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特開2024-164496建設機械のブーム支持基台及び建設機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164496
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】建設機械のブーム支持基台及び建設機械
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/82 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
B66C23/82 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080007
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000140719
【氏名又は名称】株式会社加藤製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 光也
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA06
3F205CA03
3F205DA04
3F205KA10
(57)【要約】
【課題】軽量化が実現され、ブームを起こした状態及び伏せた状態の両方において荷重に対するシリンダ接続部の強度が確保されるブーム支持基台を提供すること。
【解決手段】建設機械のブーム支持基台では、ベースフレームは、底板、背板、及び、一対の側板を備え、メインビーム、下方ビーム及び後方ビームのそれぞれが、一対の側板の間に架橋される。メインビームは、底板と協働して第1の箱構造を形成し、側板に対して幅方向の内側に配置される受け板に、ブーム起伏シリンダが接続されるシリンダ接続部が形成される。下方ビームは、受け板のシリンダ接続部に鉛直下側から隣接し、底板、背板及びメインビームと協働して第2の箱構造を形成する。後方ビームは、シリンダ接続部に後方側から隣接し、背板及び下方ビームと協働して第3の箱構造を形成する。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械においてブーム及びブームを起伏動作させるブーム起伏シリンダを支持するブーム支持基台であって、
空洞を規定するベースフレームであって、鉛直下側から前記空洞に隣接する底板、後方側から前記空洞に隣接する背板、及び、幅方向について互いに対して反対側から前記空洞に隣接する一対の側板を備えるベースフレームと、
前記底板と協働して第1の箱構造を形成し、前記一対の側板の間に架橋されるメインビームと、
前記ブーム起伏シリンダが接続されるシリンダ接続部を備え、前記空洞において前記一対の側板に対して前記幅方向の内側に配置される受け板と、
前記第1の箱構造に前記後方側から隣接し、かつ、前記受け板の前記シリンダ接続部に前記鉛直下側から隣接する状態で、前記一対の側板の間に架橋され、前記底板、前記背板及び前記メインビームと協働して第2の箱構造を形成する下方ビームと、
前記受け板の前記シリンダ接続部に前記後方側から隣接する状態で、前記一対の側板の間に架橋され、前記背板及び前記下方ビームと協働して第3の箱構造を形成する後方ビームと、
を具備する、ブーム支持基台。
【請求項2】
前記受け板は、前記下方ビームを貫通して前記底板に接続されるとともに、前記後方ビームを貫通して前記背板に接続され、
前記受け板は、前記下方ビームによって挟まれるとともに、前記後方ビームによって挟まれる、
請求項1のブーム支持基台。
【請求項3】
前記受け板は、前記メインビームを貫通して前記第1の箱構造の内部に挿入されるとともに、前記メインビームによって挟まれ、
前記受け板では、前記第1の箱構造の前記内部へ挿入部分は、前記底板に接続される、
請求項2のブーム支持基台。
【請求項4】
前記ベースフレームの前記底板には、旋回ベアリングが取付けられるベアリング取付け部を備え、
前記メインビーム及び前記第1の箱構造は、前記ベアリング取付け部に対して、前記後方側から隣接する、
請求項1のブーム支持基台。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項のブーム支持基台を備える旋回体と、
鉛直上側から前記旋回体が連結され、鉛直方向に沿う旋回軸を中心として前記旋回体が旋回可能な走行車体と、
起伏可能に前記旋回体の前記ブーム支持基台に取付けられ、前記旋回体と一緒に前記走行車体に対して旋回可能な前記ブームと、
駆動されることにより、前記ブームを起伏動作させ、前記ブーム支持基台の前記受け板の前記シリンダ接続部に接続される前記ブーム起伏シリンダと、
を具備し、
前記メインビーム、前記下方ビーム、前記後方ビーム、及び、前記受け板の前記シリンダ接続部は、前記旋回体の前記旋回軸に対して、前記ブーム支持基台の前記後方側に位置する、
建設機械。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械のブーム支持基台及び建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、建設機械においてブーム及びブームを起伏動作させるブーム起伏シリンダを支持するブーム支持基台が、開示されている。このブーム支持基台では、一対の側板を備えるベースフレームによって、空洞が規定される。そして、受け板が、空洞において、一対の側板に対して幅方向の内側に配置され、ブーム起伏シリンダが接続ピンを介して接続されるシリンダ接続部が、受け板に形成される。側板に対して内側に配置される受け板に、ブーム起伏シリンダが接続されることにより、ブーム支持基台の幅方向についての接続ピンの寸法を小さくすることが可能となり、接続ピンを含むブーム支持基台の軽量化を実現可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-255999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1のように側板の内側に配置される受け板にシリンダ接続部が設けられる構成では、受け板に作用する荷重を側板等に分散する等して、荷重に対するシリンダ接続部の強度を確保することが、求められている。そして、ブームを用いた作業時等のブームの起こした状態での荷重に対するシリンダ接続部の強度に加えて、建設機械の走行時等のブームを伏せた状態での荷重に対するシリンダ接続部の強度を確保することが、求められている。
【0005】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、軽量化が実現され、ブームを起こした状態及び伏せた状態の両方において荷重に対するシリンダ接続部の強度が確保される建設機械のブーム支持基台、及び、そのブーム支持基台を備える建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明のある態様は、建設機械においてブーム及びブームを起伏動作させるブーム起伏シリンダを支持するブーム支持基台であって、空洞を規定するベースフレームであって、鉛直下側から前記空洞に隣接する底板、後方側から前記空洞に隣接する背板、及び、幅方向について互いに対して反対側から前記空洞に隣接する一対の側板を備えるベースフレームと、前記底板と協働して第1の箱構造を形成し、前記一対の側板の間に架橋されるメインビームと、前記ブーム起伏シリンダが接続されるシリンダ接続部を備え、前記空洞において前記一対の側板に対して前記幅方向の内側に配置される受け板と、前記第1の箱構造に前記後方側から隣接し、かつ、前記受け板の前記シリンダ接続部に前記鉛直下側から隣接する状態で、前記一対の側板の間に架橋され、前記底板、前記背板及び前記メインビームと協働して第2の箱構造を形成する下方ビームと、前記受け板の前記シリンダ接続部に前記後方側から隣接する状態で、前記一対の側板の間に架橋され、前記背板及び前記下方ビームと協働して第3の箱構造を形成する後方ビームと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、軽量化が実現され、ブームを起こした状態及び伏せた状態の両方において荷重に対するシリンダ接続部の強度が確保される建設機械のブーム支持基台、及び、そのブーム支持基台を備える建設機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係るクレーンを示す概略図である。
図2図2は、第1の実施形態に係るブーム支持基台の構成を示す斜視図である。
図3図3は、第1の実施形態に係るブーム支持基台の構成を、一対の側板の一方を省略して示す斜視図である。
図4図4は、第1の実施形態に係るブーム支持基台を、ブーム起伏シリンダとともに、旋回体の幅方向に直交又は略直交する断面で示す断面図である。
図5図5は、第1の実施形態に係るブーム支持基台を、旋回体の幅方向に直交又は略直交し、かつ、一対の受け板の一方を通る断面で示す断面図である。
図6図6は、図5のA1-A1線断面を示す断面図である。
図7図7は、ある変形例に係るブーム支持基台の構成を、一対の側板の一方を省略して示す斜視図である。
図8図8は、図7の変形例に係るブーム支持基台を、旋回体の幅方向に直交又は略直交し、かつ、一対の受け板の一方を通る断面で示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
まず、実施形態の一例として、第1の実施形態について説明する。第1の実施形態では、建設機械としてクレーンが設けられる。図1は、第1の実施形態に係るクレーン1を示す。図1に示すように、クレーン1は、走行車体2及び旋回体3を備える。旋回体3は、走行車体2に鉛直上側(矢印Z1側)から連結される。また、旋回体3は、鉛直方向(矢印Z1及び矢印Z2に示す方向)に沿う旋回軸Pを中心として、走行車体2に対して旋回可能ある。旋回体3は、キャブ(操作室)5及びブーム支持基台6を備える。キャブ5では、走行車体2を走行させる操作、旋回体3を旋回させる操作、及び、ブーム7を起伏させる操作等のクレーン1に関する操作が入力される。
【0011】
ブーム支持基台6を含む旋回体3では、鉛直方向に対して交差する(直交又は略直交する)前後方向(矢印X1及び矢印X2で示す方向)、及び、鉛直方向及び前後方向の両方に対して交差する(直交又は略直交する)幅方向(図1において紙面に対して直交又は略直交する方向)が規定される。また、走行車体2でも、鉛直方向に対して交差する(直交又は略直交する)前後方向、及び、鉛直方向及び前後方向の両方に対して交差する(直交又は略直交する)幅方向が規定される。図1では、走行車体2の前後方向が旋回体3の前後方向と一致又は略一致し、かつ、走行車体2の幅方向が旋回体3の幅方向と一致又は略一致する状態を示す。また、図1では、走行車体2の前方側が旋回体3の前方側(矢印X1側)と一致又は略一致する状態で、クレーン1を示す。
【0012】
また、クレーン1は、ブーム7及びブーム起伏シリンダ8を備える。ブーム7は、後端部から前端部まで長手方向に沿って延設され、ブーム7の後端部は、旋回体3のブーム支持基台6に取付けられる。ブーム7は、起伏可能であり、旋回体3と一緒に走行車体2に対して旋回可能である。図1の一例では、旋回体3において、キャブ5は、ブーム7に対して幅方向の一方側に並んで配置される。ブーム起伏シリンダ8は、一端部が旋回体3のブーム支持基台6に接続され、他端部がブーム7に接続される。ブーム起伏シリンダ8を駆動することにより、すなわち、ブーム起伏シリンダ8を伸長又は収縮することにより、ブーム7が起伏動作を行う。
【0013】
図2乃至図6は、本実施形態に係るクレーン1において、旋回体3のブーム支持基台6の構成を示す。図2及び図3は、斜視図を示し、図4及び図5は、旋回体3(ブーム支持基台6)の幅方向に直交又は略直交する断面を示す。また、図6は、図5のA1-A1線断面を示し、旋回体3(ブーム支持基台6)の前後方向に直交又は略直交する断面を示す。図2図3及び図6等では、矢印Y1及び矢印Y2で示す方向が、旋回体3(ブーム支持基台6)の幅方向に相当する。なお、図4では、ブーム支持基台6とともに、ブーム起伏シリンダ8が示される。
【0014】
図2乃至図6等に示すように、ブーム支持基台6は、ベースフレーム10を備え、ブーム支持基台6では、ベースフレーム10によって、空洞(内部空洞)11が規定される。ベースフレーム10は、底板12、背板13及び一対の側板15,16を備える。底板12は、鉛直下側(矢印Z2側)から空洞11に隣接し、鉛直下側から空洞11を覆う。背板13は、旋回体3(ブーム支持基台6)の後方側(矢印X2側)から空洞11に隣接し、後方側かから空洞11を覆う。一対の側板15,16は、旋回体3(ブーム支持基台6)の幅方向について互いに対して反対側から空洞11に隣接し、幅方向について互いに対して反対側から空洞11を覆う。このため、側板16は、空洞11を間に挟んで、側板15と対向する。なお、図3では、一対の側板15,16の一方である側板16が省略して示される。
【0015】
側板15,16のそれぞれには、ブーム取付け部となるピン孔17が形成される。側板15,16のそれぞれでは、ピン孔17は、後端部に位置するとともに、上端部に位置する。ブーム支持基台6では、側板15,16のピン孔17に、取付けピン(図示しない)を介してブーム7の後端部が取付けられる。ブーム7は、側板15,16への取付け位置を中心として回動することにより、起伏動作を行う。ブーム7の起伏動作では、ブーム7は、ブーム支持基台6の幅方向に沿う回動軸を中心として、回動する。
【0016】
底板12には、鉛直方向に底板12を貫通する貫通孔18が、形成される。旋回体3の旋回軸Pは、貫通孔18を通って、鉛直方向に沿って延設される。貫通孔18は、底板12の前端部に形成され、側板15,16のピン孔17に対して、旋回体3の前方側に位置する。底板12には、旋回ベアリング(図示しない)が取付けられ、旋回ベアリングは、貫通孔18を外周側から全周に渡って囲む。ブーム支持基台6を含む旋回体3は、旋回ベアリングを間に介して、走行車体2に連結される。これにより、旋回体3は、旋回軸Pを中心として、走行車体2に対して旋回可能となる。
【0017】
底板12には、ベアリング取付け座21,22が、ベアリング取付け部として形成される。旋回ベアリングは、ベアリング取付け座21,22のそれぞれにおいて、底板12に取付けられる。ベアリング取付け座(前方側ベアリング取付け部)21は、貫通孔18に対して、旋回体3の前方側から隣接し、ベアリング取付け座(後方側ベアリング取付け部)22は、貫通孔18に対して、旋回体3の後方側から隣接する。また、底板12には、モータ設置部23が形成され、モータ設置部23は、貫通孔18に対して、旋回体3の後方側から隣接する。モータ設置部23には、旋回体3を旋回させる駆動源となる旋回モータ(図示しない)が設置される。旋回モータの駆動によって発生する駆動力によって、旋回体3は、走行車体2に対して旋回する。
【0018】
また、ブーム支持基台6は、メインビーム25、下方ビーム26、後方ビーム27及び一対の受け板31,32を備える。メインビーム25、下方ビーム26、後方ビーム27及び一対の受け板31,32のそれぞれは、旋回軸P(貫通孔18)、ベアリング取付け座21,22及びモータ設置部23に対して、後方側に位置する。また、メインビーム25、下方ビーム26、後方ビーム27及び受け板31,32のそれぞれは、側板15,16のピン孔17に対して、前方側で、かつ、鉛直下側に位置する。このため、メインビーム25、下方ビーム26、後方ビーム27及び受け板31,32は、旋回体3の前後方向について、ベアリング取付け座22と側板15,16のピン孔17との間に位置する。
【0019】
メインビーム25、下方ビーム26及び後方ビーム27のそれぞれは、側板15から側板16まで旋回体3の幅方向に沿って延設され、側板15,16の間に架橋される梁となる。メインビーム25は、ベアリング取付け座(後方側ベアリング取付け部)22及びモータ設置部23に対して、後方側から隣接する。メインビーム25は、板状部35,36,37を備え、板状部35~37のそれぞれは、側板15から側板16まで旋回体3の幅方向に沿って延設される。板状部35,36のそれぞれは、底板12に接続され、底板12から鉛直上側に向かって延設される。また、板状部36は、板状部35に対して、後方側に離れて配置される。そして、板状部35,36のそれぞれでは、底板12とは反対側の端に、板状部37が接続され、板状部37は、板状部35,36の間に、前後方向に沿って延設される。
【0020】
前述のような構成であるため、旋回体3の幅方向に直交又は略直交する断面において、メインビーム25の板状部35~37は、鉛直下側に向かって開口するU字形状又は略U字形状を、形成する。板状部35~37によって形成されるU字形状又は略U字形状では、板状部37が、U字の底部を形成する。また、メインビーム25は、底板12と協働して、箱構造(第1の箱構造)41を形成する。箱構造41では、内部に内部空間が形成され、箱構造41の内部空間は、メインビーム25の板状部35~37及び底板12によって囲まれる。箱構造41は、側板15から側板16に渡って、形成される。また、箱構造41は、ベアリング取付け座22及びモータ設置部23に対して、旋回体3の後方側から隣接する。なお、空洞11では、メインビーム25の板状部35に、一対の補強部材28,29が接続され、補強部材28,29のそれぞれは、板状部35から旋回体3の前方側へ突出する。また、一対の補強部材28,29は、旋回体3の幅方向に、互いに対して離れて位置する。
【0021】
下方ビーム26は、メインビーム25及び箱構造(第1の箱構造)41に対して、後方側から隣接する。下方ビーム26は、板状部45,46,47を備え、板状部45~47のそれぞれは、側板15から側板16まで旋回体3の幅方向に沿って延設される。板状部45は、メインビーム25に接続され、板状部46は、背板13に接続される。そして、板状部47は、板状部45においてメインビーム25とは反対側の端に接続され、板状部46において背板13とは反対側の端に接続される。そして、板状部47は、板状部45,46の間を中継する。
【0022】
前述のような構成であるため、下方ビーム26は、メインビーム25、底板12及び背板13と協働して、箱構造(第2の箱構造)51を形成する。箱構造51では、内部に内部空間が形成され、箱構造51の内部空間は、下方ビーム26の板状部45~47、メインビーム25の板状部36、底板12及び背板13によって囲まれる。箱構造51は、側板15から側板16に渡って、形成される。また、箱構造51は、箱構造(第1の箱構造)41及びメインビーム25に対して、旋回体3の後方側から隣接する。
【0023】
一対の受け板31,32は、空洞11において、側板15,16に対して幅方向の内側に配置される。また、受け板31,32は、旋回体3の幅方向に互いに対して離れて配置される。図2乃至図6等の一例では、受け板31は、受け板32に対して、側板15に近い側に位置し、受け板32は、受け板31に対して、側板16に近い側に位置する。また、受け板31,32のそれぞれは、板厚方向が旋回体3の幅方向と一致又は略一致する状態で、空洞11に配置される。本実施形態では、受け板31,32は、メインビーム25に対して後方側で、かつ、側板15,16のピン孔17に対して前方側に、配置される。なお、図5では、一対の受け板31,32の一方を通る断面が示される。
【0024】
受け板31,32のそれぞれは、シリンダ接続部として、接続板部53を備える。受け板31,32のそれぞれでは、接続板部53に、ピン孔55が形成され、接続板部53のピン孔55に、ボス56が配置される。そして、受け板31,32のそれぞれの接続板部53では、ピン孔55において、接続ピン57がボス56と係合する。これにより、ブーム起伏シリンダ8は、接続ピン57を介して、受け板31,32の接続板部53に接続される。
【0025】
図4等に示すように、ブーム起伏シリンダ8は、シリンダチューブ71及びシリンダロッド72を備える。そして、シリンダロッド72がシリンダチューブ71に対して移動することにより、ブーム起伏シリンダ8が伸長又は収縮する。図2乃至図5等の一例では、シリンダチューブ71が、接続ピン57を介して、受け板31,32の接続板部53でブーム支持基台6に接続される。そして、シリンダロッド72が、ブーム7に接続される。
【0026】
下方ビーム26及び箱構造(第2の箱構造)51は、受け板31,32の接続板部53に、鉛直下側から隣接する。そして、受け板31,32のそれぞれのシリンダ接続部である接続板部53は、下方ビーム26及び箱構造51から、鉛直上側に突出する。図2乃至図6等の一例では、受け板31,32のそれぞれの接続板部53は、下方ビーム26の板状部47から、鉛直上側へ突出する。
【0027】
後方ビーム27は、受け板31,32の接続板部53に対して、後方側から隣接する。後方ビーム27は、板状部61,62を備え、板状部61,62のそれぞれは、側板15から側板16まで旋回体3の幅方向に沿って延設される。板状部61は、下方ビーム26に接続され、板状部62は、背板13に接続される。そして、板状部61において下方ビーム26とは反対側の端が、板状部62において背板13とは反対側の端に接続される。
【0028】
前述のような構成であるため、後方ビーム27は、下方ビーム26及び背板13と協働して、箱構造(第3の箱構造)65を形成する。箱構造65では、内部に内部空間が形成され、箱構造65の内部空間は、後方ビーム27の板状部61,62、下方ビーム26の板状部46,47及び背板13によって囲まれる。箱構造65は、側板15から側板16に渡って、形成される。
【0029】
箱構造(第3の箱構造)65は、受け板31,32の接続板部53に、後方側から隣接する。そして、受け板31,32のそれぞれのシリンダ接続部である接続板部53は、後方ビーム27及び箱構造65から、前方側に突出する。図2乃至図6等の一例では、受け板31,32のそれぞれの接続板部53は、後方ビーム27の板状部61から、前方側へ突出する。
【0030】
また、本実施形態では、受け板31,32のそれぞれは、下方ビーム26を貫通して、鉛直下側へ向かって延設される。このため、受け板31,32のそれぞれは、箱構造(第2の箱構造)51の内部の内部空間に挿入される。受け板31,32のそれぞれにおいて箱構造51の内部への挿入部分は、底板12に接続される。また、図2乃至図6の一例では、受け板31,32のそれぞれにおいて箱構造51の内部への挿入部分は、底板12に加えて、背板13にも接続される。
【0031】
前述のような構成であるため、下方ビーム26及び箱構造51は、受け板31,32によって、旋回体3の幅方向に3分割される。すなわち、側板15と受け板31との間の部分、受け板31,32の間の部分、及び、受け板32と側板16との間の部分の3つの部分に、下方ビーム26(箱構造51)が分割される。そして、受け板31,32のそれぞれには、旋回体3の幅方向の両側から、下方ビーム26が当接し、受け板31,32のそれぞれは、幅方向の両側から、下方ビーム26によって挟まれる。
【0032】
また、本実施形態では、受け板31,32のそれぞれは、後方ビーム27を貫通して、後方側へ向かって延設される。このため、受け板31,32のそれぞれは、箱構造(第3の箱構造)65の内部の内部空間に挿入される。受け板31,32のそれぞれにおいて箱構造65の内部への挿入部分は、背板13に接続される。
【0033】
前述のような構成であるため、後方ビーム27及び箱構造65は、受け板31,32によって、旋回体3の幅方向に3分割される。すなわち、側板15と受け板31との間の部分、受け板31,32の間の部分、及び、受け板32と側板16との間の部分の3つの部分に、後方ビーム27(箱構造65)が分割される。そして、受け板31,32のそれぞれには、旋回体3の幅方向の両側から、後方ビーム27が当接し、受け板31,32のそれぞれは、幅方向の両側から、後方ビーム27によって挟まれる。
【0034】
前述のように、本実施形態では、ブーム支持基台6において、側板15,16に対して幅方向の内側に、受け板31,32が配置される。そして、受け板31,32のそれぞれに、ブーム起伏シリンダ8が接続されるシリンダ接続部となる接続板部53が、形成される。ブーム起伏シリンダ8が接続される接続部分である接続板部53が板構造となることにより、ブーム起伏シリンダ8の接続部分が箱構造となる場合等に比べて、ブーム支持基台6においてブーム起伏シリンダ8の接続部分の構成が、簡略化される。また、ブーム起伏シリンダ8の接続部分の構成が簡略化されることにより、ブーム支持基台6が軽量化される。
【0035】
また、ブーム起伏シリンダ8の接続部分である接続板部53が板構造になることにより、ブーム起伏シリンダ8の接続部分を構成する部材の数、及び、ブーム起伏シリンダ8の接続部分の形成における溶接工数が、減少する。これにより、ブーム起伏シリンダ8の接続部分の形成を含むブーム支持基台6の製造において、手間及びコストが低減される。
【0036】
また、本実施形態では、ブーム起伏シリンダ8の接続部分が、側板15,16に対して幅方向の内側に配置される受け板31,32に形成されるため、ブーム支持基台6の幅方向についての接続ピン57の寸法を、小さくすることが可能となる。そして、ブーム起伏シリンダ8の接続部分である接続板部53が、板構造であるため、ブーム支持基台6の幅方向についてのボス56のそれぞれの寸法も、小さくすることが可能となる。幅方向についての接続ピン57及びボス56のそれぞれの寸法が小さくなることにより、接続ピン57及びボス56が軽量化される。これにより、ブーム支持基台6が、さらに軽量化される。
【0037】
また、本実施形態では、下方ビーム26は、受け板31,32の接続板部53に鉛直下側から隣接する状態で、一対の側板15,16の間に架橋され、下方ビーム26は、底板12、背板13及びメインビーム25と協働して、箱構造(第2の箱構造)51を形成する。ブーム7を用いた作業時等のブーム7の起こした状態では、ブーム起伏シリンダ8からの反力を含む荷重が、シリンダ接続部となる受け板31,32の接続板部53に、鉛直下側へ向かって作用する。本実施形態では、前述のような構成であるため、ブーム7を起こした状態において受け板31,32の接続板部53に作用した荷重は、下方ビーム26を介して側板15,16等に適切に分散される。したがって、ブーム7を起こした状態において、シリンダ接続部である接続板部53の荷重に対する強度が確保される。
【0038】
また、本実施形態では、後方ビーム27は、受け板31,32の接続板部53に後方側から隣接する状態で、一対の側板15,16の間に架橋され、後方ビーム27は、背板13及び下方ビーム26と協働して、箱構造(第3の箱構造)65を形成する。クレーン1の走行時等のブーム7を伏せた状態では、ブーム起伏シリンダ8からの反力を含む荷重が、シリンダ接続部となる受け板31,32の接続板部53に、後方側へ向かって作用する。本実施形態では、前述のような構成であるため、ブーム7を伏せた状態において受け板31,32の接続板部53に作用した荷重は、後方ビーム27を介して側板15,16等に適切に分散される。したがって、ブーム7を伏せた状態において、シリンダ接続部である接続板部53の荷重に対する強度が確保される。
【0039】
例えば、ブーム7を伏せた状態でクレーン1が走行している際には、高速で段差を乗越えてクレーン1が走行することがある。本実施形態では、後方ビーム27が設けられるため、高速での段差の乗越えにおいて衝撃荷重を受けても、後方ビーム27等によって、衝撃荷重が適切に分散される。このため、衝撃荷重に起因する振動が適切に抑制され、走行時における運転者等の乗り心地が向上する。以上のように、本実施形態では、ブーム支持基台6の軽量化が実現され、ブーム7を起こした状態及び伏せた状態の両方において、荷重に対するシリンダ接続部(接続板部53)の強度が確保される。
【0040】
また、クレーン1によっては、キャブ5からの視認性を確保するため、図2乃至図6の一例等のように、底板12から鉛直上側に大きく離れた位置で、ブーム支持基台6にブーム7を取付けることがある。このような構成になる場合、ブーム起伏シリンダ8の接続部分となる受け板31,32の接続板部53も、底板12から鉛直上側に大きく離れて配置される。本実施形態では、受け板31,32の接続板部53に下方ビーム26及び箱構造(第2の箱構造)51が鉛直下側から隣接するため、底板12から鉛直上側に接続板部53が離れて位置しても、鉛直方向についての接続板部53の寸法を、小さく抑えられる。このため、底板12から鉛直上側に接続板部53が離れて位置しても、接続板部53のそれぞれの板厚を厚くすることなく、接続板部53の強度(剛性)が適切に確保される。
【0041】
また、本実施形態では、受け板31,32の接続板部53に後方ビーム27及び箱構造(第3の箱構造)65が後方側から隣接するため、鉛直方向についての接続板部53の寸法に加えて、旋回体3の前後方向についての接続板部53の寸法も、小さく抑えられる。これにより、接続板部53の強度(剛性)を適切に確保しつつ、接続板部53のそれぞれの板厚をさらに薄くすることが、実現可能となる。接続板部53のそれぞれの板厚が薄くなることにより、ブーム支持基台6がさらに軽量化される。
【0042】
また、本実施形態では、側板15,16の間にメインビーム25が架橋され、メインビーム25は、ベアリング取付け部となるベアリング取付け座22に対して、後方側から隣接する。これにより、ブーム支持基台6の強度(剛性)が、適切に確保される。また、ブーム支持基台6では、メインビーム25に対して後方側に、下方ビーム26及び後方ビーム27が設けられ、下方ビーム26及び後方ビーム27のそれぞれは、側板15,16の間に架橋される。このため、ブーム支持基台6の強度が、向上する。
【0043】
また、本実施形態では、受け板31,32は、下方ビーム26を貫通して底板12に接続されるとともに、後方ビーム27を貫通して背板13に接続される。そして、受け板31,32のそれぞれは、幅方向の両側から下方ビーム26によって挟まれるとともに、幅方向の両側から後方ビーム27によって挟まれる。このような構造にすることにより、側板15,16の間に架橋される梁となる下方ビーム26及び後方ビーム27のそれぞれの強度(剛性)が向上する。これにより、ブーム支持基台6の強度がさらに向上する。
【0044】
(変形例)
図7及び図8は、ある変形例に係るブーム支持基台6を示す。図7は、斜視図であり、一対の側板15,16の一方である側板16を省略して示す。また、図8は、旋回体3の幅方向に直交又は略直交する断面を示し、一対の受け板31,32の一方を通る断面を示す。図7及び図8に示すように、本変形例では、受け板31,32のそれぞれは、箱構造(第2の箱構造)51からさらに前方側へ向かって延設される。そして、受け板31,32のそれぞれは、メインビーム25を貫通して、箱構造(第1の箱構造)41の内部(内部空間)に挿入される。受け板31,32のそれぞれでは、箱構造41の内部等への挿入部分は、底板12に接続される。また、受け板31,32のそれぞれでは、前方端が、メインビーム25の板状部35に接続される。なお、受け板31,32は、メインビーム25を超えてさらに前方側へは延設されず、メインビーム25から前方側へは突出しない。
【0045】
前述のような構成であるため、本変形例では、メインビーム25及び箱構造41は、受け板31,32によって、旋回体3の幅方向に3分割される。すなわち、側板15と受け板31との間の部分、受け板31,32の間の部分、及び、受け板32と側板16との間の部分の3つの部分に、メインビーム25(箱構造41)が分割される。そして、受け板31,32のそれぞれには、旋回体3の幅方向の両側から、メインビーム25が当接し、受け板31,32のそれぞれは、幅方向の両側から、メインビーム25によって挟まれる。
【0046】
本変形例でも、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。また、本変形例では、受け板31,32は、メインビーム25を貫通し、受け板31,32において箱構造41の内部への挿入部分は、接続される。そして、受け板31,32のそれぞれは、幅方向の両側からメインビーム25によって挟まれる。このような構造にすることにより、側板15,16の間に架橋される梁となるメインビーム25の強度(剛性)が向上する。また、受け板31,32のそれぞれは、メインビーム25に接続される補強部材28,29に、接続板部53に作用した荷重を伝達可能となるため、接続板部53に作用した荷重が、側板15,16にさらに適切に分散される。これにより、ブーム支持基台6の強度がさらに向上する。
【0047】
なお、前述の実施形態等では、ブーム支持基台6を備える建設機械として、クレーン1を例に挙げて説明したが、前述の実施形態等のブーム支持基台6が適用される建設機械は、クレーンに限定されるものではない。ブーム7が設けられ、ブーム起伏シリンダ8の駆動に対応してブーム7が起伏動作を行う建設機械であれば、前述した実施形態等のいずれかブーム支持基台6を、適用可能である。
【0048】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。
【符号の説明】
【0049】
1…クレーン、2…走行車体、3…旋回体、6…ブーム支持基台、7…ブーム、8…ブーム起伏シリンダ、10…ベースフレーム、11…空洞、12…底板、13…背板、15,16…側板、21,22…ベアリング取付け座、25…メインビーム、26…下方ビーム、27…後方ビーム、31,32…受け板、41…箱構造(第1の箱構造)、51…箱構造(第2の箱構造)、53…接続板部、65…箱構造(第3の箱構造)、P…旋回軸。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8