特開 2024-164497 扁平ワイヤーハーネスの取付構造

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024164497

(43)【公開日】2024-11-27

(54)【発明の名称】扁平ワイヤーハーネスの取付構造

(51)【国際特許分類】

   H02G 3/30 20060101AFI20241120BHJP

   F16B 7/04 20060101ALI20241120BHJP

   B60R 16/02 20060101ALI20241120BHJP

【ＦＩ】

H02G3/30

F16B7/04 301G

B60R16/02 623P

【審査請求】未請求

【請求項の数】8

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023080008

(22)【出願日】2023-05-15

(71)【出願人】

【識別番号】000183406

【氏名又は名称】住友電装株式会社

(71)【出願人】

【識別番号】000003207

【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社

(71)【出願人】

【識別番号】000003218

【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機

(74)【代理人】

【識別番号】100088672

【弁理士】

【氏名又は名称】吉竹 英俊

(74)【代理人】

【識別番号】100088845

【弁理士】

【氏名又は名称】有田 貴弘

(74)【代理人】

【識別番号】100117662

【弁理士】

【氏名又は名称】竹下 明男

(74)【代理人】

【氏名又は名称】福市 朋弘

(72)【発明者】

【氏名】西村 和浩

(72)【発明者】

【氏名】佐藤 辰海

(72)【発明者】

【氏名】岡庭 大純

(72)【発明者】

【氏名】蒲 拓也

(72)【発明者】

【氏名】立石 智彦

(72)【発明者】

【氏名】楠山 一博

(72)【発明者】

【氏名】石川 晃紀

(72)【発明者】

【氏名】加藤 充洋

【テーマコード（参考）】

3J039

5G363

【Ｆターム（参考）】

3J039AA04

3J039BB01

3J039CA04

5G363AA16

5G363BA02

5G363BA05

5G363DA13

5G363DC02

(57)【要約】

【課題】リインフォースメントへの扁平ワイヤーハーネスの取付け作業を簡易にできる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】扁平ワイヤーハーネスの取付構造１０は、リインフォースメント本体２２と、前記リインフォースメント本体２２から突出するブラケット２４とを含み、車両に設けられるリインフォースメント２０と、前記リインフォースメント本体２２に沿って配置される扁平ワイヤーハーネス３０と、前記扁平ワイヤーハーネス３０を前記リインフォースメント２０に取付けているクランプ４０と、を備える。前記ブラケット２４は前記扁平ワイヤーハーネス３０の側縁よりも外側に突出する縁部を有し、前記クランプ４０は、前記リインフォースメント本体２２の長手方向と交差する方向から前記ブラケット２４に向けて押されて前記ブラケット２４の前記縁部に係止する係止爪４２を有する。
【選択図】図３

【特許請求の範囲】

【請求項1】

リインフォースメント本体と、前記リインフォースメント本体から突出するブラケットとを含み、車両に設けられるリインフォースメントと、
前記リインフォースメント本体に沿って配置される扁平ワイヤーハーネスと、
前記扁平ワイヤーハーネスを前記リインフォースメントに取付けているクランプと、
を備え、
前記ブラケットは前記扁平ワイヤーハーネスの側縁よりも外側に突出する縁部を有し、
前記クランプは、前記リインフォースメント本体の長手方向と交差する方向から前記ブラケットに向けて押されて前記ブラケットの前記縁部に係止する係止爪を有する、扁平ワイヤーハーネスの取付構造。

【請求項2】

請求項１に記載の扁平ワイヤーハーネスの取付構造であって、
前記ブラケットは、前記扁平ワイヤーハーネスの第１側縁の外側に突出する第１ブラケットと、前記扁平ワイヤーハーネスの第２側縁の外側に突出する第２ブラケットとを有し、
前記係止爪は、前記第１ブラケットに係止する第１係止爪と、前記第２ブラケットに係止する第２係止爪とを有する、扁平ワイヤーハーネスの取付構造。

【請求項3】

請求項２に記載の扁平ワイヤーハーネスの取付構造であって、
前記リインフォースメント本体からの前記第１ブラケットの突出位置と前記第２ブラケットの突出位置とが前記長手方向に沿って互いに同じ位置であり、
前記クランプは、前記第１係止爪と前記第２係止爪とを連結するクランプ本体を含む、扁平ワイヤーハーネスの取付構造。

【請求項4】

請求項３に記載の扁平ワイヤーハーネスの取付構造であって、
前記扁平ワイヤーハーネスは、前記リインフォースメント本体と前記クランプ本体との間に挟み込まれている部分を有する、扁平ワイヤーハーネスの取付構造。

【請求項5】

請求項４に記載の扁平ワイヤーハーネスの取付構造であって、
前記扁平ワイヤーハーネスは、前記クランプによって前記リインフォースメント本体に向けて押えられて前記リインフォースメントの曲面に沿うように曲がった状態に弾性変形しており、
前記クランプには前記扁平ワイヤーハーネスを弾性変形した状態に押える反力がかかり、
前記反力が前記係止爪を前記ブラケットに押し当てる力として作用している、扁平ワイヤーハーネスの取付構造。

【請求項6】

請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の扁平ワイヤーハーネスの取付構造であって、
前記ブラケットは前記クランプとの係止状態を維持したまま塑性変形を伴う曲げ変形が可能である、扁平ワイヤーハーネスの取付構造。

【請求項7】

請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の扁平ワイヤーハーネスの取付構造であって、
前記係止爪は、前記ブラケットに係止する係止部と、前記係止部から前記リインフォースメント本体に向けて前記ブラケットに沿って延びる延在部とを有し、
前記延在部は、前記ブラケットの主面及び側面を覆う、扁平ワイヤーハーネスの取付構造。

【請求項8】

請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の扁平ワイヤーハーネスの取付構造であって、
前記ブラケットの突出方向中間部にスリットが形成され、
前記スリットの周縁部に前記係止爪が係止している、扁平ワイヤーハーネスの取付構造。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、扁平ワイヤーハーネスの取付構造に関する。

【背景技術】

【0002】

特許文献１は扁平配線部材を車両に固定する技術を開示している。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０２０－１４５１７５号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

扁平ワイヤーハーネスは、厚み寸法と比べて大きい幅寸法を有するため、取付対象部材への扁平ワイヤーハーネスの取付け作業時に、作業者の視界が扁平ワイヤーハーネスによって遮られやすい。扁平ワイヤーハーネスの取付け作業が簡易となることが望まれる。

【0005】

そこで、リインフォースメントへの扁平ワイヤーハーネスの取付け作業を簡易にできる技術を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本開示の扁平ワイヤーハーネスの取付構造は、リインフォースメント本体と、前記リインフォースメント本体から突出するブラケットとを含み、車両に設けられるリインフォースメントと、前記リインフォースメント本体に沿って配置される扁平ワイヤーハーネスと、前記扁平ワイヤーハーネスを前記リインフォースメントに取付けているクランプと、を備え、前記ブラケットは前記扁平ワイヤーハーネスの側縁よりも外側に突出する縁部を有し、前記クランプは、前記リインフォースメント本体の長手方向と交差する方向から前記ブラケットに向けて押されて前記ブラケットの前記縁部に係止する係止爪を有する、扁平ワイヤーハーネスの取付構造である。

【発明の効果】

【0007】

本開示によれば、リインフォースメントへの扁平ワイヤーハーネスの取付け作業を簡易にできる。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】図１は実施形態１にかかる扁平ワイヤーハーネスの取付構造を示す概略斜視図である。

【図2】図２は扁平ワイヤーハーネスの取付構造を示す平面図である。

【図3】図３は図２のＩＩＩ－ＩＩＩ線に沿った断面図である。

【図4】図４は扁平ワイヤーハーネスを取り付ける様子を示す説明図である。

【図5】図５は扁平ワイヤーハーネスを取り付ける様子を示す説明図である。

【図6】図６は第１変形例にかかる扁平ワイヤーハーネスの取付構造を示す断面図である。

【図7】図７は第２変形例にかかる扁平ワイヤーハーネスの取付構造を示す底面図である。

【図8】図８は第３変形例にかかる扁平ワイヤーハーネスの取付構造を示す底面図である。

【図9】図９は図８のＩＸ－ＩＸ線に沿った断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0009】

［本開示の実施形態の説明］
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。

【0010】

本開示の扁平ワイヤーハーネスの取付構造は、次の通りである。

【0011】

（１）リインフォースメント本体と、前記リインフォースメント本体から突出するブラケットとを含み、車両に設けられるリインフォースメントと、前記リインフォースメント本体に沿って配置される扁平ワイヤーハーネスと、前記扁平ワイヤーハーネスを前記リインフォースメントに取付けているクランプと、を備え、前記ブラケットは前記扁平ワイヤーハーネスの側縁よりも外側に突出する縁部を有し、前記クランプは、前記リインフォースメント本体の長手方向と交差する方向から前記ブラケットに向けて押されて前記ブラケットの前記縁部に係止する係止爪を有する、扁平ワイヤーハーネスの取付構造である。

【0012】

このように構成された扁平ワイヤーハーネスの取付構造によると、扁平ワイヤーハーネスをリインフォースメント本体に配置すると共に係止爪をブラケットに向けて押すことによって扁平ワイヤーハーネスをリインフォースメントに取付けることができる。ブラケットの縁部が扁平ワイヤーハーネスの側縁よりも外側に突出しているため、作業者が係止爪を係止させる部分を視認しやすい。これにより、リインフォースメントへの扁平ワイヤーハーネスの取付け作業が簡易となる。

【0013】

（２）（１）の扁平ワイヤーハーネスの取付構造において、前記ブラケットは、前記扁平ワイヤーハーネスの第１側縁の外側に突出する第１ブラケットと、前記扁平ワイヤーハーネスの第２側縁の外側に突出する第２ブラケットとを有し、前記係止爪は、前記第１ブラケットに係止する第１係止爪と、前記第２ブラケットに係止する第２係止爪とを有してもよい。これにより、扁平ワイヤーハーネスをリインフォースメント本体に取付ける取付部を扁平ワイヤーハーネスの両側に設けることができる。

【0014】

（３）（２）の扁平ワイヤーハーネスの取付構造において、前記リインフォースメント本体からの前記第１ブラケットの突出位置と前記第２ブラケットの突出位置とが前記長手方向に沿って互いに同じ位置であり、前記クランプは、前記第１係止爪と前記第２係止爪とを連結するクランプ本体を含んでもよい。これにより、１つのクランプが第１ブラケット及び第２ブラケットに係止することができる。

【0015】

（４）（３）の扁平ワイヤーハーネスの取付構造において、前記扁平ワイヤーハーネスは、前記リインフォースメント本体と前記クランプ本体との間に挟み込まれている部分を有してもよい。これにより、扁平ワイヤーハーネスをリインフォースメント本体に配置した後に、扁平ワイヤーハーネスに予め固定されていないクランプによって、扁平ワイヤーハーネスをリインフォースメントに取付けることもできる。

【0016】

（５）（４）の扁平ワイヤーハーネスの取付構造において、前記扁平ワイヤーハーネスは、前記クランプによって前記リインフォースメント本体に向けて押えられて前記リインフォースメントの曲面に沿うように曲がった状態に弾性変形しており、前記クランプには前記扁平ワイヤーハーネスを弾性変形した状態に押える反力がかかり、前記反力が前記係止爪を前記ブラケットに押し当てる力として作用していてもよい。これにより、扁平ワイヤーハーネスの弾性変形を用いて、クランプをブラケットから外れにくくすることができる。

【0017】

（６）（１）から（５）のいずれか１つの扁平ワイヤーハーネスの取付構造において、前記ブラケットは前記クランプとの係止状態を維持したまま塑性変形を伴う曲げ変形が可能であってもよい。これにより、ブラケットが垂直になるように曲げることで扁平ワイヤーハーネスの取付構造にかかる投影面積を小さくできる。これにより、扁平ワイヤーハーネスの取付構造にかかるリインフォースメントの両側方のスペースを小さくできる。またブラケットが水平に近い状態でクランプを取付けられることで、クランプ取付時に、係止爪が本体と干渉しにくくなるため、係止爪長さを短くできる。

【0018】

（７）（１）から（６）のいずれか１つの扁平ワイヤーハーネスの取付構造において、前記係止爪は、前記ブラケットに係止する係止部と、前記係止部から前記リインフォースメント本体に向けて前記ブラケットに沿って延びる延在部とを有し、前記延在部は、前記ブラケットの主面及び側面を覆ってもよい。これにより、延在部分によって、クランプをブラケットの幅方向に位置決めできる。

【0019】

（８）（１）から（７）のいずれか１つの扁平ワイヤーハーネスの取付構造において、前記ブラケットの突出方向中間部にスリットが形成され、前記スリットの周縁部に前記係止爪が係止していてもよい。これにより、係止爪がブラケット先端に係止する場合と比べて、係止爪の長さを短くできる。

【0020】

［本開示の実施形態の詳細］
本開示の扁平ワイヤーハーネスの取付構造の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

【0021】

［実施形態１］
以下、実施形態１にかかる扁平ワイヤーハーネスの取付構造について説明する。図１は実施形態１にかかる扁平ワイヤーハーネスの取付構造１０を示す概略斜視図である。図２は扁平ワイヤーハーネスの取付構造１０を示す平面図である。図３は図２のＩＩＩ－ＩＩＩ線に沿った断面図である。図４及び図５は扁平ワイヤーハーネス３０を取り付ける様子を示す説明図である。

【0022】

扁平ワイヤーハーネスの取付構造１０は、リインフォースメント２０と扁平ワイヤーハーネス３０とクランプ４０とを備える。扁平ワイヤーハーネスの取付構造１０は、クランプ４０によって扁平ワイヤーハーネス３０をリインフォースメント２０に取付けるものである。

【0023】

リインフォースメント２０は、車両に設けられる。車両において、リインフォースメント２０の配置箇所は特に限定されるものではなく、適宜設定可能である。ここではリインフォースメント２０が、車両のインストルメントパネル内に配置されるものとして説明される。リインフォースメント２０は、リインフォースメント本体２２と、ブラケット２４とを含む。リインフォースメント２０は、例えば、互いに別の金属部品として成形されたリインフォースメント本体２２及びブラケット２４が溶接などにより一体化されることによって形成される。

【0024】

リインフォースメント本体２２は、例えば、円筒状又は角筒状などの筒状に形成される。ブラケット２４はリインフォースメント本体２２の外面からリインフォースメント本体２２の長手方向と交差する方向に突出する。リインフォースメント２０がインストルメントパネル内に配置される場合、リインフォースメント本体２２は車両の幅方向に延びる。リインフォースメント本体２２の長手方向一端部が車体の左方壁部に連結され、他端部が車体の右方壁部に連結される。ブラケット２４はリインフォースメント本体２２から車両の前方又は後方に延びる。

【0025】

ここではブラケット２４はリインフォースメント本体２２の外面から側方かつ下方に突出する。ブラケット２４はリインフォースメント本体２２の外面から接線方向に突出している。ブラケット２４はリインフォースメント本体２２から接線方向以外の向きに突出してもよく、側方かつ下方以外の向きに突出してもよい。ブラケット２４はリインフォースメント本体２２から水平方向に突出してもよいし、鉛直下向きに突出してもよい。ここではブラケット２４は、平板状に形成される。ブラケット２４は、リインフォースメント本体２２からの突出方向に直交する横断面において、平板の一端から壁部が突出するＬ字板状又は平板の両端から壁部が突出する樋状などに形成されてもよい。

【0026】

ブラケット２４は、第１ブラケット２４Ａと第２ブラケット２４Ｂとを有する。第１ブラケット２４Ａはリインフォースメント本体２２から一方側方に突出し、第２ブラケット２４Ｂはリインフォースメント本体２２から他方側方に突出する。リインフォースメント本体２２の長手方向において、第１ブラケット２４Ａ及び第２ブラケット２４Ｂの突出位置は特に限定されるものではなく、適宜設定可能である。ここではリインフォースメント本体２２からの第１ブラケット２４Ａの突出位置と第２ブラケット２４Ｂの突出位置とがリインフォースメント本体２２の長手方向に沿って互いに同じ位置である。

【0027】

リインフォースメント本体２２の周方向において、第１ブラケット２４Ａ及び第２ブラケット２４Ｂの間隔は特に限定されるものではなく、適宜設定可能である。第１ブラケット２４Ａと第２ブラケット２４Ｂとは、リインフォースメント本体２２の周方向に沿って、６分の１周以上離れていてもよく、４分の１周以上離れていてもよく、３分の１周以上離れていてもよい。第１ブラケット２４Ａと第２ブラケット２４Ｂとは、リインフォースメント本体２２の周方向に沿って、２分の１周以下離れており、４分の３周以上離れていてもよく、３分の１周以下離れていてもよい。

【0028】

扁平ワイヤーハーネス３０は、リインフォースメント本体２２に沿って配置される。扁平ワイヤーハーネス３０は、複数の線状伝送部材３２と、ベース材３６とを含む。線状伝送部材３２は、電気又は光を伝送する線状の部材であればよい。線状伝送部材３２は、例えば、電気を伝送する電線又は光を伝送する光ファイバである。ここでは線状伝送部材３２が、電線３２であるものとして説明される。複数の電線３２のそれぞれは、被覆電線である。被覆電線は、導体芯線３３と、導体芯線３３を覆う被覆層３４とを有する。

【0029】

ベース材３６は、複数の電線３２を扁平に並んだ状態に保持する。ここでは、ベース材３６は、シート状に形成される。ベース材３６に対して複数の電線３２を扁平に並んだ状態に保持する構造は特に限定されない。例えば、複数の電線３２のそれぞれがベース材３６に対して、溶着（超音波溶着、加熱加圧溶着、熱風溶着、高周波溶着又は溶剤による溶着を含む）、接着剤、粘着剤等によって固定されてもよい。この場合、複数の電線３２をより扁平状態に保ち易い。また、複数の電線３２のそれぞれが縫糸によってベース材３６に固定されてもよい。また、複数の電線３２とベース材３６とに巻かれた結束部材により、複数の電線３２とベース材３６とが結束されていてもよい。結束部材は、例えば、結束バンド（ケーブルタイとも呼ばれる）であってもよいし、粘着テープであってもよい。

【0030】

複数の電線３２の並列構造は、扁平に並ぶものであれば、特に限定されない。例えば、複数の電線３２は、ばらばらな状態でベース材３６の主面上に配置されてもよい。複数の電線３２は、１列に並んだ状態に保持されていてもよいし、積重なりつつ並んだ状態で保持されていてもよい。各列において、隣り合う電線３２同士は、図３に示すように、互いに離れていてもよい。各列において、隣り合う電線３２同士は、互いに接触していてもよい。

【0031】

複数の電線３２は、束ねられた状態でベース材３６の主面上に配置されてもよい。この場合、複数の電線３２が複数のグループに分けられてもよい。具体的には、複数の電線３２は、複数のグループごとに互いに別に束ねられて複数の束とされる。複数の束が、主面に沿って並べられる。これにより、複数の電線３２を扁平状態に保ち易い。

【0032】

ベース材３６は互いに逆向きの第１主面及び第２主面を有する。ここでは複数の電線３２は、ベース材３６の第１主面上にのみ配置されている。第２主面上には電線３２が配置されていない。複数の電線３２は、ベース材３６の第１主面及び第２主面に分かれて配置されていてもよい。複数の電線３２がベース材３６の第１主面上にのみ配置される場合、ベース材３６のうちリインフォースメント本体２２の外面に対向する面は、第１主面であってもよいし、第２主面であってもよい。

【0033】

なお、扁平ワイヤーハーネス３０は、複数の線状導体を並列状態にしてフィルム等の絶縁材料で被覆した帯状の配線部材、例えば、フレキシブルフラットケーブルであってもよい。この場合、線状導体が線状伝送部材に相当し、フィルム等がベース材に相当する。

【0034】

複数の電線３２の延在方向が扁平ワイヤーハーネス３０の延在方向である。複数の電線３２の並列方向が扁平ワイヤーハーネス３０の幅方向である。電線３２とベース材３６との積層方向が扁平ワイヤーハーネス３０の厚み方向である。扁平ワイヤーハーネス３０において、厚み方向の寸法と比べて延在方向の寸法及び幅方向の寸法が大きい。扁平ワイヤーハーネス３０の幅寸法は、例えば、リインフォースメント本体２２の幅寸法と同じかそれよりも大きくてもよい。

【0035】

扁平ワイヤーハーネス３０の幅方向端部の縁部が、扁平ワイヤーハーネス３０の側縁である。ここではベース材３６の側縁が扁平ワイヤーハーネス３０の側縁である。ブラケット２４は、扁平ワイヤーハーネス３０の側縁よりも外側に突出する縁部２５を有する。ここでは、ブラケット２４の先端部が、扁平ワイヤーハーネス３０の側縁よりも外側に突出している。ブラケット２４の先端部の縁部２５が、扁平ワイヤーハーネス３０の側縁よりも外側に突出する縁部２５である。

【0036】

第１ブラケット２４Ａは、扁平ワイヤーハーネス３０の第１側縁の外側に突出する。第２ブラケット２４Ｂは、扁平ワイヤーハーネス３０の第２側縁の外側に突出する。扁平ワイヤーハーネス３０の第１側縁から第２側縁までの長さ寸法は、第１ブラケット２４Ａの先端部からリインフォースメント本体２２を経由して第２ブラケット２４Ｂの先端部までの経路長よりも短い。ここでは扁平ワイヤーハーネス３０はリインフォースメント本体２２の上面に収まり、ブラケット２４に重なっていない。扁平ワイヤーハーネス３０はリインフォースメント本体２２の上面よりも側方に突出して、一部がブラケット２４に重なっていてもよい。

【0037】

クランプ４０は、係止爪４２とクランプ本体４６とを含む。クランプ４０は例えば樹脂製の金型成形品である。

【0038】

係止爪４２は、リインフォースメント本体２２の長手方向と交差する方向からブラケット２４に向けて押されてブラケット２４の縁部２５に係止する形状を有する。係止爪４２は、係止部４３と延在部４４とを有する。係止部４３は、ブラケット２４の縁部に係止する。延在部４４は、係止部４３からリインフォースメント本体２２に向けてブラケット２４に沿って延びる。

【0039】

係止爪４２は、係止部４３の先端がブラケット２４の縁部２５の上面へ押し当てられた時に拡径するように弾性変形可能である。係止部４３の先端がブラケット２４の縁部２５を越えることによって、係止部４３の先端が弾性復帰し、ブラケット２４の縁部２５の下面に係止する。係止部４３の形状は、ブラケット２４の縁部２５に係止可能な形状であれば、如何なる形状であってもよい。係止部４３はブラケット２４の先端部の縁部２５に係止可能に延在部４４の先端が折り返された形状に形成されている。係止部４３は、ブラケット２４の側縁に係止可能に形成されていてもよい。

【0040】

ここでは係止爪４２は、第１ブラケット２４Ａに係止する第１係止爪４２Ａと、第２ブラケット２４Ｂに係止する第２係止爪４２Ｂとを有する。第１係止爪４２Ａと第２係止爪４２Ｂとが、クランプ本体４６によって連結されている。クランプ本体４６の一端から第１係止爪４２Ａが突出し、他端から第２係止爪４２Ｂが突出する。ここではクランプ本体４６はリインフォースメント本体２２の外面の湾曲面に対応する湾曲形状を有する。扁平ワイヤーハーネス３０は、リインフォースメント本体２２とクランプ本体４６との間に挟み込まれている部分を有する。

【0041】

扁平ワイヤーハーネス３０は、図４に示すように幅方向及び延在方向が水平方向と平行な姿勢で一部が支持されたときに、支持されない部分が自重で垂れ下がらず、実質的に水平な姿勢を保てる剛性を有してもよい。扁平ワイヤーハーネス３０がリインフォースメント本体２２に支持され、かつ、クランプ４０が取付けられていない状態で、扁平ワイヤーハーネス３０のうちリインフォースメント本体２２に支持される部分から離れた部分とリインフォースメント本体２２とが互いに離れていてもよい。扁平ワイヤーハーネス３０の幅方向中間部がリインフォースメント本体２２に支持され、かつ、クランプ４０が取付けられていない状態で、扁平ワイヤーハーネス３０の両側縁がリインフォースメント本体２２から離れていてもよい。

【0042】

扁平ワイヤーハーネス３０は、クランプ４０によってリインフォースメント本体２２に向けて押えられてリインフォースメント２０の曲面に沿うように曲がった状態に弾性変形している。扁平ワイヤーハーネス３０のうちリインフォースメント本体２２に支持される部分から幅方向に離れた部分であって、リインフォースメント本体２２から離れた部分が、クランプ４０によってリインフォースメント本体２２に向けて押えられる。

【0043】

リインフォースメント２０の曲面に沿うように曲がった状態に弾性変形している扁平ワイヤーハーネス３０は、図４の水平状態に戻ろうとしてクランプ本体４６を押す。図３に示すように、クランプ４０には扁平ワイヤーハーネス３０を弾性変形した状態に押える反力Ｆがかかる。当該反力Ｆが係止爪４２をブラケット２４に押し当てる力として作用している。反力Ｆはクランプ本体４６をリインフォースメント本体２２の上面から上方に離す向きにクランプ本体４６にかかる。これにより、クランプ本体４６に連なる係止爪４２もブラケット２４の上面から上方に離れようとし、ブラケット２４の縁部２５の下面に係止している係止部４３がブラケット２４の縁部２５の下面に押し当てられる。

【0044】

扁平ワイヤーハーネス３０がかかる剛性を有するための構成は、特に限定されない。例えば、ベース材３６が自重で垂れ下がらない高い剛性を有するシート材などであってもよい。また例えば、ベース材３６は可撓性を有するシート材など自重で垂れ下がる剛性を有しつつ、それぞれが線状伝送部材３２及びベース材３６を有する複数の配線体が積層されると共に積層状態に保持されて扁平ワイヤーハーネス３０とされることによって、扁平ワイヤーハーネス３０の剛性が高められてもよい。複数の配線体の積層数は、例えば、２層から１０層であってもよい。

【0045】

扁平ワイヤーハーネス３０は、幅方向及び延在方向が水平方向と平行な姿勢で一部が支持されたときに、自重で垂れ下がる剛性を有していてもよい。この場合、扁平ワイヤーハーネス３０がリインフォースメント本体２２に支持され、かつ、クランプ４０が取付けられていない状態で、扁平ワイヤーハーネス３０の側縁が垂れ下がってリインフォースメント本体２２に接していてもよい。

【0046】

クランプ４０を用いて扁平ワイヤーハーネス３０をリインフォースメント２０に取り付けるに当たり、図５に示すように、リインフォースメント本体２２上に扁平ワイヤーハーネス３０を配置する。次に、クランプ本体４６を扁平ワイヤーハーネス３０の上に被せると共に、係止爪４２をブラケット２４に係止させる。ここでは、係止爪４２の延在部４４がブラケット２４上に位置決めされた状態で係止部４３がブラケット２４の縁部２５に向けて押されることによって、係止爪４２が弾性変形しつつブラケット２４の縁部２５を越え、ブラケット２４の縁部２５に係止する。これにより、扁平ワイヤーハーネス３０がリインフォースメント２０に取付けられて、図１の状態の扁平ワイヤーハーネスの取付構造１０となる。

【0047】

図１に示すように、ここでは複数のクランプ４０が、リインフォースメント本体２２の延在方向に沿って間隔をあけて設けられている。扁平ワイヤーハーネス３０が複数のクランプ４０を用いて取付けられる。もっとも、クランプ４０は１つであってもよい。リインフォースメント２０への複数の取付箇所のうち作業者の視界が確保しにくい一部の箇所にクランプ４０が用いられ、他の箇所には従来の取付構造が採用されてもよい。

【0048】

＜効果等＞
以上のように構成された扁平ワイヤーハーネスの取付構造１０によると、扁平ワイヤーハーネス３０をリインフォースメント本体２２に配置すると共に係止爪４２をブラケット２４に向けて押すことによって扁平ワイヤーハーネス３０をリインフォースメント２０に取付けることができる。ブラケット２４の縁部２５が扁平ワイヤーハーネス３０の側縁よりも外側に突出しているため、作業者が係止爪４２を係止させる部分を視認しやすい。これにより、リインフォースメント２０への扁平ワイヤーハーネス３０の取付け作業が簡易となる。

【0049】

また、第１係止爪４２Ａが第１ブラケット２４Ａに係止すると共に第２係止爪４２Ｂが第２ブラケット２４Ｂに係止している。これにより、扁平ワイヤーハーネス３０をリインフォースメント本体２２に取付ける取付部を扁平ワイヤーハーネス３０の両側に設けることができる。第１係止爪４２Ａ及び第２係止爪４２Ｂの一方は作業者から見えやすく、他方は作業者から見えにくいことがあり得る。この場合でも、第１係止爪４２Ａと第２係止爪４２Ｂとが位置決めされていれば、第１係止爪４２Ａ及び第２係止爪４２Ｂの一方を対応するブラケット２４に位置決めすることで、他方も対応するブラケット２４に位置決めされる。これにより、リインフォースメント２０への扁平ワイヤーハーネス３０の取付け作業が簡易となる。

【0050】

また、クランプ４０は、第１係止爪４２Ａと第２係止爪４２Ｂとを連結するクランプ本体４６を含む。これにより、１つのクランプ４０が第１ブラケット２４Ａ及び第２ブラケット２４Ｂに係止することができる。また、第１係止爪４２Ａと第２係止爪４２Ｂとがクランプ本体４６によって位置決めされる。

【0051】

また、扁平ワイヤーハーネス３０は、リインフォースメント本体２２とクランプ本体４６との間に挟み込まれている部分を有する。これにより、扁平ワイヤーハーネス３０をリインフォースメント本体２２に配置した後に、扁平ワイヤーハーネス３０に予め固定されていないクランプ４０によって、扁平ワイヤーハーネス３０をリインフォースメント２０に取付けることもできる。

【0052】

また、クランプ４０には扁平ワイヤーハーネス３０を弾性変形した状態に押える反力Ｆがかかり、反力Ｆが係止爪４２をブラケット２４に押し当てる力として作用している。これにより、扁平ワイヤーハーネス３０の弾性変形を用いて、クランプ４０をブラケット２４から外れにくくすることができる。

【0053】

［付記］
図６は第１変形例にかかる扁平ワイヤーハーネスの取付構造１１０を示す断面図である。

【0054】

扁平ワイヤーハーネスの取付構造１１０において、リインフォースメント１２０のブラケット１２４の剛性がブラケット２４の剛性と異なる。ブラケット１２４はクランプ４０との係止状態を維持したまま塑性変形を伴う曲げ変形が可能である。これにより、ブラケット１２４が垂直になる向きに曲げられることで扁平ワイヤーハーネスの取付構造１１０にかかる投影面積を小さくできる。これにより、扁平ワイヤーハーネスの取付構造１１０にかかるリインフォースメント２０の両側方のスペース（リインフォースメント１２０がインパネリインフォースメントの場合、車両前後方向のスペース）を小さくできる。またブラケット１２４が水平に近い状態でクランプ４０を取付けられることで、クランプ４０取付時に、係止爪４２がリインフォースメント本体２２と干渉しにくくなるため、係止爪４２の長さを短くできる。

【0055】

図７は第２変形例にかかる扁平ワイヤーハーネスの取付構造２１０を示す底面図である。

【0056】

扁平ワイヤーハーネスの取付構造２１０において、クランプ２４０の延在部２４４の形状が上記延在部４４の形状とは異なる。延在部２４４は、ブラケット２４の主面及び側面を覆う。これにより、延在部２４４によって、クランプ２４０をブラケット２４の幅方向に位置決めできる。ブラケット２４の幅方向がリインフォースメント本体２２の長手方向と一致していれば、クランプ２４０がリインフォースメント本体２２の長手方向に位置決めされる。クランプ２４０は係止部４３によってブラケット２４の突出方向及び厚み方向に位置決めされる。従って、クランプ２４０は、係止部４３及び延在部２４４によってブラケット２４に対して互いに異なる３方向に位置決めされる。

【0057】

図７に示す例では、延在部２４４は平板の両端から側壁が突出する樋状である。延在部２４４はブラケット２４の両側面を覆う。延在部は平板の一端から側壁が突出するＬ字板状などであってもよい。この場合、延在部はブラケット２４の一方側面を覆い、他方側面は覆わない。

【0058】

図８は第３変形例にかかる扁平ワイヤーハーネスの取付構造３１０を示す底面図である。図９は図８のＩＸ－ＩＸ線に沿った断面図である。

【0059】

扁平ワイヤーハーネスの取付構造３１０において、ブラケット３２４の形状が、上記ブラケット２４の形状とは異なる。ブラケット３２４の突出方向中間部にスリット３２６が形成されている。スリット３２６の周縁部に係止爪４２が係止している。これにより、係止爪４２がブラケット２４の先端の縁部に係止する場合と比べて、係止爪４２の長さを短くできる。

【0060】

このほか、これまでリインフォースメント本体２２からの第１ブラケット２４Ａの突出位置と第２ブラケット２４Ｂの突出位置とが長手方向に沿って互いに同じ位置であるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。リインフォースメント本体２２からの第１ブラケット２４Ａの突出位置と第２ブラケット２４Ｂの突出位置とが長手方向に沿って互いに異なる位置であってもよい。この場合、第１係止爪４２Ａを含む第１クランプと、第２係止爪４２Ｂを含む第２クランプとが、互いに別のクランプとして設けられていてもよい。

【0061】

またこれまで、扁平ワイヤーハーネス３０がリインフォースメント本体２２とクランプ本体４６との間に挟み込まれている部分を有するものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。クランプ本体４６の上面に扁平ワイヤーハーネス３０が固定されて、クランプ本体４６が扁平ワイヤーハーネス３０とリインフォースメント本体２２との間に挟み込まれていてもよい。この場合、クランプ本体４６と扁平ワイヤーハーネス３０との固定態様は特に限定されるものではなく、接着、溶着など適宜設定可能である。

【0062】

またこれまで、クランプ４０がクランプ本体４６を含むものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。クランプ４０はクランプ本体４６を含んでいなくてもよい。この場合、例えば、係止爪４２の延在部４４の基端部が扁平ワイヤーハーネス３０のベース材３６などに固定されていてもよい。

【0063】

なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。

【符号の説明】

【0064】

１０、１１０、２１０、３１０ 扁平ワイヤーハーネスの取付構造
２０ リインフォースメント
２２ リインフォースメント本体
２４、１２４、３２４ ブラケット
２４Ａ 第１ブラケット
２４Ｂ 第２ブラケット
２５ 縁部
３０ 扁平ワイヤーハーネス
３２ 電線（線状伝送部材）
３３ 導体芯線
３４ 被覆層
３６ ベース材
４０、２４０ クランプ
４２、２４２ 係止爪
４２Ａ 第１係止爪
４２Ｂ 第２係止爪
４３ 係止部
４４、２４４ 延在部分
４６ クランプ本体
３２６ スリット

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】