(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164487
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】大口径撮像レンズ
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
G02B13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079991
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】391044915
【氏名又は名称】株式会社コシナ
(74)【代理人】
【識別番号】100088579
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 茂
(72)【発明者】
【氏名】森山 達也
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087LA06
2H087MA04
2H087PA07
2H087PA08
2H087PA18
2H087PA19
2H087PB08
2H087PB09
2H087QA02
2H087QA07
2H087QA12
2H087QA21
2H087QA25
2H087QA26
2H087QA34
2H087QA37
2H087QA41
2H087QA45
2H087RA44
(57)【要約】
【課題】 後レンズ群側の小型化を図り、コマ収差を含む諸収差を良好に補正するとともに、レンズ全体の軽量化及びコストダウンに寄与する。
【解決手段】 物体OBJ側から像IMG側へ順に、前レンズ群G1,開口絞りSTO,後レンズ群G2を配置した全系100を備えるとともに、前レンズ群G1の全体を正の屈折力により構成し、かつ後レンズ群G2の全体を正の屈折力により構成してなる大口径撮像レンズ1であって、後レンズ群G2を、物体OBJ側から像IMG側へ順に、正の屈折力を有する特定レンズL4,物体OBJ側を凹面に形成した負レンズL5とこの負レンズL5の像IMG側の面(i=11(13))に正レンズL6を接合した接合レンズJ1,二枚以上の正レンズL7,L8を含む正レンズ群G2r,により構成した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に、前レンズ群,開口絞り,後レンズ群,を配置した全系を備えるとともに、前記前レンズ群の全体を正の屈折力により構成し、かつ前記後レンズ群の全体を正の屈折力により構成してなる大口径撮像レンズにおいて、前記後レンズ群を、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する特定レンズ,物体側を凹面に形成した負レンズとこの負レンズの像側の面に正レンズを接合した接合レンズ,二枚以上の正レンズを含む正レンズ群,により構成したことを特徴とする大口径撮像レンズ。
【請求項2】
前記後レンズ群は、当該後レンズ群における最も屈折率の大きい正レンズの屈折率ndが[条件式1]を満たすように設定することを特徴とする請求項1記載の大口径撮像レンズ。
[条件式1] nd>1.80
【請求項3】
前記後レンズ群は、最も物体側に配置される負レンズの物体側の面の有効半径をHdとし、像側の面の有効半径が最も大きい正レンズの当該有効半径をHuとしたき、[条件式2]を満たすことを特徴とする請求項1記載の大口径撮像レンズ。
[条件式2] 〔Hu/Hd〕<1.5
【請求項4】
前記後レンズ群は、当該後レンズ群における各正レンズの像側の面の曲率半径の絶対値を、物体側から像側へ順次大きくなるように設定することを特徴とする請求項1記載の大口径撮像レンズ。
【請求項5】
前記後レンズ群は、最も像側に配置する正レンズの像側の面を凸面に形成することを特徴とする請求項1記載の大口径撮像レンズ。
【請求項6】
前記全系は、全レンズの面を球面により形成することを特徴とする請求項1記載の大口径撮像レンズ。
【請求項7】
前記全系は、全レンズを移動させることにより、近距離物体に対するフォーカシング調整を行うフォーカシング調整機能を備えることを特徴とする請求項1記載の大口径撮像レンズ。
【請求項8】
前記前レンズ群は、二枚以上の正レンズと一枚の負レンズにより構成することを特徴とする請求項1記載の大口径撮像レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体側から像側へ順に、前レンズ群,開口絞り,後レンズ群を配置したデジタルカメラの交換レンズ等に用いて好適な大口径撮像レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラ(スチルカメラ)の交換レンズ等に用いる撮像レンズであって、特に、半画角が14゜程度、FナンバーがF1.4程度となる撮像レンズとしては、特許文献1に記載される撮影レンズが知られている。
【0003】
この撮影レンズは、物体側から順に、正レンズと、正レンズと、像側に凹面を向けた負レンズと、絞りと、物体側に凹面を向けた負レンズと、この負レンズに貼合された正レンズと、2枚または3枚の正レンズを有する明るい撮影レンズ系において、サジタル横収差を良好に補正することを目的としたものであり、具体的には、像側に凹面を向けた負レンズと、物体側に凹面を向けた負レンズの間に、全系に含まれる負レンズの中で最も弱い負の屈折力の中間レンズを配置して撮影レンズ系を構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した特許文献1に記載の撮影レンズは、次のような問題点も存在した。
【0006】
即ち、撮影レンズ、特に、大口径レンズの場合、大型のレンズを使用するため、レンズ全体の大型化及び重量化が避けられない基本的な課題が存在する。大口径レンズが大型化した場合、カメラ本体にレンズを装着する際に、機械的及び光学的な観点からマッチングさせる上で支障を生じやすく、この問題は、特許文献1のように、FナンバーがF1.4程度のレンズ系では、より大きくなるとともに、特に、絞りに対して像側に配置する後レンズ群が、より大型化する問題を生じる。
【0007】
加えて、特許文献1の場合、後レンズ群の最も像側に位置するレンズは固定状態となり、しかも、後レンズ群の最も物体側のレンズに凹レンズを配置していることから、負レンズ成分が強くなり、この観点からも更なる大型化を招いてしまうとともに、レンズ系全体の機構の複雑化を招きやすいことから、諸収差、特に、コマ収差を十分に補正できない難点があった。
【0008】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した大口径撮像レンズの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するため、物体OBJ側から像IMG側へ順に、前レンズ群G1,開口絞りSTO,後レンズ群G2を配置した全系100を備えるとともに、前レンズ群G1の全体を正の屈折力により構成し、かつ後レンズ群G2の全体を正の屈折力により構成してなる大口径撮像レンズ1であって、後レンズ群G2を、物体OBJ側から像IMG側へ順に、正の屈折力を有する特定レンズL4,物体OBJ側を凹面に形成した負レンズL5とこの負レンズL5の像IMG側の面(i=11(13))に正レンズL6を接合した接合レンズJ1,二枚以上の正レンズL7,L8を含む正レンズ群G2r,により構成したことを特徴とする。
【0010】
この場合、発明の好適な態様により、後レンズ群G2は、当該後レンズ群G2の全体における最も屈折率の大きい正レンズの屈折率ndが「nd>1.80」([条件式1])を満たすように設定するとともに、最も物体OBJ側に配置される負レンズL5の物体OBJ側の面(i=10)の有効半径をHdとし、像IMG側の面(i=14)の有効半径が最も大きい正レンズL7の当該有効半径をHuとしたき、〔Hu/Hd〕<1.5([条件式2])を満たすように設定することが望ましい。また、後レンズ群G2は、当該後レンズ群G2における各正レンズL6,L7,L8の像IMG側の面(i=12(14),14(16),16(18))の曲率半径の絶対値を、物体OBJ側からIMG像側へ順次大きくなるように設定することが望ましい。さらに、後レンズ群G2は、最も像IMG側に配置する正レンズL8の像IMG側の面(i=16,18)を凸面に形成することが望ましい。一方、全系100は、全レンズの面(i=1…18)を球面により形成することができるとともに、全系100は、全レンズL1,L2…L8,L9を移動させることにより、近距離物体に対するフォーカシング調整を行うフォーカシング調整機能を設けることができる。なお、前レンズ群G1は、二枚以上の正レンズL1…と一枚の負レンズL3により構成することができる。
【発明の効果】
【0011】
このような構成を有する本発明に係る大口径撮像レンズ1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0012】
(1) 後レンズ群G2を構成するに際し、最も物体OBJ側に配置した特定レンズL4に正の屈折力を持たせるとともに、正レンズL7…を多用して構成したため、後レンズ群G2側の小型化を図ることができる。これにより、コマ収差を含む諸収差を良好に補正しつつ、レンズ1全体の小型化を図ることができる。加えて、レンズ1全体の軽量化及びコストダウンに寄与できるとともに、カメラ本体に対する大口径レンズ1の装着が容易になるなど、取扱性及び操作性の向上に寄与できる。
【0013】
(2) 好適な態様により、後レンズ群G2を構成するに際し、当該後レンズ群G2の全体における最も屈折率の大きい正レンズの屈折率ndが「nd>1.80」([条件式1])を満たすように設定すれば、必要とする高い屈折率ndを確保できるため、特に、球面収差及びコマ収差を良好に補正することができる。
【0014】
(3) 好適な態様により、後レンズ群G2を構成するに際し、最も物体OBJ側に配置される負レンズL5の物体OBJ側の面(i=10)の有効半径をHdとし、像IMG側の面(i=14)の有効半径が最も大きい正レンズL7の当該有効半径をHuとしたき、〔Hu/Hd〕<1.5([条件式2])を満たすように設定すれば、一番有効は半径の小さいレンズに対して一番有効半径の大きいレンズを一定の比率以下に抑えることができるため、大口径撮像レンズ1の小型化を図ることができる。
【0015】
(4) 好適な態様により、後レンズ群G2における各正レンズL6,L7,L8の像IMG側の面(i=12(14),14(16),16(18))の曲率半径の絶対値を、物体OBJ側からIMG像側へ順次大きくなるように設定すれば、各正レンズL6,L7,L8を通過する光線の角度を緩くできるため、特に、コマ収差を良好に補正することができる。
【0016】
(5) 好適な態様により、後レンズ群G2における最も像IMG側に配置する正レンズL8の像IMG側の面(i=16,18)を凸面に形成すれば、像IMGまでの長い距離を確保し、レンズ径を小さくできるため、後レンズ群G2の小型化に寄与できる。
【0017】
(6) 好適な態様により、全系100における全レンズの面(i=1…18)を球面により形成すれば、コストアップの要因となる非球面レンズを使用しないため、レンズ部品のコストダウンに寄与することができる。
【0018】
(7) 好適な態様により、全系100の全レンズL1,L2…L8,L9を移動させることにより、近距離物体に対するフォーカシング調整を行うフォーカシング調整機能を設ければ、一部のレンズを移動させるフォーカシング調整機能に対して、移動ストローク範囲の確保を有利にできるため、全体の小型化に寄与することができる。
【0019】
(8) 好適な態様により、前レンズ群G1を、二枚以上の正レンズL1…と一枚の負レンズL3により構成すれば、前レンズ群G1に二枚以上の正レンズL1…を含めることができるため、正レンズL1…の枚数に応じて球面収差及びコマ収差を良好に補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の好適実施形態の実施例1に係る大口径撮像レンズの全系を示すレンズ構成図、
【
図3】同実施例1に係る大口径撮像レンズの全系の無限遠時の縦収差図、
【
図4】同実施例2に係る大口径撮像レンズの全系を示すレンズ構成図、
【
図5】同実施例2に係る大口径撮像レンズの全系の無限遠時の縦収差図、
【
図6】同実施例3に係る大口径撮像レンズの全系を示すレンズ構成図、
【
図7】同実施例3に係る大口径撮像レンズの全系の無限遠時の縦収差図、
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0022】
まず、本実施形態に係る大口径撮像レンズ1の構成について、
図1(及び
図4,
図6)を参照して説明する。
【0023】
本実施形態に係る大口径撮像レンズ1は、
図1,
図4及び
図6に示すように、半画角ωが21-22〔°〕程度,Fナンバーが1.2程度の光学性能を対象としたものである。
図1は、大口径撮像レンズ1の全系100を示したものであり、以下、
図1を参照して基本的な主要構成について説明する。
【0024】
全系100は、大別して、物体(被写体)OBJ側から像(撮像素子)IMG側へ順に配した、前レンズ群G1,開口絞りSTO,後レンズ群G2を備えて構成する。
【0025】
前レンズ群G1は、基本構成として、二枚以上の正レンズL1…と一枚の負レンズL3により構成する。より具体的には、物体OBJ側に配する二枚の正レンズL1,L2(実施例1及び2)又は三枚の正レンズL1a,L1b,L2(実施例3)と、像IMG側に配する一枚の負レンズL3により構成し、前レンズ群G1の全体を正の屈折力に設定する。このように構成すれば、前レンズ群G1に二枚以上の正レンズL1…を含めることができるため、正レンズL1…の枚数に応じて、枚数が増加するに従って球面収差及びコマ収差を良好に補正することができる。
【0026】
また、後レンズ群G2は、基本構成として、物体OBJ側から像IMG側へ順に、正の屈折力を有する特定レンズL4,物体OBJ側を凹面に形成した負レンズL5とこの負レンズL5の像IMG側の面(i=11(13))に正レンズL6を接合した接合レンズJ1,二枚以上の正レンズL6,L7,L8を含む正レンズ群G2r,により構成する。
【0027】
さらに、後レンズ群G2における各正レンズL6,L7,L8の像IMG側の面(i=12(14),14(16),16(18))の曲率半径の絶対値は、物体OBJ側からIMG像側へ順次大きくなるように設定する。これにより、各正レンズL6,L7,L8を通過する光線の角度を緩くできるため、特に、コマ収差を良好に補正することができる。この際、後レンズ群G2における最も像IMG側に配置する正レンズL8の像IMG側の面(i=16,18)を凸面に形成する。このように形成すれば、像IMGまでの長い距離を確保し、レンズ径を小さくできるため、後レンズ群G2の小型化に寄与できる。そして、後レンズ群G2は、このような基本構成により、全体を正の屈折力に設定する。
【0028】
一方、後レンズ群G2は、当該後レンズ群G2の全体における最も屈折率の大きい正レンズの屈折率ndが[条件式1]を満たすように設定する。
[条件式1] nd>1.80
【0029】
このように設定すれば、必要とする高い屈折率ndを確保できるため、特に、球面収差及びコマ収差を良好に補正することができる。
【0030】
また、後レンズ群G2は、最も物体OBJ側に配置される負レンズL5の物体OBJ側の面(i=10)の有効半径をHdとし、像IMG側の面(i=14)の有効半径が最も大きい正レンズL7の当該有効半径をHuとしたき、[条件式2]を満たすように設定する。
[条件式2] 〔Hu/Hd〕<1.5
【0031】
このように設定すれば、一番有効は半径の小さいレンズに対して一番有効半径の大きいレンズを一定の比率、即ち、Hu/Hdを1.5以下に抑えることができるため、特に、像IMG側に近いレンズの大型化を回避し、大口径撮像レンズ1の小型化を図ることができる。
【0032】
また、実施形態では、全系100における全レンズの面(i=1…18)を球面により形成した。これにより、コストアップの要因となる非球面レンズを使用しないため、レンズ部品のコストダウンに寄与することができる。
【0033】
他方、実施形態の場合、フォーカシング調整機能を構成するに際しては、全系100の全レンズL1,L2…L8,L9を移動させ、これにより、近距離物体に対するフォーカシング調整を行うようにした。このようなフォーカシング調整機能を設ければ、一部のレンズを移動させるフォーカシング調整機能に対して、移動ストローク範囲の確保を有利にできるため、全体の小型化に寄与することができる。
【0034】
以上の構成が、本実施形態に係る大口径撮像レンズ1の基本構成となる。このように、大口径撮像レンズ1の基本構成として、後レンズ群G2を、物体OBJ側から像IMG側へ順に、正の屈折力を有する特定レンズL4,物体OBJ側を凹面に形成した負レンズL5とこの負レンズL5の像IMG側の面(i=11(13))に正レンズL6を接合した接合レンズJ1,二枚以上の正レンズL7,L8を含む正レンズ群G2r,を設けたため、特に、後レンズ群G2を構成するに際しては、最も物体OBJ側に配置した特定レンズL4に正の屈折力を持たせることができるとともに、正レンズL7…を多用することができる。これにより、コマ収差を含む諸収差を良好に補正しつつ、後レンズ群G2側の小型化に寄与できるなど、レンズ1全体の小型化を図ることができる。加えて、レンズ1全体の軽量化及びコストダウンに寄与できるとともに、カメラ本体に対する大口径レンズ1の装着が容易になるなど、取扱性及び操作性の向上に寄与することができる。
【0035】
なお、
図3には、実施例1-3の光学条件の一覧表を示す。具体的には、全系焦点距離「f」,Fナンバー「Fno」,半画角「ω」,L7の有効半径「Hu」,L5の有効比率「Hd」,HuとHdの比率「Hu/Hd」,光学全長「X」,前レンズ群G1の全長「X1」,後レンズ群G2の全長「X2」,前レンズ群G1の焦点距離「f1」,後レンズ群G2の焦点距離「f2」,をそれぞれ示す。
【0036】
次に、本実施形態に係る大口径撮像レンズ1の具体的な実施例(実施例1-3)について、
図1-
図7を参照して説明する。
【実施例0037】
まず、実施例1に係る大口径撮像レンズ1について、
図1-
図3を参照して具体的に説明する。
【0038】
実施例1の大口径撮像レンズ1は、
図1に示すように、基本構成として、物体OBJ側から像IMG側へ順に、前レンズ群G1,開口絞りSTO,後レンズ群G2を配置した全系100を備える。
【0039】
前レンズ群G1は、物体OBJ側から像IMG側へ順に、物体OBJ側の面(i=1)が凸面となる正メニスカスレンズL1,物体OBJ側の面(i=3)が凸面となる正メニスカスレンズL2,物体OBJ側の面(i=5)が凸面となる負メニスカスレンズL3を備え、二枚の正レンズと一枚の負レンズの計三枚の単レンズにより構成するとともに、前レンズ群G1の全体が正の屈折力を有するように設定する。なお、iは物体OBJ側から数えた面番号をそれぞれ示す。
【0040】
後レンズ群G2は、物体OBJ側から像IMG側へ順に、単レンズによる凸レンズを用いた正の屈折力を有する特定レンズL4,物体OBJ側を凹面に形成した負メニスカスレンズL5とこのレンズL5の像IMG側の面(i=11)に物体OBJ側を凹面に形成した正メニスカスレンズL6を接合した接合レンズJ1,物体OBJ側を凹面に形成した正メニスカスレンズL7,凸レンズを用いた正レンズL8の二枚の単レンズによる正レンズ群G2rを備えて構成するとともに、後レンズ群G2の全体が正の屈折力を有するように設定する。
【0041】
実施例1に係る大口径撮像レンズ1のレンズデータを表1に示す。表1中、上段は面データ、下段はフォーカス可変間隔をそれぞれ示す。
【0042】
【0043】
表1(以下の表2,表3も同じ)中、物体OBJ側から数えたレンズ面の面番号をiとし、この面番号は、
図1に示した符号(数字)に一致する。これに対応して、レンズ面の曲率半径R(i)、軸上面間隔D(i)、レンズの屈折率nd(i)、レンズのアッベ数νd(i)、有効半径をそれぞれ示す。nd(i)及びνd(i)はd線(587.6nm)に対する数値である。軸上面間隔D(i)は相対向する面と面間のレンズ厚或いは空気空間を示す。なお、曲率半径R(i)と面間隔D(i)の単位は〔mm〕である。面番号のOBJは物体、STOは開口絞り、IMGは像の位置を示す。曲率半径R(i)のInfinityは平面である。また、屈折率nd(i)とアッベ数νd(i)の空欄は空気であることを示す。
【0044】
表1において、後レンズ群G2の全体における最も屈折率の大きい正レンズの屈折率「nd」は「1.88300」となり、[条件式1]、即ち、「nd>1.80」の条件を満たしている。
【0045】
また、実施例1に係る大口径撮像レンズ1の縦収差図を、
図2(以下に記載する
図5,
図7も同じ)に示す。この縦収差図は、左側から、(a)球面収差図(656.3nm,587.6nm,435.8nm)、(b)非点収差図(587.6nm)、(c)歪曲収差図(587.6nm)である。なお、各スケール(一目盛)は、±0.25mm,±0.25mm,±2.5%である。このように、いずれも良好な収差を得ていることを確認できる。
【0046】
さらに、実施例lの光学条件において、
図3に示すように、L7(i=14)の有効半径「Hu」は「18.7014」となり、L5(i=10)の有効半径「Hd」は「14.5082」となるため、「Hu/Hd」は「1.2890」となり、[条件式2]、即ち、「〔Hu/Hd〕<1.5」の条件を満たしている。このように、実施例1の大口径撮像レンズ1は、前述した条件式1及び条件式2を共に満たしている。
【0047】
実施例lにおける他の光学条件は、
図3に示すように、全系焦点距離「f」は「55.7266」、Fナンバー「Fno」は「1.2495」、半画角「ω」は「21.5896」、光学全長「X」は「93.1482」、前レンズ群G1の全長「X1」は「16.1065」、後レンズ群G2の全長「X2」は「27.0140」、前レンズ群G1の焦点距離「f1」は「203.5570」、後レンズ群G2の焦点距離「f2」は「42.7255」となる。
実施例2における前レンズ群G1の基本的な構成は、レンズデータを除いて実施例1の構成と同じである。一方、後レンズ群G2の基本的な構成は、実施例1の単レンズを用いた正レンズL8の代わりに、凸レンズを用いた正レンズL8の像IMG側の面(i=16)に物体OBJ側を凹面に形成した負メニスカスレンズL9を接合した接合レンズJ2を用いた点及び全体のレンズデータを除いて実施例1と同じである。
即ち、物体OBJ側から像IMG側へ順に、単レンズによる凸レンズを用いた正の屈折力を有する特定レンズL4,物体OBJ側を凹面に形成した負メニスカスレンズL5とこのレンズL5の像IMG側の面(i=11)に物体OBJ側を凹面に形成した正メニスカスレンズL6を接合した接合レンズJ1,物体OBJ側を凹面に形成した正メニスカスレンズL7,上記した接合レンズJ2を備え、後レンズ群G2の全体が正の屈折力を有するように設定する。したがって、正メニスカスレンズL7と接合レンズJ2の正レンズL8は、二枚の正レンズによる正レンズ群G2rを構成する。