(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164509
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】電線束の端末接続構造
(51)【国際特許分類】
H02G 15/04 20060101AFI20241120BHJP
H02G 1/14 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
H02G15/04 030
H02G1/14
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080039
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 賢
【テーマコード(参考)】
5G355
5G375
【Fターム(参考)】
5G355AA10
5G355BA01
5G355BA11
5G375AA02
5G375AA20
5G375BA08
5G375BA15
5G375BB44
5G375BB46
5G375CB04
5G375DB09
5G375DB24
(57)【要約】
【課題】多数の電線からなる電線束の端末を互いに電気的に接続する場合でも、部品数及び作業数を抑えることができる電線束の端末接続構造を提供する。
【解決手段】電線束の端末接続構造1は、導体部10、収容部20a、20b、保護部材30、及び電線束50を備える。収容部20a、20bは、導電性を有しており、導体部10に接合される。保護部材30は、導体部10及び収容部20a、20bを収容する。保護部材30の長手方向LDに垂直な断面視において、導体部10の周囲に収容部20a、20bが設けられている。収容部20a、20bの各々には、電線束50の端末の一部を構成する複数の電線の芯線が収容されている。収容部20a、20bの各々において、複数の電線の芯線は、互いに電気的に接続されている。収容部20a、20bの各々は、複数の電線の芯線と電気的に接続されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体部と、
前記導体部に接合された、導電性を有する複数の収容部と、
前記複数の収容部に収容された端末を有する電線束と、
前記導体部と、前記電線束の端末を収容した前記複数の収容部とを収容し、絶縁性を有する有底筒状の保護部材と、
を備え、
前記保護部材の長手方向に垂直な断面視において、前記導体部の周囲に、前記複数の収容部が設けられており、
各収容部には、前記電線束の端末の一部を構成する複数の電線の芯線が収容されており、
各収容部において、前記複数の電線の芯線は、互いに電気的に接続されており、
各収容部は、前記複数の電線の芯線と電気的に接続されている、電線束の端末接続構造。
【請求項2】
前記保護部材の長手方向において、前記複数の収容部は同じ位置に設けられている、請求項1に記載の電線束の端末接続構造。
【請求項3】
前記保護部材の長手方向において、前記複数の収容部の各々は、少なくとも1つの他の収容部と異なる位置に設けられている、請求項1に記載の電線束の端末接続構造。
【請求項4】
前記保護部材の長手方向に垂直な断面視において、前記導体部は円形に形成されている、請求項1~3の何れか一項に記載の電線束の端末接続構造。
【請求項5】
前記保護部材の長手方向に垂直な断面視において、前記導体部は多角形状に形成されている、請求項1~3の何れか一項に記載の電線束の端末接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線束の端末接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤーハーネスの幹線から分岐された電線束の端末を一括してアース接続又は電源接続する場合、電線束の端末の絶縁被覆から露出された複数の芯線を互いに電気的に接続して端末接続部を形成する作業が行われている。
【0003】
特許文献1には、端末接続部を絶縁保護部材で覆う構成が開示されている。このような構成により、端末接続部の保護及び絶縁を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、互いに電気的に接続される芯線の数が増えるにつれて、端末接続部の抵抗値が上がることが知られている。このため、端末接続部を形成する芯線の数に上限値を設けて、端末接続部の抵抗値の増加を抑えている。
【0006】
多数の電線からなる電線束の端末を一括してアース接続又は電源接続する場合、端末接続部を形成する芯線の数が上限値を超える場合がある。この場合、上限値より少ない数の芯線と、ジョイントコネクタに接続した1本のジャンパー線の芯線とを電気的に接続した端末接続部を複数形成する。これにより、ジョイントコネクタを介して、複数の端末接続部を接続させて、多数の電線からなる電線束の端末を一括してアース接続又は電源接続することができる。
【0007】
しかしながら、この場合、ジョイントコネクタに複数本のジャンパー線を接続して、上限値より少ない数の芯線と、ジョイントコネクタに接続した1本のジャンパー線の芯線とを電気的に接続した端末接続部を複数形成する作業が必要になる。このため、部品数及び作業数が増加するという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、多数の電線からなる電線束の端末を互いに電気的に接続する場合でも、部品数及び作業数を抑えることができる電線束の端末接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様に係る電線束の端末接続構造は、導体部と、前記導体部に接合された、導電性を有する複数の収容部と、前記複数の収容部に収容された端末を有する電線束と、前記導体部と、前記電線束の端末を収容した前記複数の収容部とを収容し、絶縁性を有する有底筒状の保護部材と、を備え、前記保護部材の長手方向に垂直な断面視において、前記導体部の周囲に、前記複数の収容部が設けられており、各収容部には、前記電線束の端末の一部を構成する複数の電線の芯線が収容されており、各収容部において、前記複数の電線の芯線は、互いに電気的に接続されており、各収容部は、前記複数の電線の芯線と電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、多数の電線からなる電線束の端末を互いに電気的に接続する場合でも、部品数及び作業数を抑えることができる電線束の端末接続構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る電線束の端末接続構造の斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る電線束の端末接続構造における収容部の配置を説明する図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る電線束の端末接続構造の断面図である。
【
図5】
図5は、本実施形態の第1変形例に係る電線束の端末接続構造における収容部の配置を説明する図である。
【
図6】
図6は、本実施形態の第1変形例に係る電線束の端末接続構造における収容部の配置を説明する図である。
【
図7】
図7は、本実施形態の第2変形例に係る電線束の端末接続構造における収容部の配置を説明する図である。
【
図8】
図8は、本実施形態の第2変形例に係る電線束の端末接続構造における収容部の配置を説明する図である。
【
図9】
図9は、本実施形態の第3変形例に係る電線束の端末接続構造における収容部の配置を説明する図である。
【
図10】
図10は、本実施形態の第3変形例に係る電線束の端末接続構造における収容部の配置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて本実施形態に係る電線束の端末接続構造について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。また、同一の機能や構成には、同一又は類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0013】
[電線束の端末接続構造の構成]
最初に、
図1~
図4を用いて、電線束の端末接続構造1の構成を説明する。
図1は、電線束の端末接続構造1の斜視図である。
図2は、電線束の端末接続構造1における収容部20a、20bの配置を説明する図である。
図3は、電線束の端末接続構造1の断面図である。
図4は、
図3のIV-IV線に沿った断面図である。なお、
図2では、保護部材30の図示は省略している。また、
図3では、導体部10及び収容部20a、20bについては、断面ではなく側面を示している。
【0014】
図1~
図4に示したX方向は、保護部材30の長手方向LD(
図3参照)に対応する。
図1~
図4に示したY方向は、保護部材30の幅方向に対応しており、X方向に直交する。
図1~
図4に示したZ方向は、保護部材30の高さ方向に対応しており、X方向及びY方向に直交する。
【0015】
図1~
図4に示した+X側及び-X側は、それぞれ、保護部材30の前方及び後方に対応する。
図1~
図4に示した+Y側及び-Y側は、それぞれ、保護部材30の前方に向かって、保護部材30の右方及び左方に対応する。
図1~
図4に示した+Z側及び-Z側は、それぞれ、保護部材30の上方及び下方に対応する。
【0016】
電線束の端末接続構造1は、導体部10、収容部20a、20b、保護部材30、電線束50、及び固定部60を備える。導体部10は、導電性を有し、平板状に形成されている。導体部10は、接合面11、12を有する(
図2参照)。本実施形態では、保護部材30に導体部10を収容した状態において、接合面11、12は、X-Y平面に平行であり、かつ、接合面11、12は、それぞれ、+Z側及び-Z側に面している。なお、保護部材30に導体部10を収容した状態において、接合面11、12は、X-Y平面に平行であることに限定されず、X-Y平面に対して傾いていてもよい。
【0017】
収容部20a、20bは、導電性を有し、筒状に形成されている。収容部20a、20bは、電線束50の端末を収容する。
【0018】
収容部20aは、導体部10の接合面11に接合されており、電線束50に含まれる複数の電線50Aの端末を収容する(
図2参照)。収容部20aは、一端側に開口部21aを有する。複数の電線50Aの端末は、開口部21aを介して、収容部20aに収容される。保護部材30に収容部20aを収容した状態において、開口部21aは、収容部20aの-X側に位置する。
【0019】
同様に、収容部20bは、導体部10の接合面12に接合されており、電線束50に含まれる複数の電線50Bの端末を収容する(
図2参照)。収容部20bは、一端側に開口部21bを有する。複数の電線50Bの端末は、開口部21bを介して、収容部20bに収容される。保護部材30に収容部20bを収容した状態において、開口部21bは、収容部20aの-X側に位置する。
【0020】
保護部材30は、絶縁性を有し、長手方向LD(X方向)に沿って延在する。保護部材30は、キャップ部31及び舌部32を有する。キャップ部31は、有底筒状に形成されており、一端側(-X側)に開口部31aを有する。キャップ部31は、開口部31aを介して、導体部10と、電線束50の端末を収容した収容部20a、20bとを収容する。舌部32は、キャップ部31の開口部31aの下端(-Z側)に連接し、-X側に延在する。
【0021】
図4に示すように、保護部材30が、導体部10と、電線束50の端末を収容した収容部20a、20bとを収容した状態での、保護部材30の長手方向LDに垂直な断面視において、導体部10は矩形状に形成されており、導体部10の周囲には、収容部20a、20bが設けられている。収容部20a、20bは、導体部10を挟んで、互いに対向している。また、
図3に示すように、保護部材30の長手方向LDにおいて、収容部20a、20bは、保護部材30内にて、同じ位置に設けられている。
【0022】
電線束50は、ワイヤーハーネスの幹線から分岐されており、複数の電線50A及び複数の電線50Bを含む。複数の電線50Aの各々は、絶縁被覆51A及び芯線52Aを有する(
図3参照)。芯線52Aは、絶縁被覆51Aに覆われている。複数の電線50Aの各々の端末では、絶縁被覆51Aが剥ぎ取られて、芯線52Aが露出している。複数の芯線52Aは、収容部20aに収容されて、互いに電気的に接続された端末接続部を形成している。
【0023】
収容部20aに含まれる芯線の数は、複数の電線50Aの端末における端末接続部の抵抗値の増加を抑えるために設定された上限値を超えない範囲内にある。このため、芯線52Aの数は、設定された上限値以下である。本実施形態では、
図4に示すように、芯線52Aの数は8本である。なお、芯線52Aの数は8本に限定されず、設定された上限値を超えない範囲内であれば、任意の数をとることができる。また、本実施形態では、8本の芯線52Aは、4本の芯線52Aで構成されたレイヤが2つ形成されるように、収容部20aに収容されている(
図4参照)が、これに限定されない。
【0024】
同様に、複数の電線50Bの各々は、絶縁被覆51B及び芯線52Bを有する(
図3参照)。芯線52Bは、絶縁被覆51Bに覆われている。複数の電線50Bの各々の端末では、絶縁被覆51Bが剥ぎ取られて、芯線52Bが露出している。複数の芯線52Bは、収容部20bに収容されて、互いに電気的に接続された端末接続部を形成している。
【0025】
収容部20bに含まれる芯線の数は、複数の電線50Bの端末における端末接続部の抵抗値の増加を抑えるために設定された上限値を超えない範囲内にある。このため、芯線52Bの数は、設定された上限値以下である。本実施形態では、
図4に示すように、芯線52Bの数は8本である。なお、芯線52Bの数は8本に限定されず、設定された上限値を超えない範囲内であれば、任意の数をとることができる。また、本実施形態では、複数の芯線52Bは、4本の芯線52Bで構成されたレイヤが2つ形成されるように、収容部20bに収容されている(
図4参照)が、これに限定されない。
【0026】
後述するように、複数の芯線52Aを収容部20aに収容し、かつ、複数の芯線52Bを収容部20bに収容した状態で、収容部20a、20bは加締められる。これにより、収容部20aにおいて、複数の芯線52Aは、互いに電気的に接続されて、端末接続部を形成し、かつ、収容部20aは、複数の芯線52Aと電気的に接続される。同様に、収容部20bにおいて、複数の芯線52Bは、互いに電気的に接続されて、端末接続部を形成し、かつ、収容部20bは、複数の芯線52Bと電気的に接続される。
【0027】
なお、本実施形態では、収容部20a、20bの一方には、グランド又は電源に接続された電線の芯線(図示略)が含まれる。例えば、グランド又は電源に接続された電線の芯線が収容部20bに含まれる場合、複数の芯線52Aは、収容部20aに収容されて加締められた状態で、収容部20a、導体部10、及び収容部20bを介して、グランド又は電源に接続された電線の芯線に電気的に接続される。この場合、複数の芯線52Bは、収容部20bに収容されて加締められた状態で、グランド又は電源に接続された電線の芯線に電気的に接続される。このような構成により、グランド又は電源に対して、電線束50の端末を一括して電気的に接続することができる。
【0028】
固定部60は、保護部材30のキャップ部31に挿入された電線束50を、保護部材30の舌部32に固定する(
図1参照)。固定部60は、例えば、テープ、バンドなどである。これにより、電線束50は、保護部材30に固定される。
【0029】
[電線束の端末接続構造の製造方法]
次に、電線束の端末接続構造1の製造方法を説明する。なお、本実施形態では、電線束50に含まれる複数の電線の芯線の数は、設定された上限値を超えている。
【0030】
最初に、電線束50に含まれる複数の電線は、導体部10に接合された収容部20a、20bに収容される2つの電線群に仕分けられる。ここで、各電線群に含まれる電線の芯線の数は、設定された上限値を超えない。なお、収容部20aに収容される電線群には、複数の電線50Aが含まれる。収容部20bに収容される電線群には、複数の電線50Bが含まれる。
【0031】
電線群への仕分けが終了すると、複数の電線50Aの絶縁被覆51Aから露出された複数の芯線52Aが、収容部20aに挿入されて、かつ、複数の電線50Bの絶縁被覆51Bから露出された複数の芯線52Bが、収容部20bに挿入される。なお、この際、上述したように、収容部20a、20bの一方には、グランド又は電源に接続された電線の芯線(図示略)も挿入される。
【0032】
複数の芯線52Aを収容部20aに収容し、かつ、複数の芯線52Bを収容部20bに収容すると、収容部20a、20bは加締められる。収容部20a、20bを加締めると、導体部10及び収容部20a、20bは、保護部材30の開口部31aを介して、保護部材30のキャップ部31に挿入される。この際、複数の電線50A及び複数の電線50Bを含む電線束50は、保護部材30の舌部32に載置される。
【0033】
導体部10及び収容部20a、20bを収容位置まで挿入すると、電線束50は、固定部60により、保護部材30の舌部32に固定される。これにより、電線束の端末接続構造が構成される。
【0034】
なお、複数の芯線52Aを収容部20aに挿入する前に、複数の芯線52Aを互いに電気的に接続して端末接続部を形成してもよい。この場合、複数の芯線52Aの端末接続部が収容部20aに挿入される。同様に、複数の芯線52Bを収容部20bに挿入する前に、複数の芯線52Bを互いに電気的に接続して端末接続部を形成してもよい。この場合、複数の芯線52Bの端末接続部が収容部20bに挿入される。
【0035】
[作用・効果]
本実施形態によれば、電線束の端末接続構造1は、導体部10、収容部20a、20b、保護部材30、及び電線束50を備える。収容部20a、20bは、導電性を有しており、導体部10に接合される。電線束50は、収容部20a、20bに収容された端末を有する。保護部材30は、絶縁性を有する有底筒状に形成されており、導体部10と、電線束50の端末を収容した収容部20a、20bとを収容する。
【0036】
保護部材30の長手方向LDに垂直な断面視において、導体部10の周囲に収容部20a、20bが設けられている。収容部20a、20bの各々には、電線束50の端末の一部を構成する複数の電線の芯線が収容されている。収容部20a、20bの各々において、複数の電線の芯線は、互いに電気的に接続されている。収容部20a、20bの各々は、複数の電線の芯線と電気的に接続されている。
【0037】
上述した構成により、電線束50が多数の電線からなる場合でも、上限値を超えない数の芯線を、収容部20a、20bの各々に収容して、互いに電気的に接続させることで、ジョイントコネクタ及びジャンパー線を使用せずに、電線束50の端末を互いに電気的に接続することができる。このため、多数の電線からなる電線束50の端末を互いに電気的に接続する場合でも、部品数及び作業数を抑えることができる。
【0038】
本実施形態によれば、保護部材30の長手方向LDにおいて、収容部20a、20bは、同じ位置に設けられている。
【0039】
上述した構成により、保護部材30の長手方向LDにおける、複数の電線50Aの収容位置は、複数の電線50Bの収容位置と同じであるため、保護部材30における、複数の電線50Aの挿入長は、複数の電線50Bの挿入長と一致する。このため、電線束50における電線長の管理を容易に行うことができる。
【0040】
[第1変形例]
上述した実施形態では、収容部の数は2つであったが、これに限定されず、3つ以上であってもよい。本変形例では、電線束の端末接続構造1は、4つの収容部を有する。
【0041】
図5及び
図6は、電線束の端末接続構造1aにおける収容部120a~120dの配置を説明する図である。なお、
図5及び
図6では、保護部材30の図示は省略している。
図5及び
図6に示すように、電線束の端末接続構造1aは、電線束の端末接続構造1の導体部10、収容部20a、20b、及び電線束50の代わりに、導体部110、収容部120a~120d、及び電線束150を含む。
【0042】
導体部110は、導電性を有し、直方体状に形成されている。導体部110は、接合面111~114を有する。本実施形態では、保護部材30に導体部110を収容した状態において、接合面111、113は、X-Y平面に平行であり、かつ、接合面111、113は、それぞれ、+Z側及び-Z側に面している。なお、保護部材30に導体部110を収容した状態において、接合面111、113は、X-Y平面に平行であることに限定されず、X-Y平面に対して傾いていてもよい。
【0043】
また、本実施形態では、保護部材30に導体部110を収容した状態において、接合面112、114は、X-Z平面に平行であり、かつ、接合面112、114は、それぞれ、+Y側及び-Y側に面している。なお、保護部材30に導体部110を収容した状態において、接合面112、114は、X-Z平面に平行であることに限定されず、X-Z平面に対して傾いていてもよい。
【0044】
収容部120a~120dは、導電性を有し、筒状に形成されている。収容部120a~120dは、それぞれ、導体部110の接合面111~114に接合されており、電線束150に含まれる複数の電線150A~150Dの端末を収容する。収容部120a~120dは、それぞれ、一端側(-X側)に開口部121a~121dを有する。複数の電線150A~150Dの端末は、それぞれ、開口部121a~121dを介して、収容部120a~120dに収容される。
【0045】
保護部材30が、導体部110と、電線束150の端末を収容した収容部120a~120dとを収容した状態での、保護部材30の長手方向LDに垂直な断面視において、導体部110は四角形状に形成されており、導体部110の周囲には、収容部120a~120dが設けられている(
図6参照)。保護部材30の長手方向LDに垂直な断面視において、収容部120a、120cは、導体部110を挟んで、互いに対向しており、収容部120b、120dは、導体部110を挟んで、互いに対向している。また、保護部材30の長手方向LDにおいて、収容部120a~120dは、保護部材30内にて、同じ位置に設けられている。
【0046】
本変形例では、保護部材30の長手方向LDに垂直な断面視において、導体部110は四角形状に形成されているが、これに限定されない。例えば、保護部材30の長手方向LDに垂直な断面視において、導体部110は、三角形状、五角形状など、多角形状に形成されてもよい。
【0047】
本変形例によれば、保護部材30の長手方向LDに垂直な断面視において、導体部110は多角形状に形成されている。
【0048】
上述した構成により、導体部110には、複数の接合面を設けることができるため、接合面の数に応じて、収容部の数を増やすことができる。これにより、電線束150が多数の電線を含む場合でも、ジョイントコネクタ及びジャンパー線を使用せずに、電線束50の端末を互いに電気的に接続することができるため、部品数及び作業数を抑えることができる。
【0049】
[第2変形例]
上述した実施形態では、導体部10の断面は矩形状に形成であったが、これに限定されない。本変形例では、導体部210の断面は円形に形成される。
【0050】
図7及び
図8は、本変形例に係る電線束の端末接続構造1bにおける収容部220a~220eの配置を説明する図である。なお、
図7及び
図8では、保護部材30の図示は省略している。
図7及び
図8に示すように、電線束の端末接続構造1bは、電線束の端末接続構造1の導体部10、収容部20a、20b、及び電線束50の代わりに、導体部210、収容部220a~220e、及び電線束250を含む。
【0051】
導体部210は、導電性を有し、円柱状に形成されている。導体部210は、接合周面211を有する。
【0052】
収容部220a~220eは、導電性を有し、筒状に形成されている。収容部220a~220eは、導体部110の接合周面211に接合されており、電線束250に含まれる複数の電線250A~250Dの端末を収容する。収容部220a~220eは、それぞれ、一端側(-X側)に開口部221a~221eを有する。複数の電線250A~250Eの端末は、それぞれ、開口部221a~221eを介して、収容部220a~220eに収容される。
【0053】
保護部材30が、導体部210と、電線束250の端末を収容した収容部220a~220eとを収容した状態での、保護部材30の長手方向LDに垂直な断面視において、導体部210は円形に形成されており、導体部110の周囲には、収容部220a~220eが設けられている(
図8参照)。保護部材30の長手方向LDに垂直な断面視において、収容部220a~220eは、導体部210の接合周面211に沿って設けられている。また、保護部材30の長手方向LDにおいて、収容部220a~220eは、保護部材30内にて、同じ位置に設けられている。
【0054】
本変形例によれば、保護部材30の長手方向LDに垂直な断面視において、導体部210は円形に形成されている。
【0055】
上述した構成により、導体部210の接合周面211に沿って、複数の収容部を設けることができるため、収容部の数を増やすことができる。これにより、電線束150が多数の電線を含む場合でも、ジョイントコネクタ及びジャンパー線を使用せずに、電線束50の端末を互いに電気的に接続することができるため、部品数及び作業数を抑えることができる。
【0056】
[第3変形例]
上述した第1変形例では、保護部材30の長手方向LDにおいて、収容部120a~120dは、保護部材30内にて、同じ位置に設けられたが、これに限定されない。本変形例では、保護部材30の長手方向LDにおいて、収容部120a、120cは、収容部120b、120dと異なる位置に設けられる。
【0057】
図9及び
図10は、本変形例に係る電線束の端末接続構造1cにおける収容部120a、120b、120c、120dの配置を説明する図である。なお、
図9及び
図10では、保護部材30の図示は省略している。
図9及び
図10に示すように、電線束の端末接続構造1cは、電線束の端末接続構造1aの導体部110の代わりに、導体部310を含む。
【0058】
導体部310は、導電性を有し、直方体状に形成されている。導体部310は、電線束の端末接続構造1aの導体部110と比較して、+X側に延在している。導体部310は、接合面311~314を有する。
【0059】
本実施形態では、保護部材30に導体部310を収容した状態において、接合面311、313は、X-Y平面に平行であり、かつ、接合面311、313は、それぞれ、+Z側及び-Z側に面している。なお、保護部材30に導体部310を収容した状態において、接合面311、313は、X-Y平面に平行であることに限定されず、X-Y平面に対して傾いていてもよい。
【0060】
また、本実施形態では、保護部材30に導体部310を収容した状態において、接合面312、314は、X-Z平面に平行であり、かつ、接合面312、314は、それぞれ、+Y側及び-Y側に面している。なお、保護部材30に導体部310を収容した状態において、接合面312、314は、X-Z平面に平行であることに限定されず、X-Z平面に対して傾いていてもよい。
【0061】
収容部120a~120dは、それぞれ、導体部310の接合面311~314に接合されており、電線束150に含まれる複数の電線150A~150Dの端末を収容する。
【0062】
保護部材30が、導体部310と、電線束150の端末を収容した収容部120a~120dとを収容した状態での、保護部材30の長手方向LDに垂直な断面視において、導体部310は四角形状に形成されており、導体部310の周囲には、収容部120a~120dが設けられている(
図10参照)。
【0063】
保護部材30の長手方向LDにおいて、保護部材30内にて、収容部120a、120cは、収容部120b、120dと異なる位置に設けられている。具体的には、収容部120a、120cは、保護部材30の長手方向LDにおいて、同じ位置に設けられており、かつ、収容部120b、120dよりも+X側に位置する。収容部120b、120dは、保護部材30の長手方向LDにおいて、同じ位置に設けられており、かつ、収容部120a、120cよりも-X側に位置する。
【0064】
なお、保護部材30の長手方向LDにおいて、収容部120a~120dの各々が、少なくとも他の収容部と異なる位置に設けられてもよい。また、保護部材30の長手方向LDにおいて、収容部120a~120dは、螺旋状に設けられてもよい。
【0065】
本変形例によれば、保護部材30の長手方向LDにおいて、収容部120a~120dの各々(例えば、収容部120a、120c)は、少なくとも1つの他の収容部(例えば、収容部120b、120d)と異なる位置に設けられている。
【0066】
上述した構成により、例えば、保護部材30の長手方向LDにおいて、保護部材30内にて、収容部120a、120cが、収容部120b、120dと異なる位置に設けられている場合に、隣接する収容部の一部を重ね合わせることができる。
【0067】
具体的には、保護部材30の長手方向LDに垂直な断面視において、収容部120a、120bに対する、複数の電線150A、150Bの端部の挿入作業に干渉しない範囲内で、当該収容部120a、120bの一部を重ね合わせることができる。同様に、収容部120b、120cの一部、収容部120c、120dの一部、及び収容部120d、120aの一部も、それぞれ重ね合わせることができる(
図10の重ね合わせ領域R1~R4参照)。
【0068】
これにより、各収容部において、収容部の大きさを変えることなく、複数の電線の端部を収容するスペースを広げることができる。
【0069】
なお、本変形例は、第1変形例に適用されることに限定されず、上述した実施形態、及び第2変形例に適用してもよい。
【0070】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0071】
1、1a~1c 電線束の端末接続構造
10、110、210、310 導体部
20a、20b、120a~120d、220a~220e 収容部
30 保護部材
50、150、250 電線束
50A、50B、150A~150D、250A~250E 複数の電線
52A、52B 芯線
LD 長手方向