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特開2024-164472半導体モジュール、及び、放熱ベース
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164472
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】半導体モジュール、及び、放熱ベース
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20241120BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
H01L23/36 C
H05K1/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079966
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(72)【発明者】
【氏名】磯崎 誠
【テーマコード(参考)】
5E338
5F136
【Fターム(参考)】
5E338AA02
5E338AA03
5E338AA16
5E338AA18
5E338BB13
5E338BB19
5E338BB71
5E338EE28
5F136BB05
5F136BC01
5F136DA27
5F136EA03
5F136FA02
5F136FA03
(57)【要約】
【課題】半導体モジュール及び放熱ベースにおいて、放熱ベースの締結時の変形による配線板の損傷を防ぐ。
【解決手段】半導体モジュール(2)は、半導体素子(5A,5B)と、この半導体素子が実装された配線板(4)と、この配線板が接合された第1の面(301)と、この第1の面とは反対側に位置する第2の面(302)とを有する放熱ベース(3)とを備える。この放熱ベースは、第2の面(302)が凸状の曲面となるように反っており、放熱ベース(3)の第1の面(301)における複数の角部には、締結孔(303)が設けられ、放熱ベース(3)は、第1の面(301)のうち配線板(4)が接合された第1の領域(A1)を除く第2の領域(A2)において、締結孔(303)の周囲に位置し第1の面(301)の周縁(301a)に亘って設けられた凹部(304,305,306,307)を有する。
【選択図】図8

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子と、
前記半導体素子が実装された配線板と、
前記配線板が接合された第1の面と、当該第1の面とは反対側に位置する第2の面とを有する放熱ベースとを備え、
前記放熱ベースは、前記第2の面が凸状の曲面となるように反っており、
前記放熱ベースの前記第1の面における複数の角部には、締結孔が設けられ、
前記放熱ベースは、前記第1の面のうち前記配線板が接合された第1の領域を除く第2の領域において、前記締結孔の周囲に位置し前記第1の面の周縁に亘って設けられた凹部を有する
ことを特徴とする半導体モジュール。
【請求項2】
前記凹部は、前記第1の面に設けられた溝である
ことを特徴とする請求項1記載の半導体モジュール。
【請求項3】
前記第2の面のうち、前記第1の領域の反対側に位置する第3の領域と前記締結孔とを除く第4の領域は、溝が設けられていない曲面形状を呈する
ことを特徴とする請求項2記載の半導体モジュール。
【請求項4】
前記溝は、前記締結孔と前記第1の領域との間を通るように設けられている
ことを特徴とする請求項2記載の半導体モジュール。
【請求項5】
前記溝は、前記角部を隔てて直交する前記第1の面の前記周縁の2辺に亘って前記締結孔を取り囲むように設けられている
ことを特徴とする請求項4記載の半導体モジュール。
【請求項6】
前記溝は、円弧状に延びる
ことを特徴とする請求項5記載の半導体モジュール。
【請求項7】
前記溝は、前記第1の面の前記周縁における第1の辺に交差する方向に延びる第1の直進部分と、前記第1の面の前記周縁における前記第1の辺に直交する第2の辺に交差する方向に延びる第2の直進部分とを含む
ことを特徴とする請求項5記載の半導体モジュール。
【請求項8】
前記凹部は、前記放熱ベースの前記第1の面の前記周縁に設けられ前記放熱ベースを厚さ方向に貫通する切り込みである
ことを特徴とする請求項1記載の半導体モジュール。
【請求項9】
前記凹部は、単一の前記締結孔の周囲において互いに分離して設けられた第1の部分及び第2の部分を含み、
前記第1の部分は、前記第1の面の前記周縁における第1の辺から、当該第1の辺とは異なる方向に延び、
前記第2の部分は、前記第1の面の前記周縁における前記第1の辺に直交する第2の辺から、当該第2の辺とは異なる方向に延びる
ことを特徴とする請求項1記載の半導体モジュール。
【請求項10】
前記第1の部分は、前記第1の辺から前記単一の締結孔までの長さよりも長く、前記第1の辺から前記第1の面上を延び、
前記第2の部分は、前記第2の辺から前記単一の締結孔までの長さよりも長く、前記第2の辺から前記第1の面上を延びる
ことを特徴とする請求項9記載の半導体モジュール。
【請求項11】
前記第1の部分は、前記第1の辺から前記単一の締結孔の中心までの長さよりも長く、前記第1の辺から前記第1の面上を延び、
前記第2の部分は、前記第2の辺から前記単一の締結孔の前記中心までの長さよりも長く、前記第2の辺から前記第1の面上を延びる
ことを特徴とする請求項10記載の半導体モジュール。
【請求項12】
平面視で前記凹部と重なっており前記凹部の前記放熱ベースに対して反対側において、前記第2の面が前記凸状の曲面の延長になっている
ことを特徴とする請求項1記載の半導体モジュール。
【請求項13】
半導体素子が実装された配線板が接合される第1の面と、当該第1の面とは反対側に位置する第2の面とを有する放熱ベースであって、
前記第2の面が凸状の曲面となるように反っており、
前記第1の面における複数の角部には、締結孔が設けられ、
前記第1の面のうち前記配線板が接合された第1の領域とは異なる第2の領域において、前記締結孔の周囲に位置し前記第1の面の周縁に亘って設けられた凹部を有する
ことを特徴とする放熱ベース。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子と配線板と放熱ベースとを備える半導体モジュール、及び、配線板が接合される放熱ベースに関する。
【背景技術】
【0002】
インバータ装置等の電力変換装置に用いられる半導体装置には、配線板、半導体素子等が配置された放熱ベースが冷却器に取り付けられたものがある(例えば、特許文献1~8を参照)。この種の半導体装置に用いられる放熱ベースには、配線板、半導体素子等が配置される第1の面とは反対側の、冷却器と向い合わせとなる第2の面が凸状になるように成形されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-165279号公報
【特許文献2】特開2018-195717号公報
【特許文献3】特開2017-017280号公報
【特許文献4】特開2007-012928号公報
【特許文献5】特開平06-169037号公報
【特許文献6】特開2006-303375号公報
【特許文献7】米国特許第7511961号明細書
【特許文献8】特開2020-017702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
放熱ベースの第1の面には、接合材により配線板が接合される。第2の面が凸状になるように成形された放熱ベースは、冷却器に取り付けられるときに、第2の面が凸状の曲面から平坦な面に変化する方向に変形する。このため、放熱ベースが変形することにより、放熱ベースの第1の面に接合された配線板に抗折強度以上の変形応力が加わり、配線板が損傷することがある。
【0005】
1つの側面において、本発明は、放熱ベースの締結時の変形による配線板の損傷を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様に係る半導体モジュールは、半導体素子と、前記半導体素子が実装された配線板と、前記配線板が接合された第1の面と、当該第1の面とは反対側に位置する第2の面とを有する放熱ベースとを備え、前記放熱ベースは、前記第2の面が凸状の曲面となるように反っており、前記放熱ベースの前記第1の面における複数の角部には、締結孔が設けられ、前記放熱ベースは、前記第1の面のうち前記配線板が接合された第1の領域を除く第2の領域において、前記締結孔の周囲に位置し前記第1の面の周縁に亘って設けられた凹部を有する。
【発明の効果】
【0007】
上述の態様によれば、放熱ベースの締結時の変形による配線板の損傷を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施の形態におけるエネルギー変換装置の構成例を示す上面図である。
図2図1のA-A’線で切断したエネルギー変換装置内部の構成例を示す断面側面図である。
図3図1のB-B’線で切断したエネルギー変換装置の断面側面図である。
図4】半導体モジュールの回路の構成例を示す図である。
図5】放熱ベースを冷却器に取り付けるときの熱伝導材の塗布パターンの例を説明する下面図である。
図6】放熱ベースを冷却器に取り付けるときの熱伝導材の広がりの様子を説明する図である。
図7】放熱ベースを冷却器に取り付けるときに生じる問題の一例を説明する図である。
図8】一実施の形態に係る放熱ベースの第1の構成例を示す上面図、及び2つの溝の断面形状の例を示す側面図である。
図9】一実施の形態に係る放熱ベースの第2の構成例を示す上面図である。
図10】一実施の形態に係る放熱ベースの第3の構成例を示す上面図、及び溝の長さを説明するための図である。
図11】一実施の形態に係る放熱ベースの第4の構成例を示す上面図及び側面図、並びに切り込みの長さを説明するための図である。
図12】一実施の形態と比較例との配線板にかかる引張応力の違いを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、参照する各図におけるX、Y、Zの各軸は、例示するエネルギー変換装置、半導体モジュール等における平面や方向を定義する目的で示している。X、Y、Zの各軸は互いに直交し、右手系を成している。以下の説明では、Z方向を上下方向と呼ぶことがある。また、X軸及びY軸を含む面をXY面と呼び、Y軸及びZ軸を含む面をYZ面と呼び、Z軸及びX軸を含む面をZX面と呼ぶことがある。これらの方向や面は、説明の便宜上用いる文言であり、エネルギー変換装置等の取付け姿勢によっては、XYZ方向のそれぞれとの対応関係が変わることがある。例えば、本明細書では、エネルギー変換装置を構成する部材におけるZ方向正側(+Z方向)を向いた面を上面と呼び、Z方向負側(-Z方向)を向いた面を下面と呼ぶが、Z方向負側を向いた面が上面と呼ばれ、Z方向正側を向いた面が下面と呼ばれてもよい。また、本明細書において、平面視は、エネルギー変換装置等の上面又は下面(XY面)をZ方向からみた場合を意味する。
【0010】
各図における縦横比や各部材同士の大小関係は、あくまで模式的に表されており、実際に製造されるエネルギー変換装置等における関係とは必ずしも一致しない。説明の便宜上、各部材同士の大小関係を誇張して表現している場合も想定される。また、異なる図面間では、同一の部材の形状が異なっている場合もある。
【0011】
以下の説明では、本実施の形態に係る半導体モジュールを備えるエネルギー変換装置の例として、産業用又は車載用モータのインバータ装置等の電力変換装置に適用される装置を挙げる。このため、以下の説明では、既知のエネルギー変換装置と同一の、又は類似した構成、機能、動作、及び組み立て方法等についての詳細な説明を省略する。
【0012】
図1は、一実施の形態におけるエネルギー変換装置1の構成例を示す上面図である。図2は、図1のA-A’線で切断したエネルギー変換装置1内部の構成例を示す断面側面図である。図3は、図1のB-B’線で切断したエネルギー変換装置1の断面側面図である。図4は、半導体モジュール2の回路の構成例を示す図である。なお、図1では、配線板4及び半導体素子5A及び5B等を封止する封止材9を省略している。図2には、図1のA-A’線で切断したエネルギー変換装置1のうちのA-A’線を境として左側に位置する部分を右方から見た場合の構成例を概略的に示している。図2では、封止材9の断面であることを示すハッチングを省略している。図3には、図1のB-B’線で切断したエネルギー変換装置1のうちのB-B’線を境として左側に位置する部分を右方から見た場合の構成例を概略的に示している。
【0013】
図1図3に例示したエネルギー変換装置1は、半導体装置としての半導体モジュール2と、冷却器10とを含む。半導体モジュール2は、放熱ベース3と、配線板4と、半導体素子5A及び5Bと、複数のボンディングワイヤ7A~7Fと、ケース8と、封止材9と、を含む。冷却器10は、フィン11と、ウォータージャケット12とを含む。半導体モジュール2は、放熱ベース3の締結孔に挿通され、冷却器10のフィン11の上面1110に設けられたねじ穴(雌ねじ)と螺合する雄ねじを有するねじ13によって、冷却器10に取り付けられている。半導体モジュール2の放熱ベース3と冷却器10のフィン11とは、サーマルグリス、サーマルコンパウンド等の熱伝導材14を介して接続されている。
【0014】
図1図3に例示した半導体モジュール2は、図4に例示したような単相電圧形ハーフブリッジインバータ回路を構成する。この種の半導体モジュール2における放熱ベース3の上面には、配線板4が配置されている。配線板4は、絶縁基板400と、絶縁基板400の上面(第1の面の一例)に設けられた第1の導体パターン401及び第2の導体パターン402と、絶縁基板400の下面(第2の面の一例)に設けられた第3の導体パターン403とを含む。配線板4は、例えば、DCB(Direct Copper Bonding)基板やAMB(Active Metal Brazing)基板であり得る。配線板4は、積層基板、絶縁回路基板と呼ばれてもよい。
【0015】
絶縁基板400は、特定の基板に限定されない。絶縁基板400は、例えば、酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(Si)、及び酸化アルミニウム(Al)と酸化ジルコニウム(ZrO)との複合材料等のセラミックス材料によって形成されたセラミックス基板であってよい。絶縁基板400は、例えば、エポキシ樹脂等の絶縁樹脂を成形した基板、ガラス繊維等の基材に絶縁樹脂を含侵させた基板、平板状の金属コアの表面を絶縁樹脂でコーティングした基板等であってもよい。
【0016】
第3の導体パターン403は、インバータ回路で発生した熱を放熱ベース3に伝導する熱伝導部材として機能する部材であり、例えば、銅やアルミニウム等の金属板又は金属箔等によって形成される。第3の導体パターン403は、はんだ等の接合材21によって放熱ベース3に接合される。第3の導体パターン403は、放熱層、放熱板、放熱パターンなどと呼ばれてもよい。
【0017】
第1の導体パターン401及び第2の導体パターン402は、インバータ回路における配線部材として機能する部材であり、例えば、銅やアルミニウム等の金属板又は金属箔等によって形成される。第1の導体パターン401及び第2の導体パターン402は、導体層、導体板、導電層、配線パターンなどと呼ばれてもよい。
【0018】
第1の導体パターン401の上には、図示しない接合材により第1の導体パターン401に接合された第1の半導体素子5Aが配置されている。第2の導体パターン402の上には、接合材22により第2の導体パターン402に接合された第2の半導体素子5Bが配置されている。第1の半導体素子5A及び第2の半導体素子5Bの各々は、はんだ等の導電性の接合材によって第1の導体パターン401及び第2の導体パターン402に接合される。
【0019】
第1の半導体素子5A及び第2の半導体素子5Bの各々は、例えば、スイッチング素子であるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)素子と、スイッチング素子に逆並列に接続されるFWD(Free Wheeling Diode)素子等のダイオード素子と、を一体化したRC(Reverse Conducting)-IGBT素子で構成される。半導体素子5A及び5Bにおけるスイッチング素子及びダイオード素子は、Si基板に限らず、例えば、SiC(シリコンカーバイド)、GaN(窒化ガリウム)等のワイドバンドギャップ半導体を用いた半導体基板に形成されてもよい。この種の半導体素子5A及び5Bの各々は、下面に図示しない第1の主電極が設けられ、上面に図示しない第2の主電極及び制御電極(ゲート電極)が設けられている。すなわち、第1の導体パターン401は、導電性の接合材により第1の半導体素子5Aの第1の主電極と電気的に接続され、第2の導体パターン402は、導電性の接合材22により第2の半導体素子5Bの第1の主電極と電気的に接続される。
【0020】
第1の半導体素子5Aの上面に設けられた第2の主電極は、ボンディングワイヤ7Aによって、ケース8に設けられた出力端子803と電気的に接続される。第1の半導体素子5Aの上面に設けられた制御電極は、ボンディングワイヤ7Cによって、ケース8に設けられた第1の制御端子804と電気的に接続される。第1の半導体素子5Aの下面に設けられた第1の主電極と電気的に接続された第1の導体パターン401は、ボンディングワイヤ7Bによって、ケース8に設けられた第1の入力端子(P端子)801と電気的に接続される。すなわち、第1の半導体素子5Aの第1の主電極は、接合材、第1の導体パターン401、及びボンディングワイヤ7Bを介して、ケース8に設けられた第1の入力端子801と電気的に接続される。
【0021】
第2の半導体素子5Bの上面に設けられた第2の主電極は、ボンディングワイヤ7Dによって、ケース8に設けられた第2の入力端子(N端子)802と電気的に接続される。第2の半導体素子5Bの上面に設けられた制御電極は、ボンディングワイヤ7Fにより、ケース8に設けられた第2の制御端子805と電気的に接続される。第2の半導体素子5Bの下面に設けられた第1の主電極と電気的に接続された第2の導体パターン402は、ボンディングワイヤ7Eにより、ケース8に設けられた出力端子803と電気的に接続される。すなわち、第2の半導体素子5Bの第1の主電極は、接合材22、第2の導体パターン402、及びボンディングワイヤ7Eを介して、ケース8に設けられた出力端子803と電気的に接続される。
【0022】
第1の入力端子801、第2の入力端子802、出力端子803、第1の制御端子804、及び第2の制御端子805は、ケース8の絶縁部材800と一体的に設けられる。絶縁部材800は、上面及び下面が開口しており、放熱ベース3の上面に配置された配線板4、半導体素子5A及び5B、ボンディングワイヤ7A~7F等を収容可能な中空部を有する。絶縁部材800は、例えば、PPS(Poly Phenylene Sulfide)、PA(Poly Amide)等の絶縁性の樹脂材料を用いて形成される。第1の入力端子801、第2の入力端子802、出力端子803、第1の制御端子804、及び第2の制御端子805は、例えば、銅板等の金属板等を用いて形成され、例えば、インサート成形により絶縁部材800と一体化される。
【0023】
第1の入力端子801、第2の入力端子802、及び出力端子803は、絶縁部材800の上面から突出した部分が、絶縁部材800の上面に沿って延伸するように折り曲げられている。絶縁部材800の上面のうちの、第1の入力端子801と重なる領域内、第2の入力端子802と重なる領域内、及び出力端子803と重なる領域内のそれぞれには、ねじ穴の軸芯方向が上下方向になる向きでナット15を収容可能な収容部(図示せず)が設けられている。第1の入力端子801、第2の入力端子802、及び出力端子803は、絶縁部材800の収容部に収容されたナット15にボルト等のねじ部品を螺合可能にする貫通穴(図示せず)が設けられている。
【0024】
第1の入力端子801、第2の入力端子802、出力端子803、第1の制御端子804、及び第2の制御端子805の各端子は、一方の端部が絶縁部材800における中空部を画成する内周面に露出している。ボンディングワイヤ7A~7Fの一端は、対応する端子のうちの絶縁部材800の内周面に露出した部分と電気的に接続される。
【0025】
ケース8は、絶縁部材800の下面を放熱ベース3の上面に接着することにより、放熱ベース3に取り付けられる。絶縁部材800と放熱ベース3とを接着する接着剤16は、例えば、エポキシ系、シリコーン系の接着剤であり得る。放熱ベース3の上面に配置された配線板4、半導体素子5A及び5B、ボンディングワイヤ7A~7Fは、放熱ベース3とケース8の絶縁部材800によって画成される凹部空間内に位置し、当該凹部空間内に充填された封止材9によって封止される。封止材9は、例えば、エポキシ樹脂、シリコーンゲル等であり得る。
【0026】
放熱ベース3は、図1に例示したように、平面視での形状が矩形であり、角部にねじ13の軸を挿通可能な後述する締結孔303(図3参照)と、この締結孔303の周囲に位置する後述する溝304(図3参照)とが形成されている板状部材である。図5に示すように、放熱ベース3は、平面視における角部がR面取りされているとよい。或いは、放熱ベース3の角部は、C面取りなどの他の面取りが行われていてもよい。
【0027】
放熱ベース3は、半導体素子5A及び5Bが発した熱を冷却器10に伝導する熱伝導部材として機能する部材であり、例えば、銅板やアルミニウム板等の金属板によって形成される。放熱ベース3は、例えば、プレス加工等によって、平板状の金属板を下面302が凸状の曲面となるように、下面302の全体を反らせている。ケース8の絶縁部材800は、平面視で放熱ベース3の締結孔と重ならないように(より具体的には、ねじ13をフィン11のねじ穴に螺合させることができるように)、外周側の角部が切り取られた形状になっている。
【0028】
上記のように、図1図3を参照して上述した半導体モジュール2は、図4に例示したような単相電圧形ハーフブリッジインバータ回路(以下「ハーフブリッジインバータ回路」と記載する)を構成する。ハーフブリッジインバータ回路は、第1の入力端IN(P)と出力端OUTとの間に接続されたスイッチング素子503及びダイオード素子504と、第2の入力端IN(N)と出力端OUTとの間に接続されたスイッチング素子505及びダイオード素子506と、を含む。第1の入力端IN(P)と出力端OUTとの間は、上アームと呼ばれることがあり、第2の入力端IN(N)と出力端OUTとの間は、下アームと呼ばれることがある。図1図3を参照して上述した半導体モジュール2において、上アームのスイッチング素子503及びダイオード素子504は第1の半導体素子5A内に形成されており、下アームのスイッチング素子505及びダイオード素子506は第2の半導体素子5B内に形成されている。
【0029】
スイッチング素子503及び505がIGBT素子の場合、第1の半導体素子5A及び第2の半導体素子5Bの下面側の第1の主電極がコレクタ電極と呼ばれ、上面側の第2の主電極がエミッタ電極と呼ばれる。上アームのスイッチング素子503は、コレクタ電極が第1の入力端子801であってよい第1の入力端IN(P)に接続され、下アームのスイッチング素子505のエミッタ電極は、第2の入力端子802であってよい第2の入力端IN(N)に接続される。第1の入力端IN(P)及び第2の入力端IN(N)は、それぞれ、直流電源の正極及び負極に接続される。上アームのスイッチング素子503のエミッタ電極、及び下アームのスイッチング素子505のコレクタ電極は、出力端子803であってよい出力端OUTに接続される。また、スイッチング素子503のゲート及びスイッチング素子505のゲートは、それぞれ、第1の制御端子804及び第2の制御端子805を介して、図示しない制御回路に接続される。
【0030】
図4に例示したハーフブリッジインバータ回路は、上アームのスイッチング素子503のゲートに印加される制御信号と、下アームのスイッチング素子505のゲートに印加される制御信号と、により、第1の入力端IN(P)と第2の入力端IN(N)との間の直流を交流に変換して出力端OUTから出力することができる。また、図4に例示したハーフブリッジインバータ回路を第1の入力端IN(P)と第2の入力端IN(N)との間に3つ並列に接続し、各回路に印加する制御信号を制御することにより、三相交流のインバータ回路とすることができる。
【0031】
図4を参照して上述したハーフブリッジインバータ回路を備える半導体モジュール2は、図1図3を参照して上述した構成に限定されない。スイッチング素子503及び505は、例えば、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、BJT(Bipolar Junction Transistor)等で構成されてもよい。スイッチング素子がMOSFET素子の場合、半導体素子5A及び5Bの下面側の主電極はドレイン電極と呼ばれてもよく、上面側の主電極はソース電極と呼ばれてもよい。また、ダイオード素子504及び506は、例えば、SBD(Schottky Barrier Diode)、JBS(Junction Barrier Schottky)ダイオード、MPS(Merged PN Schottky)ダイオード、PNダイオード等で構成されてもよい。また、スイッチング素子503及び505、ダイオード素子504及び506を形成する基板は、Si基板に限らず、例えば、SiC(シリコンカーバイド)、GaN(窒化ガリウム)等のワイドバンドギャップ半導体を用いた基板であってもよい。
【0032】
また、半導体モジュール2は、例えば、上アームのスイッチング素子503及びダイオード素子504、並びに下アームのスイッチング素子505及びダイオード素子506の各素子が、別個の半導体素子であってもよい。例えば、上アームのスイッチング素子503とダイオード素子504とは、1つの半導体基板にそれらを形成した1つの半導体素子5A(1つの半導体チップ)に限らず、スイッチング素子503を形成した1つ以上の半導体素子(1つ以上の半導体チップ)と、ダイオード素子504を形成した1つ以上の半導体素子(1つ以上の半導体チップ)とで構成されてもよい。半導体素子の形状、配置数、配置箇所等は適宜変更が可能である。配線板4の上面側に設けられる配線部材としての導体パターンのレイアウトは、搭載される半導体素子の種類、形状、配置する数、配置箇所等に応じて変更される。また、上述した半導体モジュール2におけるボンディングワイヤ7A~7Fのうちのいくつか、又はすべては、例えば、銅板等の金属板を加工して形成されたリードに置き換えられてもよい。
【0033】
また、半導体素子5A及び5Bの上面に設けられる制御電極は、ゲート電極と、補助電極とを含んでもよい。例えば、補助電極は、上面側の主電極と電気的に接続され、ゲート電位に対する基準電位となる補助エミッタ電極あるいは補助ソース電極であってよい。また、補助電極は、半導体モジュール2を有するインバータ装置等に含まれることがある温度センス部と電気的に接続され、半導体素子5A及び5Bの温度を測定する温度センス電極であってよい。半導体素子5A及び5Bの上面に形成されたこれらの電極(主電極、並びにゲート電極及び補助電極を含む制御電極)は、総じて上面電極と呼ばれてもよい。
【0034】
半導体モジュール2の回路構成は、図4を参照して上述したハーフブリッジインバータ回路に限定されない。半導体モジュール2のインバータ回路は、例えば、単相フルブリッジインバータ回路であってもよい。また、1個の半導体モジュール2におけるインバータ回路は、例えば、単相に限らず、上記のような三相交流のインバータ回路であってもよい。
【0035】
図1図3を参照して上述した半導体モジュール2に取り付けられる冷却器10は、フィン11と、ウォータージャケット12とを含む。図2に示すように、フィン11は、半導体モジュール2を取り付ける上面1110を有する基部1101と、この基部1101の下面から下方に延伸する複数のフィン部1102とを含む。ウォータージャケット12は、フィン11に取り付けられたときに、フィン部1102が配置された冷媒の流路を画成する形状をなす。本実施の形態のエネルギー変換装置1は、半導体モジュール2の動作中に半導体素子5A及び5Bが発した熱の一部を、配線板4及び放熱ベース3を介して冷却器10に伝導して放熱する。この種のエネルギー変換装置1では、サーマルグリス等の熱伝導材14により放熱ベース3とフィン11との密着性を向上させることで、放熱ベース3から冷却器10(フィン11)に効率よく熱を伝導させることができる。なお、冷却器10は、ウォータージャケット12を含むウォータージャケット一体型であるが、フィン部1102が外部に露出したオープンフィン型の冷却器などであってもよい。
【0036】
図5は、放熱ベース3を冷却器10に取り付けるときの熱伝導材14の塗布パターンの例を説明する下面図である。図6は、放熱ベース3を冷却器10に取り付けるときの熱伝導材14の広がりの様子を説明する図である。図7は、放熱ベース3を冷却器10に取り付けるときに生じる問題の一例を説明する図である。なお、図6及び図7では、フィン11のフィン部1102を省略している。
【0037】
サーマルグリス等の熱伝導材14により放熱ベース3とフィン11との密着性を向上させる場合、例えば、図5及び図6の(a)に例示したように、放熱ベース3の下面302に複数の熱伝導材14を所定のパターンで配置する。放熱ベース3は、平面視での形状が矩形の角部を丸くした形状であり、角部には、ねじ13を挿通する締結孔303が形成されている。また、放熱ベース3は、例えば、プレス加工等によって平板状の金属板を下面302が凸状の曲面になるように反らせた形状にしてある。図6の(a)~(c)に例示した放熱ベース3の下面302は、平面視で下面302の中心部分が頂部になり、下面302の各点における中心部分に対するZ方向の相対位置の変化が下に凸の曲線で表される曲面である。
【0038】
複数の熱伝導材14は、放熱ベース3の下面302における締結孔303の周囲を除いた部分に配置される。複数の熱伝導材14の配置パターンは、図5に例示したような同一形状で同一寸法のものを整列配置するパターンに限定されない。放熱ベース3の下面302に配置する複数の熱伝導材14は、例えば、形状が複数通りであってもよいし、同一形状で寸法が複数通りであってもよい。複数の熱伝導材14は、例えば、平面視での放熱ベース3の下面302の中心からの距離に応じて配置パターンが変化してもよい。
【0039】
放熱ベース3の下面302をフィン11の上面1110と向い合わせてフィン11上に配置すると、図6の(a)に例示したように、下面302の中心及びその周辺に配置された熱伝導材14がまずフィン11の上面1110と接触する。その後、例えば、放熱ベース3をフィン11の上面1110に押し付けると、図6の(b)及び(c)に示したように、フィン11と接触した熱伝導材14が、放熱ベース3の下面302とフィン11の上面1110との間で下面302の中心から放射状に広がりながら一体化される。このとき、放熱ベース3の下面302を凸状の曲面にしておくと、熱伝導材14が放熱ベース3の下面302の中心から放射状に広がりやすくなり、かつ一体化された熱伝導材14内に空隙が生じにくくなる。
【0040】
しかしながら、放熱ベース3を冷却器10のフィン11に取り付けるときには、図6の(a)~(c)に例示したように、放熱ベース3の上面301に配線板4が接合されている。また、放熱ベース3を冷却器10のフィン11に取り付けるときには、放熱ベース3とフィン11との間に熱伝導材14を広がらせた後、ねじ13を利用して放熱ベース3をフィン11に固定する。
【0041】
図7には、比較例(後述する溝304~306、切り込み307等の凹部が設けられてない構成)の放熱ベース30を冷却器10のフィン11に取り付けるときに生じる放熱ベース30の変形を模式的に示している。
【0042】
放熱ベース30の下面302における角部にねじ止め用の締結孔303がある場合、締結孔303に挿通したねじ13をフィン11の上面1110のねじ穴1111に螺合させると、図7に例示したように、放熱ベース30は、下面302の凸状の曲面(実線で示した曲線で表される曲面)から、曲率の小さい平坦に近い曲面(二点鎖線で示した曲線で表される曲面)になるように変形する。すなわち、ねじ13によって放熱ベース30をフィン11に取り付けると、放熱ベース30は、取り付け前と比べて反りが小さくなる方向に変形する。放熱ベース30に反りが小さくなる方向の変形が生じると、放熱ベース30の上面301に接合された配線板4に、抗折強度(例えば、絶縁基板400のセラミック強度)以上の変形応力が加わり、例えば、絶縁基板400が割れる、導体パターン401~403が絶縁基板400から剥離する等の、配線板4の損傷が生じる。このような配線板4の損傷は、放熱ベース30の下面302の面積が広く、配線板4が締結孔303近傍にまで配置されており、かつ下面302の角部にねじ13を挿通する締結孔303が形成されている場合に生じやすい。
【0043】
図8(a)は、一実施の形態に係る放熱ベース3の第1の構成例を示す上面図であり、図8(b)及び(c)は、溝304の断面形状の2つの例を示す側面図である。なお、図8(a)、並びに後述する図9図10(a)、及び図11(a)において、放熱ベース3の上面301に接合される配線板4を2点鎖線(想像線)で示す。
【0044】
図8(a)に示すように、放熱ベース3は、上面301において、4つの締結孔303のそれぞれの周囲に位置する溝304(凹部の一例)を有する。この溝304は、上面301の周縁301a(上面301の4辺のいずれか)に亘って設けられている。また、溝304は、上面301のうち配線板4が接合された第1の領域A1を除く第2の領域A2において、締結孔303の周囲に位置する。ここで、締結孔303の周囲は、例えば、上面301の中心C1よりもXY方向の両方で締結孔303側の領域であり、より望ましくは、第1の領域A1よりもXY方向の両方で締結孔303側の領域であるとよい。下面302のうち、上面301の第1の領域A1の反対側に位置する領域が、第3の領域A3であり、下面302のうち、第3の領域A3と締結孔303とを除く領域が、第4の領域A4である。第3の領域A3及び第4の領域A4は、図8(a)では表れないため、これらの引出し線を破線で示す。図8(b)及び(c)に示すように、下面302(少なくとも第4の領域A4)は、溝が設けられていない曲面形状(図6に誇張して示すように中央が凸状となる曲面)を呈するとよい。そして、平面視で溝304(凹部の一例)と重なっており溝304の放熱ベース3に対して反対側において、下面302が凸状の曲面の延長になっているとよい(後述する図12(a)参照)。換言すると、下面302のうち、平面視で上面301の溝304と重なっている部分は、下面302の凸状の曲面の延長になっているとよい。これにより、上述のサーマルグリス等の熱伝導材14を締結孔303の近傍まで十分に広げることができる。
【0045】
4つの締結孔303の周囲に位置する4つの溝304は、上面301の角部(R面取り部分)を隔てて直交する周縁301aの2辺に亘って、締結孔303を取り囲むように設けられている。これにより、溝304は、締結孔303(或いは締結孔303の中心C2)と、第1の領域A1(或いは上面301における中心C1)との間を通るように(すなわち、これらを結ぶ領域を横切るように)、設けられている。溝304は、円弧状に延びる。例えば、溝304は、締結孔303側(或いは上面301の角部側)を中心とした同心円状に、円弧状に延びる。
【0046】
溝304の断面形状(溝304の延伸方向に直交する形状)は、図8(b)に示す角溝304-1のように矩形状であっても、図8(c)に示すV溝304-2のようにV字形状であってもよい。或いは、溝304の断面形状は、V溝304-2と同様に底部に近づくほど幅が狭まるU字形状(U字溝)、底部側で幅が広くなる逆さT字形状の溝、アリ溝などの任意の形状とすることができる。一例ではあるが、溝304(角溝304-1,V溝304-2)の深さDは、放熱ベース3の厚みtの半分以下である。溝304の形成には、プレス加工等の任意の手法を採用可能である。
【0047】
図9は、一実施の形態に係る放熱ベース3の第2の構成例を示す上面図である。
【0048】
図9に示すように、放熱ベース3は、上面301において、4つの締結孔303のそれぞれの周囲に位置する溝305(凹部の一例)を有する。この溝305は、上面301の周縁301aに亘って設けられている。また、溝305は、上面301のうち配線板4が接合された第1の領域A1を除く第2の領域A2において、締結孔303の周囲に位置する。図示はしないが、上述の図8(b)及び(c)に示す放熱ベース3と同様に、下面302(少なくとも第4の領域A4)は、溝が設けられていない曲面形状(図6に誇張して示すように中央が凸状となる曲面)を呈するとよい。
【0049】
4つの締結孔303の周囲に位置する4つの溝305は、上面301の周縁301aにおける第1の辺に交差(例えば直交)する方向に延びる第1の直進部分305aと、周縁301aにおける第1の辺に直交する第2の辺に交差(例えば直交)する方向に延びる第2の直進部分305bとを含む。すなわち、溝305は、上面301の角部(R面取り部分)を隔てて直交する周縁301aの2辺に亘って、締結孔303を取り囲むように設けられている。これにより、溝305は、締結孔303(或いは締結孔303の中心C2)と、第1の領域A1(或いは上面301における中心C1)との間を通るように設けられている。
【0050】
溝305の断面形状(溝305の延伸方向に直交する形状)は、上述の図8(b)に示す角溝304-1、図8(c)に示すV溝304-2などの任意の形状とすることができる。溝305の深さは、図8(b)及び(c)に示す角溝304-1及びV溝304-2に関して上述したのと同様に、放熱ベース3の厚みの半分以下であるとよく、溝305の形成には、プレス加工等の任意の手法を採用可能である。
【0051】
図10(a)は、一実施の形態に係る放熱ベース3の第3の構成例を示す上面図であり、図10(b)は、溝306(第1の部分306a及び第2の部分306b)の長さを説明するための図である。
【0052】
図10(a)に示すように、放熱ベース3は、上面301において、4つの締結孔303のそれぞれの周囲に位置する溝306(凹部の一例)を有する。この溝306は、第1の部分306a及び第2の部分306bを含む。第1の部分306a及び第2の部分306bは、上面301の周縁301aに亘って設けられている。また、第1の部分306a及び第2の部分306bは、上面301のうち配線板4が接合された第1の領域A1を除く第2の領域A2において、締結孔303の周囲に位置する。図示はしないが、上述の図8(b)及び(c)に示す放熱ベース3と同様に、下面302(少なくとも第4の領域A4)は、溝が設けられていない曲面形状(図6に誇張して示すように中央が凸状となる曲面)を呈するとよい。
【0053】
第1の部分306a及び第2の部分306bは、単一の締結孔303の周囲において互いに分離して設けられている。第1の部分306aは、上面301の周縁301aにおける第1の辺301a-1(図10(b)参照)から、この第1の辺301a-1とは異なる方向に延びる。また、第2の部分306bは、周縁301aにおける第2の辺301a-2(図10(b)参照)から、この第2の辺301a-2とは異なる方向に延びる。なお、第1の部分306a及び第2の部分306bは、第1の辺301a-1又は第2の辺301a-2に交差する方向に一直線状に延びるものであるが、曲線状に延びるものであってもよい。また、第1の部分306a及び第2の部分306bのうちの一方が省略されてもよい。すなわち、溝306は、締結孔303の周囲において、一端のみが上面301の周縁301aに亘って設けられた単一の部分からなる溝であってよい。この場合も、単一の部分からなる溝は、一直線状に延びるものであっても、円弧状に延びるものであってもよい。
【0054】
図10(b)に示すように、第1の部分306aは、第1の辺301a-1から締結孔303までの長さL11よりも長く(長さL1>L11)、第1の辺301a-1から上面301上を延びるとよい。また、第1の部分306aは、第1の辺301a-1から締結孔303の中心C2までの長さL12よりも長く(長さL1>L12)、第1の辺301a-1から上面301上を延びてもよい。
【0055】
第2の部分306bは、第2の辺301a-2から締結孔303までの長さL21よりも長く(長さL2>L21)、第2の辺301a-2から上面301上を延びるとよい。また、第2の部分306bは、第2の辺301a-2から締結孔303の中心C2までの長さL22よりも長く(長さL2>L22)、第2の辺301a-2から上面301上を延びてもよい。
【0056】
溝306の断面形状(溝306の延伸方向に直交する形状)は、上述の図8(b)に示す角溝304-1、図8(c)に示すV溝304-2などの任意の形状とすることができる。溝305の深さは、図8に示す溝304に関して上述したのと同様に、放熱ベース3の厚みの半分以下であるとよく、溝306の形成には、プレス加工等の任意の手法を採用可能である。
【0057】
図11(a)は、一実施の形態に係る放熱ベース3の第4の構成例を示す上面図であり、図11(b)は、側面図であり、図11(c)は、切り込み307の長さを説明するための図である。
【0058】
図11(a)に示すように、放熱ベース3は、上面301において、4つの締結孔303のそれぞれの周囲に位置する第1の部分307a及び第2の部分307bを含む切り込み307(凹部の一例)を有する。第1の部分307a及び第2の部分307bは、上面301の周縁301aに亘って設けられ、図11(b)に示すように放熱ベース3を厚さ方向(Z方向)に貫通する。また、第1の部分307a及び第2の部分307bは、上面301のうち配線板4が接合された第1の領域A1を除く第2の領域A2において、締結孔303の周囲に位置する。第1の部分307a及び第2の部分307bの断面形状(第1の部分307aや第2の部分307bの延伸方向に直交する形状)は、例えば、放熱ベース3の厚さ方向に亘って幅が一定であるが、下面302側よりも上面301側で幅が広くなるなど、幅が一定でなくともよい。図11(b)に示す下面302(少なくとも第4の領域A4)は、曲面形状(図6に誇張して示すように中央が凸状となる曲面)を呈するとよい。
【0059】
第1の部分307a及び第2の部分307bは、単一の締結孔303の周囲において互いに分離して設けられている。第1の部分307aは、上面301の周縁301aにおける第1の辺301a-1(図11(c)参照)から、この第1の辺301a-1とは異なる方向(例えば直交する方向)に延びる。また、第2の部分307bは、周縁301aにおける第2の辺301a-2(図11(c)参照)から、この第2の辺301a-2とは異なる方向(例えば直交する方向)に延びる。なお、第1の部分307a及び第2の部分307bは、第1の辺301a-1又は第2の辺301a-2に交差する方向に一直線状に延びるものであっても、曲線状に延びるものであってもよい。また、第1の部分307a及び第2の部分307bのうちの一方が省略されてもよい。すなわち、切り込み307は、締結孔303の周囲において、一端のみが上面301の周縁301aに亘って設けられた単一の部分からなる切り込みであってよい。この場合も、単一の部分からなる切り込みは、一直線状に延びるものであっても、円弧状に延びるものであってもよい。切り込み307の形成には、プレス加工等の任意の手法を採用可能である。
【0060】
第1の部分307aは、第1の辺301a-1から締結孔303までの長さL31よりも長く(長さL3>L31)、第1の辺301a-1から上面301上を延びるとよい。また、第1の部分307aは、第1の辺301a-1から締結孔303の中心C2までの長さL32よりも長く(長さL3>L32)、第1の辺301a-1から上面301上を延びてもよい。
【0061】
第2の部分307bは、第2の辺301a-2から締結孔303までの長さL41よりも長く(長さL4>L41)、第2の辺301a-2から上面301上を延びるとよい。また、第2の部分307bは、第2の辺301a-2から締結孔303の中心C2までの長さL42よりも長く(長さL4>L42)、第2の辺301a-2から上面301上を延びてもよい。
【0062】
なお、図11(c)に示す切り込み307の長さ(第1の部分307aの長さL3及び第2の部分307bの長さL4)に関しては、上述の図10(b)に示す溝306の長さ(第1の部分306aの長さL1及び第2の部分306bの長さL2)と例えば同一であるが、切り込み307は、放熱ベース3を厚さ方向に貫通するため、切り込み307の形成に起因する放熱ベース3の割れなどを防止するために、溝306が設けられる場合よりも短い長さで設けられてもよい。
【0063】
図12は、本実施の形態(図12(a))と比較例(図12(b))との配線板4にかかる引張応力の違いを説明するための図である。なお、図12(a)((a-1)~(a-4))は、溝304を凹部の一例として有する本実施の形態に係る放熱ベース3を示し、図12(b)((b-1)~(b-4))は、凹部(溝304~306、切り込み307等)が設けられてない上述の比較例に係る放熱ベース30を示す。
【0064】
図12(a-1)及び(b-1)に誇張して示すように、放熱ベース3,30は、上述のとおり、下面302が凸状の曲面となるように沿っている。
【0065】
図12(a-2)及び(b-2)に示すように、ねじ13が放熱ベース3,30を図示しない冷却器(図3に示す冷却器10参照)に締結する過程で、放熱ベース3,30は、ねじ13によって下方に押圧されて、下面302の反りが小さくなるように変形する。このとき、両方向矢印で示す引張応力が配線板4にかかる。
【0066】
図12(a-3)及び(b-3)に示すように、ねじ13の締結が進むと、比較例の図12(b-3)では、締結孔303近傍の局所変形によって下面302の反りがほぼなくなる過程で、配線板4にかかる引張応力がどんどん大きくなる。一方、本実施の形態の図12(a-3)では、溝304を支点として、ねじ13側での放熱ベース3の変形が配線板4側に伝わりにくくなり、配線板4にかかる引張応力が大きくなりにくい。このように配線板4にかかる引張応力が大きくなりにくいのは、放熱ベース3に溝304が設けられている場合に限らず、上述の溝305,306や切り込み307が設けられている場合にも同様である。
【0067】
この結果、図12(b-4)では、ねじ13の締結後に上面301が平面形状に近づくのに対し、図12(a-4)では、溝304付近で上面301が凸形状となる場合がある。但し、本実施の形態の溝304は、配線板4が接合された領域(図8(a)の第1の領域A1参照)とは異なる領域(第2の領域A2参照)に設けられているため、半導体モジュール2の放熱性(図3に示す熱伝導材14等のコンパウンド濡れ性)には悪影響が生じにくい。
【0068】
以上説明した本実施の形態に係る半導体モジュール2は、半導体素子5A及び5Bと、この半導体素子5A及び5Bが実装された配線板4と、放熱ベース3とを備える。また、本実施の形態に係る放熱ベース3は、配線板4が接合された上面(第1の面の一例)301と、この上面とは反対側に位置する下面(第2の面の一例)302とを有する。また、放熱ベース3は、下面302が凸状の曲面となるように反っている。放熱ベース3の上面301における複数の角部には、締結孔303が設けられている。そして、放熱ベース3は、上面301のうち配線板4が接合された第1の領域A1を除く第2の領域A2において、締結孔303の周囲に位置し上面301の周縁301aに亘って設けられた凹部(例えば、溝304~306、切り込み307)を有する。
【0069】
これにより、凸状の曲面である下面302において放熱ベース3が冷却器10に締結される時に、下面302の反りが小さくなるように放熱ベース3が変形しても、凹部を支点として、締結孔303(ねじ13)側での放熱ベース3の変形が配線板4側に伝わりにくくなる。そのため、配線板4にかかる引張応力が大きくなりにくい。よって、本実施の形態によれば、放熱ベース3の締結時の変形による配線板4の損傷を防ぐことができる。
【0070】
また、本実施の形態では、上面301の周縁301aに亘って設けられた凹部は、上面301に設けられた溝304~306である。
【0071】
これにより、放熱ベース3に切り込み307を設ける場合と比較して、溝304~306を、締結孔303を取り囲む形状にすることができるなど、溝304~306の形成位置の自由度を高めながら、放熱ベース3の締結時の変形による配線板4の損傷を防ぐことができる。
【0072】
また、本実施の形態では、下面302のうち、第1の領域A1の反対側に位置する第3の領域A3と締結孔303とを除く第4の領域A4は、溝が設けられていない曲面形状を呈する。
【0073】
これにより、放熱ベース3の上面301のみに溝304~306を設ける簡単な加工で、且つ、放熱ベース3の下面302からの冷却器10への熱伝導を阻害せずに、放熱ベース3の締結時の変形による配線板4の損傷を防ぐことができる。
【0074】
また、本実施の形態では、溝304,305は、締結孔303と第1の領域A1との間を通るように設けられている。
【0075】
これにより、締結孔303と第1の領域A1(配線板4)との間に位置する溝304,305によって、締結孔303(ねじ13)側での放熱ベース3の変形を、配線板4側に更に伝わりにくくすることができる。したがって、放熱ベース3の締結時の変形による配線板4の損傷をより一層防ぐことができる。
【0076】
また、本実施の形態では、溝304,305は、上面301の角部を隔てて直交する上面301の周縁301aの2辺に亘って締結孔303を取り囲むように設けられている。
【0077】
これにより、締結孔303(ねじ13)側での放熱ベース3の変形を、配線板4側に一層伝わりにくくすることができる。したがって、放熱ベース3の締結時の変形による配線板4の損傷をより確実に防ぐことができる。
【0078】
また、本実施の形態では、上面301の周縁301aの2辺に亘って締結孔303を取り囲むように設けられた溝304は、円弧状に延びる。
【0079】
これにより、1本の曲線状の溝304を設ける簡単な加工で、放熱ベース3の締結時の変形による配線板4の損傷を防ぐことができる。
【0080】
また、本実施の形態では、上面301の周縁301aの2辺に亘って締結孔303を取り囲むように設けられた溝305は、上面301の周縁301aにおける第1の辺に交差する方向に延びる第1の直進部分305aと、周縁301aにおける第1の辺に直交する第2の辺に交差する方向に延びる第2の直進部分305bとを含む。
【0081】
これにより、溝305を一直線状に設ける簡単な加工で、放熱ベース3の締結時の変形による配線板4の損傷を防ぐことができる。
【0082】
また、本実施の形態では、上面301の周縁301aに亘って設けられた凹部は、放熱ベース3の上面301の周縁301aに設けられ放熱ベース3を厚さ方向(Z方向)に貫通する切り込み307である。
【0083】
これにより、放熱ベース3の厚さ方向の全体に亘る切り込み307によって、放熱ベース3の冷却器10への締結時に下面302の反りが小さくなる放熱ベース3の変形が、溝304~306が設けられている場合よりも配線板4側に伝わりにくくなる。したがって、放熱ベース3の締結時の変形による配線板4の損傷をより一層防ぐことができる。また、切り込み307は、溝304~306を設ける場合と比較して、簡単に加工することができる。
【0084】
また、本実施の形態では、上面301の周縁301aに亘って設けられた凹部(例えば、溝306及び切り込み307)は、単一の締結孔303の周囲において互いに分離して設けられた第1の部分306a,307a及び第2の部分306b,307bを含む。第1の部分306a,307aは、上面301の周縁301aにおける第1の辺301a-1から、この第1の辺301a-1とは異なる方向に延び、第2の部分306b,307bは、周縁301aにおける第1の辺301a-1に直交する第2の辺301a-2から、この第2の辺301a-2とは異なる方向に延びる。
【0085】
これにより、凹部が上面301の周縁301aの1辺から、この辺に平行に延びる場合と比較して、放熱ベース3の冷却器10への締結時に下面302の反りが小さくなる放熱ベース3の変形を、配線板4側に伝わりにくくすることができる。また、凹部として単一の部分(例えば、第1の部分306a,307a及び第2の部分306b,307bのうちの一方)が設けられている場合よりも、放熱ベース3の変形を、配線板4側に伝わりにくくすることができる。
【0086】
また、本実施の形態では、図10(b)及び図11(c)に示すように、第1の部分306a,307aは、第1の辺301a-1から上記単一の締結孔303までの長さL11,L31よりも長く(L1>L11,L3>L31)、第1の辺301a-1から上面301上を延びる。また、第2の部分306b,307bは、第2の辺301a-2から上記単一の締結孔303までの長さL21,L41よりも長く(L2>L21,L4>L41)、第2の辺301a-2から上面301上を延びる。
【0087】
これにより、第1の部分306a,307a及び第2の部分306b,307bの長さがより短い場合と比較して、放熱ベース3の変形を、配線板4側に伝わりにくくすることができる。
【0088】
また、本実施の形態では、第1の部分306a,307aは、第1の辺301a-1から上記単一の締結孔303の中心C2までの長さL12,L32よりも長く(L1>L12,L3>L32)、第1の辺301a-1から上面301上を延びる。また、第2の部分306b,307bは、第2の辺301a-2から上記単一の締結孔303の中心C2までの長さL22,L42よりも長く(L2>L22,L4>L42)、第2の辺301a-2から上面301上を延びる。
【0089】
これにより、第1の部分306a,307a及び第2の部分306b,307bの長さがより短い場合と比較して、放熱ベース3の変形を、配線板4側に伝わりにくくすることができる。
【0090】
本発明に係る半導体モジュール2及び放熱ベース3の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらに、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【0091】
例えば、上述した実施の形態に係る放熱ベース3は、プレス加工等により平板状のベース板を反らせて下面302が凸状の曲面となるように沿っており、配線板4が接合された上面301は、凹状の曲面となるように沿っている。しかしながら、本発明に係る放熱ベース3は、そのような形状に限定されない。本発明に係る放熱ベース3は、例えば、冷却器10のフィン11と向い合わせる下面302が凸状の曲面であり、配線板4を接合する上面301が平坦な面であってもよい。また、放熱ベース3の下面302を凸状の曲面にするときの頂点の位置は、平面視で下面302の中心になる位置に限らず、中心からずれた位置であってもよい。また、1つの放熱ベース3に接合される配線板4の数は、2つ以上であってもよい、また、凹部(溝304~306、切り込み307など)は、放熱ベース3の上面301のうち配線板4が接合された第1の領域A1を除く第2の領域A2に設けられているが、一部が第1の領域A1に亘って設けられていてもよい。また、凹部の配置位置や形状は、任意に変更することができ、例えば、放熱ベース3の締結孔303と第1の領域A1(配線板4が接合された領域)との間に複数設けられていてもよい。また、凹部は、溝304~306と切り込み307とが連続して設けられているものであってもよい。また、凹部は、例えば、図1に示すようにケース8の絶縁部材800の外周側の角部が切り取られた部分に重なるように設けられているが、絶縁部材800に重なるように設けられていてもよい。更に、放熱ベース3のねじ止め用の締結孔303は、例えば、下面302における角部に加え、長手方向の端辺における中間部分に形成されてもよい。また、平面視での放熱ベース3の形状は、図8(a)などを参照して上述したようなX方向に延伸する辺とY方向に延伸する辺との長さが異なる概略長方形の平面形状に限らず、X方向に延伸する辺とY方向に延伸する辺との長さが略同一の概略正方形の平面形状であってもよい。
【0092】
以下、本願の明細書及び図面に記載された一部の発明を付記する。
【0093】
<付記1>
半導体素子と、
前記半導体素子が実装された配線板と、
前記配線板が接合された第1の面と、当該第1の面とは反対側に位置する第2の面とを有する放熱ベースとを備え、
前記放熱ベースは、前記第2の面が凸状の曲面となるように反っており、
前記放熱ベースの前記第1の面における複数の角部には、締結孔が設けられ、
前記放熱ベースは、前記第1の面のうち前記配線板が接合された第1の領域を除く第2の領域において、前記締結孔の周囲に位置し前記第1の面の周縁に亘って設けられた凹部を有する
ことを特徴とする半導体モジュール。
【0094】
<付記2>
前記凹部は、前記第1の面に設けられた溝である
ことを特徴とする付記1記載の半導体モジュール。
【0095】
<付記3>
前記第2の面のうち、前記第1の領域の反対側に位置する第3の領域と前記締結孔とを除く第4の領域は、溝が設けられていない曲面形状を呈する
ことを特徴とする付記2記載の半導体モジュール。
【0096】
<付記4>
前記溝は、前記締結孔と前記第1の領域との間を通るように設けられている
ことを特徴とする付記2又は3記載の半導体モジュール。
【0097】
<付記5>
前記溝は、前記角部を隔てて直交する前記第1の面の前記周縁の2辺に亘って前記締結孔を取り囲むように設けられている
ことを特徴とする付記4記載の半導体モジュール。
【0098】
<付記6>
前記溝は、円弧状に延びる
ことを特徴とする付記5記載の半導体モジュール。
【0099】
<付記7>
前記溝は、前記第1の面の前記周縁における第1の辺に交差する方向に延びる第1の直進部分と、前記第1の面の前記周縁における前記第1の辺に直交する第2の辺に交差する方向に延びる第2の直進部分とを含む
ことを特徴とする付記5記載の半導体モジュール。
【0100】
<付記8>
前記凹部は、前記放熱ベースの前記第1の面の前記周縁に設けられ前記放熱ベースを厚さ方向に貫通する切り込みである
ことを特徴とする付記1記載の半導体モジュール。
【0101】
<付記9>
前記凹部は、単一の前記締結孔の周囲において互いに分離して設けられた第1の部分及び第2の部分を含み、
前記第1の部分は、前記第1の面の前記周縁における第1の辺から、当該第1の辺とは異なる方向に延び、
前記第2の部分は、前記第1の面の前記周縁における第2の辺から、当該第2の辺とは異なる方向に延びる
ことを特徴とする付記1又は8記載の半導体モジュール。
【0102】
<付記10>
前記第1の部分は、前記第1の辺から前記単一の締結孔までの長さよりも長く、前記第1の辺から前記第1の面上を延び、
前記第2の部分は、前記第2の辺から前記単一の締結孔までの長さよりも長く、前記第2の辺から前記第1の面上を延びる
ことを特徴とする付記9記載の半導体モジュール。
【0103】
<付記11>
前記第1の部分は、前記第1の辺から前記単一の締結孔の中心までの長さよりも長く、前記第1の辺から前記第1の面上を延び、
前記第2の部分は、前記第2の辺から前記単一の締結孔の前記中心までの長さよりも長く、前記第2の辺から前記第1の面上を延びる
ことを特徴とする付記10記載の半導体モジュール。
【0104】
<付記12>
平面視で前記凹部と重なっており前記凹部の前記放熱ベースに対して反対側において、前記第2の面が前記凸状の曲面の延長になっている
ことを特徴とする付記1記載の半導体モジュール。
【0105】
<付記13>
半導体素子が実装された配線板が接合される第1の面と、当該第1の面とは反対側に位置する第2の面とを有する放熱ベースであって、
前記第2の面が凸状の曲面となるように反っており、
前記第1の面における複数の角部には、締結孔が設けられ、
前記第1の面のうち前記配線板が接合された第1の領域とは異なる第2の領域において、前記締結孔の周囲に位置し前記第1の面の周縁に亘って設けられた凹部を有する
ことを特徴とする放熱ベース。
【産業上の利用可能性】
【0106】
上述のように、本発明は、配線板が接合された放熱ベースを冷却器に取り付ける際の放熱ベースの締結時の変形による配線板の損傷を防ぐことができるという効果を有し、特に、産業用又は電装用のインバータ装置に有用である。
【符号の説明】
【0107】
1 エネルギー変換装置
2 半導体モジュール
3 放熱ベース
301 上面(第1の面)
301a 周縁
301a-1,301a-2 辺
302 下面(第2の面)
303 締結孔
304、305、306 溝
304-1 角溝
304-2 V溝
305a 第1の直進部分
305b 第2の直進部分
306a 第1の部分
306b 第2の部分
307 切り込み
307a 第1の部分
307b 第2の部分
4 配線板
400 絶縁基板
401、402、403 導体パターン
5A、5B 半導体素子
7A~7F ボンディングワイヤ
8 ケース
800 絶縁部材
801、802 入力端子
803 出力端子
804、805 制御端子
9 封止材
10 冷却器
11 フィン
1110 上面
1111 ねじ穴
12 ウォータージャケット
13 ねじ
14 熱伝導材
15 ナット
16 接着剤
A1 第1の領域
A2 第2の領域
A3 第3の領域
A4 第4の領域
C1、C2 中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12