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特開2024-164449排水桝設置用の治具、及び排水桝の設置方法
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  • 特開-排水桝設置用の治具、及び排水桝の設置方法 図1
  • 特開-排水桝設置用の治具、及び排水桝の設置方法 図2
  • 特開-排水桝設置用の治具、及び排水桝の設置方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164449
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】排水桝設置用の治具、及び排水桝の設置方法
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/10 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
E03F5/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079927
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】酒井 拓夢
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063DA00
2D063DA30
(57)【要約】
【課題】排水桝の内部に落下させてしまうのを抑制できる排水桝設置用の治具及び排水桝の設置方法を提供する。
【解決手段】排水桝の点検用の筒部には、蓋ユニット40が接続される。蓋ユニット40は、筒部に接続されるリング部41と、リング部41の開口を塞ぐ蓋部とを有する。リング部41には、その上端側の内径が大きくされることにより、蓋部が載置される環状の段差面43が形成されている。排水桝を所定の流れ勾配を有して設置する際には、排水桝設置用治具10が用いられる。排水桝設置用治具10は、直線状に延びる治具本体11と、治具本体11に設けられた水平器12とを有している。治具本体11は、その長手方向の両端側がそれぞれリング部41の段差面43に載置されることにより設置される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の流れ勾配を有する状態で排水桝を設置する際に用いられる排水桝設置用の治具であって、
前記排水桝には、上端において開口する点検用の筒部が設けられ、
前記筒部には、蓋ユニットが接続され、
前記蓋ユニットは、前記筒部に接続されるリング部と、前記リング部の開口を塞ぐ蓋部とを有し、
前記リング部には、その上端側の内径が大きくされることにより、前記蓋部が載置される環状の段差面が形成されており、
前記治具は、直線状に延びる治具本体と、前記治具本体に設けられた水平器とを有し、
前記治具本体は、長手方向の両端側がそれぞれ前記段差面に載置されることにより設置される、排水桝設置用の治具。
【請求項2】
前記治具本体は、前記長手方向に伸縮可能に構成されている、請求項1に記載の排水桝設置用の治具。
【請求項3】
前記治具本体は、
前記長手方向に延びる本体部と、
前記本体部の両端側にそれぞれ設けられ、前記段差面に載置される一対の載置部と、
を有しており、
前記各載置部は、前記長手方向と交差する方向の両側にそれぞれ前記本体部に対して延出する一対の延出部を有している、請求項1に記載の排水桝設置用の治具。
【請求項4】
前記治具本体は、
前記長手方向に延びる本体部と、
前記本体部の両端側にそれぞれ設けられ、前記段差面に載置される一対の載置部と、
を有しており、
前記各載置部は、前記段差面に載置された状態で前記リング部の内周面と対向する対向面を有しており、
前記各載置部の前記対向面は、前記内周面に対応する円弧状をなしている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の排水桝設置用の治具。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の排水桝設置用の治具を用いて前記排水桝を前記所定の流れ勾配を有した状態で設置する設置方法であって、
前記排水桝を所定の設置場所に設置するとともに、前記排水桝の前記筒部に前記蓋ユニットの前記リング部を接続する排水桝設置工程と、
前記リング部の前記段差面に前記治具本体の両端側を載置することにより前記治具を設置する治具設置工程と、
前記治具の前記水平器により前記段差面が水平になっているか否かを確認する確認工程と、を備える、排水桝の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水桝設置用の治具、及びその治具を用いて排水桝を設置する設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
排水桝は、その底部に排水が流れる排水溝を有している。排水桝には、排水がスムーズに流れるようにするため、排水溝に流れ勾配が付けられているものがある。かかる排水桝を設置する際には、排水溝が所定の流れ勾配を有するように設置する必要がある。また、排水桝には、その上端において開口する点検用の筒部が設けられている。通常、排水桝が所定の流れ勾配を有して設置されると、筒部の上端面は水平面となる。そのため、排水桝を所定の流れ勾配を有して設置する際には、水平器により筒部の上端面が水平になったか否か確認しながら設置を行うことになる。
【0003】
ここで特許文献1には、水平器により筒部の上端面が水平になったか否かの確認をし易くするための治具が提案されている。この治具は、矩形板状に形成された治具本体と、治具本体に設けられた水平器とを有している。この治具では、治具本体が筒部の上端開口を跨ぐように配置され、その治具本体の両端側がそれぞれ筒部の上端面に載置されるようになっている。かかる治具によれば、筒部の上端面に直接水平器を載置する場合と比べ、水平器による水平確認の作業がし易くなっている。
【0004】
また、特許文献1の治具は、治具本体の両端からそれぞれ下方に延びる一対の係合部を有している。治具本体が筒部の上端面に載置された状態で、各係合部は筒部の外周面に係合する。これにより、特許文献1の治具では、各係合部の係合により治具本体が位置ずれするのを抑制することが可能となっている。そのため、治具が排水桝の内部に落下するのを抑制することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-235772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1の治具では、治具本体に係合部が設けられているため、治具本体を排水桝の筒部の上端面に載置する際や筒部の上端面から取り外す際に、係合部を筒部の上端部に引っ掛けてしまうおそれがある。その場合、その引っ掛けに起因して、治具を排水桝の内部に落下させてしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、排水桝の内部に落下させてしまうのを抑制できる排水桝設置用の治具及び排水桝の設置方法を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、第1の発明の排水桝設置用の治具は、所定の流れ勾配を有する状態で排水桝を設置する際に用いられる排水桝設置用の治具であって、前記排水桝には、上端において開口する点検用の筒部が設けられ、前記筒部には、蓋ユニットが接続され、前記蓋ユニットは、前記筒部に接続されるリング部と、前記リング部の開口を塞ぐ蓋部とを有し、前記リング部には、その上端側の内径が大きくされることにより、前記蓋部が載置される環状の段差面が形成されており、前記治具は、直線状に延びる治具本体と、前記治具本体に設けられた水平器とを有し、前記治具本体は、長手方向の両端側がそれぞれ前記段差面に載置されることにより設置される。
【0009】
排水桝には、上端において開口する点検用の筒部が設けられている。通常、排水桝の点検用の筒部には蓋ユニットが接続される。蓋ユニットは、筒部に接続されるリング部と、リング部の開口を塞ぐ蓋部とを有している。リング部には、その上端側の内径が大きくされることにより、蓋部が載置される環状の段差面が形成されている。ここで、排水桝が所定の流れ勾配を有して設置される場合には、筒部の上端面が水平面となる。そのため、この場合、筒部に接続される蓋ユニットのリング部は水平の向きで配置され、それによりリング部の段差面が水平面となる。
【0010】
そこで、第1の発明では、上記の点に着目し、排水桝設置用の治具(以下、単に治具という)を、直線状に延びる治具本体と、治具本体に設けられた水平器とを有して構成している。治具本体は、その長手方向の両端側がそれぞれリング部の段差面に載置されることにより設置される。かかる設置状態では、治具本体の両端がリング部の内周面に対向する。そのため、治具本体が位置ずれするのを抑制することができ、その結果、位置ずれに伴い治具が排水桝の内部に落下するのを抑制することができる。
【0011】
また、かかる構成では、位置ずれ抑制のための係合部を治具本体に設ける必要がない。そのため、治具本体をリング部の段差面に載置する際等に、係合部をリング部の上端部に引っ掛けてしまう事態が生じず、さらには、かかる引っ掛けに伴い治具を排水桝の内部に落下させてしまう事態も生じない。よって、以上より、治具を排水桝の内部に落下させてしまうのを抑制することができる。
【0012】
なお、「筒部には、蓋ユニットが接続され」とは、筒部に蓋ユニットが直接接続される場合だけでなく、筒部に蓋ユニットが立て管を介して接続される場合をも含む意味である。
【0013】
第2の発明の排水桝設置用の治具は、第1の発明において、前記治具本体は、前記長手方向に伸縮可能に構成されている。
【0014】
ところで、蓋ユニットの大きさは排水桝の筒部の径に応じて変わる。その点、第2の発明によれば、治具本体が長手方向に伸縮可能とされている。そのため、蓋ユニット(リング部)が小さい場合には、治具本体を縮めて使用し、蓋ユニットが大きい場合には、治具本体を伸ばして使用することができる。そのため、蓋ユニットの大きさごとに治具を用意する必要がなく、治具の取り扱いを容易とすることができる。
【0015】
第3の発明の排水桝設置用の治具は、第1の発明において、前記治具本体は、前記長手方向に延びる本体部と、前記本体部の両端側にそれぞれ設けられ、前記段差面に載置される一対の載置部と、を有しており、前記各載置部は、前記長手方向と交差する方向の両側にそれぞれ前記本体部に対して延出する一対の延出部を有している。
【0016】
第3の発明によれば、治具本体が、治具本体の長手方向に延びる本体部と、本体部の両端側に設けられリング部の段差面に載置される一対の載置部とを有している。各載置部は、上記長手方向と交差する方向の両側にそれぞれ本体部に対して延出する一対の延出部を有している。この場合、治具本体のコンパクト化を図りながらも、治具本体を安定した状態で載置することができる。
【0017】
第4の発明の排水桝設置用の治具は、第1又は第2の発明において、前記治具本体は、前記長手方向に延びる本体部と、前記本体部の両端側にそれぞれ設けられ、前記段差面に載置される一対の載置部と、を有しており、前記各載置部は、前記段差面に載置された状態で前記リング部の内周面と対向する対向面を有しており、前記各載置部の前記対向面は、前記内周面に対応する円弧状をなしている。
【0018】
第4の発明によれば、各載置部が、リング部の段差面に載置された状態でリング部の内周面と対向する対向面を有している。また、各載置部の対向面は、リング部の内周面に対応する円弧状をなしている。この場合、各載置部を段差面に載置した状態で、各載置部の対向面をリング部の内周面に沿って配置することができる。これにより、治具本体をより一層安定した状態で載置することができる。
【0019】
第5の発明の排水桝の設置方法は、第1乃至第3のいずれかの発明の排水桝設置用の治具を用いて前記排水桝を前記所定の流れ勾配を有した状態で設置する設置方法であって、前記排水桝を所定の設置場所に設置するとともに、前記排水桝の前記筒部に前記蓋ユニットの前記リング部を接続する排水桝設置工程と、前記リング部の前記段差面に前記治具本体の両端側を載置することにより前記治具を設置する治具設置工程と、前記治具の前記水平器により前記段差面が水平になっているか否かを確認する確認工程と、を備える。
【0020】
第5の発明によれば、まず排水桝が所定の設置場所に設置され、その排水桝の筒部に蓋ユニットのリング部が接続される。その後、リング部の段差面に治具本体の両端側が載置されることにより治具が設置され、その設置状態で治具の水平器により段差面が水平になっているか否かの確認が行われる。この確認の結果、段差面が水平面になっている場合には、排水桝が所定の流れ勾配を有して設置されていることになる。
【0021】
このような設置方法によれば、治具本体の両端側が段差面に載置された状態で、治具本体の両端がリング部の内周面に対向する。そのため、治具本体の位置ずれを抑制することができる。また、この場合、治具本体に位置ずれ抑制用の係合部を設けなくてよいため、治具本体を段差面に載置する際等に係合部がリング部に引っ掛かる事態が生じず、さらには、引っ掛かりに伴い治具を排水桝の内部に落下させてしまう事態が生じない。よって、この場合、治具を排水桝の内部に落下させてしまうのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】排水桝及び蓋ユニットを示す縦断面図である。
図2】排水桝設置用治具を示す平面図であり、(a)が排水桝設置用治具の治具本体が縮められた状態を示し、(b)が治具本体が伸ばされた状態を示している。
図3】排水桝設置用治具がリング部の段差面に載置された状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、排水桝を設置する際に用いられる排水桝設置用治具について具体化している。以下では、排水桝設置用治具の説明に先立ち、まず排水桝とその排水桝に接続される蓋ユニットとについて図1に基づき説明する。図1は、排水桝及び蓋ユニットを示す縦断面図である。
【0024】
図1に示すように、排水桝30は、流れ勾配の付けられたストレート桝からなる。排水桝30は、硬質塩化ビニル等の合成樹脂により形成されている。排水桝30は、縦方向(上下方向)に延びる円筒状の筒部31を有する。筒部31は、上端において開口しており、排水桝30の内部を点検する点検口を形成している。また、筒部31の上端面は円環状の水平面となっている。筒部31の下端側には、横方向に延びる底部32が設けられている。底部32は半円筒状に形成され、この底部32により排水の流れる排水溝33が形成されている。排水溝33は、所定の流れ勾配を有して形成されている。
【0025】
筒部31の外周面には、一対の接続口35,36が設けられている。各接続口35,36は、横方向に延びる円筒状に形成され、筒部31を挟んだ両側にそれぞれ配置されている。各接続口35,36のうち、上流側の接続口35には排水管38が接続され、下流側の接続口36には排水管39が接続されている。排水管38から排水溝33に排水が流れ込み、その排水が排水溝33から排水管39に流れ出すようになっている。
【0026】
筒部31には、蓋ユニット40が接続されている。蓋ユニット40は、筒部31の上端部に接続された円環状(円筒状)のリング部41と、リング部41の開口を塞ぐ蓋部42とを有している。リング部41と蓋部42とは、樹脂材料により形成されている。リング部41には、その上端側の内径が大きくされていることにより、蓋部42が載置される段差面43が形成されている。段差面43は、円環状の水平面となっている。また、リング部41の内周面45には、段差面43よりも上側の内周面45aと、段差面43よりも下側の内周面45bとが含まれている。段差面43により、上側の内周面45aは下側の内周面45bよりも内径が大きくされている。
【0027】
蓋部42は、円板状に形成されている。蓋部42は、その周縁部がリング部41の段差面43に載置された状態で設けられている。蓋部42は、リング部41に対し着脱可能に設けられている。
【0028】
続いて、排水桝設置用治具10について図2に基づき説明する。図2は、排水桝設置用治具10を示す平面図であり、(a)が排水桝設置用治具10の治具本体11が縮められた状態を示し、(b)が治具本体11が伸ばされた状態を示している。図3は、排水桝設置用治具10がリング部41の段差面43に載置された状態を示す平面図である。なお、図3では、治具本体11が縮められた状態とされている。また、以下の説明では、排水桝設置用治具10の設置状態を基準として、上下方向をいうものとする。
【0029】
図2(a)に示すように、排水桝設置用治具10は、直線状に延びる治具本体11と、治具本体11に設けられた水平器12とを備える。治具本体11は、例えば樹脂材料により形成されている。治具本体11は、その上面と下面とが互いに平行な平坦面となっている。
【0030】
排水桝設置用治具10は、図3に示すように、蓋ユニット40の蓋部42が取り外された状態で、リング部41の段差面43に載置されて用いられるものとなっている。治具本体11は、その長手方向に延びる本体部13と、本体部13の長手方向の両端側に設けられた一対の載置部14とを有する。治具本体11は、各載置部14がそれぞれリング部41の段差面43に載置されることにより設置される。各載置部14の下面は、リング部41の段差面43に載置される載置面である。各載置部14の下面は、いずれも平坦面であり、同一平面上にある。
【0031】
各載置部14は、治具本体11の長手方向と直交する方向の両側にそれぞれ本体部13に対して延出する一対の延出部15を有している。各延出部15は、リング部41の段差面43にそれぞれ載置される。
【0032】
各載置部14は、リング部41の段差面43に載置された状態でリング部41の内周面45aに対向する対向面16を有している。各載置部14の対向面16は、リング部41の内周面45aに対応する円弧状をなしており、当該内周面45aに沿って配置される。
【0033】
水平器12は、例えば気泡管水平器からなる。水平器12は、治具本体11の本体部13の上面に載置され、その載置状態で治具本体11に固定されている。この場合、治具本体11(具体的には本体部13)の上面は水平器12が載置される載置面となっている。治具本体11の上面は、リング部41の段差面43に載置される各載置部14の下面と平行となっている。
【0034】
なお、水平器12の載置面は必ずしも治具本体11の上面である必要はない。例えば、治具本体11に上方に開口し水平器12が収容される凹状空間を形成し、その凹状空間の底部を水平器12の載置面としてもよい。
【0035】
治具本体11は、長手方向に伸縮可能に構成されている。以下、治具本体11の伸縮に関する構成について説明する。
【0036】
図2(a)及び(b)に示すように、治具本体11は、第1部材21と第2部材22とを有して構成されている。第1部材21は、上述の各載置部14のうち一方の載置部14を有しており、第2部材22は他方の載置部14を有している。第1部材21は、載置部14から治具本体11の長手方向に延びる長尺部23を有している。また、第2部材22は、載置部14から治具本体11の長手方向に延び、上記長手方向と直交する方向に対向する一対の長尺部24を有している。
【0037】
第1部材21の長尺部23は、第2部材22の各長尺部24の間に入り込んだ状態で配置されている。この場合、第1部材21の長尺部23と第2部材22の各長尺部24とにより本体部13が構成されている。第1部材21の長尺部23が第2部材22の各長尺部24の間に入り込んだ状態で、第1部材21と第2部材22とは治具本体11の長手方向に互いにスライド可能となっている。かかるスライドにより、治具本体11は、長手方向に伸縮可能となっている。
【0038】
第1部材21の長尺部23には水平器12が配置されている。水平器12は、長尺部23の長手方向の中央部に配置されている。この場合、水平器12は、治具本体11が縮められた状態で、治具本体11の中央部に位置している。
【0039】
続いて、排水桝設置用治具10を用いて排水桝30を設置する際の手順について説明する。
【0040】
まず、排水桝30を所定の設置場所に設置するとともに、排水桝30の筒部31に蓋ユニット40のリング部41を接続する排水桝設置工程を行う。この工程の後、リング部41から蓋部42を取り外す。但し、この工程の前に、リング部41から蓋部42を取り外してもよい。
【0041】
続いて、リング部41の段差面43に治具本体11の各載置部14を載置することにより排水桝設置用治具10を設置する治具設置工程を行う(図3参照)。この工程では、治具本体11を、リング部41の中央部を通るようにリング部41の開口を跨いだ状態で配置する。これにより、治具本体11の各載置部14の対向面16がリング部41の内周面45aに沿って配置され、当該内周面45aに当接する。また、この工程では、治具本体11の長手方向が平面視における排水桝30の流れ勾配方向と同じ方向となるように、治具本体11を配置する。
【0042】
続いて、水平器12によりリング部41の段差面43が水平になっているか否かを確認する確認工程を行う。この工程では、水平器12が水平になっているか否かを確認することで、段差面43が水平面になっているか否かを確認する。段差面43が水平面になっている場合には、排水桝30が所定の流れ勾配を有して設置されていることになる。そのため、この場合、排水桝設置用治具10をリング部41から取り外し、蓋部42をリング部41に取り付ける。これにより、一連の作業が終了する。
【0043】
一方、段差面43が水平面になっていない場合には、排水桝30の設置角度を修正し、再度、治具設置工程と確認工程とを行う。そして、これらの作業を段差面43が水平面になるまで繰り返し行う。
【0044】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0045】
通常、排水桝30の点検用の筒部31には蓋ユニット40が接続される。蓋ユニット40は、筒部31に接続されるリング部41と、リング部41の開口を塞ぐ蓋部42とを有している。リング部41には、その上端側の内径が大きくされることにより、蓋部42が載置される環状の段差面43が形成されている。ここで、排水桝30が所定の流れ勾配を有して設置される場合には、筒部31の上端面が水平面となる。そのため、この場合、筒部31に接続される蓋ユニット40のリング部41は水平の向きで配置され、それによりリング部41の段差面43が水平面となる。
【0046】
そこで、本実施形態では、上記の点に着目し、排水桝設置用治具10(以下、略して治具10という)を、直線状に延びる治具本体11と、治具本体11に設けられた水平器12とを有して構成している。治具本体11は、その長手方向の両端側がそれぞれリング部41の段差面43に載置されることにより設置される。かかる設置状態では、治具本体11の両端がリング部41の内周面に対向する。そのため、治具本体11が位置ずれするのを抑制することができ、その結果、位置ずれに伴い治具10が排水桝30の内部に落下するのを抑制することができる。
【0047】
また、かかる構成では、位置ずれ抑制のための係合部を治具本体11に設ける必要がない。そのため、治具本体11をリング部41の段差面43に載置する際等に、係合部をリング部41の上端部に引っ掛けてしまう事態が生じず、さらには、かかる引っ掛けに伴い治具10を排水桝30の内部に落下させてしまう事態も生じない。よって、以上より、治具10を排水桝30の内部に落下させてしまうのを抑制することができる。
【0048】
ところで、蓋ユニット40の大きさは排水桝30の筒部31の径に応じて変わる。その点、上記の実施形態では、治具本体11が長手方向に伸縮可能とされている。そのため、蓋ユニット40(リング部41)が小さい場合には、治具本体11を縮めて使用し(図2(a)参照)、蓋ユニット40が大きい場合には、治具本体11を伸ばして使用することができる(図2(b)参照)。そのため、蓋ユニット40の大きさごとに治具を用意する必要がなく、治具の取り扱いを容易とすることができる。
【0049】
治具本体11は、治具本体11の長手方向に延びる本体部13と、本体部13の両端側に設けられリング部41の段差面43に載置される一対の載置部14とを有している。各載置部14は、上記長手方向と交差する方向の両側にそれぞれ本体部13に対して延出する一対の延出部15を有している。この場合、治具本体11のコンパクト化を図りながらも、治具本体11を安定した状態で載置することができる。
【0050】
各載置部14は、リング部41の段差面43に載置された状態でリング部41の内周面45(45a)と対向する対向面16を有している。また、各載置部14の対向面16は、リング部41の内周面45aに対応する円弧状をなしている。この場合、各載置部14を段差面43に載置した状態で、各載置部14の対向面16をリング部41の内周面45aに沿って配置することができる。これにより、治具本体11をより一層安定した状態で載置することができる。
【0051】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0052】
・上記実施形態では、治具本体11を伸縮可能に構成したが、治具本体11を伸縮不能に構成してもよい。
【0053】
・上記実施形態では、排水桝30の筒部31に蓋ユニット40(リング部41)が直接接続されていたが、排水桝30の筒部31に蓋ユニット40が立て管を介して接続されている場合もある。そこで、このような構成において、排水桝30を設置する際に本発明の排水桝設置用治具を用いてもよい。この場合、排水桝設置工程において、蓋ユニット40を立て管を介して排水桝30の筒部31に接続することになる。
【0054】
・上記実施形態では、ストレート桝からなる排水桝30を設置する際に排水桝設置用治具10を用いたが、曲がり桝など、ストレート桝以外の排水桝を設置する際にも、排水桝設置用治具10を用いることができる。要するに、排水桝を所定の流れ勾配を有して設置する際には、排水桝の種類にかかわらず排水桝設置用治具10を用いることが可能である。
【符号の説明】
【0055】
10…排水桝設置用治具、11…治具本体、12…水平器、13…本体部、14…載置部、15…延出部、16…対向面、30…排水桝、31…筒部、40…蓋ユニット、41…リング部、42…蓋部、43…段差面。
図1
図2
図3