(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164442
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】印刷装置および印刷方法
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20241120BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
G03G21/00 388
G03G15/00 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079916
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【弁理士】
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】瀧沢 英俊
【テーマコード(参考)】
2H270
【Fターム(参考)】
2H270KA32
2H270LA14
2H270LA80
2H270LD03
2H270LD08
2H270LD14
2H270LD15
2H270MA14
2H270MA18
2H270MB14
2H270MB16
2H270MB29
2H270MB36
2H270MB55
2H270MC01
2H270MH01
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC08
(57)【要約】
【課題】高画質が求められる特定のコンテンツについて印刷ジョブ毎に画質調整を行う一方で、その画質調整が無駄にならないように考慮された手法を提供する。
【解決手段】印刷を行う印刷部と、印刷のジョブに係る一連の操作画面を提供してジョブに係るユーザの操作を受け付ける操作部と、ユーザが本人であることの認証を行う認証処理部と、印刷部、操作部および認証処理部を制御する制御部と、を備え、制御部は、ジョブに係る操作を受け付けた後そのジョブに係る印刷の開始前に画質調整を印刷部に実行させ、かつ認証処理部による個人認証が成功したら画質調整を開始するように制御する印刷装置。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷を行う印刷部と、
前記印刷のジョブに係る一連の操作画面を提供して前記ジョブに係るユーザの操作を受け付ける操作部と、
前記ユーザが本人であることの認証を行う認証処理部と、
前記印刷部、前記操作部および前記認証処理部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記ジョブに係る操作を受け付けた後そのジョブに係る印刷の開始前に画質調整を前記印刷部に実行させ、かつ前記認証処理部による個人認証が成功したら前記画質調整を開始するように制御する印刷装置。
【請求項2】
前記制御部は、前回の画質調整から所定の第1期間が経過するまでは、前記個人認証が成功しても前記画質調整を開始させないようにする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記個人認証の成功を契機とした前記画質調整の他に、前回の画質調整から予め定められた時間的または印刷枚数的な間隔を経たことを契機として前記画質調整を実行する請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記制御部は、前回の画質調整から実行した印刷ジョブの数が所定のジョブ数を下回っている場合は、前記第1期間をより長い第2期間に延長する請求項2に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記制御部は、現在が一日の時間帯のうち繁忙期として定められた時間帯でない場合は、前記第1期間をより長い第3期間に延長する請求項2に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記制御部は、各週、各月、各年のうち繁忙期として定められた期間でない場合は、前記第1期間をより長い第4期間に延長する請求項2に記載の印刷装置。
【請求項7】
操作部を用いて印刷のジョブに係る一連の操作画面を提供して前記ジョブに係るユーザの操作を受け付けるステップと、
前記ユーザが本人であることを認証する個人認証を行うステップと、
前記ジョブに係る操作を受け付けた後そのジョブに係る印刷の開始前に印刷部を用いて画質調整を実行するステップと、
を印刷装置の制御部が実行し、前記制御部は、前記個人認証が成功したら前記画質調整を開始するように制御する印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷に係るジョブを提供する際に個人認証を行い、ジョブに係る操作を受け付けた後、そのジョブに係る印刷を開始する前に自律的な画質調整を行う印刷装置および印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置では、印刷した画像の明部(ハイライト部)から暗部(シャドー部)までの階調を忠実に再現する階調再現性が求められ、特にその基礎となる暗部の画像濃度を一定に保つ濃度再現性が求められる。イエロー、マゼンタ、シアンの原色を用いたフルカラー印刷の場合、原色の階調再現性が色再現性にも影響する。画像の明部から暗部までの各段階の濃度、即ち階調特性を一定に保つために、所定のタイミングで自律的に画像濃度補正を行うものが知られている。ここで、画像濃度補正は、複数濃度の基準パターン像(パッチ)を作成してパッチの濃度を検出し、検出された濃度に基づいて印刷を行う際の画像形成条件および明部から暗部までの各段階の濃度を補正する処理である。
【0003】
このような濃度補正は、パッチを実際に作成して濃度を検出するので実行に時間を要する。またパッチを作成するためにトナーやインクが消費される。画像の階調特性を一定に保つ観点からは画像濃度補正を頻繁に実行することが好ましいが、画像濃度補正を実行する度に時間を要し、またトナーやインクが消費される。そこで、画像濃度補正による無駄なトナーの消費を抑えることが可能な方法として次の方法が提案されている。画像濃度補正を実行した場合は、画像濃度補正の設定値をメモリに格納する。次に、画像濃度補正を実行した際にその設定した今回値と、メモリに格納されている前回値とを比較し、その差分値を計算する。差分値/実行枚数テーブルを参照し、この差分値に基づいて次回の実行タイミングを算出する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一方、印刷ジョブの対象となるコンテンツの中には、通常の印刷よりも高い画質が求められるものがある。その代表例として、行政機関が発行する証明書類(例えば、住民票や戸籍謄本など)が挙げられる。高い画質が求められる理由は、それらの証明書類の背景に細緻な文様からなる地紋が配されるためである。背景に地紋が配されるのは、紙面の文字を消したり修正しようとしたりするとその痕跡が目立つようにして改ざんを抑止するためである。あるいは、偽造や複写の抑止を目的としている。そのような、通常よりも高い画質が求められるコンテンツの印刷ジョブを実行する場合に、印刷ジョブ毎に上述の画像濃度補正のような画質調整を行うことが考えられる。なお、地紋が配された書類の印刷は、行政機関が発行する証明書類に限らない。チケット、伝票、その他有価証券類の原本を印刷する場合にも地紋が配されるものがある。我々の身近で証明書類やチケット等、伝票、その他有価証券類の原本の印刷を行う印刷装置の代表例の一つに、コンビニエンスストア等の公共の場に設置されたマルチコピー機が挙げられる。
【0005】
マルチコピー機は、不特定多数のユーザが上述した証明書類やチケット、伝票、その他有価証券類等の原本印刷を確実に行えるように、一つ一つの操作手順に係る説明を表示する複数の操作画面を手順に沿って表示するようにしたものが多い。操作に不慣れなために、意図しない設定で印刷されたことを事後的に気付くよりは、設定の操作に時間を要しても一つ一つの設定を確認しながら操作手順を踏む方がよいからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述のようなマルチコピー機での証明書類等の印刷は、設定操作に時間を要する。印刷ジョブ毎に画質調整を行うようにすると、そのためにさらに時間を要することになる。そこで、操作画面上で証明書類の印刷が選択されたことを契機に、設定の操作を受け付ける処理と並行して画質調整を開始する手法が考えられる。そうすることによって、設定の終了後に画質調整を開始するよりも印刷の開始を早めることができる。ただし、この手法にも問題がある。ユーザが設定の操作を途中でやめてしまった場合でも、既に画質調整が開始されており、その終了までに費やされる時間やトナーあるいはインクが無駄になってしまう。特定のコンテンツに対して高画質の印刷を行う一方で、画質調整が無駄になることを避けることは容易でない。そこで発明者は、証明書類等の印刷では設定操作に個人認証(本人認証とも呼ばれる)が含まれることが多い点に着目し、その問題を解決する手法を見出した。
本開示は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、高画質が求められる特定のコンテンツについて印刷ジョブ毎に画質調整を行う一方で、その画質調整が無駄にならないように考慮された手法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、印刷を行う印刷部と、前記印刷のジョブに係る一連の操作画面を提供して前記ジョブに係るユーザの操作を受け付ける操作部と、前記ユーザが本人であることの認証を行う認証処理部と、前記印刷部、前記操作部および前記認証処理部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記ジョブに係る操作を受け付けた後そのジョブに係る印刷の開始前に画質調整を前記印刷部に実行させ、かつ前記認証処理部による個人認証が成功したら前記画質調整を開始するように制御する印刷装置を提供する。
【0009】
また、異なる観点から本開示は、印刷のジョブに係る一連の操作画面を提供して前記ジョブに係るユーザの操作を受け付けるステップと、前記ユーザが本人であることを認証する個人認証を行うステップと、前記ジョブに係る操作を受け付けた後そのジョブに係る印刷の開始前に画質調整を前記印刷部に実行させるステップと、を印刷装置の制御部が実行し、前記制御部は、前記個人認証が成功したら前記画質調整を開始するように制御する印刷方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本開示による印刷装置において、制御部は、ジョブに係る操作を受け付けた後そのジョブに係る印刷の開始前に画質調整を印刷部に実行させ、かつ認証処理部による個人認証が成功したら画質調整を開始するように制御するので、印刷ジョブ開始の指示を受け付ける前に画質調整を開始することで印刷ジョブ終了までの時間を短縮できる一方、印刷ジョブ開始までの一連の操作の途中で操作が中止された場合の無駄な画質調整を抑制できる。
本開示による印刷方法も同様の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】この実施形態によるマルチコピー機の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示すマルチコピー機の外観を示す外観図である。
【
図3】本開示の実施形態において、証明書の交付を受けるためにユーザが行う一連の操作画面の一例を示す説明図である。
【
図4】
図3に続き、証明書の交付を受けるための操作画面の一例を示す説明図である。
【
図5】
図4に続き、証明書の交付を受けるための操作画面の一例を示す説明図である。
【
図6】
図5に続き、証明書の交付を受けるための操作画面の一例を示す説明図である。
【
図7】
図6に続き、証明書の交付を受けるための操作画面の一例を示す説明図である。
【
図8】
図7に続き、証明書の交付を受けるための操作画面の一例を示す説明図である。
【
図9】
図8に続き、証明書の交付を受けるための操作画面の一例を示す説明図である。
【
図10】本開示の実施形態において、証明書の交付を行う際に制御部が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【
図11】
図10に示すフローチャートのうち画質調整の時期調整および実行要否判定の処理の詳細を示す第1のフローチャートである。
【
図12】
図11に続き、画質調整の時期調整および実行要否判定の処理の詳細を示す第1のフローチャートである。
【
図13】
図12に続き、画質調整の時期調整および実行要否判定の処理の詳細を示す第1のフローチャートである。
【
図14】
図10に示すフローチャートのうち証明書の印刷処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて本開示をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、本開示を限定するものと解されるべきではない。
≪マルチコピー機の構成≫
図1は、本開示の一実施形態としてマルチコピー機の構成例を示す説明図である。
図2は、
図1に示すマルチコピー機の外観を示す外観図である。
図1および
図2に示すように、この実施形態によるマルチコピー機は、外観上、印刷機本体としての複合機100とアプリケーションボックス200からなる。複合機100は、制御部11、メモリ12、印刷部14、スキャナ部15、通信インターフェース回路16および操作部19を備える。アプリケーションボックス200は、
図1に示すように端末操作部210、カード読取回路220、金銭処理機230および領収証プリンタ240を備える。
【0013】
複合機100の制御部11は、プロセッサを中心に構成される。制御部11のプロセッサはメモリ12に予め格納された制御プログラムを実行してマルチコピー機としての制御を行う。なお、
図1に示す構成は、制御部11がアプリケーションボックス200の各部の制御も行うものであるが、アプリケーションボックス200がプロセッサを備え、制御部11と共同してマルチコピー機としての処理を実行する態様もある。マルチコピーシステムとしての構成をとる態様であるが、それも本開示の範囲に含まれる。また、
図1に示す端末操作部210が操作部19に統合され、領収証プリンタ240が印刷部14に統合され、複合機100がカード読取回路220、金銭処理機230を備えて外観上一体の態様も考えら、それも本開示の範囲に含まれる。即ち、本開示における印刷装置は、複合機100とアプリケーションボックス200が外観上別の態様を包含する、さらに、複合機100とアプリケーションボックス200が制御的にも独立性を有して協働する態様も包含する。
【0014】
プロセッサが実行する処理の観点から、制御部11は、操作部19の表示と操作の検出に係る処理を行う操作制御部11Uを含む。また、印刷部14による印刷ジョブ、スキャナ部15を用いて原稿を読み取るスキャナジョブ、および原稿の読取と印刷を行うコピージョブなどジョブの実行を制御するジョブ制御部11Jを含む。このように、プロセッサが制御プログラムを実行することによりソフトウェア資源とハードウェア資源とが協働してマルチコピー機としての機能が実現される。
【0015】
メモリ12は、例えば高速の読み書きが可能なDRAMとフラッシュメモリ等の書き換え可能な不揮発性メモリを組み合わせて構成され、制御プログラムのほか制御部11の処理に用いられるデータや印刷に係るデータを格納する。通信インターフェース回路16は、ネットワークを介して外部の機器とデータの通信を行うためのインターフェースである。証明書の印刷に関していえば、証明書を格納するサーバにアクセスして印刷すべき証明書のデータをダウンロードするために使用される。印刷部14は、所謂プリントエンジンであってジョブ制御部11Jの制御下でダウンロードされた証明書のデータから証明書の画像を生成して用紙に印刷する。この実施形態において、印刷部14は、電子写真方式のプリントエンジンであって、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応する感光体を備える。さらに、各感光体の表面に静電潜像を形成するための帯電装置、光走査装置、各色トナーを用いて現像を行う現像装置、各色トナー像を転写ベルトに転写させる転写装置を備える。転写ベルトには、各感光体の表面に形成されたトナー像が転写されて重ね合わされる。制御部11は、電子写真プロセスに係る帯電装置の帯電バイアス電圧、現像装置の現像バイアス電圧および転写装置の転写バイアス電圧をそれぞれ制御する。スキャナ部15は、ジョブ制御部11Jの制御部下で、原稿を走査して読み取り画像データを生成する。その画像データは、メモリ12に格納され、印刷部14で印刷され、あるいは通信インターフェース回路16を介して外部の機器へ送られる。認証処理部17は、カード読取回路220で読み取ったカードを用いてユーザの認証処理を行うユニットである。
図1において、認証処理部17は、制御部11と別に認証処理を行うユニット化された回路としているが、制御部11に統合されてもよい。操作部19は、液晶表示装置などの表示デバイスとタッチパネル等の操作検出デバイスを備える。操作制御部11Uの制御下でユーザに情報を提供すると共にユーザの操作を受付ける。
【0016】
アプリケーションボックス200の端末操作部210は、表示デバイスと操作検出デバイスを備えるタッチパネルディスプレイである。操作部19と同様、操作制御部11Uの制御下でユーザに情報を提供すると共にユーザの操作を受付ける。カード読取回路220は、近距離無線通信(NFC)による通信を行う回路である。カード読取部221にNFCの読み取りに対応したカードが置かれた状態でそのカードに格納されているデータを読み取る。金銭処理機230は、この実施形態において現金決済に係る金銭の受領、返却およびつり銭の払い出しおよび集計を行う。
図2に示すように、アプリケーションボックス200の表面には、金銭処理機230に関連する硬貨投入口231、紙幣投入口232および釣銭取出口233が配置されている。金銭処理機230の本体は、アプリケーションボックス200に収容されている。制御部11は、金銭処理機230を制御して、複合機100が提供するサービスの課金を処理する。制御部11は、領収証プリンタ240を制御して、提供したサービスに係る領収証を発行する。この実施形態における領収証プリンタ240は、公知技術である感熱式のプリンタである。アプリケーションボックス200の表面には、領収証プリンタ240から出力される領収証をユーザが取り出す領収証取出口241が配置されている。
【0017】
≪証明書の印刷に係る操作≫
続いて、印刷ジョブの前に原則として必ず画質調整を実行するサービスの一例として、行政機関の証明書の交付に係る印刷を行うための操作の一例について述べる。
図3~
図9は、行政機関の証明書交付サービスを受けるためにユーザが行う一連の操作の代表的な画面を順序に沿って示すものである。
【0018】
図3に示すサービス選択画面211は、操作制御部11Uとしての制御部11が端末操作部210に表示させる画面の一つである。操作制御部11Uは、サービス選択画面211で提供すべきサービスのユーザによる選択を受け付ける。この実施形態では、
図3に示す、[行政サービス]キー21が操作されるものとする。その操作に応答して、操作制御部11Uは、端末操作部210の画面を
図4に示すカード読取指示画面213に切り替える。カード読取指示画面213は、イラストを用いて個人認証用の電子証明書データを格納するカードを置くべき場所、即ちカード読取部221の場所をユーザに示すものである。この実施形態において、個人認証用のカードは、NFC読取可能なカードである。
図4~
図6は、個人認証に係る操作画面である。ユーザは、カード読取指示画面213にイラストで示されたカード読取部221の場所にカードを置き、カード読取指示画面213の[次へ]キー23を操作するものとする。
【0019】
操作制御部11Uは、ユーザによる[次へ]キー23の操作を認識すると、画面を
図5に示す暗証番号入力画面214に切り替える。そして、ユーザによる暗証番号の入力を待つ。暗証番号は、カード読取部221に置かれた個人認証用の電子証明書に紐付いた暗証番号である。暗証番号入力画面214でユーザが暗証番号入力キー24を用いて暗証番号を入力すると、認証処理部17はその暗証番号を用いて個人認証を行う。認証処理部17は、公的個人認証方式による認証を行うものであってもよい。入力された暗証番号がカードに格納されている暗証番号と一致すると、認証処理部17は、個人認証が成功したと判定する。そして、入力された暗証番号およびカードに格納されている電子証明書のデータを用いて、後述するように証明書交付用のサーバから証明書のデータをダウンロードするものとする。ただし、証明書のダウンロードまでにもう少し操作が続く。
【0020】
個人認証が成功したら、操作制御部11Uは画面を
図6に示すカード取出指示画面215に切り替える。カード取出指示画面215は、イラストで個人認証用のカードをカード読取部221から取り除くようにユーザを促すものである。また、個人認証が成功したら、ジョブ制御部11Jは、原則的に画質調整の実行を開始する。ただし、画質調整の実行に先立ち、画質調整を開始しなくてもよい条件か満たされているか否かの判定を行う。判定の具体的な内容については後述する。
【0021】
操作制御部11Uは、個人認証用のカードがカード読取部221から取り除かれたことを認識すると、画面を
図7に示す証明書選択画面216に切り替える。証明書選択画面216は、印刷すべき証明書の選択を受け付ける画面であって、交付可能な証明書の種類ごとに複数の操作キーが並んだ画面である。この実施形態では、それらの操作キーのうちユーザが[住民票の写し]キー25を操作するものとする。ただし、これは単なる一例であって、それ以外の証明書が選択された場合も住民票の写しが選択されたこの実施形態と同様に、制御部11は選択に応じた証明書をダウンロードして印刷する処理を実行する。
【0022】
いずれかの証明書が選択されたことを操作制御部11Uが認識したら、ジョブ制御部11Jは、通信インターフェース回路16を介して証明書交付用のサーバにアクセスする。そして、個人認証用のカードから読み取った電子証明書のデータおよび入力された暗証番号を用いて、対象のユーザの住民票の写しのデータをダウンロードする。そして、操作制御部11Uは画面を
図8に示す設定確認画面217に切り替える。設定確認画面は、
図7の証明書選択画面216で選択された証明書の種類、印刷部数とそれに応じた金額を確認する画面である。ユーザによって[スタート]キー26が操作されたことを認識すると、操作制御部11Uは、それを認識する。硬貨投入口231に投入され、あるいは紙幣投入口232に投入されることにより入金された金額が合計金額に満たない場合、操作制御部11Uは料金不足のメッセージを設定確認画面217に表示させて不足分が入金されるのを待つ。合計金額以上の金額が入金された場合、ジョブ制御部11Jとして制御部11は、設定確認画面217に表示された設定で印刷ジョブを実行する。
【0023】
このとき、個人認証が成功したことを契機に開始した画質調整がまだ終了していない場合は、画質調整の終了を待ってから印刷ジョブを開始する。画質調整がすでに終了している場合、および今回の印刷ジョブは開始前の画質調整を省略するとジョブ制御部11Jが判定した場合は、[スタート]キー26の操作に応答して即座に印刷ジョブを開始する。即ち、ジョブ制御部11Jは、ダウンロードした証明書のデータを印刷する。
【0024】
印刷が終了すると、制御部11は、領収証プリンタ240に領収証を印刷させる。また、操作制御部11Uとして
図9に示す印刷終了画面218を端末操作部210に表示させてユーザに印刷ジョブの終了を知らせる。なお、操作制御部11Uは、印刷終了画面218の[終了する]キー27がユーザによって操作されるか、あるいは表示から所定の時間が経過したら、印刷終了画面218を
図3に示すサービス選択画面211のホーム画面に切り替えて、次のユーザによる操作を待つ。
【0025】
以上、
図3~
図9の画面は代表的なものだけを示しており、実際には詳細な選択項目や確認の操作があるが、操作の流れは大きく4つに大別される。複合機100が実行する種々のサービスを選択する操作(
図3参照)、個人認証に係る操作(例えば、
図4~
図6参照)、詳細な選択に係る操作(
図7参照)、および印刷ジョブに係る操作(
図8、
図9参照)である。それらのうち、個人認証に係る操作は、なりすまし等を防ぐために誤操作や誤入力を許さないように設計された側面があり、ユーザにとって難易度の高いものといえる。よって、個人認証の操作を開始したにもかかわらず、途中で個人認証をあきらめるケースも多い。例えば、操作を開始したが、個人認証用のカードを忘れていたために中断する場合がある。また、暗証番号が思い出せず、操作が中断される場合がある。あるいは、カードを置く場所が理解できない等画面の操作案内の内容をユーザが把握できず、操作をあきらめてしまう場合がある。そこで、本開示は難易度が高いといえる個人認証が成功したことを契機に画質調整を開始する。そうすることによって、印刷ジョブ開始の支持を受け付ける前に画質調整を開始することで印刷ジョブ終了までの時間を短縮できる一方、印刷ジョブ開始までの段階で操作が中止されて印刷ジョブが開始されない場合の無駄な画質調整を抑制できる。
【0026】
画質調整において、制御部11は、大別して濃度補正およびレジスト補正の処理を行う。濃度補正は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色について複数濃度の基準パターンのトナー像(パッチ)を作成して各感光体上または転写ベルト上のパッチ濃度を検出する。検出されたパッチ濃度に基づいて帯電バイアス電圧、現像バイアス電圧、転写バイアス電圧および光走査装置のビームパターンを制御し、各色の明部から暗部までの各段階における画像濃度を補正する。レジスト補正は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色を重ね合わせる位置のズレ(色ズレ)を補正するものである。各色について所定パターンのパッチを作成し、各感光体上または転写ベルト上のパッチの位置を検出する。検出されたパッチの置に基づいて光走査装置の感光体へのビーム書込みタイミングを制御し、各色の相対的な位置ズレを補正する。
【0027】
≪証明書の交付サービスに係る処理手順≫
以下、フローチャートを参照ながら上述の証明書交付サービスに係る処理の手順を述べる。
図10は、上述の実施形態において、証明書の交付を行う際に制御部が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
図3に示すサービス選択画面211で、[行政サービス]キー21の操作を受け付けてから制御部11が実行する処理を示している。
図10に示すように、操作制御部11Uとして制御部11は、サービス選択画面211で証明書の交付が選択されると、
図4~
図6に示す画面をユーザに提示して個人認証に係る操作を行わせる(ステップS11)。
【0028】
個人認証が成功すると(ステップS13のYes)、制御部11は、画質調整の履歴が格納されるメモリ12の所定の記憶領域を参照して、前回の画質調整が実行された時期の履歴データを探す(ステップS15)。前回の実行時期が履歴に格納されていない場合(ステップS17のNo)、即ち初めて画質調整を実行する場合、制御部11は、処理を後述するステップS25へ進めて、画質調整を実行する。一方、既に少なくとも1回の画質調整が実行されて前回の実行時期が履歴に格納されている場合(ステップS17のYes)、制御部11は、画質調整の実行時期調整および実行要否判定の処理を行う(ステップS21)。この処理の内容は、
図11および
図12を参照して後述する。
【0029】
画質調整の実行時期調整および実行要否判定の処理を行った結果、証明書の交付に係る印刷ジョブを実行する前に画質調整を行うと決定した場合(ステップS23のYes)、制御部11は、画質調整の実行を開始する(ステップS25)。原則として、証明書の交付に係る印刷ジョブを実行する前には毎回画質調整を行うものとする。そして、画質調整を開始した時期(日時)をメモリ12に履歴として格納する(ステップS27)。画質調整が終了したら、証明書の印刷に係る処理を行う(ステップS31)。この処理の内容は、
図13を参照して後述する。証明書の印刷を終えたら、処理を終了する。
【0030】
前述のステップS23の判定で、証明書の交付に係る印刷ジョブを実行する前に画質調整を行わないと決定した場合(ステップS23のNo)、制御部11は、処理を前述のステップS31へ進めて証明書の印刷に係る処理を行う。証明書の交付に係る印刷ジョブを実行する前に画質調整を行わないと決定することは例外的であって、前回の画質調整を実行してからの間隔が基準に満たない場合である。
【0031】
一方、前述のステップS11で個人認証の処理を開始してから個人認証が成功するまでの間に(ステップS13のNo)、制御部11は
図4~
図6に示す何れかの画面で[終了する]キー28が操作されたか否かを判定する(ステップS41)。[終了する]キー28が操作された場合、制御部11は、証明書の交付に係る処理を終了する。[終了する]キー28が操作されていない場合、さらに制御部11は暗証番号が入力されないままでタイムアウトになったか否かを判定する(ステップS41のNoを経てステップS43のYes)。タイムアウトになった場合、制御部11は、証明書の交付に係る処理を終了する。さらにまた制御部11は入力された暗証番号が誤っているかまたは誤ったカードが読みられたか否かを判定する(ステップS43のNoを経てステップS45)。誤った暗証番号が入力された場合または誤ったカードが読みられた場合(ステップS45のYes)、制御部11は暗証番号の入力エラーまたはカード読み取りエラーを表示させてユーザに知らせ、対処を求める(ステップS47)。そして、処理を前述のステップS13へ戻して暗証番号の再入力あるいは新たなカードの読み取りを待って個人認証の処理を続ける(ステップS13のNo、ステップS41のNo、ステップS43のNoおよびステップS45のNoを経てステップS13に戻るループ)。
以上が、この実施形態における証明書交付サービスの処理の流れである。
【0032】
続いて、
図10のステップS21に示す画質調整の実行時期調整および実行要否判定の処理について述べる。
図11~
図13は、画質調整の時期調整および実行要否判定の処理を示すフローチャートである。
図11に示すように、制御部11は、前回の画質調整からどれだけの間隔があいたら次の画質調整を許容するかを判定する基準の初期値として予め定められた第1期間を適用することに仮決めする(ステップS201)。次に、前回の状の補正から実行された印刷ジョブの数に応じて、前述のステップS201で適用することを仮決めした第1期間を変更するか否かを判定する。即ち、画質調整を許容する間隔の基準値を、前回の画質調整から現時点までの間に実行された印刷ジョブの数に応じて変更するか否かを判定する(ステップS203)。
【0033】
前回の画質調整からの印刷ジョブ数に応じて最小間隔を変更する特段の処理は行わない場合(ステップS203のNo)、制御部11は処理を後述するステップS211へ進める。例えば、ユーザまたはサービスエンジニアよるそのような設定がされていない場合である。一方、印刷ジョブ数に応じて最小間隔を変更するように設定されている場合(ステップS203のYes)、制御部11は前回の画質調整から現時点までに実行された印刷ジョブの数を調べる(ステップS205)。そして、印刷ジョブの数が予め定められた基準の数以上か否かを判定する(ステップS207)。前回画質調整から実行された印刷ジョブ数が基準未満であれば(ステップS207のNo)、前述の第1期間に代えてそれよりも長い第2期間を、画質調整を許容する間隔の基準値として適用することとする(ステップS209)。そのうえで、処理を
図13に示すステップS253の判定に進めて、前回の画質調整から第2期間以上の間隔があいているか否かの判定を行う。この態様によれば、前回の画質調整から実行した印刷ジョブの数が基準を下回り前回の画質調整から印刷ジョブがあまり実行されていない状況下では、次の画質調整の開始を抑制する期間を延長して画質調整のために使用される時間やトナーを抑制することができる。
【0034】
一方、前記ステップS207の判定で、前回画質調整から実行された印刷ジョブ数が基準以上の場合(ステップS207のYes)、次に、制御部11は仮決めされた第1期間を1日のうちの時間帯に応じて変更するか否かを判定する(ステップS211)。即ち、画質調整を許容する間隔の基準値を、1日の時間帯に応じて変更するか否かを判定する。
【0035】
1日のうちの時間帯に応じて最小間隔を変更する特段の処理はしない場合(ステップS211のNo)、制御部11は処理を後述する
図11のステップS221へ進める。一方、1日のうちの時間帯に応じて最小間隔を変更するように設定されている場合(ステップS203のYes)、制御部11は、現在の時刻を取得してそれが属する時間帯を調べる(ステップS213)。そして、現在の時間帯が予め定められた繁忙期の時間帯に該当するか否かを判定する(ステップS215)。繁忙期の時間帯でなければ(ステップS215のNo)、前述の第1期間に代えてそれよりも長い第2期間を、画質調整を許容する間隔の基準値として適用することとする(ステップS217)。そのうえで、処理を
図13に示すステップS253の判定に進めて、前回の画質調整から第2期間以上の間隔があいているか否かの判定を行う。この態様によれば、一日の時間帯のうちで印刷ジョブが頻繁に実行される時間帯でない場合、次の画質調整の開始を抑制する期間を延長して画質調整のために使用される時間やトナーを抑制することができる。
【0036】
一方、前記ステップS215の判定で、現在の時間帯が繁忙期である場合(ステップS215のYes)、次に、制御部11は仮決めされた第1期間を1週間のうちの何曜日かに応じて変更するか否かを判定する(
図12に示すステップS221)。即ち、画質調整を許容する間隔の基準値を、曜日に応じて変更するか否かを判定する。
【0037】
曜日に応じて最小間隔を変更する特段の処理はしない場合(ステップS221のNo)、制御部11は処理を後述するステップS231へ進める。一方、曜日に応じて最小間隔を変更するように設定されている場合(ステップS221のYes)、制御部11は、今日の曜日を取得する(ステップS223)。そして、今日の曜日が予め定められた繁忙期の曜日に該当するか否かを判定する(ステップS225)。繁忙期の曜日でなければ(ステップS225のNo)、前述の第1期間に代えてそれよりも長い第2期間を、画質調整を許容する間隔の基準値として適用することとする(ステップS227)。そのうえで、処理を
図13に示すステップS253の判定に進めて、前回の画質調整から第2期間以上の間隔があいているか否かの判定を行う。この態様によれば、各週のうち印刷ジョブが頻繁に実行される時期でない場合、次の画質調整の開始を抑制する期間を延長して画質調整のために使用される時間やトナーを抑制することができる。
【0038】
一方、前記ステップS225の判定で、今日の曜日が繁忙期である場合(ステップS225のYes)、次に、制御部11は仮決めされた第1期間を1カ月のうちの何日目かに応じて変更するか否かを判定する(ステップS231)。即ち、画質調整を許容する間隔の基準値を、日に応じて変更するか否かを判定する。
【0039】
日に応じて最小間隔を変更する特段の処理はしない場合(ステップS231のNo)、制御部11は処理を後述するステップS241へ進める。一方、日に応じて最小間隔を変更するように設定されている場合(ステップS231のYes)、制御部11は、今日が何日目かを取得する(ステップS233)。そして、今日の日が月のうちで予め定められた繁忙期の日に該当するか否かを判定する(ステップS235)。繁忙期の日でなければ(ステップS235のNo)、前述の第1期間に代えてそれよりも長い第2期間を、画質調整を許容する間隔の基準値として適用することとする(ステップS237)。そのうえで、処理を
図13に示すステップS253の判定に進めて、前回の画質調整から第2期間以上の間隔があいているか否かの判定を行う。この態様によれば、各月のうち印刷ジョブが頻繁に実行される時期でない場合、次の画質調整の開始を抑制する期間を延長して画質調整のために使用される時間やトナーを抑制することができる。
【0040】
一方、前記ステップS235の判定で、今日の日が繁忙期である場合(ステップS235のYes)、次に、制御部11は仮決めされた第1期間を1年のうちの何月かに応じて変更するか否かを判定する(ステップS241)。即ち、画質調整を許容する間隔の基準値を、月に応じて変更するか否かを判定する。
【0041】
月に応じて最小間隔を変更する特段の処理はしない場合(ステップS241のNo)、制御部11は処理を後述する
図13のステップS251へ進める。一方、月に応じて最小間隔を変更するように設定されている場合(ステップS241のYes)、制御部11は、今月が何月かを取得する(ステップS243)。そして、今月が年のうちで予め定められた繁忙期の月に該当するか否かを判定する(ステップS245)。繁忙期の月でなければ(ステップS245のNo)、前述の第1期間に代えてそれよりも長い第2期間を、画質調整を許容する間隔の基準値として適用することとする(ステップS247)。そのうえで、処理を
図13に示すステップS253の判定に進めて、前回の画質調整から第2期間以上の間隔があいているか否かの判定を行う。この態様によれば、各週のうち印刷ジョブが頻繁に実行される時期でない場合、次の画質調整の開始を抑制する期間を延長して画質調整のために使用される時間やトナーを抑制することができる。
【0042】
一方、前記ステップS245の判定で、今日の日が繁忙期である場合(ステップS245のYes)、制御部11は、仮決めされていた第1期間を、画質調整を許容する間隔の基準値として採用することを決定する。そして、第1期間を基準として、現時点が前回の画質調整から第1期間以上経過しているか否かを判定する(
図13に示すステップS251)。前回の画質調整から第1期間以上が経過している場合は(ステップS251のYes)、操作を受け付けている証明書の印刷ジョブを実行する前に画質調整を行うと決定する(ステップS261)。そして、処理を呼び出し元に戻す。一方、前回の画質調整から未だ第1期間が経過していない場合は(ステップS251のNo)、操作を受け付けている証明書の印刷ジョブを実行する前に画質調整を行わないと決定する(ステップS263)。そして、処理を呼び出し元に戻す。過度に密な間隔で画質調整を行うと、画質調整に伴う時間やトナーが無駄になるところ、この態様によれば、前回の画質調整から適度な期間をおいて次の画質調整を行うことで、画質調整に過度の時間やトナーが費されるのを防ぐことができる。また、前回または今回の画質調整が個人認証の成功を契機としたものであるか否かに関わらず、適度な期間をおいて次の画質調整を行うことができる。
【0043】
また、前述した
図11のステップS209、S217、または
図12のステップS227、S237、S247の何れかの処理を経て第2期間を、画質調整を許容する間隔の基準値として適用する場合、現時点が前回の画質調整から第2期間以上経過しているか否かを判定する(
図13に示すステップS253)。前回の画質調整から第2期間以上が経過している場合は(ステップS253のYes)、操作を受け付けている証明書の印刷ジョブを実行する前に画質調整を行うと決定する(ステップS261)。そして、処理を呼び出し元に戻す。一方、前回の画質調整から未だ第2期間が経過していない場合は(ステップS251のNo)、操作を受け付けている証明書の印刷ジョブを実行する前に画質調整を行わないと決定する(ステップS263)。そして、処理を呼び出し元に戻す。
以上が、画質調整の実行時期調整および実行要否判定の処理の内容である。
【0044】
続いて、
図10のステップS31に示す証明書の印刷に係る処理の内容について述べる。
図14は、証明書の印刷に係る処理の内容を示すフローチャートである。個人認証が成功し、証明書の印刷ジョブの前に画質調整を行うか否かを判定する。画質調整を実行すると決定した場合はその画質調整を開始し、並行して
図14に示す証明書の印刷に係る処理を行う。画質調整を実行しないと決定した場合は続けて
図14に示す証明書の印刷に係る処理を行う。制御部11は、
図7に示す証明書選択画面216で印刷すべき証明書が選択されると(
図14に示すステップS301)、設定確認画面217を端末操作部210に表示させる。
【0045】
制御部11は、[スタート]キー26が操作されるのを待つ(ステップS305のNoのループ)。[スタート]キー26が操作されたら(ステップS305のYes)、次に画質調整を開始した場合にその実行が終了するのを待つ(ステップS307のNoのループ)。画質調整が終了した場合または画質調整を実行しない場合、ジョブ制御部11Jとして制御部は証明書の印刷に係る印刷ジョブを実行する(ステップS311)。印刷ジョブが終了するのを待って(ステップS313のNoのループ)、制御部11は、領収証プリンタ240に領収証を印刷させる。さらに、
図9に示す印刷終了画面218を端末操作部210に表示させて(ステップS315)、処理を呼び出し元に戻す。以上が、証明書の印刷に係る処理である。
【0046】
本開示には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれると解されるべきである。
前述した実施の形態の他にも、本開示についての種々の変形例があり得る。それらの変形例は、本開示の範囲に属さないと解されるべきものではない。本開示に係る発明には、請求の範囲と均等の意味および本開示の範囲に属するすべての変形が含まれるべきである。
【符号の説明】
【0047】
11:制御部、 11J:ジョブ制御部、 11U:操作制御部、 12:メモリ、 14:印刷部、 15:スキャナ部、 16:通信インターフェース回路、 17:認証処理部、 19:操作部、 21:[行政サービス]キー、 23:[次へ]キー、 24:暗証番号入力キー、 25:[住民票の写し]キー、 26:[スタート]キー、 27,28:[終了する]キー
100:複合機、 200:アプリケーションボックス、 210:端末操作部、 211:サービス選択画面、 213:カード読取指示画面、 214:暗証番号入力画面、 215:カード取出指示画面、 216:証明書選択画面、 217:設定確認画面、 218:印刷終了画面、 220:カード読取回路、 221:カード読取部、 230:金銭処理機、 231:硬貨投入口、 232:紙幣投入口、 233:釣銭取出口、 240:領収証プリンタ、 241:領収証取出口