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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164453
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】コンプライアンスユニット
(51)【国際特許分類】
   B25J 17/02 20060101AFI20241120BHJP
   B23P 19/02 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
B25J17/02 G
B23P19/02 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079931
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 太平
【テーマコード(参考)】
3C030
3C707
【Fターム(参考)】
3C030BC26
3C707BT20
3C707HS14
(57)【要約】
【解決手段】コンプライアンスユニット10は、XY平面に沿って広がるベース板14と、XY平面に沿ってベース板に対して移動可能に配置されたテーブルユニット16と、ベース板およびテーブルユニットに対してX方向およびY方向に移動可能なようにベース板とテーブルユニットとの間に介在されたコンプライアンス機構18と、ベース板の外側から内側に向かってテーブルユニットおよびコンプライアンス機構を押圧することにより、テーブルユニットとコンプライアンス機構とをベース板に対する原点位置に復帰させる原点復帰機構20と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
XY平面に沿って広がるベース板と、
前記XY平面に沿って前記ベース板に対して移動可能に配置されたテーブルユニットと、
前記ベース板および前記テーブルユニットに対してX方向およびY方向に移動可能なように前記ベース板と前記テーブルユニットとの間に介在されたコンプライアンス機構と、
前記ベース板の平面方向の外側から内側に向かって前記テーブルユニットおよび前記コンプライアンス機構を押圧することにより、前記テーブルユニットと前記コンプライアンス機構とを前記ベース板に対する原点位置に復帰させる原点復帰機構と、
を備える、コンプライアンスユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のコンプライアンスユニットであって、
前記原点復帰機構は、前記テーブルユニットと前記コンプライアンス機構とを前記原点位置に保持する、コンプライアンスユニット。
【請求項3】
請求項2に記載のコンプライアンスユニットであって、
前記ベース板が取り付けられたボディを備え、
前記原点復帰機構は、
前記テーブルユニットと前記コンプライアンス機構とを挟持するための一対の把持部と、
前記一対の把持部を開閉させるための駆動機構と、
を有し、
前記駆動機構は、前記ボディに設けられている、コンプライアンスユニット。
【請求項4】
請求項3に記載のコンプライアンスユニットであって、
前記原点復帰機構は、前記テーブルユニットと前記コンプライアンス機構とを前記原点位置に復帰させた時に前記ベース板に接触する、コンプライアンスユニット。
【請求項5】
請求項1に記載のコンプライアンスユニットであって、
前記コンプライアンス機構は、
複数のボールと、
前記複数のボールを転動可能に支持する板状のリテーナと、
を有し、
前記原点復帰機構は、前記リテーナの外周面を押圧する、コンプライアンスユニット。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のコンプライアンスユニットであって、
前記ベース板の中央部には、貫通孔が形成され、
前記テーブルユニットは、
テーブル本体と、
前記ベース板に対して前記テーブル本体とは反対側に位置する保持板と、
前記貫通孔に挿通された状態で前記テーブル本体と前記保持板とを互いに連結する連結部と、
を有し、
前記コンプライアンス機構は、前記ベース板と前記テーブル本体との間と前記ベース板と前記保持板との間との少なくともいずれかに介在されている、コンプライアンスユニット。
【請求項7】
請求項6に記載のコンプライアンスユニットであって、
前記コンプライアンス機構は、前記ベース板と前記テーブル本体との間と前記ベース板と前記保持板との間との両方に介在されている、コンプライアンスユニット。
【請求項8】
請求項6に記載のコンプライアンスユニットであって、
前記連結部の外周面には、前記テーブルユニットが前記ベース板に対して前記原点位置から移動した際に前記ベース板の内周端部が挿入可能な環状溝が形成されている、コンプライアンスユニット。
【請求項9】
請求項3に記載のコンプライアンスユニットであって、
前記ベース板は、円形状の外周面を有し、
前記原点復帰機構は、前記ベース板の前記外周面に接触するベース接触部を有し、
前記ベース接触部は、前記ベース板の前記外周面に沿って湾曲した凹状湾曲面であり、
前記凹状湾曲面の曲率半径は、前記ベース板の半径よりも大きい、コンプライアンスユニット。
【請求項10】
請求項3に記載のコンプライアンスユニットであって、
前記ベース板は、円形状の外周面を有し、
前記原点復帰機構は、前記ベース板の前記外周面に接触するベース接触部を有し、
前記ベース接触部は、平面である、コンプライアンスユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンプライアンスユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、XY平面に沿って広がるベース板と、テーブルユニットと、コンプライアンス機構とを備えたコンプライアンスユニットが開示されている。テーブルユニットは、ベース板に対してXY平面に沿って移動可能に設けられている。コンプライアンス機構は、ベース板とテーブルユニットとの間に介在されている。コンプライアンス機構は、多数の鋼球を転動可能に支持する板状のリテーナを有する。リテーナには、コンプライアンス機構をベース板に対する原点位置に復帰させるためのコイルスプリングが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-129784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
より良好なコンプライアンスユニットを提供することが望まれている。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、XY平面に沿って広がるベース板と、前記XY平面に沿って前記ベース板に対して移動可能に配置されたテーブルユニットと、前記ベース板および前記テーブルユニットに対してX方向およびY方向に移動可能なように前記ベース板と前記テーブルユニットとの間に介在されたコンプライアンス機構と、前記ベース板の平面方向の外側から内側に向かって前記テーブルユニットおよび前記コンプライアンス機構を押圧することにより、前記テーブルユニットと前記コンプライアンス機構とを前記ベース板に対する原点位置に復帰させる原点復帰機構と、を備える、コンプライアンスユニットである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、より良好なコンプライアンスユニットを提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るコンプライアンスユニットの斜視図である。
図2図2は、コンプライアンスユニットの分解斜視図である。
図3図3は、コンプライアンスユニットの底面図である。
図4図4は、図3のIV-IV線に沿った断面図である。
図5図5は、図4のV-V線に沿った縦断面図である。
図6図6は、図4のVI-VI線に沿った縦断面図である。
図7図7は、図5のVII-VII線に沿った断面図である。
図8図8は、コンプライアンスユニットの一部分解斜視図である。
図9図9は、非ロック状態のコンプライアンスユニットを示す説明図である。
図10図10は、非ロック状態のコンプライアンスユニットを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係るコンプライアンスユニット10について図面を用いて以下に説明する。本実施形態に係るコンプライアンスユニット10は、例えば、ワークの組付時の位置ずれ(芯ずれ)を補正するための装置である。具体的には、図1に示すように、コンプライアンスユニット10では、例えば、図示しないロボットハンドがボディ12に接続され、ワークを把持するための図示しないチャック装置がテーブルユニット16に取り付けられる。テーブルユニット16は、ロックされていない状態(非ロック状態)でボディ12に対してXY平面に沿って移動可能である(図9参照)。
【0010】
このようなコンプライアンスユニット10は、例えば、所定の孔にワークを挿入するワークの組付時に芯ずれが発生した場合であっても、当該ワークが当該孔の内面に当たることによってテーブルユニット16が容易に移動するため、芯ずれを簡単に補正し得る。なお、コンプライアンスユニット10の用途は、ワークを孔に挿入する例に限定されない。以下、コンプライアンスユニット10の構成について詳細に説明する。
【0011】
図1図5に示すように、コンプライアンスユニット10は、ボディ12と、XY平面に広がるベース板14と、テーブルユニット16と、一対のコンプライアンス機構18と、原点復帰機構20とを備える。図2に示すように、ボディ12は、直方体形状を有する。ボディ12は、例えば、金属材料によって構成されている。ボディ12のZ1方向を向く第1面12aには、図示しないロボットハンドに接続するための複数の孔24が形成されている(図8参照)。孔24の位置、大きさ、形状、数等は、適宜設定可能である。
【0012】
ボディ12のZ2方向を向く第2面12bの中央部には、円形状の凹部26が形成されている。ボディ12には、ベース板14を取り付けるための一対のベース取付部28が設けられている。一対のベース取付部28は、ボディ12の第2面12bのY方向の両端部からZ2方向に突出している。
【0013】
図2図4図6に示すように、ベース板14は、円環状に形成されている。ベース板14は、例えば、金属材料によって構成されている。すなわち、ベース板14は、円形状の外周面14aを有する。ベース板14の外径(直径)は、ボディ12の凹部26の直径よりも大きい。ベース板14は、複数のねじ部材30によってベース固定部に固定されている(図5参照)。ベース板14の中央部には、円形状の貫通孔32が形成されている。
【0014】
図2図4、および図5に示すように、テーブルユニット16は、XY平面に沿ってベース板14に対して移動可能に配置されている。テーブルユニット16は、テーブル本体34と、保持板36と、連結部38とを有する。テーブルユニット16は、テーブル本体34と、保持板36と、連結部38とを一体に組み立てることにより形成されている(図4および図5参照)。
【0015】
テーブル本体34は、ベース板14のZ2方向に位置する。テーブル本体34は、取付テーブル40と、支持板42とを含む。取付テーブル40は、例えば、金属材料によって構成される。取付テーブル40は、正方形状に形成されている。取付テーブル40は、2つの対角線がX方向およびY方向に沿うように配置されている。取付テーブル40の形状は、長方形状であってもよい。また、取付テーブル40の形状は、円形状であってもよいし、多角形状(四角形状以外)であってもよい。取付テーブル40には、図示しないチャック装置等を取り付けるための複数の取付孔44が形成されている(図1および図2参照)。取付孔44の位置、大きさ、形状、数等は、適宜設定可能である。取付テーブル40は、支持板42よりも分厚い。
【0016】
支持板42は、例えば、金属材料によって構成される。支持板42は、取付テーブル40のZ1方向の面に配置される。支持板42は、円形状に形成されている。支持板42の直径は、取付テーブル40の一辺の長さよりも小さい。本実施形態において、支持板42は、省略されてもよい。
【0017】
保持板36は、ベース板14のZ1方向に位置する。換言すれば、保持板36は、ベース板14に対してテーブル本体34とは反対側(Z1方向)に位置する。保持板36は、例えば、金属材料によって構成される。保持板36は、円形状に形成される。保持板36の外径は、ボディ12の円形状の凹部26の外径よりも小さい。保持板36は、少なくとも一部が凹部26に挿入されている(図4および図5参照)。保持板36の外径は、支持板42の外径と同じである。なお、保持板36の外径は、支持板42の外径よりも大きくても小さくてもよい。
【0018】
連結部38は、円柱状に形成されている。連結部38は、例えば、金属材料によって構成されている。連結部38の外径は、支持板42および保持板36の各々の外径よりも小さい。連結部38は、ベース板14の貫通孔32に挿入されている。連結部38の中央部には、一端から他端まで延びた挿通孔46が形成されている。挿通孔46には、連結ピン48が挿通されている。連結ピン48の一端部(Z2方向の端部)は、支持板42の中央部に形成された孔49に嵌合されている。連結ピン48の他端部(Z1方向の端部)は、保持板36の中央部に形成された孔50に嵌合されている。
【0019】
図2および図5に示すように、連結部38は、支持板42(テーブル本体34)と保持板36とを互いに連結する。連結部38の一端部(Z2方向の端部)には、取付テーブル40と支持板42とが複数のねじ部材52によって固定されている。なお、支持板42は、取付テーブル40と連結部38とによって挟持されている。連結部38の他端部(Z1方向の端部)には、保持板36が複数のねじ部材54によって固定されている。
【0020】
図2図4、および図5に示すように、連結部38の外周面には、環状溝55が形成されている。環状溝55は、連結部38の軸方向の中央部に位置する。環状溝55には、テーブルユニット16がベース板14に対してXY平面に沿って移動した際にベース板14の内周端部が挿入可能である。
【0021】
コンプライアンス機構18は、ベース板14およびテーブルユニット16に対してX方向およびY方向に移動可能なようにテーブルユニット16とベース板14との間に介在されている。一方のコンプライアンス機構18は、ベース板14と支持板42(テーブル本体34)との間に介在されている。他方のコンプライアンス機構18は、ベース板14と保持板36との間に介在されている。以下、一方のコンプライアンス機構18を「第1コンプライアンス機構18a」と称呼し、他方のコンプライアンス機構18を「第2コンプライアンス機構18b」と称呼することがある。
【0022】
第1コンプライアンス機構18aは、複数のボール56と、板状のリテーナ58とを有する。ボール56は、例えば、鋼球である。ボール56は、ベース板14のZ2方向を向く平面60と、支持板42のZ1方向を向く平面62とに接触する(図4および図5参照)。平面60と平面62とは、互いに平行に配置されている。
【0023】
リテーナ58は、複数のボール56を転動可能に支持する。リテーナ58は、円環状に形成されている。リテーナ58の外径は、支持板42および保持板36の各々の外径と同じである。リテーナ58の外径は、支持板42および保持板36の各々の外径よりも大きくても小さくてもよい。リテーナ58の内径は、連結部38の外径およびベース板14の内径の各々よりも大きい。
【0024】
リテーナ58には、複数のボール56が配置される複数の配置孔64が形成されている。複数の配置孔64は、リテーナ58の周方向に等間隔に並んでいる(図2および図3参照)。なお、複数の配置孔64の位置、数等は、適宜設定可能である。
【0025】
第2コンプライアンス機構18bは、第1コンプライアンス機構18aと同じ構成を備える。そのため、第2コンプライアンス機構18bの詳細な構成の説明については省略する。なお、第2コンプライアンス機構18bの複数のボール56は、ベース板14のZ1方向を向く平面66と、保持板36のZ2方向を向く平面68とに接触する(図4および図5参照)。平面66と平面68とは、互いに平行に配置されている。
【0026】
このようなコンプライアンスユニット10では、Z2方向が重力方向になるようにコンプライアンスユニット10を配置した状態で、テーブルユニット16は、第2コンプライアンス機構18bを介してベース板14に支持される。また、Z1方向が重力方向になるようにコンプライアンスユニット10を配置した状態で、テーブルユニット16は、第1コンプライアンス機構18aを介してベース板14に支持される。
【0027】
図3図4、および図6に示すように、原点復帰機構20は、ベース板14の平面方向の外側から内側に向かってベース板14、テーブルユニット16、および一対のコンプライアンス機構18を押圧することにより、テーブルユニット16と一対のコンプライアンス機構18とをベース板14に対する原点位置に復帰させる。原点位置において、テーブルユニット16の中心とコンプライアンス機構18の中心とは、ベース板14の中心軸Axに位置する(図3参照)。また、原点復帰機構20は、テーブルユニット16とコンプライアンス機構18とを原点位置に保持(ロック)する。
【0028】
図1および図2に示すように、原点復帰機構20は、駆動機構70と、一対の把持部72とを有する。駆動機構70は、一対の把持部72を開閉させる。駆動機構70は、ボディ12に設けられている。
【0029】
図7および図8に示すように、駆動機構70は、ハウジング76と、第1シリンダ機構78と、第2シリンダ機構80と、ガイド機構81とを有する。ハウジング76は、ボディ12に一体に設けられている。
【0030】
図7に示すように、第1シリンダ機構78と第2シリンダ機構80とは、Y方向に並設されている。第1シリンダ機構78は、シリンダ孔82と、ヘッドカバー84と、ロッドカバー86と、ピストン88と、ピストンロッド90と、エンドプレート92とを含む。シリンダ孔82は、X方向にハウジング76を貫通する。
【0031】
ヘッドカバー84は、シリンダ孔82の一端部を気密に閉塞する。ヘッドカバー84は、止め輪94によってハウジング76に係止されている。ロッドカバー86は、シリンダ孔82の他端部を気密に閉塞する。ロッドカバー86は、止め輪96によってハウジング76に係止されている。ロッドカバー86には、ピストンロッド90が挿通する孔98が貫通形成されている。ピストン88は、ヘッドカバー84とロッドカバー86との間に配置される。ピストン88は、シリンダ孔82の内周面に気密に接触した状態で移動する。
【0032】
ピストン88とヘッドカバー84との間には、第1室100が形成される。ピストン88とロッドカバー86との間には、第2室102が形成される。ハウジング76には、第1室100に連通する第1ポート104と、第2室102に連通する第2ポート106とが形成されている。第1ポート104は、第1室100に圧力流体を供給し得る。第1ポート104は、第1室100の圧力流体を排出し得る。第2ポート106は、第2室102に圧力流体を供給し得る。第2ポート106は、第2室102から圧力流体を排出し得る。圧力流体は、例えば、圧縮空気であるがこれに限定されない。
【0033】
ピストンロッド90は、ロッドカバー86の孔98に挿通されている。ピストンロッド90の一端部は、ピストン88に連結されている。ピストンロッド90の他端部は、ロッドカバー86に対してピストン88とは反対側に位置する。図7および図8に示すように、ピストンロッド90の他端部には、ねじ部材108によって接続部材110が固定されている。接続部材110は、円環状に形成されている。接続部材110の内部には、ねじ部材108が挿通している。接続部材110の外周面には、環状の溝112が形成されている。
【0034】
エンドプレート92は、接続部材110に取り付けられている。エンドプレート92は、X方向と直交する方向(YZ平面)に広がっている。エンドプレート92には、接続部材110が配置される接続孔114が貫通形成されている。接続孔114の内面には、接続部材110の溝112に挿入される凸部116が設けられている。図8に示すように、エンドプレート92のZ1方向の端部には、ハウジング76の内側に向かって突出した取付プレート118が設けられている。また、エンドプレート92には、複数のねじ部材119によって把持部72が固定されている(図2および図8参照)。
【0035】
図7に示すように、第2シリンダ機構80は、第1シリンダ機構78をX方向に反転させた構成を備える。第2シリンダ機構80の詳細な構成の説明については省略する。第2シリンダ機構80の第1室100は、ハウジング76に形成された図示しない第1連通路を介して第1シリンダ機構78の第1室100に連通している。第2シリンダ機構80の第2室102は、ハウジング76に形成された図示しない第2連通路を介して第1シリンダ機構78の第2室102に連通している。第1シリンダ機構78のエンドプレート92と第2シリンダ機構80のエンドプレート92とは、ハウジング76に対してX方向の両側に配置されている。
【0036】
図8に示すように、ガイド機構81は、一対のエンドプレート92をX方向に案内する。ガイド機構81は、ハウジング76のZ1方向を向く面に形成された凹部120に配置されている。凹部120は、ハウジング76のX方向の全長に亘って延在している。ガイド機構81は、ガイドレール122と、一対のスライダ124とを有する。
【0037】
ガイドレール122は、凹部120の底面に設けられている。ガイドレール122は、ハウジング76のX方向の全長に亘って延在している。スライダ124は、X方向にスライド可能にガイドレール122に取り付けられている。一方のスライダ124には、第1シリンダ機構78の取付プレート118が複数のねじ部材126によって固定されている。他方のスライダ124には、第2シリンダ機構80の取付プレート118が複数のねじ部材126によって固定されている。
【0038】
図7に示すように、駆動機構70において、第2ポート106を外気に連通させた状態で第1ポート104に圧力流体を供給すると、第1シリンダ機構78および第2シリンダ機構80の各々の第1室100に圧力流体が流入する。そうすると、ピストン88が第2室102に向かって移動すると共に第2室102の流体(圧力流体)が第2ポート106から排出される。これにより、一対のエンドプレート92が互いに離れる方向に移動するため一対の把持部72が開く(図9および図10参照)。
【0039】
一方、第1ポート104を外気に連通させた状態で第2ポート106に圧力流体を供給すると、第1シリンダ機構78および第2シリンダ機構80の各々の第2室102に圧力流体が流入する。そうすると、ピストン88が第1室100に向かって移動すると共に第1室100の流体(圧力流体)が第1ポート104から排出される。これにより、一対のエンドプレート92が互いに近づく方向に移動するため一対の把持部72が閉じる(図3および図6参照)。
【0040】
図1図3に示すように、一対の把持部72は、テーブルユニット16と、一対のコンプライアンス機構18と、ベース板14とをX方向から挟持する。把持部72は、把持ベース130と、第1押圧部132と、第2押圧部134と、テーブル押圧部136とを有する。
【0041】
把持ベース130は、Y方向に延在している。把持ベース130は、複数のねじ部材119によってエンドプレート92のZ2方向の端部に固定されている。図6および図10に示すように、把持ベース130には、一対の把持部72を閉じた際にベース板14の外周面14aに接触するベース接触部138が設けられている。ベース接触部138は、ベース板14の外周面14aに沿って湾曲した凹状湾曲面140である。凹状湾曲面140の曲率半径は、ベース板14の半径よりも大きい。なお、図10に仮想線で示すように、ベース接触部138は、凹状湾曲面140でなく、平面142であってもよい。
【0042】
図1図3に示すように、第1押圧部132は、第1コンプライアンス機構18aをベース板14の平面方向の外側から内側に押圧する。第1押圧部132は、把持ベース130のZ2方向の端部から第1コンプライアンス機構18aに向かって突出している。図3に示すように、第1押圧部132は、把持ベース130から第1コンプライアンス機構18aに向かってY方向の外側に広がるように突出した一対の突出部144を有する。
【0043】
突出部144には、一対の把持部72を閉じた際にリテーナ58の外周面に接触するリテーナ接触部146が設けられている。リテーナ接触部146は、平面である。なお、リテーナ接触部146は、リテーナ58の外周面に沿って延在する凹状の湾曲面であってもよい。この場合、湾曲面の曲率半径は、リテーナ58の半径よりも大きく設定される。
【0044】
図1および図2に示すように、第2押圧部134は、第2コンプライアンス機構18bをベース板14の平面方向の外側から内側に押圧する。第2押圧部134は、把持ベース130のZ1方向の端部から第2コンプライアンス機構18bに向かって突出している。第2押圧部134は、第1押圧部132と同様に構成されている。そのため、第2押圧部134の詳細な構成の説明については省略する。
【0045】
テーブル押圧部136は、第1押圧部132からZ2方向に突出している。図3に示すように、テーブル押圧部136は、第1押圧部132の突出部144に沿って延びた一対の保持凸部150を有する。保持凸部150には、取付テーブル40の側面40aに平行に延在したテーブル接触部152が設けられている。一対の保持凸部150は、互いに繋がっている。これにより、一対の保持凸部150が互いに離れている場合と比較して、テーブル押圧部136の剛性を高めることができる。
【0046】
図9および図10に示すように、コンプライアンスユニット10では、一対の把持部72が開いている状態で、把持部72は、ベース板14、テーブルユニット16、一対のコンプライアンスユニット10から離間している。そのため、テーブルユニット16は、ベース板14に対してXY平面に沿って移動可能となる。これにより、例えば、ワークの組付時の位置ずれを簡単に補正し得る。テーブルユニット16がベース板14に対してXY平面に沿って移動すると、一対のコンプライアンス機構18もベース板14に対して原点位置から移動する。
【0047】
本実施形態では、一対の把持部72を閉じると、テーブル押圧部136のテーブル接触部152が取付テーブル40の側面40aに接触することにより、テーブル押圧部136は、ベース板14の平面方向の外側から内側に向かって取付テーブル40を押圧する。また、第1押圧部132のリテーナ接触部146が第1コンプライアンス機構18aのリテーナ58の外周面に接触することにより、第1押圧部132は、ベース板14の平面方向の外側から内側に向かって第1コンプライアンス機構18aを押圧する。さらに、第2押圧部134のリテーナ接触部146が第2コンプライアンス機構18bのリテーナ58の外周面に接触することにより、第2押圧部134は、ベース板14の平面方向の外側から内側に向かって第2コンプライアンス機構18bを押圧する。
【0048】
これにより、テーブルユニット16、第1コンプライアンス機構18a、および第2コンプライアンス機構18bがベース板14に対する原点位置に復帰される。すなわち、テーブルユニット16の中心と、第1コンプライアンス機構18aの中心と、第2コンプライアンス機構18bの中心とが、ベース板14の中心軸Axに位置する(図3参照)。
【0049】
また、原点復帰状態において、把持ベース130のベース接触部138がベース板14の外周面14aに接触する。換言すれば、一対の把持部72は、ベース板14を挟持する(図6参照)。これにより、一対の把持部72は、ベース板14に対して移動不能となる。さらに、原点復帰状態において、一対の把持部72は、テーブルユニット16、第1コンプライアンス機構18a、および第2コンプライアンス機構18bを挟持する。これにより、テーブルユニット16、第2コンプライアンス機構18b、および第2コンプライアンス機構18bは、一対の把持部72を介してベース板14に保持(ロック)される。
【0050】
ところで、テーブルユニット16を原点復帰させる際にコンプライアンス機構18を原点復帰させなかった場合、テーブルユニット16がベース板14に対して原点復帰した状態でコンプライアンス機構18の中心がベース板14の中心軸Axからずれることがある。この場合、テーブルユニット16の移動中にコンプライアンス機構18がストロークエンドに到達することがある。この状態でテーブルユニット16を移動させると、コンプライアンス機構18とテーブルユニット16との間に滑り抵抗が発生することにより、テーブルユニット16をベース板14に対して円滑に移動できないことがある。コンプライアンス機構18をスプリングによって原点位置に復帰させる構成では、テーブルユニット16を移動させる際にスプリングの反発力が抵抗になるため、テーブルユニット16をベース板14に対して円滑に移動できないおそれがある。
【0051】
本実施形態によれば、ベース板14の平面方向の外側から内側に向かってテーブルユニット16およびコンプライアンス機構18を押圧することにより、テーブルユニット16とコンプライアンス機構18とをベース板14に対する原点位置に復帰させることができる。これにより、テーブルユニット16の移動中にコンプライアンス機構18がストロークエンドに到達することを抑制できるため、テーブルユニット16をベース板14に対して円滑に移動させることができる。また、原点復帰用のスプリングをコンプライアンス機構18に設ける必要がないため、テーブルユニット16を移動させる際にスプリングの反発力が作用することもない。よって、より良好なコンプライアンスユニット10を提供し得る。
【0052】
コンプライアンスユニット10は、上述した構成に限定されない。駆動機構70は、エアシリンダを有する構成に限定されない。駆動機構70は、第1シリンダ機構78のピストンロッド90と第2シリンダ機構80のピストンロッド90とをラックピニオン機構によって互いに連結させてもよい。この場合、第2シリンダ機構80のエンドプレート92は、第1シリンダ機構78のピストン88の動きに連動する。
【0053】
また、このような構成によれば、一対の把持部72によってテーブルユニット16および一対のコンプライアンス機構18を保持した状態で、第1シリンダ機構78および第2シリンダ機構80のピストン88の動きをラックピニオン機構によって抑えることができる。そのため、一対の把持部72によってベース板14を挟持しなくても、テーブルユニット16および一対のコンプライアンス機構18をベース板14に対する原点位置に保持し得る。
【0054】
また、駆動機構70は、電動アクチュエータを有してもよい。この場合も、一対の把持部72によってテーブルユニット16および一対のコンプライアンス機構18を保持した状態で、一対の把持部72がボディ12に対して移動することを電動アクチュエータによって抑制できる。そのため、一対の把持部72によってベース板14を挟持しなくても、テーブルユニット16および一対のコンプライアンス機構18をベース板14に対する原点位置に保持し得る。
【0055】
上述した開示に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0056】
(付記1)
コンプライアンスユニット(10)は、XY平面に沿って広がるベース板(14)と、前記XY平面に沿って前記ベース板に対して移動可能に配置されたテーブルユニット(16)と、前記ベース板および前記テーブルユニットに対してX方向およびY方向に移動可能なように前記ベース板と前記テーブルユニットとの間に介在されたコンプライアンス機構(18)と、前記ベース板の平面方向の外側から内側に向かって前記テーブルユニットおよび前記コンプライアンス機構を押圧することにより、前記テーブルユニットと前記コンプライアンス機構とを前記ベース板に対する原点位置に復帰させる原点復帰機構(20)と、を備える。
【0057】
このような構成によれば、テーブルユニットとコンプライアンス機構とが原点位置に復帰することによってテーブルユニットの移動中にコンプライアンス機構がストロークエンドに到達することを抑制できるため、テーブルユニットをベース板に対して円滑に移動させることができる。よって、より良好なコンプライアンスユニットを提供し得る。
【0058】
(付記2)
付記1に記載のコンプライアンスユニットにおいて、前記原点復帰機構は、前記テーブルユニットと前記コンプライアンス機構とを前記原点位置に保持してもよい。
【0059】
このような構成によれば、原点復帰機構によってテーブルユニットとコンプライアンス機構とを原点位置に保持(ロック)することができる。これにより、例えば、ワーク搬送時等にテーブルユニットを保持することができる。
【0060】
(付記3)
付記1または2に記載のコンプライアンスユニットにおいて、前記ベース板が取り付けられたボディ(12)を備え、前記原点復帰機構は、前記テーブルユニットと前記コンプライアンス機構とを挟持するための一対の把持部(72)と、前記一対の把持部を開閉させるための駆動機構(70)と、を有し、前記駆動機構は、前記ボディに設けられてもよい。
【0061】
このような構成によれば、一対の把持部によってテーブルユニットおよびコンプライアンス機構を挟持することができる。また、駆動機構がボディに設けられているため、コンプライアンスユニットの構成をコンパクトにできる。
【0062】
(付記4)
付記3に記載のコンプライアンスユニットにおいて、前記原点復帰機構は、前記テーブルユニットと前記コンプライアンス機構とを前記原点位置に復帰させた時に前記ベース板に接触してもよい。
【0063】
このような構成によれば、簡単な構成により、テーブルユニットとコンプライアンス機構とを原点位置に精度よく保持することができる。
【0064】
(付記5)
付記1~4のいずれかに記載のコンプライアンスユニットにおいて、前記コンプライアンス機構は、複数のボール(56)と、前記複数のボールを転動可能に支持する板状のリテーナ(58)と、を有し、前記原点復帰機構は、前記リテーナの外周面を押圧してもよい。
【0065】
このような構成によれば、テーブルユニットをベース板に対して一層円滑に移動させることができる。
【0066】
(付記6)
付記1~5のいずれかに記載のコンプライアンスユニットにおいて、前記ベース板の中央部には、貫通孔(32)が形成され、前記テーブルユニットは、テーブル本体(34)と、前記ベース板に対して前記テーブル本体とは反対側に位置する保持板(36)と、前記貫通孔に挿通された状態で前記テーブル本体と前記保持板とを互いに連結する連結部(38)と、を有し、前記コンプライアンス機構は、前記ベース板と前記テーブル本体との間と前記ベース板と前記保持板との間との少なくともいずれかに介在されてもよい。
【0067】
このような構成によれば、簡単な構成により、コンプライアンス機構を介してテーブルユニットをベース板に支持することができる。
【0068】
(付記7)
付記6に記載のコンプライアンスユニットにおいて、前記コンプライアンス機構は、前記ベース板と前記テーブル本体との間と前記ベース板と前記保持板との間との両方に介在されてもよい。
【0069】
このような構成によれば、テーブルユニットを上下方向のいずれに向けても使用することができる。
【0070】
(付記8)
付記6または7に記載のコンプライアンスユニットにおいて、前記連結部の外周面には、前記テーブルユニットが前記ベース板に対して前記原点位置から移動した際に前記ベース板の内周端部が挿入可能な環状溝(55)が形成されてもよい。
【0071】
このような構成によれば、コンプライアンスユニットをコンパクトに構成しつつテーブルユニットのベース板に対する移動可能距離(ストローク)を大きくすることができる。
【0072】
(付記9)
付記3または4に記載のコンプライアンスユニットにおいて、前記ベース板は、円形状の外周面(14a)を有し、前記原点復帰機構は、前記ベース板の前記外周面に接触するベース接触部(138)を有し、前記ベース接触部は、前記ベース板の前記外周面に沿って湾曲した凹状湾曲面(140)であり、前記凹状湾曲面の曲率半径は、前記ベース板の半径よりも大きくてもよい。
【0073】
このような構成によれば、一対の把持部の開閉方向と直交する方向(Y方向)の累積公差の影響を緩和してベース接触部をベース板の外周面に接触させることができる。これにより、ベース接触部に作用する応力を低減することができるため、コンプライアンスユニットの部品の寿命を長くできる。
【0074】
(付記10)
付記3または4に記載のコンプライアンスユニットにおいて、前記ベース板は、円形状の外周面を有し、前記原点復帰機構は、前記ベース板の前記外周面に接触するベース接触部を有し、前記ベース接触部は、平面(142)であってもよい。
【0075】
このような構成によれば、付記9と同様の効果を奏する。
【0076】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0077】
10…コンプライアンスユニット 12…ボディ
14…ベース板 14a…ベース板の外周面
16…テーブルユニット 18…コンプライアンス機構
20…原点復帰機構 24…孔
32…貫通孔 34…テーブル本体
36…保持板 38…連結部
55…環状溝 56…ボール
58…リテーナ 70…駆動機構
72…把持部 138…ベース接触部
140…凹状湾曲面 142…平面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10