(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164507
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】端子
(51)【国際特許分類】
H01R 13/10 20060101AFI20241120BHJP
H01R 43/20 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
H01R13/10 Z
H01R43/20 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080029
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 賢
【テーマコード(参考)】
5E063
【Fターム(参考)】
5E063HA02
5E063HB17
5E063HB19
(57)【要約】
【課題】複数の端子収容室が形成されたハウジングにおいて、周囲の端子収容室に端子が収容された状態で、挿入対象の端子収容室に新たな端子を挿入する場合でも、端子の斜め挿入を防止しつつ、挿入作業を簡易に行うことができる端子を提供する。
【解決手段】端子1は、端子部10、連結部30、及び保持部50を備える。端子部10は、軸方向ADに沿って延在して、基底部11及び被覆圧着部15を有する。被覆圧着部15は、基底部11の第2部位P2に形成されて、電線100の絶縁被覆103に圧着される。連結部30は、平板状に形成されて、基底部11の第2部位P2側の端部から軸方向ADに沿って延設される。保持部50は、筒状に形成されて、連結部30から軸方向ADに沿って延設される。連結部30は、保持部50に対して、端子1の軸方向ADに交差する方向に外力を加えると破断する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に沿って延在して、電線を載置する電線載置面を有する基底部と、前記基底部の第1部位に形成されて、前記電線の絶縁被覆から露出した芯線に圧着される芯線圧着部と、前記基底部の第2部位に形成されて、前記絶縁被覆に圧着される被覆圧着部とを有する端子部と、
前記基底部の前記第2部位側の端部から、前記軸方向に沿って延設される平板状の連結部と、
前記連結部から前記軸方向に沿って延設される筒状の保持部と、
を備え、
前記保持部に対して、前記軸方向に交差する方向に外力を加えると、前記連結部が破断する端子。
【請求項2】
平面視において、前記軸方向に垂直な幅方向における前記連結部の長さは、前記幅方向における前記基底部の前記第2部位の長さよりも小さく、かつ、前記幅方向における前記保持部の長さよりも小さい、請求項1に記載の端子。
【請求項3】
前記軸方向に沿った断面視において、前記連結部の前記軸方向に沿った一面は、前記電線載置面及び前記保持部の側面に連接する、請求項1に記載の端子。
【請求項4】
前記保持部の前記軸方向に垂直な断面は、前記軸方向に沿って、前記連結部側に向かうにつれて小さくなる、請求項1~3の何れか一項に記載の端子。
【請求項5】
前記保持部の前記軸方向に垂直な断面は、前記軸方向に沿って一定である、請求項1~3の何れか一項に記載の端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハウジング内に形成された端子収容室に、電線の端部に圧着された端子を収容させる技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、端子収容室内に、端子の挿入方向と交差する方向に弾性変位可能なランスを形成した構成が開示されている。
【0004】
端子収容室に端子を挿入する場合、端子の挿入に伴って、ランスが端子と干渉して弾性変位する。端子収容室において相手端子と電気的に接続する収容位置まで端子を挿入すると、ランスが弾性復帰して端子に係止する。これにより、端子を端子収容室に収容させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ハウジング内に複数の端子収容室が形成されている場合、周囲の端子収容室に端子が収容された状態で、挿入対象の端子収容室に新たな端子を挿入することがある。
【0007】
この場合、作業者は、挿入対象の端子収容室の周囲に存在する電線を掻き分けながら、狭い視野の中で挿入作業を行う必要がある。
【0008】
このため、作業者が、端子の電線に圧着された部位を摘まんで、端子を挿入対象の端子収容室に押し込む場合、狭い視野の中で挿入作業を行うため、端子を水平に挿入するのが難しく、端子の斜め挿入が生じやすい。端子の斜め挿入により、電線の座屈、端子の半挿入などが生じると、挿入作業をやり直すなど、挿入作業に支障をきたす可能性があった。
【0009】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、複数の端子収容室が形成されたハウジングにおいて、周囲の端子収容室に端子が収容された状態で、挿入対象の端子収容室に新たな端子を挿入する場合でも、端子の斜め挿入を防止しつつ、挿入作業を簡易に行うことができる端子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の態様に係る端子は、軸方向に沿って延在して、電線を載置する電線載置面を有する基底部と、前記基底部の第1部位に形成されて、前記電線の絶縁被覆から露出した芯線に圧着される芯線圧着部と、前記基底部の第2部位に形成されて、前記絶縁被覆に圧着される被覆圧着部とを有する端子部と、前記基底部の前記第2部位側の端部から、前記軸方向に沿って延設される平板状の連結部と、前記連結部から前記軸方向に沿って延設される筒状の保持部と、を備え、前記保持部に対して、前記軸方向に交差する方向に外力を加えると、前記連結部が破断する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の端子収容室が形成されたハウジングにおいて、周囲の端子収容室に端子が収容された状態で、挿入対象の端子収容室に新たな端子を挿入する場合でも、端子の斜め挿入を防止しつつ、挿入作業を簡易に行うことができる端子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る端子の斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る端子の斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る端子の平面図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る、電線に圧着された端子の斜視図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る、電線に圧着された端子の軸方向に沿った断面図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る、電線に圧着された端子の軸方向に沿った断面図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る、電線に圧着された端子をハウジングの端子収容室に挿入する前の状態を説明する図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係る、電線に圧着された端子をハウジングの端子収容室に挿入した後の状態を説明する図である。
【
図10】
図10は、本実施形態の変形例に係る端子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて本実施形態に係る端子について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。また、同一の機能や構成には、同一又は類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0014】
[端子の構成]
最初に、
図1~
図4を用いて、端子1の構成を説明する。
図1は、端子1の後方から見た、端子1の斜視図である。
図2は、端子1の前方から見た、端子1の斜視図である。
図3は、端子1の平面図である。
図4は、
図3のIV-IV線に沿った断面図である
【0015】
なお、
図1~
図4に示したX方向は、端子1の軸方向AD(
図3参照)に対応する。
図1~
図4に示したY方向は、端子1の幅方向に対応しており、X方向に直交する。
図1~
図4に示したZ方向は、端子1の高さ方向に対応しており、X方向及びY方向に直交する。
【0016】
また、
図1~
図4に示した+X側及び-X側は、それぞれ、端子1の前方及び後方に対応する。
図1~
図4に示した+Y側及び-Y側は、それぞれ、端子1の前方に向かって、端子1の右方及び左方に対応する。
図1~
図4に示した+Z側及び-Z側は、それぞれ、端子1の上方及び下方に対応する。
【0017】
端子1は、金属板にプレス加工等を施して成形される。
図1及び
図2に示すように、端子1は、端子部10、連結部30、及び保持部50を備える。端子1は、端子部10で電線に圧着される。端子1は、保持部50で作業者に保持される。連結部30は、端子部10と保持部50とを連結する。なお、本実施形態では、端子1は、保持部50でロボットアームなどの作業機械に保持されてもよい。
【0018】
[端子部の構成]
端子部10は、基底部11、芯線圧着部13、被覆圧着部15、及び接続部17を有する。
図3に示すように、基底部11は、端子1の軸方向AD(X方向)に沿って、電線載置面11a、テーパ面11b、及び当接面11cを有する。電線載置面11aは、端子1が電線に圧着される場合に、当該電線が載置される面であり、基底部11の-X側に配置されている。
【0019】
テーパ面11bは、-X側で電線載置面11aに連接し、かつ、+X側で当接面11cに連接する。テーパ面11bの幅(Y方向の長さ)は、電線載置面11aから当接面11cに向かうにつれて大きくなる。当接面11cは、端子1がハウジングの端子収容室に挿入される場合に、端子1が相手端子に当接する面であり、基底部11の+X側に配置されている。当接面11cは、中央部に当接部位12を有する。当接面11cにおいて、当接部位12は、端子1の高さ方向(Z方向)に盛り上がっている。
【0020】
基底部11は、第1部位P1、第2部位P2、及び第3部位P3を有する。第1部位P1及び第2部位P2は、それぞれ、電線載置面11aの+X側及び-X側に位置する。第3部位P3は、当接面11cに位置する。
【0021】
基底部11の第1部位P1には、芯線圧着部13が形成されている。本実施形態では、芯線圧着部13は、一対の芯線加締め片13a、13aを有する。芯線加締め片13a、13aは、基底部11の第1部位P1の両側(+Y側端部及び-Y側端部)から上方に(+Z側)延設されている。芯線加締め片13a、13aは、端子1が電線に圧着される場合に、電線の絶縁被覆から露出した芯線に加締められる。これにより、芯線圧着部13は、電線の芯線に圧着される。このように、芯線加締め片13a、13bの加締めにより、基底部11の第1部位P1における軸方向ADに垂直な断面は、略閉断面形状に構成される。なお、芯線圧着部13を電線の芯線に圧着する構成は、芯線加締め片13a、13aに限定されず、他の構成を用いて行ってもよい。
【0022】
基底部11の第2部位P2には、被覆圧着部15が形成されている。本実施形態では、被覆圧着部15は、一対の被覆加締め片15a、15aを有する。被覆加締め片15a、15aは、基底部11の第2部位P2の両側(+Y側端部及び-Y側端部)から上方に(+Z側)延設されている。被覆加締め片15a、15aは、端子1が電線に圧着される場合に、電線の絶縁被覆に加締められる。これにより、被覆圧着部15は、電線の絶縁被覆に圧着される。このように、被覆加締め片15a、15bの加締めにより、基底部11の第2部位P2における軸方向ADに垂直な断面は、略閉断面形状に構成される。なお、被覆圧着部15を電線の絶縁被覆に圧着する構成は、被覆加締め片15a、15aに限定されず、他の構成を用いて行ってもよい。
【0023】
基底部11の第3部位P3には、接続部17が形成されている。本実施形態では、接続部17は、一対の接続片17a、17aを有する。接続片17a、17aは、基底部11の第3部位P3の両側(+Y側端部及び-Y側端部)から上方に(+Z側)延設されて、先端部が、当接面11cの当接部位12側(-Z側)に曲げられている。端子1がハウジングの端子収容室に挿入される場合に、相手端子が、接続片17a、17aの先端部と、当接面11cの当接部位12との間に挟み込まれる。これにより、接続部17は、相手端子に電気的に接続される。なお、接続部17を相手端子に電気的に接続する構成は、接続片17a、17aに限定されず、他の構成を用いて行ってもよい。
【0024】
[連結部の構成]
連結部30は、
図4に示すように、平板状に形成されており、上面31及び下面33を有する。上面31及び下面33は、端子1の軸方向ADに沿った断面視において、連結部30における軸方向ADに沿った二面である。すなわち、上面31及び下面33は、それぞれ、連結部30の+Z側の面及び-Z側の面である。
【0025】
上面31は、連結部30の+X側で、基底部11の電線載置面11aに連接し、かつ、連結部30の-X側で、後述する保持部50の側面51に連接する。このように、端子1において、上面31は、電線載置面11a、テーパ面11b、当接部位12を除いた当接面11c、及び保持部50の側面51と面一に形成されている。
【0026】
下面33は、連結部30の+X側で、基底部11の裏面に連接し、かつ、連結部30の-X側で、後述する保持部50の第1開口面53に直交する。
【0027】
また、
図3に示すように、端子1の平面視において、連結部30の幅(Y方向の長さ)は、基底部11の第2部位P2の幅(Y方向の長さ)よりも小さく、かつ、保持部50の幅(Y方向の長さ)よりも小さい。このように、端子1の平面視において、連結部30と基底部11の第2部位P2との間で形状が不連続に変化しており、かつ、連結部30と保持部50との間で形状が不連続に変化している。
【0028】
[保持部の構成]
保持部50は、
図3及び
図4に示すように、筒状に形成されており、側面51、第1開口面53、及び第2開口面55を有する。第1開口面53は、保持部50の+X側に位置しており、端子1の軸方向ADに直交する。第2開口面55は、保持部50の-X側に位置しており、端子1の軸方向ADに直交する。保持部50において、側面51で囲まれた内部空間は、第1開口面53及び第2開口面55を介して、外部に連通する。
【0029】
保持部50において、端子1の軸方向ADに垂直な保持部50の断面は、軸方向ADに沿って、連結部30側に向かうにつれて小さくなるように形成されている。このため、保持部50において、端子1の軸方向ADに垂直な保持部50の断面のうち、第1開口面53は最も小さい断面であり、第2開口面55は最も大きい断面である。なお、保持部50は、金属板にプレス加工等を施して成形されるため、保持部50に成形される金属板の部位を-Z側に折り曲げる際に、当該部位の両側が完全に接触せずに、保持部50の下端(-Z側の端部)に幅狭の隙間が存在していてもよい。このように、保持部50における軸方向ADに垂直な断面は、略閉断面形状に構成されている。
【0030】
[電線に圧着された端子の構成]
次に、
図5~
図7を用いて、電線100に圧着された端子1の構成を説明する。
図5は、電線100に圧着された端子1の斜視図である。
図6は、電線100に圧着された端子1の軸方向に沿った断面図である。
図7は、連結部30を破断させた後における、電線100に圧着された端子1の軸方向に沿った断面図である。
【0031】
図5及び
図6に示すように、電線100は、芯線101及び絶縁被覆103を有する。芯線101は、絶縁被覆103に覆われている。電線100の端末にて、芯線101は、絶縁被覆103から露出されている。
【0032】
端子1を電線100に圧着させる場合、電線100の端末が、端子部10の-X側から、端子部10における基底部11の電線載置面11aに載置される。具体的には、電線100の端末において、絶縁被覆103から露出した芯線101は、基底部11の第1部位P1を含む領域に配置され、かつ、絶縁被覆103は、基底部11の第2部位P2を含む領域に配置される。
【0033】
この状態において、基底部11の第1部位P1に形成された芯線圧着部13が芯線101に圧着される。本実施形態では、芯線加締め片13a、13aの先端部が、電線載置面11a側(-Z側)に曲げられて、芯線101に加締められる。
【0034】
同様に、基底部11の第2部位P2に形成された被覆圧着部15が絶縁被覆103に圧着される。本実施形態では、被覆加締め片15a、15aの先端部が、電線載置面11a側(-Z側)に曲げられて、絶縁被覆103に加締められる。
【0035】
これにより、端子1が電線100に圧着される。なお、電線100の絶縁被覆103は、端子1の-X側にて、連結部30の上面31及び保持部50の側面51に接触している。
【0036】
図7に示すように、端子1において、連結部30は、平板状に形成されており、かつ、略閉断面形状に構成された、基底部11の第2部位P2と保持部50との間に位置する。端子1の軸方向ADに交差する方向に外力が作用する場合、略閉断面形状に構成された、基底部11の第2部位P2及び保持部50は、平板状の連結部30よりも変形しにくい。このため、保持部50に対して、端子1の軸方向ADに交差する方向に外力を加えると、連結部30に応力が集中し、連結部30が破断する。本実施形態では、外力を加える方向は、端子1の高さ方向(Z方向)の-Z側である。連結部30の破断により、連結部30は、基底部11の第2部位P2側の部位30aと、保持部50側の部位30bとに分離する。
【0037】
[端子の挿入作業]
次に、
図8及び
図9を用いて、端子1の挿入作業を説明する。
図8は、端子1を挿入対象の端子収容室210に挿入する前の状態を説明する図である。
図9は、端子1を挿入対象の端子収容室210に挿入した後の状態を説明する図である。ハウジング200は、例えば、リレーボックス等の電気接続箱、多極コネクタ等のコネクタなどに設けられている。
図8に示すように、ハウジング200には、複数の端子収容室210が形成されている。
【0038】
本実施形態では、例えば、製造時又は使用時において、挿入対象の端子収容室210の周囲に配置された端子収容室210に端子が収容された状態で、端子1が、挿入対象の端子収容室210に挿入される(
図8参照)。なお、端子1の軸方向ADは、端子1の挿入方向に対応している。
【0039】
作業者は、挿入対象の端子収容室210の周囲に存在する電線を掻き分けながら、端子1の保持部50を摘まんで、端子1の挿入方向後方から、端子1を挿入対象の端子収容室210に挿入する。端子1において、保持部50は、端子部10よりも、端子1の挿入方向後方に設けられている。このため、作業者は、挿入対象の端子収容室210の周囲に電線が存在する場合でも、端子1の挿入方向後方から、挿入対象の端子収容室210の開口を狙って、挿入対象の端子収容室210に対して、端子1を水平に挿入することができる。したがって、挿入対象の端子収容室210の周囲に存在する電線を掻き分けながら、端子1の挿入作業を行う場合でも、端子1の斜め挿入を防ぐことができる。
【0040】
図9に示すように、挿入対象の端子収容室210には、ランス221及び相手端子223が設けられている。端子1は、挿入対象の端子収容室210に挿入されると、端子1の挿入に伴って、ランス221が、端子1と干渉して弾性変位する。本実施形態では、ランス221は、端子1の挿入に伴って、端子部10の接続片17a、17aと干渉して、端子1とは反対側に弾性変位する。
【0041】
端子1は、相手端子223と電気的に接続される収容位置まで挿入されると、ランス221が弾性復帰して端子1に係止する。本実施形態では、ランス221は、弾性復帰すると、端子部10の接続片17a、17aの後端に係止される。この状態において、相手端子223は、接続片17a、17aの先端部と、当接面11cの当接部位12との間に挟み込まれる。これにより、端子1は、相手端子223と電気的に接続される。なお、端子1が、挿入対象の端子収容室210の収容位置まで挿入された状態において、連結部30及び保持部50は、挿入対象の端子収容室210の外部に位置する。
【0042】
作業者は、挿入対象の端子収容室210の収容位置まで、端子1を挿入すると、保持部50に対して、端子1の軸方向ADに交差する方向に外力を加えて、連結部30を破断させる。これにより、保持部50は、連結部30から切断されて、挿入対象の端子収容室210の周囲に存在する電線と干渉するのを防ぐことができる。
【0043】
[作用・効果]
本実施形態によれば、端子1は、端子部10、連結部30、及び保持部50を備える。端子部10は、端子1の軸方向ADに沿って延在して、基底部11、芯線圧着部13、及び被覆圧着部15を有する。基底部11は、電線100を載置する電線載置面11aを有する。芯線圧着部13は、基底部11の第1部位P1に形成されて、電線100の絶縁被覆103から露出した芯線101に圧着される。被覆圧着部15は、基底部11の第2部位P2に形成されて、絶縁被覆103に圧着される。
【0044】
連結部30は、平板状に形成されて、基底部11の第2部位P2側の端部から、端子1の軸方向ADに沿って延設される。保持部50は、筒状に形成されて、連結部30から、端子1の軸方向ADに沿って延設される。連結部30は、保持部50に対して、端子1の軸方向ADに交差する方向に外力を加えると破断する。
【0045】
上述した構成により、筒状の保持部50が、端子1の挿入方向後方に設けられている。このため、作業者は、保持部50を摘まんで、端子1の挿入方向後方から、端子1を挿入対象の端子収容室210に挿入することができ、挿入対象の端子収容室210から離れた場所から広い視野の中で挿入作業を行うことができる。したがって、挿入対象の端子収容室210の周囲に電線が存在する場合でも、挿入対象の端子収容室210に対して、端子1を水平に挿入しやすくなり、端子1の斜め挿入を防いで、電線100の座屈、端子1の半挿入などを防止することができる。
【0046】
なお、従来の端子では、端子の挿入方向後方から、端子を挿入対象の端子収容室210に挿入する場合、作業者は電線を摘まんで、挿入作業を行う必要がある。この場合、電線の剛性が弱いと、ランス221の挿入抵抗によって電線が座屈する可能性があった。
【0047】
また、上述した構成により、連結部30は平板状に形成されており、保持部50は筒状に形成されているため、端子1の軸方向ADに交差する方向に外力が作用する場合、保持部50は、連結部30よりも変形しにくい。このため、保持部50に対して、端子1の軸方向ADに交差する方向に外力を加えると、連結部30に応力が集中して、連結部30が破断する。したがって、端子1を挿入対象の端子収容室210に挿入した後に、保持部50を連結部30から簡単に切断することができ、保持部50が、挿入対象の端子収容室210の周囲に存在する電線と干渉するのを防止することができる。
【0048】
このように、当該端子1を使用することにより、複数の端子収容室210が形成されたハウジング200において、周囲の端子収容室210に端子が収容された状態で、挿入対象の端子収容室210に新たな端子を挿入する場合でも、端子の斜め挿入を防止しつつ、挿入作業を簡易に行うことができる。
【0049】
本実施形態によれば、端子1の平面視において、端子1の軸方向ADに垂直な幅方向における連結部30の長さは、当該幅方向における基底部11の第2部位P2の長さよりも小さく、かつ、当該幅方向における保持部50の長さよりも小さい。
【0050】
上述した構成により、端子1の平面視において、連結部30と基底部11の第2部位P2との間で形状が不連続に変化しており、かつ、連結部30と保持部50との間で形状が不連続に変化している。このため、保持部50に対して、端子1の軸方向ADに交差する方向に外力を加えると、連結部30に応力がより集中して、連結部30が破断しやすくなる。したがって、端子1を挿入対象の端子収容室210に挿入した後に、保持部50を連結部30からより簡単に切断することができる。
【0051】
本実施形態によれば、端子1の軸方向ADに沿った断面視において、連結部30の軸方向ADに沿った上面31は、電線載置面11a及び保持部50の側面51に連接する。
【0052】
上述した構成により、端子1において、連結部30の上面31は、基底部11の電線載置面11a及び保持部50の側面51と面一に形成されている。このため、基底部11の電線載置面11aに電線100を載置する場合に、連結部30及び保持部50が、電線100に干渉するのを回避することができる。
【0053】
本実施形態によれば、保持部50の軸方向ADに垂直な断面は、軸方向ADに沿って、連結部30側に向かうにつれて小さくなる。
【0054】
上述した構成により、作業者が、保持部50を摘まんで、端子1を挿入対象の端子収容室210に押し込む場合に、押し込む力を端子1の挿入方向に集中させることができるため、端子1を挿入対象の端子収容室210により簡易に押し込むことができる。
【0055】
[変形例]
上述した実施形態では、保持部50において、端子1の軸方向ADに垂直な保持部50の断面は、軸方向ADに沿って、連結部30側に向かうにつれて小さくなるように形成されていたが、これに限定されない。
【0056】
図10は、本変形例に係る端子1aの斜視図である。なお、
図10に示したX軸、Y軸及びZ軸は、それぞれ、端子1aの軸方向、幅方向及び高さ方向に対応する。また、
図10に示した+X側及び-X側は、それぞれ、端子1aの前方及び後方に対応する。
図10に示した+Y側及び-Y側は、それぞれ、端子1aの前方に向かって、端子1の右方及び左方に対応する。
図10に示した+Z側及び-Z側は、それぞれ、端子1aの上方及び下方に対応する。
【0057】
図10に示すように、端子1aは、端子部10、連結部30、及び保持部150を備える。端子部10及び連結部30の構成は、上述した実施形態で説明したため、説明を省略する。
【0058】
保持部150は、筒状に形成されており、側面151、第1開口面153、及び第2開口面155を有する。第1開口面153は、保持部150の+X側に位置しており、端子1aの軸方向に直交する。第2開口面155は、保持部150の-X側に位置しており、端子1aの軸方向に直交する。保持部150において、側面151で囲まれた内部空間は、第1開口面153及び第2開口面155を介して、外部に連通する。
【0059】
保持部150において、端子1aの軸方向に垂直な保持部150の断面は、軸方向に沿って一定である。このため、保持部150において、端子1aの軸方向に垂直な保持部150の断面のうち、第1開口面153及び第2開口面55は同じ大きさである。
【0060】
本変形例によれば、保持部150の軸方向に垂直な断面は、軸方向に沿って一定である。
【0061】
上述した構成により、金属板にプレス加工等を施して保持部150を成形する場合に、より簡易に成形することができるため、端子の製造作業を効率的に行うことができる。
【0062】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0063】
1、1a 端子
10 端子部
11 基底部
11a 電線載置面
13 芯線圧着部
15 被覆圧着部
30 連結部
31 上面
50、150 保持部
51 側面
100 電線
101 芯線
103 絶縁被覆
AD 軸方向
P1 第1部位
P2 第2部位