IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タキゲン製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-扉用ハンドル 図1
  • 特開-扉用ハンドル 図2
  • 特開-扉用ハンドル 図3
  • 特開-扉用ハンドル 図4
  • 特開-扉用ハンドル 図5
  • 特開-扉用ハンドル 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164505
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】扉用ハンドル
(51)【国際特許分類】
   E05C 3/04 20060101AFI20241120BHJP
   E05B 1/00 20060101ALI20241120BHJP
   E05B 15/02 20060101ALI20241120BHJP
   E05B 65/00 20060101ALN20241120BHJP
【FI】
E05C3/04 E
E05B1/00 311H
E05B15/02 D
E05B65/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080021
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000108708
【氏名又は名称】タキゲン製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】峯村 知孝
(57)【要約】
【課題】扉用ハンドルにおいて、金属製の可動部各部で金属粉の発生を防止する。
【解決手段】本ハンドルHは金属製のハンドル本体1と金属製の受け部6とを備える。ハンドル本体1は扉に金属製のベース2を介してハンドル軸3により回転可能に取り付けられる。受け部6は固定枠体に取り付けられる。本ハンドルHでは、受け部6に樹脂製のカバー7、ハンドル軸3に樹脂製のブッシュ8がそれぞれ被着され、ベース2、ハンドル本体1間に樹脂製のワッシャー4が配置され、ベース2の背面に金属製の板バネ5が回転方向の動きを規制して配置される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉の正面で回動側の一側部にベースを介してハンドル軸により回転可能に取り付けられ、先端側にロック部を有する金属材からなるハンドル本体と、固定枠体に前記扉の前記一側部に近接して設けられ、前記ハンドル本体の回転操作により前記ロック部を係脱可能な金属材からなる受け部とを備え、前記ハンドル本体の回転操作により前記ロック部と前記受け部とを係脱して、扉をロック、ロック解除する扉用ハンドルにおいて、
前記ロック部と前記受け部との相互の係合面の少なくとも一方に樹脂製のカバーが被着され、前記ロック部と前記受け部とは前記樹脂製のカバーを介して係合される、
ことを特徴とする扉用ハンドル。
【請求項2】
ハンドル本体は、ロック部が先端部から後端部方向に向けてくさび形断面で円弧状に形成され、受け部は、平板状の受け部側取付部と、前記受け部側取付部から断面L字形に形成されて前記受け部側取付部から立ち上げられる受け部側支持部及び前記受け部側支持部から前記受け部側取付部と平行に延びる受け部側係合部とからなり、樹脂製のカバーは、前記受け部側取付部の背面に沿って配置されるカバー側取付部と、前記カバー取付部から立ち上げられて前記受け部側支持部の内面に沿って配置されるカバー側支持部と、前記カバー側支持部から前記カバー側取付部と平行に延び前記受け部側係合部の少なくとも内面に沿って配置されるカバー側係合部とからなる請求項1に記載の扉用ハンドル。
【請求項3】
ハンドル本体は、長さ方向中間部にハンドル軸のための軸挿通孔を有し、前記ハンドル本体の軸挿通孔と前記ハンドル軸との相互の係合面の少なくとも一方に樹脂製のブッシュが被着され、前記ハンドル本体の軸挿通孔と前記ハンドル軸とは前記樹脂製のブッシュを介して係合される請求項1に記載の扉用ハンドル。
【請求項4】
ハンドル軸は、ハンドル本体側の一端にフランジを有するパイプからなり、樹脂製のブッシュは、前記ハンドル軸の前記フランジの前記パイプ側の面に被着可能なフランジ部と、前記パイプの外周面に被着可能なパイプ部とからなる請求項3に記載の扉用ハンドル。
【請求項5】
ベースは金属材からなり、前記ベースの正面に樹脂製のワッシャーを介してハンドル本体が配置され、ハンドル軸が前記ハンドル本体から前記樹脂製のワッシャーを通して前記ベースに挿通されるとともに前記ベースの背面で固定されて取り付けられ、前記ハンドル本体と前記ベースとは前記樹脂製のワッシャーを介して係合される請求項1に記載の扉用ハンドル。
【請求項6】
樹脂製のワッシャーはリング状に形成される請求項5に記載の扉用ハンドル。
【請求項7】
ハンドル軸は、中空で内周面にねじを有し、ベースの背面側で板バネを介してボルトにより締結固定され、前記ベースの背面に当該背面の長さ方向両側に当該背面の長さ方向両側方向に凸のくの字形に一対のリブが形成され、前記板バネは前記一対のリブ間に嵌合可能に両側をくの字にして形成されて、前記各リブ間に配置される請求項1に記載の扉用ハンドル。
【請求項8】
一対のリブのくの字の頂部と板バネの両側のくの字の頂部との間に隙間が設けられる請求項7に記載の扉用ハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の機械、温、冷蔵庫を含む各種の保管庫などの扉に使用する扉用ハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、機械や保管庫などの筐体は正面などの一側面に固定枠体により開口を形成され、固定枠体の一方の側部にヒンジを介して扉が回動可能に取り付けられ、扉で開口が開閉されるようになっている。そして、扉用ハンドルは、扉の正面で回動側の一側部にベースを介してハンドル軸により回転可能に取り付けられ、先端側にロック部を有する金属製のハンドル本体と、固定枠体に扉の一側部に近接して設けられ、ハンドル本体の回動操作によりロック部を係脱可能な金属製の受け部とを備え、ハンドル本体の回転操作によりロック部と受け部とを係脱して、扉をロック、ロック解除するようになっている。
【0003】
特許文献1に扉用ハンドルの一つとして密閉用ハンドルが開示されている。
この密閉用ハンドルは、特に大型の温、冷蔵庫、機械などのケーシングの密閉用出入口ドアに配設されるもので、ハンドル本体と、止めガイド(受け部)とを備えて構成される。ハンドル本体は、握りやすいように湾曲した棒状の取っ手と、くさび形断面で円弧状の係止部(ロック部)とからなり、出入口ドアの外部にシャフト(ハンドル軸)により回転自在に取り付けられる。止めガイドは、ハンドル本体の係止部と係合可能に形成され、ケーシング本体側に取り付けられる。
このようにしてハンドル本体を反時計回り方向に回転させると、係止部がケーシング本体の止めガイドに挿入されて、この係止部と止めガイドとの係合により、出入口ドアがケーシング本体に圧着されて開放不能にロックされ、ハンドル本体を時計回り方向に回転させると、係止部と止めガイドとの係合が外れて出入口ドアが開放可能になっている。
【0004】
このような密閉用ハンドルでは、特に、ハンドル本体のロック部が先端部から後端部方向に向けてくさび形断面で円弧状に形成され、受け部は、平板状の受け部側取付部と、受け部側取付部から断面L字形に形成されて受け部側取付部から立ち上げられる受け部側支持部及び受け部側支持部から受け部側取付部と平行に延びる受け部側係合部とからなる。
かくしてハンドルのロック部を受け部に係合させると、ロック部が受け部に対して漸次強く接触係合され、扉を筐体の開口周縁部(固定枠体)に圧着させて筐体の開口を密閉することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平1-177376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この種の扉用ハンドルは、既述のとおり、金属製で、ハンドル本体のロック部を受け部に係合させると、ロック部の係合面が受け部の係合面を摺接するため、相互の係合面が削れて金属粉が発生する。特に、密閉用ハンドルの場合、扉を筐体の開口周縁部(固定枠体)に圧着させるために、既述のとおり、ロック部を受け部に対して漸次強く接触係合させるため、相互の係合面の強い摺接により、他の扉用ハンドルに比べて金属粉が発生しやすい。
【0007】
近時、半導体や二次電池の製造工場などでは、生産設備の機器から発生する金属粉が問題視され、可動する部品が金属粉を発生させないようにすることが求められている。扉用ハンドルにおいても、このような問題に対処できるようにしておくことが必要である。
【0008】
そこで、本発明は、このような従来の問題を解決するもので、この種の扉用ハンドルにおいて、金属製の可動部各部で金属粉の発生を防止すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、
扉の正面で回動側の一側部にベースを介してハンドル軸により回転可能に取り付けられ、先端側にロック部を有する金属材からなるハンドル本体と、固定枠体に前記扉の前記一側部に近接して設けられ、前記ハンドル本体の回転操作により前記ロック部を係脱可能な金属材からなる受け部とを備え、前記ハンドル本体の回転操作により前記ロック部と前記受け部とを係脱して、扉をロック、ロック解除する扉用ハンドルにおいて、
前記ロック部と前記受け部との相互の係合面の少なくとも一方に樹脂製のカバーが被着され、前記ロック部と前記受け部とは前記樹脂製のカバーを介して係合される、
ことを要旨とする。
例えば、ハンドル本体は、ロック部が先端部から後端部方向に向けてくさび形断面で円弧状に形成され、受け部は、平板状の受け部側取付部と、前記受け部側取付部から断面L字形に形成されて前記受け部側取付部から立ち上げられる受け部側支持部及び前記受け部側支持部から前記受け部側取付部と平行に延びる受け部側係合部とからなり、樹脂製のカバーは、前記受け部側取付部の背面に沿って配置されるカバー側取付部と、前記カバー取付部から立ち上げられて前記受け部側支持部の内面に沿って配置されるカバー側支持部と、前記カバー側支持部から前記カバー側取付部と平行に延び前記受け部側係合部の少なくとも内面に沿って配置されるカバー側係合部とからなる。
【0010】
さらに、この扉用ハンドルは他の可動部各部に次のような構成を備える。
(1)ハンドル本体は、長さ方向中間部にハンドル軸のための軸挿通孔を有し、前記ハンドル本体の軸挿通孔と前記ハンドル軸との相互の係合面の少なくとも一方に樹脂製のブッシュが被着され、前記ハンドル本体の軸挿通孔と前記ハンドル軸とは前記樹脂製のブッシュを介して係合される。
この場合、ハンドル軸は、ハンドル本体側の一端にフランジを有するパイプからなり、樹脂製のブッシュは、前記ハンドル軸の前記フランジの前記パイプ側の面に被着可能なフランジ部と、前記パイプの外周面に被着可能なパイプ部とからなることが好ましい。
(2)ベースは金属材からなり、前記ベースの正面に樹脂製のワッシャーを介してハンドル本体が配置され、ハンドル軸が前記ハンドル本体から前記樹脂製のワッシャーを通して前記ベースに挿通されるとともに前記ベースの背面で固定されて取り付けられ、前記ハンドル本体と前記ベースとは前記樹脂製のワッシャーを介して係合される。
この場合、樹脂製のワッシャーはリング状に形成されることが好ましい。
(3)ハンドル軸は、中空で内周面にねじを有し、ベースの背面側で板バネを介してボルトにより締結固定され、前記ベースの背面に当該背面の長さ方向両側に当該背面の長さ方向両側方向に凸のくの字形に一対のリブが形成され、前記板バネは前記一対のリブ間に嵌合可能に両側をくの字にして形成されて、前記各リブ間に配置される。
この場合、一対のリブのくの字の頂部と板バネの両側のくの字の頂部との間に隙間が設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の扉用ハンドルによれば、上記の各構成により、金属製の可動部各部で、金属粉の発生を確実に防止することができる、という本発明独自の格別な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態に係る扉用ハンドルの全体構成を示す図(斜視図)
図2】同扉用ハンドルの全体構成を示す図(分解斜視図)
図3】同扉用ハンドルの全体構成を示す図((a)は正面図(b)は背面図(c)は一部断面側面図((a)のc-c線断面図))
図4】同扉用ハンドルの特に樹脂製のカバーの全体構成を示す図((a)は正面側から見た斜視図(b)は背面側から見た斜視図)
図5】同扉用ハンドルの特に樹脂製のカバーの全体構成を示す図((a)は正面図(b)は(左側)側面図(c)は平面断面図)
図6】同扉用ハンドルの使用状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。なお、この実施の形態では、扉用ハンドルでも特に、各種の機械や保管庫などの筐体の扉に用い、筐体の開口の密閉に最適な密閉用ハンドル(以下、本ハンドルという。)を例示している。
図1図2及び図3は本ハンドルの全体構成を示している、図4図5は本ハンドルに使用する樹脂製のカバーの全体構成を示している。
【0014】
図1図2及び図3に示すように、本ハンドルHは、金属材からなるハンドル本体1と、金属材からなる受け部6とを備える。ハンドル本体1は、先端側にロック部11を有し、扉の正面で回動側の一側部にベース2を介してハンドル軸3により回転可能に取り付けられる。受け部6は、ハンドル本体1の回転操作によりロック部11を係脱可能に形成され、固定枠体に扉の一側部に近接して設けられる。
このようにして、ハンドル本体1の回転操作により、ハンドル本体1先端側のロック部11と受け部6とを係脱して、扉をロック、ロック解除するようになっている。
【0015】
図2図3に示すように、ハンドル本体1は、先端側にロック部11を有し、中間部に取付部12を有し、後端側がグリップ13になっている。
【0016】
ロック部11は先端部から後端部方向に向けてくさび形断面で正面視円弧状に形成される。この場合、ロック部11は、ハンドル本体1全体の先端側の略半部をなし、既述のとおり、先端部から後端部方向に向けてくさび形断面で(扉に取り付けられて、ロック状態で)扉の高さ方向上方に向けて凸の円弧状に形成される。
【0017】
取付部12はロック部11の延びる方向とは反対方向に斜めに延び、先端側が円弧形状に形成され、この円弧形状の中心に軸挿通孔120が形成される。この場合、取付部12は、(扉に取り付けられて、ロック状態で)扉の高さ方向下方に向けて斜め延び、先端側が正面視略円形の円弧形状に形成され、この略円形の円弧形状の中心に軸挿通孔120が円形に形成される。
【0018】
グリップ13は湾曲状の棒状に形成される。この場合、グリップ13は、断面略角丸の略角形で(扉に取り付けられて、ロック状態で)扉の前方となる前方に向けて湾曲状の棒状に形成される。
【0019】
ベース2は金属材からなり、このベース2の正面にワッシャー4を介してハンドル本体1が配置され、ハンドル軸3がハンドル本体1からワッシャー4を通してベース2に挿通されるとともにベース2の背面で固定されて、ベース2にハンドル本体1が組み付けられる。
【0020】
このベース2は、平板状をなし、中心にハンドル軸挿通孔20を有し、四隅にそれぞれボルトを挿通可能にボルト挿通孔22を有する。この場合、ベース2は、正面視幅方向(扉の高さ方向)に長い長方形に形成され、正面(外面)側の中心から外周方向に向けて一定の範囲が正面視幅方向に長い六角形で少し凸状の面になっていて、この面の中心にハンドル軸挿通孔20が穿設される。この凸状の面にワッシャー4がハンドル軸挿通孔20と同心的に配置される。なお、ベース2四隅の各ボルト挿通孔22はボス状に形成される。また、このベース2の背面にはこの背面の長さ方向両側に、この長さ方向両側方向に凸のくの字形に一対のリブ21が形成されて、これらリブ21の間に板バネ5が嵌合配置可能に板バネ配置部211が形成される。この板バネ配置部211に板バネ5が配置される。
【0021】
ハンドル軸3は金属製で、ハンドル本体1側の一端にフランジ30を有するパイプ31からなり、パイプ31の内部は中空で内周面にねじが形成される。このハンドル軸3はハンドル本体1、ワッシャー4を通してベース2の背面側で板バネ5を介してボルトBに締結され固定される。
【0022】
かくしてハンドル本体1は扉の一側部に、ベース2が四隅の各ボルト挿通孔22にそれぞれボルト(図示省略)を通し扉の一側部に締結されて取り付けられるようになっている。
【0023】
受け部6は、平板状の受け部側取付部61と、受け部側取付部61から断面L字形に形成されて受け部側取付部61から立ち上げられる受け部側支持部62及び受け部側支持部62から受け部側取付部61と平行に延びる受け部側係合部63とからなる。
【0024】
受け部側取付部61は、正面視幅方向(扉の高さ方向)に長い長方形に形成され、この受け部側取付部の長さ方向(扉の幅方向)一側部側半部の中央がこの一側部の縁部から略コ字形に、ここでは台形状の略コ字形に切り欠かれてなる。この受け部側取付部61の幅方向両側にそれぞれボルト挿通孔610が穿たれる。
【0025】
受け部側支持部62は、受け部側取付部61の長さ方向(扉の幅方向)一側部側半部の中央に切り欠きに沿って前方(扉の前方)に向けて正面断面視略コ字形にかつ側面視略コ字形に、ここでは正面断面視台形状の略コ字形にかつ側面視台形状の略コ字形に形成されて、前方に向けて台形又は長方形に突出される3面からなる支持部621と、これら3面の支持部621の突出端間を塞ぐ四角形、ここでは台形の1面からなる閉塞部622とからなり、3面の支持部621の受け部側取付部61の一側部に対応する一側面は開口される。
【0026】
受け部側係合部63は、受け部側支持部62の閉塞部622の一側部(受け部側取付部61の一側部に対応する一側部)から所定の長さに円弧状に、この場合は、略半円形状に突出されてなり、その内面は平面で、ハンドル本体1のロック部11との係合面をなす。
【0027】
かくして受け部6は固定枠体に受け部側取付部61が幅方向両側の各ボルト挿通孔610にボルトを通され固定枠体に締結されて取り付けられるようになっている。
【0028】
そして、本ハンドルHにおいては、ハンドル本体1のロック部11と受け部6との相互の係合面の少なくとも一方に樹脂製のカバー7が被着され、これらロック部11と受け部6とは樹脂製のカバー7を介して係合され、金属粉の発生を防止する構造としている。
【0029】
樹脂製のカバー7は、本ハンドルHでは、受け部6に設けられる。図4図5に示すように、このカバー7は、合成樹脂材により形成され、受け部6の受け部側取付部61の背面(内面)に沿って配置されるカバー側取付部71と、カバー側取付部71から立ち上げられて受け部側支持部62の内面に沿って配置されるカバー側支持部72と、カバー側支持部72からカバー側取付部71と平行に延び受け部側係合部63の少なくとも内面に沿って配置されるカバー側係合部73とからなる。
【0030】
カバー側取付部71は、受け部側取付部61が正面視幅方向(扉の高さ方向)に長い長方形に形成されるので、この受け部側取付部61の背面に沿って配置可能に長方形の平板状に形成される。このカバー側取付部71の幅方向両側にそれぞれ、受け部側取付部61の各ボルト挿通孔610に対応して、ボルト挿通孔710が形成される。
【0031】
カバー側支持部72は、受け部側支持部62が受け部側取付部61の長さ方向(扉の幅方向)一側部側半部の中央に切り欠きに沿って前方(扉の前方)に向けて正面断面視略コ字形にかつ側面視略コ字形に、ここでは正面断面視台形状の略コ字形にかつ側面視台形状の略コ字形に形成されて、前方に向けて台形又は長方形に突出される3面からなる支持部621と、これら3面の支持部621の突出端間を塞ぐ四角形、ここでは台形の1面からなる閉塞部622とからなるので、カバー側取付部71の受け部側支持部62に対応する一側部側にこの受け部側支持部62の3面からなる支持部621と1面の閉塞部622とにより囲まれた中空内に当該3面と当該1面に沿って嵌合可能に、四角柱状、ここでは断面台形状の角錐形に突出形成される。なお、このカバー側支持部72の内部は中空でも充実でもよい。
【0032】
カバー側係合部73は、受け部側係合部63が、受け部側支持部62の閉塞部622の一側部(受け部側取付部61の一側部に対応する一側部)から所定の長さに円弧状に、この場合は、略半円形状に突出されるので、カバー側支持部72の閉塞部622の一側部に対応する一側部から延長されて、受け部側係合部63の半円形状の略全体を被覆可能に半円形のキャップ状に、ここでは、受け部側係合部63の内面、外面及び周面の各面に沿って被着可能にキャップ状に形成される。なお、受け部側係合部63の内面が平面になっているので、カバー側係合部73の内面もまた平面となす。
【0033】
このようにして本ハンドルHでは、図1に示すように、ハンドル本体1のロック部11と受け部6とが受け部6に被着された樹脂製のカバー7を介して係合され、金属粉の発生を防止する。
【0034】
さらに、本ハンドルHにおいては、ハンドル本体1のロック部11以外の他の可動部分にも金属粉の発生を防止する構造を有している。
【0035】
図2図3に示すように、ハンドル本体1は、長さ方向中間部にハンドル軸3のための軸挿通孔120を有するので、ハンドル本体1の軸挿通孔120とハンドル軸3との相互の係合面の少なくとも一方に樹脂製のブッシュ8が被着され、ハンドル本体1の軸挿通孔120とハンドル軸3とは樹脂製のブッシュ8を介して係合される。この場合、ハンドル軸3はハンドル本体1側の一端にフランジ30を有するパイプ31からなるので、このブッシュ8は、合成樹脂材により形成され、ハンドル軸3のフランジ30のパイプ31側の面に被着可能なフランジ部80と、パイプ31の外周面に被着可能なパイプ部81とからなる。このようにしてハンドル本体1の軸挿通孔120とハンドル軸3とはハンドル軸3に被着された樹脂製のブッシュ8を介して係合される。
【0036】
図2図3に示すように、ベース2は金属製なので、ワッシャー4を樹脂製のワッシャー4とし、ベース2の正面に樹脂製のワッシャー4を介してハンドル本体1が配置され、ハンドル軸3がハンドル本体1から樹脂製のワッシャー4を通してベース2に挿通されるとともにベース2の背面で固定されて、ベース2にハンドル本体1が組み付けられる。この場合、このワッシャー4は合成樹脂材により円形のリング状に形成される。このようにしてハンドル本体1とベース2とは両者間に樹脂製のワッシャー4を介装されて係合される。
【0037】
図2図3に示すように、ハンドル軸3は、中空で内周面にねじを有し、ベース2の背面側で板バネ5を介してボルトBにより締結固定される。この場合、ベース2の背面でこの背面の長さ方向両側に、この背面の長さ方向両側方向に凸のくの字形に一対のリブ21が形成されて、これらリブ21間に板バネ配置部211が設けられる。板バネ5は金属製で、一対のリブ21間の板バネ配置部211に嵌合可能に両側をくの字にして幅方向に長い六角形の平板状に形成される。また、この場合、板バネ5の両側のくの字形は各リブ21のくの字形よりも少し緩やか(緩やかな角度)になっていて、ベース2の各リブ21のくの字の頂部と板バネ5の両側のくの字の頂部との間に少し隙間210が設けられる。このようにして金属製の板バネ5はベース2の背面側で一対のリブ21間に嵌め込み固定されて、回転方向の動きを規制され、ハンドル本体1のフリーストップ機能としてハンドル本体1を任意の回転位置で停止し、ハンドル軸3の回転を押さえるようになっている。
【0038】
このように本ハンドルHでは、受け部6の他、他の可動部分でも金属粉の発生を防止する。
【0039】
しかして、ハンドル本体1は、図6に示すように、ベース2を介して扉の正面側で回動側の一側部中央に取り付けられる。この場合、ハンドル本体1は扉の一側部にベース2が四隅のボルト挿通孔22にそれぞれボルトを通されて扉側のナットにより締結されて取り付けられる。受け部6は固定枠体に扉の一側部に近接して取り付けられる。この場合、受け部6は固定枠体に各ボルト挿通孔610にボルトを通されて固定枠体側のナットにより締結されて取り付けられる。
【0040】
そして、扉を閉めるときは、ハンドル本体1のグリップ13を握って扉を閉め、この状態から、グリップ13をハンドル本体1のロック部11を固定枠体の受け部6に対して係合方向に向けて回転操作することにより、ロック部11と受け部6とを係合させる。これにより、ロック部11の既述の形状から、ロック部11は受け部6に対して漸次強く接触係合し、扉は固定枠体に圧着されながらロックされる。このとき、ロック部11と受け部6は強く摺接されるが、受け部6の受け部側係合部63に樹脂製のカバー7のカバー側係合部73が被着されていて、ロック部11と受け部6の受け部側係合部63は樹脂製のカバー7(カバー側係合部73)を介して係合され、金属同士の接触係合(摺接)にならないので、金属粉は発生しない。
【0041】
また、扉を開けるときは、ハンドル本体1のグリップ13を握ってハンドル本体1のロック部11を固定枠体の受け部6から離脱方向に向けて回転操作することにより、ロック部11と受け部6との係合を解除し、この状態から扉を開く。これらロック部11と受け部6との係合を解除する間、ロック部11の既述の形状から、ロック部11は受け部6に対して接触係合を漸次弱めながら受け部6から離脱され、ロックが解除される。このときも、ロック部11と受け部6は摺接されるが、受け部6の受け部側係合部63に樹脂製のカバー7(カバー側係合部73)が被着されていて、ロック部11と受け部6(受け部側係合部63)は樹脂製のカバー7(カバー側係合部73)を介して係合され、金属同士の接触係合(摺接)にならないので、金属粉は発生しない。
【0042】
さらに、扉の開閉により、すなわち、本ハンドルHの回転操作により、次の他の各部が可動され、金属間が係合されるが、次の他の各部でも、金属粉の発生を防止する構造により、金属粉は発生しない。
【0043】
ハンドル本体1はハンドル軸3を中心に回転される。これに対して、図3(c)に示すように、ハンドル本体1の軸挿通孔120とハンドル軸3とはハンドル軸3に被着された樹脂製のブッシュ8を介して係合され、ハンドル軸3は板バネ5により回転を抑えられていて、ハンドル軸3はハンドル本体1と共回りせず、金属同士の接触係合(摺接)にならないので、金属粉は発生しない。
【0044】
ハンドル本体1はベース2上で回転される。これに対して、図3(c)に示すように、ハンドル本体1とベース2は両者間に樹脂製のワッシャー4を介装して係合されて、金属同士の接触係合(摺接)にならないので、金属粉は発生しない。
【0045】
ベース2の背面側に板バネ5が設けられて、ハンドル本体1のフリーストップ機能としてハンドル本体1を任意の回転位置で停止し、ハンドル軸3の回転を押さえる。これに対して、ベース2、板バネ5はいずれも金属製であるが、図3(b)、(c)に示すように、ベース2の背面側でこの背面の長さ方向両側に、この背面の長さ方向両側方向に凸のくの字形に一対のリブ21が形成され、板バネ5は一対のリブ21間に嵌合可能に両側をくの字にして形成され、一対のリブ21間に嵌合配置されて、板バネ5の回転方向の動きを規制されるので、ベース2と板バネ5は金属同士の接触となるものの、金属間で摺接は生じないので、金属粉は発生しない。しかも、ベース2の各リブ21のくの字の頂部と板バネ5の両側のくの字の頂部との間に少し隙間210が設けられることで、ハンドル本体1のロック部と受け部6との係合によりハンドル本体1に締め込み力が加えられて、ハンドル軸3に僅かながら倒れが生じ、これに追従して板バネ5が僅かに傾動しても、各リブ21のくの字の頂部と板バネ5の両側のくの字の頂部との間の隙間210により、リブ21に対して板バネ5が接する(摺接する)ことがなく、金属粉は発生しない。
【0046】
以上説明したように、本ハンドルHによれば、ハンドル本体1の回転操作に伴う各可動部の構造により、金属粉の発生を防止することができる。
【0047】
すなわち、本ハンドルHでは、受け部6の受け部側係合部63に樹脂製のカバー7のカバー側係合部73が被着され、ハンドル本体1のロック部11と受け部6の受け部側係合部63とは樹脂製のカバー7のカバー側係合部73を介して係合され、金属同士が直接接触係合しないので、金属粉の発生を確実に防止することができる。
【0048】
この場合、ハンドル本体1は、ロック部11が先端部から後端部方向に向けてくさび形断面で円弧状に形成され、受け部6は、平板状の受け部側取付部61と、受け部側取付部61から断面L字形に形成されて受け部側取付部61から立ち上げられる受け部側支持部62及び受け部側支持部62から受け部側取付部61と平行に延びる受け部側係合部63とからなり、これに対して樹脂製のカバー7は、受け部側取付部61の背面に沿って配置されるカバー側取付部71と、カバー側取付部71から立ち上げられて受け部側支持部61の内面に沿って配置されるカバー側支持部72と、カバー側支持部72からカバー側取付部71と平行に延び受け部側係合部63に被着配置されるカバー側係合部73とからなり、受け部6に被着された樹脂製のカバー7を受け部6とともにボルトにより固定枠体に固定するので、樹脂製カバー7を受け部6に確実に被着して、この被着状態を確実に固定することができる。
【0049】
本ハンドルHでは、ハンドル本体1は、長さ方向中間部にハンドル軸3のための軸挿通孔120を有し、このハンドル本体1の軸挿通孔120にハンドル軸3が挿通され、これに対してハンドル軸3に樹脂製のブッシュ8が被着され、ハンドル本体1の軸挿通孔120とハンドル軸3とは樹脂製のブッシュ8を介して係合され、金属同士が直接接触係合しないので、金属粉の発生を確実に防止することができる。
【0050】
この場合、ハンドル軸3は、ハンドル本体1側の一端にフランジ30を有するパイプ31からなり、樹脂製のブッシュ8は、ハンドル軸3のフランジ30のパイプ31側の面に被着可能なフランジ部80と、パイプ31の外周面に被着可能なパイプ部81とからなるので、樹脂製のブッシュ8をハンドル軸3に沿って確実に被着して、この被着状態を確実に固定することができる。
【0051】
本ハンドルHでは、ベース2は金属材からなり、ベース2の正面にワッシャー4を介してハンドル本体1が配置され、ハンドル軸3がハンドル本体1からワッシャー4を通してベース2に挿通されるとともにベース2の背面で固定されて取り付けられており、これに対してワッシャー4は樹脂製のリング状のワッシャー4で、ハンドル本体1とベース2とは樹脂製のワッシャー4を介して係合され、金属同士が直接接触係合しないので、金属粉の発生を確実に防止することができる。
【0052】
本ハンドルHでは、ハンドル軸3は、中空で内周面にねじを有し、ベース2の背面側で板バネ5を介してボルトBにより締結固定され、ベース2の背面にこの背面の長さ方向両側にこの背面の長さ方向両側方向に凸のくの字形に一対のリブ21が形成され、板バネ5は一対のリブ21間に嵌合可能に両側をくの字にして形成されて、各リブ21間に配置され、板バネ5の回転方向の動きを規制されるので、ベース2と板バネ5は金属同士の接触となるものの、金属間で摺接は生じないので、金属粉の発生を確実に防止することができる。
【0053】
この場合、一対のリブ21のくの字の頂部と板バネ5の両側のくの字の頂部との間に隙間210が設けられることで、ハンドル本体1のロック部と受け部6との係合によりハンドル本体1に締め込み力が加えられて、ハンドル軸3に僅かながら倒れが生じても、各リブ21のくの字の頂部と板バネ5の両側のくの字の頂部との間の隙間210により、リブ21と板バネ5が摺接することがなく、金属粉の発生を確実に防止することができる。
【0054】
なお、この実施の形態では、本ハンドルHの受け部6に樹脂製のカバー7が被着されるものとしたが、これに代えて、ハンドル本体1のロック部11に樹脂製のカバーが被着されてもよい。
このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0055】
また、この実施の形態では、ハンドル軸3に樹脂製のブッシュ8が被着されるものとしたが、これに代えて、ハンドル本体1の軸挿通孔120に樹脂製のブッシュが埋め込み被着されてもよい。
このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0056】
さらに、この実施の形態では、扉用ハンドルとして密閉用ハンドルを例示したが、本発明は、密閉用ハンドルに限定されるものではなく、一般の扉用ハンドルの同様な可動箇所にも、上記と同様の金属粉発生防止構造を適用することができ、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0057】
H 本ハンドル(扉用ハンドル(密閉用ハンドル))
1 ハンドル本体
11 ロック部
12 取付部
120 軸挿通孔
13 グリップ
2 ベース
20 ハンドル軸挿通孔
21 リブ
210 隙間
211 板バネ配置部
22 ボルト挿通孔
3 ハンドル軸
30 フランジ
31 パイプ
310 ボルト孔
B ボルト
4 ワッシャー(樹脂製のワッシャー)
5 板バネ
6 受け部
61 受け部側取付部
610 ボルト挿通孔
62 受け部側支持部
621 支持部
622 閉塞部
63 受け部側係合部
7 樹脂製のカバー
71 カバー側取付部
710 ボルト挿通孔
72 カバー側支持部
73 カバー側係合部
8 樹脂製のブッシュ
80 フランジ部
81 パイプ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6