(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164446
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】光検出装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20241120BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20241120BHJP
H01L 31/0232 20140101ALI20241120BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20241120BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L29/06 601D
H01L31/02 D
H04N25/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079922
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 寛
(72)【発明者】
【氏名】守屋 雄介
【テーマコード(参考)】
4M118
5C024
5F149
【Fターム(参考)】
4M118AA01
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5C024EX52
5C024GX02
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5F149LA01
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5F149LA09
5F149XB05
5F149XB24
(57)【要約】
【課題】良好な検出性能を有する光検出装置を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態の光検出装置は、複数の第1構造体を含む第1導光部材と、第1電極と、前記第1電極に対向するように設けられる第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられる光電変換膜とを有し、前記第1導光部材を介して入射する光を光電変換する第1光電変換素子とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1構造体を含む第1導光部材と、
第1電極と、前記第1電極に対向するように設けられる第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられる光電変換膜とを有し、前記第1導光部材を介して入射する光を光電変換する第1光電変換素子と
を備える光検出装置。
【請求項2】
前記第1構造体は、赤外光の波長域以下の大きさを有する
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記第1構造体の周囲に設けられる絶縁層をさらに備え、
前記第1構造体の屈折率は、前記絶縁層の屈折率よりも高い
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記第1導光部材は、入射光を分光する
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記第1光電変換素子の隣に設けられ、前記第1導光部材を介して入射する光を光電変換する第2光電変換素子をさらに備え、
前記第1導光部材は、入射光のうち、第1波長の光を前記第1光電変換素子へ導き、第2波長の光を前記第2光電変換素子へ導く
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記第1光電変換素子の隣に設けられ、前記第1導光部材を介して入射する光を光電変換する第3光電変換素子をさらに備え、
前記第1導光部材は、入射光のうち、第1波長の光を前記第1光電変換素子へ導き、第2波長の光を前記第2光電変換素子へ導き、第3波長の光を前記第3光電変換素子へ導く
請求項5に記載の光検出装置。
【請求項7】
前記第1光電変換素子の上方に設けられるフィルタをさらに備え、
前記第1光電変換素子は、前記第1導光部材と前記フィルタとを介して入射する光を光電変換する
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項8】
複数の第2構造体を含み、前記第1光電変換素子の上方に設けられる第2導光部材をさらに備え、
前記第1光電変換素子は、前記第1導光部材と前記第2導光部材とを介して入射する光を光電変換する
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項9】
前記第2導光部材は、前記第1導光部材を介して入射する光を分光する
請求項8に記載の光検出装置。
【請求項10】
前記第1電極の上方に設けられ、光が入射する開口部を有する遮光部材をさらに備える
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項11】
前記遮光部材は、前記開口部を通過した光のうち、前記第1光電変換素子で反射された入射光を反射する反射部材である
請求項10に記載の光検出装置。
【請求項12】
前記遮光部材は、入射光を吸収する吸収部材である
請求項10に記載の光検出装置。
【請求項13】
前記遮光部材は、前記第1電極の上方に設けられる反射部材と、前記反射部材の上方に積層される吸収部材とを有する
請求項10に記載の光検出装置。
【請求項14】
前記第1光電変換素子を含む複数の光電変換素子と、
隣り合う複数の前記光電変換素子の間に設けられる分離部と
をさらに備える
請求項10に記載の光検出装置。
【請求項15】
前記分離部は、前記光電変換素子を貫通するように設けられている
請求項14に記載の光検出装置。
【請求項16】
前記光電変換素子を含む画素を有し、
前記画素は、前記遮光部材と前記分離部とを含む光閉じ込め構造を有する
請求項14に記載の光検出装置。
【請求項17】
前記第1導光部材と前記第1電極とは、一体に設けられている
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項18】
前記光電変換膜は、ナノ粒子を有する
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項19】
前記第1構造体は、柱状の形状を有する
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項20】
光学系と、
前記光学系を透過した光を受光する光検出装置と
を備え、
前記光検出装置は、
複数の第1構造体を含む第1導光部材と、
第1電極と、前記第1電極に対向するように設けられる第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられる光電変換膜とを有し、前記第1導光部材を介して入射する光を光電変換する第1光電変換素子と
を有する
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光検出装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタと、受光領域および電極を有する光電変換部とを有し、入射光に応じて信号電荷を生成する撮像装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光を検出する装置では、検出性能を向上させることが望ましい。
【0005】
良好な検出性能を有する光検出装置を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態の光検出装置は、複数の第1構造体を含む第1導光部材と、第1電極と、第1電極に対向するように設けられる第2電極と、第1電極と第2電極との間に設けられる光電変換膜とを有し、第1導光部材を介して入射する光を光電変換する第1光電変換素子とを備える。
本開示の一実施形態の電子機器は、光学系と、光学系を透過した光を受光する光検出装置とを備える。光検出装置は、複数の第1構造体を含む第1導光部材と、第1電極と、第1電極に対向するように設けられる第2電極と、第1電極と第2電極との間に設けられる光電変換膜とを有し、第1導光部材を介して入射する光を光電変換する第1光電変換素子とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本開示の実施の形態に係る光検出装置の一例である撮像装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施の形態に係る撮像装置の画素の構成例を説明するための図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施の形態に係る撮像装置の断面構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施の形態に係る撮像装置の平面構成の一例を説明するための図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施の形態に係る撮像装置の構成例を説明するための図である。
【
図6A】
図6Aは、本開示の実施の形態に係る撮像装置の導光部の平面構成の一例を説明するための図である。
【
図6B】
図6Bは、本開示の実施の形態に係る撮像装置の導光部の平面構成の一例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施の形態に係る撮像装置の構成例を説明するための図である。
【
図8A】
図8Aは、本開示の実施の形態に係る撮像装置の構成例を説明するための図である。
【
図8B】
図8Bは、本開示の実施の形態に係る撮像装置の構成例を説明するための図である。
【
図8C】
図8Cは、本開示の実施の形態に係る撮像装置の構成例を説明するための図である。
【
図9】
図9は、本開示の実施の形態に係る撮像装置の断面構成の一例を示す図である。
【
図10A】
図10Aは、本開示の実施の形態に係る撮像装置の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図10B】
図10Bは、本開示の実施の形態に係る撮像装置の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図10C】
図10Cは、本開示の実施の形態に係る撮像装置の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図10D】
図10Dは、本開示の実施の形態に係る撮像装置の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図10E】
図10Eは、本開示の実施の形態に係る撮像装置の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図11】
図11は、本開示の変形例1に係る撮像装置の構成例を説明するための図である。
【
図12】
図12は、本開示の変形例2に係る撮像装置の構成例を説明するための図である。
【
図13】
図13は、本開示の変形例2に係る撮像装置の遮光部材の構成例を説明するための図である。
【
図14】
図14は、本開示の変形例2に係る撮像装置の構成例を説明するための図である。
【
図15】
図15は、本開示の変形例2に係る撮像装置の別の構成例を説明するための図である。
【
図16】
図16は、本開示の変形例2に係る撮像装置の別の構成例を説明するための図である。
【
図17A】
図17Aは、本開示の変形例3に係る撮像装置の構成例を説明するための図である。
【
図17B】
図17Bは、本開示の変形例3に係る撮像装置の構成例を説明するための図である。
【
図18A】
図18Aは、本開示の変形例4に係る撮像装置の構成例を説明するための図である。
【
図18B】
図18Bは、本開示の変形例4に係る撮像装置の構成例を説明するための図である。
【
図19】
図19は、電子機器の構成例を示すブロック図である。
【
図20A】
図20Aは、光検出システムの全体構成の一例を模式的に表したものである。
【
図20B】
図20Bは、光検出システムの全体構成の一例を模式的に表したものである。
【
図21】
図21は、車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図22】
図22は、車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【
図23】
図23は、内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図24】
図24は、カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
3.適用例
4.応用例
【0009】
<1.実施の形態>
図1は、本開示の実施の形態に係る光検出装置の一例である撮像装置の概略構成の一例を示すブロック図である。光検出装置は、入射する光を検出可能な装置である。光検出装置である撮像装置1は、例えば、光学系を透過した光を受光して信号を生成し得る。撮像装置1(光検出装置)は、光電変換部(光電変換素子)を有する複数の画素Pを有し、入射した光を光電変換して信号を生成するように構成される。
【0010】
各画素Pの光電変換部は、例えばフォトダイオードであり、光を光電変換可能に構成される。撮像装置1は、複数の画素Pが行列状に2次元配置された領域(画素部100)を、撮像エリアとして有する。画素部100は、複数の画素Pが配置される画素アレイともいえる。各画素Pの光電変換部は、光電変換領域ともいえる。
【0011】
撮像装置1は、光学レンズを含む光学系(不図示)を介して、被写体からの入射光(像光)を取り込む。撮像装置1は、光学レンズにより形成される被写体の像を撮像し得る。撮像装置1は、受光した光を光電変換して画素信号を生成する。撮像装置1は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。撮像装置1は、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、携帯電話等の電子機器に利用可能である。
【0012】
撮像装置1は、
図1に示す例のように、画素部100(画素アレイ)の周辺領域に、例えば、垂直駆動回路111、信号処理回路112、水平駆動回路113、出力回路114、制御回路115、及び入出力端子116等を有する。また、撮像装置1には、複数の画素駆動線Lreadと、複数の垂直信号線VSLが設けられる。
【0013】
図1に示す例では、画素部100には、水平方向(行方向)に並ぶ複数の画素Pにより構成される画素行ごとに、複数の画素駆動線Lreadが配線される。画素駆動線Lreadは、画素Pを駆動する信号を伝えることが可能な信号線である。画素駆動線Lreadは、画素Pからの信号読み出しのための駆動信号を伝送するように構成される。
【0014】
また、画素部100には、垂直方向(列方向)に並ぶ複数の画素Pにより構成される画素列ごとに、垂直信号線VSLが配線される。垂直信号線VSLは、画素Pからの信号を伝えることが可能な信号線である。垂直信号線VSLは、画素Pから出力される信号を伝送するように構成される。
【0015】
垂直駆動回路111は、例えば、バッファ、シフトレジスタ、アドレスデコーダ等によって構成される。垂直駆動回路111は、画素部100の各画素Pを駆動可能に構成される。垂直駆動回路111は、画素Pを駆動するための信号を生成し、画素駆動線Lreadを介して画素部100の各画素Pへ出力する。垂直駆動回路111は、例えば、選択トランジスタを制御する信号、リセットトランジスタを制御する信号等を生成し、画素駆動線Lreadによって各画素Pに供給する。
【0016】
信号処理回路112は、入力される画素の信号の信号処理を実行可能に構成される。信号処理回路112は、例えば、負荷回路、AD(Analog Digital)変換回路、水平選択スイッチ等を有する。負荷回路は、一例として、画素Pの増幅トランジスタに電流を供給可能な電流源により構成される。負荷回路は、例えば、画素Pの増幅トランジスタと共にソースフォロア回路を構成する。
【0017】
信号処理回路112は、垂直信号線VSLを介して画素Pから読み出される信号を増幅するように構成された増幅回路部を有していてもよい。負荷回路及びAD変換回路等は、例えば、複数の垂直信号線VSLの各々に対して設けられる。画素部100の画素列ごとに、負荷回路及びAD変換回路等が設けられ得る。
【0018】
垂直駆動回路111によって選択走査された各画素Pから出力される信号は、垂直信号線VSLを介して信号処理回路112に入力される。信号処理回路112は、画素Pの信号のAD変換、CDS(Correlated Double Sampling:相関二重サンプリング)等の信号処理を行う。
【0019】
水平駆動回路113は、例えば、バッファ、シフトレジスタ、アドレスデコーダ等によって構成される。水平駆動回路113は、信号処理回路112の水平選択スイッチを駆動可能に構成される。水平駆動回路113は、信号処理回路112の各水平選択スイッチを走査しつつ順番に駆動する。垂直信号線VSLの各々を通して伝送される各画素Pの信号は、信号処理回路112により信号処理が施され、水平駆動回路113による選択走査によって順に水平信号線121に出力される。
【0020】
出力回路114は、入力される信号に対して信号処理を行い、信号を出力するように構成される。出力回路114は、信号処理回路112から水平信号線121を介して順次入力される画素の信号に対して信号処理を行い、処理後の画素の信号を出力する。出力回路114は、例えば、バッファリング、黒レベル調整、列ばらつき補正、及び各種デジタル信号処理等を行い得る。
【0021】
制御回路115は、撮像装置1の各部を制御可能に構成される。制御回路115は、半導体基板120の外部から与えられるクロック、動作モードを指令するデータ等を受け取り、また、撮像装置1の内部情報等のデータを出力し得る。制御回路115は、例えば、各種のタイミング信号を生成可能に構成されたタイミングジェネレータを有する。
【0022】
制御回路115は、タイミングジェネレータで生成された各種のタイミング信号(パルス信号、クロック信号等)に基づき、垂直駆動回路111、信号処理回路112、水平駆動回路113等の周辺回路の駆動制御を行う。入出力端子116は、外部との信号のやり取りを行うものである。
【0023】
なお、垂直駆動回路111、信号処理回路112、水平駆動回路113、水平信号線121、出力回路114、制御回路115等は、半導体基板120に設けられていてもよいし、他の基板に設けられていてもよい。撮像装置1は、複数の基板を積層して構成された構造(積層構造)を有していてもよい。
【0024】
図2は、実施の形態に係る撮像装置の画素の構成例を説明するための図である。画素Pは、光電変換部11と、読み出し回路15とを有する。光電変換部11(光電変換素子)は、光を受光して信号を生成するように構成される。読み出し回路15は、光電変換された電荷に基づく信号を出力可能に構成される。
【0025】
光電変換部11は、光電変換により電荷を生成可能に構成される。光電変換部11は、光電変換膜21と、上部電極22と、下部電極23とを含む。
図2に示す例では、光電変換部11は、光電変換膜21を有し、入射する光を電荷に変換する。光電変換部11は、光電変換を行って受光量に応じた電荷を生成する。光電変換部11で光電変換されて蓄積された電荷は、下部電極23によって、読み出し回路15のフローティングディフュージョンFDに転送される。
【0026】
読み出し回路15は、一例として、フローティングディフュージョンFDと、トランジスタAMPと、トランジスタSELと、トランジスタRSTとを有する。トランジスタAMP、トランジスタSEL、及びトランジスタRSTは、それぞれ、ゲート、ソース、ドレインの端子を有するMOSトランジスタ(MOSFET)である。
【0027】
図2に示す例では、トランジスタAMP、トランジスタSEL、及びトランジスタRSTは、それぞれNMOSトランジスタにより構成される。なお、画素Pのトランジスタは、必要に応じて、PMOSトランジスタにより構成されてもよい。
【0028】
フローティングディフュージョンFDは、蓄積部であり、転送された電荷を蓄積可能に構成される。フローティングディフュージョンFDは、光電変換部11で光電変換された電荷を蓄積し得る。フローティングディフュージョンFDは、転送された電荷を保持可能な保持部ともいえる。フローティングディフュージョンFDは、転送された電荷を蓄積し、フローティングディフュージョンFDの容量に応じた電圧に変換する。
【0029】
トランジスタAMPは、フローティングディフュージョンFDに蓄積された電荷に基づく信号を生成して出力するように構成される。
図2に示すように、トランジスタAMPのゲートは、フローティングディフュージョンFDと電気的に接続され、フローティングディフュージョンFDで変換された電圧が入力される。
【0030】
トランジスタAMPのドレインは、電源電圧VDDが供給される電源線と電気的に接続され、トランジスタAMPのソースは、トランジスタSELを介して垂直信号線VSLと電気的に接続される。トランジスタAMPは、増幅トランジスタであり、フローティングディフュージョンFDに蓄積された電荷に基づく信号、即ちフローティングディフュージョンFDの電圧に基づく信号を生成し、垂直信号線VSLへ出力し得る。
【0031】
トランジスタSELは、画素の信号の出力を制御可能に構成される。トランジスタSELは、信号SSELにより制御され、トランジスタAMPからの信号を垂直信号線VSLに出力可能に構成される。トランジスタSELは、画素の信号の出力タイミングを制御し得る。なお、トランジスタSELは、電源電圧VDDが与えられる電源線とトランジスタAMPとの間に設けられてもよい。また、必要に応じて、トランジスタSELを省略してもよい。
【0032】
トランジスタRSTは、フローティングディフュージョンFDの電圧をリセット可能に構成される。
図2に示す例では、トランジスタRSTは、電源電圧VDDが与えられる電源線と電気的に接続され、画素Pの電荷のリセットを実行可能に構成される。トランジスタRSTは、信号SRSTにより制御され、フローティングディフュージョンFDに蓄積された電荷をリセットし、フローティングディフュージョンFDの電圧をリセットし得る。トランジスタRSTは、リセットトランジスタである。
【0033】
なお、読み出し回路15の構成は、適宜変更であり、例えば、電荷を電圧に変換する際の変換効率(ゲイン)を変更可能に構成されてもよい。例えば、読み出し回路15は、変換効率の設定に用いる切り替えトランジスタ、容量素子等を有していてもよい。
【0034】
垂直駆動回路111(
図1参照)は、上述した画素駆動線Lreadを介して、各画素PのトランジスタSEL、トランジスタRST、切り替えトランジスタ等のゲートに制御信号を供給し、トランジスタをオン状態(導通状態)又はオフ状態(非導通状態)とする。撮像装置1の複数の画素駆動線Lreadには、トランジスタSELを制御する信号SSELを伝送する配線、トランジスタRSTを制御する信号SRSTを伝送する配線等が含まれる。
【0035】
トランジスタSEL、トランジスタRST、及び切り替えトランジスタ等は、垂直駆動回路111によってオンオフ制御される。垂直駆動回路111は、各画素Pの読み出し回路15を制御することによって、各画素Pから画素信号を垂直信号線VSLに出力させる。垂直駆動回路111は、各画素Pの画素信号を垂直信号線VSLへ読み出す制御を行い得る。
【0036】
図3は、実施の形態に係る撮像装置の断面構成の一例を示す図である。撮像装置1は、例えば、導光部40が設けられる絶縁層80と、受光層10と、多層配線層130と、半導体基板120とを有する。なお、
図3に示すように、被写体からの光の入射方向をZ軸方向、Z軸方向に直交する紙面左右方向をX軸方向、Z軸方向及びX軸方向に直交する方向をY軸方向とする。以降の図において、
図3の矢印の方向を基準として方向を表記する場合もある。
【0037】
撮像装置1は、導光部40を含む絶縁層80と、受光層10と、多層配線層130と、半導体基板120とがZ軸方向に積層された構成を有する。光が入射する側から、絶縁層80と、受光層10と、多層配線層130と、半導体基板120とが設けられている。
【0038】
絶縁層80は、保護層であり、受光層10に積層して設けられる。絶縁層80は、例えば、酸化膜、窒化膜、酸窒化膜等の絶縁膜からなる保護膜(パッシベーション膜)により構成される。絶縁層80は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(AlO)、樹脂材料等の絶縁材料を用いて形成され得る。
【0039】
絶縁層80は、酸化シリコン等の低屈折率の材料により構成されてもよく、検出対象とする波長域の光を透過する他の材料により構成されてもよい。なお、保護層である絶縁層80は、平坦化層(平坦化膜)ともいえる。
【0040】
受光層10は、複数の光電変換部11を有する。各画素Pの光電変換部11は、入射する光を吸収して電荷を生成し得る。各画素Pの光電変換部11(光電変換素子)は、
図3に示す例のように、光電変換膜21と、上部電極22と、下部電極23とを含む。また、光電変換部11は、バッファ層25を有し得る。
【0041】
光電変換膜21は、光電変換により電荷を生成可能に構成される。光電変換膜21は、入射する光を光電変換し、受光量に応じた電荷を生成し得る。光電変換膜21は、光電変換層ともいえる。光電変換膜21(光電変換層)は、例えば、量子ドットを有し、赤外光を受光して電荷を生成するように構成される。光電変換膜21は、量子ドット層(QD層)ともいえる。
【0042】
撮像装置1では、一例として、各画素Pに、量子ドットを用いて構成される光電変換膜21が設けられる。例えば、光電変換膜21は、ナノ粒子の集合体を含んで構成され得る。ナノ粒子としては、PbS、PbSe、PbTe、InP、InAs、InSb、CdS、CdSe、CdTe等が挙げられる。
【0043】
光電変換膜21は、例えば、近赤外(NIR)、短波赤外(SWIR)等の波長域の光を光電変換して電荷を生成するように構成される。光電変換膜21は、可視光を受光して電荷を生成するように構成されてもよい。光電変換膜21は、無機材料を用いて構成されてもよく、有機材料を用いて構成されてもよい。
【0044】
光電変換膜21として、有機材料からなる光電変換膜を設けるようにしてもよい。また、光電変換膜21として、無機材料からなる光電変換膜を配置してもよい。光電変換膜21は、例えば、有機半導体膜により構成されてもよいし、非晶質シリコン膜により構成されてもよい。光電変換膜21の材料は、例えば、計測対象となる入射光の波長域に応じて選択され得る。
【0045】
上部電極22は、複数の画素Pの光電変換膜21に共通の電極であり、例えば、光電変換膜21の一方の面側に設けられる。下部電極23は、画素P毎または複数の画素P毎に、光電変換膜21の他方の面側に設けられる。上部電極22及び下部電極23は、互いに対向するように設けられ得る。
【0046】
上部電極22及び下部電極23は、光電変換膜21を挟んで配置される。
図3に示す例では、下部電極23は、バッファ層25の一部と光電変換膜21の一部を挟んで、上部電極22に対向して設けられる。上部電極22は、光電変換膜21の上部の電極であり、下部電極23は、光電変換膜21の下部の電極である。
【0047】
上部電極22は、複数の画素Pに対して共通の電極であり、共通電極ともいえる。下部電極23は、光電変換膜21で変換された電荷の読み出しに用いる電極であり、読み出し電極ともいえる。下部電極23の周囲には、多層配線層130の絶縁膜131が設けられる。上部電極22及び下部電極23は、それぞれ互いに異なる配線、電極等を介して、例えば、半導体基板120に設けられた回路と電気的に接続される。
【0048】
上部電極22及び下部電極23は、例えば、それぞれ、ITO(インジウム錫酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)等により構成される。上部電極22及び下部電極23は、他の酸化スズ系材料、酸化亜鉛系材料等を用いて構成されてもよく、他の透明導電材料を用いて構成されてもよい。なお、下部電極23は、光を反射する他の金属材料により構成されてもよい。
【0049】
バッファ層25は、光電変換膜21と下部電極23との間に設けられる。バッファ層25は、例えば、酸化物半導体により構成され、光電変換膜21に対向するように配置される。バッファ層25は、光電変換膜21と下部電極23とに接合される。下部電極23は、バッファ層25と電気的に接続されている。バッファ層25の一部は、多層配線層130の絶縁膜131上に設けられている。バッファ層25は、光電変換膜21で光電変換された電荷の蓄積および輸送(転送)に用いる層であり、キャリア輸送層(又は電荷輸送層)とも称される。
【0050】
なお、バッファ層25は、有機半導体材料を用いて形成されてもよい。また、バッファ層25は、量子ドット(ナノ粒子)を用いて構成されてもよい。バッファ層25の材料は、例えば、光電変換膜21の材料、下部電極23の材料、キャリア(信号電荷)等に応じて選択され得る。光電変換膜21と上部電極22との間に、バッファ層を設けるようにしてもよい。
【0051】
撮像装置1は、光電変換膜21及び下部電極23間に設けられるバッファ層25(下部バッファ層)と、光電変換膜21及び上部電極22間に設けられるバッファ層(上部バッファ層)とを有していてもよい。なお、必要に応じて、バッファ層を省略してもよい。
【0052】
撮像装置1は、
図3に示すように、保護膜85を有する。保護膜85は、上部電極22の上に設けられる。保護膜85は、パッシベーション膜であり、上部電極22の表面全体を覆うように形成され得る。保護膜85は、例えば、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化シリコン(SiO
2)等により構成され得る。保護膜85は、他の絶縁材料を用いて構成されてもよい。保護膜85は、光電変換部11を覆う封止部材(封止部)ともいえる。
【0053】
多層配線層130は、例えば、導体膜および絶縁膜を含み、複数の配線およびビア(VIA)等を有する。多層配線層130は、半導体基板120に積層して設けられる。多層配線層130は、複数の配線が絶縁膜を間に積層された構成を有する。
図3に示す例では、多層配線層130は、絶縁膜131及び絶縁膜132を含む。多層配線層130の絶縁膜は、層間絶縁膜(層間絶縁層)ともいえる。
【0054】
多層配線層130の配線は、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、タングステン(W)等の金属材料を用いて形成される。多層配線層130の配線は、ポリシリコン(Poly-Si)、その他の導電材料を用いて構成されてもよい。層間絶縁膜は、例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)等を用いて形成される。
【0055】
半導体基板120は、例えば、Si(シリコン)基板により構成される。半導体基板120は、半導体層ともいえる。半導体基板120は、SOI(Silicon On Insulator)基板、SiGe(シリコンゲルマニウム)基板、SiC(シリコンカーバイド)基板等であってもよく、他の半導体材料を用いて形成されてもよい。
【0056】
半導体基板120及び多層配線層130には、例えば、上述した読み出し回路15が、画素P毎または複数の画素P毎に設けられる。上述した垂直駆動回路111、信号処理回路112、水平駆動回路113、出力回路114、制御回路115等は、半導体基板120及び多層配線層130、又は、半導体基板120とは別の基板に設けられ得る。なお、半導体基板120と多層配線層130の一部又は全部とを併せて、半導体基板120ということもできる。
【0057】
撮像装置1の画素Pは、配線31及び電極32を有する。配線31及び電極32は、光電変換部11で変換された電荷の読み出しに用いる配線及び電極である。配線31は、一例として、銅(Cu)、タングステン(W)等の金属材料を用いて構成される。配線31の周囲には、多層配線層130の絶縁膜131が設けられる。なお、
図3に示す例では、絶縁膜131は、下部電極23を覆うように形成される。
【0058】
配線31は、絶縁膜131内において下部電極23と電気的に接続され、絶縁膜132内において電極32と電気的に接続される。電極32は、例えば、銅、アルミニウム等の金属材料を用いて構成される。電極32の周囲には、多層配線層130の絶縁膜132が設けられる。
図3に示す例では、絶縁膜132は、電極32を覆うように形成される。下部電極23は、絶縁膜131内および絶縁膜132内に設けられた配線31を介して、電極32と電気的に接続される。
【0059】
撮像装置1では、配線31及び電極32等によって、光電変換部11の下部電極23と、半導体基板120に設けられた読み出し回路15とが電気的に接続される。光電変換部11で光電変換されて蓄積された電荷は、配線31及び電極32等を介して、読み出し回路15のフローティングディフュージョンFDに転送される。
【0060】
撮像装置1には、
図3に示す例のように、分離部50が設けられる。分離部50は、隣り合う複数の光電変換部11の間に形成され、光電変換部11間を分離する。分離部50は、例えば、隣り合う複数の画素Pの境界に設けられるトレンチ(溝部)を用いて構成される。分離部50は、画素分離壁(又は導光壁)ともいえる。
【0061】
分離部50は、例えば、上部電極22と光電変換膜21とバッファ層25とを貫通するように設けられる。分離部50が設けられることで、画素Pの光電変換部11で光電変換された電荷が周囲の画素Pへ漏れることが抑制される。また、周囲の画素Pに光が漏れることを抑制することができる。
【0062】
分離部50のトレンチ内には、一例として、絶縁膜、例えば酸化アルミニウム膜(Al2O3)、シリコン酸化膜(SiO2)等が設けられる。分離部50は、低屈折率を有する他の絶縁材料を用いて形成されてもよい。また、分離部50は、複数の膜を積層して構成されてもよい。分離部50のトレンチ内に、空隙(空洞)を設けるようにしてもよい。分離部50のトレンチ内に低屈折率材料等が設けられることで、周囲の画素Pに光が漏れることを効果的に抑制することができる。
【0063】
図4は、実施の形態に係る撮像装置の平面構成の一例を説明するための図である。撮像装置1では、
図4に示す例のように、平面視において各画素Pの光電変換部11をそれぞれ囲むように、複数の分離部50が形成され得る。
図4に示す例のように、撮像装置1では、光電変換部11の周囲に、複数の分離部50が離散的に設けられる。このため、各画素Pの共通電極となる上部電極22が分離(分断)されることを回避することができる。
【0064】
撮像装置1は、
図3に示すように、導光部40(導光部材)を有する。導光部40は、例えば、
図3に示す例のように、光電変換部11の上方に設けられる。導光部40は、構造体41を有し、入射した光を光電変換部11側へ導光するように構成される。
【0065】
撮像装置1の各画素Pの導光部40には、計測対象である被写体からの光が入射する。例えば、導光部40の複数の構造体41には、撮像レンズ等の光学系を透過した光が入射する。構造体41は、入射する光の所定波長以下の大きさの構造体である。
【0066】
構造体41は、ナノ構造体であり、例えば赤外光の波長域以下の大きさを有する。構造体41は、短波赤外光の波長域以下の大きさを有していてもよい。また、構造体41は、近赤外光の波長域以下の大きさを有していてもよく、可視光の波長域以下の大きさを有していてもよい。
【0067】
構造体41は、例えば、柱状(ピラー状)の構造体である。構造体41は、一例として、円柱状の形状を有する。なお、導光部40の構造体41の形状は、適宜変更可能であり、平面視において円形または四角形の形状であってもよい。構造体41の形状は、多角形、楕円、十字形、又はその他の形状であってもよい。
【0068】
撮像装置1では、絶縁層80に複数の構造体41が設けられる。絶縁層80は、充填部材として、隣り合う複数の構造体41の間を充填するように設けられる。絶縁層80の絶縁膜(充填部材)は、上述のようにシリコン酸化膜及び樹脂材料等であり、複数の構造体41の間に埋め込まれている。絶縁層80の絶縁膜は、構造体41を覆うように形成され得る。構造体41は、絶縁層80内に設けられ、絶縁層80の一部に置換して配置されるともいえる。
【0069】
導光部40(導光部材)は、ナノ構造体である構造体41を利用し、光を光電変換部11へ伝搬させる。構造体41は、微細構造体、メタアトム、ナノアトム、ナノポスト等とも称される。導光部40は、光を導光(伝搬)する光学素子(光学部材)である。導光部40(導光部材)は、光を導光可能な導光素子といえる。
【0070】
導光部40は、例えば、光を分光する分光素子(分光部)として構成される。導光部40は、入射する光に位相遅延を与え、
図5において矢印で模式的に示す例のように、光を分光するように構成され得る。導光部40は、例えば、画素P毎または複数の画素P毎に設けられる。
【0071】
導光部40の構造体41は、
図3及び
図5等に示す例では、ピラー(柱状部材)であり、光電変換部11の上部電極22の上方に位置する。複数の構造体41は、絶縁層80の一部を挟んで、X軸方向に互いに並んで配置される。例えば、
図6Aまたは
図6Bに示す例のように、導光部40の複数の構造体41は、平面視において、X軸方向と、X軸方向に交差するY軸方向に並んで設けられ得る。
【0072】
撮像装置1の各画素Pでは、入射光の所定波長以下、例えば赤外光の波長以下の間隔で、複数の構造体41が配置され得る。撮像装置1では、一例として、
図6Aまたは
図6Bに模式的に示す例のように、X軸方向及びY軸方向において、短波赤外光の波長域以下の間隔で、複数の構造体41が設けられ得る。なお、近赤外光(又は可視光)の波長域以下の間隔で、複数の構造体41を配置するようにしてもよい。
【0073】
導光部40の構造体41は、隣の媒質の屈折率とは異なる屈折率を有する。
図3に示す例では、構造体41は、絶縁層80の屈折率とは異なる屈折率を有する。構造体41は、構造体41の周囲に形成される絶縁層80の絶縁膜の屈折率とは異なる屈折率を有する。
【0074】
導光部40の構造体41は、例えば、絶縁層80の屈折率より高い屈折率を有する。構造体41は、絶縁層80の絶縁膜(シリコン酸化膜等)の屈折率よりも高い屈折率を有する材料により構成され得る。構造体41は、赤外領域において低い消衰係数を有する材料から構成されてもよい。構造体41は、例えば、アモルファスシリコン(a-Si)を用いて構成される。構造体41は、シリコン(Si)、ポリシリコン(Poly-Si)、ゲルマニウム(Ge)等を用いて構成されてもよい。
【0075】
構造体41は、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、インジウム(In)等の単体、酸化物、窒化物、酸窒化物、或いは、これらの複合物から構成されてもよい。例えば、構造体41は、酸化チタン(TiO)等の金属化合物(金属酸化物、金属窒化物等)により構成され得る。
【0076】
構造体41の材料は、計測対象となる入射光の波長域、周囲の媒質との屈折率差に応じて選択され得る。構造体41は、例えば、上述したような高屈折率材料により構成され、高屈折率部ともいえる。また、絶縁層80は、低屈折率部ともいえる。なお、導光部40の各構造体41は、無機材料を用いて構成されてもよく、有機材料を用いて構成されてもよい。
【0077】
構造体41は、一例として、シロキサンなどの有機物から構成されてもよい。例えば、構造体41は、シロキサン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等を用いて構成されてもよい。また、これらの樹脂のいずれかにフッ素を含有した材料により、構造体41が構成されてもよい。これらの樹脂のいずれかに、その樹脂よりも高い屈折率を有するビーズ(フィラー)を内填した材料を用いて、構造体41を形成してもよい。
【0078】
導光部40は、構造体41とそれらの周囲の媒質との屈折率差によって、入射する光に位相遅延を生じさせ、波面に影響を与えることができる。導光部40は、例えば、構造体41と、構造体41の周囲の絶縁層80の絶縁膜とによって入射光に対して位相遅延を与えることで、光の伝搬方向を調整し得る。導光部40は、光の波長に応じて異なる位相遅延量を与えることによって光の伝搬方向を調整し、入射光を各波長域の光に分離することが可能となる。
【0079】
入射光に含まれる任意の波長域の光が所望の方向に進むように、複数の構造体41の材料(材料の光学定数)、大きさ(サイズ)、ピッチ(配置間隔)、形状などが定められる。
図3に示す例では、導光部40の構造体41の材料(屈折率)、大きさ(幅、高さ等)、ピッチ、形状等が設定され得る。
【0080】
導光部40は、メタマテリアル(メタサーフェス)技術を利用した光学素子である。導光部40は、例えば、入射する光を分光可能な分光部(分光素子)として構成され、スプリッター(カラースプリッター)ともいえる。導光部40(又は導光部40が設けられた層)は、波長分離層(又はメタサーフェス層)ともいえる。導光部40は、光をリダイレクトするように構成された光学素子ともいえる。
【0081】
導光部40による各波長の光の伝搬方向は、構造体41の素材、形状、高さ、配置位置等によって調整可能である。例えば、検出対象とする特定の波長帯の光が所望の画素Pの光電変換部11へ分岐して進むように、構造体41の素材、大きさ、配置位置等が定められる。導光部40は、構造体41によって入射光を分光する領域(分光領域)ともいえる。
【0082】
導光部40は、複数の波長域の光、例えば第1の波長域~第3の波長域の光にそれぞれ異なる位相遅延を与える。これにより、撮像装置1では、導光部40に入射した光を、第1の波長域の光、第2の波長域の光、及び第3の波長域の光に分けることが可能となる。一例として、撮像装置1は、導光部40に入射した光から、第1の波長域の光としてNIR光(例えば940nmの波長の光)、第2の波長域の光としてSWIR光(例えば1450nmの波長の光)を分けるように構成されてもよい。
【0083】
また、例えば、導光部40は、入射光から、第1の波長域の光としてNIR光、第2の波長域の光としてSWIR光、第3の波長域の光として可視光を分けるように構成されてもよい。導光部40は、入射光から第1の波長域~第4の波長域の光、一例として4つ波長域の赤外光を分離するように構成されてもよい。
【0084】
なお、導光部40は、画素P毎に設けられてもよく、複数の画素P毎、即ち所定数の画素P毎に設けられてもよい。例えば、
図7に示す例のように、導光部40は、隣り合う複数の画素Pに対して設けられてもよい。
図7に示す例では、導光部40の少なくとも一部は、絶縁層80において隣り合う複数の画素Pの境界に配置されている。
【0085】
図8Aは、実施の形態に係る撮像装置の構成例を説明するための図である。
図8Aでは、撮像装置1に設けられる導光部40を模式的に図示している。
図8Aに示す例では、隣り合う2つの画素Pに対して、1つの導光部40が設けられる。なお、左右方向に隣り合う2つの画素P毎に導光部40が配置されてもよく、上下方向に隣り合う2つの画素P毎に導光部40が配置されてもよい。
【0086】
導光部40は、例えば、
図8Aにおいて矢印で模式的に示すように、入射する光のうち第1の波長域の光(例えば近赤外光)を、隣り合う2つの画素Pのうちの一方の画素Pの光電変換部11へ導くように構成される。また、導光部40は、入射する光のうち第2の波長域の光(例えば短波赤外光)を、隣り合う2つの画素Pのうちの他方の画素Pの光電変換部11へ伝搬するように構成される。
【0087】
図8Aに示す例では、「1」が付された画素P(画素P1と称する)の光電変換部11は、導光部40を介して入射する第1の波長域の光を受光する。また、「2」が付された画素P(画素P2と称する)の光電変換部11は、導光部40を介して入射する第2の波長域の光を受光する。
【0088】
撮像装置1では、画素P1の光電変換部11は、第1の波長域の光(例えば近赤外光)を受光して光電変換を行い、受光量に応じた電荷を生成し得る。また、画素P2の光電変換部11は、導光部40を介して入射する第2の波長域の光(例えば短波赤外光)を受光して光電変換を行い、受光量に応じた電荷を生成し得る。
【0089】
こうして、撮像装置1は、波長域毎の光量に応じた画素信号、例えば赤外光の波長域毎の画素信号を得ることができる。一例として、各画素P1における光電変換によって得られる画素信号を用いて、NIR画像を生成することができる。また、各画素P2における光電変換によって得られる画素信号を用いて、SWIR画像を生成することができる。赤外光の波長域毎の赤外画像(例えばNIR画像、SWIR画像)を得ることが可能となる。
【0090】
なお、導光部40の数および配置は、上述した例に限られず、適宜変更可能である。例えば、導光部40を、
図8Bに示すように配置してもよい。
図8Bに示す例では、「1」が付された画素P1に、導光部40が設けられる。なお、「2」が付された画素P2に、導光部40を配置するようにしてもよい。
【0091】
画素P1の導光部40は、例えば、入射光のうちの第1の波長域の光を、その画素P1の光電変換部11へ導くように構成される。また、画素P1の導光部40は、
図8Bにおいて矢印で模式的に示すように、入射光のうちの第2の波長域の光を、画素P1の周囲の各画素P2の光電変換部11へ伝搬するように構成される。
【0092】
撮像装置1は、画素P1の光電変換部11による光電変換によって得られる画素信号と、画素P2の光電変換部11による光電変換によって得られる画素信号を生成し得る。撮像装置1は、第1の波長域の光の受光量に基づく画素信号と、第2の波長域の光の受光量に基づく画素信号とを同時に得ることが可能となる。各画素P1の画素信号および各画素P2の画素信号を用いて、例えばNIR画像、SWIR画像を生成することが可能となる。
【0093】
図8Cは、実施の形態に係る撮像装置の別の構成例を説明するための図である。「1」が付された画素P1、「2」が付された画素P2、及び「3」が付された画素P3の3つの画素に対して、導光部40が設けられる。
図8Cに示す例では、「2」が付された画素P2に、導光部40が配置されている。なお、画素P1と画素P2と画素P3を配置する割合は、
図8Cに示す例に限られず、適宜変更可能である。
【0094】
画素P2の導光部40は、例えば、
図8Cにおいて矢印で模式的に示すように、入射光のうちの第1の波長域の光(例えば近赤外光)を、画素P1の光電変換部11へ導くように構成される。また、画素P2の導光部40は、入射光のうち、第2の波長域の光(例えば短波赤外光)をその画素P2の光電変換部11へ、第3の波長域の光(例えば可視光)を画素P3の光電変換部11へそれぞれ導くように構成される。
【0095】
撮像装置1は、画素P1の光電変換部11による光電変換によって得られる画素信号、画素P2の光電変換部11による光電変換によって得られる画素信号、及び画素P3の光電変換部11による光電変換によって得られる画素信号を生成し得る。撮像装置1は、第1の波長域の光の受光量に基づく画素信号と、第2の波長域の光の受光量に基づく画素信号と、第3の波長域の光の受光量に基づく画素信号とを同時に得ることが可能となる。
【0096】
こうして、撮像装置1は、例えば、赤外光の波長域毎の光量に応じた画素信号と、可視光の光量に応じた画素信号とを同時に得ることが可能となる。各画素P1の画素信号、各画素P2の画素信号、各画素P3の画素信号を用いて、例えばNIR画像、SWIR画像、可視画像(例えばRGB画像)を生成することが可能となる。
【0097】
撮像装置1では、上述のように、構造体41を有する導光部40が設けられる。これにより、任意の波長域の光を、光電変換部11側へ適切に導光することができる。各画素Pの光電変換部11は、検出対象とする波長帯域の光を効率よく受光して光電変換を行い得る。検出対象の波長域の光に対する感度が低下することを抑制することが可能となる。
【0098】
本実施の形態では、入射光を分光する導光部40が設けられることで、複数の波長域の光を検出することができる。例えば、上述した画素P1、画素P2、及び画素P3によって、第1の波長光、第2の波長光、及び第3の波長光を検出することが可能となる。一例として、NIR光(例えば940nmの波長の光)、SWIR光(例えば1450nmのの波長の光)、及び可視光を同時にセンシングすることができる。
【0099】
撮像装置1は、波長分離層(メタサーフェス層)である導光部40によって、赤外光を波長に応じて分光することができる。特定の波長域の赤外光を選択的に透過するために多層干渉膜からなるカラーフィルタを画素P毎に設ける場合と比較して、斜入射光に対する特性を改善することが可能となる。撮像装置1の高背化に起因する斜入射特性の悪化を防ぐことが可能となる。
【0100】
また、多層干渉膜からなるカラーフィルタを設ける場合と比較して、ダストを低減することができ、例えば撮像装置1の光学特性が悪化することを抑制することが可能となる。さらに、製造工程における工程数の削減を見込むことができ、撮像装置1の製造コストの増大を抑制することが可能となる。
【0101】
本実施の形態では、高屈折率材料を用いて構成される導光部40によって、画素Pの周辺画素から、検出対象の光を光電変換部11へ集光させることができる。複数の画素Pから光取り込みを行うことができ、量子効率(QE)を向上させることが可能となる。光を吸収するカラーフィルタを用いて分光を行う場合と比較して、入射光に対する感度の低下を抑制することが可能となる。
【0102】
図9は、実施の形態に係る撮像装置の断面構成の一例を示す図である。撮像装置1は、
図9に示すように、上述した半導体基板120を備える。半導体基板120は、対向する第1面11S1及び第2面11S2を有する。第2面11S2は、第1面11S1とは反対側の面である。半導体基板120は、例えば、シリコン基板により構成される。
【0103】
半導体基板120には、
図2を用いて上述した読み出し回路15が設けられる。光電変換部11の下部電極23は、フローティングディフュージョンFDとトランジスタAMPのゲート部に電気的に接続される。光電変換部11は、半導体基板120の上方に配置されている。ここで、半導体基板120における光入射面を上方とし、半導体基板120の反対側を下方とする。
【0104】
光電変換部11の下部電極23は、多層配線層130の絶縁膜131上に形成されている。下部電極23上には、バッファ層25と、光電変換膜21と、上部電極22とが形成されている。上部電極22を含む全面には、絶縁層80(保護層)が形成されている。複数の構造体41を有する導光部40は、絶縁層80に設けられている。
【0105】
半導体基板120の第1面11S1側には、素子分離領域75と酸化膜76が形成されている。また、半導体基板120の第1面11S1側には、読み出し回路15のトランジスタRST、トランジスタAMP、トランジスタSEL、フローティングディフュージョンFD等が設けられている。
【0106】
トランジスタRSTは、ゲート部71、チャネル形成領域71A、及び、ソース/ドレイン領域71B,71Cを有する。トランジスタRSTのソース/ドレイン領域71Cは、フローティングディフュージョンFDを兼ねている。また、他方のソース/ドレイン領域71Bは、電源電圧VDDが供給される電源線に電気的に接続される。
【0107】
光電変換部11の下部電極23は、配線31、電極32、及び配線35を介して、トランジスタRSTの一方のソース/ドレイン領域71C(フローティングディフュージョンFD)に電気的に接続されている。
【0108】
トランジスタAMPは、ゲート部72、チャネル形成領域72A、及び、ソース/ドレイン領域72B,72Cを有する。ゲート部72は、配線35を介して、下部電極23及びトランジスタRSTの一方のソース/ドレイン領域71C(フローティングディフュージョンFD)に接続されている。また、一方のソース/ドレイン領域72Bは、トランジスタRSTを構成する他方のソース/ドレイン領域71Bと、領域を共有しており、電源電圧VDDが供給される電源線に接続されている。
【0109】
トランジスタSELは、ゲート部73、チャネル形成領域73A、及び、ソース/ドレイン領域73B,73Cを有する。一方のソース/ドレイン領域73Bは、トランジスタAMPを構成する他方のソース/ドレイン領域72Cと、領域を共有しており、他方のソース/ドレイン領域73Cは、垂直信号線VSLに接続される。
【0110】
図10A~
図10Eは、実施の形態に係る撮像装置の製造方法の一例を説明するための図である。まず、
図10Aに示すように、光電変換膜21、上部電極22、及び保護膜85等を形成し、保護膜85上に絶縁層80を成膜する。
【0111】
次に、
図10Bに示すように、リソグラフィ及びエッチングにより、絶縁層80上にレジスト膜140を形成する。そして、
図10Cに示すように、ドライエッチングによって、絶縁層80を選択的に除去する。さらに、
図10Dに示すように、絶縁層80における選択的に除去された部分に対して、例えばa-Si膜150(アモルファスシリコン膜)を埋め込み形成する。
【0112】
次に、
図10Eに示すように、CMP(Chemical Mechanical Polishing)によってa-Si膜150の不要な部分を除去することで、導光部40の構造体41が形成される。以上のような製造方法によって、
図3等に示す撮像装置1を製造することができる。なお、上述した製造方法は、あくまでも一例であって、他の製造方法を採用してもよい。
【0113】
[作用・効果]
本実施の形態に係る光検出装置は、複数の第1構造体(構造体41)を含む第1導光部材(導光部40)と、第1電極(例えば上部電極22)と、第1電極に対向するように設けられる第2電極(例えば下部電極23)と、第1電極と第2電極との間に設けられる光電変換膜(光電変換膜21)とを有し、第1導光部材を介して入射する光を光電変換する第1光電変換素子(光電変換部11)とを備える。
【0114】
本実施の形態に係る光検出装置(撮像装置1)では、光電変換部11の上方に、構造体41を有する導光部40が設けられる。このため、検出対象とする波長域の光を光電変換部11へ適切に導くことができる。良好な検出性能を有する光検出装置を実現することが可能となる。例えば、撮像装置1は、導光部40によって入射光を分光し、赤外光の波長域毎の光を検出することが可能となる。
【0115】
次に、本開示の変形例について説明する。以下では、上記実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0116】
<2.変形例>
(2-1.変形例1)
図11は、本開示の変形例1に係る撮像装置の構成例を説明するための図である。撮像装置1は、光を選択的に透過するフィルタ90を有していてもよい。フィルタ90は、入射する光のうちの特定の波長域の光を選択的に透過させるように構成される。フィルタ90は、受光層10の上方に設けられ得る。フィルタ90を有する画素Pの光電変換部11は、導光部40とフィルタ90とを介して入射する光を光電変換し得る。
【0117】
フィルタ90は、一部の波長帯(例えば近赤外光の波長域)の光を吸収するフィルタ(例えばNIR-Cut filter)であってよい。また、フィルタ90として、赤外光を透過するフィルタ(近赤外光(NIR光)を透過するフィルタ、短波赤外光(SWIR光)を透過するフィルタ等)を配置してもよい。
【0118】
フィルタ90は、RGBのカラーフィルタ、補色系のカラーフィルタ等であってもよい。例えば、フィルタ90は、画素P毎または複数の画素P毎に、絶縁層80内に設けられ得る。本変形例では、フィルタ90が設けられることで、検出対象とする波長域の光を適切に導光することが可能となり、光検出の精度の低下を抑制することが可能となる。
【0119】
(2-2.変形例2)
図12は、変形例2に係る撮像装置の構成例を説明するための図である。本変形例に係る撮像装置1では、
図12に示す例のように、遮光部材60が設けられる。撮像装置1は、複数の開口部65が設けられた遮光部材60を有する。開口部65は、導光部40からの光が入射する開口(ホール)である。
図12に示す例では、画素P毎に、光電変換部11の上方に、1つの開口部65を有する遮光部材60が配置されるともいえる。
【0120】
遮光部材60は、光を遮る部材により構成された遮光部(遮光膜)であり、上部電極22の上方に設けられる。
図12に示す例では、遮光部材60は、絶縁層80(保護層)に設けられ、上部電極22の上に位置する。遮光部材60は、絶縁層80の一部に置換して配置されるともいえる。絶縁層80は、遮光部材60を覆うように形成され、開口部65を充填するように設けられる。
【0121】
遮光部材60の開口部65は、一例として、
図13に示すように、平面視において四角形(例えば正方形)の形状を有していてもよい。また、例えば、開口部65は、平面視において、円形状を有していてもよい。なお、開口部65の形状は、適宜変更可能であり、矩形、楕円形、その他の形状であってもよい。
【0122】
図12に示す例では、遮光部材60は、入射光を反射する反射部材61と、入射光を吸収する吸収部材62により構成される。遮光部材60は、反射部材61と吸収部材62とが積層された構成を有する。反射部材61は、光が入射する方向において、上部電極22の上に位置する。吸収部材62は、反射部材61の上方に積層される。
【0123】
反射部材61は、例えば導光部40から開口部65を通過した光のうち、光電変換部11で反射されて入射する光を反射する。反射部材61は、一例として、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)等の金属材料により構成される。反射部材61は、開口部65を通過して光電変換部11で反射された入射光を、光電変換部11側へ反射する。なお、反射部材61は、低屈折率を有する他の材料を用いて形成されてもよい。
【0124】
撮像装置1では、遮光部材60の開口部65が小さいとケラレ等のために光電変換部11への入射光の光量が低下し、開口部65が大きいと所望の光閉じ込め性能が得られない傾向がある。そこで、
図12に示すように、例えば、開口部65の幅W1は、画素Pの幅W2に対して、30%以上75%以下の範囲内であってよい。また、例えば、開口部65の幅W1は、画素Pの幅W2に対して、35%以上70%以下の範囲内としてもよい。
【0125】
導光部40を含む絶縁層80、光電変換部11等の積層方向(
図12ではZ軸方向)と直交する方向における開口部65の面積は、画素Pの面積に対して、4%以上56%以下の範囲内としてもよい。また、例えば、開口部65の面積は、画素Pの面積に対して、10%以上50%以下の範囲内としてもよい。このように撮像装置1を構成することにより、光閉じ込め性能を向上させることができ、量子効率を向上させることが可能となる。
【0126】
上述したように、撮像装置1の各画素Pでは、光電変換部11の上部電極22の上に、開口部65を有する反射部材61が設けられる。このため、下部電極23で反射された光の一部は反射部材61によって反射され、光電変換部11に入射(再入射)させることができる。光電変換部11へ効率よく光を導くことができ、量子効率(QE)を向上させることができる。入射光に対する感度を向上させることが可能となる。
【0127】
吸収部材62は、光を吸収する材料により構成され、入射した光を吸収する。吸収部材62は、例えばタングステン(W)、ブラックフィルタ等により構成され、開口部65の周囲に入射する不要な光を吸収し得る。なお、吸収部材62は、光を吸収する他の金属材料を用いて形成されてもよく、他のカラーフィルタを用いて構成されてもよい。
【0128】
仮に、撮像装置1が吸収部材62を有しない場合、入射光の一部が画素Pで反射され、導光部40等で反射されて戻り、その画素Pの周辺の画素Pに入射するおそれがある。不要な光が周辺の画素Pの光電変換部11に漏れ込み、混色が発生することが考えられる。反射光に起因するノイズが画素信号に混入し、反射光に起因する欠陥が画像に生じるおそれがある。このようなノイズ及び画像中の欠陥は、フレアとも呼ばれる。
【0129】
撮像装置1では、光電変換部11の上方に、開口部65を有する吸収部材62が設けられ得る。このため、不要な反射光が生じることを抑制し、混色が生じることを抑制することができる。また、フレアが生じることを抑制し、画像の画質低下を防ぐことが可能となる。
【0130】
撮像装置1の各画素Pでは、上述したように、例えば、光電変換部11の上方に遮光部材60が設けられ、光電変換部11の四方に分離部50が設けられる。画素Pは、遮光部材60と分離部50とを含む光閉じ込め構造を有する。遮光部材60は、光電変換部11の上方に位置し、蓋部ともいえる。
【0131】
画素Pが光閉じ込め構造を有することで、
図14において矢印で模式的に示すように、下部電極23で反射した光を、反射部材61又は分離部50にて反射し、入射光の光路長を長くすることができる。このため、光電変換膜21における光の吸収量を増加させ、量子効率を改善させることが可能となる。
【0132】
このように、本変形例に係る撮像装置1では、画素Pの光電変換部11は、導光部40から開口部65を介して入射した光を、効率よく吸収して光電変換を行うことができる。画素Pにおける量子効率を向上させることが可能となる。また、画素間において混色が生じることを抑制することができる。
【0133】
下部電極23の周囲の絶縁膜131は、バッファ層25の屈折率よりも低い屈折率を有する材料により構成されてもよい。絶縁膜131は、例えば、TEOS、フッ素を含有した樹脂材料、フィラーを含有した材料等を用いて構成され得る。絶縁膜131は、フッ素を含有する低屈折率の材料を用いて形成されてもよく、低い屈折率を有するフィラーを含有する材料により構成されてもよい。また、絶縁膜131は、電気絶縁性を有する他の低屈折率の樹脂材料を用いて構成されてもよい。
【0134】
撮像装置1では、低屈折率を有する絶縁膜131が設けられることで、例えば、開口部65を透過して絶縁膜131の方へ進んだ光を、絶縁膜131によって光電変換部11側へ反射させることができる。下部電極23の外側に入射する光も、光電変換膜21に再入射させることが可能となる。光閉じ込め性能を向上させることができ、量子効率を向上させることが可能となる。
【0135】
図15及び
図16は、変形例2に係る撮像装置の別の構成例を説明するための図である。遮光部材60を、反射部材61及び吸収部材62の一方のみを有する構成としてもよい。例えば、
図15に示す例のように、反射部材61のみを配置し、吸収部材62を配置しなくてもよい。また、例えば、
図16に示す例のように、吸収部材62のみを配置し、反射部材61を配置しないようにしてもよい。
【0136】
(2-3.変形例3)
上述した実施の形態および変形例では、導光部40の配置例について説明したが、導光部40の配置は上述した例に限られない。
図17A及び
図17Bは、変形例3に係る撮像装置の構成例を説明するための図である。上部電極22の領域に、構造体41を含む導光部40を設けるようにしてもよい。
【0137】
導光部40は、
図17A又は
図17Bに示す例のように、上部電極22と一体的に構成されてもよい。
図17A又は
図17Bに示す例では、複数の構造体41を含む導光部40と、上部電極22とは、一体に設けられている。導光部40は、上部電極22内に形成され、上部電極22の一部に置換して配置されるともいえる。本変形例の場合も、上記した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0138】
なお、導光部40は、画素P毎に設けられてもよく、複数の画素P毎に設けられてもよい。導光部40は、隣り合う複数の画素Pに対して設けられてもよい。導光部40の少なくとも一部は、上部電極22内において隣り合う複数の画素Pの境界に配置されてもよい。
【0139】
(2-4.変形例4)
図18A及び
図18Bは、変形例4に係る撮像装置の構成例を説明するための図である。撮像装置1は、複数の導光部40(
図18A、
図18Bでは、導光部40a及び導光部40b)が積層された構造を有していてもよい。即ち、複数の導光部40を、複数段(例えば2段)に分けて配置するようにしてもよい。
【0140】
撮像装置1は、例えば、
図18A又は
図18Bに示す例のように、構造体41aを含む導光部40aと、構造体41bを含む導光部40bとが積層された構造を有していてもよい。導光部40bは、例えば、導光部40aを介して入射する光を分光可能に構成される。導光部40bが設けられた画素Pの光電変換部11は、導光部40aと導光部40bとを介して入射する光を光電変換し得る。
【0141】
本変形例に係る撮像装置1では、複数段(複数層)の導光部40が設けられることで、各波長域の光を適切に導光することができる。例えば、導光部40a及び導光部40bによって、複数の波長域の赤外光を適切に分光することが可能となる。また、斜入射光の場合に分光特性が低下することを効果的に抑制することが可能となる。
【0142】
導光部40aの構造体41aと導光部40bの構造体41bは、それぞれ、入射する光の所定波長以下の大きさのナノ構造体であり、例えば赤外光の波長以下の大きさを有する。構造体41a及び構造体41bは、それぞれ、可視光の波長以下の大きさを有していてもよい。
【0143】
導光部40aの構造体41a、及び、導光部40bの構造体41bは、例えば、各々の大きさ、配置間隔、形状等が異なるように形成されてもよい。なお、導光部40a及び導光部40bは、同じ材料を用いて構成されてもよく、異なる材料を用いて構成されてもよい。本変形例の場合も、上記実施の形態の撮像装置と同様の効果を得ることができる。
【0144】
<3.適用例>
(適用例1)
上述したような光検出装置(撮像装置1)は、例えば、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮像システム、撮像機能を備えた携帯電話機、または、撮像機能を備えた他の機器といった各種の電子機器に適用することができる。
【0145】
図19は、電子機器の構成例を示すブロック図である。
【0146】
図19に示すように、電子機器101は、光学系102、光検出装置103、DSP(Digital Signal Processor)104を有する。電子機器101は、バス107を介して、DSP104、表示装置105、操作系106、メモリ108、記録装置109、および電源系110が接続されて構成され、静止画像および動画像を撮像可能である。
【0147】
光学系102は、1枚または複数枚のレンズを有して構成され、被写体からの像光(入射光)を光検出装置103に導く。光学系102は、被写体からの像光を、光検出装置103の受光面(センサ部)に結像させ得る。
【0148】
光検出装置103としては、上述した光検出装置(撮像装置1)が適用可能である。光検出装置103には、光学系102を介して受光面に形成される像に応じて、一定期間、信号電荷(電子)が蓄積される。そして、光検出装置103に蓄積された信号電荷に応じた信号が、DSP104に供給される。
【0149】
DSP104は、光検出装置103からの信号に対して各種の信号処理を施し、画像(画像データ)を取得し得る。DSP104は、画像のデータを、メモリ108に一時的に記憶させ得る。メモリ108に記憶された画像のデータは、記録装置109に記録されたり、表示装置105に供給されて画像が表示されたりする。操作系106は、ユーザによる各種の操作を受け付けて、電子機器101の各ブロックに操作信号を供給する。電源系110は、電子機器101の各ブロックの駆動に必要な電力を供給する。
【0150】
(適用例2)
図20Aは、光検出装置(撮像装置1)を備えた光検出システム2000の全体構成の一例を模式的に表したものである。
図20Bは、光検出システム2000の回路構成の一例を模式的に表したものである。光検出システム2000は、光L2を発する光源部としての発光装置2001と、光電変換素子を有する受光部としての光検出装置2002とを備えている。
【0151】
光検出装置2002としては、上述した光検出装置(撮像装置1)を用いることができる。光検出システム2000は、さらに、システム制御部2003、光源駆動部2004、センサ制御部2005、光源側光学系2006、およびカメラ側光学系2007を備えていてもよい。
【0152】
光検出装置2002は、光L1と光L2とを検出可能に構成される。光L1は、外部からの環境光が測定対象物である被写体2100において反射された光である。光L2は、発光装置2001において発光された光のうち、被写体2100で反射された光である。光L1は、例えば可視光であり、光L2は、例えば赤外光である。
【0153】
光L1及び光L2は、それぞれ、光検出装置2002における光電変換部(光電変換領域)において検出可能である。光L1から被写体2100の画像情報を獲得し、光L2から被写体2100と光検出システム2000との間の距離情報を獲得することができる。
【0154】
光検出システム2000は、例えば、スマートフォン等の電子機器や車等の移動体に搭載することができる。発光装置2001は。例えば、半導体レーザ、面発光半導体レーザ、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)等により構成することができる。
【0155】
発光装置2001により発光された光L2の光検出装置2002による検出方法としては、例えばiTOF方式を採用することができるが、これに限定されない。iTOF方式では、光電変換部は、例えば光飛行時間(Time-of-Flight;TOF)により被写体2100との距離を測定することができる。
【0156】
発光装置2001により発光された光L2の光検出装置2002による検出方法としては、例えば、ストラクチャード・ライト方式やステレオビジョン方式を採用することもできる。例えば、ストラクチャード・ライト方式では、あらかじめ定められたパターンの光を被写体2100に投影し、そのパターンのひずみ具合を解析することによって光検出システム2000と被写体2100との距離を測定することができる。
【0157】
また、ステレオビジョン方式においては、例えば2以上のカメラを用い、被写体2100を2以上の異なる視点から見た2以上の画像を取得することで、光検出システム2000と被写体との距離を測定することができる。なお、発光装置2001と光検出装置2002とは、システム制御部2003によって同期制御することができる。
【0158】
<4.応用例>
(移動体への応用例)
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0159】
図21は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0160】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図21に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0161】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0162】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0163】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0164】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0165】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0166】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0167】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0168】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0169】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図21の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0170】
図22は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0171】
図22では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0172】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0173】
なお、
図22には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0174】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0175】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0176】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0177】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0178】
以上、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部12031に適用され得る。具体的には、例えば、撮像装置1等は、撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、高精細な撮影画像を得ることが可能となる。移動体制御システムにおいて撮影画像を利用した高精度な制御を行うことが可能となる。
【0179】
(内視鏡手術システムへの応用例)
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0180】
図23は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0181】
図23では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0182】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0183】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0184】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0185】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0186】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0187】
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0188】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0189】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0190】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0191】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0192】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0193】
図24は、
図23に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0194】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0195】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0196】
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0197】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0198】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0199】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0200】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0201】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0202】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0203】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0204】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0205】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0206】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0207】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0208】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0209】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0210】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、内視鏡11100のカメラヘッド11102に設けられた撮像部11402に好適に適用され得る。撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、高精細な内視鏡11100を提供することが可能となる。
【0211】
以上、実施の形態、変形例および適用例ならびに応用例を挙げて本開示を説明したが、本技術は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上述した変形例は、上記実施の形態の変形例として説明したが、各変形例の構成を適宜組み合わせることができる。
【0212】
上記実施の形態等では、撮像装置を例示して説明するようにしたが、本開示の光検出装置は、例えば、入射する光を受光し、光を電荷に変換するものであればよい。出力される信号は、画像情報の信号でもよいし、測距情報の信号でもよい。光検出装置(撮像装置)は、イメージセンサ、測距センサ等に適用され得る。
【0213】
本開示に係る光検出装置は、TOF(Time Of Flight)方式の距離計測が可能な測距センサとしても適用され得る。光検出装置(撮像装置)は、イベントを検出可能なセンサ、例えば、イベント駆動型のセンサ(EVS(Event Vision Sensor)、EDS(Event Driven Sensor)、DVS(Dynamic Vision Sensor)等と呼ばれる)としても適用され得る。
【0214】
本開示の一実施形態の光検出装置は、複数の第1構造体を含む第1導光部材と、第1電極と、第2電極と、第1電極と第2電極との間に設けられる光電変換膜とを有し、第1導光部材を介して入射する光を光電変換する第1光電変換素子とを備える。このため、良好な検出性能を有する光検出装置を実現することが可能となる。
【0215】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であってその記載に限定されるものではなく、他の効果があってもよい。また、本開示は以下のような構成をとることも可能である。
(1)
複数の第1構造体を含む第1導光部材と、
第1電極と、前記第1電極に対向するように設けられる第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられる光電変換膜とを有し、前記第1導光部材を介して入射する光を光電変換する第1光電変換素子と
を備える光検出装置。
(2)
前記第1構造体は、赤外光の波長域以下の大きさを有する
前記(1)に記載の光検出装置。
(3)
前記第1構造体の周囲に設けられる絶縁層をさらに備え、
前記第1構造体の屈折率は、前記絶縁層の屈折率よりも高い
前記(1)または(2)に記載の光検出装置。
(4)
前記第1導光部材は、入射光を分光する
前記(1)から(3)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(5)
前記第1光電変換素子の隣に設けられ、前記第1導光部材を介して入射する光を光電変換する第2光電変換素子をさらに備え、
前記第1導光部材は、入射光のうち、第1波長の光を前記第1光電変換素子へ導き、第2波長の光を前記第2光電変換素子へ導く
前記(1)から(4)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(6)
前記第1光電変換素子の隣に設けられ、前記第1導光部材を介して入射する光を光電変換する第3光電変換素子をさらに備え、
前記第1導光部材は、入射光のうち、第1波長の光を前記第1光電変換素子へ導き、第2波長の光を前記第2光電変換素子へ導き、第3波長の光を前記第3光電変換素子へ導く
前記(5)に記載の光検出装置。
(7)
前記第1光電変換素子の上方に設けられるフィルタをさらに備え、
前記第1光電変換素子は、前記第1導光部材と前記フィルタとを介して入射する光を光電変換する
前記(1)から(6)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(8)
複数の第2構造体を含み、前記第1光電変換素子の上方に設けられる第2導光部材をさらに備え、
前記第1光電変換素子は、前記第1導光部材と前記第2導光部材とを介して入射する光を光電変換する
前記(1)から(7)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(9)
前記第2導光部材は、前記第1導光部材を介して入射する光を分光する
前記(8)に記載の光検出装置。
(10)
前記第1電極の上方に設けられ、光が入射する開口部を有する遮光部材をさらに備える
前記(1)から(9)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(11)
前記遮光部材は、前記開口部を通過した光のうち、前記第1光電変換素子で反射された入射光を反射する反射部材である
前記(10)に記載の光検出装置。
(12)
前記遮光部材は、入射光を吸収する吸収部材である
前記(10)に記載の光検出装置。
(13)
前記遮光部材は、前記第1電極の上方に設けられる反射部材と、前記反射部材の上方に積層される吸収部材とを有する
前記(10)に記載の光検出装置。
(14)
前記第1光電変換素子を含む複数の光電変換素子と、
隣り合う複数の前記光電変換素子の間に設けられる分離部と
をさらに備える
前記(10)から(13)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(15)
前記分離部は、前記光電変換素子を貫通するように設けられている
前記(14)に記載の光検出装置。
(16)
前記光電変換素子を含む画素を有し、
前記画素は、前記遮光部材と前記分離部とを含む光閉じ込め構造を有する
前記(14)または(15)に記載の光検出装置。
(17)
前記第1導光部材と前記第1電極とは、一体に設けられている
前記(1)から(16)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(18)
前記光電変換膜は、ナノ粒子を有する
前記(1)から(17)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(19)
前記第1構造体は、柱状の形状を有する
前記(1)から(18)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(20)
光学系と、
前記光学系を透過した光を受光する光検出装置と
を備え、
前記光検出装置は、
複数の第1構造体を含む第1導光部材と、
第1電極と、前記第1電極に対向するように設けられる第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられる光電変換膜とを有し、前記第1導光部材を介して入射する光を光電変換する第1光電変換素子と
を有する
電子機器。
【符号の説明】
【0216】
1…撮像装置、11…光電変換部、15…読み出し回路、21…光電変換膜、22…上部電極、23…下部電極、25…バッファ層、40,40a,40b…導光部、41,41a,41b…構造体、50…分離部、60…遮光部材、61…反射部材、62…吸収部材、65…開口部、80…絶縁層。