(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164445
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】光検出装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20241120BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20241120BHJP
H01L 31/10 20060101ALI20241120BHJP
H10K 30/60 20230101ALI20241120BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20241120BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L29/06 601D
H01L31/10 A
H10K30/60
H04N25/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】32
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079921
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関根 遼太郎
(72)【発明者】
【氏名】中西 政晴
【テーマコード(参考)】
4M118
5C024
5F149
【Fターム(参考)】
4M118AA01
4M118AB01
4M118BA14
4M118CA02
4M118CA14
4M118CA40
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4M118CB14
4M118CB20
4M118FA06
4M118FA27
4M118FA28
4M118FA33
4M118GA02
4M118GC08
4M118GC11
4M118GC20
4M118GD04
5C024GX02
5F149AA01
5F149AA05
5F149AB01
5F149AB07
5F149AB09
5F149AB11
5F149BA01
5F149BB03
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5F149DA44
5F149EA04
5F149EA12
5F149EA13
5F149FA02
5F149FA04
5F149JA12
5F149KA13
5F149KA14
5F149KA20
5F149LA01
5F149LA02
5F149XA01
5F149XB01
5F149XB24
(57)【要約】
【課題】良好な検出性能を有する光検出装置を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態の光検出装置は、第1電極と、前記第1電極に対向するように設けられる第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間において前記第1電極側にそれぞれ設けられる複数の第1構造体と、前記複数の第1構造体と前記第2電極との間に設けられる光電変換膜とを備える。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
前記第1電極に対向するように設けられる第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間において前記第1電極側にそれぞれ設けられる複数の第1構造体と、
前記複数の第1構造体と前記第2電極との間に設けられる光電変換膜と
を備える光検出装置。
【請求項2】
複数の前記第1構造体は、前記第1電極側において第1方向に並んで設けられ、
前記光電変換膜の一部は、複数の前記第1構造体の間に設けられている
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記複数の第1構造体は、一体に設けられている
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記第1構造体は、前記光電変換膜とバンド曲がりを伴い接合される電極である
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記第1構造体は、金属材料または半導体材料からなる
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記第1電極と前記第2電極と前記第1構造体と前記光電変換膜とを含む第1光電変換素子をそれぞれ有する複数の画素を備える
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項7】
隣り合う複数の前記画素の境界に設けられる分離部をさらに備える
請求項6に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記第1電極と前記第2電極との間において前記第2電極側にそれぞれ設けられる複数の第2構造体をさらに備える
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項9】
前記光電変換膜は、前記複数の第1構造体と前記複数の第2構造体との間に設けられている
請求項8に記載の光検出装置。
【請求項10】
複数の前記第2構造体は、前記第2電極側において第1方向に並んで設けられ、
前記光電変換膜の一部は、複数の前記第2構造体の間に設けられている
請求項8に記載の光検出装置。
【請求項11】
複数の前記第1構造体と複数の前記第2構造体とは、第1方向および前記第1方向に交差する第2方向に並んで設けられ、
前記第1構造体と前記第2構造体とは、前記光電変換膜の一部を挟むように設けられている
請求項10に記載の光検出装置。
【請求項12】
前記複数の第2構造体は、一体に設けられている
請求項8に記載の光検出装置。
【請求項13】
前記第1構造体の下端と前記第2構造体の上端との間隔、及び、前記第1構造体の上端と前記第2構造体の下端との間隔の少なくとも一方は、1μm以下である
請求項8に記載の光検出装置。
【請求項14】
前記第2構造体は、前記光電変換膜とバンド曲がりを伴い接合される電極である
請求項8に記載の光検出装置。
【請求項15】
前記第2構造体は、金属材料または半導体材料からなる
請求項8に記載の光検出装置。
【請求項16】
前記第1電極と前記第2電極と前記第1構造体と前記光電変換膜とを含む第1光電変換素子をそれぞれ有する複数の画素と、
隣り合う複数の前記画素の境界に設けられる分離部と
をさらに備え、
前記分離部の少なくとも一部は、複数の前記第1構造体の間に設けられる
請求項8に記載の光検出装置。
【請求項17】
前記分離部は、複数の前記第1構造体の間と、複数の前記第2構造体の間とに設けられている
請求項16に記載の光検出装置。
【請求項18】
前記第1構造体と前記第1電極とは、一体に設けられている
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項19】
前記第2構造体と前記第2電極とは、一体に設けられている
請求項8に記載の光検出装置。
【請求項20】
前記光電変換膜は、量子ドット、有機化合物半導体、無機化合物半導体、ゲルマニウム、シリコン、または有機無機ペロブスカイトにより構成される
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項21】
前記光電変換膜で変換された電荷に基づく信号を出力可能な読み出し回路をさらに備える
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項22】
光電変換膜と、
前記光電変換膜とバンド曲がりを伴いそれぞれ接合される複数の第1構造体と
を備える光検出装置。
【請求項23】
前記光電変換膜と前記第1構造体とを含む第1光電変換素子をそれぞれ有する複数の画素を備える
請求項22に記載の光検出装置。
【請求項24】
隣り合う複数の前記画素の境界に設けられる分離部をさらに備える
請求項23に記載の光検出装置。
【請求項25】
前記複数の第1構造体は、一体に設けられている
請求項22に記載の光検出装置。
【請求項26】
前記光電変換膜とバンド曲がりを伴いそれぞれ接合される複数の第2構造体をさらに備え、
前記光電変換膜は、前記複数の第1構造体と前記複数の第2構造体との間に設けられている
請求項22に記載の光検出装置。
【請求項27】
前記光電変換膜と前記第1構造体と前記第2構造体とを含む第1光電変換素子をそれぞれ有する複数の画素と、
隣り合う複数の前記画素の境界に設けられる分離部と
をさらに備え、
前記分離部の少なくとも一部は、複数の前記第1構造体の間に設けられる
請求項26に記載の光検出装置。
【請求項28】
前記複数の第2構造体は、一体に設けられている
請求項26に記載の光検出装置。
【請求項29】
光学系と、
前記光学系を透過した光を受光する光検出装置と
を備え、
前記光検出装置は、
第1電極と、
前記第1電極に対向するように設けられる第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間において前記第1電極側にそれぞれ設けられる複数の第1構造体と、
前記複数の第1構造体と前記第2電極との間に設けられる光電変換膜と
を有する
電子機器。
【請求項30】
前記光検出装置は、前記第1電極と前記第2電極との間において前記第2電極側にそれぞれ設けられる複数の第2構造体をさらに有する
請求項29に記載の電子機器。
【請求項31】
光学系と、
前記光学系を透過した光を受光する光検出装置と
を備え、
前記光検出装置は、
光電変換膜と、
前記光電変換膜とバンド曲がりを伴いそれぞれ接合される複数の第1構造体と
を有する
電子機器。
【請求項32】
前記光検出装置は、前記光電変換膜とバンド曲がりを伴いそれぞれ接合される複数の第2構造体をさらに有し、
前記光電変換膜は、前記複数の第1構造体と前記複数の第2構造体との間に設けられている
請求項31に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光検出装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体量子ドットによって構成された光電変換層を備える装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光を検出する装置では、検出性能を向上させることが望ましい。
【0005】
良好な検出性能を有する光検出装置を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態の光検出装置は、第1電極と、第1電極に対向するように設けられる第2電極と、第1電極と第2電極との間において第1電極側にそれぞれ設けられる複数の第1構造体と、複数の第1構造体と第2電極との間に設けられる光電変換膜とを備える。
本開示の一実施形態の光検出装置は、光電変換膜と、光電変換膜とバンド曲がりを伴いそれぞれ接合される複数の第1構造体とを備える。
本開示の一実施形態の電子機器は、光学系と、光学系を透過した光を受光する光検出装置とを備える。光検出装置は、第1電極と、第1電極に対向するように設けられる第2電極と、第1電極と第2電極との間において第1電極側にそれぞれ設けられる複数の第1構造体と、複数の第1構造体と第2電極との間に設けられる光電変換膜とを有する。
本開示の一実施形態の電子機器は、光学系と、光学系を透過した光を受光する光検出装置とを備える。光検出装置は、光電変換膜と、光電変換膜とバンド曲がりを伴いそれぞれ接合される複数の第1構造体とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本開示の実施の形態に係る光検出装置の一例である撮像装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施の形態に係る撮像装置の画素部の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施の形態に係る撮像装置の画素の構成例を説明するための図である。
【
図4A】
図4Aは、本開示の実施の形態に係る撮像装置の光電変換部の構成例を説明するための図である。
【
図4B】
図4Bは、本開示の実施の形態に係る撮像装置の光電変換部の別の構成例を説明するための図である。
【
図4C】
図4Cは、本開示の実施の形態に係る撮像装置の光電変換部の別の構成例を説明するための図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施の形態に係る撮像装置の光電変換部における電界の一例を説明するための図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施の形態に係る撮像装置の光電変換部の構成例を示す図である。
【
図7A】
図7Aは、本開示の実施の形態に係る撮像装置の光電変換部の構成例を示す図である。
【
図7B】
図7Bは、本開示の実施の形態に係る撮像装置の光電変換部の構成例を示す図である。
【
図7C】
図7Cは、本開示の実施の形態に係る撮像装置の光電変換部の構成例を示す図である。
【
図8】
図8は、本開示の実施の形態に係る撮像装置の光電変換部の別の構成例を示す図である。
【
図9】
図9は、本開示の実施の形態に係る撮像装置の断面構成の一例を説明するための図である。
【
図10】
図10は、本開示の実施の形態に係る撮像装置の断面構成の一例を示す図である。
【
図11A】
図11Aは、本開示の変形例1に係る撮像装置の光電変換部の構成例を説明するための図である。
【
図11B】
図11Bは、本開示の変形例1に係る撮像装置の光電変換部の構成例を説明するための図である。
【
図12A】
図12Aは、本開示の変形例2に係る撮像装置の光電変換部の断面構成の一例を示す図である。
【
図12B】
図12Bは、本開示の変形例2に係る撮像装置の光電変換部の断面構成の別の例を示す図である。
【
図12C】
図12Cは、本開示の変形例2に係る撮像装置の光電変換部の断面構成の別の例を示す図である。
【
図12D】
図12Dは、本開示の変形例2に係る撮像装置の光電変換部の断面構成の別の例を示す図である。
【
図13】
図13は、本開示の変形例2に係る撮像装置の光電変換部の平面構成の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、本開示の変形例2に係る撮像装置の光電変換部の平面構成の一例を示す図である。
【
図15A】
図15Aは、本開示の変形例2に係る撮像装置の光電変換部の別の構成例を説明するための図である。
【
図15B】
図15Bは、本開示の変形例2に係る撮像装置の光電変換部の別の構成例を説明するための図である。
【
図16A】
図16Aは、本開示の変形例3に係る撮像装置の光電変換部の構成例を説明するための図である。
【
図16B】
図16Bは、本開示の変形例3に係る撮像装置の光電変換部の別の構成例を説明するための図である。
【
図17A】
図17Aは、本開示の変形例3に係る撮像装置の光電変換部の別の構成例を説明するための図である。
【
図17B】
図17Bは、本開示の変形例3に係る撮像装置の光電変換部の別の構成例を説明するための図である。
【
図18A】
図18Aは、本開示の変形例4に係る撮像装置の断面構成の一例を説明するための図である。
【
図18B】
図18Bは、本開示の変形例4に係る撮像装置の断面構成の一例を説明するための図である。
【
図19A】
図19Aは、本開示の変形例5に係る撮像装置の断面構成の一例を説明するための図である。
【
図19B】
図19Bは、本開示の変形例5に係る撮像装置の断面構成の一例を説明するための図である。
【
図20A】
図20Aは、本開示の変形例6に係る撮像装置の断面構成の一例を説明するための図である。
【
図20B】
図20Bは、本開示の変形例6に係る撮像装置の断面構成の一例を説明するための図である。
【
図20C】
図20Cは、本開示の変形例6に係る撮像装置の断面構成の一例を説明するための図である。
【
図21A】
図21Aは、本開示の変形例7に係る撮像装置の断面構成の一例を説明するための図である。
【
図21B】
図21Bは、本開示の変形例7に係る撮像装置の断面構成の一例を説明するための図である。
【
図22】
図22は、電子機器の構成例を示すブロック図である。
【
図23A】
図23Aは、光検出システムの全体構成の一例を模式的に表したものである。
【
図23B】
図23Bは、光検出システムの全体構成の一例を模式的に表したものである。
【
図24】
図24は、車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図25】
図25は、車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【
図26】
図26は、内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図27】
図27は、カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
3.適用例
4.応用例
【0009】
<1.実施の形態>
図1は、本開示の実施の形態に係る光検出装置の一例である撮像装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
図2は、実施の形態に係る撮像装置の画素部の一例を示す図である。光検出装置は、入射する光を検出可能な装置である。光検出装置である撮像装置1は、光学系を透過した光を受光して信号を生成し得る。撮像装置1(光検出装置)は、光電変換部(光電変換素子)を有する複数の画素Pを有し、入射した光を光電変換して信号を生成するように構成される。
【0010】
各画素Pの光電変換部は、例えばフォトダイオードであり、光を光電変換可能に構成される。撮像装置1は、
図2に示すように、複数の画素Pが行列状に2次元配置された領域(画素部100)を、撮像エリアとして有している。画素部100は、複数の画素Pが配置される画素アレイともいえる。
【0011】
撮像装置1は、光学レンズを含む光学系(不図示)を介して、被写体からの入射光(像光)を取り込む。撮像装置1は、光学レンズにより形成される被写体の像を撮像する。撮像装置1は、受光した光を光電変換して画素信号を生成する。撮像装置1は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。撮像装置1は、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、携帯電話等の電子機器に利用可能である。
【0012】
なお、
図2に示すように、被写体からの光の入射方向をZ軸方向、Z軸方向に直交する紙面左右方向をX軸方向、Z軸方向及びX軸方向に直交する紙面上下方向をY軸方向とする。以降の図において、
図2の矢印の方向を基準として方向を表記する場合もある。
【0013】
撮像装置1は、
図1に示す例のように、画素部100(画素アレイ)の周辺領域に、例えば、垂直駆動回路111、信号処理回路112、水平駆動回路113、出力回路114、制御回路115、及び入出力端子116等を有する。また、撮像装置1には、複数の画素駆動線Lreadと、複数の垂直信号線VSLが設けられる。
【0014】
図1に示す例では、画素部100には、水平方向(行方向)に並ぶ複数の画素Pにより構成される画素行ごとに、複数の画素駆動線Lreadが配線される。画素駆動線Lreadは、画素Pを駆動する信号を伝えることが可能な信号線である。画素駆動線Lreadは、画素Pからの信号読み出しのための駆動信号を伝送するように構成される。
【0015】
また、画素部100には、垂直方向(列方向)に並ぶ複数の画素Pにより構成される画素列ごとに、垂直信号線VSLが配線される。垂直信号線VSLは、画素Pからの信号を伝えることが可能な信号線である。垂直信号線VSLは、画素Pから出力される信号を伝送するように構成される。
【0016】
垂直駆動回路111は、例えば、バッファ、シフトレジスタ、アドレスデコーダ等によって構成される。垂直駆動回路111は、画素部100の各画素Pを駆動可能に構成される。垂直駆動回路111は、画素Pを駆動するための信号を生成し、画素駆動線Lreadを介して画素部100の各画素Pへ出力する。垂直駆動回路111は、例えば、転送トランジスタを制御する信号、リセットトランジスタを制御する信号等を生成し、画素駆動線Lreadによって各画素Pに供給する。
【0017】
信号処理回路112は、入力される画素の信号の信号処理を実行可能に構成される。信号処理回路112は、例えば、負荷回路部、AD(Analog Digital)変換部、水平選択スイッチ等を有する。垂直駆動回路111によって選択走査された各画素Pから出力される信号は、垂直信号線VSLを介して信号処理回路112に入力される。信号処理回路112は、画素Pの信号のAD変換、CDS(Correlated Double Sampling:相関二重サンプリング)等の信号処理を行う。
【0018】
水平駆動回路113は、例えば、バッファ、シフトレジスタ、アドレスデコーダ等によって構成される。水平駆動回路113は、信号処理回路112の水平選択スイッチを駆動可能に構成される。水平駆動回路113は、信号処理回路112の各水平選択スイッチを走査しつつ順番に駆動する。垂直信号線VSLの各々を通して伝送される各画素Pの信号は、信号処理回路112により信号処理が施され、水平駆動回路113による選択走査によって順に水平信号線121に出力される。
【0019】
出力回路114は、入力される信号に対して信号処理を行い、信号を出力するように構成される。出力回路114は、信号処理回路112から水平信号線121を介して順次入力される画素の信号に対して信号処理を行い、処理後の画素の信号を出力する。出力回路114は、例えば、バッファリング、黒レベル調整、列ばらつき補正、及び各種デジタル信号処理等を行い得る。
【0020】
制御回路115は、撮像装置1の各部を制御可能に構成される。制御回路115は、半導体基板120の外部から与えられるクロック、動作モードを指令するデータ等を受け取り、また、撮像装置1の内部情報等のデータを出力し得る。
【0021】
制御回路115は、例えば、各種のタイミング信号を生成可能に構成されたタイミングジェネレータを有する。制御回路115は、タイミングジェネレータで生成された各種のタイミング信号に基づき、垂直駆動回路111、信号処理回路112、水平駆動回路113等の周辺回路の駆動制御を行う。入出力端子116は、外部との信号のやり取りを行うものである。
【0022】
なお、垂直駆動回路111、信号処理回路112、水平駆動回路113、水平信号線121、出力回路114、制御回路115等は、半導体基板120に設けられていてもよいし、他の基板に設けられていてもよい。撮像装置1は、複数の基板を積層して構成された構造(積層構造)を有していてもよい。
【0023】
図3は、実施の形態に係る撮像装置の画素の構成例を説明するための図である。画素Pは、光電変換部11(光電変換素子)と、トランジスタTRと、読み出し回路20とを有する。光電変換部11は、光を受光して信号を生成するように構成される。読み出し回路20は、光電変換された電荷に基づく信号を出力可能に構成される。
【0024】
光電変換部11は、光電変換により電荷を生成可能に構成される。
図3に示す例では、光電変換部11は、入射する光を電荷に変換する。光電変換部11は、光電変換を行って受光量に応じた電荷を生成する。
【0025】
読み出し回路20は、一例として、フローティングディフュージョンFDと、トランジスタRSTと、トランジスタAMPと、トランジスタSELとを有する。トランジスタTR、トランジスタRST、トランジスタAMP、及びトランジスタSELは、それぞれ、ゲート、ソース、ドレインの端子を有するMOSトランジスタ(MOSFET)である。
【0026】
図3に示す例では、トランジスタTR、トランジスタAMP、トランジスタSEL、及びトランジスタRSTは、それぞれNMOSトランジスタにより構成される。なお、画素Pのトランジスタは、PMOSトランジスタにより構成されてもよい。なお、読み出し回路20は、トランジスタTRを含んでいてもよい。
【0027】
トランジスタTRは、光電変換部11で光電変換された電荷をフローティングディフュージョンFDに転送可能に構成される。
図3に示すように、トランジスタTRは、信号STRにより制御され、光電変換部11とフローティングディフュージョンFDとを電気的に接続または切断する。トランジスタTRは、転送トランジスタであり、光電変換部11で光電変換されて蓄積された電荷をフローティングディフュージョンFDに転送し得る。
【0028】
フローティングディフュージョンFDは、蓄積部であり、転送された電荷を蓄積可能に構成される。フローティングディフュージョンFDは、光電変換部11で光電変換された電荷を蓄積し得る。フローティングディフュージョンFDは、転送された電荷を保持可能な保持部ともいえる。フローティングディフュージョンFDは、転送された電荷を蓄積し、フローティングディフュージョンFDの容量に応じた電圧に変換する。
【0029】
トランジスタAMPは、フローティングディフュージョンFDに蓄積された電荷に基づく信号を生成して出力するように構成される。
図3に示すように、トランジスタAMPのゲートは、フローティングディフュージョンFDと電気的に接続され、フローティングディフュージョンFDで変換された電圧が入力される。
【0030】
トランジスタAMPのドレインは、電源電圧VDDが供給される電源線に接続され、トランジスタAMPのソースは、トランジスタSELを介して垂直信号線VSLに接続される。トランジスタAMPは、増幅トランジスタであり、フローティングディフュージョンFDに蓄積された電荷に基づく信号、即ちフローティングディフュージョンFDの電圧に基づく信号を生成し、垂直信号線VSLへ出力し得る。
【0031】
トランジスタSELは、画素の信号の出力を制御可能に構成される。トランジスタSELは、信号SSELにより制御され、トランジスタAMPからの信号を垂直信号線VSLに出力可能に構成される。トランジスタSELは、画素の信号の出力タイミングを制御し得る。なお、トランジスタSELは、電源電圧VDDが与えられる電源線とトランジスタAMPとの間に設けられてもよい。また、必要に応じて、トランジスタSELを省略してもよい。
【0032】
トランジスタRSTは、フローティングディフュージョンFDの電圧をリセット可能に構成される。
図3に示す例では、トランジスタRSTは、電源電圧VDDが与えられる電源線と電気的に接続され、画素Pの電荷のリセットを行うように構成される。トランジスタRSTは、信号SRSTにより制御され、フローティングディフュージョンFDに蓄積された電荷をリセットし、フローティングディフュージョンFDの電圧をリセットし得る。なお、トランジスタRSTは、トランジスタTRを介して、光電変換部11に蓄積された電荷を排出し得る。トランジスタRSTは、リセットトランジスタである。
【0033】
なお、読み出し回路20の構成は、適宜変更であり、例えば、電荷を蓄積可能な容量素子を有していてもよい。また、例えば、読み出し回路20は、積分回路を含み、信号電荷を電圧信号に変換するように構成されてもよい。また、読み出し回路20は、電荷を電圧に変換する際の変換効率(ゲイン)を変更可能に構成されてもよい。例えば、読み出し回路20は、変換効率の設定に用いる切り替えトランジスタを有し得る。
【0034】
垂直駆動回路111(
図1参照)は、上述した画素駆動線Lreadを介して、各画素PのトランジスタTR、トランジスタSEL、トランジスタRST等のゲートに制御信号を供給し、トランジスタをオン状態(導通状態)又はオフ状態(非導通状態)とする。
【0035】
撮像装置1の複数の画素駆動線Lreadには、トランジスタTRを制御する信号STRを伝送する配線、トランジスタSELを制御する信号SSELを伝送する配線、トランジスタRSTを制御する信号SRSTを伝送する配線等が含まれる。
【0036】
トランジスタTR、トランジスタSEL、トランジスタRST等は、垂直駆動回路111によってオンオフ制御される。垂直駆動回路111は、各画素PのトランジスタTR及び読み出し回路20を制御することによって、各画素Pから画素信号を垂直信号線VSLに出力させる。垂直駆動回路111は、各画素Pの画素信号を垂直信号線VSLへ読み出す制御を行い得る。
【0037】
図4Aは、実施の形態に係る撮像装置の光電変換部の構成例を説明するための図である。撮像装置1の各画素Pの光電変換部11(光電変換素子)は、
図4Aに示す例のように、光電変換膜22と、上部電極23と、下部電極24とを含む。また、光電変換部11は、複数の構造体31と、複数の構造体32とを有する。
【0038】
光電変換膜22は、光電変換により電荷を生成する。光電変換膜22は、入射する光を光電変換し、受光量に応じた電荷を生成し得る。光電変換膜22は、光電変換層ともいえる。光電変換膜22(光電変換層)は、例えば、量子ドットを有し、赤外光を受光して電荷を生成するように構成される。光電変換膜22は、近赤外(NIR)、短波赤外(SWIR)等の波長域の光を光電変換して電荷を生成するように構成される。
【0039】
撮像装置1では、一例として、各画素Pに、量子ドットを用いて構成される光電変換膜22が設けられる。なお、光電変換膜22は、可視光を受光して電荷を生成するように構成されてもよい。光電変換膜22として、有機材料からなる光電変換膜を設けるようにしてもよい。また、光電変換膜22として、無機材料からなる光電変換膜を配置してもよい。
【0040】
光電変換膜22は、有機化合物半導体、無機化合物半導体、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、シリコン(Si)等により構成されてもよい。光電変換膜22は、IV族元素の混晶、III-V族の化合物半導体、II-VI族の化合物半導体、CIGS系材料(カルコパイライト系)、有機無機ペロブスカイト(例えばMAPbI3、MAPbBr3、MAPbCl3等)、またはMg2Si系材料(Mg2Si、Mg2Ge、Mg2Sn等)を用いて構成されてもよい。
【0041】
光電変換膜22の材料は、例えば、計測対象となる入射光の波長域に応じて選択され得る。量子ドット(QD)の場合、例えば、コア材料とコア材料の粒径によって、吸収波長を調整可能である。
【0042】
上部電極23は、例えば、複数の画素Pの光電変換膜22に共通の電極であり、光電変換膜22の一方の面側に設けられる。下部電極24は、画素P毎または複数の画素P毎に、光電変換膜22の他方の面側に設けられる。上部電極23及び下部電極24は、互いに対向するように設けられ得る。
【0043】
上部電極23及び下部電極24は、光電変換膜22を挟んで配置される。下部電極24は、構造体31,32と光電変換膜22の一部を挟んで、上部電極23に対向して設けられる。上部電極23は、光電変換膜22の上部の電極であり、下部電極24は、光電変換膜22の下部の電極である。
【0044】
上部電極23は、例えば、複数の画素Pに共通の電極であり、共通電極ともいえる。下部電極24は、例えば、光電変換膜22で変換された電荷の読み出しに用いる電極であり、読み出し電極ともいえる。上部電極23及び下部電極24は、それぞれ互いに異なる配線、電極等を介して、例えば、上述した半導体基板120に設けられた回路に電気的に接続される。
【0045】
上部電極23及び下部電極24は、例えば、それぞれ透明な電極であり、ITO(インジウム錫酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)等により構成される。上部電極23及び下部電極24は、他の酸化スズ系材料、酸化亜鉛系材料等を用いて構成されてもよく、他の透明導電材料を用いて構成されてもよい。なお、下部電極24は、高反射率を有する金属材料により形成されてもよい。
【0046】
光電変換部11は、構造体31及び構造体32を有し、光電変換膜22に電界(電位勾配)を生じるように構成される。構造体31及び構造体32は、例えば、
図4Aに示す例のように、柱状の構造体である。構造体31は、光電変換膜22の一方の面側に設けられる。
【0047】
撮像装置1では、例えば、上部電極23と下部電極24との間において、上部電極23側に複数の構造体31が設けられる。
図4Aに示す例では、構造体31は、光電変換膜22と上部電極23との間に位置し、上部電極23上に設けられている。
【0048】
各画素Pの複数の構造体31は、光電変換膜22の一部を挟んで、X軸方向に互いに並んで配置される。例えば、複数の構造体31は、平面視において、X軸方向と、X軸方向に交差するY軸方向に並んで設けられ得る。
【0049】
各画素Pにおいて、構造体31は、光電変換膜22に対して配置され、光電変換膜22に接して設けられ得る。構造体31と光電変換膜22とは、バンド曲がりを伴って互いに接合され得る。構造体31は、光電変換膜22の接合界面においてバンド曲がりを生じさせ、光電変換膜22に電界(電場)を与えることができる。
【0050】
構造体32は、光電変換膜22の他方の面側に設けられる。例えば、上部電極23と下部電極24との間において、下部電極24側に複数の構造体32が設けられる。
図4Aに示す例では、構造体32は、光電変換膜22と下部電極24との間に位置し、下部電極24上に設けられている。構造体31及び構造体32は、光電変換膜22を挟んで、離間して設けられる。
【0051】
各画素Pにおいて、複数の構造体32は、光電変換膜22の一部を挟んで、X軸方向に互いに並んで配置される。例えば、複数の構造体32は、平面視において、X軸方向とY軸方向に並んで設けられ得る。
【0052】
各画素Pにおいて、構造体32は、光電変換膜22に対して配置され、光電変換膜22に接して設けられ得る。構造体32と光電変換膜22とは、バンド曲がりを伴って互いに接合され得る。構造体32は、光電変換膜22の接合界面においてバンド曲がりを生じさせ、光電変換膜22に電界を与えることができる。
【0053】
なお、構造体31及び構造体32は、それぞれ、突出する部材である突出部ともいえる。構造体31は、上部電極23から光電変換膜22に向かって突出する。構造体31は、上部電極23から光電変換膜22に向かって延びる凸部である。また、構造体31は、光電変換膜22の内部に向かって突起した突起部ともいえる。
【0054】
また、構造体32は、下部電極24から光電変換膜22に向かって突出する。構造体32は、下部電極24から光電変換膜22に向かって延びる凸部である。また、構造体32は、光電変換膜22の内部に向かって突起した突起部ともいえる。
【0055】
なお、複数の構造体31は、一体に設けられてもよく、互いに分離して設けられてもよい。
図4Aに示す例では、複数の構造体31は、連続して形成され、一体に設けられている。複数の構造体31は、複数の構造部分が一体化された構造体ともいえる。また、複数の構造体32も、一体に設けられてもよく、互いに分離して設けられてもよい。
図4Aに示す例では、複数の構造体32は、連続して形成され、一体に設けられている。複数の構造体32は、複数の構造部分が一体化された構造体ともいえる。
図4Bに示す例のように、複数の構造体32は、互いに分離して設けられてもよい。
【0056】
図4Aに示す例では、構造体31及び構造体32は、櫛歯形状を有する部分(櫛歯部分)であり、例えば、櫛歯状の電極として構成され得る。複数の櫛歯部分である各構造体31,32は、噛み合うように形成され得る。なお、各画素Pに設けられる構造体31及び構造体32の数及び配置は、図示した例に限られない。
【0057】
構造体31と構造体32は、例えば、互いに異なる仕事関数を有する材料により構成される。構造体31と構造体32とは、例えば、互いに異なる材料からなる。構造体31及び構造体32は、金属材料、半導体材料等により構成される。一例として、構造体31は、構造体32の仕事関数よりも高い仕事関数を有する材料により構成され、構造体32の仕事関数よりも高い仕事関数を有する。
【0058】
他の例として、構造体31は、構造体32の仕事関数よりも低い仕事関数を有する材料により構成され、構造体32の仕事関数よりも低い仕事関数を有する。例えば、下部電極24から電子を回収して読み出す画素Pの場合、構造体31は、構造体32の仕事関数よりも高い仕事関数を有する材料により構成され得る。また、下部電極24から正孔を回収して読み出す画素Pの場合、構造体31は、構造体32の仕事関数よりも低い仕事関数を有する材料により構成されてもよい。
【0059】
撮像装置1では、光電変換膜22に電位勾配を形成するように、構造体31及び構造体32が設けられ得る。例えば、構造体31と光電変換膜22との間には、構造体31によって電位障壁が形成される。また、構造体32と光電変換膜22との間には、構造体32によって電位障壁が形成される。構造体31及び構造体32が設けられることで、例えば、光電変換膜22にショットキー接合の場合のような強い電界を形成することができる。
【0060】
構造体31は、一例として、金属材料からなる電極であり、光電変換膜22とショットキー接合される。構造体31によって、構造体31と光電変換膜22との間には、ショットキーバリアが形成される。例えば、構造体31と光電変換膜22とは、電子に対してショットキー接続される。
【0061】
また、構造体32は、一例として、金属材料からなる電極であり、光電変換膜22とショットキー接合される。構造体32によって、構造体32と光電変換膜22との間には、ショットキーバリアが形成される。例えば、構造体31が光電変換膜22に対して大きい仕事関数を有する金属材料により構成される場合、構造体32は、光電変換膜22に対して小さい仕事関数を有する材料により構成されてもよい。この場合、電子にとって光電変換膜22から構造体32に向かってポテンシャルが低くなっていく勾配が生じ得る。このようにすることで、ショットキー接合による強電界を光電変換膜22に形成することができる。
【0062】
なお、構造体31及び構造体32は、それぞれ、酸化物半導体材料、例えばIGZO(インジウム-ガリウム-亜鉛酸化物)により構成されてもよい。構造体31及び構造体32の各々は、有機半導体材料を用いて形成されてもよい。例えば、構造体31は、透明な電荷輸送層(ブロッキング層とも称される)であってもよい。また、構造体32は、例えば、正孔輸送層(電子ブロッキング層とも称される)であってもよい。
【0063】
構造体31及び構造体32の材料は、例えば、光電変換膜22の材料、仕事関数、電子親和力、キャリア(信号電荷)等に応じて選択され得る。例えば、構造体31は、構造体32の仕事関数よりも低い仕事関数を有していてもよく、構造体32の仕事関数よりも高い仕事関数を有していてもよい。
【0064】
構造体31及び構造体32は、それぞれ、光電変換膜22とバンド曲がりを伴い接合される構造体(電極)として構成され得る。ショットキー接合やバンド曲がりは、接合される材料の仕事関数に依存する。仕事関数は、例えば、光電子分光法により求めることができる。また、SEMまたはTEMによる解析によって、構造体の形状を確認できる。さらに、SEM-EDXやXPS等による組成分析によって、構造体31、構造体32、光電変換膜22等の材料を確認することができる。これら組成分析と光電子分光等を組み合わせて、構造体31及び構造体32等の材料の同定を行うことも可能である。
【0065】
なお、上部電極23と構造体31は、同じ材料を用いて構成されてもよい。構造体31は、上部電極23と一体的に構成されていてもよい。構造体31は、光電変換膜22の上部電極を兼ねていてよい。例えば
図4Cに示す例では、構造体31は、光電変換部11の上部電極(共通電極)でもある。複数の構造体31は、上部電極の一部ともいえる。
【0066】
また、下部電極24と構造体32は、同じ材料を用いて構成されてもよい。構造体32は、下部電極24と一体的に構成されていてもよい。構造体32は、光電変換膜22の下部電極を兼ねていてもよい。
図4Cに示す例では、構造体32は、光電変換部11の下部電極(読み出し電極)でもある。複数の構造体32は、下部電極の一部ともいえる。なお、構造体31,32は、例えば、リソグラフィ及びエッチングを利用して形成可能である。
【0067】
図5は、実施の形態に係る撮像装置の光電変換部における電界の一例を説明するための図である。
図5において、光電変換膜22内の実線は、等電位線を模式的に示している。また、
図5において、黒丸は、信号電荷(例えば電子)を模式的に示し、破線矢印は、信号電荷の軌跡(走行の軌跡)を模式的に示している。なお、白抜き矢印は、光電変換膜22を含む光電変換部11への入射光を模式的に示している。
【0068】
上述のように、構造体31及び構造体32が設けられることで、
図5に示す例のように光電変換膜22に電界(電位勾配)が生じ得る。このため、
図5において破線矢印で示すように、光電変換部11において光電変換された電荷を構造体32側に移動させることができる。
図5に示す例では、構造体31及び構造体32によって加えられる電界によって、光電変換部11で生成された信号電荷を構造体32側に効率よく転送することが可能となる。
【0069】
このように、本実施の形態では、光電変換膜22に対して突出部である構造体31,32が設けられることで、光電変換膜22内に電界(電位勾配)を形成することができ、光電変換により生成される信号電荷を効率よく回収することができる。特に微細画素の場合も、量子効率(QE)の低下を抑制することが可能となる。また、光電変換膜22内における信号電荷の発生位置によらず、信号電荷を読み出し電極(例えば下部電極24)側へ転送させることができる。
【0070】
また、撮像装置1では、光電変換部11に接合部でのバンド曲がりによる強電界を生じさせることができる。このため、光電変換膜22が低移動度の材料(量子ドット、有機材料等)からなる場合であっても、信号電荷を読み出し電極側へ到達させることができる。光電変換された電荷が再結合して消滅してしまうことを抑制し、量子効率の低下を抑制することが可能となる。入射光に対する感度を向上させることが可能となる。
【0071】
なお、上部電極23及び下部電極24によって、構造体31,32と光電変換膜22に電圧を加えることも可能である。例えば、信号電荷の読み出しを行う場合に電極間への電圧の印加を行うことで、光電変換膜22からの電荷転送を効率よく行うことが可能となる。
【0072】
図6、
図7A~
図7Cは、実施の形態に係る撮像装置の光電変換部の構成例を示す図である。
図6は、光電変換部11の断面構成の一例を示している。
図7Aは、光電変換部11の複数の構造体31の平面構成の一例を示している。
図7Bは、光電変換部11の複数の構造体32の平面構成の一例を示している。また、
図7Cでは、光電変換部11の構造体31と構造体32とを図示しており、構造体31と構造体32との位置関係を表している。
【0073】
撮像装置1の各画素Pにおいて、構造体31と構造体32との間隔は、例えば、1μm以下であってよい。
図6に示すように、構造体31の下端(底部)と構造体32の上端(先端)との間隔a1は、1μm以下であってよい。また、構造体31の上端(先端)と構造体32の下端(底部)との間隔a2は、1μm以下としてもよい。このように撮像装置1を構成することにより、光電変換により生じた信号電荷が移動する距離を抑えることができ、量子効率の低下を効果的に抑制することが可能となる。
【0074】
図6に示す例のように、上部電極23、光電変換膜22、下部電極24等の積層方向(
図6ではZ軸方向)における構造体31の高さ(長さ)h1は、例えば、1μm以下であってよい。また、構造体32の高さh2は、1μm以下であってよい。信号電荷の移動距離が1μm程度となるように、構造体31の高さh1、構造体32の高さh2等が調整される。これにより、量子効率の低下を抑制することが可能となる。
【0075】
また、
図7Aに示すように、隣り合う複数の構造体31の間隔d1は、例えば、1μm以下であってよい。また、
図7Bに示すように、隣り合う複数の構造体32の間隔d2は、例えば、1μm以下としてもよい。この場合、複数の構造体31の間と、複数の構造体32の間において電界を効果的に生じさせ、空乏層を形成することができる。これにより、光電変換膜22の膜厚が大きい場合に量子効率が低下することを抑制することが可能となる。
【0076】
図8は、実施の形態に係る撮像装置の光電変換部の別の構成例を示す図である。
図8に示す例のように、構造体31と構造体32とは、XY平面方向において、光電変換膜22の一部を挟むように設けられてもよい。
図8に示す例では、隣り合う複数の構造体31は、光電変換膜22の一部と構造体32の一部とを挟むように配置される。
【0077】
また、隣り合う複数の構造体32は、光電変換膜22の一部と構造体31の一部とを挟んで配置され得る。
図8に示す例では、複数の構造体31と複数の構造体32とが、オーバーラップするように設けられる。このように撮像装置1を構成することにより、光電変換膜22の厚み(膜厚)tが大きくなった場合(例えばt≧2μm)においても、光電変換膜22内において非空乏化領域が発生することを抑制することができ、量子効率の低下を抑えることが可能となる。
【0078】
図9は、実施の形態に係る撮像装置の断面構成の一例を説明するための図である。撮像装置1は、上述した光電変換部11をそれぞれ有する複数の画素Pと、レンズ90と、画素分離部40とを有する。レンズ90は、上方から入射する光を光電変換部11側へ導く。レンズ90(レンズ部)は、オンチップレンズとも呼ばれる光学部材である。
【0079】
レンズ90は、例えば、画素P毎または複数の画素P毎に、光電変換部11の上方に設けられる。レンズ90には、撮像レンズ等の光学系を介して被写体からの光が入射する。画素Pの光電変換部11は、レンズ90を介して入射する光を光電変換する。
【0080】
画素分離部40は、例えば、絶縁材料を用いて構成され、隣り合う複数の画素Pの境界に設けられる。
図9に示す例では、画素分離部40は、隣り合う複数の画素Pの各々の下部電極24の間に設けられる。画素分離部40は、酸化膜(例えばシリコン酸化膜)、窒化膜(例えばシリコン窒化膜)等の絶縁膜(絶縁体)により構成され得る。
【0081】
図10は、実施の形態に係る撮像装置の断面構成の一例を示す図である。撮像装置1は、
図10に示すように、半導体基板120を備える。半導体基板120は、対向する第1面11S1及び第2面11S2を有する。第2面11S2は、第1面11S1とは反対側の面である。半導体基板120は、例えば、シリコン基板により構成される。
【0082】
半導体基板120は、半導体層ともいえる。半導体基板120には、
図3を用いて上述した読み出し回路20が設けられる。光電変換部11の下部電極24は、フローティングディフュージョンFDとトランジスタAMPのゲート部に電気的に接続される。光電変換部11は、半導体基板120の上方に配置されている。ここで、半導体基板120における光入射面を上方とし、半導体基板120の反対側を下方とする。
【0083】
光電変換部11の下部電極24は、層間絶縁層81上に形成されている。下部電極24上には、複数の構造体32と、光電変換膜22と、複数の構造体31と、上部電極23とが形成されている。上部電極23を含む全面には、保護層82が形成されている。レンズ90は、保護層82の上に設けられている。層間絶縁層81及び保護層82は、それぞれ、絶縁材料(SiO、SiN等)から構成される。
【0084】
半導体基板120の第1面11S1側には、素子分離領域71と酸化膜72が形成されている。また、半導体基板120の第1面11S1側には、読み出し回路20のトランジスタRST、トランジスタAMP、トランジスタSEL、フローティングディフュージョンFD等が設けられている。
【0085】
トランジスタRSTは、ゲート部51、チャネル形成領域51A、及び、ソース/ドレイン領域51B,51Cを有する。トランジスタRSTのソース/ドレイン領域51Cは、フローティングディフュージョンFDを兼ねている。また、他方のソース/ドレイン領域51Bは、電源電圧VDDが供給される電源線に電気的に接続される。
【0086】
光電変換部11の下部電極24は、層間絶縁層81内に設けられた接続孔64、パッド部63、層間絶縁層78に形成されたコンタクトホール部61、層間絶縁層78に形成された配線層62を介して、トランジスタRSTの一方のソース/ドレイン領域51C(フローティングディフュージョンFD)に電気的に接続されている。
【0087】
トランジスタAMPは、ゲート部52、チャネル形成領域52A、及び、ソース/ドレイン領域52B,52Cを有する。ゲート部52は、配線層62を介して、下部電極24及びトランジスタRSTの一方のソース/ドレイン領域51C(フローティングディフュージョンFD)に接続されている。また、一方のソース/ドレイン領域52Bは、トランジスタRSTを構成する他方のソース/ドレイン領域51Bと、領域を共有しており、電源電圧VDDが供給される電源線に接続されている。
【0088】
トランジスタSELは、ゲート部53、チャネル形成領域53A、及び、ソース/ドレイン領域53B,53Cを有する。一方のソース/ドレイン領域53Bは、トランジスタAMPを構成する他方のソース/ドレイン領域52Cと、領域を共有しており、他方のソース/ドレイン領域53Cは、垂直信号線VSLに接続されている。
【0089】
[作用・効果]
本実施の形態に係る光検出装置は、第1電極(例えば上部電極23)と、第1電極に対向するように設けられる第2電極(例えば下部電極24)と、第1電極と第2電極との間において第1電極側にそれぞれ設けられる複数の第1構造体(例えば構造体31)と、複数の第1構造体と第2電極との間に設けられる光電変換膜(光電変換膜22)とを備える。
【0090】
本実施の形態に係る光検出装置(撮像装置1)では、光電変換膜22は、複数の構造体31と下部電極24との間に設けられる。このため、構造体31によって光電変換膜22に電界を生じさせることができ、量子効率を向上させることが可能となる。良好な検出性能を有する光検出装置を実現することが可能となる。
【0091】
次に、本開示の変形例について説明する。以下では、上記実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0092】
<2.変形例>
(2-1.変形例1)
上述した実施の形態では、構造体31及び構造体32の構成例について説明したが、構造体31及び構造体32の構成は上述した例に限られない。
図11A及び
図11Bは、本開示の変形例1に係る撮像装置の光電変換部の構成例を説明するための図である。
図11Aは、光電変換部11の複数の構造体31の平面構成の一例を示している。
図11Bは、光電変換部11の複数の構造体32の平面構成の一例を示している。
【0093】
図11A及び
図11Bに示すように、光電変換部11において、構造体31及び構造体32を、X軸方向及びY軸方向に対して45°ずらして配置するようにしてもよい。構造体31及び構造体32を、画素Pまたは光電変換部11の形状に対して45°ずらして配置してもよい。
【0094】
(2-2.変形例2)
図12Aは、変形例2に係る撮像装置の光電変換部の断面構成の一例を示す図である。構造体31及び構造体32の各々の形状は、適宜変更可能であり、例えば、それぞれ
図12Aに示す例のように、台形の形状を有していてもよい。構造体31及び構造体32は、円錐台の形状を有していてもよい。構造体31及び構造体32は、テーパー(傾斜部)を有し、テーパー状の形状を有するともいえる。
【0095】
図12B~
図12Dは、変形例2に係る撮像装置の光電変換部の断面構成の別の例を示す図である。
図12Bに示す例のように、構造体31及び構造体32は、それぞれ、針状の構造を有していてもよい。また、例えば、
図12Cに示す例のように、構造体31及び構造体32は、それぞれ、パラボリック状の構造を有していてもよい。
図12Dに示す例では、構造体31及び構造体32は、それぞれ、円錐状の形状、または、ピラミッド状の形状を有し得る。
【0096】
図13及び
図14は、変形例2に係る撮像装置の光電変換部の平面構成の一例を示す図である。構造体31及び構造体32は、それぞれ、
図13に示す例のように、平面視において三角形の形状を有していてもよい。また、構造体31,32は、それぞれ、
図14に示す例のように平面視において円状の形状であってもよく、平面視において楕円状の形状であってもよい。
【0097】
撮像装置1では、
図13又は
図14に示すように、構造体31,32の密度を大きくすることができ、光電変換膜22に対して効果的に電界を与えることが可能となる。なお、構造体31,32は、平面視において、四角形の形状を有していてもよい。また、構造体31,32は、平面視において、多角形、又はその他の形状であってもよい。
【0098】
図15A及び
図15Bは、変形例2に係る撮像装置の光電変換部の別の構成例を説明するための図である。
図15Aは、光電変換部11の複数の構造体31の平面構成の一例を示している。
図15Bは、光電変換部11の複数の構造体32の平面構成の一例を示している。構造体31及び構造体32は、
図15A及び
図15Bに示す例のように、ライン状(線状)の形状を有していてもよい。構造体31及び構造体32は、ストライプ状の形状を有するともいえる。
【0099】
(2-3.変形例3)
図16A、
図16B、
図17A、及び
図17Bは、変形例3に係る撮像装置の光電変換部の構成例を説明するための図である。上述した実施の形態及び変形例では、構造体31と構造体32とを有する光電変換部11の構成例について説明した。しかし、光電変換部11を、構造体31及び構造体32の一方のみを有する構成としてもよい。
【0100】
例えば、
図16Aに示す例のように、構造体32のみを配置し、構造体31を配置しなくてもよい。なお、構造体32は、下部電極24と一体的に構成されてもよい。
図16Bに示す例では、構造体32は、下部電極(読み出し電極)を兼ねている。複数の構造体32は、下部電極の一部ともいえる。
【0101】
図17Aに示す例のように、構造体31のみを配置し、構造体32を配置しないようにしてもよい。また、構造体31は、上部電極23と一体的に構成されていてもよい。
図17Bに示す例では、構造体31は、上部電極(共通電極)を兼ねている。複数の構造体31は、上部電極の一部ともいえる。なお、以降の変形例においても、光電変換部11を、構造体31及び構造体32の一方のみを有する構成としてもよい。また、以降の変形例においても、構造体31は上部電極23と一体に設けられてもよく、構造体32は下部電極24と一体に設けられてもよい。
【0102】
(2-4.変形例4)
図18A及び
図18Bは、変形例4に係る撮像装置の断面構成の一例を説明するための図である。撮像装置1は、
図18A又は
図18Bに示すように、分離部75を有していてもよい。分離部75は、隣り合う画素P(又は光電変換部11)の境界に設けられるトレンチ(溝部)を用いて構成される。分離部75は、例えば、DTI(Deep Trench Isolation)構造を有する。
【0103】
分離部75は、例えば、
図18Aに示す例のように、上部電極23を貫通するように設けられる。分離部75は、Z軸方向に延び、光電変換膜22内に達するように形成される。分離部75は、複数の構造体31の間に設けられている。分離部75が設けられることで、画素Pの光電変換部11で光電変換された電荷が周囲の画素Pへ漏れることを抑制することができる。また、周囲の画素Pに光が漏れることを抑制することができる。画素間のクロストークを抑えることが可能となる。
【0104】
分離部75のトレンチ内には、一例として、絶縁膜、例えばシリコン酸化膜が設けられる。分離部75のトレンチには、ポリシリコン、金属材料等が埋め込まれていてもよい。また、分離部75は、低屈折率を有する他の誘電体材料を用いて形成されてもよい。例えば、分離部75のトレンチ内には、空隙(空洞)が設けられていてもよい。
【0105】
分離部75のトレンチ内に金属材料等が設けられることで、周囲の画素Pに光が漏れることを効果的に抑制することができる。分離部75には、所定の電位(電圧)を与えるようにしてもよい。分離部75は、例えば、配線層の配線等を介して、バイアス電圧が与えられ、シールド電極を構成し得る。
【0106】
分離部75は、
図18Bに示すように、上部電極23と下部電極24とを貫通するように設けられてもよい。分離部75は、例えば、FTI(Full Trench Isolation)構造を有する。分離部75は、複数の構造体31の間と、複数の構造体32の間に設けられている。本変形例では、分離部75が設けられることで、画素信号にノイズが混入することを抑制することが可能となる。
【0107】
(2-5.変形例5)
図19A及び
図19Bは、変形例5に係る撮像装置の断面構成の一例を説明するための図である。撮像装置1は、
図19A又は
図19Bに示すように、フィルタ92を有していてもよい。光学系からの光が入射する側に、レンズ90及びフィルタ92が設けられている。光電変換部11は、レンズ90及びフィルタ92を介して入射する光を光電変換する。
【0108】
フィルタ92は、入射する光のうちの特定の波長域の光を選択的に透過させるように構成される。フィルタ92は、例えば、可視光と近赤外光を遮光するフィルタ(NIR-Cut filter)である。また、例えば、フィルタ92は、赤外光を透過するフィルタ(近赤外光(NIR光)、短波赤外光(SWIR光)を透過するフィルタ等)である。フィルタ92は、例えば、画素P毎または複数の画素P毎に、光電変換部11の上方に設けられる。なお、画素部100の各画素Pに設けられるフィルタ92は、RGBのカラーフィルタであってもよい。フィルタ92は、Cy(シアン)、Mg(マゼンタ)、Ye(イエロー)等の補色系のカラーフィルタであってもよい。
【0109】
(2-6.変形例6)
図20A~
図20Cは、変形例6に係る撮像装置の断面構成の一例を説明するための図である。撮像装置1は、
図20Aに示すように、分離壁76を有していてもよい。分離壁76は、例えば金属材料により構成され、隣り合う複数のレンズ90の間に設けられる。なお、分離壁76は、低屈折率材料を用いて構成されてもよい。なお、上述したフィルタ92の間に、分離壁76を形成するようにしてもよい。
【0110】
本変形例では、分離壁76が設けられることで、クロストークを抑制することができる。なお、
図20B又は
図20Cに示すように、撮像装置1の各画素Pには、分離壁76と分離部75を設けるようにしてもよい。なお、分離部75は、
図20Cに示す例のように、上部電極23と下部電極24とを貫通するように設けられてもよい。
【0111】
(2-7.変形例7)
図21A及び
図21Bは、変形例7に係る撮像装置の断面構成の一例を説明するための図である。撮像装置1は、導光部材60を有していてもよい。導光部材60(導光部)は、複数のナノ構造体(微細構造体、ナノポスト等とも称される)と周囲の媒質との屈折率差によって、入射した光の進行方向を変化させ、集光させることが可能となる。導光部材60は、メタサーフェス技術を利用して光を集光する光学素子(メタレンズ)ともいえる。なお、
図21A又は
図21Bに示すように、撮像装置1は、分離部75を有していてもよい。分離部75は、
図21Bに示す例のように、上部電極23と下部電極24とを貫通するように設けられてもよい。
【0112】
<3.適用例>
(適用例1)
上述したような光検出装置(撮像装置1)は、例えば、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮像システム、撮像機能を備えた携帯電話機、または、撮像機能を備えた他の機器といった各種の電子機器に適用することができる。
【0113】
図22は、電子機器の構成例を示すブロック図である。
【0114】
図22に示すように、電子機器101は、光学系102、光検出装置103、DSP(Digital Signal Processor)104を備えており、バス107を介して、DSP104、表示装置105、操作系106、メモリ108、記録装置109、および電源系110が接続されて構成され、静止画像および動画像を撮像可能である。
【0115】
光学系102は、1枚または複数枚のレンズを有して構成され、被写体からの像光(入射光)を光検出装置103に導き、光検出装置103の受光面(センサ部)に結像させる。
【0116】
光検出装置103としては、上述した光検出装置(撮像装置1)が適用可能である。光検出装置103には、光学系102を介して受光面に結像される像に応じて、一定期間、電子が蓄積される。そして、光検出装置103に蓄積された電子に応じた信号がDSP104に供給される。
【0117】
DSP104は、光検出装置103からの信号に対して各種の信号処理を施して画像を取得し、その画像のデータを、メモリ108に一時的に記憶させる。メモリ108に記憶された画像のデータは、記録装置109に記録されたり、表示装置105に供給されて画像が表示されたりする。また、操作系106は、ユーザによる各種の操作を受け付けて電子機器101の各ブロックに操作信号を供給する。電源系110は、電子機器101の各ブロックの駆動に必要な電力を供給する。
【0118】
(適用例2)
図23Aは、光検出装置(撮像装置1)を備えた光検出システム2000の全体構成の一例を模式的に表したものである。
図23Bは、光検出システム2000の回路構成の一例を模式的に表したものである。光検出システム2000は、光L2を発する光源部としての発光装置2001と、光電変換素子を有する受光部としての光検出装置2002とを備えている。
【0119】
光検出装置2002としては、上述した光検出装置(撮像装置1)を用いることができる。光検出システム2000は、さらに、システム制御部2003、光源駆動部2004、センサ制御部2005、光源側光学系2006およびカメラ側光学系2007を備えていてもよい。
【0120】
光検出装置2002は、光L1と光L2とを検出することができる。光L1は、外部からの環境光が被写体2100(測定対象物)において反射された光である(
図23A参照)。光L2は、発光装置2001において発光された光のうち、被写体2100に反射された光である。光L1は、例えば可視光であり、光L2は、例えば赤外光である。
【0121】
光L1は、光検出装置2002における光電変換部において検出可能であり、光L2は、光検出装置2002における光電変換部において検出可能である。光L1から被写体2100の画像情報を獲得し、光L2から被写体2100と光検出システム2000との間の距離情報を獲得することができる。
【0122】
光検出システム2000は、例えば、スマートフォン等の電子機器や車等の移動体に搭載することができる。発光装置2001は、例えば、半導体レーザ、面発光半導体レーザ、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)を用いて構成することができる。
【0123】
発光装置2001から発光された光L2の光検出装置2002による検出方法としては、例えばiTOF方式を採用することができるが、これに限定されることはない。iTOF方式では、光電変換部は、例えば光飛行時間(Time-of-Flight;TOF)により被写体2100との距離を測定することができる。
【0124】
発光装置2001から発光された光L2の光検出装置2002による検出方法としては、例えば、ストラクチャード・ライト方式やステレオビジョン方式を採用することもできる。例えばストラクチャード・ライト方式では、あらかじめ定められたパターンの光を被写体2100に投影し、そのパターンのひずみ具合を解析することによって光検出システム2000と被写体2100との距離を測定することができる。
【0125】
また、ステレオビジョン方式においては、例えば2以上のカメラを用い、被写体2100を2以上の異なる視点から見た2以上の画像を取得することで光検出システム2000と被写体との距離を測定することができる。なお、発光装置2001と光検出装置2002とは、システム制御部2003によって同期制御することができる。
【0126】
<4.応用例>
(移動体への応用例)
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0127】
図24は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0128】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図24に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0129】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0130】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0131】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0132】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0133】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0134】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0135】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0136】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0137】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図24の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0138】
図25は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0139】
図25では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0140】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0141】
なお、
図25には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0142】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0143】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0144】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0145】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0146】
以上、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部12031に適用され得る。具体的には、例えば、撮像装置1等は、撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、高精細な撮影画像を得ることが可能となる。移動体制御システムにおいて撮影画像を利用した高精度な制御を行うことが可能となる。
【0147】
(内視鏡手術システムへの応用例)
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0148】
図26は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0149】
図26では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0150】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0151】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0152】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0153】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0154】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0155】
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0156】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0157】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0158】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0159】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0160】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0161】
図27は、
図26に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0162】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0163】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0164】
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0165】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0166】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0167】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0168】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0169】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0170】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0171】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0172】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0173】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0174】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0175】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0176】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0177】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0178】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、内視鏡11100のカメラヘッド11102に設けられた撮像部11402に好適に適用され得る。撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、高精細な内視鏡11100を提供することが可能となる。
【0179】
以上、実施の形態、変形例および適用例ならびに応用例を挙げて本開示を説明したが、本技術は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上述した変形例は、上記実施の形態の変形例として説明したが、各変形例の構成を適宜組み合わせることができる。
【0180】
上記実施の形態等では、撮像装置を例示して説明するようにしたが、本開示の光検出装置は、例えば、入射する光を受光し、光を電荷に変換するものであればよい。出力される信号は、画像情報の信号でもよいし、測距情報の信号でもよい。光検出装置(撮像装置)は、イメージセンサ、測距センサ等に適用され得る。
【0181】
本開示に係る光検出装置は、TOF(Time Of Flight)方式の距離計測が可能な測距センサとしても適用され得る。光検出装置(撮像装置)は、イベントを検出可能なセンサ、例えば、イベント駆動型のセンサ(EVS(Event Vision Sensor)、EDS(Event Driven Sensor)、DVS(Dynamic Vision Sensor)等と呼ばれる)としても適用され得る。
【0182】
本開示の一実施形態の光検出装置は、第1電極と、第2電極と、第1電極と第2電極との間において第1電極側にそれぞれ設けられる複数の第1構造体と、複数の第1構造体と第2電極との間に設けられる光電変換膜とを備える。このため、良好な検出性能を有する光検出装置を実現することが可能となる。
【0183】
本開示の一実施形態の光検出装置は、光電変換膜と、光電変換膜とバンド曲がりを伴いそれぞれ接合される複数の第1構造体とを備える。このため、良好な検出性能を有する光検出装置を実現することが可能となる。
【0184】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であってその記載に限定されるものではなく、他の効果があってもよい。また、本開示は以下のような構成をとることも可能である。
(1)
第1電極と、
前記第1電極に対向するように設けられる第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間において前記第1電極側にそれぞれ設けられる複数の第1構造体と、
前記複数の第1構造体と前記第2電極との間に設けられる光電変換膜と
を備える光検出装置。
(2)
複数の前記第1構造体は、前記第1電極側において第1方向に並んで設けられ、
前記光電変換膜の一部は、複数の前記第1構造体の間に設けられている
前記(1)に記載の光検出装置。
(3)
前記複数の第1構造体は、一体に設けられている
前記(1)または(2)に記載の光検出装置。
(4)
前記第1構造体は、前記光電変換膜とバンド曲がりを伴い接合される電極である
前記(1)から(3)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(5)
前記第1構造体は、金属材料または半導体材料からなる
前記(1)から(4)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(6)
前記第1電極と前記第2電極と前記第1構造体と前記光電変換膜とを含む第1光電変換素子をそれぞれ有する複数の画素を備える
前記(1)から(5)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(7)
隣り合う複数の前記画素の境界に設けられる分離部をさらに備える
前記(6)に記載の光検出装置。
(8)
前記第1電極と前記第2電極との間において前記第2電極側にそれぞれ設けられる複数の第2構造体をさらに備える
前記(1)から(7)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(9)
前記光電変換膜は、前記複数の第1構造体と前記複数の第2構造体との間に設けられている
前記(8)に記載の光検出装置。
(10)
複数の前記第2構造体は、前記第2電極側において第1方向に並んで設けられ、
前記光電変換膜の一部は、複数の前記第2構造体の間に設けられている
前記(8)または(9)に記載の光検出装置。
(11)
複数の前記第1構造体と複数の前記第2構造体とは、第1方向および前記第1方向に交差する第2方向に並んで設けられ、
前記第1構造体と前記第2構造体とは、前記光電変換膜の一部を挟むように設けられている
前記(8)から(10)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(12)
前記複数の第2構造体は、一体に設けられている
前記(8)から(11)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(13)
前記第1構造体の下端と前記第2構造体の上端との間隔、及び、前記第1構造体の上端と前記第2構造体の下端との間隔の少なくとも一方は、1μm以下である
前記(8)から(12)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(14)
前記第2構造体は、前記光電変換膜とバンド曲がりを伴い接合される電極である
前記(8)から(13)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(15)
前記第2構造体は、金属材料または半導体材料からなる
前記(8)から(14)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(16)
前記第1電極と前記第2電極と前記第1構造体と前記光電変換膜とを含む第1光電変換素子をそれぞれ有する複数の画素と、
隣り合う複数の前記画素の境界に設けられる分離部と
をさらに備え、
前記分離部の少なくとも一部は、複数の前記第1構造体の間に設けられる
前記(8)から(15)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(17)
前記分離部は、複数の前記第1構造体の間と、複数の前記第2構造体の間とに設けられている
前記(16)に記載の光検出装置。
(18)
前記第1構造体と前記第1電極とは、一体に設けられている
前記(1)から(17)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(19)
前記第2構造体と前記第2電極とは、一体に設けられている
前記(8)から(18)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(20)
前記光電変換膜は、量子ドット、有機化合物半導体、無機化合物半導体、ゲルマニウム、シリコン、または有機無機ペロブスカイトにより構成される
前記(1)から(19)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(21)
前記光電変換膜で変換された電荷に基づく信号を出力可能な読み出し回路をさらに備える
前記(1)から(20)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(22)
光電変換膜と、
前記光電変換膜とバンド曲がりを伴いそれぞれ接合される複数の第1構造体と
を備える光検出装置。
(23)
前記光電変換膜と前記第1構造体とを含む第1光電変換素子をそれぞれ有する複数の画素を備える
前記(22)に記載の光検出装置。
(24)
隣り合う複数の前記画素の境界に設けられる分離部をさらに備える
前記(23)に記載の光検出装置。
(25)
前記複数の第1構造体は、一体に設けられている
前記(22)から(24)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(26)
前記光電変換膜とバンド曲がりを伴いそれぞれ接合される複数の第2構造体をさらに備え、
前記光電変換膜は、前記複数の第1構造体と前記複数の第2構造体との間に設けられている
前記(22)から(25)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(27)
前記光電変換膜と前記第1構造体と前記第2構造体とを含む第1光電変換素子をそれぞれ有する複数の画素と、
隣り合う複数の前記画素の境界に設けられる分離部と
をさらに備え、
前記分離部の少なくとも一部は、複数の前記第1構造体の間に設けられる
前記(26)に記載の光検出装置。
(28)
前記複数の第2構造体は、一体に設けられている
前記(26)または(27)に記載の光検出装置。
(29)
光学系と、
前記光学系を透過した光を受光する光検出装置と
を備え、
前記光検出装置は、
第1電極と、
前記第1電極に対向するように設けられる第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間において前記第1電極側にそれぞれ設けられる複数の第1構造体と、
前記複数の第1構造体と前記第2電極との間に設けられる光電変換膜と
を有する
電子機器。
(30)
前記光検出装置は、前記第1電極と前記第2電極との間において前記第2電極側にそれぞれ設けられる複数の第2構造体をさらに有する
前記(29)に記載の電子機器。
(31)
光学系と、
前記光学系を透過した光を受光する光検出装置と
を備え、
前記光検出装置は、
光電変換膜と、
前記光電変換膜とバンド曲がりを伴いそれぞれ接合される複数の第1構造体と
を有する
電子機器。
(32)
前記光検出装置は、前記光電変換膜とバンド曲がりを伴いそれぞれ接合される複数の第2構造体をさらに有し、
前記光電変換膜は、前記複数の第1構造体と前記複数の第2構造体との間に設けられている
前記(31)に記載の電子機器。
【符号の説明】
【0185】
1…撮像装置、11…光電変換部、20…読み出し回路、22…光電変換膜、23…上部電極、24…下部電極、31,32…構造体、75…分離部、100…画素部。