(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164408
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20241120BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20241120BHJP
H01F 27/24 20060101ALI20241120BHJP
H01F 27/10 20060101ALI20241120BHJP
H01F 30/10 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
H02M3/28 Y
H01F27/28 K
H01F27/24 K
H01F27/10
H01F30/10 A
H01F30/10 C
H01F30/10 F
H01F30/10 M
H01F30/10 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079859
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三木 省吾
(72)【発明者】
【氏名】高渊 真吾
【テーマコード(参考)】
5E043
5E050
5H730
【Fターム(参考)】
5E043AA06
5E043BA01
5E050CA01
5E050JA01
5H730AA15
5H730AS17
5H730BB27
5H730DD03
5H730DD04
5H730DD16
5H730EE03
5H730EE07
5H730EE08
5H730ZZ01
5H730ZZ07
5H730ZZ11
5H730ZZ16
5H730ZZ17
(57)【要約】
【課題】部品点数を削減しつつ、小型化及び低コスト化し、生産性を向上させた電力変換装置を得ること。
【解決手段】磁気回路を形成するトランスコア、及びトランスコアに巻回されたトランス巻回部を設けた複数のトランスコイルを有したトランスと、磁気回路を形成するリアクトルコア、及びリアクトルコアに巻回されたリアクトル巻回部を設けた単数又は複数のリアクトルコイルを有したリアクトルと、を備え、トランス巻回部及びリアクトル巻回部のそれぞれは、平面上を湾曲した板状に形成され、一つのトランスコイルと一つのリアクトルコイルとは、並べて配置されて、一体化部により電気的及び機械的に結合された一体コイル部材とされている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気回路を形成するトランスコア、及び前記トランスコアに巻回されたトランス巻回部を設けた複数のトランスコイルを有したトランスと、
磁気回路を形成するリアクトルコア、及び前記リアクトルコアに巻回されたリアクトル巻回部を設けた単数又は複数のリアクトルコイルを有したリアクトルと、を備え、
前記トランス巻回部及び前記リアクトル巻回部のそれぞれは、平面上を湾曲した板状に形成され、
一つの前記トランスコイルと一つの前記リアクトルコイルとは、並べて配置されて、一体化部により電気的及び機械的に結合された一体コイル部材とされている電力変換装置。
【請求項2】
前記一体コイル部材の厚みは、前記トランスコイルの側及び前記リアクトルコイルの側の双方の部分で同一である請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記一体コイル部材は、一枚の板金からなる請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記一体コイル部材における、前記トランス巻回部の板状の導体幅と前記リアクトル巻回部の板状の導体幅とが異なっている請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記トランス及び前記リアクトルを冷却する冷却面を有した筐体を備え、
前記一体コイル部材は、平板からなり、
前記一体コイル部材が、前記冷却面に熱的に接続されている請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記トランス及び前記リアクトルを冷却する冷却面を有した筐体を備え、
前記トランスコアの底面及び前記リアクトルコアの底面が、同一平面からなる前記冷却面に熱的に接続されている請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記トランス及び前記リアクトルを冷却する冷却面を有した筐体を備え、
前記一体コイル部材は、前記一体化部に折り曲げ部を有した一枚の板金からなり、
前記一体コイル部材の前記トランス巻回部及び前記リアクトル巻回部の部分は、前記冷却面に平行に配置され、前記一体コイル部材の前記トランス巻回部は、前記一体コイル部材の前記リアクトル巻回部よりも前記冷却面から離間して配置され、
前記一体コイル部材の前記トランス巻回部と前記冷却面との間に、別の前記トランス巻回部が配置されている請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記一体コイル部材の前記リアクトル巻回部及び前記別のトランス巻回部は、放熱部材を介して、前記冷却面に熱的に接続されている請求項7に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記トランスコイルは、高電圧側のコイルと低電圧側のコイルとを有し、
前記低電圧側のコイルは、前記高電圧側のコイルよりも大きい電流が流れ、
前記一体コイル部材の前記トランスコイルの部分は、前記低電圧側のコイルである請求項1又は7に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記トランスコイルは、複数の高電圧側のコイルと、複数の低電圧側のコイルと、を有し、
前記低電圧側のコイルは、前記高電圧側のコイルよりも大きい電流が流れ、
前記トランス巻回部が巻回された前記トランスコアの部分の延出した方向に沿って、前記低電圧側のコイルと前記高電圧側のコイルとが交互に配置されている請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項11】
前記トランス及び前記リアクトルを冷却する冷却面を有した筐体を備え、
前記一体コイル部材の前記トランスコイルの部分は、前記低電圧側のコイルであり、
前記一体コイル部材の前記低電圧側のコイルと前記冷却面との間に、別の前記低電圧側のコイルが配置されている請求項10に記載の電力変換装置。
【請求項12】
前記トランスコイルは、高電圧側のコイルと低電圧側のコイルとを有し、
前記低電圧側のコイルは、前記高電圧側のコイルよりも大きい電流が流れ、
前記一体コイル部材の前記トランスコイルの部分は、前記低電圧側のコイルであり、
前記低電圧側のコイルは、センタータップ部を有したセンタータップ型のコイルであり、
前記センタータップ部に、前記一体化部が結合されている請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項13】
前記トランスコイル及び前記リアクトルコイルは、樹脂部材により一体化され、前記トランスコイル及び前記リアクトルコイルを収容した樹脂ケースが形成されている請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項14】
前記トランス及び前記リアクトルを冷却する冷却面を有した筐体を備え、
前記樹脂ケースは、前記トランスコイルと前記リアクトルコイルとの間の部分で、前記筐体に固定されている請求項13に記載の電力変換装置。
【請求項15】
前記一体化部は、別体の前記トランスコイルと前記リアクトルコイルのそれぞれを連結した連結部である請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項16】
前記トランス及び前記リアクトルを冷却する冷却面を有した筐体を備え、
前記連結部は、放熱部材を介して、前記冷却面に熱的に接続されている請求項15に記載の電力変換装置。
【請求項17】
前記トランス及び前記リアクトルを冷却する冷却面を有した筐体を備え、
前記一体コイル部材の前記トランスコイルの部分及び前記一体コイル部材の前記リアクトルコイルの部分の一方又は双方は、放熱部材を介して、前記冷却面に熱的に接続されている請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項18】
前記トランス巻回部が巻回された前記トランスコアの部分の延出した方向である第一延出方向と前記リアクトル巻回部が巻回された前記リアクトルコアの部分の延出した方向である第二延出方向とは、平行であり、
前記トランス及び前記リアクトルは、前記第一延出方向及び前記第二延出方向に垂直な方向に隣接して配置されている請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項19】
前記トランスコイルは、外部と接続されるトランス端子を有し、
前記リアクトルコイルは、外部と接続されるリアクトル端子を有し、
前記トランス端子及び前記リアクトル端子は、前記第一延出方向に見て、隣接した前記トランス及び前記リアクトルに対して、同じ方向の側に配置されている請求項18に記載の電力変換装置。
【請求項20】
前記トランスに並べて配置された整流ダイオードを備え、
前記高電圧側のコイルは、外部と接続される高電圧側トランス端子を有し、
前記低電圧側のコイルは、外部と接続される低電圧側トランス端子を有し、
前記低電圧側トランス端子は、前記低電圧側のコイルの前記センタータップ部の側とは反対側の端部であり、
前記低電圧側トランス端子は、前記トランスの前記整流ダイオードが配置された側に設けられ、前記整流ダイオードと電気的に接続されている請求項12に記載の電力変換装置。
【請求項21】
前記トランスに並べて配置された半導体スイッチング素子を備え、
前記トランスコイルは、高電圧側のコイルと低電圧側のコイルとを有し、
前記低電圧側のコイルは、前記高電圧側のコイルよりも大きい電流が流れ、
前記高電圧側のコイルは、外部と接続される高電圧側トランス端子を有し、
前記低電圧側のコイルは、外部と接続される低電圧側トランス端子を有し、
前記高電圧側トランス端子は、前記トランスの前記半導体スイッチング素子が配置された側で、前記低電圧側トランス端子よりも前記リアクトルの側に設けられ、
前記高電圧側トランス端子は、前記半導体スイッチング素子と電気的に接続されている請求項19に記載の電力変換装置。
【請求項22】
前記トランスコアと前記リアクトルコアとは、一体化された部分を有し、
前記トランスコアと前記リアクトルコアとは、少なくとも一部の磁路が共有されている請求項1に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の自動車を取りまく環境規制及び技術の進歩により、さまざまな車格において電気自動車又はハイブリット自動車が開発され、普及が進んでいる。ハイブリッド自動車又は電気自動車のように、駆動源にモータが用いられている電動化車両には、複数の電力変換装置が搭載されている。電力変換装置は、入力電流を直流から交流、交流から直流、又は入力電圧を異なる電圧に変換する装置である。電動化車両に搭載される電力変換装置として、具体的には、商用の交流電力を直流電力に変換して高電圧バッテリに充電する充電器、高電圧バッテリの直流電力を異なる電圧の直流電力に変換するDC/DCコンバータ、高電圧バッテリからの直流電力をモータへの交流電力に変換するインバータ等が挙げられる。
【0003】
DC/DCコンバータは、例えば、高電圧のリチウムイオンバッテリから低電圧の鉛バッテリを充電するために電動化車両に搭載されている。高電圧から周囲を保護するため、高電圧のリチウムイオンバッテリはシャーシ及び低電圧系統からは絶縁されている。DC/DCコンバータにおいても、一般的にはトランスにより、高電圧の入力側と低電圧の出力側との絶縁が必要となる。DC/DCコンバータでは、直流の入力電圧を半導体素子等でスイッチングし、交流等の信号に変換してトランスの一次側に入力する。トランスの二次側の出力は、半導体素子等で整流し、平滑リアクトルにて平滑化した後、直流の出力電圧としてDC/DCコンバータから出力される。
【0004】
電気自動車又はハイブリッド自動車に搭載される絶縁型DC/DCコンバータは、kWクラス以上となることが一般的である。そのため、トランスと平滑リアクトルは大型化し、発熱しやすくなっている。電力変換装置において、これらのトランス及びリアクトルなどに使用されるコイルは、板金コイルを使用することで、コイルの断面積を拡大して損失を低減し、放熱性を向上させて、コイルの温度上昇を低減している。板金で構成されたトランスの二次側コイルとリアクトルコイルとを接続する構成が開示されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1では、トランスの二次側コイルとリアクトルコイルとの間にバスバーなどの接続部材を設け、コイルとバスバーとをねじなどの固定部材で固定して双方のコイルを接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
バスバーなどの接続部材により、トランスの二次側コイルとリアクトルコイルとを接続することはできる。しかしながら、バスバーなどの接続部材と、ねじなどの固定部材とを用いてコイル同士を接続する場合、接続部材及び固定部材の追加により部品点数が増加するため、電力変換装置の製造コストが増加するという課題があった。また、固定部材でコイルとバスバーを接続する場合、ねじ及びナットが必要になり部品点数が増加することに加え、ねじ及びナットを配置するスペースを設ける必要があり、電力変換装置の部品点数の増加、サイズの大型化、製造コストの増加という課題があった。
【0007】
そこで、本願は、部品点数を削減しつつ、小型化及び低コスト化し、生産性を向上させた電力変換装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願に開示される電力変換装置は、磁気回路を形成するトランスコア、及びトランスコアに巻回されたトランス巻回部を設けた複数のトランスコイルを有したトランスと、磁気回路を形成するリアクトルコア、及びリアクトルコアに巻回されたリアクトル巻回部を設けた単数又は複数のリアクトルコイルを有したリアクトルと、を備え、トランス巻回部及びリアクトル巻回部のそれぞれは、平面上を湾曲した板状に形成され、一つのトランスコイルと一つのリアクトルコイルとは、並べて配置されて、一体化部により電気的及び機械的に結合された一体コイル部材とされているものである。
【発明の効果】
【0009】
本願に開示される電力変換装置によれば、磁気回路を形成するトランスコア、及びトランスコアに巻回されたトランス巻回部を設けた複数のトランスコイルを有したトランスと、磁気回路を形成するリアクトルコア、及びリアクトルコアに巻回されたリアクトル巻回部を設けた単数又は複数のリアクトルコイルを有したリアクトルと、を備え、トランス巻回部及びリアクトル巻回部のそれぞれは、平面上を湾曲した板状に形成され、一つのトランスコイルと一つのリアクトルコイルとは、並べて配置されて、一体化部により電気的及び機械的に結合された一体コイル部材とされているため、一つのトランスコイルと一つのリアクトルコイルとを、バスバーなどの接続部材及びねじなどの固定部材を用いずに接続することができるので、接続部材及び固定部材の部品点数を削減することができる。接続部材及び固定部材が不要で、接続部材及び固定部材を配置するスペースが削減されるため、電力変換装置を小型化及び低コスト化することができる。固定部材を用いた電力変換装置の組立工程が削減されるため、電力変換装置の生産性を向上させることができる。コイル部品の数が削減されるため、電力変換装置を小型化及び低コスト化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る電力変換装置の概略を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る電力変換装置の概略を示す平面図である。
【
図3】実施の形態1に係る電力変換装置のトランスコイルとリアクトルコイルの概略を示す分解斜視図である。
【
図4】実施の形態1に係る電力変換装置の回路構成を示す図である。
【
図5】実施の形態1に係る電力変換装置の要部の概略を示す平面図である。
【
図6】実施の形態1に係る電力変換装置の要部の概略を示す平面図である。
【
図7】
図2のA-A断面位置で切断した電力変換装置の要部の断面図である。
【
図8】
図2のB-B断面位置で切断した電力変換装置の要部の断面図である。
【
図9】実施の形態1に係る別の電力変換装置の要部の概略を示す平面図である。
【
図10】実施の形態2に係る電力変換装置の概略を示す断面図である。
【
図11】実施の形態3に係る電力変換装置の概略を示す断面図である。
【
図12】実施の形態4に係る電力変換装置の概略を示す平面図である。
【
図13】実施の形態5に係る電力変換装置の要部の概略を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本願の実施の形態による電力変換装置を図に基づいて説明する。なお、各図において同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る電力変換装置100の概略を示す斜視図、
図2は電力変換装置100の概略を示す平面図、
図3は電力変換装置100のトランスコイル71とリアクトルコイル3の概略を示す分解斜視図、
図4は電力変換装置100の回路構成を示す図、
図5は電力変換装置100の要部の概略を示す平面図で、トランスコア20及びリアクトルコア21の一部と、一体コイル部材10とを示した図、
図6は電力変換装置100の要部の概略を示す平面図で、トランスコア20及びリアクトルコア21の一部と、トランス二次側コイル2aと、リアクトルコイル3aとを示した図、
図7は
図2のA-A断面位置で切断した電力変換装置100の要部の断面図で、樹脂ケース40を省略し、トランス70、リアクトル80、第一放熱部材32、及び筐体50を示した図、
図8は
図2のB-B断面位置で切断した電力変換装置100の要部の断面図で、樹脂ケース40を省略し、トランス70、リアクトル80、第一放熱部材32、第二放熱部材33、及び筐体50を示した図である。電力変換装置100は、直流電源95の直流電圧をトランス70で絶縁された二次側直流電圧に変換して、バッテリ等の負荷に直流電圧を出力するDC/DCコンバータである。電力変換装置100はDC/DCコンバータに限るものではない。
【0013】
<電力変換装置100>
電力変換装置100の主回路構成の例を、
図4により説明する。
図4において、左側が入力側、右側が出力側である。電力変換装置100の入力側には直流電源95が接続され、出力側には低電圧バッテリなどの負荷(図示せず)が接続される。本実施の形態では、
図4に示したトランス70及びリアクトル80の具体的な構成を電力変換装置100として説明するが、電力変換装置100は、整流ダイオード60a、半導体スイッチング素子61a、平滑コンデンサ90を備えた構成であっても構わない。電力変換装置100は、直流電源95に接続され、複数の半導体スイッチング素子61aを有し、入力された直流電圧を交流電圧に変換して出力するフルブリッジ回路が構成された半導体モジュール61と、半導体モジュール61から出力された交流電力の電圧を変換して出力する、絶縁されたトランス70と、トランス70の出力を整流する整流ダイオード60aを有したダイオードモジュール60と、トランス70の出力を平滑化するリアクトル80及び平滑コンデンサ90と、を備える。リアクトル80及び平滑コンデンサ90を介して、トランス70の出力は負荷へ出力される。
【0014】
半導体モジュール61は、フルブリッジ回路が構成された複数の半導体スイッチング素子61aを有する。本実施の形態では、半導体モジュール61は、4つの半導体スイッチング素子を有するが、半導体スイッチング素子の個数はこれに限るものではない。半導体スイッチング素子は、例えば、ソース・ドレイン間にダイオードが内蔵されたMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。なお、半導体スイッチング素子は、MOSFETに限るものではなく、ダイオードが逆並列接続されたIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の自己消弧型半導体スイッチング素子でも構わない。半導体スイッチング素子は、ケイ素(Si)、炭化ケイ素(SiC)、もしくは窒化ガリウム(GaN)などの半導体材料からなる半導体基板に形成される。
【0015】
トランス70は、トランス一次側コイル1、及びトランス二次側コイル2を有する。トランス二次側コイル2は、センタータップ部6を有する。センタータップ部6は、リアクトル80に接続される。
【0016】
ダイオードモジュール60は、半導体素子からなる整流素子である整流ダイオード60aを有する。センタータップ部6以外のトランス70のトランス二次側コイル2の端部は、整流ダイオード60aにそれぞれ接続される。本実施の形態では、整流ダイオード60aを二つ有し、それぞれ一つのダイオードで示しているが、二つ以上を並列に接続したダイオードであっても構わない。また、整流素子として、MOSFET等の自己消弧型半導体スイッチング素子を用いても構わない。
【0017】
<トランス70、リアクトル80>
本願の要部であるトランス70及びリアクトル80の構成について説明する。電力変換装置100は、
図7に示すように、磁気回路を形成するトランスコア20、及びトランスコア20に巻回されたトランス巻回部4を設けた複数のトランスコイル71を有したトランス70と、磁気回路を形成するリアクトルコア21、及びリアクトルコア21に巻回されたリアクトル巻回部5を設けた単数又は複数のリアクトルコイル3を有したリアクトル80と、を備える。本実施の形態では、
図3に示すように、トランスコイル71は、高電圧側のコイルであるトランス一次側コイル1と、低電圧側のコイルであるトランス二次側コイル2とを有する。トランス巻回部4及びリアクトル巻回部5のそれぞれは、平面上を湾曲した板状に形成される。
図8に示すように、一つのトランスコイルと一つのリアクトルコイルとは、並べて配置されて、一体化部10aにより電気的及び機械的に結合された一体コイル部材10とされている。一体コイル部材10における、一つのトランスコイルの部分はトランス二次側コイル部12であり、一つのリアクトルコイルの部分はリアクトルコイル部13である。
【0018】
このように構成することで、トランス二次側コイル部12とリアクトルコイル部13とを、バスバーなどの接続部材及びねじなどの固定部材を用いずに接続することができるため、接続部材及び固定部材の部品点数を削減することができる。接続部材及び固定部材が不要で、接続部材及び固定部材を配置するスペースが削減されるため、電力変換装置100を小型化及び低コスト化することができる。固定部材を用いた電力変換装置100の組立工程が削減されるため、電力変換装置100の生産性を向上させることができる。コイル部品の数が削減されるため、電力変換装置100を小型化及び低コスト化することができる。
【0019】
本実施の形態では、
図1に示すように、トランスコイル71及びリアクトルコイル3は、樹脂部材により一体化され、トランスコイル71及びリアクトルコイル3を収容した樹脂ケース40が形成されている。樹脂部材による一体化は、例えば、一体成形により行われる。このように構成することで、各コイル間の絶縁が容易に確保されると共に、各コイル間の距離を縮めることができる。各コイル間の距離が縮まるため、電力変換装置100を小型化することができる。
【0020】
本実施の形態では、電力変換装置100は、トランス70及びリアクトル80を冷却する冷却面51を有した筐体50を備える。
図7に示すように、トランスコア20の底面及びリアクトルコア21の底面が、同一平面からなる冷却面51であるコア実装面52に熱的に接続されている。このように構成することで、筐体50が有した同じ面でトランス70及びリアクトル80を効率よく冷却することができる。筐体50が有した同じ面でトランス70及びリアクトル80が冷却されるので、電力変換装置100を小型化することができる。また、筐体50の高さの異なる加工面の数が低減できるので、筐体50の加工性を向上させることができる。また、筐体50と各コイルとの間の寸法公差を低減することができ、各コイルの放熱性を向上させることができるため、電力変換装置100を小型化及び低コスト化することができる。また本実施の形態では、トランスコア20の底面とコア実装面52との間及びリアクトルコア21の底面とコア実装面52との間に第一放熱部材32を設けている。このように構成することで、トランス70及びリアクトル80をさらに効率よく冷却することができる。
【0021】
樹脂ケース40は、
図1に示すように、固定部材31により筐体50に固定される。トランスコア20及びリアクトルコア21は、ばね30により筐体50に固定される。以下、各部材の詳細及び電力変換装置100の構成の詳細について述べる。
【0022】
最初に、トランスコア20とリアクトルコア21について説明する。トランスコア20は、例えば、フェライトにより作製される。
図7に示すように、トランスコア20は、E型に分割されており、環状の外周コアと、外周コアにおける対向する二つの部分の間を接続した柱状の中心コア20aとを有する。中心コア20aは、トランス巻回部4が巻回されたトランスコア20の部分である。本実施の形態では、トランス一次側コイル1a、トランス二次側コイル2a、及び一体コイル部材10のトランス二次側コイル部12のトランス巻回部4が中心コア20aに巻回されている。分割されたトランスコア20のうち、筐体50側に設けたトランスコア20の底面は、第一放熱部材32を介して筐体50に熱的に接続されている。なお、本実施の形態では、
図5に示すように、トランスコア20及びリアクトルコア21はE型に分割されているがこれに限るものではなく、E型とI型、I型とU型、又はU型とU型などに分割され構成であっても構わない。
図9に、トランスコア20及びリアクトルコア21をU型に分割した例を示す。
図9ではトランス巻回部4とリアクトル巻回部5との間にトランスコア20及びリアクトルコア21を配置していない。このように構成にすることで、一体コイル部材10の一体化部10aの長さが削減されるので、電力変換装置100を小型化及び低コスト化することができる。
【0023】
また、本実施の形態では、トランスコア20は、第一放熱部材32を介して筐体50に熱的に接続されているがこれに限るものではなく、第一放熱部材32を使用せずにトランスコア20の温度が使用可能温度となる場合は、第一放熱部材32を介さずにトランスコア20と筐体50とを熱的に接続しても構わない。第一放熱部材32を介さずにトランスコア20と筐体50とを熱的に接続することで、第一放熱部材32が削減されるので、電力変換装置100を低コスト化することができる。
【0024】
リアクトルコア21は、例えば、フェライトにより作製される。
図7に示すように、リアクトルコア21は、E型に分割されており、環状の外周コアと、外周コアにおける対向する二つの部分の間を接続した柱状の中心コア21aとを有する。中心コア21aは、リアクトル巻回部5が巻回されたリアクトルコア21の部分である。本実施の形態では、リアクトルコイル3a、及び一体コイル部材10のリアクトルコイル部13が中心コア21aに巻回されている。分割されたリアクトルコア21のうち、筐体50側に設けたリアクトルコア21の底面は、第一放熱部材32を介して筐体50に熱的に接続されている。なお、本実施の形態では、リアクトルコア21はE型に分割されているがこれに限るものではなく、E型とI型、I型とU型、又はU型とU型などに分割され構成であっても構わない。
【0025】
また、本実施の形態では、リアクトルコア21は、第一放熱部材32を介して筐体50に熱的に接続されているがこれに限るものではなく、第一放熱部材32を使用せずにリアクトルコア21の温度が使用可能温度となる場合は、第一放熱部材32を介さずにリアクトルコア21と筐体50とを熱的に接続しても構わない。第一放熱部材32を介さずにリアクトルコア21と筐体50とを熱的に接続することで、第一放熱部材32が削減されるので、電力変換装置100を低コスト化することができる。また、本実施の形態では、分割されたリアクトルコア21の分割部分のそれぞれは当接した構成になっているが、これに限るものではない。インダクタンス値又は直流重畳特性などの特性を変更するために、分割されたリアクトルコア21の分割部分を当接させずに、ギャップを設けても構わない。
なお、リアクトルコア21の材料はフェライトに限るものではなく、ダストコアなどの他のコア材であっても構わない。
【0026】
次に、トランスコイル71とリアクトルコイル3について説明する。
図3に示すように、トランスコイル71は、複数のトランスコイルとして、二つのトランス一次側コイル1a、トランス二次側コイル2a、及びトランス二次側コイル部12を有する。二つのトランス一次側コイル1aにより、トランス一次側コイル1が形成され、トランス二次側コイル2a及びトランス二次側コイル部12により、トランス二次側コイル2が形成される。リアクトルコイル3は、複数のリアクトルコイルとして、リアクトルコイル3a、及びリアクトルコイル部13を有する。リアクトルコイル3は複数に限るものではなく、単数であっても構わない。
【0027】
トランス一次側コイル1は、例えば、銅の板金により作製される。トランス一次側コイル1は、トランスコア20の中心コア20aに巻回されたトランス巻回部4を有する。中心コア20aの延出した方向である第一延出方向(
図3に示す破線の矢印Z1の延出方向)に巻回方向が異なる二つのトランス一次側コイル1aが積層されている。トランス一次側コイル1aの端部のそれぞれは、トランス巻回部4の内側に設けられたトランス一次側層間接続部14、及びトランス巻回部4の外側に設けられたトランス一次側端子7である。トランス一次側端子7は、トランス巻回部4の端部から延出して設けられ、外部と接続されるトランス端子である。二つのトランス一次側コイル1aのそれぞれに設けたトランス一次側層間接続部14は、例えば、溶接により接続される。トランス一次側コイル1aのそれぞれの巻回数は3であり、トランス一次側層間接続部14を接続することで、トランス一次側コイル1の巻回数は6になる。
【0028】
なお、本実施の形態では、トランス一次側コイル1aの個数を二つとしたがこれに限るものではなく、二つ以上の個数であっても構わない。二つ以外の個数でトランス一次側コイル1を構成する場合、トランス一次側コイル1aの合計した端部のうち、二箇所をトランス一次側端子7とし、それ以外をトランス一次側層間接続部14として、接続される各層で巻回方向が交互に異なるように構成しても構わない。なお、トランス一次側コイル1の材料は、銅に限るものではなく、銅合金、アルミニウム、アルミ合金などの他の板金材料でも構わない。
【0029】
トランス二次側コイル2a、及び一体コイル部材10のトランス二次側コイル部12は、例えば、銅の板金により作製される。トランス二次側コイル2a及びトランス二次側コイル部12は、トランスコア20の中心コア20aに巻回されたトランス巻回部4を有する。中心コア20aの延出した方向である第一延出方向(
図3に示す破線の矢印Z1の延出方向)に巻回方向が異なるトランス二次側コイル2a及びトランス二次側コイル部12が積層される。本実施の形態では、トランス二次側コイル2a及びトランス二次側コイル部12のそれぞれの巻回数は1であるため、トランス二次側コイル2a及びトランス二次側コイル部12の巻回方向に差がないように見えるが、ここに流れる電流の方向は異なっている。
【0030】
トランス二次側コイル2a及びトランス二次側コイル部12の端部のそれぞれは、トランス二次側端子8、及びセンタータップ部6である。トランス二次側端子8は、トランス巻回部4の端部から延出して設けられ、外部と接続されるトランス端子である。センタータップ部6は、トランス二次側コイル2aとトランス二次側コイル部12とを接続する部分である。トランス二次側コイル2とトランス二次側コイル部12のそれぞれに設けたセンタータップ部6は、例えば、溶接により接続される。
【0031】
高電圧側のトランス一次側コイル1に対して、低電圧側で電流がトランス一次側コイル1よりも増加するトランス二次側コイル2は、トランス一次側コイル1よりコイル厚み、すなわち板金厚みを厚くすることで、電気抵抗と熱抵抗を低減して発熱を抑制し、トランス二次側コイル2の温度が使用可能温度となるように構成している。なお、トランス二次側コイル2をセンタータップ構成としたが、トランス二次側コイル2はセンタータップ構成に限るものではない。トランス二次側コイル2とリアクトルコイル3とが接続される構成であれば、一体コイル部材10を適用可能であり、回路構成に合わせてトランス二次側コイル2aの個数及び巻回方向は変更可能である。また、本実施の形態では、トランス二次側コイル2aとトランス二次側コイル部12を積層した構成を示したが、回路構成によっては、トランス二次側コイル部12のみで構成しても構わない。また、トランス二次側コイル2a及びトランス二次側コイル部12の材料は、銅に限るものではなく、銅合金、アルミニウム、アルミ合金などの他の板金材料でも構わない。
【0032】
リアクトルコイル3a及びリアクトルコイル部13は、例えば、銅の板金により作製される。リアクトルコイル3a及びリアクトルコイル部13は、リアクトルコア21の中心コア21aに巻回されたリアクトル巻回部5を有する。中心コア21aの延出した方向である第二延出方向(
図3に示す破線の矢印Z2の延出方向)に巻回方向が同じリアクトルコイル3a及びリアクトルコイル部13が積層されている。リアクトルコイル3a及びリアクトルコイル部13のそれぞれの巻回数は1である。
【0033】
リアクトルコイル3aの一方の端部は、外部と接続されるリアクトル端子9であり、リアクトルコイル3aの他方の端部は、リアクトルコイル部13と接続されるリアクトル層間接続部15である。リアクトルコイル部13の一方の端部は、一体化部10aを介してセンタータップ部6と接続される接続部13aであり、リアクトルコイル部13の他方の端部は、リアクトルコイル3aと接続されるリアクトル層間接続部15である。リアクトルコイル3a及びリアクトルコイル部13のそれぞれに設けたリアクトル層間接続部15は、例えば、溶接により接続される。
【0034】
なお、本実施の形態では、リアクトルコイル3a及びリアクトルコイル部13の合計数を二つとしたが、二つ以外の個数でも構わない。例えば、リアクトルコイル3は、リアクトルコイル部13のみでも構わない。また、一体コイル部材10は一つとし、リアクトルコイル3aの個数により合計数を2以外の個数で構成する場合、リアクトルコイル3aの合計した端部のうち、一箇所をリアクトル端子9とし、それ以外をリアクトル層間接続部15として、接続される各層で巻回方向が同一になるように接続して構成しても構わない。また、リアクトルコイル3a及びリアクトルコイル部13の材料は、銅に限るものではなく、銅合金、アルミニウム、アルミ合金などの他の板金材料でも構わない。
【0035】
一体コイル部材10は、トランス二次側コイル部12とリアクトルコイル部13とを有し、トランス二次側コイル部12のセンタータップ部6と、リアクトルコイル部13を接続部13aとが一体化部10aを介して結合されている。一体化部10aは、トランス二次側コイル部12及びリアクトルコイル部13と同一の板金で構成される。本実施の形態では、一体コイル部材10は、一枚の板金からなる。このように構成することで、トランス二次側コイル部12とリアクトルコイル部13とを、バスバーなどの接続部材及びねじなどの固定部材を用いずに接続することができるため、接続部材及び固定部材の部品点数を削減することができる。接続部材及び固定部材が不要で、接続部材及び固定部材を配置するスペースが削減されるため、電力変換装置100を小型化及び低コスト化することができる。固定部材を用いた電力変換装置100の組立工程が削減されるため、電力変換装置100の生産性を向上させることができる。コイル部品の数が削減されるため、電力変換装置100を小型化及び低コスト化することができる。また、一枚の板金から、トランス二次側コイル部12とリアクトルコイル部13とが同時に作製できるため、電力変換装置100の生産性を向上させることができる。
【0036】
本実施の形態では、一体コイル部材10の厚みは、トランスコイルの側及びリアクトルコイルの側の双方の部分で同一である。このように構成することで、異なる厚みを有したトランスコイルの側の部分及びリアクトルコイルの側の部分を用意する必要がないので、電力変換装置100の生産性を向上させることができる。
【0037】
一体コイル部材10における、トランス巻回部4の板状の導体幅とリアクトル巻回部5の板状の導体幅とが異なっている。トランス巻回部4及びリアクトル巻回部5は板状に形成されているため、トランス二次側コイル部12とリアクトルコイル部13とで導体幅を容易に変更することができる。そのため、一体コイル部材10でありながら、トランス二次側コイル部12とリアクトルコイル部13の必要断面積の大きい方に合わせることなく、必要最小限の導体幅に設定することができるので、電力変換装置100を小型化及び低コスト化することができる。
【0038】
本実施の形態では、低電圧側のコイルであるトランス二次側コイル2は、高電圧側のコイルであるトランス一次側コイル1よりも大きい電流が流れ、一体コイル部材10のトランスコイルの部分は、低電圧側のコイルである。トランス二次側コイル2は、大きい電流が流れるため発熱しやすい。このように構成することで、一体コイル部材10のトランス二次側コイル部12で生じた熱を一体コイル部材10のリアクトルコイル部13の側から放熱することができるので、トランス二次側コイル部12の発熱を抑制することができる。
【0039】
本実施の形態では、
図8に示すように、一体コイル部材10は、一体化部10aに折り曲げ部16を有した一枚の板金からなる。一体コイル部材10のトランス巻回部4及びリアクトル巻回部5の部分は、冷却面51のコイル実装面53に平行に配置される。一体コイル部材10のトランス巻回部4は、一体コイル部材10のリアクトル巻回部5よりも冷却面51のコイル実装面53から離間して配置される。一体コイル部材10のトランス巻回部4と冷却面51のコイル実装面53との間に、別のトランス巻回部4が配置されている。折り曲げ部16は、コイル実装面53に対しての距離が異なるトランス二次側コイル部12とリアクトル部とを連結するため部分である。
【0040】
このように構成することで、折り曲げ部16により一体コイル部材10におけるトランス巻回部4とリアクトル巻回部5のコイル実装面53からの距離を容易に変えることができる。コイル実装面53に近い別のトランス巻回部4は、コイル実装面53により冷却され、コイル実装面53から離れた別のトランス巻回部4は、コイル実装面53に近いリアクトル巻回部5に放熱することで冷却される。また本実施の形態では、一体コイル部材10のトランスコイルの部分は、発熱しやすい低電圧側のコイルのトランス二次側コイル部12である。そのため、トランス二次側コイル部12の熱をコイル実装面53に近いリアクトル巻回部5に効率よく放熱することができる。また、コイル実装面53に近い別のトランス巻回部4をトランス二次側コイル2aのトランス巻回部4とすることで、トランス二次側コイル2aの熱をコイル実装面53に効率よく放熱することができる。
【0041】
本実施の形態では、一体コイル部材10のリアクトル巻回部5及び別のトランス巻回部4は、放熱部材である第二放熱部材33を介して、冷却面51であるコイル実装面53に熱的に接続されている。熱的に接続された一体コイル部材10のリアクトル巻回部5及び別のトランス巻回部4の部分のそれぞれは、樹脂ケース40から露出した部分である。このように構成することで、トランス二次側コイル2a及びリアクトルコイル部13を効率よく冷却することができる。
【0042】
本実施の形態では、中心コア20aの延出した方向である第一延出方向(Z1の延出方向)に沿って、低電圧側のコイルと高電圧側のコイルとが交互に配置されている。
図7に示すように、積層された各コイルの配置は、筐体50のコア実装面52の側から、低電圧側のコイルであるトランス二次側コイル2a、高電圧側のコイルであるトランス一次側コイル1a、低電圧側のコイルであるトランス二次側コイル部12、高電圧側のコイルであるトランス一次側コイル1aの順である。このように構成することで、表皮効果によりコイルの損失を低減することができ、温度上昇を低減することができ、各コイルの必要断面積を削減することができる。また、低電圧側でコイル断面積の大きいトランス二次側コイル2aを筐体50に近接する側に配置することで、第二放熱部材33の耐電圧仕様及び厚みを低減することができる。また、トランス一次側コイル1aで発生した熱をトランス二次側コイル2a及びトランス二次側コイル部12を介して筐体50に放熱することで、トランス一次側コイル1の温度上昇を低減することができ、各コイルの必要断面積を削減することができ、電力変換装置100を小型化及び低コスト化することができる。
【0043】
本実施の形態では、一体コイル部材10のトランスコイル71の部分は、低電圧側のコイルであり、一体コイル部材10の低電圧側のコイルと冷却面51との間に、別の低電圧側のコイルが配置されている。各コイルの配置は、筐体50の冷却面51の側から、低電圧側のコイルであるトランス二次側コイル2a、高電圧側のコイルであるトランス一次側コイル1a、低電圧側のコイルであるトランス二次側コイル部12、高電圧側のコイルであるトランス一次側コイル1aの順である。このように構成することで、発熱しやすいトランス二次側コイル2aを冷却面51に近づけることで、トランス二次側コイル2aを効率よく放熱することができる。発熱しやすいトランス二次側コイル部12の熱は、一体コイル部材10のリアクトルコイル部13に放熱することができる。トランス二次側コイル2の放熱が促進されるため、トランス二次側コイル2の必要断面積を削減することができるので、電力変換装置100を小型化及び低コスト化することができる。
【0044】
積層された各コイルの配置は、リアクトル80では、筐体50のコア実装面52の側から、リアクトルコイル部13、リアクトルコイル3aの順である。このように構成することで、発熱しやすいトランス二次側コイル部12と結合されたリアクトルコイル部13が冷却面51に近接して配置されているので、トランス二次側コイル部12の熱はリアクトルコイル部13を介して冷却面51であるコア実装面52に効率よく放熱される。トランス二次側コイル2の放熱がさらに促進されるため、トランス二次側コイル2の必要断面積を削減することができるので、電力変換装置100を小型化及び低コスト化することができる。
【0045】
なお、トランス一次側コイル1aと筐体50との間の絶縁及び放熱性を確保できる場合は、筐体50に最も近接する位置にトランス一次側コイル1aを配置しても構わない。また、二つのトランス一次側コイル1aと、トランス二次側コイル2及びトランス二次側コイル部12とを交互に配置する構成としたがこれに限るものではなく、これらのコイルの放熱性を確保できる場合は、積層順を変更しても構わない。
【0046】
本実施の形態では、一体コイル部材10のトランスコイル71の部分は、低電圧側のコイルであるトランス二次側コイル部12であり、トランス二次側コイル部12は、センタータップ部6を有したセンタータップ型のコイルであり、センタータップ部6に、一体化部10aが結合されている。このように構成することで、センタータップ部6はトランス二次側コイル2の中間点なので、中間点から両側のトランス二次側コイル2の熱を一体化されたリアクトルコイル部13からバランスよく放熱することができる。
【0047】
本実施の形態では、一体コイル部材10のトランスコイル71の部分及び一体コイル部材10のリアクトルコイル3の部分の一方又は双方は、放熱部材を介して、冷却面51に熱的に接続されている。実施の形態1では、
図8に示すように、一体コイル部材10のトランスコイル71の部分及び一体コイル部材10のリアクトルコイル3の部分の一方であるリアクトルコイル部13が、放熱部材である第二放熱部材33を介して、冷却面51であるコイル実装面53に熱的に接続されている。このように構成することで、一体コイル部材10に生じた熱を効率よくコイル実装面53に放熱することができる。一体コイル部材10のトランスコイル71の部分及び一体コイル部材10のリアクトルコイル3の部分の双方が放熱部材を介して、冷却面51に熱的に接続された構成は後述する。
【0048】
本実施の形態では、
図8に示すように、第一延出方向(Z1の延出方向)と第二延出方向(Z2の延出方向)とは、平行であり、トランス70及びリアクトル80は、第一延出方向及び第二延出方向に垂直な方向に隣接して配置されている。このように構成することで、一体コイル部材10のトランス二次側コイル部12とリアクトルコイル部13を近接して配置できるため、一体コイル部材10の一体化部10aを短縮することができる。一体化部10aが短縮されるので、一体コイル部材10は小型化及び低コスト化され、一体コイル部材10の発熱を抑制することができる。また、電力変換装置100を小型化及び低コスト化することができる。
【0049】
本実施の形態では、トランスコイル71は、外部と接続されるトランス端子としてトランス一次側端子7及びトランス二次側端子8を有し、リアクトルコイル3は、外部と接続されるリアクトル端子9を有し、トランス一次側端子7、トランス二次側端子8、及びリアクトル端子9は、第一延出方向に見て、隣接したトランス70及びリアクトル80に対して、同じ方向の側に配置されている。
図2では、紙面に垂直な方向が第一延出方向であり、トランス一次側端子7、トランス二次側端子8、及びリアクトル端子9は、隣接したトランス70及びリアクトル80に対して、下側に配置されている。このように構成することで、トランス一次側端子7、トランス二次側端子8、及びリアクトル端子9と接続される部品をトランス70及びリアクトル80に対して同じ側に並べて配置できるので、接続される部品を含めた電力変換装置100の大きさを小型化することができる。また、接続される部品を筐体50の冷却面51に配置できるので、接続される部品を冷却面51により冷却することができる。
【0050】
次に、樹脂ケース40について説明する。樹脂ケース40を形成する樹脂部材は、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂である。トランス一次側コイル1a、トランス二次側コイル2a、リアクトルコイル3a、及び一体コイル部材10のそれぞれは、隣り合うコイル同士において空間距離もしくは樹脂ケース40によって絶縁されるように、一体成形されて固定されている。
図2に示すように、樹脂ケース40には、分割されたトランスコア20及び分割されたリアクトルコア21の積層方向に対する垂直方向の位置を制約する位置決め壁41、及び樹脂ケース40と筐体50の位置を制約する位置決め突起42が設けられている。位置決め突起42を筐体50に設けた位置決め孔54に嵌め合うことで、樹脂ケース40の位置が決定される。
【0051】
樹脂ケース40は、トランスコイル71とリアクトルコイル3との間の部分で、筐体50に固定されている。樹脂ケース40の筐体50に固定される箇所は、固定部43である。樹脂ケース40は、ねじなどの固定部材31により、固定部43において筐体50に固定される。本実施の形態では、樹脂ケース40は、固定部43を複数有し、トランスコイル71とリアクトルコイル3との間の部分に加えて、樹脂ケース40外周の4つの角部に固定部43が配置されている。固定部43は、少なくともトランスコイル71とリアクトルコイル3との間の部分に設けるのが望ましい。このように構成することで、少ない固定箇所で、安定して樹脂ケース40を筐体50に固定することができる。また、樹脂ケース40の変形が抑制されると共に、第二放熱部材33の厚みの増加が抑制されるので、トランスコイル71及びリアクトルコイル3の放熱性を向上させることができる。トランスコイル71及びリアクトルコイル3の放熱性が向上するため、電力変換装置100を小型化及び低コスト化することができる。
【0052】
なお、樹脂ケース40に筐体50との位置を制約する位置決め突起42を設けるのではなく、筐体50の側に突起形状があり、樹脂ケース40に筐体50の突起形状と勘合する穴形状を設けても構わない。また、トランス一次側コイル1a、トランス二次側コイル2a、リアクトルコイル3a、一体コイル部材10が一体成形される構成としたがこれに限るものではなく、トランス一次側コイル1a、トランス二次側コイル2a、リアクトルコイル3a、一体コイル部材10を樹脂ケース40に対してアウトサートする構成でも構わない。また、樹脂部材は、ポリフェニレンサルファイド樹脂に限るものではなく、その他の成形樹脂材料でも構わない。また、固定部43の配置箇所は、上述した箇所に限るものではなく、電力変換装置100に求められる振動条件、第二放熱部材33の有無、及び第二放熱部材33の種類によって、固定部43を削減しても構わない。
【0053】
次に、放熱部材について説明する。第一放熱部材32及び第二放熱部材33は、例えば、シリコーンからなる放熱シートである。第一放熱部材32は、
図7に示すように、トランスコア20と筐体50との間、及びリアクトルコア21と筐体50との間に配置される。ばね30によって、トランスコア20及びリアクトルコア21を筐体50に押し付けることで、第一放熱部材32はトランスコア20及びリアクトルコア21により押圧される。第二放熱部材33は、
図8に示すように、トランス二次側コイル2aのトランスコア20から露出した部分、リアクトルコイル部13のリアクトルコア21から露出した部分、及びリアクトルコイル部13の側の一体化部10aと、筐体50との間に配置される。樹脂ケース40を筐体50に固定部材31により固定することで、第二放熱部材33はトランス二次側コイル2a、リアクトルコイル部13、一体化部10aにより押圧される。
【0054】
なお、第二放熱部材33が配置される箇所を、トランス二次側コイル2a、リアクトルコイル部13、一体化部10aの筐体50の側としたがこれに限るものではない。各コイルの積層構成の変更により、筐体50に最も近接するコイルを変更した場合は、筐体50に最も近接するコイルと筐体50との間に第二放熱部材33を配置するのが望ましい。また、筐体50に最も近接したコイル以外のコイルから延出させた部分を冷却部位とする場合、冷却部位と筐体50との間に第二放熱部材33を配置しても構わない。なお、第一放熱部材32及び第二放熱部材33は、シリコーンからなる放熱シートに限るものではなく、グリス、硬化型グリス、又は接着材であっても構わない。また、フィラーなどを放熱部材に含有させて、放熱部材の放熱性及び絶縁性を向上させても構わない。
【0055】
次に、固定部材31及びばね30について説明する。固定部材31は、例えば、鉄合金からなるねじである。なお、固定部材31の材料を鉄合金としたがこれに限るものではなく、鉄、アルミ合金、又は銅合金でも構わない。さらに、ねじとしたがこれに限るものではなく、ステンレス鋼、鉄、アルミ合金、又は銅合金からなるばね機構であっても構わない。
【0056】
ばね30は、例えば、ステンレス鋼からなる板金で構成される。
図1に示すように、ばね30の一方の端部が筐体50に固定され、他方の端部がトランスコア20又はリアクトルコア21に当接する。ばね30がトランスコア20又はリアクトルコア21に当接することで、ばね30によりトランスコア20及びリアクトルコア21は筐体50の方向に押圧される。トランスコア20及びリアクトルコア21が筐体50の方向に押圧されることで、トランスコア20及びリアクトルコア21が筐体50に固定される。本実施の形態では、電力変換装置100は4つのばね30を有し、トランスコア20は二つのばね30で固定され、リアクトルコア21は二つのばね30で固定される。ばね30の個数はこれに限るものではなく、さらに多くのばね30でトランスコア20及びリアクトルコア21を固定しても構わない。
【0057】
次に、筐体50について説明する。筐体50は、例えば、アルミニウム合金によりダイカストにて作製される。筐体50の材料はアルミニウム合金に限るものではなく、アルミニウム又はマグネシウム合金であっても構わない。筐体50は、トランス70及びリアクトル80を冷却する冷却面51として、コア実装面52、及びコイル実装面53を有する。
図8に示すように、コア実装面52とコイル実装面53のそれぞれは高さが異なる面であり、それぞれは同一平面からなる。コア実装面52には、トランスコア20の底面及びリアクトルコア21の底面が、第一放熱部材32を介して熱的に接続される。コイル実装面53には、一体コイル部材10のリアクトル巻回部5及び別のトランス巻回部4が、第二放熱部材33を介して熱的に接続される。コア実装面52とコイル実装面53のそれぞれの高さを変えることで、トランス70及びリアクトル80の構成を変えることなく、熱的に接続された部位を効果的に冷却することができる。
【0058】
また、電力変換装置100は、冷却面51と共に、冷却面51に搭載された部品を覆うカバーを備えても構わない。カバーを備えることで、電力変換装置100に侵入し得る異物から電力変換装置100に搭載された各部品を保護することができる。カバーが金属からなる場合、電磁的なノイズから搭載された部品を保護することができる。また、筐体50の冷却面51とは反対側の面に、冷媒が流れる冷却構造を設けても構わない。冷媒は、例えば、冷却水である。冷却構造を設けることで、トランス70及びリアクトル80から発生する熱をさらに効率よく冷却することができる。
【0059】
以上のように、実施の形態1による電力変換装置100において、磁気回路を形成するトランスコア20、及びトランスコア20に巻回されたトランス巻回部4を設けた複数のトランスコイル71を有したトランス70と、磁気回路を形成するリアクトルコア21、及びリアクトルコア21に巻回されたリアクトル巻回部5を設けた単数又は複数のリアクトルコイル3を有したリアクトル80と、を備え、トランス巻回部4及びリアクトル巻回部5のそれぞれは、平面上を湾曲した板状に形成され、一つのトランスコイルと一つのリアクトルコイルとは、並べて配置されて、一体化部10aにより電気的及び機械的に結合された一体コイル部材10とされているため、一つのトランスコイルであるトランス二次側コイル部12と一つのリアクトルコイルであるリアクトルコイル部13とを、バスバーなどの接続部材及びねじなどの固定部材を用いずに接続することができるので、接続部材及び固定部材の部品点数を削減することができる。接続部材及び固定部材が不要で、接続部材及び固定部材を配置するスペースが削減されるため、電力変換装置100を小型化及び低コスト化することができる。固定部材を用いた電力変換装置100の組立工程が削減されるため、電力変換装置100の生産性を向上させることができる。コイル部品の数が削減されるため、電力変換装置100を小型化及び低コスト化することができる。
【0060】
一体コイル部材10の厚みが、トランスコイルの側及びリアクトルコイルの側の双方の部分で同一である場合、異なる厚みを有したトランスコイルの側の部分及びリアクトルコイルの側の部分を用意する必要がないので、電力変換装置100の生産性を向上させることができる。
【0061】
一体コイル部材10が、一枚の板金からなる場合、トランス二次側コイル部12とリアクトルコイル部13とを、バスバーなどの接続部材及びねじなどの固定部材を用いずに接続することができるため、接続部材及び固定部材の部品点数を削減することができる。接続部材及び固定部材が不要で、接続部材及び固定部材を配置するスペースが削減されるため、電力変換装置100を小型化及び低コスト化することができる。固定部材を用いた電力変換装置100の組立工程が削減されるため、電力変換装置100の生産性を向上させることができる。また、一枚の板金から、トランス二次側コイル部12とリアクトルコイル部13とが同時に作製できるため、電力変換装置100の生産性を向上させることができる。
【0062】
一体コイル部材10における、トランス巻回部4の板状の導体幅とリアクトル巻回部5の板状の導体幅とが異なっている場合、トランス巻回部4及びリアクトル巻回部5は板状に形成されているため、トランス二次側コイル部12とリアクトルコイル部13とで導体幅を容易に変更することができるので、一体コイル部材10でありながら、トランス二次側コイル部12とリアクトルコイル部13の必要断面積の大きい方に合わせることなく、必要最小限の導体幅に設定することができる。トランス巻回部4の板状の導体幅とリアクトル巻回部5の板状の導体幅を必要最小限の導体幅に設定することができるため、電力変換装置100を小型化及び低コスト化することができる。
【0063】
電力変換装置100が、トランス70及びリアクトル80を冷却する冷却面51を有した筐体50を備え、トランスコア20の底面及びリアクトルコア21の底面が、同一平面からなる冷却面51であるコア実装面52に熱的に接続されている場合、筐体50が有した同じ面でトランス70及びリアクトル80を効率よく冷却することができる。筐体50が有した同じ面でトランス70及びリアクトル80が冷却されるので、電力変換装置100を小型化することができる。また、筐体50の高さの異なる加工面の数が低減できるので、筐体50の加工性を向上させることができる。また、筐体50と各コイルとの間の寸法公差を低減することができ、各コイルの放熱性を向上させることができるため、電力変換装置100を小型化及び低コスト化することができる。
【0064】
一体コイル部材10が、一体化部10aに折り曲げ部16を有した一枚の板金からなり、一体コイル部材10のトランス巻回部4及びリアクトル巻回部5の部分が、冷却面51のコイル実装面53に平行に配置され、一体コイル部材10のトランス巻回部4が、一体コイル部材10のリアクトル巻回部5よりも冷却面51のコイル実装面53から離間して配置され、一体コイル部材10のトランス巻回部4と冷却面51のコイル実装面53との間に、別のトランス巻回部4が配置されている場合、折り曲げ部16により一体コイル部材10におけるトランス巻回部4とリアクトル巻回部5のコイル実装面53からの距離を容易に変えることができる。コイル実装面53に近い別のトランス巻回部4は、コイル実装面53により冷却することができ、コイル実装面53から離れた別のトランス巻回部4は、コイル実装面53に近いリアクトル巻回部5への放熱により冷却することができる。また、一体コイル部材10のトランスコイルの部分が、発熱しやすい低電圧側のコイルのトランス二次側コイル部12である場合、トランス二次側コイル部12の熱をコイル実装面53に近いリアクトル巻回部5に効率よく放熱することができる。また、コイル実装面53に近い別のトランス巻回部4をトランス二次側コイル2aのトランス巻回部4とする場合、トランス二次側コイル2aの熱をコイル実装面53に効率よく放熱することができる。
【0065】
一体コイル部材10のリアクトル巻回部5及び別のトランス巻回部4が、放熱部材である第二放熱部材33を介して、冷却面51であるコイル実装面53に熱的に接続されている場合、別のトランス巻回部4を有したトランス二次側コイル2a、及び一体コイル部材10のリアクトル巻回部5を効率よく冷却することができる。
【0066】
低電圧側のコイルであるトランス二次側コイル2は、高電圧側のコイルであるトランス一次側コイル1よりも大きい電流が流れ、一体コイル部材10のトランスコイルの部分が、低電圧側のコイルである場合、一体コイル部材10のトランス二次側コイル部12で生じた熱を一体コイル部材10のリアクトルコイル部13の側から放熱することができるので、トランス二次側コイル部12の発熱を抑制することができる。
【0067】
中心コア20aの延出した方向である第一延出方向に沿って、低電圧側のコイルと高電圧側のコイルとが交互に配置されている場合、表皮効果によりコイルの損失を低減することができ、温度上昇を低減することができ、各コイルの必要断面積を削減することができる。また、低電圧側でコイル断面積の大きいトランス二次側コイル2aを筐体50に近接する側に配置することで、第二放熱部材33の耐電圧仕様及び厚みを低減することができる。また、トランス一次側コイル1aで発生した熱をトランス二次側コイル2a及びトランス二次側コイル部12を介して筐体50に放熱することで、トランス一次側コイル1の温度上昇を低減することができ、各コイルの必要断面積を削減することができ、電力変換装置100を小型化及び低コスト化することができる。
【0068】
一体コイル部材10のトランスコイル71の部分は、低電圧側のコイルであり、一体コイル部材10の低電圧側のコイルと冷却面51との間に、別の低電圧側のコイルが配置されている場合、別の低電圧側のコイルである、発熱しやすいトランス二次側コイル2aを冷却面51に近づけることで、トランス二次側コイル2aを効率よく放熱することができる。発熱しやすいトランス二次側コイル部12の熱は、一体コイル部材10のリアクトルコイル部13に放熱することができる。トランス二次側コイル2の放熱が促進されるため、トランス二次側コイル2の必要断面積を削減することができるので、電力変換装置100を小型化及び低コスト化することができる。
【0069】
一体コイル部材10のトランスコイル71の部分は、低電圧側のコイルであるトランス二次側コイル部12であり、トランス二次側コイル部12は、センタータップ部6を有したセンタータップ型のコイルであり、センタータップ部6に、一体化部10aが結合されている場合、センタータップ部6はトランス二次側コイル2の中間点なので、中間点から両側のトランス二次側コイル2の熱を一体化されたリアクトルコイル部13からバランスよく放熱することができる。
【0070】
トランスコイル71及びリアクトルコイル3が、樹脂部材により一体化され、トランスコイル71及びリアクトルコイル3を収容した樹脂ケース40が形成されている場合、各コイル間の絶縁が容易に確保されると共に、各コイル間の距離を縮めることができる。各コイル間の距離が縮まるため、電力変換装置100を小型化することができる。
【0071】
樹脂ケース40が、トランスコイル71とリアクトルコイル3との間の部分で、筐体50に固定されている場合、少ない固定箇所で、安定して樹脂ケース40を筐体50に固定することができる。また、樹脂ケース40の変形が抑制されると共に、第二放熱部材33の厚みの増加が抑制されるので、トランスコイル71及びリアクトルコイル3の放熱性を向上させることができる。トランスコイル71及びリアクトルコイル3の放熱性が向上するため、電力変換装置100を小型化及び低コスト化することができる。
【0072】
一体コイル部材10のトランスコイル71の部分及び一体コイル部材10のリアクトルコイル3の部分の一方又は双方が、放熱部材を介して、冷却面51に熱的に接続されている場合、一体コイル部材10に生じた熱を効率よくコイル実装面53に放熱することができる。
【0073】
第一延出方向(Z1の延出方向)と第二延出方向(Z2の延出方向)とが、平行であり、トランス70及びリアクトル80が、第一延出方向及び第二延出方向に垂直な方向に隣接して配置されている場合、一体コイル部材10のトランス二次側コイル部12とリアクトルコイル部13を近接して配置できるため、一体コイル部材10の一体化部10aを短縮することができる。一体化部10aが短縮されるので、一体コイル部材10は小型化及び低コスト化され、一体コイル部材10の発熱を抑制することができる。また、電力変換装置100を小型化及び低コスト化することができる。
【0074】
トランスコイル71が、外部と接続されるトランス端子としてトランス一次側端子7及びトランス二次側端子8を有し、リアクトルコイル3が、外部と接続されるリアクトル端子9を有し、トランス一次側端子7、トランス二次側端子8、及びリアクトル端子9が、第一延出方向に見て、隣接したトランス70及びリアクトル80に対して、同じ方向の側に配置されている場合、トランス一次側端子7、トランス二次側端子8、及びリアクトル端子9と接続される部品をトランス70及びリアクトル80に対して同じ側に並べて配置できるので、接続される部品を含めた電力変換装置100の大きさを小型化することができる。また、接続される部品を筐体50の冷却面51に配置できるので、接続される部品を冷却面51により冷却することができる。
【0075】
実施の形態2.
実施の形態2に係る電力変換装置100について説明する。
図10は実施の形態2に係る電力変換装置100の概略を示す断面図で、
図8と同等の位置で切断した断面図である。実施の形態2に係る電力変換装置100は、一体コイル部材10の構成が実施の形態1とは異なる構成になっている。
【0076】
一体コイル部材10は、平板からなり、一体コイル部材10が、冷却面51であるコイル実装面53に熱的に接続されている。本実施の形態では、一体コイル部材10は、第二放熱部材33を介してコイル実装面53に熱的に接続されている。実施の形態1では、一体コイル部材10は一体化部10aに折り曲げ部16を有していたが、本実施の形態では、一体化部10aに折り曲げ部16を有さず、一体化部10aは平板の部分として構成されている。また、本実施の形態の構成は、一体コイル部材10のトランスコイル71の部分及び一体コイル部材10のリアクトルコイル3の部分の双方が放熱部材を介して、冷却面51に熱的に接続された構成である。このような構成にすることで、一体化部10aに折り曲げ部16を有さないため、一体コイル部材10の製造コストを低減することができる。一体コイル部材10が低コスト化されるので、電力変換装置100を低コスト化することができる。
【0077】
実施の形態3.
実施の形態3に係る電力変換装置100について説明する。
図11は実施の形態3に係る電力変換装置100の概略を示す断面図で、
図8と同等の位置で切断した断面図である。実施の形態3に係る電力変換装置100は、一体コイル部材10の構成が実施の形態1とは異なる構成になっている。
【0078】
一体化部10aは、別体のトランスコイルとリアクトルコイルのそれぞれを連結した連結部11である。本実施の形態では、別体のトランスコイルはトランス二次側コイル部12であり、別体のリアクトルコイルはリアクトルコイル部13である。実施の形態1では、一体コイル部材10は一枚の板金から構成されていたが、本実施の形態では、別体のトランスコイルとリアクトルコイルのそれぞれを連結することで一体コイル部材10が形成されている。連結部11における別体のトランスコイルとリアクトルコイルとの接続は、例えば、溶接である。このような構成にすることで、一体コイル部材10に使用するコイル部品製造時の単位面積当たりの取り数を増加することができる。コイル部品の取り数が増加するので、一体コイル部材10の製造コストを低減することができる。一体コイル部材10が低コスト化されるので、電力変換装置100を低コスト化することができる。
【0079】
また、トランス二次側コイル部12とリアクトルコイル部13とを厚みが異なる板金で構成して、連結部11で溶接する構成としても構わない。このように構成することで、トランス一次側コイル1と対向するため、コイル幅が必要なトランス二次側コイル部12に対して、リアクトルコイル部13はコイル厚みを増加させてコイル幅を減少させることができる。リアクトルコイル部13のコイル幅が減少するため、リアクトルコイル部13を小型化することができる。リアクトルコイル部13が小型化するので、電力変換装置100を小型化及び低コスト化することができる。
【0080】
本実施の形態では、連結部11は、放熱部材である第二放熱部材33を介して、冷却面であるコイル実装面53に熱的に接続されている。このように構成することで、一体コイル部材10に生じた熱を効率よくコイル実装面53に放熱することができる。
【0081】
実施の形態4.
実施の形態4に係る電力変換装置100について説明する。
図12は実施の形態4に係る電力変換装置100の概略を示す平面図である。実施の形態4に係る電力変換装置100は、実施の形態1の
図1に示した構成に加えて、ダイオードモジュール60、及び半導体モジュール61を備えた構成になっている。
【0082】
電力変換装置100は、トランス70に並べて配置された整流ダイオード60aを備える。本実施の形態では、整流ダイオード60aを収容したダイオードモジュール60がトランス70に並べて配置されている。高電圧側のコイルは、外部と接続される高電圧側トランス端子を有し、低電圧側のコイルは、外部と接続される低電圧側トランス端子を有する。低電圧側トランス端子は、低電圧側のコイルのセンタータップ部の側とは反対側の端部であり、低電圧側トランス端子は、トランス70の整流ダイオード60aが配置された側に設けられ、整流ダイオード60aと電気的に接続されている。本実施の形態では、高電圧側のコイルは、トランス一次側コイル1であり、低電圧側のコイルはトランス二次側コイル2であり、高電圧側トランス端子は、トランス一次側端子7であり、低電圧側トランス端子は、トランス二次側端子8である。整流ダイオード60aはダイオードモジュール60から外部に露出したダイオード端子60bを有し、ダイオード端子60bとトランス二次側端子8とは、例えば、溶接により接続されている。
【0083】
このように構成することで、制御基板などの他の部材を介することなく、トランス二次側コイル2と整流ダイオード60aとを接続することで、トランス二次側コイル2と整流ダイオード60aとを接続する部品を低減することができる。部品が低減されるので、整流ダイオード60aを備えた電力変換装置100を低コスト化することができる。なお、整流ダイオード60aのダイオード端子60bとトランス二次側端子8とを溶接などで接続する構成としたがこれに限るものではなく、ねじ及びナットなどの締結部品を用いて双方を接続しても構わない。
【0084】
電力変換装置100は、トランス70に並べて配置された半導体スイッチング素子61aを備える。本実施の形態では、半導体スイッチング素子61aを収容した半導体モジュール61がトランス70に並べて配置されている。トランスコイル71は、高電圧側のコイルと低電圧側のコイルとを有し、低電圧側のコイルは、高電圧側コイルよりも大きい電流が流れ、高電圧側のコイルは、外部と接続される高電圧側トランス端子を有し、低電圧側のコイルは、外部と接続される低電圧側トランス端子を有する。高電圧側トランス端子は、トランス70の半導体スイッチング素子61aが配置された側で、低電圧側トランス端子よりもリアクトル80の側に設けられ、高電圧側トランス端子は、半導体スイッチング素子61aと電気的に接続されている。上述したように、高電圧側トランス端子は、トランス一次側端子7であり、低電圧側トランス端子は、トランス二次側端子8である。半導体スイッチング素子61aは半導体モジュール61から外部に露出した半導体素子端子61bを有し、半導体素子端子61bとトランス一次側端子7とは、例えば、溶接により接続されている。
【0085】
このように構成することで、制御基板などの他の部材を介することなく、トランス一次側コイル1と半導体スイッチング素子61aとを接続することで、トランス一次側コイル1と半導体スイッチング素子61aとを接続する部品を低減することができる。部品が低減されるので、半導体スイッチング素子61aを備えた電力変換装置100を低コスト化することができる。
【0086】
また、トランス二次側端子8とリアクトル端子9との間にトランス一次側端子7を配置することで、トランス70とリアクトル80に対して同じ方向の側に半導体モジュール61とダイオードモジュール60とを配置することができる。トランス70とリアクトル80に対して同じ方向の側に半導体モジュール61とダイオードモジュール60とを効率よく配置できるため、電力変換装置100の最外形が小さくなるので、電力変換装置100を小型化することができる。
【0087】
実施の形態5.
実施の形態5に係る電力変換装置100について説明する。
図13は実施の形態5に係る電力変換装置100の要部の概略を示す平面図で、トランスコア20、リアクトルコア21、及び一体コイル部材10を示した図である。実施の形態5に係る電力変換装置100は、二つのコアが一体化された構成になっている。
【0088】
トランスコア20とリアクトルコア21とは、一体化された部分を有し、トランスコア20とリアクトルコア21とは、少なくとも一部の磁路が共有されている。トランスコア20とリアクトルコア21の一体化された部分は、コア一体化部22である。実施の形態1では、トランスコア20とリアクトルコア21とは別部材で構成されていたが、本実施の形態では、トランスコア20とリアクトルコア21とが一体化され、一つの部材になっている。そのため、コア一体化部22において、トランスコイル71の磁路とリアクトルコイル3の磁路が共有されている。
【0089】
このような構成にすることで、隣接して配置されたトランスコア20とリアクトルコア21との間の隙間を削減することができる。トランスコア20とリアクトルコア21との間の隙間が削減されるので、電力変換装置100を小型化することができる。また、コア一体化部22において、トランスコイル71の磁路とリアクトルコイル3の磁路が共有されるため、トランス70の熱成立のために磁気回路上必要なコア断面積以上の断面積をトランスコア20が確保している場合、熱成立に余裕のあるリアクトルコア21と断面積を共有することで、トランスコア20とリアクトルコア21で必要なトータルのコア断面積を削減することができる。
【0090】
また本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、又は複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、又は様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合又は省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【0091】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0092】
(付記1)
磁気回路を形成するトランスコア、及び前記トランスコアに巻回されたトランス巻回部を設けた複数のトランスコイルを有したトランスと、
磁気回路を形成するリアクトルコア、及び前記リアクトルコアに巻回されたリアクトル巻回部を設けた単数又は複数のリアクトルコイルを有したリアクトルと、を備え、
前記トランス巻回部及び前記リアクトル巻回部のそれぞれは、平面上を湾曲した板状に形成され、
一つの前記トランスコイルと一つの前記リアクトルコイルとは、並べて配置されて、一体化部により電気的及び機械的に結合された一体コイル部材とされている電力変換装置。
(付記2)
前記一体コイル部材の厚みは、前記トランスコイルの側及び前記リアクトルコイルの側の双方の部分で同一である付記1に記載の電力変換装置。
(付記3)
前記一体コイル部材は、一枚の板金からなる付記1又は2に記載の電力変換装置。
(付記4)
前記一体コイル部材における、前記トランス巻回部の板状の導体幅と前記リアクトル巻回部の板状の導体幅とが異なっている付記1から3のいずれか1項に記載の電力変換装置。
(付記5)
前記トランス及び前記リアクトルを冷却する冷却面を有した筐体を備え、
前記一体コイル部材は、平板からなり、
前記一体コイル部材が、前記冷却面に熱的に接続されている付記1から4のいずれか1項に記載の電力変換装置。
(付記6)
前記トランス及び前記リアクトルを冷却する冷却面を有した筐体を備え、
前記トランスコアの底面及び前記リアクトルコアの底面が、同一平面からなる前記冷却面に熱的に接続されている付記1から5のいずれか1項に記載の電力変換装置。
(付記7)
前記トランス及び前記リアクトルを冷却する冷却面を有した筐体を備え、
前記一体コイル部材は、前記一体化部に折り曲げ部を有した一枚の板金からなり、
前記一体コイル部材の前記トランス巻回部及び前記リアクトル巻回部の部分は、前記冷却面に平行に配置され、前記一体コイル部材の前記トランス巻回部は、前記一体コイル部材の前記リアクトル巻回部よりも前記冷却面から離間して配置され、
前記一体コイル部材の前記トランス巻回部と前記冷却面との間に、別の前記トランス巻回部が配置されている付記1から6のいずれか1項に記載の電力変換装置。
(付記8)
前記一体コイル部材の前記リアクトル巻回部及び前記別のトランス巻回部は、放熱部材を介して、前記冷却面に熱的に接続されている付記7に記載の電力変換装置。
(付記9)
前記トランスコイルは、高電圧側のコイルと低電圧側のコイルとを有し、
前記低電圧側のコイルは、前記高電圧側のコイルよりも大きい電流が流れ、
前記一体コイル部材の前記トランスコイルの部分は、前記低電圧側のコイルである付記1から8のいずれか1項に記載の電力変換装置。
(付記10)
前記トランスコイルは、複数の高電圧側のコイルと、複数の低電圧側のコイルと、を有し、
前記低電圧側のコイルは、前記高電圧側のコイルよりも大きい電流が流れ、
前記トランス巻回部が巻回された前記トランスコアの部分の延出した方向に沿って、前記低電圧側のコイルと前記高電圧側のコイルとが交互に配置されている付記1から9のいずれか1項に記載の電力変換装置。
(付記11)
前記トランス及び前記リアクトルを冷却する冷却面を有した筐体を備え、
前記一体コイル部材の前記トランスコイルの部分は、前記低電圧側のコイルであり、
前記一体コイル部材の前記低電圧側のコイルと前記冷却面との間に、別の前記低電圧側のコイルが配置されている付記10に記載の電力変換装置。
(付記12)
前記トランスコイルは、高電圧側のコイルと低電圧側のコイルとを有し、
前記低電圧側のコイルは、前記高電圧側のコイルよりも大きい電流が流れ、
前記一体コイル部材の前記トランスコイルの部分は、前記低電圧側のコイルであり、
前記低電圧側のコイルは、センタータップ部を有したセンタータップ型のコイルであり、
前記センタータップ部に、前記一体化部が結合されている付記1から11のいずれか1項に記載の電力変換装置。
(付記13)
前記トランスコイル及び前記リアクトルコイルは、樹脂部材により一体化され、前記トランスコイル及び前記リアクトルコイルを収容した樹脂ケースが形成されている付記1から12のいずれか1項に記載の電力変換装置。
(付記14)
前記トランス及び前記リアクトルを冷却する冷却面を有した筐体を備え、
前記樹脂ケースは、前記トランスコイルと前記リアクトルコイルとの間の部分で、前記筐体に固定されている付記13に記載の電力変換装置。
(付記15)
前記一体化部は、別体の前記トランスコイルと前記リアクトルコイルのそれぞれを連結した連結部である付記1から14のいずれか1項に記載の電力変換装置。
(付記16)
前記トランス及び前記リアクトルを冷却する冷却面を有した筐体を備え、
前記連結部は、放熱部材を介して、前記冷却面に熱的に接続されている付記15に記載の電力変換装置。
(付記17)
前記トランス及び前記リアクトルを冷却する冷却面を有した筐体を備え、
前記一体コイル部材の前記トランスコイルの部分及び前記一体コイル部材の前記リアクトルコイルの部分の一方又は双方は、放熱部材を介して、前記冷却面に熱的に接続されている付記1から16のいずれか1項に記載の電力変換装置。
(付記18)
前記トランス巻回部が巻回された前記トランスコアの部分の延出した方向である第一延出方向と前記リアクトル巻回部が巻回された前記リアクトルコアの部分の延出した方向である第二延出方向とは、平行であり、
前記トランス及び前記リアクトルは、前記第一延出方向及び前記第二延出方向に垂直な方向に隣接して配置されている付記1から17のいずれか1項に記載の電力変換装置。
(付記19)
前記トランスコイルは、外部と接続されるトランス端子を有し、
前記リアクトルコイルは、外部と接続されるリアクトル端子を有し、
前記トランス端子及び前記リアクトル端子は、前記第一延出方向に見て、隣接した前記トランス及び前記リアクトルに対して、同じ方向の側に配置されている付記18に記載の電力変換装置。
(付記20)
前記トランスに並べて配置された整流ダイオードを備え、
前記高電圧側のコイルは、外部と接続される高電圧側トランス端子を有し、
前記低電圧側のコイルは、外部と接続される低電圧側トランス端子を有し、
前記低電圧側トランス端子は、前記低電圧側のコイルの前記センタータップ部の側とは反対側の端部であり、
前記低電圧側トランス端子は、前記トランスの前記整流ダイオードが配置された側に設けられ、前記整流ダイオードと電気的に接続されている付記12に記載の電力変換装置。
(付記21)
前記トランスに並べて配置された半導体スイッチング素子を備え、
前記トランスコイルは、高電圧側のコイルと低電圧側のコイルとを有し、
前記低電圧側のコイルは、前記高電圧側のコイルよりも大きい電流が流れ、
前記高電圧側のコイルは、外部と接続される高電圧側トランス端子を有し、
前記低電圧側のコイルは、外部と接続される低電圧側トランス端子を有し、
前記高電圧側トランス端子は、前記トランスの前記半導体スイッチング素子が配置された側で、前記低電圧側トランス端子よりも前記リアクトルの側に設けられ、
前記高電圧側トランス端子は、前記半導体スイッチング素子と電気的に接続されている付記19に記載の電力変換装置。
(付記22)
前記トランスコアと前記リアクトルコアとは、一体化された部分を有し、
前記トランスコアと前記リアクトルコアとは、少なくとも一部の磁路が共有されている付記1から21のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【符号の説明】
【0093】
1、1a トランス一次側コイル、2、2a トランス二次側コイル、3、3a リアクトルコイル、4 トランス巻回部、5 リアクトル巻回部、6 センタータップ部、7 トランス一次側端子、8 トランス二次側端子、9 リアクトル端子、10 一体コイル部材、10a 一体化部、11 連結部、12 トランス二次側コイル部、13 リアクトルコイル部、13a 接続部、14 トランス一次側層間接続部、15 リアクトル層間接続部、16 折り曲げ部、20 トランスコア、20a 中心コア、21 リアクトルコア、21a 中心コア、22 コア一体化部、30 ばね、31 固定部材、32 第一放熱部材、33 第二放熱部材、40 樹脂ケース、41 位置決め壁、42 位置決め突起、43 固定部、50 筐体、51 冷却面、52 コア実装面、53 コイル実装面、54 位置決め孔、60 ダイオードモジュール、60a 整流ダイオード、60b ダイオード端子、61 半導体モジュール、61a 半導体スイッチング素子、61b 半導体素子端子、70 トランス、71 トランスコイル、80 リアクトル、90 平滑コンデンサ、95 直流電源、100 電力変換装置