(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164488
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 13/20 20060101AFI20241120BHJP
F25B 49/02 20060101ALI20241120BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
F24F1/0007 401E
F25B49/02 520M
F25B1/00 396G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079993
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 桂司
【テーマコード(参考)】
3L051
【Fターム(参考)】
3L051BH01
(57)【要約】
【課題】本開示は、室内機における可燃性冷媒の漏洩時に、冷媒漏洩の検知の確実性を高めることができる空気調和機を提供する。
【解決手段】本開示における空気調和機は、室外機と、室内の壁面に取り付けられる壁掛け型の室内機と、を含み、可燃性冷媒が充填される冷凍サイクル回路を備えた空気調和機であって、室内機は、可燃性冷媒の漏洩を検知する漏洩検知センサを備え、漏洩検知センサは、室内機の外装底部に設けられる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外機と、室内の壁面に取り付けられる壁掛け型の室内機と、を含み、可燃性冷媒が充填される冷凍サイクル回路を備えた空気調和機であって、
前記室内機は、前記可燃性冷媒の漏洩を検知する漏洩検知センサを備え、
前記漏洩検知センサは、前記室内機の外装底部に設けられる、
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記漏洩検知センサは、前記外装底部のうち前記壁面側の端部に設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記室内機は、吹き出す空気を案内するフラップを有し、
前記漏洩検知センサは、前記外装底部のうち前記フラップ側の端部に設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記室内機の背面側には、上方に面する底面が設けられ、
前記底面には、前記室内機の左右方向において上下に傾斜する傾斜面部が設けられ、
前記室内機の左右方向において、前記漏洩検知センサが占める位置は、前記底面の下端が占める位置と重なる、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の空気調和機。
【請求項5】
前記外装底部は、前記室内機の左右方向において上下に傾斜し、
前記漏洩検知センサは、前記外装底部の最下位置に配置される、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、可燃性冷媒を用い、室内機に可燃性冷媒の漏洩を検知する漏洩検知センサを備えた空気調和機を開示する。この空気調和機は、室内機において、室内熱交換器が設けられる送風回路部に漏洩検知センサを配置し、配管接続部を配置する配管接続収納部と送風回路部とを連通する連通経路を設けている。
特許文献2は、可燃性冷媒を用い、冷媒の漏洩を検知する冷媒センサを備えた室内機を開示する。この室内機は、冷媒センサをショートサーキット運転時の風路上に配置し、冷媒センサにより検知した冷媒の濃度が第1の閾値よりも高い場合、ショートサーキット運転を開始する。その後、冷媒センサにより検知する冷媒の濃度と第2の閾値とを比較し、冷媒の漏洩が有るか否かを判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、室内機における可燃性冷媒の漏洩時に、冷媒漏洩の検知の確実性を高めることができる空気調和機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における空気調和機は、室外機と、室内の壁面に取り付けられる壁掛け型の室内機と、を含み、可燃性冷媒が充填される冷凍サイクル回路を備えた空気調和機であって、前記室内機は、前記可燃性冷媒の漏洩を検知する漏洩検知センサを備え、前記漏洩検知センサは、前記室内機の外装底部に設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本開示における空気調和機は、室内機における可燃性冷媒の漏洩時に、可燃性冷媒が通過し易い外装底部に対して漏洩検知センサを設けている。このため、室内機における可燃性冷媒の漏洩時に、冷媒漏洩の検知の確実性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る空気調和機の冷凍サイクル図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、空気調和機に用いられる冷媒としてR32冷媒が多く用いられているが、R32は地球温暖化係数(GWP)が高く、気候変動に対する影響が懸念されていた。このため、GWPが低い自然冷媒である、イソブタンやプロパン等を空気調和機の冷媒として用いることが提案されていた。しかし、これらの低GWP冷媒は可燃性であるため、室内機に対して、冷媒の漏洩を検知できる漏洩検知センサを設ける技術が提案されていた。そうした状況下において、発明者らは、可燃性冷媒が室内に漏洩した場合には、冷媒の漏洩を高い確実性で検知する必要があるという課題を発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで、本開示は、室内機における可燃性冷媒の漏洩時に、冷媒漏洩の検知の確実性を高めることができる空気調和機を提供する。
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0011】
(実施の形態1)
以下、
図1~
図5を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1.構成]
[1-1-1.冷凍サイクル回路の構成]
図1は、実施の形態1に係る空気調和機1の冷凍サイクル図であり、空気調和機1が有する冷凍サイクル回路の概略を示す。空気調和機1の冷凍サイクル回路は、室外機10と、室内機30と、を有している。また、空気調和機1の冷凍サイクル回路には、冷媒として、可燃性冷媒であるR290(すなわち、プロパン)が充填されている。
【0012】
室外機10は、室外に設置される装置であり、冷媒配管によって順に接続された圧縮機11、四方弁13、室外熱交換器15、および、膨張弁17を有している。圧縮機11は、例えばスクロール式の圧縮機であり、吸込口から吸入した冷媒を圧縮し、吐出口から吐出する。四方弁13は、圧縮機11の吸込口および吐出口に接続され、流路の切り替えによって、吸込口および吐出口をそれぞれ室外熱交換器15および室内熱交換器31に連通させる。室外熱交換器15は、例えばフィンチューブ式の熱交換器であり、室外送風機19の駆動によって外気と内部の冷媒とを熱交換させる。室外送風機19は、例えば軸流ファンである。膨張弁17は、冷媒の減圧を行う。
【0013】
室内機30は、室内に設置される装置であり、室内熱交換器31および室内送風機33を有している。室内熱交換器31は、冷媒配管接続部21、23を介して四方弁13および膨張弁17に接続される。室内熱交換器31は、例えば、フィンチューブ式の熱交換器である。室内送風機33は、駆動によって室内の空気と室内熱交換器31内の冷媒とを熱交換させる装置であり、例えばクロスフローファンである。
【0014】
空気調和機1は、圧縮機11の駆動によって冷媒を冷凍サイクル回路内で循環させ、室内熱交換器31において冷媒と熱交換する室内の空気を室内に戻すことにより、空気調和を行う。また、空気調和機1は、四方弁13の流路の切り替えにより、暖房運転と冷房運転とを切り替えることができる。
【0015】
[1-1-2.室内機の構成]
図2は、室内機30の斜視図である。
図3は、室内機30の断面図であり、左右方向に垂直な断面を示す。
図4は、室内機30の側面図である。なお、図中の符号Xは室内機30の右方向を示し、符号Yは室内機30の前方向を示し、符号Zは室内機30の上方向を示す。また、以降の説明において、上下、左右、前後といった方向は、特に言及がなければ室内機30を基準とした方向を意味する。
【0016】
室内機30は、室内の壁面Wに対して取り付けられる、いわゆる壁掛け型の室内機である。室内機30は、左右方向に長い箱型のカバー部材35を有している。カバー部材35は、
図1に示した室内熱交換器31および室内送風機33を格納する筐体であり、樹脂等によって構成される。カバー部材35は、室内熱交換器31および室内送風機33を左右、上下、および前方から覆い、後方側、すなわち、背面側が開口している。カバー部材35の背面側の開口は、背面パネル38によって塞がれている。背面パネル38は、樹脂等によって構成される部材である。壁面Wに固定された金属製の据付板40に対して背面パネル38が固定されることにより、室内機30は壁面Wに取り付けられる。
【0017】
カバー部材35には、カバー部材35の内外を連通する吹出口36が形成されている。吹出口36は、カバー部材35の左右方向の略全体に亘って形成された開口である。室内機30は、室内熱交換器31内の冷媒と熱交換した空気を吹出口36から室内に吹き出すことにより、室内を空気調和する。吹出口36は、カバー部材35において、カバー部材35の前面である外装前面35aと、カバー部材35の底部の外面である外装底部35bと、の間に形成されている。換言すれば、外装底部35bは、カバー部材35のうち、吹出口36から後方に向けて形成され、壁面Wまで延びる部分であるともいえる。なお、外装底部35bは、左右方向において室内機30の全長に亘って延びる略水平な面であり、壁面Wから離れる前方向が上方向となる向きに僅かに傾斜している。
【0018】
吹出口36には、吹出口36から吹き出す空気の流れる方向を変更する、板状のフラップ37が配置されている。フラップ37は、
図2から
図4に示すような空気調和機1の停止時において、カバー部材35の外形に沿った姿勢で保持され、吹出口36の略全面を塞ぐ。
【0019】
図4に示すように、外装底部35bには、漏洩検知センサ39が設けられている。すなわち、漏洩検知センサ39はカバー部材35の外側に設けられている。漏洩検知センサ39は、空気調和機1に用いられる可燃性冷媒(R290)の漏洩を検知可能なセンサである。漏洩検知センサ39は、可燃性冷媒の漏洩を検知した際に、空気調和機1が有する制御部に対して冷媒漏洩の検知信号を送信する。
【0020】
漏洩検知センサ39は、より詳細には、外装底部35bのうち、壁面W側の端部である背面側端部35b1に設けられている。このため、漏洩検知センサ39は壁面Wに近接している。
【0021】
図5は、室内機30の背面図であり、後方から見た室内機30を示す。
図5に示すように、室内機30において、背面パネル38には、底面38aが形成されている。底面38aは、上方に面しており、傾斜面部38a1と、水平面部38a2と、が形成されている。
【0022】
水平面部38a2は、左右方向において水平に延びる平面部分である。水平面部38a2は、左右方向において、背面パネル38の左端から、傾斜面部38a1が立ち上がる起点となる境界点38a3までの位置P2を占めている。水平面部38a2は、背面パネル38に形成された底面38aの下端であり、位置P2は、左右方向において、底面38aの下端が占める位置の一部である。
【0023】
傾斜面部38a1は、左右方向において上下に傾斜した平面部分である。傾斜面部38a1は、本実施の形態において、境界点38a3を起点として右上がりに傾斜し、背面パネル38の右端まで延びている。このため、底面38aの上方に流出した可燃性冷媒は、重力によって傾斜面部38a1に沿って左方向に流れ、水平面部38a2上に集められる。
【0024】
図5に示すように、漏洩検知センサ39は外装底部35bの左端に位置しており、左右方向において、漏洩検知センサ39が占める位置P1は、水平面部38a2が占める位置P2と一部が重なっている。より詳細には、左右方向において、漏洩検知センサ39が占める位置P1は、水平面部38a2が占める位置P2と傾斜面部38a1が占める位置P3とに、跨っている。換言すれば、傾斜面部38a1が立ち上がる起点となる境界点38a3は、左右方向において、漏洩検知センサ39が占める位置P1内にある。なお、本実施の形態とは異なり、漏洩検知センサ39が占める位置P1の全体が、水平面部38a2が占める位置P2と重なる構成としてもよい。
【0025】
[1-2.動作、作用]
以上のように構成された空気調和機1について、運転の停止中に室内機30において可燃性冷媒の漏洩が発生した場合の動作、作用を説明する。
【0026】
室内機30において可燃性冷媒の漏洩が発生した場合、漏洩した可燃性冷媒はカバー部材35の内側および背面パネル38の後方側に充満する。充満した可燃性冷媒は、漏洩箇所にかかわらず、フラップ37と吹出口36との間の隙間、および、カバー部材35と壁面Wとの隙間を介して、室内機30の外側まで流出し易い。
【0027】
本実施の形態では、可燃性冷媒は空気に対する比重がおよそ1.5のR290であるため、可燃性冷媒は、室内機30の外側まで流出したのち下方に向けて流れやすい。
【0028】
フラップ37と吹出口36との間の隙間から室内機30の外側に流出した可燃性冷媒は、コアンダ効果によって外装底部35bに引き寄せられ、
図4に矢印で示すように、外装底部35bを伝って壁面Wまで後方向に向けて流れやすい。従って、外装底部35bに設けられた漏洩検知センサ39は、コアンダ効果によって外装底部35bに沿って流れる可燃性冷媒を検知し易い。
【0029】
また、
図4に矢印で示すように、カバー部材35と壁面Wとの隙間を介して室内機30から流出した可燃性冷媒は、壁面Wを伝って下方に流れ易い。このため、外装底部35bの背面側端部35b1に設けられ、壁面Wに近接している漏洩検知センサ39は、壁面Wを伝って下方に流れる可燃性冷媒を検知し易い。
【0030】
また、
図5に矢印で示すように、背面パネル38の後方側に漏洩した可燃性冷媒は、底面38aの傾斜面部38a1に沿って左方に流れ、底面38aの下端である水平面部38a2まで流れやすい。従って、左右方向において、水平面部38a2が占める位置P2に対して重なる位置P1を占める漏洩検知センサ39は、可燃性冷媒の漏洩を検知し易い。
【0031】
このように、本実施の形態では、可燃性冷媒の漏洩時において、可燃性冷媒が通過し易い位置に漏洩検知センサ39を配置することにより、漏洩検知センサ39による冷媒漏洩の検知の確実性を向上させている。例えば、漏洩検知センサ39による冷媒漏洩の検知後には、制御部が室内送風機33を駆動させて、室内機30から室内に漏洩した可燃性冷媒を拡散させ、可燃性冷媒が高濃度となる領域が形成されないように動作する構成としてもよい。
【0032】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、空気調和機1は、室外機10と、室内の壁面Wに取り付けられる壁掛け型の室内機30と、を含み、可燃性冷媒が充填される冷凍サイクル回路を備えた空気調和機であって、室内機30は、可燃性冷媒の漏洩を検知する漏洩検知センサ39を備え、漏洩検知センサ39は、室内機30の外装底部35bに設けられる。
これにより、室内機30における可燃性冷媒の漏洩時には、コアンダ効果によって外装底部35bに沿って流れる可燃性冷媒を漏洩検知センサ39によって検知し易くなる。このため、冷媒漏洩の検知の確実性を高めることができる。特に、本実施の形態では、可燃性冷媒として空気に対する比重がおよそ1.5のR290を使用しているため、コアンダ効果が発生し易く、漏洩検知センサ39による冷媒漏洩の検知の確実性が向上する。
【0033】
また、本実施の形態のように、漏洩検知センサ39は、外装底部35bのうち壁面W側の端部である背面側端部35b1に設けられる、構成としてもよい。
これにより、壁面Wに沿って流れる可燃性冷媒を、漏洩検知センサ39によって検知し易くなる。そのため、冷媒漏洩の検知の確実性を高めることができる。
【0034】
また、本実施の形態のように、室内機30の背面側には、上方に面する底面38aが設けられ、底面38aには、室内機30の左右方向において上下に傾斜する傾斜面部38a1が設けられ、室内機30の左右方向において、漏洩検知センサ39が占める位置P1は、底面38aの下端である水平面部38a2が占める位置P2と重なる。
これにより、可燃性冷媒が傾斜面部38a1に沿って漏洩検知センサ39に向けて流れ易くなる。このため、冷媒漏洩の検知の確実性を高めることができる。特に、本実施の形態では、底面38aの下端である水平面部38a2から傾斜面部38a1が立ち上がる起点となる境界点38a3は、左右方向において、位置P1の内側に位置する。すなわち、左右方向において、漏洩検知センサ39が占める位置P1は、水平面部38a2が占める位置P2と傾斜面部38a1が占める位置P3とに、跨っている。このため、傾斜面部38a1に沿って下方に向けて流れた可燃性冷媒は漏洩検知センサ39をより通過し易く、冷媒漏洩の検知の確実性をより高めることができる。
【0035】
実施の形態2および実施の形態3を説明する。なお、以下では、既に説明した実施の形態と異なる構成についてのみ説明し、既に説明した実施の形態と同様の構成については、同一の符号を付与してその説明を省略する。
【0036】
(実施の形態2)
図6は、実施の形態2に係る室内機130の側面図である。実施の形態2の室内機130は、実施の形態1の室内機30と比較して、前後方向における漏洩検知センサ39の位置が異なる。
【0037】
実施の形態2において、漏洩検知センサ39は、外装底部35bのうちフラップ37側、すなわち、前方側の端部である、フラップ側端部35b2に設けられている。このため、漏洩検知センサ39は、吹出口36およびフラップ37に対して近接した位置にある。
【0038】
上述のように、可燃性冷媒の漏洩時において、カバー部材35の内側に充満した可燃性冷媒は、フラップ37と吹出口36との間の隙間から外側に流出し易い。このため、漏洩検知センサ39はフラップ37と吹出口36との間の隙間から流出する可燃性冷媒を検知し易い。
【0039】
以上のように、本実施の形態において、室内機30は、吹き出す空気を案内するフラップ37を有し、漏洩検知センサ39は、外装底部35bのうちフラップ37側の端部に設けられる。
これにより、漏洩検知センサ39は、フラップ37の周囲からカバー部材35の外部に流出する可燃性冷媒を検知し易くなる。このため、冷媒漏洩の検知の確実性を高めることができる。
【0040】
(実施の形態3)
図7は、実施の形態3に係る室内機230の正面図である。実施の形態3の室内機230は、実施の形態1の室内機30と比較して、カバー部材235の形状および漏洩検知センサ39の設置位置が異なる。
【0041】
実施の形態3において、外装底部235bは、室内機230の左右方向における中央が下方に位置する形状に湾曲している。すなわち、外装底部235bは、下端(最下位置)235b1が左右方向の中央に位置し、下端235b1から室内機230の左右方向外側に向けて、湾曲しながら上方に傾斜する方向に延びる2つの傾斜部235b2を有している。また、外装前面235aについても、その下縁は外装底部235bに沿って左右方向中央が下方に位置する形状に湾曲している。
【0042】
また、実施の形態3では、左右方向において、漏洩検知センサ39は外装底部235bの中央に位置している。すなわち、実施の形態3では、漏洩検知センサ39は、外装底部235bの下端235b1に設けられている。
【0043】
上述のように、実施の形態1から3の可燃性冷媒は空気に対する比重が約1.5のR290であるため、カバー部材235から流出した可燃性冷媒は、コアンダ効果によって、外装底部235bの傾斜部235b2に沿って左右方向中央の下端235b1まで流れる。このため、外装底部235bの下端235b1に設けられた漏洩検知センサ39は、可燃性冷媒を検知し易くなる。
【0044】
以上のように、本実施の形態において、外装底部235bは、室内機230の左右方向において上下に傾斜した傾斜部235b2を有し、漏洩検知センサ39は、外装底部235bの下端235b1に配置される。
これにより、コアンダ効果によって傾斜部235b2に沿って下端235b1まで流れる可燃性冷媒を、漏洩検知センサ39によって検知し易くなる。このため、冷媒漏洩の検知の確実性を高めることができる。
【0045】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1から3を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1から3で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0046】
上記実施の形態では、可燃性冷媒として、R290を用いると説明したが、可燃性冷媒は、漏洩時にコアンダ効果により外装底部35bに沿って流れるものであればよい。すなわち、可燃性冷媒としては、空気よりも比重の大きい冷媒を用いることができると考えられる。また、可燃性冷媒として、R290以上の比重を有する冷媒を用いることがより望ましい。望ましい可燃性冷媒としては、例えば、R600およびR600aが挙げられる。
さらに、これらの可燃性冷媒を単一冷媒として用いられてもよいし、R32、R1234yf、R1234ze、R1132(E)、HFO-1123等との2種以上が混合された混合冷媒として用いられてもよい。混合する冷媒は、例えば、大気圧下(例えば、温度は室温(25℃))において空気よりも大きい密度を有しているものが挙げられる。
【0047】
実施の形態1では、底面38aは背面パネル38に形成されていると説明したが、これは一例である。底面38aは、室内機30の背面側に形成されていればよいため、カバー部材35または据付板40に形成されていてもよい。また、底面38aの形状は、実施の形態1で説明した形状に限定されない。底面38aは、例えば、左右方向において反転した方向に傾斜する2つの傾斜面部38a1を有し、後方から見て凹形状であってもよい。この場合、漏洩検知センサ39は、左右方向において漏洩検知センサ39が占める位置が、底面38aの下端がと左右方向において占める位置と重なるように配置される。また、傾斜面部38a1は、平面ではなく曲面であってもよい。また、水平面部38a2は形成されていなくてもよい。
【0048】
実施の形態3では、外装底部235bの下端235b1は、外装底部235bの左右方向中央に位置すると説明したが、これは一例である。例えば、下端235b1は、外装底部235bにおいて、左右方向の中央から左右方向のどちらかにずれた位置に形成されていてもよい。
【0049】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【0050】
[上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成をサポートする。
【0051】
(付記)
(技術1)室外機と、室内の壁面に取り付けられる壁掛け型の室内機と、を含み、可燃性冷媒が充填される冷凍サイクル回路を備えた空気調和機であって、前記室内機は、前記可燃性冷媒の漏洩を検知する漏洩検知センサを備え、前記漏洩検知センサは、前記室内機の外装底部に設けられる、ことを特徴とする空気調和機。
これにより、室内機における可燃性冷媒の漏洩時には、外装底部に沿って流れる可燃性冷媒を漏洩検知センサによって検知し易くなる。このため、冷媒漏洩の検知の確実性を高めることができる。
【0052】
(技術2)前記漏洩検知センサは、前記外装底部のうち前記壁面側の端部に設けられる、ことを特徴とする技術1に記載の空気調和機。
これにより、壁面に沿って流れる可燃性冷媒を、漏洩検知センサによって検知し易くなる。そのため、冷媒漏洩の検知の確実性を高めることができる。
【0053】
(技術3)前記室内機は、吹き出す空気を案内するフラップを有し、前記漏洩検知センサは、前記外装底部のうち前記フラップ側の端部に設けられる、ことを特徴とする技術1に記載の空気調和機。
これにより、漏洩検知センサは、フラップの周囲からカバー部材35の外部に流出する可燃性冷媒を検知し易くなる。このため、冷媒漏洩の検知の確実性を高めることができる。
【0054】
(技術4)前記室内機の背面側には、上方に面する底面が設けられ、前記底面には、前記室内機の左右方向において上下に傾斜する傾斜面部が設けられ、前記室内機の左右方向において、前記漏洩検知センサが占める位置は、前記底面の下端が占める位置と重なる、ことを特徴とする技術1から3のいずれかに記載の空気調和機。
これにより、可燃性冷媒が傾斜面部に沿って漏洩検知センサに向けて流れ易くなる。このため、冷媒漏洩の検知の確実性を高めることができる。
【0055】
(技術5)前記外装底部は、前記室内機の左右方向において上下に傾斜し、前記漏洩検知センサは、前記外装底部の最下位置に配置される、ことを特徴とする技術1から4のいずれかに記載の空気調和機。
これにより、外装底部の傾斜に沿って外装底部の最下位置まで流れる可燃性冷媒を、漏洩検知センサによって検知し易くなる。このため、冷媒漏洩の検知の確実性を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本開示は、壁掛け型の室内機を有し、冷媒として可燃性冷媒を用いる空気調和機に適用可能である。具体的には、家庭用の空気調和機や、業務用の空気調和機などに、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 空気調和機
10 室外機
11 圧縮機
13 四方弁
15 室外熱交換器
17 膨張弁
19 室外送風機
21 冷媒配管接続部
23 冷媒配管接続部
30 室内機
31 室内熱交換器
33 室内送風機
35 カバー部材
35a 外装前面
35b 外装底部
35b1 背面側端部
35b2 フラップ側端部
36 吹出口
37 フラップ
38 背面パネル
38a 底面
38a1 傾斜面部
38a2 水平面部
38a3 境界点
39 漏洩検知センサ
40 据付板
130 室内機
230 室内機
235 カバー部材
235a 外装前面
235b 外装底部
235b1 下端(最下位置)
235b2 傾斜部
W 壁面