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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164475
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】エネルギー供給設備
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20241120BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20241120BHJP
   H01M 8/04014 20160101ALI20241120BHJP
   H01M 8/04955 20160101ALI20241120BHJP
   H01M 8/04858 20160101ALI20241120BHJP
   H01M 8/249 20160101ALI20241120BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241120BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20241120BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20241120BHJP
   B60L 50/70 20190101ALI20241120BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20241120BHJP
   B60L 53/53 20190101ALI20241120BHJP
   B60L 53/54 20190101ALI20241120BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20241120BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20241120BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/00 A
H01M8/04014
H01M8/04955
H01M8/04858
H01M8/249
H02J7/00 P
H02J7/35 K
H02J7/00 B
B60L50/60
B60L50/70
B60L53/14
B60L53/53
B60L53/54
H01M8/12 101
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079969
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000198352
【氏名又は名称】株式会社IHI回転機械エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 靖之
(72)【発明者】
【氏名】松田 浩孝
(72)【発明者】
【氏名】表 剛史
(72)【発明者】
【氏名】徐 性範
(72)【発明者】
【氏名】小向 智司
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA05
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA11
5G503DA04
5G503DA07
5G503FA06
5G503GB06
5H125AA01
5H125AC07
5H125AC12
5H125AC24
5H125FF14
5H125FF30
5H126BB06
5H127AA06
5H127AA07
5H127AB02
5H127AB03
5H127AB04
5H127AB11
5H127AB27
5H127AB29
5H127BA01
5H127BA02
5H127BA14
5H127BA21
5H127BA22
5H127BA57
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB23
5H127BB37
5H127DC42
5H127DC96
5H127FF20
(57)【要約】
【課題】電力需要の増加に対応可能なエネルギー供給設備を提供する。
【解決手段】エネルギー供給設備1は、燃料ガスと酸化ガスとを利用して発電する発電ユニット3と、発電ユニット3が出力する発生電力を利用して、発生電力を消費する電力需要体に需要電力を与える電力出力ユニット4と、を備える。発電ユニット3は、燃料ガスと酸化ガスとを利用して発電する燃料電池31Fを含む燃料電池モジュール31と、タービン322と、コンプレッサ321と、コンプレッサ321の回転を補助するモータ323と、を含む電動ターボチャージャ32Tを含むETCモジュール32と、を有する。電力出力ユニット4は、燃料電池31Fが発生する発生電力を蓄える蓄電池41Cを含む蓄電池モジュール41と、蓄電池41Cが蓄えた発生電力を電力需要体に需要電力として与える急速充電器43と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと酸化ガスとを利用して発電する発電ユニットと、
前記発電ユニットが出力する発生電力を利用して、前記発生電力を消費する電力需要体に需要電力を与える電力出力ユニットと、を備え、
前記発電ユニットは、
前記燃料ガスと前記酸化ガスとを利用して発電する燃料電池を少なくとも1個含む燃料電池モジュールと、
前記燃料電池が排出する前記燃料ガス又は前記酸化ガスに基づく排気ガスを受けて回転するタービンと、前記タービンの回転を受けて前記燃料電池に提供するための圧縮された前記酸化ガスを出力するコンプレッサと、前記コンプレッサの回転を補助するモータと、を含む電動ターボチャージャを少なくとも1個含む電動ターボチャージャモジュールと、を有し、
前記電力出力ユニットは、
前記燃料電池が発生する発生電力を蓄える蓄電池を少なくとも1個含む蓄電池モジュールと、
前記蓄電池が蓄えた前記発生電力を前記電力需要体に前記需要電力として与える給電装置と、を有する、エネルギー供給設備。
【請求項2】
前記発電ユニットは、前記電動ターボチャージャモジュールが出力した前記酸化ガスと、前記燃料電池が排出する前記排気ガスと、を受けて、前記電動ターボチャージャモジュールが出力した前記酸化ガスから前記燃料電池が排出する前記排気ガスへ熱を渡す熱交換装置を少なくとも1個含む熱交換モジュールをさらに有する、請求項1に記載のエネルギー供給設備。
【請求項3】
前記熱交換モジュールは、熱交換後の前記酸化ガスを前記燃料電池モジュールと前記電動ターボチャージャモジュールの前記モータに与える、請求項2に記載のエネルギー供給設備。
【請求項4】
前記熱交換モジュールは、前記電力出力ユニットが排出する排熱を受け、前記電動ターボチャージャモジュールの前記タービンに与えられる前記排気ガスに受けた前記排熱を渡す、請求項2に記載のエネルギー供給設備。
【請求項5】
前記燃料ガスを蓄え、蓄えた前記燃料ガスを前記発電ユニットに与える燃料ガス貯蔵ユニットをさらに備える、請求項1~4の何れか一項に記載のエネルギー供給設備。
【請求項6】
前記燃料ガス貯蔵ユニットから前記燃料ガスを受けて、前記燃料ガスを消費する燃料需要体に前記燃料ガスを与える燃料ガス出力ユニットをさらに備える、請求項5に記載のエネルギー供給設備。
【請求項7】
前記燃料電池モジュールは、複数の前記燃料電池を含み、
前記電力出力ユニットが出力する情報及び前記燃料電池モジュールが出力する情報の少なくとも一方を利用して生成され、複数の前記燃料電池のうち発電を実行する前記燃料電池又は発電を停止する前記燃料電池を指定する制御信号を前記燃料電池モジュールに与える制御部をさらに備える、請求項1~4の何れか一項に記載のエネルギー供給設備。
【請求項8】
前記電動ターボチャージャモジュールは、複数の前記電動ターボチャージャを含み、
前記電力出力ユニットが出力する情報及び前記電動ターボチャージャモジュールが出力する情報の少なくとも一方を利用して生成され、複数の前記電動ターボチャージャのうち圧縮された前記酸化ガスの出力を実行する前記電動ターボチャージャ又は圧縮された前記酸化ガスの出力を停止する前記電動ターボチャージャを指定する制御信号を前記電動ターボチャージャモジュールに与える制御部をさらに備える、請求項1~4の何れか一項に記載のエネルギー供給設備。
【請求項9】
前記蓄電池モジュールは、複数の前記蓄電池を含み、
前記給電装置が出力する情報及び前記蓄電池モジュールが出力する情報の少なくとも一方を利用して生成され、複数の前記蓄電池のうち充電又は放電を実行する前記蓄電池又は充電又は放電を停止する前記蓄電池を指定する制御信号を前記蓄電池モジュールに与える制御部をさらに備える、請求項1~4の何れか一項に記載のエネルギー供給設備。
【請求項10】
前記電力需要体は、前記発生電力に基づいて駆動する移動体である、請求項1~4の何れか一項に記載のエネルギー供給設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー供給設備に関する。
【背景技術】
【0002】
電力を受け、当該電力を用いて動作する電力需要体がある。このような電力需要体として、電気自動車が挙げられる。将来、電気自動車に例示される電力をエネルギー源として駆動する電力需要体の増加が見込まれている。
【0003】
電力を供給するシステムとして、特許文献1は、加圧空気供給システムを備える燃料電池システムを開示する。このシステムは、燃料電池と、当該燃料電池に圧縮空気を提供するターボチャージャと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-198155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気自動車が一例として挙げられる電力需要体が要求する電力は、容量が大きい。電力需要体の増加に伴い、電力需要体に電力を供給する設備に要求される電力の容量は、比較的に増加することが見込まれている。
【0006】
しかし、既存の電力系統から供給される電力のみでは、エネルギー供給設備の電力需要を満たせない可能性が指摘されている。そこで、電力需要体にエネルギーを供給する新たな設備が検討されている。
【0007】
大容量の電力を蓄えることが可能な蓄電池の使用は、技術的な面での制限やコスト的な面での制限があり、現実的ではない。そこで、当該技術分野にあっては、電力需要の増加に対応可能なエネルギー供給設備が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態であるエネルギー供給設備は、燃料ガスと酸化ガスとを利用して発電する発電ユニットと、発電ユニットが出力する発生電力を利用して、発生電力を消費する電力需要体に需要電力を与える電力出力ユニットと、を備え、発電ユニットは、燃料ガスと酸化ガスとを利用して発電する燃料電池を少なくとも1個含む燃料電池モジュールと、燃料電池が排出する燃料ガス又は酸化ガスに基づく排気ガスを受けて回転するタービンと、タービンの回転を受けて燃料電池に提供するための圧縮された酸化ガスを出力するコンプレッサと、コンプレッサの回転を補助するモータと、を含む電動ターボチャージャを少なくとも1個含む電動ターボチャージャモジュールと、を有し、電力出力ユニットは、燃料電池が発生する発生電力を蓄える蓄電池を少なくとも1個含む蓄電池モジュールと、蓄電池が蓄えた発生電力を電力需要体に需要電力として与える給電装置と、を有する。
【0009】
このエネルギー供給設備によれば、電動ターボチャージャモジュールから酸化ガスを受けた燃料電池モジュールによって発電した電力を、蓄電池モジュールに蓄えることができる。蓄電池モジュールによれば、大容量の電力の要求に応じること可能である。そして、大容量の電力の要求に応じた結果、蓄電池モジュールの充電残量が一時的に低下するが、電動ターボチャージャモジュールから酸化ガスを受けた燃料電池モジュールによって速やかに充電残量を回復することができる。従って、蓄電池モジュールに要求される充電容量は、一時的な電力の需要に対応できるだけで足りるので、蓄電池モジュールに要求される充電容量の増大を抑制しながら、電力の需要の増加に対応することができる。
【0010】
上記のエネルギー供給設備における発電ユニットは、電動ターボチャージャモジュールが出力した酸化ガスと、燃料電池が排出する排気ガスと、を受けて、電動ターボチャージャモジュールが出力した酸化ガスから燃料電池が排出する排気ガスへ熱を渡す熱交換装置を少なくとも1個含む熱交換モジュールをさらに有してもよい。この構成によれば、エネルギー供給設備におけるエネルギー効率を高めることができる。
【0011】
上記のエネルギー供給設備における熱交換モジュールは、熱交換後の酸化ガスを燃料電池モジュールと電動ターボチャージャモジュールのモータに与えてもよい。この構成によっても、エネルギー供給設備におけるエネルギー効率を高めることができる。
【0012】
上記のエネルギー供給設備における熱交換モジュールは、電力出力ユニットが排出する排熱を受け、電動ターボチャージャモジュールのタービンに与えられる排気ガスに受けた排熱を渡してもよい。この構成によっても、エネルギー供給設備におけるエネルギー効率を高めることができる。
【0013】
上記のエネルギー供給設備は、燃料ガスを蓄え、蓄えた燃料ガスを発電ユニットに与える燃料ガス貯蔵ユニットをさらに備えてもよい。この構成によれば、燃料電池モジュールが消費する燃料を蓄えることができる。
【0014】
上記のエネルギー供給設備は、燃料ガス貯蔵ユニットから燃料ガスを受けて、燃料ガスを消費する燃料需要体に燃料ガスを与える燃料ガス出力ユニットをさらに備えてもよい。この構成によれば、電力とは異なる態様のエネルギー源として燃料ガスを燃料需要体に提供することができる。
【0015】
上記のエネルギー供給設備における燃料電池モジュールは、複数の燃料電池を含み、電力出力ユニットが出力する情報及び燃料電池モジュールが出力する情報の少なくとも一方を利用して生成され、複数の燃料電池のうち発電を実行する燃料電池又は発電を停止する燃料電池を指定する制御信号を燃料電池モジュールに与える制御部をさらに備えてもよい。
【0016】
上記のエネルギー供給設備における電動ターボチャージャモジュールは、複数の電動ターボチャージャを含み、電力出力ユニットが出力する情報及び電動ターボチャージャモジュールが出力する情報の少なくとも一方を利用して生成され、複数の電動ターボチャージャのうち圧縮された酸化ガスの出力を実行する電動ターボチャージャ又は圧縮された酸化ガスの出力を停止する電動ターボチャージャを指定する制御信号を電動ターボチャージャモジュールに与える制御部をさらに備えてもよい。
【0017】
上記のエネルギー供給設備における蓄電池モジュールは、複数の蓄電池を含み、給電装置が出力する情報及び蓄電池モジュールが出力する情報の少なくとも一方を利用して生成され、複数の蓄電池のうち充電又は放電を実行する蓄電池又は充電又は放電を停止する蓄電池を指定する制御信号を蓄電池モジュールに与える制御部をさらに備えてもよい。
【0018】
これらの構成によれば、それぞれのモジュールは、複数の構成要素によって構成された仮想的な一つのモジュールとしてみなすことができる。仮想的な一つのモジュールは、モジュールを構成する一つの構成要素に障害が生じたとしても、その他の構成要素によってモジュールの稼働を継続することができる。
【0019】
上記のエネルギー供給設備における電力需要体は、発生電力に基づいて駆動する移動体であってもよい。この構成によれば、電力を利用して移動する移動体にエネルギーを供給することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電力需要の増加に対応可能なエネルギー供給設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、実施形態に係るエネルギー供給設備の構成を示す図である。
図2図2は、ハイブリッドステーションであるエネルギー供給設備の構成を示す図である。
図3図3(a)は、通常運転モードであるときのエネルギー供給設備を示す図である。図3(b)は、縮退運転モードであるときのエネルギー供給設備を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0023】
図1に示すエネルギー供給設備1は、電気自動車91に例示される電力需要体に電力を供給する。電力需要体は、電気自動車91には限定されない。例えば、電力需要体は、いわゆる電動垂直離着陸機(eVTOL)であってもよい。さらに、電力需要体は、電気自動車91や電動垂直離着陸機のような移動体に限定されず、本明細書でいう電力需要体は、工場などの電力を消費する施設や一般家庭も含む。エネルギー供給設備1は、主としてエネルギーとして電力を供給する。エネルギー供給設備1は、エネルギーとして電力とは異なるものを供給することも可能である。エネルギー供給設備1は、例えば、水素をエネルギー源として利用する燃料電池自動車92に水素を供給することも可能である。
【0024】
エネルギー供給設備1は、燃料ガス貯蔵ユニット2と、発電ユニット3と、電力出力ユニット4と、燃料ガス出力ユニット5と、を有する。まず、これらのユニットの概略について説明する。
【0025】
燃料ガス貯蔵ユニット2は、燃料ガスを蓄える。燃料ガスの例示は、水素ガスである。水素ガスは、太陽光発電施設や風力発電施設といった再生可能エネルギーを用いて発電する施設が発生する電力を用いて水電解施設において生成されたものであってよい。このような再生可能エネルギーを用いて発生した電力は、いわゆるグリーン電力と称される。そして、グリーン電力を用いて生成した水素は、グリーン水素と称される。通常、太陽光発電施設や水電解施設が設けられる場所は、エネルギー供給設備1が設けられる場所と異なっている。グリーン水素は、船舶や車両などを用いて、太陽光発電施設や水電解施設が設けられる場所からエネルギー供給設備1が設けられる場所へ輸送される。燃料ガス貯蔵ユニット2は、輸送された水素ガスを蓄える。
【0026】
なお、燃料ガス貯蔵ユニット2が貯蔵する燃料ガスは、水素ガスに限定されない。燃料ガス貯蔵ユニット2が貯蔵する燃料ガスは、例えば、アンモニアガスであってもよい。アンモニアガスを貯蔵する燃料ガス貯蔵ユニット2は、アンモニア分解器などの付帯設備を備えてもよい。また、後述する発電ユニット3が固体酸化物燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)によって構成される場合には、燃料ガス貯蔵ユニット2は、燃料ガスとしてアンモニアガスを直接に発電ユニット3へ供給してもよい。
【0027】
なお、水電解施設が生成した水素は、水素として輸送されてもよいが、別のエネルギー媒体に変換された後に輸送されてもよい。例えば、輸送時のエネルギー媒体の態様は、水素を用いて生成されたアンモニアであってもよい。
【0028】
発電ユニット3は、燃料ガス貯蔵ユニット2から燃料ガスである水素ガスG1を受ける。発電ユニット3は、水素ガスG1を用いて発電する。水素ガスG1を用いた発電には、後述する燃料電池モジュール31を用いる。発電ユニット3は、発生電力E1を電力出力ユニット4に提供する。
【0029】
電力出力ユニット4は、発電ユニット3から発生電力E1を受ける。電力出力ユニット4は、受けた電力を一時的に蓄える機能を有する。そして、電力出力ユニット4は、電気自動車91の求めに応じて、供給電力E2を電気自動車91に供給する。
【0030】
燃料ガス出力ユニット5は、燃料ガス貯蔵ユニット2に蓄えられた水素ガスG2を燃料電池自動車92に供給する。
【0031】
図2に示すように、エネルギー供給設備1は、電力と水素とを供給可能なハイブリッドステーション10として機能することができる。ハイブリッドステーション10は、液化水素貯蔵装置である燃料ガス貯蔵ユニット2と、燃料電池充電ステーション11と、水素ステーション12と、を有する。燃料ガス貯蔵ユニット2は、燃料電池充電ステーション11及び水素ステーション12のそれぞれに水素を供給する。つまり、ハイブリッドステーションであるエネルギー供給設備1において、燃料ガス貯蔵ユニット2は、燃料電池充電ステーション11及び水素ステーション12に共有されている。燃料電池充電ステーション11は、後述するETCモジュール32と、燃料電池モジュール31と、蓄電池モジュール41と、急速充電器43と、を含む。水素ステーション12は、圧縮機121と、蓄圧機122と、プレクーラー123と、ディスペンサ124と、を含む。
【0032】
電気自動車91のための充電設備と燃料電池自動車92のための水素供給設備とは、それぞれ個別に検討される。充電設備が電源として燃料電池を採用する場合には、充電設備のエネルギー源と水素供給設備のエネルギー源とが水素として共通化される。従って、燃料ガス貯蔵ユニット2を共通化しながら、異なるエネルギーを供給できる設備として運用が可能であるので、エネルギー供給設備の稼働率を高めることができる。さらには、単位スペースあたりの稼働率や収益力を高めることにも寄与する。
【0033】
再び図1を参照する。これらのユニットは、エネルギーマネジメントシステム6(制御部)から制御指令を受ける。エネルギーマネジメントシステム6は、エネルギー供給設備1に関する種々の内部データと、エネルギー供給設備1に直接には関係しない外部データと、を用いて、エネルギー供給設備1の動作を制御する。例えば、エネルギーマネジメントシステム6は、外部データとして時間帯ごとの電気自動車91の需要電力の予測値と、内部データとして電力出力ユニット4が蓄えている電力の時間帯ごとの予測値と、を用いて、発電ユニット3における発電量を予測及び制御してもよい。
【0034】
また、これらのユニットは、自己診断システム7によってその動作が監視されてもよい。さらに、管理者の操作を受け入れる制御盤8を備えてもよい。
【0035】
次に、エネルギー供給設備1の主要な構成要素である、発電ユニット3と、電力出力ユニット4と、についてさらに詳細に説明する。
【0036】
発電ユニット3は、燃料電池モジュール31と、電動ターボチャージャモジュール(以下「ETCモジュール32」と称する)と、熱交換モジュール33と、を有する。
【0037】
燃料電池モジュール31は、燃料ガスである水素ガスG1と酸化ガスである圧縮空気G3とを受け入れる。水素ガスG1は、燃料ガス貯蔵ユニット2から受ける。圧縮空気G3は、熱交換モジュール33を介してETCモジュール32から受ける。燃料電池モジュール31は、水素と空気に含まれる酸素との化学反応により電力を得る。その結果、燃料電池モジュール31は、発生電力E1を出力すると共に排気ガスG4も排出する。さらに、燃料電池モジュール31は、反応によって生じた水W1も排出することがある。発生電力E1は、電力出力ユニット4に提供される。排気ガスG4は、熱交換モジュール33に提供される。
【0038】
図3(a)に示すように、燃料電池モジュール31は、少なくとも1台の燃料電池31Fを含む。例えば、燃料電池モジュール31は、複数(N台)の燃料電池31Fを含んでよい。複数の燃料電池31Fは、仮想的な1台の燃料電池モジュール31として扱うことができる。つまり、燃料電池モジュール31は、エネルギーマネジメントシステム6から所定の発生電力E1を出力させる制御指令を受けたとき、1又は複数の燃料電池31Fを用いて所定の電力を出力させる。例えば、燃料電池モジュール31は、1台の燃料電池31Fを稼働させることによって所定の電力を出力してもよいし、複数の燃料電池31Fを稼働させることによって所定の電力を出力してもよい。また、燃料電池31Fのそれぞれには、燃料電池31Fの動作を監視するIoTセンサが設けられていてもよい。このような構成によると、図3(b)に示すように、N台の燃料電池31Fを含む燃料電池モジュール31において、第1の燃料電池31Hが故障した場合であっても、残りのN-1台の燃料電池31Fによって燃料電池モジュール31の機能を維持することができる。
【0039】
つまり、燃料電池モジュール31を仮想化することによって、1台の機器として扱う。その結果、仮想的な燃料電池モジュール31を構成する一つの要素(ここでは燃料電池31H)に障害が生じたとしても、いわゆる縮退運転モードS2(図3(b)参照)に移行することによって、モジュールの機能を維持することができる。ユーザ側からみれば、燃料電池モジュール31を構成する一つの要素の障害に気づくことなく利用し続けることができる。
【0040】
さらには、障害が発生した燃料電池31Hを燃料電池モジュール31から切り離し、新たな燃料電池31Fに交換するといった作業も行うことができる。この場合にも、燃料電池モジュール31の動作は、縮退運転モードS2によって維持されるので、燃料電池モジュール31の全体の動作を停止させる必要がない。交換作業が終了した後に、燃料電池モジュール31は、全ての燃料電池31Fが動作可能な通常運転モードS1に移行する。従って、燃料電池モジュール31の機能を維持し続けることができる。
【0041】
上述した仮想化された燃料電池モジュール31のメリットは、後述するETCモジュール32及び蓄電池モジュール41でも同様に発揮される。
【0042】
上述した燃料電池モジュール31、ETCモジュール32及び蓄電池モジュール41を仮想化する制御は、エネルギーマネジメントシステム6によって実行されてもよい。例えば、エネルギーマネジメントシステム6は、蓄電池モジュール41の充電残量を内部情報として電力出力ユニット4から得る。次に、エネルギーマネジメントシステム6は、充電残量に基づいて発生すべき電力を算出すると共に、当該電力を得るために稼動すべき燃料電池31Fを決定する。そして、エネルギーマネジメントシステム6は、稼働すべき燃料電池31Fを指定する情報を含んだ制御信号を燃料電池モジュール31に与える。
【0043】
なお、エネルギーマネジメントシステム6は、電力需要体から要求される電力を示す外部データに基づいて、制御信号を生成してもよい。
【0044】
別の例示として、エネルギーマネジメントシステム6は、燃料電池31Fの状態を示す情報を内部情報として燃料電池モジュール31から得る。燃料電池31Fの状態を示す情報は、例えば、燃料電池31Fの発電効率を示す情報を含む。発電効率が低下した燃料電池31Fは、修理又は交換の対象となり得る。そこで、エネルギーマネジメントシステム6は、稼働を停止すべき条件(例:発電効率の低下)を満たす燃料電池31Fについて、その稼働を停止させる制御信号を燃料電池モジュール31に与える。このような制御によって、燃料電池モジュール31の縮退運転モードS2を実行することができる。
【0045】
ETCモジュール32及び蓄電池モジュール41も同様である。エネルギーマネジメントシステム6は、内部データ又は外部データに基づいて稼働すべき装置を指定する制御信号を生成し、ETCモジュール32又は蓄電池モジュール41に与えてもよい。さらに、エネルギーマネジメントシステム6は、ETCモジュール32及び蓄電池モジュール41が出力する情報に基づいて稼働を停止すべき装置を指定する制御信号を生成し、ETCモジュール32及び蓄電池モジュール41に与えてもよい。
【0046】
なお、エネルギーマネジメントシステム6が生成する制御信号は、稼働させる装置を指定するものであってもよいし、稼働を停止させる装置を指定するものであってもよい。
【0047】
燃料電池31Fは、一例として固体高分子型に分類されるいわゆるPEFCであってもよい。PEFCは、作動温度が常温から100℃程度であり、起動及び停止に要する時間が短いといった特徴を有する。なお、燃料電池31Fとしては、そのほかの形式のものを利用することも可能である。
【0048】
再び図1を参照する。前述した燃料電池モジュール31は、加圧された空気を受けることにより出力を増加させることができる。ETCモジュール32は、その加圧された空気(圧縮空気)を発生するものである。なお、燃料電池モジュール31がPEFCによって構成される場合には、燃料電池モジュール31が受ける空気は、オイルフリーのものが望ましい。例えば、ETCモジュール32の構成要素としてオイルフリー軸受を採用することとしてよい。
【0049】
ETCモジュール32は、空気G5を受け入れて圧縮することにより、圧縮空気G6を出力する。ETCモジュール32は、空気G5を圧縮する動作のために、燃料電池モジュール31から排出される排気ガスG4を受け入れる。排気ガスG4は、タービン322を通過した後に排気G7される。さらに、ETCモジュール32は、空気G5を圧縮する動作のために、電力を受け入れる。ETCモジュール32は、これらの空気及び電力に基づいて、コンプレッサ321を駆動させて、圧縮空気G6を得る。
【0050】
ETCモジュール32も、燃料電池モジュール31と同様に、少なくとも1台の電動ターボチャージャ32Tを含む。ETCモジュール32は、エネルギーマネジメントシステム6の制御指令に応じて所定の圧力及び所定の流量の圧縮空気G6を出力する。この所定の圧力及び所定の流量の圧縮空気は、1台の電動ターボチャージャ32Tによって出力してもよいし、複数の電動ターボチャージャ32Tによって出力してもよい。つまり、ETCモジュール32も、複数の電動ターボチャージャ32Tによって構成された仮想的に1台の電動ターボチャージャ32Tとしてみることができる。その結果、N台の電動ターボチャージャ32Tを含むETCモジュール32において、第1の電動ターボチャージャ32Hが故障した場合であっても、残りのN-1台の電動ターボチャージャ32TによってETCモジュール32の機能を維持することができる。
【0051】
電動ターボチャージャ32Tは、主要な構成要素として、コンプレッサ321と、タービン322と、モータ323と、モータインバータ324と、を有する。コンプレッサ321は、1本のシャフトによってタービン322と連結されている。燃料電池モジュール31から出力される空気をタービン322が受け入れることによって、タービン322が回転する。このように、燃料電池モジュール31から排出される空気を用いてタービン322を回転させることにより、システム全体のエネルギー効率を高めることができる。例えば、コンプレッサ出力の25%から30%を燃料電池モジュール31から排出される空気によって負担することができる。
【0052】
タービン322の回転は、シャフトを介してコンプレッサ321に伝わる。さらに、シャフトはモータ323が発生する回転トルクを受けることができる。つまり、コンプレッサ321の動作は、タービン322のみの駆動に基づく動作と、モータ323のみの駆動に基づく動作と、タービン322及びモータ323の両方の駆動に基づく動作と、を選択できる。
【0053】
熱交換モジュール33は、ETCモジュール32から排出された排気ガスG4を受けると共にETCモジュール32から圧縮空気G6を受ける。熱交換モジュール33は、圧縮空気G6と排出された排気ガスG4との間で熱交換を行う。具体的には、熱交換モジュール33は、圧縮空気G6から排出された排気ガスG4に熱を渡す。そして、熱交換モジュール33は、熱交換後の圧縮空気G3を燃料電池モジュール31に渡す。なお、熱交換モジュール33は、熱交換後の圧縮空気G3をETCモジュール32の冷却媒体としてETCモジュール32に渡してもよい。例えば、熱交換後の圧縮空気G3は、ETCモジュール32の電動ターボチャージャ32Tを構成するベアリングの冷却に用いられてもよい。
【0054】
さらに、熱交換モジュール33は、電力出力ユニット4から熱G8を受けてもよい。
【0055】
電力出力ユニット4は、蓄電池モジュール41と、インバータ42と、急速充電器43と、を有する。
【0056】
蓄電池モジュール41は、発電ユニット3から発生電力E1を受ける。蓄電池モジュール41は、受けた発生電力E1を蓄える。そして、蓄電池モジュール41は、インバータ42を介して電気自動車91等の求めに応じて電力を急速充電器43に渡す。なお、本実施形態において蓄電池モジュール41は、発電ユニット3から電力を受けるものとして説明するが、これに限定されない。蓄電池モジュール41は、既設の電力系統から電力を受けて蓄える機能を付加的に有してもよい。
【0057】
蓄電池モジュール41は、複数の蓄電池41Cを含む。複数の蓄電池41Cは互いに並列に接続されている。蓄電池モジュール41は、蓄電池41Cごとに設けられたスイッチを有する。このスイッチをエネルギーマネジメントシステム6の制御指令に応じて切り替えることにより、充電する蓄電池41Cを選択することができる。さらに、放電する蓄電池41Cを選択することができる。つまり、蓄電池モジュール41も、燃料電池モジュール31及びETCモジュール32と同様に、複数の蓄電池41Cを1個の仮想的な蓄電池としてみなすことができる。その結果、N台の蓄電池41Cを含む蓄電池モジュール41において、第1の蓄電池41Hが故障した場合であっても、残りのN-1台の蓄電池41Cによって蓄電池モジュール41の機能を維持することができる。
【0058】
電力変換器であるインバータ42は、蓄電池モジュール41から電力の提供を受ける。また、モータインバータ324は、蓄電池モジュール41を介することなく、発電ユニット3の燃料電池モジュール31から提供された電力を直接に受けてもよい。このような場合には、蓄電池モジュール41は、要求される電力の変動を吸収するバッファとして機能することができる。モータインバータ324は、受けた電力の態様を、要求される電力の態様に変換する。モータインバータ324は、変換した電力E3を急速充電器43に提供する。
【0059】
急速充電器43は、インバータ42から受けた電力E3を電気自動車91に提供するインターフェースである。例えば、電気自動車への充電の方には、直流方式と交流方式が例示できる。このうち、直流方式は。送電容量が大きく、充電効率も高いので、急速充電に適している。交流方式は、電圧の変換が容易であるという利点を要する。急速充電器43は、その用途に応じて直流方式及び交流方式を任意に選択できるものであってよい。
【0060】
<作用効果>
エネルギー供給設備1は、燃料ガスと酸化ガスとを利用して発電する発電ユニット3と、発電ユニット3が出力する発生電力を利用して、発生電力を消費する電力需要体に需要電力を与える電力出力ユニット4と、を備える。発電ユニット3は、燃料ガスと酸化ガスとを利用して発電する燃料電池31Fを少なくとも1個含む燃料電池モジュール31と、燃料電池31Fが排出する燃料ガス又は酸化ガスに基づく排気ガスを受けて回転するタービン322と、タービン322の回転を受けて燃料電池31Fに提供するための圧縮された酸化ガスを出力するコンプレッサ321と、コンプレッサ321の回転を補助するモータ323と、を含む電動ターボチャージャ32Tを少なくとも1個含むETCモジュール32と、を有する。電力出力ユニット4は、燃料電池31Fが発生する発生電力を蓄える蓄電池41Cを少なくとも1個含む蓄電池モジュール41と、蓄電池41Cが蓄えた発生電力を電力需要体に需要電力として与える急速充電器43と、を有する。
【0061】
このエネルギー供給設備1によれば、ETCモジュール32から酸化ガスを受けた燃料電池モジュール31によって発電した電力を、蓄電池モジュール41に蓄えることができる。蓄電池モジュール41によれば、大容量の電力の要求に応じること可能である。そして、大容量の電力の要求に応じた結果、蓄電池モジュール41の充電残量が一時的に低下するが、ETCモジュール32から酸化ガスを受けた燃料電池モジュール31によって速やかに充電残量を回復することができる。従って、蓄電池モジュール41に要求される充電容量は、一時的な電力の需要に対応できるだけで足りるので、蓄電池モジュール41に要求される充電容量の増大を抑制しながら、電力の需要の増加に対応することができる。
【0062】
発電ユニット3は、ETCモジュール32が出力した酸化ガスと、燃料電池31Fが排出する排気ガスと、を受けて、ETCモジュール32が出力した酸化ガスから燃料電池31Fが排出する排気ガスへ熱を渡す熱交換装置33Hを少なくとも1個含む熱交換モジュール33をさらに有する。この構成によれば、エネルギー供給設備1におけるエネルギー効率を高めることができる。
【0063】
熱交換モジュール33は、熱交換後の酸化ガスを燃料電池モジュール31とETCモジュール32のモータ323に与える。この構成によっても、エネルギー供給設備1におけるエネルギー効率を高めることができる。
【0064】
熱交換モジュール33は、電力出力ユニット4が排出する排熱を受け、ETCモジュール32のタービン322に与えられる排気ガスに受けた排熱を渡す。この構成によっても、エネルギー供給設備1におけるエネルギー効率を高めることができる。
【0065】
エネルギー供給設備1は、燃料ガスを蓄え、蓄えた燃料ガスを発電ユニット3に与える燃料ガス貯蔵ユニット2をさらに備える。この構成によれば、燃料電池モジュール31が消費する燃料を蓄えることができる。
【0066】
エネルギー供給設備1は、燃料ガス貯蔵ユニット2から燃料ガスを受けて、燃料ガスを消費する燃料需要体に燃料ガスを与える燃料ガス出力ユニット5をさらに備えてもよい。この構成によれば、電力とは異なる態様のエネルギー源として水素を燃料需要体に提供することができる。
【0067】
エネルギー供給設備1における燃料電池モジュール31は、複数の燃料電池31Fを含み、ETCモジュール32は、複数の電動ターボチャージャ32Tを含み、蓄電池モジュール41は、複数の蓄電池41Cを含む。この構成によれば、それぞれのモジュールは、複数の構成要素によって構成された仮想的な一つのモジュールとしてみなすことができる。仮想的な一つのモジュールは、モジュールを構成する一つの構成要素に障害が生じたとしても、その他の構成要素によってモジュールの稼働を継続することができる。
【0068】
エネルギー供給設備1における電力需要体は、発生電力に基づいて駆動する移動体であってもよい。この構成によれば、電力を利用して移動する移動体にエネルギーを供給することができる。
【0069】
<変形例>
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明のエネルギー供給設備1実施形態で説明した態様に限定されるものではない。
【0070】
例えば、燃料電池としてSOFCを採用する場合には、発電ユニット3は、熱交換モジュール33を省略してもよい。
【0071】
上記実施形態では、燃料ガスは、エネルギー供給設備1とは別の場所において製造され、輸送される態様とした。そのため、エネルギー供給設備1は、輸送された燃料ガスを貯蔵するための燃料ガス貯蔵ユニット2を備えていた。例えば、燃料ガスを製造する施設がエネルギー供給設備1に隣接する場合には、燃料ガスを製造する施設から直接に燃料ガスの提供を受けてもよい。この場合には、エネルギー供給設備1は、燃料ガス貯蔵ユニット2を省略してもよい。
【0072】
上記実施形態では、エネルギー供給設備1は、エネルギーとして電力及び燃料ガスを需要体に提供可能なハイブリッドステーション10であるとして説明した。エネルギー供給設備1は、エネルギーとして電力のみを需要体に提供可能なものであってもよい。この場合には、燃料ガスの提供に要する構成要素である燃料ガス出力ユニット5を省略してもよい。
【0073】
<付記>
本開示は、[1]「燃料ガスと酸化ガスとを利用して発電する発電ユニットと、
前記発電ユニットが出力する発生電力を利用して、前記発生電力を消費する電力需要体に需要電力を与える電力出力ユニットと、を備え、
前記発電ユニットは、
前記燃料ガスと前記酸化ガスとを利用して発電する燃料電池を少なくとも1個含む燃料電池モジュールと、
前記燃料電池が排出する前記燃料ガス又は前記酸化ガスに基づく排気ガスを受けて回転するタービンと、前記タービンの回転を受けて前記燃料電池に提供するための圧縮された前記酸化ガスを出力するコンプレッサと、前記コンプレッサの回転を補助するモータと、を含む電動ターボチャージャを少なくとも1個含む電動ターボチャージャモジュールと、を有し、
前記電力出力ユニットは、
前記燃料電池が発生する発生電力を蓄える蓄電池を少なくとも1個含む蓄電池モジュールと、
前記蓄電池が蓄えた前記発生電力を前記電力需要体に前記需要電力として与える給電装置と、を有する、エネルギー供給設備。」である。
【0074】
本開示は、[2]「前記発電ユニットは、前記電動ターボチャージャモジュールが出力した前記酸化ガスと、前記燃料電池が排出する前記排気ガスと、を受けて、前記電動ターボチャージャモジュールが出力した前記酸化ガスから前記燃料電池が排出する前記排気ガスへ熱を渡す熱交換装置を少なくとも1個含む熱交換モジュールをさらに有する、上記[1]に記載のエネルギー供給設備。」である。」である。
【0075】
本開示は、[3]「前記熱交換モジュールは、熱交換後の前記酸化ガスを前記燃料電池モジュールと前記電動ターボチャージャモジュールの前記モータに与える、上記[2]に記載のエネルギー供給設備。」である。
【0076】
本開示は、[4]「前記熱交換モジュールは、前記電力出力ユニットが排出する排熱を受け、前記電動ターボチャージャモジュールの前記タービンに与えられる前記排気ガスに受けた前記排熱を渡す、上記[2]又は[3]に記載のエネルギー供給設備。」である。
【0077】
本開示は、[5]「前記燃料ガスを蓄え、蓄えた前記燃料ガスを前記発電ユニットに与える燃料ガス貯蔵ユニットをさらに備える、上記[1]~[4]の何れか一項に記載のエネルギー供給設備。」である。
【0078】
本開示は、[6]「前記燃料ガス貯蔵ユニットから前記燃料ガスを受けて、前記燃料ガスを消費する燃料需要体に前記燃料ガスを与える燃料ガス出力ユニットをさらに備える、上記[5]に記載のエネルギー供給設備。」である。
【0079】
本開示は、[7]「前記燃料電池モジュールは、複数の前記燃料電池を含み、
前記電力出力ユニットが出力する情報及び前記燃料電池モジュールが出力する情報の少なくとも一方を利用して生成され、複数の前記燃料電池のうち発電を実行する前記燃料電池又は発電を停止する前記燃料電池を指定する制御信号を前記燃料電池モジュールに与える制御部をさらに備える、上記[1]~[6]の何れか一項に記載のエネルギー供給設備。」である。
【0080】
本開示は、[8]「前記電動ターボチャージャモジュールは、複数の前記電動ターボチャージャを含み、
前記電力出力ユニットが出力する情報及び前記電動ターボチャージャモジュールが出力する情報の少なくとも一方を利用して生成され、複数の前記電動ターボチャージャのうち圧縮された前記酸化ガスの出力を実行する前記電動ターボチャージャ又は圧縮された前記酸化ガスの出力を停止する前記電動ターボチャージャを指定する制御信号を前記電動ターボチャージャモジュールに与える制御部をさらに備える、上記[1]~[7]の何れか一項に記載のエネルギー供給設備。」である。
【0081】
本開示は、[9]「前記蓄電池モジュールは、複数の前記蓄電池を含み、
前記給電装置が出力する情報及び前記蓄電池モジュールが出力する情報の少なくとも一方を利用して生成され、複数の前記蓄電池のうち充電又は放電を実行する前記蓄電池又は充電又は放電を停止する前記蓄電池を指定する制御信号を前記蓄電池モジュールに与える制御部をさらに備える、上記[1]~[8]の何れか一項に記載のエネルギー供給設備。」である。
【0082】
本開示は、[10]「前記電力需要体は、前記発生電力に基づいて駆動する移動体である、上記[1]~[9]の何れか一項に記載のエネルギー供給設備。」である。
【符号の説明】
【0083】
1 エネルギー供給設備
2 燃料ガス貯蔵ユニット
3 発電ユニット
4 電力出力ユニット
5 燃料ガス出力ユニット
6 エネルギーマネジメントシステム(制御部)
7 自己診断システム
8 制御盤
10 ハイブリッドステーション
11 燃料電池充電ステーション
12 水素ステーション
31 燃料電池モジュール
31F 燃料電池
32 ETCモジュール
32T 電動ターボチャージャ
33 熱交換モジュール
33H 熱交換装置
41 蓄電池モジュール
41C 蓄電池
42 インバータ
43 急速充電器
91 電気自動車
92 燃料電池自動車
121 圧縮機
122 蓄圧機
123 プレクーラー
124 ディスペンサ
321 コンプレッサ
322 タービン
323 モータ
324 モータインバータ
図1
図2
図3