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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016442
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】電動駆動装置の制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 25/22 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
H02P25/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118569
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】金澤 拓朗
(72)【発明者】
【氏名】坂下 登美夫
(72)【発明者】
【氏名】小関 知延
【テーマコード(参考)】
5H505
【Fターム(参考)】
5H505AA16
5H505BB06
5H505CC04
5H505CC09
5H505DD03
5H505DD06
5H505EE49
5H505HA01
5H505HA06
5H505HA09
5H505HB01
5H505HB05
5H505JJ03
5H505KK08
5H505LL22
5H505LL38
5H505MM13
(57)【要約】
【課題】各系統グランドから共通グランドまでの配線距離の増大にともなう配線インピーダンスの増加によるグランド電位のばらつきを抑制できる電動駆動装置を提供する。
【解決手段】コネクタ部11は、第1駆動系統への電源供給に利用される第1グランド側端子12a(-)を有する第1電源コネクタ12aと第2駆動系統への電源供給に利用される第2グランド側端子12b(-)を有する第2電源コネクタ12bとを少なくも有している。また、前記第1制御回路部と前記第2制御回路部の互いのグランド配線が接続された共通グランド及び抵抗体43がコネクタ部11形成されることで共通グランドまでの配線距離の増大を抑制でき、配線インピーダンスの増加によるグランド電位のばらつきを抑制できる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1巻き線と第2巻き線を有するモータ部を有する電動駆動装置に適用される制御装置において、
前記第1巻き線へ供給する電力を制御する第1制御回路部、及び第1駆動回路を有する第1駆動系統と、
前記第2巻き線へ供給する電力を制御する第2制御回路部、及び第2駆動回路を有する第2駆動系統と、を備え、
前記第1制御回路部と前記第2制御回路部の互いのグランド配線が接続された共通グランドと、
前記第1駆動系統への電力供給に利用される第1グランド側端子を有する第1電源コネクタと、前記第2駆動系統への電力供給に利用される第2グランド側端子を有する第2電源コネクタとを少なくも有するコネクタ部と、
前記共通グランドを介して前記第1グランド側端子へ流れるグランド電流を検出する第1抵抗体と、
前記共通グランドを介して前記第2グランド側端子へ流れるグランド電流を検出する第2抵抗体と、を備え、
前記共通グランドに前記第1抵抗体と前記第2抵抗体が電気的に接続されて、前記コネクタ部に配置されている
ことを特徴とする電動駆動装置の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電動駆動装置の制御装置において、
前記共通グランドの配線はバスバー化されており、少なくともその一部が合成樹脂製の前記コネクタ部の内部に封止されている
ことを特徴とする電動駆動装置の制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電動駆動装置の制御装置において、
前記第1グランド側端子および前記第2グランド側端子は、前記コネクタ部でそれぞれ分岐して前記共通グランドに接続されてていること。
ことを特徴とする電動駆動装置の制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電動駆動装置の制御装置において、
前記第1グランド側端子は、前記コネクタ部で分岐して前記第1抵抗体と接続される共に、前記第1抵抗体は前記共通グランドと接続され、
前記第2グランド側端子は、前記コネクタ部で分岐して前記第2抵抗体と接続されると共に、前記第2抵抗体は前記共通グランドと接続されている
ことを特徴とする電動駆動装置の制御装置。
【請求項5】
請求項2に記載の電動駆動装置の制御装置において、
前記第1制御回路部と前記第2制御回路部は、少なくともマイクロコンピュータが実装されて回路基板に形成されており、
前記共通グランドは、共通グランド端子を有し、
前記回路基板に形成された前記第1制御回路部と前記第2制御回路部の夫々の前記グランド配線が、前記共通グランド端子と接続されている
ことを特徴とする電動駆動装置の制御装置。
【請求項6】
請求項2に記載の電動駆動装置の制御装置において、
前記第1制御回路部と前記第2制御回路部は、少なくともマイクロコンピュータが実装されて回路基板に形成されており、
回路基板に形成され、前記第1制御回路部と前記第2制御回路部の夫々の前記グランド配線が接続された基板側共通グランド配線部を有し、
前記基板側共通グランド配線部は、共通グランド端子を有し、
当前記基板側共通グランド配線部と前記共通グランド端子とが接続されている
ことを特徴とする電動駆動装置の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動駆動装置の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な産業機械分野においては、電動モータによって機械系制御要素を駆動することが行われているが、最近では電動モータの回転速度や回転トルクを制御する半導体素子等からなる電子制御部を電動モータに一体的に組み込む、いわゆる機電一体型の電動駆動装置が採用され始めている。このような電動駆動装置は、例えば特開2020-18087号公報(特許文献1)に記載されているものが知られている。
【0003】
このような電動モータには、第1巻き線組、及び第2巻き線組を有し、第1巻き線組に対する通電制御に係る制御回路の構成の組み合わせを第1系統、第2巻き線組に対する通電制御に係る制御回路の構成の組み合わせを第2系統としている。
【0004】
各系統には、マイクロコンピュータと、このマイクロコンピュータからの制御信号に基づいて駆動信号を出力するプリドライバ、及び駆動信号により制御されるスイッチング素子を有するインバータを含んでおり、かつ、個々のバッテリから電力が供給される供給経路と共に、グランドについても第1系統と第2系統で分離した冗長方式で構成されていることが記載されている。
【0005】
また、第1系統と第2系統の各グランドは、系統間グランドコンデンサを介して接続されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-18087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、制御装置における共通グランドを回路基板に形成すると、コネクタから回路基板に形成された各系統のグランド配線を介して、共通グランド配線に接続されるため、共通グランドまでの配線距離が長くなる。このため、配線インピーダンスの増加により各系統のグランド、及び共通グランドのグランド電位が基準グランド電位(例えば車両グランド電位)、又は車両やステアリング装置に設置されたセンサ類のグランド電位、乃至は他の制御装置のグランド電位等に対して高めにばらつく可能性がある。
【0008】
このため、グランド電位の影響による電位差により、入力されるセンサ信号や他の制御装置との通信信号の電圧レベルに誤差が生じ、制御性の低下等につながる恐れがあった。
【0009】
本発明の目的は、共通グランドを形成するにあたり、グランド電位のばらつきをより抑制可能な電動駆動装置の制御装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の特徴は、
第1巻き線と第2巻き線を有するモータ部を有する電動駆動装置に適用される制御装置において、
第1巻き線へ供給する電力を制御する第1制御回路部、及び第1駆動回路を有する第1駆動系統と、
第2巻き線へ供給する電力を制御する第2制御回路部、及び第2駆動回路を有する第2駆動系統と、を備え、
第1制御回路部と第2制御回路部の互いのグランド配線が接続された共通グランドと、
第1駆動系統への電源供給に利用される第1グランド側端子を有する第1電源コネクタと、第2駆動系統への電源供給に利用される第2グランド側端子を有する第2電源コネクタとを少なくも有するコネクタ部と、
共通グランドを介して第1グランドコネクタ端子へ流れるグランド電流を検出する第1抵抗体と、
共通グランドを介して第2グランドコネクタ端子へ流れるグランド電流を検出する第2抵抗体と、を備え、
共通グランドに第1抵抗体と第2抵抗体が接続されて、コネクタ部に配置されている
ところにある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、共通グランドが回路基板よりもコネクタに近接した状態で配置されるので、コネクタ口から共通グランドまでの各系統グランド配線距離が短縮され、グランド配線のインピーダンスの増加を抑制でき、基準グランド電位(例えば車両グランド電位)、又は車両やステアリング装置に設置されたセンサ類のグランド電位、乃至は他の制御装置のグランド電位との電位差を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明が適用される一例としての操舵装置の全体斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態になる電動パワーステアリング装置の配線回路ブロック図である。
図3】本発明の第1の実施形態になる電子制御部の斜視図である
図4】本発明の第1の実施形態になるコネクタ部の断面概略図である。
図5】本発明の第1の実施形態になるコネクタ部の別の変形例を示す断面概略図である。
図6】本発明の第2の実施形態になる回路基板の表層配線を示す平面概略図である。
図7】本発明の第2の実施形態になる回路基板の1つの内層配線を示す平面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものであり、また、第1の実施形態に限らず後述する他の実施形態への適用へを妨げるものでもない。
【0014】
電動パワーステアリング装置の構成について図1を用いて簡単に説明する。電動パワーステアリング装置1は、図1に示すように構成されている。
【0015】
図示しないステアリングホイールに連結されたステアリングシャフト2の下端には図示しないピニオンが設けられ、このピニオンは車体左右方向へ長いラック(図示せず)と噛み合っている。このラックの両端には前輪を左右方向へ操舵するためのタイロッド3が連結されており、ラックはラックハウジング4に覆われている。そして、ラックハウジング4とタイロッド3との間にはゴムブーツ5が設けられている。
【0016】
そして、ステアリングホイールを回動操作する際のトルクを補助するため、電動駆動装置6が設けられている。即ち、ステアリングシャフト2の回動方向と回動トルクとを検出するトルクセンサ7が設けられ、トルクセンサ7の検出値に基づいてラックにギヤ10を介して操舵補助力を付与する電動モータ部8と、電動モータ部8に配置された電動モータを制御する電子制御部(ECU)9とが設けられている。
【0017】
電動駆動装置6の電動モータ部8は、三相のブラシレスモータが適用されており、出力軸側で外装となるハウジングの外周部の3箇所が、図示しないボルトを介してギヤ10に接続され、電動モータ部8の出力軸とは反対側に電子制御部9が設けられている。
【0018】
電動駆動装置6においては、ステアリングホイールが操作されることにより、ステアリングシャフト2がいずれかの方向へ回動操作されると、このステアリングシャフト2の回動方向と回動トルクとをトルクセンサ7が検出し、この検出値に基づいて制御回路部30(図2参照)が電動モータの駆動操作量を演算する。
【0019】
この演算された駆動操作量に基づいて、インバータ40のパワースイッチング素子の動作により電動モータの各相に電力が供給されることで電動モータが駆動され、電動モータの出力軸は、ステアリングシャフト1の操作方向と同じ方向へ駆動するように回動される。出力軸の回動は、図示しないピニオンからギヤ10を介して図示しないラックへ伝達され、操舵補助が行われる。これらの動作は良く知られている。
【0020】
図2は、電子制御部9の回路構成を示す図である。尚、図2は、図1の電動パワーステアリング装置1における電子制御部(ECU)9に対応するもので、バッテリ20からの電子制御部(ECU)9への電源供給と、電動モータ部8による操舵力のアシスト、及び舵角制御に関係する要部を抽出して示している。
【0021】
電子制御部(ECU)9は、三相の巻き線組毎に後述する制御回路部30とインバー40、電源回路部50、電源コネクタ12を含む駆動系統を備えている。本実施形態では、2つの巻き線組を有する2系統駆動システムとした、いわゆる冗長系システムとして構成されており、1つの駆動系統に故障が生じで駆動が停止されても、正常状態である他の駆動系統によって、電動モータ部9の駆動を可能とすることができる。
【0022】
第1駆動系統として、第1電源コネクタ部12aと第1制御回路部30a、第1電源回路部50a、第1インバータ40a、第1巻き線組80aを少なくとも含んで構成されている。第2駆動系統として、第2電源コネクタ部12b、第2制御回路部30b、第2電源回路部50b、第2インバータ40a、第2巻き線組80aを少なくとも含んで構成されている。
【0023】
電子制御部(ECU)9は、主に部品実装基板に電子部品が実装されると共に、配線パターンが形成されて各回路が構成され、又は回路機能要素をパッケージ化した電子部品で構成されており、これらの部品実装基板、若しくはパッケージ化した電子部品は、モータ部側のハウジング8aと結合されたカバー9a(図1参照)内に収容されている。
【0024】
また、コネクタ部11も電子制御部(ECU)9の構成要素の1つとすることができる。コネクタ部11は、図示しないハーネスなどを介してバッテリ20からの電源供給や、トルクセンサ7からの検出値の入力、また他の制御装置と車両内ネットワーク通信(例えばCAN通信)を行う各端子を含むコネクタ口を有するコネクタ部を有している。
【0025】
このコネクタ部11(図1参照)は、カバー9aと共に、外装部材としての機能を有することできる。図2では電源供給に係るコネクタについて図示している。
【0026】
コネクタ部11は、バッテリ20からハーネスを介して電気接続する第1電源コネクタ12aと第2電源コネクタ12bを備えており、第1電源コネクタ12aは、第1電源正極側端子12a(+)、及び第1グランド側端子12a(-)を備えている。第2電源コネクタ12bは、第1電源コネクタ12aと同様に、第2電源正極側端子12b(+)、及び第2グランド側端子12b(-)を備えている。
【0027】
尚、本実施形態では、バッテリ20も第1電源コネクタ12aと接続する第1バッテリ20aと、第2電源コネクタ12bに接続される第2バッテリ20bとが車両に搭載されてる。また、第1バッテリ20aと第2バッテリ20bは、同じ電圧のバッテリとするが、互い異なる電圧のバッテリ、例えば、低電圧側としての12Vバッテリと高電圧側としての12V以上の例えば48V、またはそれ以上高電圧バッテリを適用することができる。
【0028】
第1電源正極側端子12a(+)は、第1電源ライン60aを介して第1電源回路部50a、及び制御回路部30bに電気的に接続され、これらに第1バッテリ20aから電力が供給されている。
【0029】
第1電源回路部50では、第1電源ライン60aが第1電源リレー61aに接続され、第1電源リレー61aは、電源平滑化回路、及びノイズ処理回路からなる第1電源処理回路62aと接続されている。そして、第1電源処理回路62aは、第1インバータ40aと接続されている。
【0030】
更に、電源リレー61aは、MOS-FET等のスイッチング素子やリレー部品などを備えており、後述する第1制御回路部30aからの出力信号に基づいて、第1バッテリ20aから第1インバータ40aへの電力の供給と遮断を制御している。
【0031】
第1電源処理回路62aの電源平滑化回路は、コンデンサ部品を主体とした回路であり、供給電力における電圧変動を抑制して安定した電力供給を行っている。また、ノイズ処理回路はコンデンサとリレー部品からなるLCフィルタが適用でき、供給電力に含まれるノイズ成分を低減、ないしカットする処理を行っている。
【0032】
第1インバータ40aは、スイッチング素子を有する3相ブリッジ回路として機能し、第1制御回路部30aからの駆動信号によって、第1巻き線組80aの各巻き線相への電力供給を制御する。
【0033】
第1インバータ40aの第1インバータグランドライン(負極側)42aには、電動モータ8における第1巻き線組80aの各相を介して、グランドに流れる電流を検出する第1シャント抵抗器43aが接続され、この第1シャント抵抗器43aは、グランドライン(負極側)63aと接続され第1グランド側端子12a(-)に通じている。
【0034】
第1グランド側端子12a(-)は、グランド側ライン(負極側)63aと接続されると共に、第1駆動系統と第2駆動系統のグランド配線が接続された共通グランド31に接続される。同様に、第2電源正極側端子12b(+)は、第2電源回路部50b、及び制御回路部30bに電気的に接続されて電力が供給される。
【0035】
第2電源回路部50bでは、第2電源ライン60bが第2電源リレー61bに接続され、第2電源リレー61bは、電源平滑化回路及びノイズ処理回路からなる第2電源処理回路62bと接続されている。そして、第2電源処理回路62bは、第2インバータ40bと接続されている。
【0036】
第2電源リレー61bは、MOS-FET等のスイッチング素子やリレー部品などから構成されており、後述する第2制御回路30bからの出力信号に基づいて、第2バッテリ20bから第2インバータ40bへの電力の供給と遮断を制御している。
【0037】
第2電源処理回路62bの電源平滑化回路、及びノイズ処理回路は、第1電源処理回路62aの構成、及びその機能を同一とすることができる。
【0038】
第2インバータ40bは、スイッチング素子を有する3相ブリッジ回路として機能し、第2制御回路部30bからの駆動信号によって第2巻き線組80bの各巻き線相への電力供給を制御している。
【0039】
第2インバータ40bの第2インバータグランドライン(負極側)42bには、電動モータ8における第2巻き線組80bの各相を介してグランドに流れる電流を検出する第2シャント抵抗器43bが接続され、第2シャント抵抗器43bは、グランドライン(負極側)63bと接続され第2グランド側端子12b(-)に通じている。
【0040】
第2グランド側端子12b(-)は、グランド側ライン(負極側)63bと接続されると共に、第1駆動系統と共通する共通グランド31に接続される。
【0041】
第1制御回路30aは、第1インバータ40aを制御するもので、第1マイクロコンピュータ(第1マイコン)32a、第1駆動回路(第1プリドライバ)33a、第1制御部側電源回路34a、第1電流検出回路35a、及びダイオードDaなどを備えている。
【0042】
第2制御回路30bは、第2インバータ40bを制御するもので、第2マイクロコンピュータ(第2マイコン)32b、第2駆動回路33b、第2制御部側電源回路34b、第2電流検出回路35b、及び第2ダイオードDbなどを備えている。
【0043】
また、第1制御回路部30aのグランド配線、及び、第2制御回路部30bのグランド配線は共通グランド31に接続されている。
【0044】
第1マイクロコンピュータ32a、及び第2マイクロコンピュータ32bは、相互に通信を行って自系統だけでなく他系統の故障や異常の情報を共有する構成とされている。
【0045】
第1駆動回路33aは、第1マイクロコンピュータ32aからの操作量信号に基づいて、第1インバータ40aのPWM(Pulse Width Modulation)駆動信号(ゲート信号)を出力し、第1インバータ40aを駆動している。
【0046】
第2駆動回路33bも第1駆動回路33aと同様の機能を備えており、第2マイクロコンピュータ32bからの操作量信号に基づいて、第2インバータ40bのPWM(Pulse Width Modulation)駆動信号(ゲート信号)を出力し、第2インバータ40bを駆動している。
【0047】
第1電流検出回路35a、及び第2電流検出回路35bは、比較的簡単な構成であり、増幅回路やバッファ回路を介さずに直接的に電流-電圧変換素子36a、36bを用いて電流(電流量または電流の方向)を検出するようになっている。
【0048】
第1制御部側電源回路34aには、ダイオードDaを介して第1バッテリ20aからの電源電圧(供給電力)が印加され、例えば5Vの第1内部電源電圧(Va)を生成して第1マイクロコンピュータ32a、第1駆動回路33a、及び第1電流検出回路35aにそれぞれに供給する。
【0049】
第1電流検出回路35aは、NPNトランジスタTraと抵抗器R2a、R3aで構成される抵抗分圧回路である。NPNトランジスタTraのコレクタは、抵抗器R2aを介して第1制御部側電源回路34aに接続され、第1電流検出回路35aは、電源電圧を第1内部電源電圧Vaとする。
【0050】
また、NPNトランジスタTraのベースが、第1マイクロコンピュータ32aのデジタル出力端子DOに接続されている。抵抗器R3aの一端は、第1マイクロコンピュータ32aのアナログ入力端子ADに接続されると共に、NPNトランジスタTraのエミッタに接続され、他端は第1電流-電圧変換素子36aの一端に接続される。
【0051】
この第1電流-電圧変換素子36aの一端から、抵抗器R3aを介して第1マイクロコンピュータ32aのアナログ入力端子ADに至る電流経路は、第1電流-電圧変換素子36aの電圧を、第1マイクロコンピュータ32aに伝達する第1伝達ラインとして機能する。
【0052】
第1電流検出回路35aは、第1マイクロコンピュータ32aの制御により、第1伝達ラインの電位を変化させる第1電位設定部としての機能を有する。すなわち、NPNトランジスタTraは、第1マイクロコンピュータ32aの制御により、通常時にはオフ状態、診断時にはオン状態に設定される。
【0053】
例えば、車両(EPS制御用ECU14)の起動時に、NPNトランジスタTraをオンさせる。そして、NPNトランジスタTraがオン状態になると、内部電源Vaから、抵抗器R2a、NPNトランジスタTra、抵抗器R3a及び抵抗器R1aを介して共通グランド31に電流が流れる。
【0054】
このときの抵抗R3aの一端の電圧が、第1マイクロコンピュータ32aに入力されてデジタルデータに変換される。内部電源Vaの電圧は、抵抗器R2a、R3a、R1aにより分圧した電圧が故障か否かの判断に用いられる。
【0055】
第1マイクロコンピュータ32aは、NPNトランジスタTraを制御することにより、電流-電圧変換素子36aからアナログ入力端子ADに入力される電流検出信号のレベルを変化させることができるように構成されている。そして、第1マイクロコンピュータ32aで電流検出信号のレベルを変化させた時に、所定の範囲(中間電位)であるか否かを確認し、逸脱した時にはインバータ40a、40bへ通電する電流の2系統合算値を低減する。
【0056】
一方、第2制御部側電源回路34bには、ダイオードDbを介して第2バッテリ20bから電源電圧が印加され、例えば5Vの第2内部電源電圧Vbを生成して、第2マイクロコンピュータ32b、第2駆動回路33b、及び第2電流検出回路35bにそれぞれ供給する。
【0057】
第2電流検出回路35bは、NPNトランジスタTrbと抵抗器R2b、R3bで構成される。NPNトランジスタTrbのコレクタと内部電源Vbとの間に抵抗器R2bが接続され、ベースがマイクロコンピュータ42bのデジタル出力端子DOに接続される。抵抗器R3bの一端はマイクロコンピュータ42bのアナログ入力端子ADに接続されるとともに、NPNトランジスタTrbのエミッタに接続され、他端は第2電流-電圧変換素子36bの一端に接続される。
【0058】
第2電流-電圧変換素子36bの一端から、抵抗器R3bを介して第2マイクロコンピュータ32bのアナログ入力端子ADに至る電流経路は、第2電流-電圧変換素子36bの電圧を、第2マイクロコンピュータ32bに伝達する第2伝達ラインとして機能する。
【0059】
第2電流検出回路35bは、第2マイクロコンピュータ32bの制御により、第2伝達ラインの電位を設定する第2電位設定部としての機能を有する。すなわち、NPNトランジスタTrbは、第2マイクロコンピュータ32bの制御により、通常時にはオフ状態、診断時にはオン状態に設定される。例えば、車両(EPS制御用ECU9)の起動時にNPNトランジスタTrbをオンさせる。
【0060】
NPNトランジスタTrbがオン状態になると、内部電源Vbから抵抗器R2b、NPNトランジスタTrb、抵抗器R3b及び抵抗器R1bを介して共通グランド31に電流が流れる。このときの抵抗R3bの一端の電圧が、第2マイクロコンピュータ32bに入力されてデジタルデータに変換される。内部電源Vbの電圧を、抵抗器R2b、R3b、R1bにより分圧した電圧が故障か否かの判断に用いられる。
【0061】
第2マイクロコンピュータ32bは、NPNトランジスタTrbを制御することにより、電流-電圧変換素子36bからアナログ入力端子ADに入力される電流検出信号のレベルを変化させることができるように構成されている。
【0062】
そして、第2マイクロコンピュータ32bで電流検出信号のレベルを変化させた時に、所定の範囲(中間電位)であるか否かを確認し、逸脱した時にはインバータ40a、40bへ通電する電流の2系統合算値を低減する。例えば、正常時のインバータ40a、40bのグランドと制御回路32a、32bの共通グランド31の電位差は、0.3V以下が好ましい。
【0063】
具体的には、内部電源Vaの電圧を5V、電流-電圧変換素子30a、30b(抵抗器R1a、R1b)の抵抗値として0.1Ω、抵抗器R2、R3の抵抗値をそれぞれ10kΩとすると、電流-電圧変換素子36a、36bに流れる回路電流は1Aであり、0.1Vの電圧が発生する。よって、異常判定の閾値は0Vより大きくなり、電流-電圧変換素子36a、36bの抵抗値が0.1Ωに対し、閾値は1Vとなるので、10Aの電流が制御回路32a、32bの共通グランドに流れることで異常判定が可能になる。
【0064】
1シャント方式の電流検出構成の場合、電流検出回路35a、35bへの入力電圧は、0.3V以下となる。電流検出回路35a、35bの耐圧(ESD保護ダイオードの順方向電圧)や、同相入力電圧は0.3V以下の場合が多いので、入力電圧を0.3V以下とすることで、誤作動や破壊を抑制できる。また、抵抗器R1a、R1bを設けることにより、アース電位が浮く分を補償できる。
【0065】
第1電流-電圧変換素子36aは、第1グランド側端子12a(-)と第1制御回路部30a、及び第2制御回路部30bの共通グランド31との間に設けられ、グランド(アース)電流を検出する。
【0066】
第2電流-電圧変換素子36bは、第2グランド側端子12b(-)と共通グランド31との間に設けられ、グランド(アース)電流を検出する。
【0067】
本実施形態では、第1電流-電圧変換素子36aは、並列接続された抵抗器R1aとコンデンサC1aで構成され、第2電流-電圧変換素子36bは、並列接続された抵抗器R1bとコンデンサC1bで構成される。抵抗器R1a、R1bは、検出したグランド(アース)電流を電圧に変換するものである。
【0068】
また、コンデンサC1a、C1bは、インバータ40a、40bのグランドと制御回路32a、32bの共通グランドの過渡的な電位差の発生を抑制するために働くもので、必要に応じて設ければよいものである。
【0069】
図3は、本実施形態における電動パワーステアリング装置1の電子制御部9の回路基板の構成について示している。
【0070】
回路基板100は、例えば、ガラスエポキシ基板等の樹脂基板からなる多層配線化された1枚のプリント基板であり、制御回路部40が構成される制御回路基板部300及び電源回路部50が構成される電源回路基板部500を有している。
【0071】
制御回路基板部300と電源回路基板部500の間には、これらの基板部(300、500)よりも配線層が少なく、薄型化されて折り曲げ可能なフレキシブル配線部200を有している。
【0072】
フレキシブル配線部200は、1つの表層配線層と内層配線層を有し、制御回路基板部300と電源回路基板部500の間での電源供給や各種信号の伝送を行っている。また、フレキシブル配線部200によって折り曲げられ、制御回路基板部300を電源回路基板部500に仮想回転軸線Y方向に重なるように配置することが可能であり、これによって、電動駆動装置の外形サイズの小型化にも寄与している。
【0073】
制御回路基板部300には、冗長系を構成する2個のマイクロコンピュータ32a、32bや、駆動回路としてのプリドライバ素子33a、33b等が実装されている。また、コネクタ部11は、ネジ穴310を挿通したネジにより制御回路基板部300と固定されている。
【0074】
電源回路基板部500は、ハウジング8aのモータ回転軸方向に位置する端面8bに固定されており、第1電源処理回路部62a、第2電源処理回路部62b、電源リレー61a、61b等が形成される他、コンデンサC1aなどが実装されている。
【0075】
第1電源処理回路部62aの電源平滑化回路として利用される複数の平滑用コンデンサ510a、及び第2電源処理回路部62bの電源平滑化回路として利用される複数の平滑用コンデンサ510bがそれぞれ列をなして実装されている。
【0076】
平滑用コンデンサ510a、510bよりも制御回路基板部300側には、ノイズ処理回路として使用される第1電源処理回路部62a側のコイル520aとフィルタ用コンデンサ530a、及び第2電源処理回路部62b側のコイル520bとフィルタ用コンデンサ530bが実装されている。
【0077】
また、フレキシブル部200とフィルタ用コンデンサ530a、フィルタ用コンデンサ530bのそれぞれの間の実装面には、第1電源リレー61a、第1電源リレー61aが実装されている。
【0078】
第1電源ライン60a、及び第1グランドライン63aと、第2電源ライン60a、及び第2グランドライン63bは、それぞれ平板上のバスバー部材であり、電源回路基板部500の配線ランド部に半田付けされた電源接続端子60P(60P1、60P2)、グランド接続端子63G(63G1、63G2)と、それぞれ対応して溶接、又は半田で電気的に接続されている。
【0079】
第1インバータ40a、第2インバータ40bはパワモジュール化され、電源回路基板部500と電動モータとの間に放熱可能に配置され、電源回路基板部500と電気的に接続される。
【0080】
コネクタ部11から受電した電源電力は、電源回路基板部500、及びフレキシブル配線部200を介して、制御回路基板部300側に供給されるとともに、電源回路基板部500から第1インバータ40a、第2インバータ40bに供給される。制御回路基板部300側のグランド配線は、後述する共通グランド31と接続される。
【0081】
図4は、図2に示した電子制御部9におけるコネクタ部11の構成例を示している。コネクタ部11は、合成樹脂で形成されており、第1電源コネクタ12aと第2電源コネクタ12b、及びこれらと一体的に形成されるコネクタベース部14(14a、14b)を有している。
【0082】
第1電源正極側端子12a(+)と第1グランド側端子12a(-)、及び第2電源正極側端子12b(+)と第2グランド側端子12b(-)は、平板状のバスバー配線として形成されており、これらの一部はコネクタベース部14の内部に樹脂封止された状態で配線されている。
【0083】
図4では、第1電源コネクタ12aと第2電源コネクタ12bの各グランド側のコネクタ口13a、13bを図示している。また、この他に共通コネクタベース15には、ステアリングシャフト2の回動方向(操舵角)や、回動トルク等を検出する各センサからの検出信号や、他の制御装置との通信に使用する信号端子37、及び信号コネクタを有している。共通コネクタ―ス15とコネクタベース部14a、14bとは、直交する形態で、合成樹脂によって一体的に形成されている。
【0084】
第1コネクタ口13aの内部空間部14aには、第1グランド側端子12a(-)が共通コネクタベース15から延びており、第1コネクタ口13aと相手側コネクタ口とが結合され、第1グランド側端子12a(-)が相手側コネクタの通電端子と接続されて電気的に導通する。
【0085】
第2コネクタ口13bの内部空間部14bには、第2グランド側端子12b(-)が共通コネクタベース15から延びており、第2コネクタ口13bと相手側コネクタ口とが結合され、第2グランド側端子12b(-)が相手側コネクタの通電端子と接続されて電気的に導通する。
【0086】
第1グランド側端子12a(-)は、第1コネクタ口13aが設けられた面とは反対側となる共通コネクタベース15の配線面16から引き出されており、グランドライン(負極側)63aとなって、第1電源回路部50aが形成された回路基板に電気的に接続される構成となっている。
【0087】
第1グランド側端子12a(-)は、共通コネクタベース15の内部、または、グランドライン(負極側)63a側で分岐し、共通コネクタベース15から露出した露出部位にて、シャント抵抗器等の抵抗器R1aと溶接や半田付け等で結合される。抵抗器R1aは、配線面16の外側に露出した状態で設けられており、この部分で第1グランド側端子12a(-)と、電気的、機械的に接続されている。ここで、共通コネクタベース15の配線面16と抵抗器R1aの間には、所定長さの隙間Gが形成されており、抵抗器R1aの放熱を図るように構成されている。
【0088】
第2グランド側端子12b(-)は、第2コネクタ口13bが設けられた面とは反対側となる共通コネクタベース15の配線面16から引き出されており、グランドライン(負極側)63bとなって、第2電源回路部50bが形成された回路基板に電気的に接続される構成となっている。
【0089】
第2グランド側端子12b(-)は、共通コネクタベース15の内部、または、グランドライン(負極側)63b側で分岐し、共通コネクタベース15から露出した露出部位にて、シャント抵抗器等の抵抗器R1bと溶接や半田付け等で結合される。抵抗器R1bは、配線面16の外側に露出した状態で設けられており、この部分で第2グランド側端子12b(-)と、電気的、機械的に接続されている。ここでも、共通コネクタベース15の配線面16と抵抗器R1bの間には、所定長さの隙間Gが形成されており、抵抗器R1bの放熱を図るように構成されている。
【0090】
共通グランド31は、平板状のバスバー配線として形成されており、中央部付近の共通グランド端子31Pを有する部位が、共通コネクタベース15内にモールドされており、更に共通グランド端子31Pの先端側、及び抵抗器R1a及び抵抗器R1bと接続される端部接続端子31Rは、共通コネクタベース15から露出した状態とされている。
【0091】
抵抗器R1aと共通グランド31の端部接続端子31Rは、共通コネクタベース15から露出した露出部位にて、溶接や半田付け等で結合される。ここで、抵抗器R1aは、その少なくとも一部を共通コネクタベース15にモールドさせて一体化してもよい。
【0092】
同様に、抵抗器R1bと共通グランド31端部接続端子31Rは、共通コネクタベース15から露出した露出部位にて、溶接や半田付け等で結合される。ここで、抵抗器R1bは、その少なくとも一部を共通コネクタベース15にモールドさせて一体化してもよい。
【0093】
共通グランド端子31Pは、共通グランド31と第1制御回路部30a、及び第2制御回路部30bが形成された回路基板とを接続する端子であり、共通コネクタベース15内から露出し、回路基板側の各制御回路部のグランド配線と電気接続される。
【0094】
このように、この実施形態においては、共通コネクタベース15の配線面16に沿って、第1グランド側端子12a(-)、抵抗器R1a、共通グランド31、抵抗器R1b、及び第2グランド側端子12b(-)の順序で配置され、無駄な空間をできるだけ廃止してスペースの有効利用を図っている。
【0095】
また、共通グランド端子31Pは、第1駆動系統と第2駆動系統とでそれぞれ個別に接続するように設けることができる。または、第1制御回路部30a及び第2制御回路部30bのそれぞれのグランド配線を基板配線上で接続して基板側の共通グランド配線を形成し、この共通グランド配線と共通グランド端子31Pを接続することができる。
【0096】
また、1つの駆動系統グランド、もしくは上述した基板側の共通グランド配線に対して、1本、または複数本の共通グランド端子31Pで接続することも可能である。
【0097】
次に、コネクタ部の別の変形例を図5に基づき説明する。図5に示すように、共通グランド31は、抵抗器R1との接続部位だけでなく、配線部位を含めて共通コネクタベース15の表面に露出するように設けることも可能である。
【0098】
図5において、第1グランド側端子12a(-)は、第1コネクタ口13aが設けられた反対側の面となる共通コネクタベース15の配線面16から引き出されており、グランドライン(負極側)63aとなって、第1電源回路部50aが形成された回路基板に電気的に接続される。第1グランド側端子12a(-)は、共通コネクタベース15の内部または、第1グランドライン(負極側)63a側で分岐し、シャント抵抗器などからなる抵抗器R1aと溶接や半田付け等で結合される。ここでも、共通コネクタベース15の配線面16と抵抗器R1aの間には、所定長さの隙間Gが形成されており、抵抗器R1bの放熱を図るように構成されている。
【0099】
また、第2グランド側端子12b(-)は、第2コネクタ口13bが設けられた反対側の面となる共通コネクタベース15の配線面16から引き出されており、グランドライン(負極側)63bとなって、第2電源回路部50bが形成された回路基板に電気的に接続される。第2グランド側端子12b(-)は、共通コネクタベース15の内部または、第2グランドライン(負極側)63b側で分岐し、シャント抵抗器などからなる抵抗器R1bと溶接や半田付け等で結合される。ここでも、共通コネクタベース15の配線面16と抵抗器R1bの間には、所定長さの隙間Gが形成されており、抵抗器R1bの放熱を図るように構成されている。
【0100】
共通グランド31の全ては、共通コネクタベース15の配線面16から露出されて配設されており、端部接続端子31Rは、抵抗器R1a、及び抵抗器R1bと接続されている。したがって、この変形例においても、共通コネクタベース15の配線面16に沿って、第1グランド側端子12a(-)、抵抗器R1a、共通グランド31、抵抗器R1b、及び第2グランド側端子12b(-)の順序で配置され、無駄な空間をできるだけ廃止してスペースの有効利用を図っている。
【0101】
また、図5に示すように共通グランド31を全体的に露出させるほかに、配線部位の一部をモールドさせて部分的に露出させることも可能である。更に、モールド形成に限らず、他の方法で固定されていてもよく、ネジや保持部材を用いて機械的な固定をしてもよく、または、接着や溶着などによる固定をしてもよい。
【0102】
コネクタ部11は、電動モータの部の回転軸方向に配置されるため、コネクタベース部15の配線面16側は、電子制御部9がカバーによって収容される収容空間側に位置することになる。
【0103】
また、共通コネクタベース15の一方の面に対して、第1グランド側端子12a(-)と第2グランド側端子12b(-)は直交する方向に延びている。同様に、共通コネクタベース15の他方の面に対して、第1グランドライン63a、第2グランドライン63b、共通グランド端子31P、信号端子37等も直交する方向に延びている。したがって、電気的な接続を行う場合、一方向から取付ができ、作業性が良くなっている。
【0104】
尚、本実施形態では、コネクタベース15に共通グランド31とともにこれと接続する抵抗器R1(R1a、R1b)を設けたが、変形例として他の抵抗器を設けることができる。例えば、各インバータ40の各相からインバータグランドライン42に流れる電流を検出する前述したシャント抵抗43a、43bを設けることができる。
【0105】
次に、フレキシブル配線部200の構成について説明する。図6図7に示す第2の実施形態では、第1実施形態に加え、フレキシブル配線部200を介して、電源回路基板部500側から制御回路基板部300への電源供給経路を追加しているものである。
【0106】
図6は、回路基板100Zの表層配線を示しており、フレキシブル部200Zで折り曲げたときの折り曲げ外側面に相当し、配線層はフレキシブル部200Z、電源回路基板部500側、制御回路基板部300で、同一平面(いわゆる、面一である)に形成されている。
【0107】
フレキシブル部200Zでは、電源回路基板部500Zと制御回路基板部300Z間を直線状に複数の各種の信号配線211Zが形成されている。
【0108】
各種に信号配線211Zは、電動モータの回転軸の回転状態を検出す回転センサの検出信号、コネクタを介して伝達されるステアリングシャフトのトルク検出信号、舵角検出信号などの配線、駆動回路(プリドライバ回路)から出力されてインバータを駆動制御する駆動信号などの信号配線として形成されている。
【0109】
更に、信号配線211Zと並行するように配線された第1制御回路部に電源を供給する第1正極配線212Zaと第2制御回路部に電源を供給する第2正極配線212Zbを有している。
【0110】
図7は、図6に図示す回路基板100Zの内層配線を示している。第1正極配線212Zaと第2正極配線212Zbは、内層配線にも形成されており、表層の第1正極配線212Zaと第2正極配線212Zbとは、それぞれスルーホールで電気的に接続され、配線パターンが配線層の積層方向で重なるように配線されている。
【0111】
このように配線層を2層化することで、一層当たりの配線幅の拡大を抑制しつつ配線面積を拡大し、フレキシブル200Zの折り曲げ変形性の向上を図りつつ、バッテリ電圧の供給を可能としてる。
【0112】
内層配線において、第1正極配線212Zaと第2正極配線212Zbの間に位置するように、中央寄りに共通グランド配線213Zが配線されている。共通グランド配線213Zは、電源回路基板部500と制御回路基板部300にも接続するように形成され、電源回路基板部500では、電動モータの回転軸の回転状態を検出す回転センサのグランド端子と接続されるようにグランド配線パターン214Zが形成されている。
【0113】
また、電源回路基板部500では、第1インバータ(40a)のグランド配線となる第1インバータグランドパターン215Zaが配線され、第1グランドスルーホール217aを介して第1グランド側端子12a(-)に接続されている。同様に、第2インバータ(40b)のグランド配線となる第2インバータグランドパターン215Zbが配線され、第2グランドスルーホール217Zbを介して第2グランド側端子12b(-)に接続されている。
【0114】
制御回路基板部300では、第1制御回路部(30a)と第2制御回路部(30b)の各グランド配線や電子部品のグランド端子が共通グランド配線213Zと接続される。共通グランド配線213Zは、共通グランド端子(31P)と接続され、共通コネクタベース15に形成された共通グランド31と接続されている。
【0115】
電源回路基板部500において、第1正極配線212Zaは、正極側スルーホール216Zaを経由して第1電源正極側端子12a(+)と接続され、第2正極配線212Zbは、正極側スルーホール216Zbを経由して第2電源正極側端子12b(+)と接続されている。
【0116】
第1正極配線212Zaは、第1インバータへ40aに電源電力を供給し、第2正極配線212Zbは、第2インバータへ40aに電源電力を供給している。また、第1正極配線212Zaと第2正極配線212Zbは、電源回路基板部500で表層と内層に分岐している。
【0117】
以上のように第2実施例では、インバータのグランドと制御回路部のグランドがコネクタ部11で分岐するため、1つの駆動系統のグランドラインに断線などの異常が生じた場合に、異常系統側の電力が正常系統側に流れ込んでも、コネクタ11側の共通グランドを経由するので、回路基板の配線パターンの熱負荷の増加を抑制することができる。また、共通グランドをバスバー化することで発熱量を低減することができる。
【0118】
前述した夫々の実施形態では、コネクタ部11(共通コネクタベース15)に共通グランド31を設けることで、コネクタ口から共通グランドまでの各系統グランド配線距離が短縮し、グランド配線インピーダンスの増加を抑制でき、より基準グランド電位(例えば車両グランド電位)、または、車両やステアリング装置に設置されたセンサ類のグランド電位、ないし、他の制御装置のグランド電位の電位差を低減させることができる。
【0119】
また、他の効果として以下の少なくとも1つの効果を奏することも期待できる。
【0120】
1つの効果として、電流を検出するに使用される抵抗体としての各シャント抵抗43a、43bをコネクタ部11(コネクタベース15)に共通グランド31を設けることで、比較的配線幅の太いバスバー配線に接続可能であり、各シャント抵抗43a、43bの発熱をバスバー側に放熱させること可能となり、放熱性が向上させることができる。これにより、劣化や抵抗値特性の経時的変化を抑制することができる。
【0121】
また、モータの駆動電流の大電流化に適用することが可能であり、普通乗用車よりも出力の高いモータを必要とする大型トラックなどに提供されるステアリング装置の制御装置への適用を可能とすることができる。
【0122】
1つの効果として、コネクタ部11(コネクタベース15)に共通グランド31を設けることで、共通グランドをバスバー化することが可能となり、コネクタ異常等によりグランド配線の異常時に発生しやすい回路基板側(例えば、第1電源回路部50aや第2電源回路部50bが形成された回路基板、ないし、第1制御回路部30a及び第2制御回路部30bが形成された回路基板)での共通グランドを含む配線の熱負荷の増加を抑制することができる。
【0123】
また、これにより、回路基板での電源ないしグランド配線の拡大、例えば幅寸法や厚さ寸法の拡大を抑制し、回路基板の小型化に貢献することも期待できる。
【0124】
回路基板の小型について、このほか、配線平面領域(配線面積)の低減の他、多層配線基板でのグランド配線層の低減による基板の薄型化を図ることで、小型化に貢献することができる。
【0125】
また、他の効果として、抵抗器R1、及び共通グランド31の配線領域分に他の電子部品の実装を行うことで回路基板の大型化を抑制できる効果を有し、結果的に回路基板の小型化に貢献できる。
【0126】
また、本実施では、運転者のステアリングホィールを操作する操舵力に対して補助操舵力を与える電動パワーステアリング装置を例に説明を行ったが、電動モータを動力源として、運転者のステアリングホィールを操作しない状態で自動的に操舵力を付与して操舵を行う電動ステアリング装置、もしくは自動操舵機能を有するステアリング装置に適用することも可能である。
【0127】
以上に説明した通り本発明では、第1巻き線と第2巻き線を有するモータ部を有する電動駆動装置に適用される制御装置において、第1巻き線へ供給する電力を制御する第1制御回路部、及び第1駆動回路を有する第1駆動系統と、第2巻き線へ供給する電力を制御する第2制御回路部、及び第2駆動回路を有する第2駆動系統と、を備え、第1制御回路部と第2制御回路部の互いのグランド配線が接続された共通グランドと、第1駆動系統への電源供給に利用される第1グランド側端子を有する第1電源コネクタと、第2駆動系統への電源供給に利用される第2グランド側端子を有する第2電源コネクタとを少なくも有するコネクタ部と、共通グランドを介して第1グランドコネクタ端子へ流れるグランド電流を検出する第1抵抗体と、共通ランドを介して第2グランドコネクタ端子へ流れるグランド電流を検出する第2抵抗体と、を備え、共通グランドに第1抵抗体と第2抵抗体が電気的に接続されて、コネクタ部に配置されている。
【0128】
これによれば、共通グランドが回路基板よりもコネクタに近接した状態で配置されるので、コネクタ口から共通グランドまでの各系統グランド配線距離が短縮され、グランド配線のインピーダンスの増加を抑制でき、基準グランド電位(例えば車両グランド電位)、又は車両やステアリング装置に設置されたセンサ類のグランド電位、乃至は他の制御装置のグランド電位との電位差を低減させることができる。
【0129】
尚、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0130】
8…電動モータ部、9…電子制御部、11…コネクタ部、12a(-)…第1グランド側端子、12b(-)…、第2グランド側端子、14…コネクタベース部、15…共通コネクタベース、31…共通グランド、R1(R1a、R1b)…抵抗器、60P(60P1、60P2)…電源接続端子、63G(63G1、63G2)…グランド接続端子、300…制御回路基板部、500…電源回路基板部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7