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特開2024-164473設問分類・回答作成プロセッサシステムおよび回答作成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164473
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】設問分類・回答作成プロセッサシステムおよび回答作成方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241120BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079967
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉井 有紀
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 元伸
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】類似の設問に対して回答する負担を軽減する。
【解決手段】 プロセッサシステムは、少なくとも1つ以上の設問を含む設問情報を受け付けると、設問情報に含まれる回答単位が複数の設問を含む場合に該回答単位を複数の第一の設問へと分解する設問分解処理部と、少なくとも1つ以上の設問を含むマスターデータに含まれる第二の設問と、第一の設問と、が互いに類似する場合に、該第一の設問を該第二の設問の類似設問であると分類する設問分類部と、設問分類部により分類された結果を含む表示情報を生成する回答作成部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つ以上の設問を含む設問情報を受け付けると、前記設問情報に含まれる回答単位が複数の設問を含む場合に該回答単位を複数の第一の設問へと分解する設問分解処理部と、
少なくとも1つ以上の設問を含むマスターデータに含まれる第二の設問と、前記第一の設問と、が互いに類似する場合に、該第一の設問を該第二の設問の類似設問であると分類する設問分類部と、
前記設問分類部により分類された結果を含む表示情報を生成する回答作成部と、
を備えることを特徴とするプロセッサシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のプロセッサシステムであって、
前記設問分類部は、所定のカテゴリごとに、少なくとも一つ以上のキーワードと、少なくとも一つ以上の前記第二の設問と、のそれぞれと対応付けられた少なくとも一つ以上の分類器を備え、前記第一の設問について、前記キーワードが含まれる前記カテゴリの前記分類器に前記第二の設問との類似を判定させる、
ことを特徴とするプロセッサシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプロセッサシステムであって、
前記マスターデータには、前記第二の設問ごとに関連づけられた回答が含まれ、
前記回答作成部は、前記第一の設問について、前記類似設問とされた前記第二の設問に関連づけられた前記回答を用いて前記第一の設問に対する回答案を作成し、前記第一の設問が前記設問分解処理部により分解されたものである場合には、前記回答単位に対して前記回答案を組み合わせた回答案をさらに生成する、
ことを特徴とするプロセッサシステム。
【請求項4】
請求項1または2に記載のプロセッサシステムであって、
前記マスターデータには、前記第二の設問ごとに関連づけられた回答が含まれ、
前記回答作成部は、前記第一の設問について、前記類似設問とされた前記第二の設問に関連づけられた前記回答を用いて前記第一の設問に対する回答案を作成し、前記第一の設問が、有限の選択肢から選択して回答する設問である場合には、前記回答案と類似する前記選択肢を回答案とする、
ことを特徴とするプロセッサシステム。
【請求項5】
請求項1または2に記載のプロセッサシステムであって、
前記マスターデータには、前記第二の設問ごとに関連づけられた回答および付帯するデータセットが含まれ、
前記設問分解処理部は、前記第一の設問が回答に所定のデータセットの付帯を要求するものである場合に、要求される前記データセットが前記第二の設問に関連づけられた前記データセットと類似する場合に、該第一の設問を該第二の設問の類似設問であると分類する、
ことを特徴とするプロセッサシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のプロセッサシステムであって、
前記設問分解処理部は、要求される前記データセットのデータ形式あるいはデータ種類が前記第二の設問に関連づけられた前記データセットと類似する場合に、該第一の設問を該第二の設問の類似設問であると分類する、
ことを特徴とするプロセッサシステム。
【請求項7】
請求項1または2に記載のプロセッサシステムであって、
前記設問分解処理部は、前記第一の設問が複数の回答を要求するものである場合に、要求される回答ごとに前記設問と結合して第一の設問へと分割する、
ことを特徴とするプロセッサシステム。
【請求項8】
請求項1または2に記載のプロセッサシステムであって、
前記マスターデータには、前記第二の設問ごとに関連づけられた回答が含まれ、
前記回答作成部は、前記第一の設問について、前記類似設問とされた前記第二の設問に関連づけられた前記回答を用いて前記第一の設問に対する回答案を作成し、前記第二の設問に関連づけられた前記回答がない場合には、前記第二の設問に関連する他の前記第二の設問に関連づけられた前記回答を用いて回答案を生成する、
ことを特徴とするプロセッサシステム。
【請求項9】
請求項2に記載のプロセッサシステムであって、
前記設問分類部は、前記第一の設問が前記設問情報において属する前記カテゴリの前記分類器に前記第二の設問との類似を判定させる、
ことを特徴とするプロセッサシステム。
【請求項10】
請求項1または2に記載のプロセッサシステムであって、
前記設問分類部により分類された結果の正誤に係る入力情報を受け付けて、前記類似の判定に係る学習を行う学習・最適化部、
を備えることを特徴とするプロセッサシステム。
【請求項11】
請求項1または2に記載のプロセッサシステムであって、
前記設問分類部は、前記第一の設問が複数の前記第二の設問の類似設問であると分類された場合に、類似する複数の前記第二の設問について選択的入力を受付可能に提示し、いずれかの選択的入力を受け付けて前記類似設問とする、
ことを特徴とするプロセッサシステム。
【請求項12】
請求項1または2に記載のプロセッサシステムであって、
前記設問分類部は、前記第二の設問ごとに前記第一の設問との類似の度合を示すスコアを算出して提示し、前記スコアの範囲の入力を受け付けて該範囲内のスコアを有する設問を前記類似設問とする、
ことを特徴とするプロセッサシステム。
【請求項13】
請求項1または2に記載のプロセッサシステムであって、
前記設問分類部は、前記第二の設問ごとに前記第一の設問との類似の度合を示すスコアを算出して提示し、前記スコアの範囲の入力を受け付けて該範囲外のスコアを有する設問を前記類似設問から除外する、
ことを特徴とするプロセッサシステム。
【請求項14】
請求項1または2に記載のプロセッサシステムであって、
前記マスターデータの前記第二の設問のうち少なくとも一問は、経営に関する非財務情報の設問である、
ことを特徴とするプロセッサシステム。
【請求項15】
プロセッサシステムを用いた回答方法であって、
前記プロセッサシステムは、
少なくとも1つ以上の設問を含む設問情報を受け付けると、前記設問情報に含まれる回答単位が複数の設問を含む場合に該回答単位を複数の第一の設問へと分解する設問分解処理と、
少なくとも1つ以上の設問を含むマスターデータに含まれる第二の設問と、前記第一の設問と、が互いに類似する場合に、該第一の設問を該第二の設問の類似設問であると分類する設問分類ステップと、
前記設問分類ステップにより分類された結果を含む表示情報を生成する回答作成ステップと、
を備えることを特徴とする回答方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設問分類・回答作成プロセッサシステムおよび回答作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、ESG(Environment、Social、Governance)投資市場が拡大傾向にある。ESG投資市場では、投資家がESGの要素に基づいて企業評価を行い、投資先を決定する。ESGを重視している企業は今後の経営にも安定性が見込まれ、成長の可能性が高いとされるためである。
【0003】
環境問題や児童労働問題等も含むESGに関する評価は、近年、自社だけでなく、サプライチェーン全体で行われる。このため、バイヤが、サプライチェーンシステムに参加する事業主体(サプライヤとも称呼する)のESG評価を行うことを希望することが多くなってきている。
【0004】
このようなバイヤ向けのサプライヤESG評価は、サプライヤへアンケート調査を行って情報を得ることが主流である。
【0005】
一方で、サプライヤにとっては、アンケート調査への回答負担は大きい。設問の数が数十~数百に上ることもあり、設問によっては回答に証拠となるエビデンスデータを添付する必要のあるものも含まれるためである。また、評価機関も複数存在しそれぞれが類似するが完全に一致するわけではない設問を設ける。さらに、評価機関からのアンケートに加え、バイヤが独自の設問を作成し、サプライヤへの回答を求める場合もある。その結果として、サプライヤからの回答率が低調となりがちである。
【0006】
バイヤは、特定の評価機関との間で、取引のあるサプライヤの評価結果を利用する契約を行うことができる。しかし、取引のある全てのサプライヤが当該評価機関の評価スキームへ参加している事は多くない。そのため、バイヤは、複数の評価機関の併用や、バイヤが独自に作成した設問との併用を行うことで、サプライヤ評価を行っている。
【0007】
また、アンケートの設問の傾向は、ISO(International Organization fоr Standardization)26000、ISO14000シリーズ、国連グローバル・コンパクト等、根底にある基準は共通するものも多く、設問の差異は解像度の差異である場合も多い。または、アンケート間では、根底にある基準は共通するものの、その設問の態様に差異がある場合も多い。例えば、アンケートによって、目標設定の有無を問う場合と、同目標に対する結果について問う場合と、が相違している場合がある。
【0008】
文章の共通性の認識技術としては、自然言語処理の分野において、例えばBagof Words、TF-IDF、BM-25、N-gram等の特徴量抽出手法が一般的に知られている。
【0009】
機械学習の技術は多数存在するが、特に自然言語処理における分類器として使用されることの多い技術としては、Support Vector Machine、決定木、k近傍法等が一般的に知られている。
【0010】
自然言語処理の先行技術としては、特許文献1に示す、自然言語処理技術であるN-gramと機械学習技術であるSupport Vector Machineを用いた質問タイプ同定のための高精度な分類器を構成する質問タイプ学習装置がある。
【0011】
さらに近年では、Word2vec、BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)等の手法や、ニューラルネットワーク等の人工知能との組み合わせも広く知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004-094521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このような背景において、サプライヤのESG評価を円滑に行うためには、企業評価におけるサプライヤの回答負担軽減や、サプライヤ回答率向上のための方法の提供が必要である。例えば、企業評価における設問の回答作成の補助が考えられる。
【0014】
本発明の目的は、企業評価における設問の分類および回答作成精度向上を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下のとおりである。上記の課題を解決する本発明の一態様に係るプロセッサシステムは、少なくとも1つ以上の設問を含む設問情報を受け付けると、前記設問情報に含まれる回答単位が複数の設問を含む場合に該回答単位を複数の第一の設問へと分解する設問分解処理部と、少なくとも1つ以上の設問を含むマスターデータに含まれる第二の設問と、前記第一の設問と、が互いに類似する場合に、該第一の設問を該第二の設問の類似設問であると分類する設問分類部と、前記設問分類部により分類された結果を含む表示情報を生成する回答作成部と、を備える。
【0016】
すなわち、設問を複数の単一設問に分解後、自然言語処理を行い、さらに複数の単一設問に紐づいた回答の組み合わせで複合設問の回答を自動作成することで、複合設問における回答作成精度を向上させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、企業評価における設問の分類および回答作成精度向上技術を提供することができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の発明を実施するための形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】設問分類・回答作成プロセッサシステムの構成例を示す図である。
図2】設問分類・回答作成プロセッサシステムの処理部の詳細な構成例を示す図である。
図3】カテゴリ分けによる設問分類処理の処理フローの例を示す図である。
図4】設問割り付け処理の処理フローの例である。
図5】証拠書類を利用した設問割付処理詳細のフローの例を示す図である。
図6】設問分解処理のフローの例を示す図である。
図7】設問回答欄結合処理のフローの例を示す図である。
図8】解像度対応処理のフローの例を示す図である。
図9】選択問題回答処理のフローの例を示す図である。
図10】統合評価用設問割付処理のフローの例を示す図である。
図11】回答案提示・修正画面の例を示す図である。
図12】プロセッサシステムのハードウェア構成の例を示す図である。
図13】設問資料記憶エリアのデータ構造例を示す図である。
図14】マスターデータ記憶エリアの例を示す図である。
図15】マスターデータのデータ構成例を示す図である。
図16】回答履歴記憶エリアのデータ構造例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。実施例は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0020】
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0021】
各種情報の例として、「テーブル」、「リスト」、「キュー」等の表現にて説明することがあるが、各種情報はこれら以外のデータ構造で表現されてもよい。例えば、「XXテーブル」、「XXリスト」、「XXキュー」等の各種情報は、「XX情報」としてもよい。識別情報について説明する際に、「識別情報」、「識別子」、「名」、「ID」、「番号」等の表現を用いるが、これらについてはお互いに置換が可能である。また、これらの表現で説明される識別情報は、実施例において記号、数値、自然言語、又はそれらの組み合わせ等を用いて表すが、識別情報はこれら以外の形式でもよい。
【0022】
同一あるいは同様の機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。また、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0023】
実施例において、プログラムを実行して行う処理について説明する場合がある。ここで、計算機は、プロセッサ(例えばCPU、GPU)によりプログラムを実行し、記憶資源(例えばメモリ)やインターフェースデバイス(例えば通信ポート)等を用いながら、プログラムで定められた処理を行う。そのため、プログラムを実行して行う処理の主体を、プロセッサとしてもよい。同様に、プログラムを実行して行う処理の主体が、プロセッサを有するコントローラ、装置、システム、計算機、ノードであってもよい。プログラムを実行して行う処理の主体は、演算部であれば良く、特定の処理を行う専用回路を含んでいてもよい。ここで、専用回路とは、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)等である。
【0024】
プログラムは、プログラムソースから計算機にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバまたは計算機が読み取り可能な記憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバの場合、プログラム配布サーバはプロセッサと配布対象のプログラムを記憶する記憶資源を含み、プログラム配布サーバのプロセッサが配布対象のプログラムを他の計算機に配布してもよい。また、実施例において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0025】
また、本発明はプロセッサシステムであるが、本発明の機能を有するプラットフォームとして実現されてもよい。
【0026】
企業評価における設問の回答作成の補助としては、具体的には、設問同士の類似性を利用し、類似の設問に対して回答する負担を軽減する方法や、同じく設問同士の類似性を利用し、複数の異なる評価機関からの質問票を統合することで、多様な質問票をサプライヤ評価に活用する方法が考えられる。
【0027】
これらの方法を正しく動作させるには、設問を正しく分類する必要があるが、既存の自然言語処理技術をそのまま適用するだけでは、分類精度が低い場合がある。例えば、文章中で登場する単語の個数や登場する語順が同一である場合、近い文章であると分類される場合がある。以下の2文は自然言語処理上では近いと分類されるが、「環境」、「労働」とそれぞれ異なるカテゴリの設問であり、別の設問内容であると分類されることが望ましい。
・大気汚染に対する貴社の取り組みを教えてください。
・児童労働に対する貴社の取り組みを教えてください。
【0028】
さらに、1つの設問に含まれる質問要素の数は質問票配布元により必ずしも一致せず、1つの設問で複数の内容を問う設問(複合設問)もあれば、1つの設問で1つの内容を問う設問もあり、必ずしも1対1で対応しない問題がある。この場合、設問がそのままの形式のままでは回答の補助や、設問の統合を行うことは難しい。
【0029】
さらに、上述した目標設定の有無を問う場合と、同目標に対する結果について問う場合と、のような設問の態様に差異がある場合も含め、設問の分類精度を向上させ、適切に設問を処理し、回答を作成する機能を有する必要がある。
【0030】
図1は、設問分類・回答作成プロセッサシステムの構成例を示す図である。例えば設問分類・回答作成プロセッサシステム10は、プロセッサシステム100と、ネットワーク50と、評価機関D計算機300と、評価機関E計算機310と、サプライヤA計算機400と、サプライヤB計算機410と、サプライヤC計算機420と、バイヤF計算機800と、バイヤG計算機810と、評価依頼者H計算機850と、を含む設問分類・回答作成プロセッサシステムである。
【0031】
ネットワーク50は、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、VPN(Virtual Private Network)、インターネット等の一般公衆回線を一部又は全部に用いた通信網、携帯電話通信網等、のいずれか又はこれらの複合したネットワークである。なお、ネットワーク50は、Wi-Fi(登録商標)や5G(Generation)等の無線による通信網であってもよい。
【0032】
サプライヤA、サプライヤB、サプライヤCは、サプライチェーンネットワーク等の部品供給ネットワークにおいて、部品や製品を提供する主体であるサプライヤの例である。サプライヤは3機関のみに限られるものではなく、通常はさらにより多く存在する。しかし、本実施形態の例では説明を簡単にするためにこれら3機関をサプライヤとする。
【0033】
評価機関D、評価機関Eは、サプライチェーンネットワーク等の部品供給ネットワークにおいて、部品や製品を提供する主体であるサプライヤを評価する機関の例である。評価機関は2機関のみに限られるものではなく、通常はさらにより多く存在する。しかし、本実施形態の例では説明を簡単にするためにこれら2機関を評価機関とする。
【0034】
バイヤF、バイヤGは、サプライチェーンネットワーク等の部品供給ネットワークにおいて、部品や製品を購入する主体であるバイヤの例である。バイヤは2機関のみに限られるものではなく、通常はさらにより多く存在する。しかし、本実施形態の例では説明を簡単にするためにこれら2機関をバイヤとする。バイヤは、サプライヤの管理、選択を行う際、該評価機関を用いる場合もあれば、該評価機関を用いずにバイヤ自身でサプライヤの評価を行う場合もある。なお、本実施形態の例では説明を簡単にするためにサプライヤとバイヤを区別して記載するが、サプライヤが部品や製品を購入する場合においては、サプライヤがバイヤとなる事も、バイヤが提供する部品や製品を別のバイヤが購入する場合においては、バイヤがサプライヤとなる事もある。
【0035】
評価依頼者Hは、サプライヤの管理、選択を行う事等を目的に、本プロセッサシステムにサプライヤの評価を依頼する評価依頼者の例である。評価依頼者は、例えばバイヤ等が考えられるが、投資家等、バイヤ以外が評価依頼者となる場合もある。本実施形態の例では説明を簡単にするために評価依頼者とバイヤを区別して記載するが、前記した通り、バイヤが評価依頼者となる場合がある。
【0036】
さらに、本プロセッサシステムの一部もしくは全部の機能を用い、複数の関連会社を持つ企業が自社のサステナビリティ性を評価、管理する事も可能である。その場合には、当該企業を評価依頼者Hとして、また、該企業の関連会社をサプライヤとして扱うことで、企業内部のESG評価を行うことが考えられる。
【0037】
プロセッサシステム100は、一つ又は複数のプロセッサを有するシステムである。また、プロセッサシステム100は、設問分類・回答作成プロセッサシステムと呼ぶこともできる。プロセッサシステム100は、記憶部110と、処理部120と、入出力インターフェース130と、伝送インターフェース140と、を備える。記憶部110には、設問資料記憶エリア111と、マスターデータ記憶エリア112と、回答履歴記憶エリア113と、が含まれる。処理部120には、設問資料受付部121と、設問分類・回答作成処理部122と、回答受付部127と、が含まれる。
【0038】
設問資料受付部121は、少なくとも1つ以上の設問を含む設問情報である設問資料を評価機関又はバイヤから受信し保管する。具体的には、設問資料受付部121は、評価機関D計算機300、評価機関E計算機310、バイヤF計算機800、バイヤG計算機810から、伝送インターフェース140を経由し、設問資料を受け付ける。また、設問資料受付部121は、受け付けた設問資料について設問単位に分解し、設問資料記憶エリア111と、マスターデータ記憶エリア112に格納する。
【0039】
設問分類・回答作成処理部122には、設問前処理部123と、設問分類部124と、回答作成部125と、学習・最適化部126と、が含まれる。
【0040】
設問前処理部123は、設問情報が階層化された設問を含む場合には、該設問の構造を最下層までたどるごとに設問文を一つ設定するよう設問情報を整形する。具体的には、設問前処理部123は、設問資料を分解して、形式上設問とされる単位の候補に区切り、設問の単位の文章を特定し、文章それぞれについて、複数の設問が複合した内容か否か判定する。
【0041】
設問分類部124は、前処理された第一の設問を所定のカテゴリに分類し、分類されたカテゴリにおけるマスターデータ内の第二の設問との間で第一の設問が類似する設問を特定し、第一の設問を第二の設問の類似設問であると分類する。
【0042】
回答作成部125は、設問分類部124により分類された結果を含む表示情報を生成する。具体的には、回答作成部125は、第一の設問に対する回答を、類似設問の関係にある第二の設問の回答すなわちマスターデータの回答から転記することで回答案を作成し、表示情報を生成する。なお、回答作成部125は、設問が、有限の選択肢から一つの肢を選ぶ選択問題である場合には、マスターデータの回答に最も近い肢を選択して回答案とする。特に、補完対象となる調査票に係る設問が経営に関する非財務情報の設問であって所定の国際規格に即した設問である場合、回答作成部125はマスターデータの回答から転記することで適切な回答案を提示しやすい傾向にある。
【0043】
学習・最適化部126は、設問資料に対する回答と、回答を保証する証拠データを受け付けると、各評価機関の設問に対し回答者が添付した証拠データのデータ形式、データ種類等の情報を学習し、回答作成部125の学習エリアを更新する。
【0044】
回答受付部127は、回答者の各評価機関への回答、証拠データを受信し保管する。具体的には、回答受付部127は、サプライヤA計算機400、サプライヤB計算機410、サプライヤC計算機420等の回答者の計算機から、伝送インターフェース140を経由し、設問資料に対する回答と、回答を保証する証拠データを受け付ける。回答受付部127は、受け付けた回答と、回答を保証する証拠データを、設問単位に分解し学習・最適化部126と、回答履歴記憶エリア113へそれぞれ受け渡す。
【0045】
図2は、設問分類・回答作成プロセッサシステムの処理部の詳細な構成例を示す図である。設問前処理部123には、設問分解処理部1231と、設問回答欄結合処理部1232と、が含まれる。
【0046】
設問分解処理部1231は、設問情報に含まれる回答単位が複数の設問を含む場合に該回答単位を複数の設問へと分解する。設問回答欄結合処理部1232は、設問情報の回答欄について、自由記述形式であって、回答欄にさらに文章が含まれるものである場合には、当該文章毎に回答欄が設けられている場合には設問と回答欄の文章とをマージした文章を設問とみなして再構成する。当該文章毎に回答欄が設けられていない場合には、設問回答欄結合処理部1232は、設問と回答欄のすべての文章とをマージした文章を設問とみなして再構成する。
【0047】
設問分類部124には、分類器1241と、証拠データ比較部1247と、が含まれる。分類器1241には、設問カテゴリ分け処理部1242と、複数のサブ分類器1244と、統合教師データ1246と、が含まれる。設問カテゴリ分け処理部1242には、キーワード辞書1243が含まれる。サブ分類器1244のそれぞれには、カテゴリに応じたサブ教師データ1245およびサブ教師データ1245を用いて学習されたモデルが含まれる。
【0048】
サブ分類器1244およびサブ教師データ1245は、本実施形態の例では説明を簡単にするために3つとしたが、2つ、あるいはより多く存在する場合がある。あるいは、サブ分類器1244およびサブ教師データ1245は、単一の分類器および複数のカテゴリを含む教師データであってもよい。
【0049】
また、本図では教師あり学習を例にサブ教師データ1245を記載したが、サブ教師データ1245がない場合もある。サブ教師データ1245がない場合とは、例えば、サブ分類器1244のモデルが教師なし学習により形成されている場合や、学習を統合教師データ1246単一で行う場合や、外部の学習済みデータを用いる場合である。また、サブ教師データ1245は、教師データ作成に使用されるデータが入っている場合もあれば、すでに特定のカテゴリに紐づく設問群での学習を行っている、学習済みデータである場合もあってよい。
【0050】
証拠データ比較部1247は、前年度あるいはそれ以前の回答者の回答における証拠書類を利用して、今年度の設問をマスターデータの回答情報に割り付ける処理(具体的には、後述)を実施する。
【0051】
入出力インターフェース130は、各種データの入出力を受け付ける。具体的には、入出力インターフェース130は、設問資料に対するサプライヤからの入力を受け付ける。
【0052】
伝送インターフェース140は、ネットワーク50を介して他の装置との通信を行う。他の装置には、評価機関D計算機300と、評価機関E計算機310と、サプライヤA計算機400と、サプライヤB計算機410と、サプライヤC計算機420と、バイヤF計算機800と、バイヤG計算機810と、評価依頼者H計算機850と、を含む。
【0053】
図3は、カテゴリ分けによる設問分類処理の処理フローの例である。カテゴリ分けによる設問分類処理S100は、プロセッサシステム100が、評価依頼者、サプライヤ等から開始指示を受け、分類が必要な設問があるときに開始される。あるいは、カテゴリ分けによる設問分類処理は、所定の日時(例えば、毎日午前6時)、あるいは所定の間隔で(例えば、12時間ごと)開始されるものであってもよい。なお、図4以降で示す処理フローも、図3の場合と同様の指示や、所定のタイミング等で開始される。
【0054】
まず、カテゴリ分けによる設問分類処理S100の前段階として、設問資料受付部121は、設問資料を評価機関又はバイヤから受信し保管する。具体的には、設問資料受付部121は、評価機関D計算機300、評価機関E計算機310、バイヤF計算機800、バイヤG計算機810から、伝送インターフェース140を経由し、設問資料を受け付ける。設問資料受付部121は、受け付けた設問資料について設問単位に分解し、設問分類・回答作成処理部122へ設問を受け渡す。
【0055】
そして、設問分類・回答作成処理部122は、設問を受け付けると、必要に応じで設問前処理部123にて所定の前処理を行った後、設問分類部124へ設問を受け渡す。
【0056】
そして、設問分類部124は、設問を受け付けて読み込む(ステップS101)。そして、設問カテゴリ分け処理部1242は、設問にキーワード辞書1243に登録されたキーワードが含まれるか否かを判定し、キーワードが含まれる場合は、キーワードが紐づくサブ分類器1244に設問を受け渡すことでカテゴリに分ける(ステップS102)。各サブ分類器1244には、特定のカテゴリに関連するキーワード群が紐づいている。このため、各サブ分類器1244には、特定のカテゴリに分類された設問が収集されることとなる。例えば、「強制労働」、「児童労働」等のキーワード群に紐づいたサブ分類器1244には、カテゴリ「労働」に関する設問が収集される。
【0057】
サブ分類器1244は、記憶部110内のマスターデータ記憶エリア112内に保管されたマスターデータと紐づけが行われている。そして、サブ分類器1244は、受け付けた設問を分類する。具体的には、サブ分類器1244は、受け付けた設問と、サブ分類器1244に紐づけられたマスターデータ記憶エリア112内に保管されたマスターデータの設問群との類似度を判定し、最も類似度の高い設問群の持つカテゴリ内で、設問を分類する(ステップS103)。このとき、サブ分類器1244がサブ教師データ1245を持つ場合には、サブ教師データ1245を教師データとして用いて設問を分類する。
【0058】
そして、回答作成部125は、マスターデータ内の回答情報を設問の回答として転記する(ステップS104)。具体的には、マスターデータの設問には、回答者の回答情報が事前に紐づけされており、サブ分類器1244により受け付けた設問がマスターデータの持つ設問のいずれかに分類されると、回答作成部125は、設問に紐づく回答情報を、受け付けた設問の回答情報として転記する。そして、回答作成部125は、マスターデータ記憶エリア112を更新し、学習・最適化部126にカテゴリ分類の正否を教師データとして用いさせてサブ分類器1244を学習させる。
【0059】
このとき、各サブ分類器1244には、設問カテゴリ分け処理部1242により、特定のカテゴリに分類された設問が収集される構成となっている。そのため、各サブ分類器1244に紐づけられたマスターデータ記憶エリア112内に保管されたマスターデータの設問群は、それぞれのカテゴリに関連した設問となっている。なお、本実施例においては、設問にキーワードが含まれるか否かに応じてカテゴリを判定したが、設問資料(質問票)によっては、各設問は「環境」、「労働・人権」等のカテゴリに予め分けられて作成されている場合もある。このような場合は、それぞれの設問ではなく、質問票に含まれるカテゴリ名称を用いて設問群をサブ分類器1244へまとめて分類するようにしてもよい。
【0060】
以上が、カテゴリ分けによる設問分類処理S100の処理フローの例である。カテゴリ分けによる設問分類処理S100によれば、設問資料の設問を所定のカテゴリに分類し、マスターデータの各設問に類似する設問を特定しマスターデータの回答情報を転記することができる。なお、カテゴリに分類することで、回答の精度を高くすることができる。例えば、「大気汚染に対する貴社の取り組みを教えてください。」とする設問と、「児童労働に対する貴社の取り組みを教えてください。」とする設問では、設問の文章としては似ているが、異なる回答を行う必要がある。そのため、予め設問をカテゴリに分類することで、転記する回答が適切なものとなる。逆に、カテゴリを明確にしない場合には、両質問に対して同じマスターデータの設問における回答を転記してしまうおそれがある。
【0061】
図4は、設問割り付け処理の処理フローの例である。設問割り付け処理S200においては、証拠データ比較部1247を用いて証拠書類を利用し設問を割り付けて回答支援を行う。まずは前年度以前の学習処理を行い、その後当年度回答支援処理を行う例を示す。
【0062】
前年度以前学習処理として、回答受付部127は、サプライヤ等の登録ユーザー(回答者およびすべての回答者)の各評価機関への回答および証拠データを受信し保管する(ステップS201)。具体的には、回答受付部127は、サプライヤA計算機400、サプライヤB計算機410、サプライヤC計算機420から、伝送インターフェース140を経由し、設問資料に対する回答と、回答を保証する証拠データを受け付ける。回答受付部127は、受け付けた回答と、回答を保証する証拠データを、設問単位に分解し、学習・最適化部126と、回答履歴記憶エリア113へそれぞれ受け渡す。回答履歴記憶エリア113は、受け渡された回答および証拠データを、回答履歴として格納する。
【0063】
そして、学習・最適化部126は、設問資料に対する回答と、回答を保証する証拠データを受け付けると、各評価機関の設問に対し登録ユーザーが添付した証拠データのデータ形式、データ種類等の情報を学習し、学習エリアを更新する(ステップS202)。
【0064】
そして、設問分類部124は、分類器1241に各評価機関の設問とマスターデータの設問を紐づけさせる。証拠データ比較部1247は、マスターデータの設問に証拠データの形式、データ種類等の情報を割り付ける(ステップS203)。以上が、前年度以前の学習処理の例である。
【0065】
次に、当年度回答支援処理の例を示す。まず、サプライヤから当年度に既に回答した評価機関の情報を受信する。ここでは仮に評価機関Dの情報を受信した例を用いて説明する。回答受付部127は、サプライヤから、今年度の回答済みの評価機関Dの情報、具体的には、今年度の評価機関Dの設問資料と、評価機関Dの設問資料の各設問に対するサプライヤの回答と、添付資料である各設問の回答を保証する証拠データを、伝送インターフェース140を経由し、受け付ける(ステップS204)。回答受付部127は、受け付けた回答と、回答を保証する証拠データを、設問単位に分解し、学習・最適化部126と、マスターデータ記憶エリア112と、回答履歴記憶エリア113へそれぞれ受け渡す。回答履歴記憶エリア113は、受け渡された回答および証拠データを、回答履歴として格納する。
【0066】
そして、設問分類部124は、分類器1241に評価機関Dの設問とマスターデータの設問を紐づけさせる(ステップS205)。このとき、設問分類部124は、評価機関Dの設問とともに、回答、添付資料についても同様に紐づける。
【0067】
そして、設問資料受付部121は、当年度未回答の評価機関Eの設問を、伝送インターフェース140を経由して受け付ける(ステップS206)。設問資料受付部121は、受け付けた設問資料について設問単位に分解し、設問資料記憶エリア111と、マスターデータ記憶エリア112に受け渡す。このとき、評価機関Eの設問は、評価機関Eから直接受け付ける場合と、サプライヤから受け付ける場合の2つの場合が考えられるが、評価機関Eから受け付けるものとして例を示す。ただし、サプライヤから受け付ける場合であっても、基本的な動作に差はない。
【0068】
そして、設問分類部124は、分類器1241に評価機関Eの設問のそれぞれを、マスターデータの各設問に類似設問として紐づけさせるとともに、回答作成部125に、マスターデータ内の当年度の評価機関Dへの回答、添付資料を評価機関Eの設問の回答情報として割り付けた回答案を作成させる(ステップS207)。このとき、添付資料の割り付け処理は、証拠データ比較部1247が行う。
【0069】
そして、回答受付部127は、伝送インターフェース140を経由し、サプライヤに回答案を送信する(ステップS208)。
【0070】
そして、回答受付部127は、伝送インターフェース140を経由し、サプライヤから回答案に対する修正内容、修正後の回答、証拠データを受信する(ステップS209)。回答受付部127は、修正後の回答および証拠データを回答履歴として回答履歴記憶エリア113に保管するとともに、マスターデータ記憶エリア112と、学習・最適化部126を更新させる(ステップS210)。
【0071】
そして、回答受付部127は、伝送インターフェース140を経由し、評価機関Eへ回答、証拠データを送信する(ステップS211)。以上が、当年度の回答支援処理の流れの例である。設問割り付け処理S200により、証拠データ比較部1247を用いて証拠書類を利用し設問を割り付けて回答支援を行うことが可能となる。続いて、図5を用いて、ステップS207の詳細なフローの例について説明する。
【0072】
図5は、証拠書類を利用した設問割付処理詳細のフローの例を示す図である。証拠書類を利用した設問割付処理詳細は、設問割り付け処理S200の中の、ステップS207における処理フローの例である。
【0073】
まず、設問資料受付部121は、評価機関Eの設問資料(質問票)を設問単位に分解し、設問資料記憶エリア111と、マスターデータ記憶エリア112に受け渡す(ステップS2071)。
【0074】
そして、設問分類部124は、分類器1241に評価機関Eの各設問とマスターデータの各設問の類似度を判定させ、類似度の高い順に既定の数の設問を、マスターデータから抽出する(ステップS2072)。
【0075】
そして、回答作成部125は、回答履歴記憶エリア113に保存されている、評価機関Eの前年度以前の設問の中に、分類対象の設問と類似の設問があり、その設問に証拠データが紐づいているか否かを判定する(ステップS2073)。
【0076】
分類対象の設問と類似の設問があり、その設問に証拠データが紐づいている場合(ステップS2073にて「Yes」の場合)は、証拠データ比較部1247は、マスターデータから抽出した類似度の高い各設問の回答に添付されている証拠データの形式および種類と、評価機関Eの前年度以前の類似設問に添付された証拠データの形式および種類を比較し、マスターデータから証拠データの形式、種類が最も類似する設問を抽出する(ステップS2074)。
【0077】
一方で、分類対象の設問と類似の設問がない、あるいは証拠データが紐づいている設問がない場合(ステップS2073にて「No」の場合)は、証拠データ比較部1247は、ステップS2072において類似度が高いとされた設問を最有力候補として抽出する(ステップS2075)。
【0078】
そして、証拠データ比較部1247は、抽出されたマスターデータの類似設問である当年度の評価機関Dの回答情報を、評価機関Eの当年度の設問に割り付ける(ステップS2076)。なお、ステップS2074、ステップS2075において最も類似する設問を抽出し、ステップS2076において設問に回答情報を割り付けたが、実際には候補となる複数の設問を、類似度の高い順に並べ、複数の案をサプライヤに提示することも可能である。
【0079】
以上が、証拠書類を利用した設問割付処理詳細のフローの例を示す図である。証拠書類を利用した設問割付処理詳細によれば、設問の割付に、証拠データの形式および種類の類似する設問を類似設問として割り付けることができる。
【0080】
図6は、設問分解処理のフローの例を示す図である。設問分解処理S300は、設問資料を受け付けた後、設問が複数の設問が複合された複合設問である場合に、複合設問を分解して各設問への回答をマスターデータ等から転記により取得し、再度分解前の複合設問文に回答するために各設問への回答をマージする処理である。まず、設問前処理部123は、設問を読み込む(ステップS301)。具体的には、設問前処理部123は、設問資料を分解して、形式上設問とされる単位の候補に区切り、設問の単位の文章を特定する。
【0081】
そして、設問前処理部123は、特定した設問の単位の文章それぞれについて、複数の設問が複合した内容か否か判定する(ステップS302)。設問が複合した内容でない場合(ステップS302にて「No」の場合)には、設問前処理部123は、制御をステップS304に進める。
【0082】
設問が複合した内容である場合(ステップS302にて「Yes」の場合)には、設問分解処理部1231は、特定した設問の単位の文章を複数の設問へと分解する(ステップS303)。このとき、設問が複合した内容か否かを判定し、複合設問を単一設問に分解するには、例えば句点や特定の助詞による分割ルールを事前に学習する方法や、構文解析等の技術で実施する方法を取り得る。
【0083】
そして、設問分類部124は、単一設問とマスターデータの各設問の類似度を判定し、単一設問を類似度の高い設問に割り付けする(ステップS304)。
【0084】
そして、回答作成部125は、一つの複合設問に対して、単一設問に分解した数に応じて回答情報を紐づける(ステップS305)。具体的には、マスターデータの各設問は、英数字や記号等を組み合わせた固有のIDを持ち管理されていることから、回答作成部125は、各単一設問に対しマスターデータのIDを付与し、回答作成部125は、複合設問については複数のマスターデータのIDを付与することで、回答情報の紐づけを行う。
【0085】
そして、回答作成部125は、複数紐づけされた回答情報を組み合わせて、複合設問への回答案を自動作成する(ステップS306)。なお、複合設問ではない場合(ステップS302において「No」の場合)には、ステップS304の実施後、回答作成部125は、設問に紐づいた回答情報を回答として回答案を作成する(ステップS307)。
【0086】
回答案を作成後、回答受付部127は、伝送インターフェース140を経由し、サプライヤに回答案を送信する(ステップS308)。
【0087】
そして、回答受付部127は、伝送インターフェース140を経由し、サプライヤから修正後の回答、回答案に対する修正内容、証拠データを受信する(ステップS309)。
【0088】
回答受付部127は、回答履歴として保管し、学習エリアを更新する(ステップS310)。具体的には、回答受付部127は、受信した修正後の回答、回答案に対する修正内容、証拠データを回答履歴として回答履歴記憶エリア113に保管するとともに、マスターデータ記憶エリア112に格納し、各評価機関の設問に対し回答者が添付した証拠データのデータ形式、データ種類等の情報を学習・最適化部126に対して、回答作成部125の学習エリアを更新させる。
【0089】
以上が、設問分解処理のフローの例である。設問分解処理によれば、複合設問については分解した設問への回答を引き当てて、マージして回答案を作成することができる。
【0090】
図7は、設問回答欄結合処理のフローの例を示す図である。設問回答欄結合処理S400は、設問資料(質問票)の1つの設問に対して複数の回答欄が用意され、質問票の回答欄の位置にも設問(階層化された設問)が含まれる場合を想定した処理である。このような場合においては、形式上の設問部分の内容のみを用いた設問の分類では、各回答欄に適切な回答を行うことが出来ない。そのため、設問回答欄結合処理S400では、回答欄に応じて設問を構成し直す。
【0091】
まず、設問回答欄結合処理部1232は、設問を読み込み、特定した設問の単位の文章それぞれについて、回答欄が複数あるか否か判定する(ステップS401)。
【0092】
回答欄が複数ある場合(ステップS401にて「Yes」の場合)には、設問回答欄結合処理部1232は、回答欄の数で回答欄を分離し、それぞれの回答欄記載事項と設問とをマージして複数の設問とする(ステップS402)。
【0093】
回答欄が複数ない場合(ステップS401にて「No」の場合)には、設問回答欄結合処理部1232は、回答欄記載事項と設問とをマージして設問とする(ステップS403)。
【0094】
そして、回答作成部125は、マージして生成された設問のそれぞれについてマスターデータの各設問の類似度を判定し、類似度の高い設問を類似設問として分類する(ステップS404)。
【0095】
そして、回答作成部125は、マージして生成された設問のそれぞれについて、マスターデータの類似度の高い設問に紐づいた回答情報を回答案として抽出し転記する(ステップS405)。このとき、回答欄の数と同じ数の回答情報が抽出される。
【0096】
そして、回答欄が複数ない設問については、回答作成部125は、マスターデータの類似度の高い設問に紐づいた回答情報を回答案として抽出し転記する(ステップS406)。
【0097】
回答案を作成後、回答受付部127は、伝送インターフェース140を経由し、サプライヤに回答案を送信する(ステップS407)。
【0098】
そして、回答受付部127は、伝送インターフェース140を経由し、サプライヤから修正後の回答、回答案に対する修正内容、証拠データを受信する(ステップS408)。
【0099】
回答受付部127は、回答履歴として保管し、学習エリアを更新する(ステップS409)。具体的には、回答受付部127は、受信した修正後の回答、回答案に対する修正内容、証拠データを回答履歴として回答履歴記憶エリア113に保管するとともに、マスターデータ記憶エリア112に格納し、各評価機関の設問に対し回答者が添付した証拠データのデータ形式、データ種類等の情報を学習・最適化部126に対して、回答作成部125の学習エリアを更新させる。
【0100】
以上が、設問回答欄結合処理のフローの例である。設問回答欄結合処理S400によれば、設問資料(質問票)の1つの設問に対して複数の回答欄が用意され、質問票の回答欄の位置にも設問(階層化された設問)が含まれる場合において、回答欄に応じて設問を構成し直すことができる。例えば、設問情報の回答欄について、自由記述形式であって、回答欄にさらに文章が含まれるものである場合には、当該文章毎に回答欄が設けられている場合には設問と回答欄の文章とをマージした文章を設問とみなして再構成し、回答案を作成することが可能となる。
【0101】
図8は、解像度対応処理のフローの例を示す図である。解像度対応処理S500は、最も類似度の高い設問と分類されたマスターデータの設問に回答が紐づいていない場合において、解像度違いの設問の回答から類推して回答案を作成する処理である。
【0102】
まず、前年度以前の学習処理を行い、その後当年度における関連設問からの回答作成処理を行う例を示す。
【0103】
前年度以前学習処理として、学習・最適化部126は、マスターデータについて、解像度違いの設問について異なるIDで登録する(ステップS501)。そして、学習・最適化部126は、設問の意味を基準として、解像度違いの関係にある設問同士の紐づけを実施し、上位概念の設問を上位設問、下位概念の設問を下位設問として登録する(ステップS502)。
【0104】
以上が、前年度以前の学習処理のフローの例である。例をあげると、「CO排出量削減の取り組みを行っていますか?」という上位概念の設問に対する下位概念の設問には「CO排出量削減の取り組み結果を教えてください。」というものが考えられる。このような下位概念の設問の回答において結果の記載がある場合、取り組み自体を実施していると考えられ、上記概念の設問への回答は肯定的な答えとなると想定できる。このように、前年度以前の学習処理によれば、解像度が異なる設問同士の紐づけを行うことができるため、設問の回答作成可能率を向上させうる。
【0105】
次に、関連設問からの回答作成処理の例を示す。まず、設問資料受付部121は、当年度未回答の評価機関Eの設問を、伝送インターフェース140を経由して受け付ける。設問資料受付部121は、受け付けた設問資料について設問単位に分解し、設問資料記憶エリア111と、マスターデータ記憶エリア112に受け渡す(ステップS503)。このとき、評価機関Eの設問は、評価機関Eから直接受け付ける場合と、サプライヤから受け付ける場合の2つの場合が考えられるが、評価機関Eから受け付けるものとして例を示す。ただし、サプライヤから受け付ける場合であっても、基本的な動作に差はない。
【0106】
そして、設問分類部124は、分類器1241に評価機関Eの設問のそれぞれを、マスターデータの各設問に類似設問として紐づけさせる(ステップS504)。具体的には、分類器1241は、評価機関Eの設問とマスターデータの各設問の類似度を判定し、類似度の高い設問同士を類似設問とする。
【0107】
そして、回答作成部125は、評価機関Eの設問の夫々に対して、マスターデータの類似設問に回答が未記入であるか否かを、マスターデータ記憶エリア112および回答履歴記憶エリア113を参照することで判定する(ステップS505)。マスターデータの類似設問に回答が記入済の場合(ステップS505にて「No」の場合)には、回答作成部125は、当該設問に関する回答案として、マスターデータの回答を転記する(ステップS510)。
【0108】
マスターデータの類似設問に回答が未記入の場合(ステップS505にて「Yes」の場合)には、回答作成部125は、設問が上位設問であるか否か判定する(ステップS506)。具体的には、回答作成部125は、当該設問に下位設問が登録されている場合には、設問が上位設問であると判定する。
【0109】
設問が上位設問ではない場合(ステップS506にて「No」の場合)には、回答作成部125は、回答情報が本プロセッサシステム内にないと判断し、サプライヤに追加回答を依頼する(ステップS509)。具体的には、回答作成部125は、回答案を補完しない。
【0110】
設問が上位設問である場合(ステップS506にて「Yes」の場合)には、回答作成部125は、関連する下位設問の回答が、マスターデータ記憶エリア112および回答履歴記憶エリア113にあるか否かを判定する(ステップS507)。関連する下位設問の回答がない場合(ステップS507にて「No」の場合)には、回答作成部125は、ステップS509に制御を進める。関連する下位設問の回答がある場合(ステップS507にて「Yes」の場合)には、回答作成部125は、当該下位設問の回答を使用して上位設問の回答案を自動作成する(ステップS508)。
【0111】
そして、回答受付部127は、伝送インターフェース140を経由し、サプライヤに回答案を送信する(ステップS511)。
【0112】
そして、回答受付部127は、伝送インターフェース140を経由し、サプライヤから回答案に対する修正内容、修正後の回答、証拠データを受信する(ステップS512)。回答受付部127は、修正後の回答および証拠データを回答履歴として回答履歴記憶エリア113に保管するとともに、マスターデータ記憶エリア112と、学習・最適化部126を更新させる(ステップS513)。
【0113】
以上が、関連設問からの回答作成処理のフローの例である。関連設問からの回答作成処理により、解像度違いの設問への回答を用いて回答案を作成して回答支援を行うことが可能となる。
【0114】
図9は、選択問題回答処理のフローの例を示す図である。選択問題回答処理S600は、設問の回答を有限の選択肢から選択する選択問題について回答案を作成する処理の例である。選択問題回答処理S600は、設問の回答を有限の選択肢から選択する選択問題に対して、マスターデータ上の類似設問では自由文による回答がある場合等、すなわち回答をそのまま転記できない場合において、選択肢から回答に相当する肢を適切に選択するための処理である。
【0115】
まず、設問資料受付部121は、当年度未回答の評価機関Eの設問を、伝送インターフェース140を経由して受け付ける。設問資料受付部121は、受け付けた設問資料について設問単位に分解し、設問資料記憶エリア111と、マスターデータ記憶エリア112に受け渡す(ステップS601)。このとき、評価機関Eの設問は、評価機関Eから直接受け付ける場合と、サプライヤから受け付ける場合の2つの場合が考えられるが、評価機関Eから受け付けるものとして例を示す。ただし、サプライヤから受け付ける場合であっても、基本的な動作に差はない。
【0116】
そして、設問分類部124は、分類器1241に評価機関Eの設問のそれぞれを、マスターデータの各設問に類似設問として紐づけさせる(ステップS602)。具体的には、分類器1241は、評価機関Eの設問とマスターデータの各設問の類似度を判定し、類似度の高い設問同士を類似設問とする。
【0117】
そして、回答作成部125は、評価機関Eの設問の夫々に対して、回答欄はYES/NOの二値選択形式、あるいは1~N段階指標等の選択問題であるか否かを判定する(ステップS603)。選択問題ではない場合(ステップS603にて「No」の場合)には、回答作成部125は、当該設問に関する回答案として、マスターデータの回答を転記する(ステップS606)。
【0118】
選択問題である場合(ステップS603にて「Yes」の場合)には、回答作成部125は、設問の選択肢ごとに設問文とマージして選択肢ごとの設問であるとみなす(ステップS604)。
【0119】
そして、分類器1241は、マスターデータの類似設問の紐づいた回答の文章と、設問の各選択肢と設問をマージした設問の文章の類似度を判定する。回答作成部125は、類似度の高い選択肢を回答案として選択し、回答欄に記載する(ステップS605)。このとき、選択肢の文章そのものではなく、選択肢と設問をマージする理由は、選択肢だけでは回答を作成できない場合を回避するためである。例えば、選択肢は「YES」、「NO」や、「実施している」、「実施していない」等、それだけでは意味がわからない場合があるためである。ただし、必ずしもステップS604は必要なく、選択肢の文章そのままを用いて分類を行う方法も考えられる。
【0120】
あるいは、その他、回答作成部125は、マスターデータの回答と各選択肢を比較し、最も類似する選択肢を選択して回答案とするようにしてもよいし、マスターデータの回答と元の質問文に各選択肢をマージした文章を比較し、最も類似する選択肢を選択して回答案とするようにしてもよい。また、回答作成部125は、マスターデータの設問とマスターデータの回答をマージした文章と各選択肢を比較して最も類似する選択肢を選択して回答案とするようにしてもよいし、マスターデータの設問とマスターデータの回答をマージした文章と元の質問文に各選択肢をマージした文章を比較し、最も類似する選択肢を選択して回答案とするようにしてもよい。
【0121】
そして、回答受付部127は、伝送インターフェース140を経由し、サプライヤに回答案を送信する(ステップS607)。
【0122】
そして、回答受付部127は、伝送インターフェース140を経由し、サプライヤから回答案に対する修正内容、修正後の回答、証拠データを受信する(ステップS608)。回答受付部127は、修正後の回答および証拠データを回答履歴として回答履歴記憶エリア113に保管するとともに、マスターデータ記憶エリア112と、学習・最適化部126を更新させる(ステップS609)。
【0123】
以上が、選択問題回答処理のフローの例である。選択問題回答処理により、設問の回答を有限の選択肢から選択する選択問題について回答案を作成して回答支援を行うことが可能となる。
【0124】
以上に示したカテゴリ分けによる設問分類処理S100と、設問割り付け処理S200と、設問分解処理S300と、設問回答欄結合処理S400と、解像度対応処理S500と、選択問題回答処理S600とは、それぞれ単独でも機能し回答案を作成するものであるが、一部もしくは全部を組み合わせることで、様々な設問の組み合わせを含む設問資料に対して対応する事が可能である。
【0125】
例えば、設問資料受付部121は、受け付けた設問資料について設問単位に分解し、分解された設問ごとに回答欄が複数ある場合には設問回答欄結合処理S400のステップS401~S406の処理を適用させ、設問が複合されたものである場合には設問分解処理S300のステップS301~S308の処理を適用させるようにしてもよい。また、設問資料受付部121は、さらにカテゴリ分けによる設問分類処理S100のステップS101~S104を適用させ、設問割り付け処理S200のステップS201~ステップS207の処理を適用させるようにしてもよい。また、設問資料受付部121は、選択問題である場合には選択問題回答処理S600のステップS601~ステップS606の処理を適用させ、マスターデータの設問に回答が紐づいていない場合には、解像度違いの設問の回答から類推する解像度対応処理S500のステップS501~S510の処理を適用させるようにしてもよい。
【0126】
以上が、設問分類・回答作成プロセッサシステム10の各機能の処理フローの例である。設問分類・回答作成プロセッサシステム10によれば、ESGの調査票等の設問に対して回答者が回答する負担を軽減することができる。そのため、企業評価においてサプライヤの回答負担を軽減することができる。このとき、各フローチャートにおける文章の類似度の判定は、例えばBagof Words、TF-IDF、BM-25、N-gram、Word2vec、BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)等の手法と、Support Vector Machine、決定木、k近傍法等の機械学習手法やニューラルネットワーク等の人工知能により実施するようにしてよい。
【0127】
なお、上述の設問分類・回答作成プロセッサシステム10の各機能は、発明の技術的特徴を端的に簡便に説明する例として、設問同士の類似性を利用し、類似の設問に対して回答する負担を軽減する方法に活用する場合を想定したが、これに限られるものではない。
【0128】
例えば、サプライヤが回答した複数の質問票を統合することで、多様な回答をサプライヤ評価に活用する方法(統合評価)にも使用可能である。なお、複数の質問票を統合することで、多様な質問票をサプライヤ評価に活用する方法に使用する場合、上述のフローチャートとは、一部フローを異ならせる場合もある。
【0129】
図10は、統合評価用設問割付処理のフローの例を示す図である。統合評価用設問割付処理S220は、図4および図5で示した証拠書類を利用した設問割り付け処理と似た観点から、複数の質問票を統合することで多様な質問票をサプライヤ評価に活用する方法(統合評価)に使用する場合のフローの例である。
【0130】
まず、回答受付部127は、サプライヤAから当年度に既に回答した評価機関Dの情報を受信する(ステップS221)。具体的には、回答受付部127は、今年度の回答済みの評価機関Dの情報として、今年度の評価機関Dの設問資料と、評価機関Dの設問資料の各設問に対するサプライヤAの回答と、各設問の回答を保証する証拠データを、伝送インターフェース140を経由し、受け付ける。同様に、回答受付部127は、サプライヤBから当年度に既に回答した評価機関E(評価機関Dとは異なる)の情報を受信する(ステップS222)。具体的には、回答受付部127は、今年度の回答済みの評価機関Eの情報として、今年度の評価機関Eの設問資料と、評価機関Eの設問資料の各設問に対するサプライヤBの回答と、各設問の回答を保証する証拠データを、伝送インターフェース140を経由し、受け付ける。
【0131】
そして、設問分類部124は、分類器1241に評価機関Dの設問と評価機関Eの設問を類似度に応じて紐づけさせる(ステップS223)。このとき、設問分類部124は、評価機関D、評価機関Eの設問とともに、回答、添付資料についても同様に紐づける。
【0132】
そして、証拠データ比較部1247は、評価機関Eから抽出した類似度の高い設問の回答に添付されている、サプライヤBの証拠データの形式や種類と、評価機関Dの類似設問に添付されているサプライヤAの証拠データ形式や種類を比較し、最も類似する設問を抽出する(ステップS224)。なお、本例ではマスターデータを用いず設問分類を行う例を示したが、サプライヤAの回答と、サプライヤBの回答をそれぞれマスターデータに対して割り付けた後、証拠データを比較するようにしてもよい。
【0133】
もしくは、マスターデータの各設問に対し、証拠データの形式や種類を機械学習させておき、サプライヤAの回答と、サプライヤBの回答をそれぞれマスターデータに対して割り付ける際に、証拠データの類似度に応じて割り付けるようにしてもよい。この時、マスターデータに紐づける証拠データの形式等の学習には、他社のデータを使用する事も可能である。通常、証拠データそのものは、機密情報のため学習データとして使用できない事もある。しかし、本発明では、学習内容はデータの中身ではなく証拠データの形式や種類のみのため、機密情報を使用することなく、学習データとして利用できる。以上が、証拠データ比較部1247を用いた証拠書類を利用した設問割り付け処理を、統合評価に用いた場合のフローの例である。このように設問割付を行うことで、統合評価において評価軸を揃えることが可能となるため、複数のサプライヤ間の比較が容易となる。
【0134】
図11は、回答案提示・修正画面の例を示す図である。上述の例では、ステップS208、ステップS308、ステップS407、ステップS511、ステップS607の各ステップにおいて、サプライヤに回答案を送信する。ただし、設問に対する回答案は一つに限られるものではなく、例えば類似設問が複数ある場合には回答案を複数提示する場合も考えられる。回答案提示・修正画面の例500では、1つ以上の回答案提示機能と、提示した回答の修正機能、設問の類似度のスコアに応じて修正が必要な設問の抽出機能の画面例を示す。
【0135】
分類結果一覧画面501には、マスターデータ設問501aと、オリジナル設問501bと、回答501cと、スコア501dと、選択ボタン502と、回答候補出力ボタン503と、スコア範囲選択領域504と、が含まれる。
【0136】
マスターデータ設問501aは、オリジナル設問501bと最も類似するマスターデータ上の設問である。オリジナル設問501bは、回答を要する未回答の設問である。回答501cは、マスターデータ設問501aに紐づく回答である。スコア501dは、マスターデータ設問501aとオリジナル設問501bとの類似度を示す所定の指標値である。図11において、スコア501dは値が大きいほど類似度が高い、すなわちマスターデータ設問501aとオリジナル設問501bとが類似する例を示しているが、類似度の定義次第で、値が小さいほど類似する場合、特定の値に近づくほど類似する場合も考えられる。
【0137】
選択ボタン502は、修正が必要な回答の選択を受け付ける。回答候補出力ボタン503は、選択ボタン502により受け付けられた選択に係る回答について、他の回答候補を出力する。スコア範囲選択領域504は、スコア501dに示された指標値の範囲指定を受け付ける。スコア範囲選択領域504が受け付けた範囲のスコアを有する設問について、回答の修正対象から除外することができる。図11には、スコア範囲選択領域504が受け付けた範囲のスコアを有する設問は修正対象から除外し、回答が要修正対象である設問のみを表示している例を示している。
【0138】
分類結果一覧画面501において、サプライヤ等の回答者は、回答案が示された設問のうち、修正が必要な回答を選択ボタン502により選択入力し、回答候補出力ボタン503に入力を行うと、回答候補出力画面505に画面が遷移する。
【0139】
回答候補出力画面505には、回答候補501eと、類似度のスコア501dと、回答候補501eから回答の選択を受け付ける選択ボタン506と、が含まれる。
【0140】
選択ボタン506は、入力を受け付けると、回答確認・修正画面507に画面を遷移させる。回答確認・修正画面507には、回答修正欄508と、確認ボタン509と、が含まれる。回答修正欄508には、あらかじめ回答候補501eで記載されていた回答内容が転記される。確認ボタン509は、入力を受け付けると、回答修正欄508に入力された内容を回答の修正情報として受け付けて、回答501cに反映し、回答候補出力画面505および回答確認・修正画面507を閉じる。
【0141】
ここで、スコア範囲選択領域504は、修正が必要な設問を抽出する例を示したが、これに限られるものではない。例えば、スコア範囲選択領域504で受け付けた数値外の設問については、回答の自動転記を行わない(回答案を破棄する)ようにしてもよい。
【0142】
図12は、プロセッサシステムのハードウェア構成の例を示す図である。設問分類・回答作成プロセッサシステム10は、プロセッサ(例えば、CPU:Central Processing Unit、あるいはGPU:Graphics Processing Unit)901と、RAM(Random Access Memory)等のハードウェアのメモリ902と、ハードディスク装置(Hard Disk Drive:HDD)やSSD(Solid State Drive)などの外部記憶装置903と、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)などの可搬性を有する記憶媒体904に対して情報を読む読取装置905と、キーボードやマウス、バーコードリーダ、タッチパネルなどの入力装置906と、ディスプレイなどの出力装置907と、LANやインターネットなどの通信ネットワークを介して他のコンピュータと通信する通信装置908とを備えた一般的なコンピュータ900、あるいはこのコンピュータ900を複数備えたネットワークシステムで実現できる。なお、読取装置905は、可搬性を有する記憶媒体904の読取だけでなく、書き込みも可能なものであっても良い。
【0143】
プロセッサ901は、外部記憶装置903からメモリ902にロードした所定の各種プログラムを実行することにより、各種処理を実行する。該プログラムは、例えば、OS(Operating System)プログラム上で実行可能なアプリケーションプログラムである。該プログラムは、例えば、読取装置905を介して可搬性を有する記憶媒体904から、外部記憶装置903にインストールされてもよいし、あるいは、通信装置908を介してネットワークからダウンロードされてプロセッサ901により実行されるようにしてもよい。
【0144】
例えば、設問資料受付部121と、設問分類・回答作成処理部122と、回答受付部127とは、外部記憶装置903に記憶されているプログラムをメモリ902にロードしてプロセッサ901で実行することで実現可能である。入出力インターフェース130は、プロセッサ901が入力装置906と、出力装置907と、通信装置908とを利用することで実現可能である。記憶部110は、プロセッサ901がメモリ902又は外部記憶装置903を利用することにより実現可能である。伝送インターフェース140は、プロセッサ901が通信装置908を利用することにより実現可能である。
【0145】
図13は、設問資料記憶エリアのデータ構造例を示す図である。設問資料記憶エリア111は、サプライヤに対する設問の情報を格納する。具体的には、設問資料記憶エリア111は、発行機関ID111aと、資料名111bと、回答対象期111cと、回答サプライヤID111dと、設問111eと、を有する。発行機関ID111aと、資料名111bと、回答対象期111cと、回答サプライヤID111dと、設問111eとは、それぞれ関連付けられている。
【0146】
発行機関ID111aには、設問の発行機関を特定する識別情報である発行機関IDを特定する情報が格納される。なお、本実施例では、非財務情報調査票やCSR調査書の場合には、発行機関は評価機関Dおよび評価機関E、SAQ(自己評価問診票)等の場合には、発行機関はバイヤFとした。しかし、評価機関から自己評価問診票を提供する場合もあり、バイヤから非財務情報調査票やCSR調査書を発行する場合もありえる。
【0147】
資料名111bには、設問が記載されている資料の資料名が格納される。資料名は、発行機関毎に異なる可能性があるが、本実施例では、「非財務情報調査票」や「CSR(Corporate Social Responsibility)調査書」、「自己評価問診票」等である。しかし、これらに限られるものではなく、一般にISO26000、ISO14000シリーズ等の非財務情報についての回答を要求するものであればよい。そして、これらの資料の多くは、サプライヤを回答者として評価機関又はバイヤから発行される設問を含む。
【0148】
回答対象期111cには、設問が記載されている資料の回答対象となる期間を特定する情報が含まれる。評価機関は、1回/年の頻度で、前年次についての結果をサプライヤに回答させるものが多いため、回答対象期111cには前年次を特定する情報が格納される。しかし、異なる頻度で設問資料が発行される場合には、回答対象期111cには回答対象期に応じた期(上期、下期、1Q等)を特定する情報が格納される。
【0149】
回答サプライヤID111dには、資料名111bにより特定される資料への回答を行う主体を特定する情報が格納される。
【0150】
設問111eには、資料名111bにより特定される資料に含まれる設問文(自然言語、指標、あるいは数式)が格納される。図13においては、図の簡略化のため設問は2問になっているが、実際には数問から数百問の設問がある。
【0151】
図14は、マスターデータ記憶エリアの例を示す図である。マスターデータ記憶エリア112は、回答サプライヤID112aと、回答期112bと、発行機関ID112cと、マスターデータID112dと、を有する。
【0152】
回答サプライヤID112aには、回答を行う主体を特定する情報が格納される。回答期112bには、回答対象となる期間を特定する情報が含まれる。発行機関ID112cには、設問の発行機関を特定する識別情報である発行機関IDを特定する情報が格納される。マスターデータID112dには、サプライヤ毎に、各回答期112bに作成された後述するマスターデータを特定する情報が含まれる。
【0153】
マスターデータ記憶エリア112は、サプライヤ毎に、各回答期112bに作成されたマスターデータID112dと、マスターデータID作成の際に使用した設問の、設定元である評価機関又はバイヤの発行機関ID112cの関係が格納される。例えば、回答サプライヤID112aが「サプライヤB」であるレコードの回答期112bが「2019年」であるマスターデータID112dは、発行機関ID112cが「評価機関D」である機関により作成された設問に対する回答により作成される。
【0154】
図15は、マスターデータのデータ構成例を示す図である。マスターデータ114は、サプライヤ毎に、また、回答期毎に存在する。マスターデータ114は、カテゴリ114aと、基準ID114bと、設問114cと、回答114dと、証拠データ114eと、回答データID114fと、が対応付けられたデータである。カテゴリ114aは、設問114cが属するカテゴリを示す。例えば、カテゴリ「E」はEnvironmentに関するカテゴリである。基準ID114bは、基準とする設問の特徴ベクトルに1対1で対応付けられる情報である。設問114cは、基準ID114bと対応する特徴ベクトルを有する評価機関又はバイヤからの設問である。回答114dは、設問114cにより特定される設問に対数するサプライヤからの回答である。
【0155】
証拠データ114eは、回答114dに関連付けられる証拠となるデータを特定する情報である。回答データID114fは、回答履歴記憶エリア113の回答113dと同じものであり、評価機関又はバイヤからの設問と回答に紐づけられている。
【0156】
マスターデータ114は、サプライヤが回答期において1つ以上の評価機関又はバイヤからの設問に回答した際の設問および回答を、基準となる設問に紐づく基準ID114bに対して対応付けたものである。すなわち、基準となる設問と同様の内容を問う設問が、該評価機関又はバイヤからの設問の中にあった場合、該基準となる設問に紐づく基準ID114bの行には、該設問およびその回答が、それぞれ設問114cおよび回答114dとして対応付けられる。一方で、基準となる設問と同様の内容を問う設問が該評価機関又はバイヤからの設問の中にない場合は、該基準ID114bの行の設問114cおよび回答114dは空欄とされる。
【0157】
図16は、回答履歴記憶エリアのデータ構造例を示す図である。回答履歴記憶エリア113は、サプライヤの回答データを、発行機関、回答期毎に格納する。具体的には、回答履歴記憶エリア113は、回答サプライヤID113aと、設問113bと、回答期113cと、回答113dと、を有する。回答113dの回答データは、最終的に発行機関に回答した回答データおよび添付された証拠データを含む。しかし、同一期に再提出を行う等、幾度か回答がある場合には、回答113dは、回答の履歴を含むものであってもよい。
【0158】
以上が、本発明の実施形態に係る設問分類・回答作成プロセッサシステム10の例である。なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、実施形態の構成の一部について、削除をすることも可能である。
【0159】
上記の各部、各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各部、各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク等の記録装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0160】
なお、上述した実施形態にかかる制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えても良い。以上、本発明について、実施形態を中心に説明した。
【符号の説明】
【0161】
10:設問分類・回答作成プロセッサシステム、50:ネットワーク、100:プロセッサシステム、110:記憶部、111:設問資料記憶エリア、112:マスターデータ記憶エリア、113:回答履歴記憶エリア、120:処理部、121:設問資料受付部、122:設問分類・回答作成処理部、123:設問前処理部、124:設問分類部、125:回答作成部、126:学習・最適化部、127:回答受付部、130:入出力インターフェース、140:伝送インターフェース、300:評価機関D計算機、310:評価機関E計算機、400:サプライヤA計算機、410:サプライヤB計算機、420:サプライヤC計算機、800:バイヤF計算機、810:バイヤG計算機、850:評価依頼者H計算機。
図1
図2
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図10
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