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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164489
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】給湯器
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/02 20060101AFI20241120BHJP
   F24H 9/00 20220101ALI20241120BHJP
   F24H 9/16 20220101ALI20241120BHJP
【FI】
F24H9/02 301Z
F24H9/00 B
F24H9/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079994
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100166017
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 和政
(72)【発明者】
【氏名】柿崎 友助
【テーマコード(参考)】
3L036
3L037
【Fターム(参考)】
3L036AA14
3L037AA02
3L037AB07
(57)【要約】
【課題】給湯器に関し、中和器を筐体に取り付けるための取付部を中和器に容易に取り付けやすく、管部を水抜き部に取り付ける際に管部と取付部との干渉を抑制しやすい技術を提供する。
【解決手段】中和器55の底部108に水抜き部107が設けられる。取付部70において、底部108を下方側から覆う下方被覆板71の一の縁部には凹部72が設けられる。凹部72は、一の縁部とは反対側の縁部に近づくにつれて幅が狭くなる幅縮小部74と、一の縁部とは反対側の端部に設けられた狭幅部76と、を有する。大径部107Aが狭幅部76に嵌まり込んだ構成で、水抜き部107が下方被覆板71よりも下方に突出する。小径部107Bが管部60内に挿入される構成で管部60が取り付けられる。大径部107Aの下端部は、狭幅部76の下端部と同位置又は下位置であり、大径部107Aの外径は、管部60の内径よりも大きい。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体内に収容される中和器と、前記中和器を前記筐体に取り付けるための取付部と、前記中和器に取り付けられる管部と、を備えた給湯器であって、
前記中和器は、中和剤を収容するケース体を備え、
前記ケース体の底部には、前記底部の底面から下方に突出するとともに前記ケース体内の空間から前記ケース体外へと通じる孔部を有する筒状の水抜き部が設けられ、
前記水抜き部は、当該水抜き部の基端側に配置される大径部と、前記大径部よりも先端側に延びるとともに前記大径部よりも外径が小さい小径部と、を有し、
前記取付部は、前記底部の一部を下方側から覆う下方被覆板と、前記下方被覆板と一体的に構成されるとともに前記筐体に対して直接的に又は他部材を介して間接的に固定される固定部と、を有し、
前記下方被覆板の一の縁部には、前記一の縁部とは反対側の縁部側に向かって凹むとともに前記下方被覆板の上方側の空間と下方側の空間とを連通させる凹部が形成され、
前記凹部は、前記反対側の縁部に近づくにつれて幅が狭くなる幅縮小部と、当該凹部における前記一の縁部とは反対側の端部に設けられた狭幅部と、を有し、
前記大径部が前記狭幅部に嵌まり込んだ構成で、前記水抜き部が前記凹部を上下に通過しつつ前記下方被覆板よりも下方に突出しており、
前記小径部が前記管部内に挿入される構成で前記管部が前記水抜き部に取り付けられ、
上下方向において、前記大径部の下端部が前記狭幅部の下端部と同位置又は前記狭幅部の下端部よりも下位置となっており、
前記大径部の外径は、前記管部の内径よりも大きい
給湯器。
【請求項2】
前記下方被覆板は、前記底部の一部を下方側から覆う板部と、前記板部から下方に向けて立ち下がった形状で前記凹部内の空間を囲む立下り部と、を有し、
前記立下り部の壁面が前記凹部の内壁面を構成する
請求項1に記載の給湯器。
【請求項3】
前記管部を締め付ける締付部材を有し、
前記締付部材は、前記小径部が前記管部内に挿し込まれて前記管部と前記小径部とが互いに連結された連結部分を、前記管部の外側から囲みつつ締め付け、
前記大径部の外径は、前記締付部材の内径よりも大きく、
前記大径部の下端部は、前記管部及び前記締付部材が前記大径部の下端部よりも上位置に移動することを規制する
請求項1又は請求項2に記載の給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示される給湯器は、中和器においてドレン抜き口が設けられている。このドレン抜き口は、ケース本体の底面から下方へ突出されて、下方からドレン抜き栓を差し込むことで閉塞されている。ドレン抜き口の根元には、樹脂製で帯板状の連結バンドのリング状の一端部が回転可能に外装され、連結バンドのリング状の他端部は、ドレン抜き栓の中間部に外装されている。よって、ドレン抜き栓は、ドレン抜き口から抜き取った際に落下することなく連結バンドによってドレン抜き口から吊り下げ支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-25704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の給湯器は、底板に開口部が形成されてり、この開口部に一部を挿し込むように中和器を底板に取り付ける構成であるため、中和器を底板に取り付ける際に開口部に良好に嵌まらない又は嵌まりにくい事態が想定され、作業性の面で改善の余地がある。
【0005】
本開示の目的の一つは、給湯器に関し、中和器を筐体に取り付けるための取付部を中和器に容易に取り付けやすく、管部を水抜き部に取り付ける際に管部と取付部との干渉を抑制しやすい技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一つである給湯器は、
筐体と、前記筐体内に収容される中和器と、前記中和器を前記筐体に取り付けるための取付部と、前記中和器に取り付けられる管部と、を備えた給湯器であって、
前記中和器は、中和剤を収容するケース体を備え、
前記ケース体の底部には、前記底部の底面から下方に突出するとともに前記ケース体内の空間から前記ケース体外へと通じる孔部を有する筒状の水抜き部が設けられ、
前記水抜き部は、当該水抜き部の基端側に配置される大径部と、前記大径部よりも先端側に延びるとともに前記大径部よりも外径が小さい小径部と、を有し、
前記取付部は、前記底部の一部を下方側から覆う下方被覆板と、前記下方被覆板と一体的に構成されるとともに前記筐体に対して直接的に又は他部材を介して間接的に固定される固定部と、を有し、
前記下方被覆板の一の縁部には、前記一の縁部とは反対側の縁部側に向かって凹むとともに前記下方被覆板の上方側の空間と下方側の空間とを連通させる凹部が形成され、
前記凹部は、前記反対側の縁部に近づくにつれて幅が狭くなる幅縮小部と、当該凹部における前記一の縁部とは反対側の端部に設けられた狭幅部と、を有し、
前記大径部が前記狭幅部に嵌まり込んだ構成で、前記水抜き部が前記凹部を上下に通過しつつ前記下方被覆板よりも下方に突出しており、
前記小径部が前記管部内に挿入される構成で前記管部が前記水抜き部に取り付けられ、
上下方向において、前記大径部の下端部が前記狭幅部の下端部と同位置又は前記狭幅部の下端部よりも下位置となっており、
前記大径部の外径は、前記管部の内径よりも大きい。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る技術によれば、中和器を筐体に取り付けるための取付部を中和器に容易に取り付けやすく、管部を水抜き部に取り付ける際に管部と取付部との干渉を抑制しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る給湯器用の中和器を備えた給湯器を例示する給湯回路図である。
図2図2は、図1の給湯器における筐体の一部や中和器等を例示する斜視図である。
図3図3は、第1実施形態に係る給湯器用の中和器を斜め前方側且つ上方側から見た斜視図である
図4図4は、図3の中和器を斜め後方側且つ上方側から見た斜視図である。
図5図5は、図3の中和器の平面図である。
図6図6は、図3の中和器の側面図である。
図7図7は、図3の中和器に対して取付部及び管部が取り付けられた構造を斜め前方側且つ上方側から見た斜視図である。
図8図6のB-B位置で切断した構造を、斜め前方側且つ上方側から見た断面斜視図である。
図9図9は、図8の一部を拡大して示す拡大図である。
図10図10は、中和器と取付部とが分離した構造を斜め前方側且つ下方側か見た斜視図である。
図11図11は、中和器と取付部とが分離した構造を下方側から見た図である。
図12図12は、図10の状態から変化させて中和器に取付部を組付けた構造を斜め前方側且つ下方側から見た斜視図である。
図13図13は、図11の状態から変化させて中和器に取付部を組付けた構造を下方側か見た図である。
図14図14は、図12の状態から変化させて中和器に管部を組付けた構造を斜め前方側且つ下方側か見た斜視図である。
図15図15は、図13の状態から変化させて中和器に管部を組付けた構造を下方側から見た図である。
図16図16は、図14の状態から変化させて中和器にドレン排出管を組付けた構造を斜め前方側且つ下方側か見た斜視図である。
図17図17は、図15の状態から変化させて中和器にドレン排出管を組付けた構造を下方側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の〔1〕~〔3〕の各々は、本開示に含まれる特徴的技術の一例である。
【0010】
〔1〕筐体と、前記筐体内に収容される中和器と、前記中和器を前記筐体に取り付けるための取付部と、前記中和器に取り付けられる管部と、を備えた給湯器であって、
前記中和器は、中和剤を収容するケース体を備え、
前記ケース体の底部には、前記底部の底面から下方に突出するとともに前記ケース体内の空間から前記ケース体外へと通じる孔部を有する筒状の水抜き部が設けられ、
前記水抜き部は、当該水抜き部の基端側に配置される大径部と、前記大径部よりも先端側に延びるとともに前記大径部よりも外径が小さい小径部と、を有し、
前記取付部は、前記底部の一部を下方側から覆う下方被覆板と、前記下方被覆板と一体的に構成されるとともに前記筐体に対して直接的に又は他部材を介して間接的に固定される固定部と、を有し、
前記下方被覆板の一の縁部には、前記一の縁部とは反対側の縁部側に向かって凹むとともに前記下方被覆板の上方側の空間と下方側の空間とを連通させる凹部が形成され、
前記凹部は、前記反対側の縁部に近づくにつれて幅が狭くなる幅縮小部と、当該凹部における前記一の縁部とは反対側の端部に設けられた狭幅部と、を有し、
前記大径部が前記狭幅部に嵌まり込んだ構成で、前記水抜き部が前記凹部を上下に通過しつつ前記下方被覆板よりも下方に突出しており、
前記小径部が前記管部内に挿入される構成で前記管部が前記水抜き部に取り付けられ、
上下方向において、前記大径部の下端部が前記狭幅部の下端部と同位置又は前記狭幅部の下端部よりも下位置となっており、
前記大径部の外径は、前記管部の内径よりも大きい
給湯器。
【0011】
上記〔1〕の給湯器は、下方被覆板に設けられた凹部において幅縮小部と狭幅部が設けられているため、水抜き部を凹部の外側から内側に入り込ませる案内作業を容易に行うことができ、その後、大径部を狭幅部に嵌め込むように安定的に位置決めすることができる。そして、大径部が狭幅部に嵌まり込んだ状態では、水抜き部が凹部を上下に通過しつつ下方被覆板よりも下方に突出しており、大径部の下端部が狭幅部の下端部と同位置又は狭幅部の下端部よりも下位置となっているため、小径部を管部内に挿入する構成で管部を水抜き部に取り付ける際に、管部が大径部の下端部よりも上位置に入り込みにくい。よって、過剰な挿し込みを規制することができ、管部と凹部との干渉を抑制しやすい。
【0012】
〔2〕前記下方被覆板は、前記底部の一部を下方側から覆う板部と、前記板部から下方に向けて立ち下がった形状で前記凹部内の空間を囲む立下り部と、を有し、
前記立下り部の壁面が前記凹部の内壁面を構成する
〔1〕に記載の給湯器。
【0013】
上記〔2〕の給湯器は、凹部の内壁の全部を板部の端部のエッジによって構成するのではなく、立下り部の壁面が凹部の内壁面を構成するため、凹部の内壁付近において局所的に過大な応力が生じることを抑えることができる。
【0014】
〔3〕前記管部を締め付ける締付部材を有し、
前記締付部材は、前記小径部が前記管部内に挿し込まれて前記管部と前記小径部とが互いに連結された連結部分を、前記管部の外側から囲みつつ締め付け、
前記大径部の外径は、前記締付部材の内径よりも大きく、
前記大径部の下端部は、前記管部及び前記締付部材が前記大径部の下端部よりも上位置に移動することを規制する
〔1〕又は〔2〕に記載の給湯器。
【0015】
上記〔3〕の給湯器は、連結部分を締付部材によって強固に締め付けることができ、且つ、管部と締付部材の両方が凹部と干渉しにくい。
【0016】
<第1実施形態>
以下の説明は、第1実施形態に関する。
1-1.給湯器1の基本構成
図1は、給湯器1の概略回路図である。図1に例示される給湯器1は、潜熱回収型の給湯器であり、浴槽への給湯や追い炊き機能を備えたふろ給湯器である。給湯器1は、筐体1A(図2)内に収容される内胴2内において給湯燃焼室4と風呂燃焼室5とが設けられ、給湯燃焼室4と風呂燃焼室5とが仕切部材3によって仕切られた構成をなす。なお、図2では、筐体1Aの前面カバーが省略して示され、筐体1A内の大部分の部品が省略して示されている。筐体1A(図2)内において、図1に示される各燃焼室4,5の下部には、複数のバーナからなる給湯バーナ6,6・・と風呂バーナ7とが設けられている。各燃焼室4,5には、点火プラグ8とフレームロッド9とがそれぞれ設けられている。内胴2の下部には、各バーナ6,7へ燃焼用空気を供給する燃焼ファン10が設けられている。給湯燃焼室4内の上部には、給湯バーナ6の燃焼排気が通過する給湯一次熱交換器11と給湯二次熱交換器12とが設けられている。風呂燃焼室5の上部には、風呂バーナ7の燃焼排気が通過する風呂一次熱交換器13と風呂二次熱交換器14とが設けられる。各二次熱交換器12,14は、内胴2の上部に設けられた排気フード15内に収容されている。排気フード15には、各二次熱交換器12,14を通過した燃焼排気を排出する排気口16が形成されている。
【0017】
図1のように、給湯器1には、外部からのガス配管が接続されるガス管17が設けられている。各給湯バーナ6と風呂バーナ7とには、ガス管17から分岐するガス分岐管18,18・・がそれぞれ接続されると共に、各ガス分岐管18には、ガス流路を開閉するガス電磁弁19がそれぞれ設けられている。分岐前のガス管17には、上流側から元ガス電磁弁20、ガス比例弁21がそれぞれ設けられている。
【0018】
図1に示される給湯二次熱交換器12の吸熱管の入口には、給水管22が接続される。給水管22には、上流側から、水抜き栓を備えたストレーナ23と、給水管22を流れる水量を検出する給湯水量センサ24と、入水温度を検出する給湯入水サーミスタ25と、水量制御モータ26とが設けられている。吸熱管の出口は、給湯一次熱交換器11の伝熱管の入口に接続され、伝熱管の出口には、筐体底面の湯出口に接続される出湯管27が接続される。出湯管27には、給湯一次熱交換器11からの出口温度を検出する給湯熱交換器サーミスタ28が設けられ、その下流側で器具からの出湯温度を検出する給湯出湯サーミスタ29とが設けられる。出湯管27における給湯出湯サーミスタ29の上流側と、給水管22における水量制御モータ26の下流側との間には、給湯一次、二次熱交換器11,12をバイパスするバイパス管30が接続され、バイパス管30には、バイパス流量を制御する水分配弁31が設けられている。筐体1A(図2)内には、図1のように、給水管22からの水が給湯二次熱交換器12、給湯一次熱交換器11の順に通過して給湯バーナ6の燃焼排気と熱交換して加熱された後、出湯管27から出湯されるように給湯回路Aが形成される。
【0019】
風呂二次熱交換器14の吸熱管の入口には、戻り管35が接続される。風呂戻り口は、外部戻り管36を介して浴槽37と接続される。また、戻り管35の下流側にはポンプ38が設けられ、ポンプ38の上流側には、風呂戻り温度を検出する風呂戻りサーミスタ39が設けられて、ポンプ38の下流側には、風呂水流スイッチ40と水位センサ41とが設けられる。風呂二次熱交換器14の吸熱管の出口は、風呂一次熱交換器13の伝熱管の入口に接続され、伝熱管の出口には往き管42が接続される。風呂戻り口は、外部往き管43を介して浴槽37と接続される。往き管42には、風呂往き温度を検出する風呂往きサーミスタ44が設けられている。筐体1A(図2)内には、図1のように、ポンプ38の運転によって浴槽37の湯水が戻り管35から風呂二次熱交換器14、風呂一次熱交換器13の順に通過して風呂バーナ7の燃焼排気と熱交換して加熱された後、往き管42から浴槽37に戻るように風呂回路B(循環回路)が形成される。
【0020】
出湯管27におけるバイパス管30より下流側と、戻り管35におけるポンプ38よりも上流側との間には、落とし込み管45が接続される。落とし込み管45には、落とし込み水電磁弁46及び風呂水量センサ47がそれぞれ設けられている。風呂水量センサ47の上流側と下流側とには、2つの逆止弁48,48がそれぞれ設けられ、上流側の逆止弁48と風呂水量センサ47との間には、縁切弁49が接続されている。縁切弁49は、筐体1A(図2)の底面に設けられたオーバーフロー口に接続される排水管50と、給水管22におけるストレーナ23の下流側と接続された導入管51とが接続されて、戻り管35からの逆流で高まった落とし込み管45内の湯水の内圧が導入管51から加わる背圧より高くなると、落とし込み管45から逆流した湯水を、排水管50を介してオーバーフロー口へ排出するものである。
【0021】
図2のように、筐体1A内には、図1に示される給湯二次熱交換器12及び風呂二次熱交換器14で生じたドレンを中和するための中和器55が設けられている。中和器55は、ドレン導入管57に接続され、ドレン導入管57によって案内されたドレンを中和する。ドレン導入管57は、排気フード15の底面に設けられたドレン受け56から流れ出たドレンを中和器55に誘導する。中和器55の詳細は後述される。
【0022】
コントローラ65は、各種情報処理や各種制御を行う制御装置である。コントローラ65は、例えば、各サーミスタやセンサ等の検出信号を受けて各弁等を動作させ、出湯温制御や浴槽37への湯張り制御等を行う。給湯リモコン66、風呂リモコン67は、給湯器本体(給湯器1から給湯リモコン66及び風呂リモコン67を除いた部分)を遠隔操作するための操作装置である。
【0023】
1-2.中和器55
中和器55は、図3図6のような形状をなす。図3図4のように、中和器55は、中和剤を収容するケース体55Aを備える。このケース体55Aは、ケース本体部100と蓋部150とによって構成される。ケース体55Aは、全体として上下に長い偏平の箱状形態をなし、中和器55全体も全体として上下に長い偏平の箱状形態をなす。図5のようにケース体55Aを平面視した形状は前後に長い長手状をなし、中和器55全体を平面視した形状も前後に長い長手状をなす。ケース体55Aを図6のように側面視した形状は上下に長い長手状をなし、中和器55全体を図6のように側面視した形状も上下に長い長手状をなす。中和器55は、内部に中和剤が収容される器具であり、中和剤が収容される収容空間にドレンを流して中和を促進し、この収容空間を通ったドレンを排出口106から排出するように機能する。具体的には、中和器55では、ケース本体部100内において中和剤が充填されており、このように中和剤が充填された状態で蓋部150によって上端の開口部100B(図8)が閉塞されている。
【0024】
図6のように、ケース本体部100は、ドレンを排出する排出口106を備えた底部108と、底部108に連結される周壁部110(図3)とを備え、上下方向を長手方向とする有底の箱状形態をなす。ケース本体部100を平面視した形状は、前後に長い長手状であり、具体的には矩形形状をなす。ケース本体部100を側面視した形状は、上下に長い長手状であり、具体的には矩形形状をなす。図3図4のように、周壁部110は、第1方向一方側から他方側に延びるとともに底部108から立ち上がる第1起立壁111及び第2起立壁112と、底部108(図8)から立ち上がる第3起立壁113及び第4起立壁114と、を備える。ケース本体部100は、周壁部110の内側に中和剤を収容する収容部を構成する。本明細書では、上下方向と直交する所定方向が第1方向である。そして、上下方向と第1方向とに直交する方向が第2方向である。図3図6の例では、平坦に構成される第1起立壁111の長手方向が上下方向であり、第1起立壁111の短手方向が第1方向である。以下の説明では、第1方向は前後方向とも称される。第2方向は、左右方向とも称される。前後方向一方側は前方側とも称され、前後方向他方側は後方側とも称される。左右方向一方側は右方側とも称され、左右方向他方側は左方側とも称される。
【0025】
図3図4のように、第1起立壁111と第2起立壁112とが第1方向(前後方向)と直交する第2方向(左右方向)において互いに対向する。第3起立壁113及び第4起立壁114は、第1起立壁111及び第2起立壁112の第1方向両側(前後両側)にそれぞれ連結される。本実施形態では、第1方向(前後方向)において第3起立壁113側が前側であり、第4起立壁114側が後ろ側である。第1起立壁111及び第2起立壁112は、平坦な板状の構成をなし、いずれも板厚方向が左右方向とされる。第1起立壁111及び第2起立壁112の各々は、上下方向の長さが前後方向の長さよりも大きい長手状をなしており、側面視矩形状をなしている。第1起立壁111及び第2起立壁112の各々は、第1方向に沿って延びるように配置される。第1起立壁111及び第2起立壁112の各々の表面は、大部分の領域が左右方向と直交する平坦面として構成されている。第1起立壁111及び第2起立壁112の各々の裏面(内面)も、大部分の領域が左右方向と直交する平坦面として構成されている。第3起立壁113及び第4起立壁114の各々は、上下方向の長さが左右方向の長さよりも大きい長手状をなしている。ケース本体部100の内部空間は、第1起立壁111及び第2起立壁112によって左右両側から覆われ、第3起立壁113及び第4起立壁114によって前後両側から覆われ、底部108によって下側から覆われる。このような構成により、ケース本体部100は、上端部に開口部100B(図8)が設けられた開放形状且つ箱状をなす。ケース本体部100は、第1方向の幅(前後幅)が第2方向の幅(左右幅)よりも大きい偏平形状をなしている。
【0026】
ケース本体部100の内部には、収容部100A(図8)内の空間を仕切る複数の仕切部(図示省略)が設けられ、これら仕切部、第1起立壁111、第2起立壁112、第3起立壁113、第4起立壁114、底部108によってドレンを流す流路140(図8等)が構成されている。図8図9には、流路140の一部が示される。
【0027】
ケース本体部100の底部108には、排出口106が設けられる。排出口106には、ドレン排出管58(図1図2)が接続される。排出口106は、中和器55内を流れたドレンを排出する出口であり、底部108に設けられた貫通孔部として構成される。ケース本体部100内において排出口106付近まで流れたドレンは、排出口106を通って流れ落ちるように外部に排出される。排出口106を通って排出されたドレンは、ドレン排出管58を流れて給湯器1の外部に排出される。
【0028】
本実施形態では、図8図9のように、流路140の底部108において、ドレンを排出するための水抜き部107が設けられる。水抜き部107は、底部108の後端寄りの位置に設けられ、上下に貫通した貫通孔を有している。なお、給湯器1には、水抜き部107を介しての排出経路を閉じる構成で開閉栓90(図1)が設けられている。図1では、開閉栓90が概念的に示される。開閉栓90は、水抜き部107からの排出経路を開閉する部品である。開閉栓90が上記排出経路を閉じた状態では水抜き部107からの排出が止められ、上記排出経路を開放するように開閉栓90(図1)が取り外されると、水抜き部107から流れ落ちるようにドレンが排出される。開閉栓90は、水抜き部107から流れ出る経路を開放及び遮断し得る栓であればよく、水抜き部107の孔を塞いだり開放したりする栓であってもよく、水抜き部107に接続された管を閉塞したり開放したりする栓であってもよい。なお、水抜き部107付近の詳細は後述される。
【0029】
図3図6のように、蓋部150は、ケース本体部100の上端部に設けられた開口部100B(図8)を閉塞する蓋として機能する。図5のように、蓋部150は、平面視矩形形状をなす。蓋部150は、前後方向を長手方向とし、左右方向を短手方向とする長手状に構成される。蓋部150は、ケース本体部100の収容部100A(図8)を上方から覆うようにケース本体部100の上端側に連結され、開口部100B(図8)を閉塞する。
【0030】
図3図4のように、蓋部150は、ケース本体部100の上端部の開口部100B(図8)を部分的に閉塞する板状の蓋板151と、蓋板151から上方に盛り上がるように膨出する膨出部152とを備える。図5のように、蓋部150において第1方向一方側(前端側)且つ導入口160よりも第2方向一方側(右方側)の所定位置には、当該所定位置の下方の水位を検出する水位検知部59が設けられている。水位検知部59は、複数の電極181,182を備える。
【0031】
図4図5のように、蓋部150の膨出部152には、中和器55の外部からドレンを導入するための導入口160が設けられる。蓋部150において、第1方向一方側の端部寄り(前端部寄り)に導入口160が設けられる。導入口160は、ドレン導入管57(図2)が接続される部位である。導入口160は、ドレン導入管57の端部の開口に差し込まれる構成で接続される。導入口160は、上方側に突出し、上端側に開口部が設けられる管部162を備える。管部162は、上位置となるにつれて第1方向他方側(後方側)となるように上下方向に対して傾斜して設けられる。なお、図4の例では、管部162にドレン導入管57が接続された状態でこれらを固定するための固定部材158も設けられている。管部162の上端の開口部は、上側且つ後方側に向いた構成で配置される。管部162の下端部の開口部は、ケース本体部100の内部空間と連通して配置され、管部162を通って入り込んだドレンがケース本体部100の内部に流れ込むようになっている。
【0032】
1-3.中和器55の取付構造
図2のように、給湯器1の筐体1Aの内部には、中和器55が収容されている。そして、筐体1Aの内部には、中和器55に取り付けられる構成でドレン導入管57やドレン排出管58が設けられており、水抜き管として機能する管部60も中和器55に取り付けられる構成で筐体1Aの内部に設けられている。そして、中和器55は、取付部70によって筐体1Aに取り付けられている。
【0033】
図2のように、取付部70は、筐体1Aの内部に収容され、中和器55を筐体1Aに取り付けるための部材とされている。図2の例では、中和器55がネジ等の締結部材190(固定部材)によって取付部70に固定され、取付部70がネジ等の締結部材192(固定部材)によって筐体1Aに固定される構成をなす。
【0034】
図9図10のように、取付部70は、底部108の一部を下方側から覆う下方被覆板71と、下方被覆板71と一体的に構成されるとともに筐体1Aに対して固定される固定部80と、を有する。更に、取付部70には、一対の案内壁81,82によって構成される案内部やケース体55Aに固定されるための固定片86なども設けられている。取付部70は、下方被覆板71、固定部80、案内壁81,82のいずれもが板状に構成され、例えば、一体的な金属板材を折り曲げ加工した形で下方被覆板71、固定部80、案内壁81,82、固定片86が一体的に構成されている。
【0035】
図10のように、下方被覆板71は、金属材料が板状に構成された部分であり、中和器55の後端側において底部108を部分的に覆うように構成される部分である。下方被覆板71の一の縁部(本実施形態では、下方被覆板71前端の縁を構成する前端縁部)には、この一の縁部(前端縁部)とは反対側の縁部(具体的には、下方被覆板71後端の縁を構成する後端縁部)側に向かって後方側に凹むとともに下方被覆板71の上方側の空間と下方側の空間とを連通させる凹部72が形成されている。図10の例では、凹部72は、後方側に向かって凹んだ形態で切り欠かれた切り欠き部として構成されている。凹部72内の空間と、凹部72の上方の空間と、凹部72の下方の空間とが連通しており、凹部72の上方側から凹部72内を通って凹部72の下方側に物体が挿し通される構成をなしている。
【0036】
図9図10のように、下方被覆板71は、底部108の一部を下方側から覆う平坦な板として構成される板部71Aと、板部71Aから下方に向けて立ち下がった形状で凹部72内の空間を囲むように配置される立下り部71Bと、を有する。立下り部71Bの壁面は、凹部72の内壁面を構成する。立下り部71Bは、板部71Aの下側の板面(下面)よりも下方に突出するようにリブ状に立ち下がっている。板部71Aの上面における凹部72付近の縁部領域及び当該縁部領域の周囲領域は平坦面となっており、この平坦面が、底部108の下面における大径部107Aの周囲の領域を案内する案内面となっている。後述の取付作業の際に大径部107Aの全体が凹部72内に配置されているときには、底部108の下面における大径部107Aの周囲の領域は、上記平坦面に接触しながら上記平坦面に沿ってスライドすることができ、上記平坦面に沿って案内されうる。図10の例では、立下り部71Bは、凹部72の全範囲に及ぶように形成されており、凹部72の内縁部の全範囲において立下り部71Bによる凸部が構成されている。
【0037】
図10図11のように、凹部72は、凹部72における一の縁部(前端縁部)とは反対側の端部に設けられた狭幅部76と、上記反対側の縁部(後端縁部)に近づくにつれて次第に幅が狭くなる幅縮小部74とを有する。図10図11のように、幅縮小部74は、下方被覆板71の前側端部を起点として後方側となるにつれて幅が次第に狭くなるように構成されている。なお、図10の例では、左右方向(第2方向)が凹部72の幅方向である。図10の例では、幅縮小部74は、一対の内縁部によって構成されている。幅縮小部74では、一方の内縁部に対して他方の内縁部が傾斜しており、後方側となるにつれて幅(内縁部の離間幅)が小さくなるように連続的に幅が変化する。図11の例では、幅縮小部74における左右方向一方側(右方側)の第1内縁部と幅縮小部74における左右方向他方側(左方側)の第2内縁部とが左右に向かい合って配置され、第1内縁部と第2内縁部の左右方向の距離が上記幅(内縁部の離間幅)とされている。第1内縁部は、前後方向に沿って延びており、第2内縁部は第1内縁部に対して傾斜している。第2内縁部の後方には、前後方向に沿って延びる内縁部が続いている。つまり、第2内縁部の後端は、第1内縁部に対して傾斜している領域の後端であり、幅縮小部74の後端でもある。凹部72において、幅縮小部74の後端よりも後方の部分が狭幅部76である。図11のように、狭幅部76は、幅縮小部74の後方側に連続して設けられており、幅縮小部74の最小幅(図11の例では幅縮小部74の後端の幅)と同程度の幅(より具体的には、後述される大径部107Aの径と同程度の幅)で前後方向に一定領域続く部分と、凹部72の後端部を構成する部分と、を有している。凹部72の後端部を構成する部分は、湾曲した内縁を有している。凹部72の後端部を構成する部分の内周面は、大径部107Aの外周面と同等の曲率の湾曲面であり、図12図13のように大径部107Aが凹部72に対して正規位置に配置されたときに、大径部107Aの外周面の周方向所定範囲にわたって当該外周面に接触するように配置される。
【0038】
図9図10のように、案内壁81,82は、下方被覆板71の板部71Aの左右両側から上方に立ち上がるように構成される。案内壁81は、下方被覆板71の左右方向一方側の端部(右端部)から略直角に立ち上がるように上方に突出する。案内壁81は、前後方向に沿って前後に延びている。案内壁82は、下方被覆板71の左右方向他方側の端部(左端部)から略直角に立ち上がるように上方に突出する。案内壁82は、前後方向に沿って前後に延びている。案内壁81,82の間隔(左右の幅)は、前後方向所定範囲において一定であり、具体的には、第1起立壁111の平坦板部分と第2起立壁112の平坦板部分の幅と同程度又はこれよりもやや大きい幅となっている。案内壁81,82は、図10図11の状態から図12図13の状態に変化させる際に、ケース体55Aの下端部且つ後端部付近を差し込んで後方側に案内するための部分である。なお、図11には、被固定部120を固定するための締結部材190も図示されている。
【0039】
図10図11のように、案内壁82の前端部には、案内壁82から外側に折れ曲がる構成で固定片86が板状に構成されている。固定片86は、ケース体55Aの周壁部の外面(具体的には、第2起立壁112(図7)の外面の大部分をなす平坦面)から突出する形態で設けられた被固定部120に固定される部分である。図2図7図13の例では、固定片86がネジ等の締結部材(固定部材)190によって被固定部120に固定される。
【0040】
図8のように、固定部80は、下方被覆板71の板部71Aにおける後端部から上方に立ち上がるように構成される。図8の例では、固定部80は、板部71Aの後端部から略直角に立ち上がるように上方に突出し、板状の形態をなす。図2の例では、固定部80は、筐体1Aの背面部(背面板)に接触する形で筐体1Aに対してネジ等の締結部材(固定部材)192によって直接的に固定されるが、固定部80と筐体1Aとの間に1以上の他部材が介在し、固定部80が1以上の他部材を介して筐体1Aに対して間接的に固定されてもよい。例えば、固定部80に対して間接部材(例えば金属板材を折り曲げてなる金属板材)が接触する形で固定部80が間接部材に固定され、この間接部材が筐体1Aの背面部に接触する形で筐体1Aに固定されていてもよい。なお、このような間接部材は、1つの部材によって構成されるもの限定されず、複数の部材が互いに固定された構成で間接部材が構成されていてもよい。
【0041】
図10のように、ケース体55Aを構成するケース本体部100の底部108には、水抜き部107が設けられる。図8図9のうように、水抜き部107は、底部108の下面から下方に突出するとともにケース体55A内の空間からケース体55A外へと通じる孔部107Cを有する筒状の形態をなす。底部108の下面は、板状に構成された底部108の下側の板面であり、例えば、上下方向と直交する向きの平坦面である。水抜き部107は、水抜き部107の基端側(底部108側)に配置される大径部107Aと、大径部107Aよりも先端側に延びるとともに大径部107Aよりも外径が小さい小径部107Bと、を有する。大径部107Aは、底部108に対して段差状に配置され、小径部107Bよりも底部108に近い側に配置される。図9の例では、大径部107Aの内径と小径部107Bの内径は同一である。
【0042】
このように構成された取付部70を中和器55に取り付ける場合、図10図11のように中和器55が取付部70から離脱した状態から、水抜き部107を凹部72内に入り込ませるように案内しながら取り付けることができる。水抜き部107を凹部72内に入り込ませる際には、案内壁81,82の間にケース体55Aの下端部後端付近を入り込ませつつ、大径部107Aを凹部内の空間に配置しながら板部71Aに沿って底部108をスライドさせて案内することで、図12図13のように大径部107Aを狭幅部76に嵌め込み且つ板部71Aの上面によって底部108の下面を支持するように配置することができる。図12のように、大径部107Aを狭幅部76に嵌め込んだ状態では、固定片86と被固定部120とが重なるようになっており、図13のように、これら固定片86及び被固定部120を締結部材190によって固定することにより、大径部107Aを狭幅部76に嵌め込んだ状態、板部71Aの上面によって底部108の下面を支持した状態、且つ案内壁81,82によってケース体55Aの下端部付近を挟み込んだ状態で固定しつつ保持することができる。
【0043】
図13のように中和器55を固定した後、図14図15のように管部60を水抜き部107に取り付けることにより、水抜き部107と管部60を連通させることができる。図12図13のように大径部107Aが狭幅部76に嵌まり込んだ構成では、水抜き部107が凹部72を上下に通過しつつ下方被覆板71よりも下方に突出しており、具体的には、上下方向において、大径部107Aの下端部が狭幅部76の下端部と同位置又は狭幅部76の下端部よりも下位置となっており、より具体的には、上下方向において、大径部107Aの下端部が立下り部71Bの下端部と同位置又は立下り部71Bの下端部よりも下位置となっている。図9の例では、大径部107Aの下端部が狭幅部76の下端部(具体的には立下り部71Bの下端部)よりも下位置であるが、同位置であってもよい。図12図13のように大径部107Aが狭幅部76に嵌まり込んだ構成では、図9のように、少なくとも小径部107Bが下方被覆板71の下端部(具体的には立下り部71Bの下端部)よりも下方に突出する。図9の例では、このように突出する小径部107Bが管部60内に挿入される構成で管部60が水抜き部107に取り付けられている。管部60内は、ゴムや樹脂などの伸縮性を有する材料であってもよく、その他の材料であってもよい。管部60の端部の開口から管部60内に小径部107Bが挿し込まれ、小径部107Bの外周面と管部60の端部付近の内周面とが密着している。
【0044】
図9の例では、大径部107Aの外径が、管部60の内径よりも大きくなっており、管部60内に大径部107Aが嵌まり込まないようになっている。図9の例では、大径部107Aは、円筒状に構成される。大径部107Aの外周面の大部分又は全部が、所定の外径の円筒面とされている。本実施形態では、大径部107Aにおける円筒面として構成される外周面の外径が「大径部107Aの外径」である。
【0045】
小径部107Bも円筒状に構成される。小径部107Bの大部分の領域(具体的には、大径部107Aの先端から一定範囲の領域)の外周面は、大径部107Aの外周面よりも径の小さい円筒面とされている。本実施形態では、小径部107Bにおける円筒面として構成される外周面の外径が「小径部107Bの外径」である。図9の例では、大径部107Aと小径部107Bの境界部が段差状に構成される。大径部107Aと小径部107Bの境界部から大径部107A側において円筒面として構成される外周面が続いており、この外周面の径が「大径部107Aの外径」となっている。一方、大径部107Aと小径部107Bの境界部から小径部107B側において円筒面として構成される外周面が続いており、この外周面の径が「小径部107Bの外径」となっている。図9の例では、大径部107Aの外径は、小径部107Bが管部60内に挿し込まれて連結された連結部分(管部60が小径部107Bの外周面を周方向全体にわたって覆う部分)における大径部107A側の端部の外径よりも大きい。
【0046】
図9のように、管部60を締め付ける構成で締付部材170が設けられている。締付部材170は、例えば公知のホースバンドとして構成される。締付部材170がホースバンドとして構成される場合、締付部材170は、金属材料によって構成されていてもよく、樹脂材料によって構成されていてもよく、その他の材料によって構成されていてもよい。締付部材170は、小径部107Bが管部60内に挿し込まれて管部60と小径部107Bとが互いに連結された連結部分(管部60が小径部107Bの外周面を周方向全体にわたって覆う部分)を、管部60の外側から囲みつつ締め付ける。締付部材170が管部60を外側から締め付ける部分では、締め付けられた管部60が周方向全体的に小径部107Bの外周面に押し当てられ、強固に密着しつつ固定される。なお、図9の例では、大径部107Aの外径は、上記連結部分を締め付けるように配置された締付部材170の内径よりも大きくなっている。大径部107Aの下端部は、管部60及び締付部材170が大径部107Aの下端部よりも上位置に移動することを規制するようになっている。大径部107Aの外径は、締付部材170の外径よりも大きくてもよく、締付部材170の外径よりも小さくてもよい。
【0047】
1-4.効果の例
給湯器1は、下方被覆板71に設けられた凹部72において幅縮小部74と狭幅部76が設けられているため、水抜き部107を凹部72の外側から内側に入り込ませる案内作業を容易に行うことができ、その後、大径部107Aを狭幅部76に嵌め込むように安定的に位置決めすることができる。そして、大径部107Aが狭幅部76に嵌まり込んだ状態では、水抜き部107が凹部72を上下に通過しつつ下方被覆板71よりも下方に突出しており、大径部107Aの下端部が狭幅部76の下端部と同位置又は狭幅部76の下端部よりも下位置となっているため、小径部107Bを管部60内に挿入する構成で管部60を水抜き部107に取り付ける際に、管部60が大径部107Aの下端部よりも上位置に入り込みにくい。よって、過剰な挿し込みを規制することができ、管部60と凹部72との干渉を抑制しやすい。
【0048】
給湯器1は、凹部72の内壁の全部を板部の端部のエッジによって構成するのではなく、立下り部71Bの壁面が凹部72の内壁面を構成するため、凹部72の内壁付近において局所的に過大な応力が生じることを抑えることができる。
【0049】
給湯器1は、連結部分を締付部材170によって強固に締め付けることができ、且つ、管部60と締付部材170の両方が凹部72と干渉しにくい。
【0050】
<他の実施形態>
本発明は、上記記述及び図面によって説明された実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。さらに、上述された実施形態は、次のように変更されてもよい。
【0051】
上述された実施形態では、水抜き部が円筒状の形態であったが、これ以外の筒状形態であってもよい。例えば、水抜き部は、角筒状であってもよい。
【0052】
上述された実施形態では、締付部材の例として、ホースバンドが例示されるが、この例に限定されない。締付部材は、管部60において水抜き部107の外周部を囲む部分を締め付ける構成であればよく、上記囲む部分の外周面(管部60の外周面)を囲みつつ当該囲む部分における管部60の径を縮小させる方向に力を加えるように周方向の一部又は全体にわたって押圧しうる構成であればよい。例えばワイヤなどの線状部材が巻き回された構成であってもよい。
【0053】
上述された実施形態では、給湯器1に風呂側回路が設けられているが、風呂側回路が設けられていなくてもよい。つまり、風呂側回路を有さない給湯器において、上述の中和器55が設けられていてもよい。
【0054】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0055】
1 :給湯器
1A :筐体
55 :中和器
55A :ケース体
60 :管部
70 :取付部
71 :下方被覆板
71A :板部
71B :立下り部
72 :凹部
74 :幅縮小部
76 :狭幅部
80 :固定部
106 :排出口
107 :水抜き部
107A :大径部
107B :小径部
108 :底部
170 :締付部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17