IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

<>
  • 特開-積付制御装置 図1
  • 特開-積付制御装置 図2
  • 特開-積付制御装置 図3
  • 特開-積付制御装置 図4
  • 特開-積付制御装置 図5
  • 特開-積付制御装置 図6
  • 特開-積付制御装置 図7
  • 特開-積付制御装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164454
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】積付制御装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
B66F9/24 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079934
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】石村 亮祐
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE02
3F333BA02
3F333BA09
3F333BD02
3F333BE02
3F333BG07
3F333FA11
3F333FA15
3F333FA21
3F333FA23
3F333FA27
3F333FD13
3F333FD14
3F333FD15
3F333FE04
3F333FE05
(57)【要約】
【課題】左右方向に隣り合うパレット上の荷物同士の干渉を抑制することができる積付制御装置を提供する。
【解決手段】積付制御装置20は、保持パレット10Aが既存パレット10Bと左右方向に隣り合う積付位置Gまでフォークリフト1を走行させるように制御する走行制御部32と、既存パレット10Bの左側面10cまたは右側面10dに向けてレーザを照射して、既存パレット10Bまでの距離を検出する1Dセンサ22と、既存パレット10Bまでの距離に基づいて、フォークリフト1が積付位置Gに達した状態における保持パレット10Aと既存パレット10Bとの隙間の距離を算出する隙間距離算出部34と、保持パレット10Aと既存パレット10Bとの隙間の距離に応じて、保持パレット10Aを既存パレット10B側に寄せるようにフォークリフト1を制御するサイドシフト制御部36とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業車両に保持された第1パレットを既に置かれている第2パレットに対して左右方向に隣り合うように積み付ける積付制御装置であって、
前記第1パレットが前記第2パレットと左右方向に隣り合う積付位置まで前記産業車両を走行させるように制御する走行制御部と、
前記第2パレットの少なくとも側面に向けてレーザを照射してレーザの反射光を受光することにより、前記第2パレットまでの距離を検出するレーザセンサと、
前記レーザセンサにより検出された前記第2パレットまでの距離に基づいて、前記産業車両が前記積付位置に達した状態における前記第1パレットと前記第2パレットとの隙間の距離を算出する隙間距離算出部と、
前記隙間距離算出部により算出された前記第1パレットと前記第2パレットとの隙間の距離に応じて、前記第1パレットを前記第2パレット側に寄せるように前記産業車両を制御するパレット移動制御部とを備える積付制御装置。
【請求項2】
前記産業車両はフォークリフトであり、
前記フォークリフトは、前記第1パレットを保持する左右1対のフォークと、前記フォークを昇降させるリフトシリンダとを有し、
前記走行制御部は、前記フォークリフトを前記積付位置まで前進走行させるように制御する請求項1記載の積付制御装置。
【請求項3】
前記レーザセンサは、前記フォークリフトが前記積付位置に向かって前進走行するときに、前記第2パレットの少なくとも側面に向けて直線状のレーザを照射する1Dセンサである請求項2記載の積付制御装置。
【請求項4】
前記1Dセンサは、前記フォークリフトが前記積付位置に向かって前進走行するときに、前記直線状のレーザを前記第2パレットの前面及び側面の順で反射させるように前記フォークリフトの斜め前方に向かって照射する請求項3記載の積付制御装置。
【請求項5】
前記フォークは、マストにリフトブラケットを介して取り付けられており、
前記1Dセンサは、前記リフトブラケットの下部に取り付けられている請求項4記載の積付制御装置。
【請求項6】
前記リフトシリンダを制御する荷役制御部を更に備え、
前記1Dセンサは、前記直線状のレーザを前記フォークリフトの斜め前方に向かって水平方向に照射し、
前記荷役制御部は、前記フォークリフトを前記積付位置に向かって前進走行させる前に、前記1Dセンサの高さ位置が前記第2パレットの高さ位置と一致するまで前記フォークが昇降するように前記リフトシリンダを制御する請求項5記載の積付制御装置。
【請求項7】
前記フォークリフトは、前記フォークを横方向に移動させるサイドシフトシリンダを更に有し、
前記パレット移動制御部は、前記第1パレットを前記第2パレット側に寄せるように前記サイドシフトシリンダを制御する請求項2~6の何れか一項記載の積付制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積付制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、無人フォークリフトが記載されている。特許文献1に記載の無人フォークリフトは、マストに沿って昇降するフォークと、このフォークを車体の幅方向(左右方向)にシフトさせるサイドシフト装置と、車体の周囲にレーザーを投光し、複数の反射板からの反射光を検出するレーザースキャナ装置とを備え、レーザースキャナ装置により車体の現在地情報を取得しながら走行ルートに従って走行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-143039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、フォークリフトによってトラックの荷台に対してパレットの積付を行う際、サイドシフト装置により左右方向に隣り合うパレット同士を当接させることで、隣り合うパレット間に隙間がないように荷台上にパレットを置くことがある。しかし、隣り合うパレット同士が当接すると、隣り合うパレット上の荷物同士が干渉し、荷物が破損したり荷崩れを起こしたりする等の不具合が発生する可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、左右方向に隣り合うパレット上の荷物同士の干渉を抑制することができる積付制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、産業車両に保持された第1パレットを既に置かれている第2パレットに対して左右方向に隣り合うように積み付ける積付制御装置であって、第1パレットが第2パレットと左右方向に隣り合う積付位置まで産業車両を走行させるように制御する走行制御部と、第2パレットの少なくとも側面に向けてレーザを照射してレーザの反射光を受光することにより、第2パレットまでの距離を検出するレーザセンサと、レーザセンサにより検出された第2パレットまでの距離に基づいて、産業車両が積付位置に達した状態における第1パレットと第2パレットとの隙間の距離を算出する隙間距離算出部と、隙間距離算出部により算出された第1パレットと第2パレットとの隙間の距離に応じて、第1パレットを第2パレット側に寄せるように産業車両を制御するパレット移動制御部とを備える。
【0007】
このような積付制御装置においては、産業車両に保持された第1パレットが既に置かれている第2パレットと左右方向に隣り合う積付位置まで産業車両が走行するように制御されると共に、レーザセンサから第2パレットの少なくとも側面に向けてレーザが照射されることで、第2パレットまでの距離が検出される。そして、第2パレットまでの距離に基づいて、産業車両が積付位置に達した状態における第1パレットと第2パレットとの隙間の距離が算出される。そして、第1パレットと第2パレットとの隙間の距離に応じて、第1パレットを第2パレット側に寄せるように産業車両が制御される。このとき、第1パレットを第2パレットに対して寄せ過ぎないように産業車両が制御される。これにより、左右方向に隣り合うパレット上の荷物同士の干渉が抑制される。
【0008】
産業車両はフォークリフトであり、フォークリフトは、第1パレットを保持する左右1対のフォークと、フォークを昇降させるリフトシリンダとを有し、走行制御部は、フォークリフトを積付位置まで前進走行させるように制御してもよい。このような構成では、フォークリフトを積付位置に向かって前進走行させながら、レーザセンサにより第2パレットまでの距離を検出することができる。また、積付位置においてフォークリフトのフォークを下降させることで、第1パレットを容易に第2パレットに対して左右方向に隣り合うように積み付けることができる。
【0009】
レーザセンサは、フォークリフトが積付位置に向かって前進走行するときに、第2パレットの少なくとも側面に向けて直線状のレーザを照射する1Dセンサであってもよい。このような構成では、レーザセンサとして直線状のレーザを照射する安価な1Dセンサを使用することにより、コスト削減を図ることができる。
【0010】
1Dセンサは、フォークリフトが積付位置に向かって前進走行するときに、直線状のレーザを第2パレットの前面及び側面の順で反射させるようにフォークリフトの斜め前方に向かって照射してもよい。このような構成では、フォークリフトの前進走行に伴って、まず直線状のレーザが第2パレットの前面で反射し、その後直線状のレーザが第2パレットの側面で反射する。第2パレットにおける前面と側面との境界である角部は、第2パレットまでの距離が大きく変化する変化点となる。このような第2パレットの角部が検知されるため、パレットの判別の解析処理を容易に行うことができる。また、第2パレットの前面が検知されるため、第2パレットに対する第1パレットの奥行方向の積付精度を向上させることができる。
【0011】
フォークは、マストにリフトブラケットを介して取り付けられており、1Dセンサは、リフトブラケットの下部に取り付けられていてもよい。このような構成では、スペースを確保しやすいリフトブラケットの下部に1Dセンサを取り付けることにより、1Dセンサの取付位置及びレーザ照射方向の自由度が広がる。
【0012】
積付制御装置は、リフトシリンダを制御する荷役制御部を更に備え、1Dセンサは、直線状のレーザをフォークリフトの斜め前方に向かって水平方向に照射し、荷役制御部は、フォークリフトを積付位置に向かって前進走行させる前に、1Dセンサの高さ位置が第2パレットの高さ位置と一致するまでフォークが昇降するようにリフトシリンダを制御してもよい。このような構成では、1Dセンサの高さ位置が第2パレットの高さ位置と一致した状態で、1Dセンサから直線状のレーザをフォークリフトの斜め前方に向かって水平方向に照射することにより、1Dセンサのレーザ照射方向を高さ方向に精度良く調整しなくても、第2パレットの側面に直線状のレーザを当てることができる。
【0013】
フォークリフトは、フォークを横方向に移動させるサイドシフトシリンダを更に有し、パレット移動制御部は、第1パレットを第2パレット側に寄せるようにサイドシフトシリンダを制御してもよい。このような構成では、サイドシフトシリンダによりフォークを第2パレット側に移動させることで、容易に且つ短時間で第1パレットを第2パレット側に寄せることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、左右方向に隣り合うパレット上の荷物同士の干渉を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る積付制御装置が適用されるフォークリフトを示す側面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る積付制御装置の構成を示すブロック図である。
図3】フォークリフトによりトラックの荷台にパレットが積み付けられる様子を示す斜視図である。
図4】コントローラにより実行される積付制御処理の手順を示すフローチャートである。
図5】フォークリフトを積付位置に向けて前進走行させる様子を示す平面図である。
図6】既存パレットがトラックの荷台に対して傾いていない場合に、フォークリフトを前進走行させる際の既存パレットまでの距離を既存パレットにおけるレーザが当たる箇所と共に示す図である。
図7】既存パレットがトラックの荷台に対して右側に傾いている場合に、フォークリフトを前進走行させる際の既存パレットまでの距離を既存パレットにおけるレーザが当たる箇所と共に示す図である。
図8】既存パレットがトラックの荷台に対して左側に傾いている場合に、フォークリフトを前進走行させる際の既存パレットまでの距離を既存パレットにおけるレーザが当たる箇所と共に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る積付制御装置が適用されるフォークリフトを示す側面図である。図1において、フォークリフト1は、産業車両の一つである。フォークリフト1は、走行装置2と、この走行装置2の前側に配置された荷役装置3とを備えている。
【0018】
走行装置2は、車体4と、この車体4の前部に配置された左右1対の駆動輪である前輪5と、車体4の後部に配置された左右1対の操舵輪である後輪6とを有している。
【0019】
荷役装置3は、車体4の前端部に取り付けられたマスト7と、このマスト7にリフトブラケット8及びロードブラケット9を介して昇降可能に取り付けられ、パレット10を保持する左右1対のフォーク11と、リフトブラケット8及びロードブラケット9を介してフォーク11を昇降させるリフトシリンダ12と、マスト7を傾動させるティルトシリンダ13と、ロードブラケット9を介してフォーク11を左右方向(横方向)に移動させるサイドシフトシリンダ14(図2参照)とを有している。
【0020】
パレット10は、例えばプラスチック製または木製の平パレットである。パレット10は、平面視で正方形状または略正方形状を呈している。パレット10上には、荷物Mが載置される(図3参照)。パレット10は、前面10aと、後面10bと、左側面10cと、右側面10dと、上面10eと、下面10fとを有している。前面10aは、フォーク11によりパレット10を保持する際に、フォークリフト1と向き合う面である。
【0021】
パレット10には、1対のフォーク11が差し込まれる2組のフォーク穴15が設けられている(図3参照)。一方の組のフォーク穴15は、パレット10の前面10aから後面10bまで延びている。他方の組のフォーク穴15は、パレット10の左側面10cから右側面10dまで延びている。なお、荷役装置3は、フォーク11によりパレット10を保持したときに、パレット10上の荷物Mがマスト7の後方に落下することを防ぐためのバックレスト16を有している(図3参照)。
【0022】
図2は、本発明の一実施形態に係る積付制御装置の構成を示すブロック図である。図2において、本実施形態の積付制御装置20は、図3に示されるように、トラック18の荷台18aにパレット10を積み付ける装置である。積付制御装置20は、フォークリフト1のフォーク11に保持されたパレット10をトラック18の荷台18aに既に置かれているパレット10に対して左右方向(横方向)に隣り合うように積み付ける。
【0023】
ここで、フォーク11に保持されたパレット10は、保持パレット10A(第1パレット)と称する。トラック18の荷台18aに既に置かれているパレット10は、既存パレット10B(第2パレット)と称する。なお、図3では、フォークリフト1の一部は、便宜上省略されている。
【0024】
フォークリフト1は、指定の荷取り場所においてフォーク11によりパレット10を保持した後、例えばSLAM(simultaneous localization andmapping)手法を用いて自己位置を推定しながら、トラック18の荷台18aの正面まで自動的に走行する。
【0025】
積付制御装置20は、フォークリフト1が積付位置Gの手前の位置にある状態(図5(a)参照)において、保持パレット10Aをトラック18の荷台18aに積み付ける制御を開始する。積付位置Gは、保持パレット10Aが既存パレット10Bと左右方向に隣り合うような位置である。なお、図5では、トラック18は省略されている。
【0026】
積付制御装置20は、フォークリフト1に搭載されている。積付制御装置20は、3Dセンサ21と、1Dセンサ22と、走行用駆動部23と、リフト用駆動部24と、サイドシフト用駆動部25と、報知器26と、コントローラ30とを備えている。
【0027】
3Dセンサ21は、フォークリフト1の周囲に3次元のレーザを照射して、レーザの反射光を受光することにより、フォークリフト1の周囲に存在する物体までの距離を検出する自己位置推定用のレーザセンサである。3Dセンサ21としては、例えばLIDAR(light detection and ranging)等が使用される。3Dセンサ21は、図示はしないが、例えばマスト7に取り付けられている。
【0028】
1Dセンサ22は、フォークリフト1が積付位置Gに向かって前進走行するときに、既存パレット10Bの少なくとも左側面10cまたは右側面10dに向けて直線状(1次元)のレーザL(図3参照)を照射し、レーザLの反射光を受光することにより、既存パレット10Bまでの距離を検出するパレット間距離検知用のレーザセンサである。1Dセンサ22は、直線状のレーザLを既存パレット10Bの前面10a及び左側面10cまたは右側面10dの順で反射させるようにフォークリフト1の斜め前方に向かって照射する。
【0029】
1Dセンサ22は、図3に示されるように、リフトブラケット8の下部に取付ブラケット27を介して取り付けられている。取付ブラケット27は、フォークリフト1の上下方向に延びている。取付ブラケット27の下端部には、載置プレート28が連結されている。載置プレート28には、1対の1Dセンサ22が固定されている。これらの1Dセンサ22は、リフトブラケット8の下方において左右に並んで配置されている。
【0030】
1Dセンサ22は、直線状のレーザLをフォークリフト1の斜め前方に向かって水平方向に照射する。左側の1Dセンサ22は、直線状のレーザLをフォークリフト1の左斜め前方に向かって水平方向に照射する。右側の1Dセンサ22は、直線状のレーザLをフォークリフト1の右斜め前方に向かって水平方向に照射する。フォークリフト1に対する1Dセンサ22の配置角度(向き)は、予め決められている。1対の1Dセンサ22の配置角度は等しい。
【0031】
走行用駆動部23は、フォークリフト1を走行させる。走行用駆動部23は、例えば図示はしないが、駆動輪である前輪5を回転させる走行モータと、操舵輪である後輪6を転舵させる操舵モータとを有している。
【0032】
リフト用駆動部24は、リフトシリンダ12を伸縮動作させる。リフト用駆動部24は、例えば図示はしないが、油圧ポンプとリフトシリンダ12との間に配置された電磁制御弁である。
【0033】
サイドシフト用駆動部25は、サイドシフトシリンダ14を伸縮動作させる。サイドシフト用駆動部25は、例えば図示はしないが、油圧ポンプとサイドシフトシリンダ14との間に配置された電磁制御弁である。
【0034】
報知器26は、既存パレット10Bの状態等に関する情報を報知する。報知器26としては、モニタやブザー等が使用される。
【0035】
コントローラ30は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。コントローラ30は、既存パレット検知部31と、走行制御部32と、荷役制御部33と、隙間距離算出部34と、サイドシフト量算出部35と、サイドシフト制御部36と、報知制御部37とを有している。
【0036】
既存パレット検知部31は、3Dセンサ21の検出データに基づいて、既存パレット10Bの状態と既存パレット10B上に載置された荷物Mの状態とを検知する。
【0037】
走行制御部32は、フォーク11によりパレット10が保持されたフォークリフト1を積付位置Gまで前進走行させるように走行用駆動部23を制御する。
【0038】
荷役制御部33は、フォーク11を昇降させるようにリフト用駆動部24を介してリフトシリンダ12を制御する。荷役制御部33は、フォークリフト1を積付位置Gに向かって前進走行させる前に、1Dセンサ22の高さ位置が既存パレット10Bの高さ位置と一致するまでフォーク11が昇降するようにリフト用駆動部24を介してリフトシリンダ12を制御する。
【0039】
隙間距離算出部34は、1Dセンサ22により検出された既存パレット10Bまでの距離に基づいて、フォークリフト1が積付位置Gに達した状態における保持パレット10Aと既存パレット10Bとの隙間の距離を算出する。
【0040】
サイドシフト量算出部35は、隙間距離算出部34により算出された保持パレット10Aと既存パレット10Bとの隙間の距離と、既存パレット検知部31により検知された既存パレット10B及び荷物Mの状態とに基づいて、フォーク11のサイドシフト量を算出する。
【0041】
サイドシフト制御部36は、サイドシフト量算出部35により算出されたフォーク11のサイドシフト量に応じて、保持パレット10Aを既存パレット10B側に寄せるようにサイドシフト用駆動部25を介してサイドシフトシリンダ14を制御する。
【0042】
サイドシフト量算出部35及びサイドシフト制御部36は、隙間距離算出部34により算出された保持パレット10Aと既存パレット10Bとの隙間の距離に応じて、保持パレット10Aを既存パレット10B側に寄せるようにフォークリフト1を制御するパレット移動制御部を構成している。
【0043】
報知制御部37は、既存パレット検知部31により既存パレット10Bがトラック18の荷台18aに傾いた状態で積載されていることが検知されたときに、その旨の報知を行うように報知器26を制御する。
【0044】
図4は、コントローラ30により実行される積付制御処理の手順を示すフローチャートである。本処理は、図5(a)に示されるように、パレット10を保持したフォークリフト1がトラック18の荷台18aにおける積付位置Gの手前の処理開始位置に到達すると実行される。本処理の開始時には、フォークリフト1のフォーク11は最下位置にある。なお、図5では、積付位置Gは、既存パレット10Bの左側において既存パレット10Bと隣り合う位置である。また、図5では、トラック18は省略されている。
【0045】
図4において、コントローラ30は、まず3Dセンサ21の検出データに基づいて、既存パレット10Bの高さ位置を検知する(手順S101)。続いて、コントローラ30は、1Dセンサ22の高さ位置が既存パレット10Bの高さ位置と一致するまでフォーク11が上昇するようにリフト用駆動部24を制御する(手順S102)。
【0046】
続いて、コントローラ30は、図5(b)に示されるように、フォークリフト1を積付位置Gに向けて前進走行させるように走行用駆動部23を制御する(手順S103)。続いて、コントローラ30は、1Dセンサ22により検出された既存パレット10Bまでの距離データを取得して記憶する(手順S104)。
【0047】
続いて、コントローラ30は、3Dセンサ21及び1Dセンサ22の検出データに基づいて、フォークリフト1が積付位置Gに到達したかどうかを判断する(手順S105)。コントローラ30は、フォークリフト1が積付位置Gに到達していないと判断したときは、上記の手順S103,S104を再度実行する。
【0048】
コントローラ30は、フォークリフト1が積付位置Gに到達したと判断したときは、フォークリフト1を停止させるように走行用駆動部23を制御してから、手順S104で記憶された複数の距離データに基づいて、保持パレット10Aと既存パレット10Bとの隙間の距離を算出する(手順S106)。
【0049】
右側の1Dセンサ22は、図5に示されるように、直線状のレーザLをフォークリフト1の右斜め前方に向かって水平方向に照射する。このため、1Dセンサ22から照射されたレーザLは、図6に示されるように、まず既存パレット10Bの前面10aに当たって反射する(図6(a)中のA参照)。
【0050】
そして、フォークリフト1が前進して積付位置Gに近づくにつれて、1Dセンサ22から照射されたレーザLが当たる箇所は、既存パレット10Bの左前角部10rに向かって移動する。このとき、図6(b)に示されるように、1Dセンサ22から既存パレット10Bの前面10aまでの距離が徐々に短くなる。そして、1Dセンサ22から照射されたレーザLは、既存パレット10Bの左前角部10rに当たって反射する(図6(a)中のB参照)。
【0051】
その後、1Dセンサ22から照射されたレーザLは、既存パレット10Bの左側面10cに当たって反射する(図6(a)中のC参照)。そして、フォークリフト1が更に前進して積付位置Gに近づくにつれて、1Dセンサ22から照射されたレーザLが当たる箇所は、既存パレット10Bの左後角部10sに向かって移動する。
【0052】
ここで、図6に示されるように、既存パレット10Bがトラック18の荷台18aに対して真っ直ぐに配置されている場合は、フォークリフト1の前進によってレーザLが当たる箇所が既存パレット10Bの左後角部10sに向かって移動しても、1Dセンサ22から既存パレット10Bの左側面10cまでの距離は一定となる。
【0053】
このため、1Dセンサ22から既存パレット10Bの左側面10cまでの距離Pと、フォークリフト1の前後方向(X方向)に対する1Dセンサ22の取付角度θとを用いて、保持パレット10Aと既存パレット10Bとの隙間S(図5(b)参照)の距離が算出される。保持パレット10Aと既存パレット10Bとの隙間Sの距離は、保持パレット10Aの右側面10dと既存パレット10Bの左側面10cとの間の左右方向(Y方向)に沿った距離である。
【0054】
一方、図7に示されるように、既存パレット10Bがトラック18の荷台18aに対して右側に傾いた状態で配置されている場合は、フォークリフト1の前進によってレーザLが当たる箇所が既存パレット10Bの左後角部10sに向かうに従って、1Dセンサ22から既存パレット10Bの左側面10cまでの距離が徐々に長くなる。
【0055】
この場合には、1Dセンサ22から既存パレット10Bの左側面10cまでの最小距離Qと、フォークリフト1の前後方向に対する1Dセンサ22の取付角度θとを用いて、保持パレット10Aと既存パレット10Bとの隙間Sの距離が算出される。1Dセンサ22から既存パレット10Bの左側面10cまでの最小距離Qは、1Dセンサ22から既存パレット10Bの左前角部10rまでの距離に相当する。保持パレット10Aと既存パレット10Bとの隙間Sの距離は、保持パレット10Aの右側面10dと既存パレット10Bの左前角部10rとの間の左右方向に沿った距離である。
【0056】
また、図8に示されるように、既存パレット10Bがトラック18の荷台18aに対して左側に傾いた状態で配置されている場合は、フォークリフト1の前進によってレーザLが当たる箇所が既存パレット10Bの左後角部10sに向かうに従って、1Dセンサ22から既存パレット10Bの左側面10cまでの距離が徐々に短くなる。
【0057】
この場合には、1Dセンサ22から既存パレット10Bの左側面10cまでの最小距離Rと、フォークリフト1の前後方向に対する1Dセンサ22の取付角度θとを用いて、保持パレット10Aと既存パレット10Bとの隙間Sの距離が算出される。1Dセンサ22から既存パレット10Bの左側面10cまでの最小距離Rは、1Dセンサ22から既存パレット10Bの左後角部10sまでの距離に相当する。保持パレット10Aと既存パレット10Bとの隙間Sの距離は、保持パレット10Aの右側面10dと既存パレット10Bの左後角部10sとの間の左右方向に沿った距離である。
【0058】
図4に戻り、コントローラ30は、手順S106を実行した後、保持パレット10Aと既存パレット10Bとの隙間Sの距離と、3Dセンサ21の検出データとに基づいて、フォーク11のサイドシフト量を算出する(手順S107)。このとき、コントローラ30は、保持パレット10A上に置かれた荷物Mと既存パレット10B上に置かれた荷物Mとが互いに干渉することなく、保持パレット10Aが既存パレット10Bに近接するようなサイドシフト量を算出する。
【0059】
具体的には、保持パレット10A及び既存パレット10Bの上に置かれた荷物Mが何れもパレット10の左側面10c及び右側面10dからはみ出ていない場合は、保持パレット10Aが既存パレット10Bに接触するようなサイドシフト量が算出されてもよいし、保持パレット10Aと既存パレット10Bとの間に多少の隙間が確保されるようなサイドシフト量が算出されてもよい。
【0060】
保持パレット10A上に置かれた荷物Mがパレット10の左側面10cまたは右側面10dからはみ出ている場合、或いは既存パレット10B上に置かれた荷物Mがパレット10の左側面10cまたは右側面10dからはみ出ている場合は、保持パレット10A上に置かれた荷物Mと既存パレット10B上に置かれた荷物Mとが干渉しないように、保持パレット10Aと既存パレット10Bとの間に隙間が確保されるようなサイドシフト量が算出される。
【0061】
続いて、コントローラ30は、手順S107で算出されたサイドシフト量だけフォーク11を既存パレット10B側に移動させるようにサイドシフト用駆動部25を制御する(手順S108)。これにより、フォーク11に保持された保持パレット10Aが既存パレット10B側に寄ることとなる。
【0062】
続いて、コントローラ30は、手順S104で記憶された複数の距離データに基づいて、既存パレット10Bがトラック18の荷台18aに対して傾いているかどうかを判断する(手順S109)。コントローラ30は、既存パレット10Bがトラック18の荷台18aに対して傾いていると判断したときは、その旨の報知を行うように報知器26を制御する(手順S110)。
【0063】
コントローラ30は、手順S109で既存パレット10Bがトラック18の荷台18aに対して傾いていないと判断したとき、または手順S110を実行した後、保持パレット10Aがトラック18の荷台18aに置かれるまでフォーク11が下降するようにリフト用駆動部24を制御する(手順S111)。これにより、保持パレット10Aの積付処理が完了する。その後、フォークリフト1は、次のパレット10を取りに行くために荷取り場所に戻る。
【0064】
ここで、既存パレット検知部31は、上記の手順S101を実行する。走行制御部32は、上記の手順S103を実行する。荷役制御部33は、上記の手順S102,S111を実行する。隙間距離算出部34は、上記の手順S104~S106を実行する。サイドシフト量算出部35は、上記の手順S107を実行する。サイドシフト制御部36は、上記の手順S108を実行する。報知制御部37は、上記の手順S109,S110を実行する。
【0065】
以上のように本実施形態にあっては、フォークリフト1に保持された保持パレット10Aが既に置かれている既存パレット10Bと左右方向に隣り合う積付位置Gまでフォークリフト1が走行するように制御されると共に、1Dセンサ22から既存パレット10Bの少なくとも左側面10cまたは右側面10dに向けてレーザLが照射されることで、既存パレット10Bまでの距離が検出される。そして、既存パレット10Bまでの距離に基づいて、フォークリフト1が積付位置Gに達した状態における保持パレット10Aと既存パレット10Bとの隙間の距離が算出される。そして、保持パレット10Aと既存パレット10Bとの隙間の距離に応じて、保持パレット10Aを既存パレット10B側に寄せるようにフォークリフト1が制御される。このとき、保持パレット10Aを既存パレット10Bに対して寄せ過ぎないようにフォークリフト1が制御される。これにより、左右方向に隣り合うパレット10上の荷物M同士の干渉が抑制される。その結果、荷物Mの破損及び荷崩れの発生を抑制することができる。
【0066】
また、保持パレット10Aと既存パレット10Bとの隙間の距離が算出されるため、保持パレット10Aと既存パレット10Bとの隙間を意図的に一定量だけ空けるように、保持パレット10Aの積付を行うことができる。このため、保持パレット10A上の荷物M及び既存パレット10B上の荷物Mの少なくとも一方がパレット10の左側面10cまたは右側面10dからはみ出たオーバーハング状態であっても、荷物Mが予め設定された量だけはみ出るようにパレット10上に置かれている場合には、左右方向に隣り合うパレット10上の荷物M同士の干渉が抑制される。
【0067】
また、本実施形態では、フォークリフト1を積付位置Gに向かって前進走行させながら、1Dセンサ22により既存パレット10Bまでの距離を検出することができる。また、積付位置Gにおいてフォークリフト1のフォーク11を下降させることで、保持パレット10Aを容易に既存パレット10Bに対して左右方向に隣り合うように積み付けることができる。
【0068】
また、本実施形態では、直線状のレーザLを照射する安価な1Dセンサ22を使用することにより、コスト削減を図ることができる。
【0069】
また、本実施形態では、フォークリフト1の前進走行に伴って、まず直線状のレーザLが既存パレット10Bの前面10aで反射し、その後直線状のレーザLが既存パレット10Bの左側面10cまたは右側面10dで反射する。既存パレット10Bにおける前面10aと左側面10cまたは右側面10dとの境界である角部は、既存パレット10Bまでの距離が大きく変化する変化点となる。このような既存パレット10Bの角部が検知されるため、パレット10の判別の解析処理を容易に行うことができる。また、既存パレット10Bの前面10aが検知されるため、既存パレット10Bに対する保持パレット10Aの奥行方向(X方向)の積付精度を向上させることができる。
【0070】
また、本実施形態では、スペースを確保しやすいリフトブラケット8の下部に1Dセンサ22を取り付けることにより、1Dセンサ22の取付位置及びレーザ照射方向の自由度が広がる。
【0071】
また、本実施形態では、1Dセンサ22の高さ位置が既存パレット10Bの高さ位置と一致した状態で、1Dセンサ22から直線状のレーザLをフォークリフト1の斜め前方に向かって水平方向に照射することにより、1Dセンサ22のレーザ照射方向を高さ方向に精度良く調整しなくても、既存パレット10Bの左側面10cまたは右側面10dに直線状のレーザLを当てることができる。
【0072】
また、本実施形態では、サイドシフトシリンダ14によりフォーク11を既存パレット10B側に移動させることで、容易に且つ短時間で保持パレット10Aを既存パレット10B側に寄せることができる。
【0073】
また、本実施形態では、パレット10の積付時以外は、直線状のレーザLを照射する1Dセンサ22を、フォークリフト1の周囲に存在する障害物を検出する障害物センサとして使用することができる。
【0074】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、1Dセンサ22から直線状のレーザLがフォークリフト1の斜め前方に向かって水平方向に照射されているが、特にその形態には限られず、1Dセンサ22から直線状のレーザLをフォークリフト1の斜め前方に向かって上方または下方に照射してもよい。この場合には、1Dセンサ22の取付位置及びレーザ照射方向の自由度を更に広げることができる。
【0075】
また、上記実施形態では、1Dセンサ22がリフトブラケット8の下部に取り付けられているが、特にその形態には限られず、例えばリフトブラケット8の上部の左右両側に1Dセンサ22を取り付けてもよいし、リフトブラケット8の左右の側面に1Dセンサ22を取り付けてもよい。また、1Dセンサ22をマスト7等に取り付けてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、まずレーザLが既存パレット10Bの前面10aで反射し、その後レーザLが既存パレット10Bの左側面10cまたは右側面10dで反射するように、フォークリフト1に対する1Dセンサ22の取付角度が設定されているが、特にそのような形態には限られない。直線状のレーザLが既存パレット10Bの左側面10cまたは右側面10dのみで反射するように、フォークリフト1に対する1Dセンサ22の取付角度を設定してもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、1Dセンサ22の検出データに基づいて、保持パレット10Aと既存パレット10Bとの隙間の距離が算出されているが、そのようなパレット間距離検知用のレーザセンサとしては、特に1Dセンサ22には限られず、2次元のレーザを照射する2Dセンサを使用してもよいし、3次元のレーザを照射する3Dセンサを使用してもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、3Dセンサ21の検出データに基づいて、フォークリフト1の自己位置が推定されているが、そのような自己位置推定用の測距センサとしては、特に3Dセンサ21には限られず、フォークリフト1の周囲を撮像するカメラ等を使用してもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、サイドシフトシリンダ14によりフォーク11を左右方向に移動させることで、保持パレット10Aを既存パレット10B側に寄せているが、特にそのような形態には限られない。例えば、サイドシフトシリンダが具備されていないフォークリフトでは、保持パレット10Aと既存パレット10Bとの隙間の距離を算出した後、フォークリフトを積付位置Gから一旦後退させてから、保持パレット10Aを既存パレット10B側に寄せるようにフォークリフトを再び前進させてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、トラック18の荷台18aにパレット10が積み付けられているが、特にその形態には限られず、例えば指定された積付エリアの床面等にパレット10を積み付けてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、フォークリフト1により保持パレット10Aを保持した状態で、フォークリフト1が前進走行しながら、1Dセンサ22から既存パレット10Bの少なくとも左側面10cまたは右側面10dに向けてレーザLが照射されているが、本発明は、保持パレット10Aを既存パレット10Bに対して左右方向に隣り合うように積み付ける装置であれば、フォークリフト1以外の産業車両にも適用可能である。そのような産業車両としては、例えばオムニホイールを備えた無人搬送車等がある。この場合には、保持パレット10Aを保持した産業車両を既存パレット10Bの左側面10cまたは右側面10dに向かって走行させながら、レーザセンサから既存パレット10Bの左側面10cまたは右側面10dに向けてレーザを照射する。
【符号の説明】
【0082】
1…フォークリフト(産業車両)、7…マスト、8…リフトブラケット、10…パレット、10a…前面、10c…左側面(側面)、10d…右側面(側面)、10A…保持パレット(第1パレット)、10B…既存パレット(第2パレット)、11…フォーク、12…リフトシリンダ、14…サイドシフトシリンダ、20…積付制御装置、22…1Dセンサ(レーザセンサ)、32…走行制御部、33…荷役制御部、34…隙間距離算出部、35…サイドシフト量算出部(パレット移動制御部)、36…サイドシフト制御部(パレット移動制御部)、G…積付位置、M…荷物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8