(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164490
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
E05B 47/00 20060101AFI20241120BHJP
B60R 15/04 20060101ALI20241120BHJP
B60P 3/00 20060101ALI20241120BHJP
E05F 15/611 20150101ALI20241120BHJP
E05B 83/16 20140101ALI20241120BHJP
【FI】
E05B47/00 K
B60R15/04
B60P3/00 W
E05F15/611
E05B83/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079996
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000191353
【氏名又は名称】新明工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角田 一文
(72)【発明者】
【氏名】可児 守史
【テーマコード(参考)】
2E052
2E250
3D024
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052BA01
2E052CA06
2E052DA02
2E052EA01
2E052EC01
2E250AA21
2E250CC27
2E250HH01
2E250LL01
2E250RR11
2E250SS09
2E250UU03
2E250VV01
3D024DA02
(57)【要約】
【課題】用便及び更衣等のための個別空間(トイレ室、化粧室)が車室内に設けられた車両であって、その個別空間に利用者がいるときに、利用者以外の者(他者)の操作によって個別空間を開閉する車両ドアが開けられてしまうことを回避できる車両を提供する。
【解決手段】車両は、個別空間を開閉する車両ドアが開くときに作動する電動機と、個別空間の利用者によって操作される利用者操作器が特定状態である場合に電動機の作動を禁止する禁止手段と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両であって、
前記車両内に設けられた個別空間を開閉する車両ドアが開くときに作動する電動機と、
前記個別空間の利用者によって操作される利用者操作器が特定状態である場合に前記電動機の作動を禁止する禁止手段と、を有する車両。
【請求項2】
請求項1に記載の車両であって、
前記車両ドアを開くために操作される車両ドア操作器が操作されたときに導通状態となる導通スイッチを有し、
前記禁止手段は、前記導通スイッチに対して直列に接続され且つ前記利用者操作器が前記特定状態にあるときに非導通状態となる遮断スイッチである、車両。
【請求項3】
請求項2に記載の車両であって、
前記個別空間に配設され且つ前記利用者操作器が前記特定状態であるときに発光する照明装置を有する車両。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の車両であって、
前記車両内において前記個別空間を開閉し且つ前記利用者操作器が前記特定状態であるときに施錠状態となる車内ドアを有する車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。具体的には、車室内に個別空間が設けられた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外にて作業を行う人員に対して用便及び更衣等のための空間を確保する要請がある。そこで、特許文献1によれば、貨物自動車の荷台にトイレ施設が設置された野外作業支援車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の野外作業支援車は、外観上、トイレ施設であることが明確であるため、作業者が利用を躊躇する可能性がある。そのため、例えば、ワンボックス型の乗用車両の車室空間内に用便及び更衣が可能な個別空間(即ち、トイレ室)を設けることが考えられる。この場合、個別空間内の利用者とは異なる者(他者)による操作によって個別空間を開閉する車両ドア(例えば、バックドア)が開けられてしまう虞がある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、車両内に設けられた個別空間に利用者がいるときに他者の操作によって車両ドアが開けられてしまうことを回避できる車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための車両(本車両)は、前記車両内に設けられた個別空間を開閉する車両ドアが開くときに作動する電動機と、前記個別空間の利用者によって操作される利用者操作器が特定状態である場合に前記電動機の作動を禁止する禁止手段と、を有する。
【0007】
換言すれば、利用者操作器が特定状態でない場合、他者による所定の操作に応じて電動機が作動して車両ドアが開き得る。即ち、利用者は、利用者操作器に対する操作によって車両ドアが開くことを禁止するか否かを決定できる。従って、この車両によれば、利用者操作器に対する操作(即ち、利用者操作器を特定状態とすること)によって個別空間に利用者がいるときに車両ドアが開けられることを回避することができる。
【0008】
本車両の一態様において、車両は、前記車両ドアを開くために操作される車両ドア操作器が操作されたときに導通状態となる導通スイッチを有し、前記禁止手段は、前記導通スイッチに対して直列に接続され且つ前記利用者操作器が前記特定状態にあるときに非導通状態となる遮断スイッチである。
【0009】
遮断スイッチを備えてない車両(即ち、本発明が適用されていない車両)においては、他者による車両ドア操作器に対する操作に起因して導通スイッチが導通状態(オン状態)となると、それを車両の制御装置(例えば、電子制御ユニット)が検知して電動機が作動する。一方、本態様によれば、利用者操作器が特定状態である場合には遮断スイッチが非導通状態(オフ状態)となるので、制御装置は導通スイッチが導通状態となったことを検知できない。即ち、この場合、電動機が作動せず、そのため、車両ドアが開かない。従って、本態様によれば、容易な構成により禁止手段を構成することが可能となる。
【0010】
上記態様において、車両は、前記個別空間に配設され且つ前記利用者操作器が前記特定状態であるときに発光する照明装置を有していても良い。
【0011】
換言すれば、利用者が照明装置を発光させるための操作(即ち、利用者操作器を特定状態とする操作)を行うと、車両ドアが開くことを禁止手段が禁止する。従って、利用者が利用者操作器を特定状態とする操作を行うことを失念する可能性が小さくなる。
【0012】
更に、上記態様において、車両は、前記車両内において前記個別空間を開閉し且つ前記利用者操作器が前記特定状態であるときに施錠状態となる車内ドアを有していても良い。
【0013】
換言すれば、利用者が車内ドアを施錠するための操作(即ち、利用者操作器を特定状態とする操作)を行うと、車両ドアが開くことを禁止手段が禁止する。従って、この場合においても、利用者が利用者操作器を特定状態とする操作を行うことを失念する可能性が小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係る、トイレ室を備える車両の側面概略図である。
【
図2】車両のバックドア開口部から見たトイレ室を示した図である。
【
図3】バックドアの解錠及びトイレ室に係る電気的要素を示した回路図である。
【
図4】トイレ室の引戸の施錠に係るストライカ及びラッチ機構を示した図である。
【
図5】トイレ室の壁面に配設されたスイッチパネルを示した図である。
【
図6】実施形態の第1変形例及び第2変形例に係る回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を
図1~5を参照しながら説明する。説明中の同じ符号(参照番号)は、重複する説明をしないが同じ機能を有する同じ要素を意味する。本実施形態に係る車両1は、ワンボックスカー型の車両である。
図1~2に示されるように、車両1の後部にはトイレ室2(化粧室、個別空間)が設置されている。即ち、車両1はトイレカーである。
【0016】
トイレ室2の車両前方側には間仕切21及び引戸22が配設されている。即ち、車両1の前席及び後席を含む車室(「前方車室」とも称呼される)と、トイレ室2と、は間仕切21及び引戸22によって隔てられている(
図1を参照)。スライド式のドアである引戸22を開けることにより、前方車室とトイレ室2との間の利用者の移動が可能となる。
【0017】
一方、
図2に示されるように、トイレ室2は、後方に対して開放されている。即ち、車両1のバックドア11(テールゲート、車両ドア)を開けると、車外からバックドア11の開口部を経てトイレ室2に入室できるようになる。ただし、利用者は、通常、車両1の左後ドア12(後席スライドドア、
図1を参照)の開口部、及び引戸22(車内ドア)を介してトイレ室2の入退室を行う。
【0018】
ここで、バックドア11の開閉操作について説明する。バックドア11が閉じられているとき、バックドア11に設けられたラッチ機構が車両1の車体に設けられたストライカに係止している(何れも周知であり且つ不図示)。車両1がアンロック状態であるときにバックドアスイッチ操作部11a(
図1を参照、車両ドア操作器)が操作されると、ラッチ機構とストライカとの係合が解かれてバックドア11が開く。
【0019】
より具体的に述べると、バックドア11を開けるため、バックドア11の外面に配設されたバックドアスイッチ操作部11aが操作される。バックドアスイッチ操作部11aは上方へ押下される押しボタン式スイッチ操作部であり、バックドアスイッチ操作部11aが押下されている期間において
図3に示されるバックドアスイッチ11bが導通状態(「オン状態」とも称呼される)となる。換言すれば、バックドアスイッチ操作部11aが押下されていないとき、バックドアスイッチ11bは非導通状態(「オフ状態」とも称呼される)となる。なお、
図3のスイッチ61aについては後述されるが、ここではスイッチ61aがオン状態であると仮定して説明する。
【0020】
図3に示されるECU81は、周知の電子制御ユニット(車両ECU、ドアロックECU)である。ECU81は、車両1の補機用蓄電池であるバッテリ82から供給される電力によって作動する。ECU81は、車両1がアンロック状態であるときにバックドアスイッチ11bが導通状態となったことを検知すると、モータ83(電動機)を作動させてバックドア11のラッチ機構によるストライカとの係合を開放する。即ち、
図3に示されるバックドアスイッチ11b及びスイッチ61aを含む回路C1が形成されると、ECU81は、モータ83へ所定時間だけ電力を供給する。
【0021】
車両1におけるドアロック状態及びアンロック状態は、運転席の近傍に配設されたドアロックスイッチ、及びワイヤレスキー(何れも不図示)に対する操作によって切替えられる。車両1がドアロック状態であれば、ECU81は、バックドアスイッチ11bがオン状態となってもバックドア11を閉じられた状態に維持する。即ち、バックドアスイッチ操作部11aが操作されてもモータ83を作動させない。ECU81は、車両1のドアロック状態及びアンロック状態の制御(管理)、及びバックドア11以外のドア(例えば、左後ドア12)の施錠状態の制御等を実行するが、本明細書における説明及び図示は省略される。
【0022】
再びトイレ室2について説明する。トイレ室2の床面には、トイレユニット23が設置されている。トイレユニット23の上部には、便座23aが配設されている。トイレユニット23は、電動アクチュエータを内蔵するトイレ装置であり、利用者による操作ボックス(不図示)に対する操作に応じて、利用される毎に排泄物を分離・密封する。
【0023】
引戸22には、引手22a及びサムターン22bが配設されている(
図2を参照)。間仕切21は、引戸22が閉じる方向の力を引戸22に対して発生させるドアクローザー(より具体的には、ソフトクロージングダンパーであり、不図示)を備えている。引戸22が閉じているときに利用者によってサムターン22bの回転位置が解錠位置から施錠位置に変更されると、引戸22が施錠される。即ち、前方車室にいる他者が引戸22を開けることが妨げられる。
図2には、施錠位置にあるサムターン22bが示されている。サムターン22bの解錠位置は、施錠位置から時計方向に約90°回転した位置である。
【0024】
引戸22の施錠に用いられる鎌錠について、
図4を参照しながら説明する。この鎌錠は、ストライカケース21a及びラッチ機構ケース22cの組合せによって構成される。ストライカケース21aは、引戸22に対する縦枠(即ち、引戸22のドア枠であって引戸22が閉じられたときに当接する縦面)内に配設され、引戸22に対して開口している。ストライカケース21a内には、ストライカ部材31が配設されている。
【0025】
ラッチ機構ケース22cは、引戸22内に配設され、ストライカケース21aに対して開口している。ラッチ機構ケース22c内には、サムターンハブ32、リンク部材33及びラッチ部材34が配設されている。
【0026】
サムターンハブ32は、引戸22におけるトイレ室2側に配設されたサムターン22b(
図2を参照)と連動して回転軸32aを中心に回転する。リンク部材33は、サムターンハブ32に設けられた回転軸32bに回転可能に連結され且つラッチ部材34の薄肉部34aに設けられた回転軸34bに回転可能に連結されている。リンク部材33は、サムターンハブ32の回転に伴って水平方向(即ち、車両1における左右方向)に移動し、その結果、ラッチ部材34が回転軸34cを中心に回転する。
【0027】
図4には、サムターン22bの回転位置が施錠位置である場合のサムターンハブ32、リンク部材33及びラッチ部材34が実線により示されている。
図4から理解されるように、サムターン22bが施錠位置にある場合、ラッチ部材34の先端にあるL字状に屈曲した鎌部がストライカ部材31に掛止される。即ち、この場合、ラッチ部材34がストライカ部材31と係合し、その結果、引戸22が施錠されている。
【0028】
一方、サムターン22bの回転位置が解錠位置である場合のサムターンハブ32、リンク部材33及びラッチ部材34が二点鎖線により示されている。この場合、ラッチ部材34とストライカ部材31との係合が解かれ、その結果、引戸22が解錠されている。なお、
図4において、サムターン22bが施錠位置及び解錠位置の一方に維持されるように弾性力を発生させるバネ機構は、図示が省略されている。
【0029】
更に、トイレ室2には、スイッチパネル41、化粧鏡42、ペーパー収納部43、エアコン吹出口44、天井灯51、低床灯52~53、化粧灯54~55及び換気扇56が配設されている。
図2に示されるように、スイッチパネル41、化粧鏡42、ペーパー収納部43は、トイレ室2の壁面に配設されている。スイッチパネル41については、
図5を参照しながら後述される。
【0030】
図2には、ペーパー収納部43が閉じられて(ペーパー収納部43の)意匠面が視認される状態が図示されている。この状態において、トイレットペーパーホルダ及びトイレットペーパーが、トイレ室2の外側且つ車両1の車体内側の空間に格納されている。
【0031】
ペーパー収納部43の意匠面に配設された取手43aを利用者が手前に引いて意匠面の下端部を上方へ移動させることにより、収納されていたトイレットペーパーが使用可能となる。更に、この状態において、意匠面は、小物を置くための棚として使用可能となる。
【0032】
エアコン吹出口44は、トイレ室2の上部における左右の壁面に配設されている。右側の壁面に配設されたエアコン吹出口44は、
図2において図示が省略される。一対のエアコン吹出口44には、車両1が備えるエアコン装置(カーエアコン)から吐出された空調風(即ち、冷房風及び暖房風等)が供給され、トイレ室2に空調風が流入する。
【0033】
天井灯51は、トイレ室2の天井部に配設されている(
図1を参照)。低床灯52~53は、トイレ室2の低床部に配設されている(
図2を参照)。化粧灯54~55は、化粧鏡42の両側に配設されている(
図2を参照)。天井灯51、低床灯52~53及び化粧灯54~55のそれぞれには、LED51a~55a(照明装置)が内蔵されている(
図3を参照)。換気扇56は、トイレ室2の壁面に配設されている(
図2を参照)。換気扇56は、ファン(不図示)を回転させるモータ56a(
図3を参照)を内蔵し、作動時にはトイレ室2内の空気を車両1の外へ排出する。なお、
図3では、過電流を防止するフューズ及び車両1内の配線に用いられるコネクタ等は、図示が省略されている。
【0034】
図5に示されるように、スイッチパネル41には、スイッチ操作部61~65が配設されている。スイッチ操作部61~65のそれぞれは、スイッチパネル41が備えるスイッチ61a~65a(
図3を参照)をオン状態とオフ状態との間で切替えるために利用者によって操作される周知のシーソー式スイッチノブである。
【0035】
スイッチ操作部61が
図5に示される施錠側に操作されると、スイッチ61aがオフ状態となる。そのため、バックドアスイッチ11b(導通スイッチ)がオン状態となっても回路C1が形成されない。換言すれば、トイレ室2に入室した利用者がスイッチ操作部61を解錠側から施錠側に操作していれば、他者がバックドアスイッチ操作部11aを操作しても、バックドア11が開かない。
【0036】
バックドアスイッチ11bに対して直列に接続され、回路C1の形成を強制的に遮断できるスイッチ61aは、便宜上、「禁止手段」とも称呼される。即ち、スイッチ61aがオフ状態となることによって、バックドア11が開くことを禁止できる。スイッチ61aは、スイッチ操作部61(利用者操作器)が施錠側(特定状態)にあるときにオフ状態(非導通状態)となる遮断スイッチであるともいえる。
【0037】
具体的には、バックドアスイッチ11bがオン状態となっても、スイッチ61aがオフ状態であるために回路C1が形成されないので、ECU81は、バックドアスイッチ操作部11aに対する操作を検知することができない。従って、この場合、ECU81は、バックドアスイッチ11bがオン状態となってもモータ83を作動させず、そのため、バックドア11に係るラッチ機構がストライカと係合した状態が維持される。
【0038】
一方、スイッチ操作部61が解錠側に操作されていれば、スイッチ61aがオン状態となる。この場合、バックドアスイッチ操作部11aが操作されてバックドアスイッチ11bが更にオン状態となると、ECU81は、バックドア11を開ける。即ち、ECU81は、モータ83を作動させてバックドア11に係るラッチ機構とストライカとの係合を解除する。
【0039】
スイッチ操作部62が
図5に示されるオン側に操作されると、スイッチ62aがオン状態となる。そのため、トイレユニット23に電力がバッテリ82から供給されるようになる。一方、スイッチ操作部62がオフ側に操作されると、スイッチ62aがオフ状態となり、そのため、トイレユニット23に対する電力の供給が遮断される。
【0040】
スイッチ操作部63がオン側に操作されると、スイッチ63aがオン状態となる。そのため、LED51a~53aに電力が供給されて発光する。即ち、天井灯51及び低床灯52~53が点灯する。一方、スイッチ操作部63がオフ側に操作されると、スイッチ63aがオフ状態となる。この場合、LED51a~53aには電力が供給されず、従って、天井灯51及び低床灯52~53が消灯する。
【0041】
同様に、スイッチ操作部64がオン側に操作されると、スイッチ64aがオン状態となる。そのため、LED54a~55aに電力が供給されて発光する。即ち、一対の化粧灯54~55が点灯する。一方、スイッチ操作部64がオフ側に操作されると、スイッチ64aがオフ状態となる。この場合、LED54a~55aには電力が供給されず、従って、化粧灯54~55が消灯する。
【0042】
スイッチ操作部65がオン側に操作されると、スイッチ65aがオン状態となる。そのため、モータ56aに電力が供給されて作動する。即ち、換気扇56のファンが回転してトイレ室2内の空気が車両1の外へ排出される。一方、スイッチ操作部65がオフ側へ操作されると、スイッチ65aがオフ状態となる。この場合、モータ56aが作動せず、従って、換気扇56のファンは回転しない。
【0043】
(第1変形例)
実施形態の第1変形例について、
図6を参照しながら説明する。第1変形例に係る車両1aは、
図3に示されるスイッチ61a、63aに代わり、
図6に示されるスイッチ71を含んでいる。スイッチ71は、周知の2極又投式スイッチである。スイッチ71に対応するスイッチ操作部(具体的には、スイッチ操作部61~65に類似するシーソー式スイッチノブ)は、トイレ室2の壁面に設置された(スイッチパネル41に類似する)スイッチパネルに配設されており、図示が省略される。
【0044】
図6から理解されるように、スイッチ71に対応するスイッチ操作部に対する操作によって、以下の(状態A)及び(状態B)の一方から他方へ切替えられる。(状態B)は、バックドアスイッチ11b及びスイッチ71を含む回路C2が形成されない状態であるともいえる。スイッチ71は、便宜上、「禁止手段」又は「遮断スイッチ」とも称呼される。スイッチ71に対応するスイッチ操作部(第1変形例における利用者操作器)に対する操作によって(状態B)が実現されているとき、当該操作部が「特定状態」にあるとも称呼される。
【0045】
(状態A)バックドアスイッチ11bがオン状態であるかオフ状態であるかをECU81が検出可能であり且つLED51a~53aに電力が供給されない状態
(状態B)バックドアスイッチ11bがオン状態であるかオフ状態であるかをECU81が検出可能ではなく且つLED51a~53aに電力が供給される状態
【0046】
従って、トイレ室2に入室した利用者がスイッチ71のスイッチ操作部を操作して(状態A)から(状態B)に切替えると、バックドアスイッチ11bがオン状態となってもバックドア11が開かない。換言すれば、利用者がトイレ室2の照明(具体的には、天井灯51及び低床灯52~53)を点灯させると、バックドアスイッチ操作部11aが操作されてもバックドア11は開かない。
【0047】
一方、利用者によるスイッチ操作部に対する操作によって、スイッチ71の状態が(状態B)から(状態A)に切替えられると、トイレ室2の照明が消灯される。加えて、(車両1aがアンロック状態であれば)バックドアスイッチ操作部11aに対する操作によってバックドア11を開けることが可能となる。
【0048】
(第2変形例)
実施形態の第2変形例について、
図4、6を参照しながら説明する。第2変形例に係る車両1bのストライカケース21aには、スイッチユニット72が配設されている(
図4を参照)。スイッチユニット72は、レバー72a(スイッチノブ)を備える周知のヒンジレバー式スイッチ装置である。スイッチユニット72は、
図6に示されるスイッチ71を内蔵している。即ち、第2変形例において、レバー72aは、スイッチ71のスイッチ操作部に相当する。
【0049】
図4から理解されるように、サムターン22b(第2変形例における利用者操作器)が解錠位置から施錠位置(第2変形例における特定状態)に回転させられると、ラッチ部材34によってレバー72aが上方へ押下された状態となる。この場合、スイッチ71の状態が、(状態A)から(状態B)に切替わる。一方、サムターン22bが施錠位置から解錠位置に回転させられると、ラッチ部材34によるレバー72aに対する押下が解放され、その結果、スイッチ71の状態が、(状態B)から(状態A)に切替わる。
【0050】
従って、トイレ室2に入室した利用者がサムターン22bを操作して引戸22を施錠すると、トイレ室2の照明が点灯し且つバックドアスイッチ操作部11aが操作されてもバックドア11は開かなくなる。一方、利用者がサムターン22bを操作して引戸22を解錠すると、トイレ室2の照明が消灯し且つ(車両1bがアンロック状態であれば)バックドアスイッチ操作部11aに対する操作によってバックドア11を開けることが可能となる。
【0051】
以上、説明したように、車両1によれば、スイッチ操作部61に対する容易な操作(具体的には、スイッチ操作部61を施錠側に切替えること)によって、トイレ室2に利用者がいるときにバックドア11が開けられることを回避することが可能となる。
【0052】
車両1では、トイレ室2の利用者による操作に応じて回路C1の形成を遮断してバックドア11が開くことを禁止する禁止手段は、スイッチ61aによって構成されていた。換言すれば、禁止手段を実現するため、ECU81が実行するプログラムの変更は必要なく、ECU81とCAN(Controller Area Network)及びLIN(Local Interconnect Network)等を介してデータ通信を行うノードの追加又は変更も必要ない。従って、車両1によれば(車両1a、1bも同様に)、バックドアスイッチ操作部11aが操作されてもバックドア11が開くことを禁止する禁止手段を容易に構成することが可能となる。
【0053】
加えて、第1変形例に係る車両1aによれば、利用者がトイレ室2の照明を点灯させるための操作を行うことにより、バックドアスイッチ操作部11aが操作されてもバックドア11が開かない状態を実現できる。更に、第2変形例に係る車両1bによれば、利用者が引戸22を施錠するための操作を行うことにより、トイレ室2の照明が点灯し且つバックドアスイッチ操作部11aが操作されてもバックドア11が開かない状態を実現できる。従って、車両1a、1bによれば、バックドアスイッチ操作部11aが操作されてもバックドア11が開かない状態を実現するための操作を利用者が失念する可能性が小さくなる。
【0054】
以上、本発明の実施形態を上記の構造を参照して説明したが、本発明の目的を逸脱せずに多くの交代、改良、変更が可能である。従って本発明の形態は、添付された請求項の精神と目的を逸脱しない全ての交代、改良、変更を含み得る。本発明の形態は、前記特別な構造に限定されず、例えば下記のような変更が可能である。
【0055】
車両1では、スイッチ61aによってバックドアスイッチ操作部11aに対する操作をECU81が検知できない状態を実現していた。即ち、スイッチ61aが回路C1を遮断することにより、バックドアスイッチ操作部11aに対する操作が反映されるバックドアスイッチ11bの導通状態の変化をECU81が検出することを回避していた。これに代わり、スイッチ61aは、車両1のワイヤレスキー(スマートエントリーキー)が備えるボタン(車両1をアンロック状態とするためのボタン、又はバックドア11を開けるためのボタン、車両ドア操作器)が操作されたときに形成される回路を遮断するように配設されても良い。即ち、スイッチ61aは、ワイヤレスキーに対する操作によってバックドア11が開かなくなるように構成されても良い。
【0056】
車両1では、バックドアスイッチ操作部11aが操作されたときに非導通状態から導通状態に変化する回路C1に追加されたスイッチ61aがオフ状態となることによって、ECU81がバックドアスイッチ操作部11aの操作状態を検出することを回避していた。仮に、バックドアスイッチ操作部11aが操作されたときに導通状態から非導通状態に変化する回路(特定回路)を車両1が備えていれば、特定回路と並列に配置され且つスイッチ61aを含む追加回路を設けることによって、(更に、スイッチ61aがオン状態であることによって)ECU81がバックドアスイッチ操作部11aの操作状態を検出することを回避しても良い。即ち、バックドアスイッチ操作部11aに対する操作に起因して特定回路が導通状態から非導通状態に遷移しても、特定回路に並列に設けられた追加回路が(スイッチ61aがオン状態であるために)導通状態であることによってECU81がバックドアスイッチ操作部11aに対する操作を検出できない状態が実現されても良い。
【0057】
車両1では、バックドアスイッチ11bに対して直列に接続されたスイッチ61aがオフ状態となることによって、バックドアスイッチ11bがオン状態となってもバックドア11が開かない状態(即ち、モータ83が作動しない状態)が実現されていた。これに代わり、スイッチ61aがモータ83に対して直列に接続され且つスイッチ61aがオフ状態となることによって、バックドアスイッチ11bがオン状態となってもモータ83が作動しない状態が実現されても良い。即ち、ECU81がモータ83を作動させようとしても、オフ状態であるスイッチ61aによってモータ83に電力が供給されない状態が実現されても良い。
【0058】
車両1では、スイッチ61aがオフ状態となることによって、バックドアスイッチ操作部11aが操作されてもトイレ室2を開閉するバックドア11が開かない状態が実現されていた。仮に、トイレ室2が左後ドア12によって開閉されるように配設されていれば、スイッチ61aがオフ状態なることによって、左後ドア12の外側に配設されたドアレバー(車両ドア操作器)が操作されても左後ドア12が開かない状態が実現されても良い。例えば、スイッチ61aがオフ状態となることによって、左後ドア12を施錠状態から解錠状態に切替える電動機に電力が供給されない状態が実現されても良い。
【0059】
車両1、1a~1bでは、スイッチ61a、71がオフ状態となることによって、モータ83が作動しないように構成されていた。これに代わり、車両1、1a~1bは、スイッチ61a、71がオフ状態となることによって、バックドア11を自動的に開けるパワーバックドアモーター(バックドアオープナー、即ち、電動機)が作動しないように構成されても良い。
【0060】
第2変形例に係る車両1bでは、引戸22のサムターン22bに対する操作によって引戸22の施錠状態、トイレ室2の照明の点灯状態、及びスイッチ71による回路C2の遮断状態が変更されていた。これに代わり、引戸22のサムターン22bに対する操作によって引戸22の施錠状態、及びスイッチ71による回路C2の遮断状態が変更されるように車両1bが構成されても良い。即ち、トイレ室2の照明の点灯状態は、サムターン22bに対する操作とは異なる操作によって切替えられても良い。
【0061】
第2変形例に係るスイッチユニット72は、ストライカケース21aに配設されていた。これに代わり、スイッチユニット72は、ラッチ機構ケース22cに配設され、サムターンハブ32の回転位置に応じてスイッチユニット72が備えるスイッチ71がオン状態とオフ状態との間で切替えられても良い。
【0062】
車両1はトイレユニット23を含むトイレ室2を備えるトイレカーであったが、車両1におけるトイレユニット23は割愛されても良い。即ち、車両1は、更衣室(即ち、個別空間)を備える車両であっても良い。
【符号の説明】
【0063】
1、1a、1b…車両
11…バックドア
11a…バックドアスイッチ操作部
11b…バックドアスイッチ
12…左後ドア
2…トイレ室
21…間仕切
21a…ストライカケース
22…引戸
22a…引手
22b…サムターン
22c…ラッチ機構ケース
23…トイレユニット
23a…便座
31…ストライカ部材
32…サムターンハブ
32a、32b…回転軸
33…リンク部材
34…ラッチ部材
34a…薄肉部
34b、34c…回転軸
41…スイッチパネル
42…化粧鏡
43…ペーパー収納部
43a…取手
44…エアコン吹出口
51…天井灯
52、53…低床灯
54、55…化粧灯
51a~55a…LED
56…換気扇
56a…モータ
61~65…スイッチ操作部
61a~65a…スイッチ
71…スイッチ
72…スイッチユニット
72a…レバー
81…ECU
82…バッテリ
83…モータ
C1、C2…回路