の基端部は、それぞれ、電動ドリル2の筐体3に固定される。位置決めガイド部材164は、前後方向に貫通する貫通孔166を有する。
【0018】
前後方向から見て、加工対象の被切削位置を貫通孔166の内部に位置させた状態で、位置決めガイド部材164を加工対象に押し付けると、一対の伸縮機構162が、それぞれ、その先端側からその基端側へと縮む。このように一対の伸縮機構162が縮むことで、位置決めガイド部材164及び把持部170が後方へと移動し、ドリルビット8の刃先9が、位置決めガイド部材164の貫通孔166を通り抜け、被切削位置に押し当てられる。ドリルビット8の刃先9が被切削位置に押し当てられることで、冷却液供給機構150内の供給流路に配置された弁が開き、チューブポンプ50からドリルビット8へと冷却液が圧送可能な状態になる。
【0019】
この状態で、ドリルビット8が駆動装置5からの回転動力により伝達軸7を介して回転駆動されると、当該回転動力によりチューブポンプ50も駆動されるので、ドリルビット8の刃先9から冷却液を吐出しつつ、加工対象に対して穿孔作業を行なうことができる。このようにドリルビット8の刃先9から冷却液を吐出することによって、ドリルビット8及び加工対象の発熱を抑制することができる。なお、冷却液は通常は水であるが、粘度が低い他の液体であってもよい。加工対象が鉄板である場合、冷却液は、粘度の低い油であってもよい。
【0020】
位置決めガイド部材164は、貫通孔166から下方へと延びる排出流路167を更に有する。ドリルビット8の刃先9から吐出された冷却液は、加工対象の切屑Cが混じって懸濁液となり、排出流路167へと流れ出る。加工装置1は、位置決めガイド部材164からタンク190に向けて懸濁液が流れる排出チューブ186を更に備える。タンク190内には、懸濁液の液面に浮かべられるフロート192と、フロート192に取り付けられ、懸濁液から切屑Cを分離するストレーナ194と、が設けられる。フロート192及びストレーナ194は、吸引チューブ181の上流側の端部に取り付けられる。
【0021】
懸濁液が排出チューブ186からタンク190内に排出されると、当該懸濁液から切屑Cが自重によりタンク190内に沈殿する。また、当該懸濁液の液面に浮かべられたストレーナ194により当該懸濁液から切屑Cが更に分離される。このように当該懸濁液から切屑Cを分離して得られる冷却液が、吸引チューブ181、チューブポンプ50、吐出チューブ183及び冷却液供給機構150を介して、ドリルビット8の刃先9へと再び供給される。上記構成により、冷却液を循環して加工装置1で繰り返し使用することができる。
【0022】
図2は、チューブポンプ装置10からチューブポンプ50、第2減速機40及び位置決めガイド治具160を取り除いて、第1減速機20の遊星歯車機構21を露出させた斜視図である。図2に示すように、第1減速機20は、遊星歯車機構21を有する。遊星歯車機構21は、太陽歯車22、複数(例えば、3つ)の遊星歯車23、内歯車26及びキャリア27を有する。太陽歯車22は、駆動装置5の伝達軸7に対して、伝達軸7と同軸状に固定され、伝達軸7とともに自転する。複数の遊星歯車23は、太陽歯車22に外接することで、太陽歯車22と噛み合って太陽歯車22の周りを公転する。複数の遊星歯車23は、回転軸線AX周りの周方向(以下特に必要な場合を除き「周方向」と言う。)において、互いに等間隔で配置される。内歯車26は、複数の遊星歯車23それぞれが内接し、複数の遊星歯車23それぞれと噛み合い、一対の伸縮機構162(図1参照)に固定されて回転しない。キャリア27は、板形状を有し、複数の遊星歯車23を自転自在にそれぞれ支持する支軸25に固定されている。複数の遊星歯車23が回転軸線AX周りに公転することに伴い、キャリア27が回転軸線AX周りに回転する。
【0023】
図3は、チューブポンプ装置10からチューブポンプ50及び位置決めガイド治具160を取り除いて、第2減速機40の遊星歯車機構41を露出させた斜視図である。図3に示すように、第2減速機40は、遊星歯車機構41を有する。遊星歯車機構41は、太陽歯車42、複数(例えば、3つ)の遊星歯車43、内歯車46及びキャリア51を有する。太陽歯車42は、第1減速機20のキャリア27の後面(図3において手前側に位置する面)に固定されている。太陽歯車42は、伝達軸7及び太陽歯車22と同軸状であり、第1減速機20のキャリア27と一体的に回転する。
【0024】
複数の遊星歯車43は、太陽歯車42に外接することで、太陽歯車42と噛み合って太陽歯車42の周りを公転する。複数の遊星歯車43は、周方向において、互いに等間隔で配置される。内歯車46は、複数の遊星歯車43それぞれが内接し、複数の遊星歯車43それぞれと噛み合い、一対の伸縮機構162に固定されて回転しない。キャリア51は、板形状を有し、複数の遊星歯車43を自転自在にそれぞれ支持する支軸45に固定されている。複数の遊星歯車43が回転軸線AX周りに公転することに伴い、キャリア51が回転軸線AX周りに回転する。
【0025】
図4は、チューブポンプ装置10から透明カバー128及び位置決めガイド治具160を取り除いて、ローラ群52を露出させた斜視図である。図4に示すように、チューブポンプ50(図1参照)は、ローラ群52を有する。ローラ群52は、キャリア51の後面(図4において手前側に位置する面)に固定された支軸55に自転自在に支持された複数のローラ53を含む。複数のローラ53は、周方向において互いに等間隔で配置されている。ローラ53の数(例えば、6つ)は、遊星歯車23及び遊星歯車43の各々の数(例えば、3つ)よりも多い。ローラ53を自転自在に支持する支軸55は、回転軸線AXと平行に延びる。周方向における複数のローラ53の隣接間隔は、ローラ53の外径よりも短い距離である。ローラ群52は、複数の遊星歯車43の公転に伴ってキャリア51が回転することによって回転軸線AX周りに公転する。即ち、キャリア51は、ローラ群52を回転軸線AX周りに回転させるロータの役目を兼ねる。よって、以下、符号51はロータとも称する。
【0026】
本態様では、ロータ51は、減速機11を介して、位置決めガイド治具160に支持される。したがって、本態様では、減速機11及び位置決めガイド治具160が、ロータ51を回転自在に支持するサポート148(図1参照)を構成する。また、本態様では、伝達軸7、減速機11、チューブポンプ50、及び位置決めガイド治具160が、ロータアッセンブリ149(図1参照)を構成する。
【0027】
チューブポンプ50は、ローラハウジング60を更に有する。ローラハウジング60は、第1半体80、第2半体100、及び透明カバー128(図5参照)を有する。図4では、透明カバー128を取り除き、第1半体80及び第2半体100それぞれの後面が露出した状態を図示してある。ローラハウジング60は、第1半体80に第2半体100を着脱自在に固定する一対のパッチン錠130,140(固定構造)を備える。ローラハウジング60の詳細については後述する。
【0028】
図5は、チューブポンプ装置10から位置決めガイド治具160を取り除いた斜視図である。図5に示すように、ローラハウジング60は、軸線方向から後述するローラ配置空間61を覆い且つサポート148に支持された透明カバー128を更に備える。
【0029】
図6は、チューブポンプ装置10の動力伝達構造を示す模式図である。図6に示すように、駆動装置5の伝達軸7は、ロータ51の中心孔、第2減速機40の太陽歯車42の中心孔、及び第1減速機20のキャリア27の中心孔を通過し、第1減速機20の太陽歯車22に固定される。太陽歯車22は、駆動装置5からの回転動力が伝達されると、ドリルビット8(図1参照)と一体的に回転する。太陽歯車22の回転に伴い、太陽歯車22に噛み合った複数の遊星歯車23が、それぞれ自転しながら回転軸線AX周りに公転する。
【0030】
遊星歯車23の公転に伴い、遊星歯車23それぞれの支軸25に固定されたキャリア27が回転する。キャリア27の回転に伴い、キャリア27に固定された太陽歯車42がキャリア27と一体的に回転する。太陽歯車42の回転に伴い、太陽歯車42に噛み合った複数の遊星歯車43が、それぞれ自転しながら回転軸線AX周りに公転する。遊星歯車43の公転に伴い、遊星歯車43それぞれの支軸45に固定されたロータ51(キャリア)が回転軸線AX周りに回転する。ロータ51の回転に伴い、ロータ51に支軸55を介して支持された複数のローラ53が、それぞれ自転可能に回転軸線AX周りに公転する。
【0031】
上記のように、駆動装置5からの回転動力が減速機11により減速されたのち、ロータ51へと伝達され、ロータ51に自転自在に支持された複数のローラ53がそれぞれ回転軸線AX周りに公転する。
【0032】
減速機11は、回転軸線AXに直交する径方向(以下特に必要な場合を除き「径方向」と言う。)の外側からキャリア27を覆うキャリアカバー28を更に有する。第1半体80は、前後方向に貫通する複数の通孔88(図4参照)を有する。内歯車46、キャリアカバー28、及び内歯車26は、それぞれ、前後方向に貫通する複数の通孔89、90(図2及び図3参照)を有する。
【0033】
第1半体80の通孔88は、内歯車46、キャリアカバー28、及び内歯車26それぞれの通孔89,90に連通する。これにより、チューブポンプ50及び減速機11を前後方向に貫通する複数の通孔が形成される。これら通孔に、それぞれ、ボルト70が挿通され、当該ボルト70が伸縮機構162に同軸上で固定されることで、減速機11及びチューブポンプ50の第1半体80がボルト70を介して伸縮機構162に支持される。ボルト70の第1半体80から露出する端部には、ナット75が螺合される。
【0034】
内歯車46、キャリアカバー28、及び内歯車26は、それぞれ、前後方向に貫通する通孔91,92(図2及び図3参照)を更に有する。内歯車46、キャリアカバー28、及び内歯車26それぞれの通孔91,92は、互いに連通する。これにより、減速機11を前後方向に貫通する通孔が形成される。この通孔に、前後方向に延びる連結部材168(図1参照)が挿通されることで、減速機11が冷却液供給機構150(図1参照)に連結される。
【0035】
図7は、チューブポンプ装置10の背面図である。図7に示すように、ローラハウジング60は、回転軸線AXに直交する径方向の外側からローラ群52を覆ってローラ配置空間61を画定する。本態様では、ローラ配置空間61は、第1半体80の内円弧面81、第2半体100の内円弧面101、ロータ51の後面(図7において手前側に一部露出している面)、及び透明カバー128(図5参照)のうちロータ51の後面に対向する面によって囲まれる円柱状の空間である。
【0036】
第1半体80は、ローラ群52を径方向の一方側から覆う。具体的には、第1半体80は、ローラ群52を径方向の上側から覆う。また、第1半体80は、ロータ51も径方向の一方側から覆う。第1半体80は、サポート148(図1参照)に支持され、具体的にはボルト70を介して伸縮機構162に支持される。第1半体80は、ローラ群52に対向するように径方向の内方に向いた内円弧面81を有する。本態様では、第1半体80の内円弧面81が、真円の180度の範囲にわたって延びている。ポンプチューブ182は、第1半体80とローラ群52との間には配置されていない。なお、第1半体80のうちローラ群52に対向する内面は、ローラ群52から離間していればよく、円弧形状とは異なる形状の面であってもよい。
【0037】
第2半体100は、ローラ群52を径方向の他方側から覆う。具体的には、第2半体100は、ローラ群52を径方向の下側から覆う。また、第2半体100は、ロータ51も径方向の他方側から覆う。第2半体100は、一対のパッチン錠130,140により第1半体80に固定される。これにより、第2半体100は、第1半体80を介して、サポート148に支持され、具体的にはボルト70を介して伸縮機構162に支持される。
【0038】
第2半体100は、ローラ群52との間でポンプチューブ182を挟む内円弧面101を有する。本態様では、第2半体100の内円弧面101が、真円の180度の範囲にわたって延びている。本態様では、第2半体100は、チューブ180をローラハウジング60の内外に通過させる一対のチューブ通過路121,122を画定する。
【0039】
本態様では、第2半体100は、チューブ通過路121を画定する溝部123を有し、且つ、チューブ通過路122を画定する溝部124を有する。本態様では、一対の溝部123、124は、それぞれ、周方向における第2半体100の端面、即ち、第1半体80と当接する端面から離間して形成される。
【0040】
一対のチューブ通過路121,122は、軸線方向から見てそれぞれ湾曲した形状を有する。本態様では、一対のチューブ通過路121,122は、ローラ配置空間61からローラハウジング60の外部に向けて互いに反対方向に延びたあと屈曲して互いに同じ方向に延びている。具体的には、一対のチューブ通過路121,122のうちローラ配置空間61に対向する内開口115,116は、水平方向に向き、かつ、一対のチューブ通過路121,122のうちローラハウジング60の外部に対向する外開口117,118は、下方に向いている。チューブ通過路121,122を画定する面であってポンプチューブ182を下方から支持する面125,126は、内開口115,116から外開口117,118に向けて湾曲したアーチ形状を有する。
【0041】
図8は、第1半体80から第2半体100を取り外した状態の図である。図8に示すように、一対のパッチン錠130,140による固定を解除することで、第1半体80から第2半体100を取り外すことができる。ここで、第2半体100は、第1半体80を介してサポート148(図1参照)に支持されており、第1半体80を介さずにはサポート148に支持されていない。即ち、第1半体80に対する第2半体100の固定を解除すると、第2半体100は、サポート148に支持されなくなって第1半体80から離れる。ローラハウジング60をサポート148に固定する全てのボルト70は、第1半体80の通孔88を通過する。すなわち、第2半体100にはボルトが通過する通孔はない。
【0042】
周方向における第1半体80の両端部は、第1半体80に対する第2半体100の着脱方向に延びたガイド面82,83を有する。本態様では、第1半体80に対する第2半体100の着脱方向は、上下方向である。また、周方向における第2半体100の両端部は、着脱方向に延び且つ軸線方向から見てガイド面82,83に着脱方向に直交する方向に重なる被ガイド面102,103を有する。
【0043】
周方向における第1半体80の両端部は、第1半体80の内円弧面81に隣接し且つ周方向の端面である合わせ面84,85を有する。また、周方向における第2半体100の両端部は、第2半体100の内円弧面101に隣接し且つ第1半体80の合わせ面84,85に突き合わされる合わせ面104,105を有する。周方向における第2半体100の両端部は、合わせ面104,105の外側において第1半体80に径方向の外側から重なるように第1半体80側に突出した突起111,112を有する。
【0044】
パッチン錠130は、第1半体80の左外面に固定されたベース131と、ベース131に回動可能に接続されたレバー132と、レバー132に回動可能に接続されたフック133と、レバー132をベース131に向けて付勢するバネと、を有する。また、パッチン錠130は、第2半体100の突起111の左外面に固定され、フック133に係止される爪136(固定構造の一部)を更に有する。パッチン錠140は、パッチン錠130と同様の構造であり、第1半体80の右外面に配置されたベース141と、ベース141に回動可能に接続されたレバー142と、レバー142に回動可能に接続されたフック143と、レバー142をベース141に向けて付勢するバネと、を有する。また、パッチン錠140は、第2半体100の突起111の右外面に配置され、フック143に係止される爪146(固定構造の一部)を更に有する。ユーザがレバー132,142を一方側に揺動操作することで、フック133,143を爪136,146に係止でき、ユーザがレバー132,142を他方側に揺動操作することで、フック133,143と爪136,146との間の係止を解除できる。
【0045】
以上に説明した構成によれば、メンテナンスの際には、一対のパッチン錠130,140(固定構造)による固定を解除して第2半体100をローラ群52から径方向に遠ざけることで、チューブ180がローラ群52と第2半体100との間に挟まれた状態が解消される。よって、チューブポンプ装置10を備えた加工装置1において、メンテナンス時にチューブ180を容易に交換できる。具体的には、例えば、特許文献1の穿孔装置では、チューブ交換時に、ローラハウジングのカバー(本態様の透明カバー128に相当)とローラハウジングの他の部材(本態様の第1半体80及び第2半体100に相当)とのねじ止めを解除して、前記カバーを取り外す必要があった。また、このように前記カバーを取り外したあと、チューブを交換してから、前記カバーをローラハウジングにねじ止めし直す必要があった。しかし、これらの作業には手間がかかる。また、前記カバーを取り外したとき、露出したローラ群が他の部材から外れてしまう場合があった。このような場合、再組立てに更に手間がかかってしまう。一方、上記で説明した本態様によれば、このような特許文献1の穿孔装置で生じ得る問題を解消することができる。
【0046】
第2半体100は、一対のチューブ通過路121,122を画定する一対の溝部123、124を有する。よって、メンテナンス時に第1半体80から取り外した第2半体100の一対の溝部123、124にチューブ180を嵌めれば、チューブ180が第2半体100に位置決めされる。そのため、第2半体100を第1半体80に取り付けるだけで、チューブ180がローラ群52と第2半体100との間に自然に挟まれる。よって、メンテナンスの作業性を向上できる。
【0047】
一対のチューブ通過路121,122は、周方向における第2半体100の両端部に分かれて配置されている。よって、一対のチューブ通過路121,122を通過してチューブ180のうち第2半体100の内円弧面101に沿う部分の長さを極力長くできる。よって、ローラ群52がチューブ180を十分に押圧でき、チューブポンプ装置10が冷却液を安定的に吐出できる。
【0048】
一対のチューブ通過路121,122のうちローラ配置空間61に対向する内開口115,116は、水平方向に向き、一対のチューブ通過路121,122のうちローラハウジング60の外部に対向する外開口117,118は、下方に向いている。よって、第2半体100の内円弧面101に沿ったチューブ180が一対のチューブ通過路121,122の近傍で大きく屈曲することを防止できる。また、チューブ通過路121,122の外開口117,118が下方に向いていることで、ポンプチューブ182が吸引チューブ181及び吐出チューブ183に対して急な屈曲を伴わずに滑らかに接続される。
【0049】
一対のチューブ通過路121,122を画定する面であってポンプチューブ182を下方から支持する面125,126は、内開口115,116から外開口117,118に向けて湾曲したアーチ形状を有する。よって、チューブ180は、チューブ通過路121,122において急な屈曲を伴わずに滑らかに湾曲する。
【0050】
ローラハウジング60は、軸線方向からローラ配置空間61を覆い且つサポート148に支持された透明カバー128を含む。よって、作業者が透明カバー128を通してローラ配置空間61を外部から視認できる。そのため、メンテナンス時にチューブ180を交換して第2半体100を第1半体80に対して取り付けるときに、ローラ群52と第2半体100との間にチューブ180が正常に挟まれたこと目視で確認できる。よって、容易かつ正確にメンテナンス作業を実施できる。
【0051】
第1半体80は、第1半体80に対する第2半体100の着脱方向に延びたガイド面82,83を有する。第2半体100の両端部は、着脱方向に延び且つ軸線方向から見てガイド面82,83に着脱方向に直交する方向に重なる被ガイド面102,103を有する。よって、メンテナンス時に第2半体100を第1半体80に対して取り付けるときに、第2半体100の被ガイド面102,103が第1半体80のガイド面82,83に案内され、軸線方向から見て着脱方向に直交する方向において第1半体80に対して第2半体100を容易に位置合わせできる。よって、再組立てが容易になり、メンテナンスの作業性を向上できる。
【0052】
第1半体80は、周方向の端面である合わせ面84,85を有する。第2半体100は、第1半体80の合わせ面84,85に突き合わされる合わせ面104,105を有する。第2半体100は、第1半体80側に突出した突起111,112を有する。一対のパッチン錠130,140の爪136、146(固定構造の一部)は、突起111,112の外面に配置されている。よって、チューブ180のうち第2半体100の内円弧面101に沿う部分の長さを極力長するためにチューブ通過路121,122を周方向における第2半体100の内円弧面101の終端に近づけて配置しても、一対のパッチン錠130,140(固定構造)をチューブ通過路121,122に重ならずに配置できる。
【0053】
周方向における6つのローラ53(複数のローラ)の隣接間隔は、ローラ53の外径よりも短い距離である。よって、チューブ180を押圧するローラ53の数を増やすことができ、チューブポンプ装置10から吐出される冷却液の脈動を低減できる。本態様では、チューブ180を押圧するローラ53の数を2つにすることができる。
【0054】
ロータアッセンブリ149は、駆動装置5からの回転動力を減速してロータ51(キャリア)に伝達する減速機11を含む。減速機11は、遊星歯車機構21、41を含む。伝達軸7は、遊星歯車機構21、41に回転動力を伝達する。伝達軸7は、駆動装置5の回転動力をドリルビット8(加工ツール)に伝達する伝達軸を兼ねる。よって、駆動装置5がドリルビット8に伝達する高速な回転動力は、減速機11によって減速されてロータ51に分流するため、チューブポンプ装置10は適切な回転数で動作して冷却液を適切な流量で吐出できる。そして、ドリルビット8を駆動する伝達軸7に対して減速機11を同心円状に配置でき、装置をコンパクト化できる。
【0055】
なお、本開示の技術は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、加工ツールは、ドリルビット8に限定されず、例えば、ディスクソー、ディスクグラインダー、又はコアカッターなど、他の種類の加工ツールであってもよい。また、サポート148は、減速機11の非回転部分であってもよいし、電動ドリル2の筐体3であってもよい。
【0056】
上記態様では、第2半体100を第1半体80に着脱自在に固定する固定構造として一対のパッチン錠130,140を例示した。しかし、これに限定されず、第1半体80及び第2半体100のいずれか一方に設けた可撓性を有する係止部(例えば、係止爪)と、第1半体80及び第2半体100のいずれか他方に設けられて前記係止爪が係止される被係止部(例えば、被係止爪、被係止凹部等)と、を有する係止構造が前記固定構造として用いられてもよい。前記固定構造は、ラッチ構造であってもよい。一対の固定構造の何れか一方に代えて、第2半体100を第1半体80に回動自在に接続するヒンジが設けられてもよい。このように、第2半体100が、第1半体80から完全に分離せずに、第1半体80に対する第2半体100の固定が解除されてもよい。
【0057】
上記態様では、第2半体100が、第1半体80に直接的に固定される場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、第2半体100が、例えば、第1半体80と同様に第2減速機40に固定されることで、第1半体80に間接的に固定されてもよい。
【0058】
上記態様では、パッチン錠130(固定構造)について、ベース131,141、レバー132,142、フック133,143、及びバネが第1半体80に配置され、爪136,146が第2半体100に配置される場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、ベース131,141、レバー132,142、フック133,143、及びバネが第2半体100に配置され、爪136,146が第1半体80に配置されてもよい。これにより、上記で説明した態様と比較して、作業者がレバー132,142を揺動操作し易くなるので、第1半体80に対する第2半体100の固定が解除し易くなる。
【0059】
上記態様では、ロータ51が、駆動装置5からの回転動力が入力されて回転軸線AX周りに回転するキャリアである場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、3つの遊星歯車43それぞれの支軸45にローラ53を直接取り付けることで、3つの支軸45が前記ロータを兼ねてもよい。
【0060】
上記態様では、減速機11が、2つの遊星歯車機構21、41を有する場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、減速機11が、1つの遊星歯車機構のみを有してもよいし、3つ以上の遊星歯車機構を有してもよい。
【0061】
上記態様では、減速機11がチューブポンプ50に前側から隣接する場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、減速機11がチューブポンプ50に後ろ側から隣接してもよい。
【0062】
上記態様では、ローラ群52が6つのローラ53により構成される場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、ローラ群52が、2つ以上5つ以下のローラ53により構成されてもよいし、又は7つ以上のローラ53により構成されてもよい。
【0063】
上記態様では、第1半体80及び第2半体100が、径方向の外側からローラ群52に加えてロータ51も覆う場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、第1半体80及び第2半体100が、径方向の外側からローラ群52のみを覆ってもよい。このような場合、チューブポンプ装置10は、径方向の外側からロータ51を覆うロータカバーを更に備えてもよいし、内歯車46がロータカバーを一体的に有してもよい。
【0064】
上記態様では、第2半体100が、一対のチューブ通過路121,122を画定する一対の溝部123、124を有する場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、第2半体100が、一対のチューブ通過路121,122を画定する一対の貫通孔を有してもよい。
【0065】
上記態様では、第2半体100が、チューブ通過路121,122の全てを画定する場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、第2半体100が、チューブ通過路121,122を少なくとも部分的に画定してもよい。例えば、第1半体80に第2半体100を固定した状態で、第1半体80と第2半体100の間に間隙ができる構成とし、前記間隙がチューブ通過路121,122を形成してもよい。すなわち、チューブ通過路121,122が、第1半体80と第2半体100との間の境界面に形成されてもよい。このような場合、第1半体80がチューブ通過路121,122それぞれの一方側を画定し、第2半体100がチューブ通過路121,122それぞれの他方側を画定する。
【0066】
上記態様では、チューブ通過路121,122を画定する一対の溝部123、124が、それぞれ、周方向における第2半体100の端面から離間して形成される場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、一対の溝部123、124が、それぞれ、第2半体100の端面に形成され、周方向における第1半体80の端面によってチューブ通過路121,122が閉じられてもよい。或いは、周方向における第1半体80の端面に一対の溝部123、124が形成され、周方向における第2半体100の端面によってチューブ通過路121,122が閉じられてもよい。
【0067】
上記態様では、第1半体80が、サポート148と別個に設けられる場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、第1半体80が、サポート148と一体物であってもよい。
【0068】
上記態様では、第2半体100の内円弧面101が、真円の180度の範囲にわたって延びている場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、第2半体100の内円弧面101は、真円の180度未満の範囲にわたって延びていてもよい。このような場合、第2半体100の内円弧面101は、180度に近い範囲にわたって延びていることが好ましい。
【0069】
上記態様では、ローラハウジング60が透明カバー128を有する場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、ローラハウジング60が透明カバー128の代わりに透明でないカバーを有してもよい。
【0070】
上記態様では、チューブポンプ50及び減速機11の少なくとも一方は、電動ドリル2の筐体3の内部に収容されてもよい。その場合、筐体3は開閉可能な構造であることが好ましい。
【0071】
上記態様では、ドリルビット8の刃先9が被切削位置に押し当てられることで、冷却液供給機構150内の供給流路に配置された弁が開き、チューブポンプ50からドリルビット8へと冷却液が圧送可能な状態になる場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、加工装置1が前記弁を備えず、駆動装置5からの回転動力によりドリルビット8が回転駆動され、且つチューブポンプ50が駆動されることにより、チューブポンプ50からドリルビット8へと冷却液が常時圧送されてもよい。
【0072】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかし、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。例えば、1つの実施形態中の一部の構成又は方法を他の実施形態に適用してもよく、実施形態中の一部の構成は、その実施形態中の他の構成から分離して任意に抽出可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれる。
【0073】
以下の項目のそれぞれは、好ましい実施形態の開示である。
【0074】
[項目1]
加工ツールを回転駆動する駆動装置と、前記駆動装置によって駆動されて前記加工ツールに冷却液を供給するチューブポンプ装置と、を備えた加工装置のチューブポンプ装置であって、
前記駆動装置からの回転動力が入力されて回転軸線周りに回転するロータと、前記ロータを回転自在に支持するサポートと、を有するロータアッセンブリと、
前記回転軸線周りに周方向に間隔をあけて配置され、前記ロータに回転自在に支持された複数のローラを含むローラ群と、
前記回転軸線に直交する径方向の外側から前記ローラ群を覆ってローラ配置空間を画定するローラハウジングと、を含み、
前記ローラハウジングは、
前記ローラ群を前記径方向の一方側から覆い、前記サポートに支持された第1半体と、
前記ローラ群を前記径方向の他方側から覆って前記ローラ群との間でチューブを挟む内円弧面を有し、前記チューブを前記ローラハウジングの内外に通過させる一対のチューブ通過路を少なくとも部分的に画定する第2半体と、
前記第1半体に前記第2半体を着脱自在に固定する固定構造と、を含む、加工装置のチューブポンプ装置。
[項目2]
前記第2半体は、前記一対のチューブ通過路を画定する一対の溝部を有する、項目1に記載の加工装置のチューブポンプ装置。
[項目3]
前記一対のチューブ通過路は、前記周方向における前記第2半体の両端部に分かれて配置されている、項目1又は2に記載の加工装置のチューブポンプ装置。
[項目4]
前記一対のチューブ通過路は、前記回転軸線が延びる軸線方向から見てそれぞれ湾曲した形状を有し、
前記一対のチューブ通過路のうち前記ローラ配置空間に対向する内開口は、水平方向に向き、
前記一対のチューブ通過路のうち前記ローラハウジングの外部に対向する外開口は、下方に延びている、項目3に記載の加工装置のチューブポンプ装置。
[項目5]
前記一対のチューブ通過路を画定する面であって前記チューブを下方から支持する面は、前記内開口から前記外開口に向けて湾曲したアーチ形状を有する、項目4に記載の加工装置のチューブポンプ装置。
[項目6]
前記ローラハウジングは、前記回転軸線が延びる軸線方向から前記ローラ配置空間を覆い且つ前記サポートに支持された透明カバーを更に含む、項目1乃至5のいずれかに記載の加工装置のチューブポンプ装置。
[項目7]
前記周方向における前記第1半体の両端部は、前記第1半体に対する前記第2半体の着脱方向に延びたガイド面を有し、
前記周方向における前記第2半体の両端部は、前記着脱方向に延び且つ前記回転軸線方向が延びる軸線方向から見て前記ガイド面に前記着脱方向に直交する方向に重なる被ガイド面を有する、項目1乃至6のいずれかに記載の加工装置のチューブポンプ装置。
[項目8]
前記周方向における前記第1半体の両端部は、前記周方向の端面である合わせ面を有し、
前記周方向における前記第2半体の両端部は、前記第2半体の前記内円弧面に隣接し且つ前記第1半体の前記合わせ面に突き合わされる合わせ面を有し、
前記第2半体の前記両端部は、前記径方向における前記第2半体の前記合わせ面の外側において前記第1半体に前記径方向の外側から重なるように前記第1半体側に突出した突起を有し、
前記固定構造の一部は、前記突起の外面に配置されている、項目1乃至7のいずれかに記載の加工装置のチューブポンプ装置。
[項目9]
前記周方向における前記複数のローラの隣接間隔は、前記ローラの外径よりも短い距離である、項目1乃至8のいずれかに記載の加工装置のチューブポンプ装置。
[項目10]
前記ロータアッセンブリは、前記駆動装置からの回転動力を減速して前記ロータに伝達する減速機を含み、
前記減速機は、遊星歯車機構を含み、
前記ロータアッセンブリは、前記遊星歯車機構に回転動力を入力する伝達軸を有し、
前記伝達軸は、前記駆動装置の回転動力を前記加工ツールに伝達する伝達軸を兼ねる、項目1乃至9のいずれかに記載の加工装置のチューブポンプ装置。
[項目11]
項目1乃至10のいずれかに記載のチューブポンプ装置と、
加工ツールを回転駆動し且つ前記チューブポンプ装置を駆動する駆動装置と、を備える、加工装置。
【符号の説明】
【0075】
1 加工装置
5 駆動装置
7 伝達軸
8 ドリルビット(加工ツール)
10 チューブポンプ装置
11 減速機
21,41 遊星歯車機構
50 チューブポンプ
51 ロータ(キャリア)
52 ローラ群
53 ローラ
60 ローラハウジング
61 ローラ配置空間
80 第1半体
82,83 ガイド面
84,85 合わせ面
100 第2半体
101 内円弧面
102,103 被ガイド面
104,105 合わせ面
111,112 突起
115,116 内開口
117,118 外開口
125,126 ポンプチューブを下方から支持する面
121,122 チューブ通過路
123,124 溝部
128 透明カバー
130,140 パッチン錠(固定構造)
148 サポート
149 ロータアッセンブリ
180 チューブ
AX 回転軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8