(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164512
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】カテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 25/01 20060101AFI20241120BHJP
A61M 25/10 20130101ALI20241120BHJP
A61M 25/09 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
A61M25/01
A61M25/10 544
A61M25/09 530
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080046
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】594170727
【氏名又は名称】日本ライフライン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】渡部 貴史
(72)【発明者】
【氏名】藤井 翔太
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA06
4C267AA12
4C267AA28
4C267BB04
4C267BB09
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB27
4C267EE11
4C267HH08
4C267HH30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】カテーテルを用いる手技の作業性の向上を図る。
【解決手段】カテーテルは、ガイドワイヤ用の第1ルーメンおよび流体または導線用の第2ルーメンを有するシャフト2と、ハンドル6とを備える。ハンドルは、外筒14と、内筒16とを有する。外筒14は、ガイドワイヤ用の第1外筒孔24を基端面に有し、流体または導線用の第2外筒孔26を側面に有する。内筒16は、シャフト2が通される第1内筒孔38を有し、第2外筒孔26と重なる側面に第1内筒孔38に達する第1凹部40を有する。シャフト2は、第1凹部40と重なる側面に第1ルーメン側孔44を有する。外筒14および第1凹部40により第1前室48が区画され、第2外筒孔26および第1ルーメン側孔44は第1前室48に接続される。第1ルーメンはシャフト2の基端面において開口し、第1外筒孔24に接続される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドワイヤが通される第1ルーメン、および流体または導線が通される第2ルーメンを有し、少なくとも先端側が体内に挿入されるシャフトと、
前記シャフトの基端側に位置するハンドルと、を備え、
前記ハンドルは、外筒と、前記外筒の内部に収容される内筒と、を有し、
前記外筒は、外筒の内外を連通して前記ガイドワイヤが通される第1外筒孔を基端面に有するとともに、外筒の内外を連通して前記流体または前記導線が通される第2外筒孔を側面に有し、
前記内筒は、前記シャフトの軸方向に延びて前記シャフトが通される第1内筒孔を有するとともに、前記シャフトの径方向から見て前記第2外筒孔と重なる側面に前記第1内筒孔に達する第1凹部を有し、
前記シャフトは、前記径方向から見て前記第1凹部と重なる側面に前記第2ルーメン内および前記シャフト外を連通する第1ルーメン側孔を有し、
前記外筒の内側面および前記第1凹部により第1前室が区画され、前記第2外筒孔および前記第1ルーメン側孔は前記第1前室に接続され、
前記第1ルーメンは前記シャフトの基端面において開口し、前記第1外筒孔に接続される、
カテーテル。
【請求項2】
前記内筒は、前記第1凹部に対し前記軸方向にずれた位置に第3凹部を有し、前記第3凹部および前記外筒の内側面により接着剤充填室が区画され、
前記外筒は、前記径方向から見て前記第3凹部と重なる側面に前記外筒の内外を連通して接着剤が通される第4外筒孔を有する、
請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記内筒は、前記軸方向における前記第1凹部および前記第3凹部の間に第4凹部を有する、
請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記シャフトの基端面は、前記外筒の基端側に直に接する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記外筒は、外筒の内外を連通して流体または導線が通される第3外筒孔を側面に有し、
前記内筒は、前記シャフトの径方向から見て前記第3外筒孔と重なる側面に前記第1内筒孔に達する第2凹部を有し、
前記シャフトは、前記流体または前記導線が通される第3ルーメンと、前記径方向から見て前記第2凹部と重なる側面に前記第3ルーメン内および前記シャフト外を連通する第2ルーメン側孔を有し、
前記外筒の内側面および前記第2凹部により第2前室が区画され、前記第3外筒孔および前記第2ルーメン側孔は前記第2前室に接続される、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記第1前室および前記第2前室は、互いに前記軸方向に並ぶ、
請求項5に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のルーメンを有するマルチルーメンカテーテルが知られている。例えば、特許文献1に記載されるカテーテルは、カテーテルシャフトの先端に設けられたバルーンを膨張させるための空気を通すバルーンルーメンと、造影剤を通す造影剤ルーメンと、ガイドワイヤを通すガイドワイヤルーメンとを備えていた。また、各ルーメンに枝管が挿入されていた。そして各枝管を介して、空気注入用シリンジがバルーンルーメンに接続され、造影剤注入用シリンジが造影剤ルーメンに接続され、ガイドワイヤがガイドワイヤルーメンに挿通されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のマルチルーメンカテーテルでは、シャフトの基端面で開口する各ルーメンに、シリンジやガイドワイヤといった外部器具を接続あるいは挿通するための枝管が挿入されていた。このため、外部器具が集約されやすい傾向にあった。外部器具が集約されると、外部器具どうしの干渉を回避したり各外部器具を区別したりするために、より注意を払う必要が生じる。このため、従来のカテーテルには、カテーテルを用いる手技の作業性をより向上させる余地があった。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、カテーテルを用いる手技の作業性の向上を図る技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある態様は、カテーテルである。このカテーテルは、ガイドワイヤが通される第1ルーメン、および流体または導線が通される第2ルーメンを有し、少なくとも先端側が体内に挿入されるシャフトと、シャフトの基端側に位置するハンドルと、を備える。ハンドルは、外筒と、外筒の内部に収容される内筒と、を有する。外筒は、外筒の内外を連通してガイドワイヤが通される第1外筒孔を基端面に有するとともに、外筒の内外を連通して流体または導線が通される第2外筒孔を側面に有する。内筒は、シャフトの軸方向に延びてシャフトが通される第1内筒孔を有するとともに、シャフトの径方向から見て第2外筒孔と重なる側面に第1内筒孔に達する第1凹部を有する。シャフトは、径方向から見て第1凹部と重なる側面に第2ルーメン内およびシャフト外を連通する第1ルーメン側孔を有する。外筒の内側面および第1凹部により第1前室が区画され、第2外筒孔および第1ルーメン側孔は第1前室に接続される。第1ルーメンはシャフトの基端面において開口し、第1外筒孔に接続される。
【0007】
以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、カテーテルを用いる手技の作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態に係るカテーテルの斜視図である。
【
図7】
図6におけるA-A線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、本開示を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも本開示の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限りこの用語はいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0011】
図1は、実施の形態に係るカテーテル1の斜視図である。なお、
図1にはバルーン4が拡張した状態が図示されている。本実施の形態に係るカテーテル1は、一例としてシャフト2と、バルーン4と、ハンドル6とを備える。シャフト2は、長尺の管状部材である。シャフト2は、ポリオレフィンやポリアミドといった樹脂等の公知の可撓性材料で構成される。シャフト2の長さは、例えば600mm~3000mmである。バルーン4は、シャフト2の先端(遠位端)側に位置する。ハンドル6は、シャフト2の基端(近位端)側に位置する。
【0012】
以下では適宜、カテーテル1あるいはシャフト2におけるバルーン4が配置される側を単に「先端側」といい、ハンドル6が配置される側を単に「基端側」という。また、シャフト2の軸が延びる方向、言い換えればシャフト2の長手方向を「軸方向」といい、軸方向と直交する方向、言い換えればシャフト2の短手方向を「径方向」という。シャフト2は、少なくとも先端側が体内に挿入される。これにより、バルーン4が体内に送り込まれる。バルーン4は、公知の構造を有するため説明を省略する。ハンドル6は、ハブとも呼ばれ、体外に配置されて施術者によって把持あるいは操作される。
【0013】
図2は、径方向に沿ったシャフト2の断面図である。シャフト2は、少なくとも第1ルーメン8および第2ルーメン10を有するマルチルーメンシャフトである。シャフト2が有するルーメンの数は2つ以上であればよく、本実施の形態のシャフト2は、一例として第1ルーメン8および第2ルーメン10に加えて第3ルーメン12も有する。第1ルーメン8は、シャフト2の基端面から先端面にかけて延在し、ガイドワイヤが通される。
【0014】
第2ルーメン10および第3ルーメン12には、流体が通される。第2ルーメン10は、シャフト2の基端面からバルーン4内にかけて延在し、先端側の開口がバルーン4内に接続されている。第2ルーメン10には、バルーン4を拡張させるための流体、例えば空気等の気体が通される。第2ルーメン10を流れる気体は、第2ルーメン10の先端側の開口からバルーン4内に放出される。第2ルーメン10の基端側の開口は、接着剤等で封止される。
【0015】
第3ルーメン12は、シャフト2の基端面から先端面にかけて延在する。また、シャフト2は、バルーン4の近傍に第3ルーメン12内およびシャフト2外を連通する貫通孔(図示せず)を側面に有する。そして、第3ルーメン12には、生理食塩水や造影剤といった液体が通される。第3ルーメン12を流れる液体は、貫通孔からシャフト2外に放出される。第3ルーメン12の先端側および基端側の開口は、接着剤等で封止される。
【0016】
本実施の形態のカテーテル1は、一例として胆石除去バルーンカテーテルとして使用される。この場合、第1ルーメン8にガイドワイヤが通され、ガイドワイヤに沿ってシャフト2が体内に挿入されることで、バルーン4が総胆管に誘導される。また、第3ルーメン12に通された造影剤がバルーン4の近傍に放出される。これにより、バルーン4の位置を体外から把握することができる。そして、第2ルーメン10からバルーン4内に流体が流入して、バルーン4が拡張する。拡張したバルーン4は、総胆管の内壁に接触する。この状態で、カテーテル1が総胆管から引き抜かれる。これにより、総胆管内に滞留する胆石を総胆管から十二指腸側にかき出すことができる。また、第3ルーメン12に通された生理食塩水がバルーン4の近傍に放出される。これにより、総胆管内に滞留する胆石を総胆管から十二指腸側に洗い流すことができる。
【0017】
なお、カテーテル1は、胆石除去以外の手技に用いることもできる。また、第2ルーメン10とバルーン4との接続態様や、第3ルーメン12とシャフト2外との接続態様についても特に制限されず、適宜設定することができる。例えば、第2ルーメン10がシャフト2の先端面まで延在し、シャフト2の側面に設けられた貫通孔(図示せず)を介して第2ルーメン10からバルーン4内に気体が供給されてもよい。また、第3ルーメン12の先端がバルーン4の近傍に位置し、先端側の開口から液体が放出されてもよい。
【0018】
また、第2ルーメン10または第3ルーメン12には、導線が通されてもよい。例えば、バルーン4の表面やシャフト2の先端部等に電極や熱電対等が設けられる場合、導線の先端側が第2ルーメン10や第3ルーメン12に通されて電極や熱電対に電気的に接続される。導線の基端側は、電源装置等の外部機器に接続される。また、第1ルーメン8には、ガイドワイヤに加えて流体が通されてもよい。
【0019】
図3および
図4は、ハンドル6の斜視図である。
図5は、ハンドル6の分解斜視図である。
図6は、ハンドル6の側面図である。
図7は、
図6におけるA-A線に沿った断面図である。なお、
図3,4,7では、シャフト2も図示されている。また、
図6では蓋部材18の図示が省略されている。
【0020】
ハンドル6は、外筒14と、内筒16と、蓋部材18とを有する。外筒14は、軸方向に長い略円筒状であり、略円筒状の内部空間を有する。外筒14は、先端側に開口20を有し、開口20を介して内筒16が外筒14の内部に収容される。外筒14は、先端側の外側面に螺溝22を有する。蓋部材18は、おおよそ椀状であり、内側面に螺溝22に対応する螺溝(図示せず)を有する。内筒16が外筒14内に収容された状態で、外筒14の先端部に蓋部材18が螺合することで、内筒16が外筒14内に固定される。
【0021】
本実施の形態の外筒14、内筒16および蓋部材18は、ポリカーボネート(PC)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルイミド(PEI)等の公知の樹脂で構成され、公知の射出成形等によって形成することができる。また、外筒14は、透光性を有する樹脂で構成されている。このため、外筒14内に収容された内筒16を外側から視認できる。しかしながら、外筒14は透光性を有しなくてもよい。
【0022】
外筒14は、第1外筒孔24と、第2外筒孔26と、第3外筒孔28とを有する。第1外筒孔24は、外筒14の基端面に配置される。第1外筒孔24は、基端面の管壁を軸方向に貫通し、外筒14の内外を連通する。第1外筒孔24にはガイドワイヤが通される。また、外筒14の基端面には、筒状の第1ポート30が配置される。第1ポート30は、第1外筒孔24に接続され、外筒14の基端面から軸方向に突出する。一例として、外筒14と第1ポート30とは一体成形される。
【0023】
第2外筒孔26は、外筒14の側面に配置される。第2外筒孔26は、側面の管壁を径方向に貫通し、外筒14の内外を連通する。第2外筒孔26には、第2ルーメン10に通される流体または導線が通される。外筒14の側面には、筒状の第2ポート32が配置される。第2ポート32は、第2外筒孔26に接続され、外筒14の側面から軸方向と交わる方向、例えば径方向に突出する。第2ポート32には、バルーン拡張用の気体を注入する外部器具、例えばシリンジ等が接続される。一例として、外筒14と第2ポート32とは一体成形される。
【0024】
第3外筒孔28は、外筒14の側面に配置される。第3外筒孔28は、側面の管壁を径方向に貫通し、外筒14の内外を連通する。第3外筒孔28には、第3ルーメン12に通される流体または導線が通される。外筒14の側面には、筒状の第3ポート34が配置される。第3ポート34は、第3外筒孔28に接続され、外筒14の側面から軸方向と交わる方向、例えば径方向に突出する。第3ポート34には、生理食塩水や造影剤を注入する外部器具、例えばシリンジ等が接続される。一例として、外筒14と第3ポート34とは一体成形される。また一例として、第2外筒孔26および第3外筒孔28は、外筒14の周方向の位置が一致するとともに互いに軸方向にずれている。
【0025】
また、外筒14は、側面に第4外筒孔36を有する。本実施の形態の外筒14は、例えば3つの第4外筒孔36を有する。3つの第4外筒孔36は、軸方向におおよそ等間隔に配置される。また、各第4外筒孔36は、外筒14の周方向において第2外筒孔26および第3外筒孔28とは反対側に配置される。各第4外筒孔36は、側面の管壁を径方向に貫通し、外筒14の内外を連通する。各第4外筒孔36には、接着剤が通される。
【0026】
内筒16は、軸方向に長い略円筒状であり、第1内筒孔38と、第1凹部40と、第2凹部42とを有する。第1内筒孔38は、内筒16の略軸心に配置され、内筒16の先端面から基端面にかけて軸方向に延びる。第1内筒孔38にはシャフト2が通される。したがって、内筒16は、シャフト2の支持部材であるとも言える。また、詳細は後述するが、内筒16は外筒14の内部空間を複数の室に区画する隔壁部材と捉えることもできる。また、内筒16は、第1凹部40と後述する第5凹部60とで挟まれた平板部、第2凹部42と後述する第6凹部62で挟まれた平板部、および後述する平板部56のように、一部において筒状からかけ離れた形状を有する。しかしながら、本実施の形態においては、このような一部が平板状になったものも「筒」に含まれる。したがって、内筒16における肉がない部分の表面、つまり基本形状である筒の側面に設けられた凹部や切り欠きの表面も、内筒16の側面に含まれる。
【0027】
第1凹部40は、内筒16の側面に配置される。第1凹部40は、内筒16の側面の一部が凹んだ、あるいは切り欠かれた部分である。第1凹部40は、第1内筒孔38に達する深さを有する。したがって、第1凹部40において第1内筒孔38は開放され、シャフト2の側面が露出する。第1凹部40は、一例として内筒16の周方向の略半分の範囲に広がる。したがって、第1凹部40は略半円柱状である。また、第1凹部40は、径方向から見て第2外筒孔26と重なるように配置される。
【0028】
第2凹部42は、内筒16の側面に配置される。第2凹部42は、内筒16の側面の一部が凹んだ、あるいは切り欠かれた部分である。第2凹部42は、第1内筒孔38に達する深さを有する。したがって、第2凹部42において第1内筒孔38は開放され、シャフト2の側面が露出する。第2凹部42は、一例として内筒16の周方向の略半分の範囲に広がる。したがって、第2凹部42は略半円柱状である。また、第2凹部42は、径方向から見て第3外筒孔28と重なるように配置される。
【0029】
シャフト2は、第1ルーメン側孔44と、第2ルーメン側孔46とを有する。第1ルーメン側孔44は、径方向から見て第1凹部40と重なる側面に配置される。第1ルーメン側孔44は、側面の管壁を径方向に貫通し、第2ルーメン10内およびシャフト2外を連通する。第2ルーメン側孔46は、径方向から見て第2凹部42と重なる側面に配置される。第2ルーメン側孔46は、側面の管壁を径方向に貫通し、第3ルーメン12内およびシャフト2外を連通する。第2ルーメン10は、第1ルーメン側孔44よりも基端側において接着剤等で封止される。第3ルーメン12は、第2ルーメン側孔46よりも基端側において接着剤等で封止される。
【0030】
外筒14の内側面および第1凹部40により、第1前室48が区画される。第2外筒孔26および第1ルーメン側孔44は、それぞれ第1前室48に接続される。バルーン4を拡張するための気体は、第2ポート32および第2外筒孔26を介して第1前室48に供給され、第1前室48から第1ルーメン側孔44を介して第2ルーメン10内に送り込まれる。
【0031】
外筒14の内側面および第2凹部42により、第2前室50が区画される。第3外筒孔28および第2ルーメン側孔46は、それぞれ第2前室50に接続される。生理食塩水や造影剤は、第3ポート34および第3外筒孔28を介して第2前室50に供給され、第2前室50から第2ルーメン側孔46を介して第3ルーメン12内に送り込まれる。
【0032】
また、内筒16は、第1凹部40に対し軸方向にずれた位置に第3凹部52を有する。本実施の形態の内筒16は、一例として第1凹部40よりも先端側に2つの第3凹部52を有する。2つの第3凹部52は、第2前室50を軸方向で挟むように配置される。各第3凹部52および外筒14の内側面により、接着剤充填室54が区画される。
【0033】
第3凹部52は、内筒16の側面が周方向全域で凹んだ、あるいは切り欠かれた部分である。また、第3凹部52は、第2外筒孔26および第3外筒孔28が配置される側の領域と第4外筒孔36が配置される側の領域とが、それぞれ内筒16の軸心まで達している。したがって、これら2つの領域が互いに接続されている。よって、内筒16における接着剤充填室54より先端側の部分と接着剤充填室54より基端側の部分とは、第1内筒孔38を挟んで径方向に並ぶ2枚の平板部56で連結されている。
【0034】
また、本実施の形態のハンドル6は、外筒14の基端面(内部空間側の面)と内筒16の基端面との間にも接着剤充填室54を有する。具体的には、外筒14の内部空間と内筒16とは、それぞれ基端側に向かうほど径が小さくなっている。つまり、外筒14の内部空間と内筒16の基本形状とは、互いに略円錐台状である。このため、外筒14の内側面と内筒16の外側面とは、基端側に向かうにつれてシャフト2に近づくように傾斜している。各側面の傾斜角度はおおよそ等しく、各側面は互いに平行に延びる。
【0035】
また、内筒16の基端面の径は、外筒14の基端面の径よりも大きい。このため、内筒16は、外筒14の内部空間の途中までしか進入することができない。これにより、外筒14の基端面と内筒16の基端面との間に空間が形成される。そして、この空間が接着剤充填室54を構成する。蓋部材18が外筒14の螺溝22に螺合することで、内筒16が外筒14の内部空間に押し込まれる方向に付勢される。これにより、外筒14に対して内筒16が固定される。
【0036】
したがって、本実施の形態のハンドル6は、軸方向に並ぶ3つの接着剤充填室54を有する。基端側の接着剤充填室54と中間の接着剤充填室54との間には、第1前室48が配置される。中間の接着剤充填室54と先端側の接着剤充填室54との間には、第2前室50が配置される。よって各前室は、一対の接着剤充填室54で挟まれている。径方向から見て各第3凹部52と重なる外筒14の側面には、第4外筒孔36が配置される。また、径方向から見て外筒14の基端面と内筒16の基端面との間の空間と重なる外筒14の側面にも、第4外筒孔36が配置される。したがって、各接着剤充填室54に第4外筒孔36が接続される。
【0037】
ハンドル6の外部から第4外筒孔36を介して、光硬化型接着剤、シアノアクリレート系接着剤等の接着剤が注入され、接着剤充填室54に接着剤が充填される。これにより、第1前室48および第2前室50の軸方向の両側が気密に封止される。
【0038】
本実施の形態では、第1前室48および第2前室50が互いに軸方向に並んでいる。このような配置によれば、2つの前室が軸方向で同じ位置でハンドル6の周方向にずれて配置される場合に比べて、接着剤充填室54を用いた各前室の封止をより簡単に実現しやすくすることができる。
【0039】
また、内筒16は、軸方向における第1凹部40および第3凹部52の間、第1凹部40および内筒16の基端面の間、ならびに第2凹部42および各第3凹部52の間に、第4凹部58を有する。つまり、軸方向において基端側の接着剤充填室54、第4凹部58、第1前室48、第4凹部58および中間の接着剤充填室54がこの順に並ぶ。また、軸方向において中間の接着剤充填室54、第4凹部58、第2凹部42、第4凹部58および先端側の接着剤充填室54がこの順に並ぶ。
【0040】
各第4凹部58と外筒14の内側面とにより、緩衝室が区画される。第1前室48と各接着剤充填室54との間に緩衝室を配置することで、接着剤充填室54に注入した接着剤が第1前室48に流れ込むことを抑制することができる。同様に、第2前室50と各接着剤充填室54との間に緩衝室を配置することで、接着剤充填室54に注入した接着剤が第2前室50に流れ込むことを抑制することができる。よって、接着剤により流体や導線の通りが阻害されることを抑制することができる。
【0041】
また、本実施の形態のハンドル6は、第4外筒孔36とは別に接着剤充填室54とハンドル6の外部とを接続するガス抜き流路を有する。すなわち、内筒16は、一例として内筒16の周方向で第1凹部40とは反対側に、第5凹部60を有する。第5凹部60は、内筒16の側面の一部が凹んだ、あるいは切り欠かれた部分である。内筒16は、第1凹部40および第5凹部60で挟まれた部分が略平板状となっている。第1凹部40および第5凹部60は、両者の間に位置する平板部の側端面(径方向の端面)と外筒14の内側面との隙間を介して、少なくとも気体が流通可能な程度に連通している。
【0042】
また内筒16は、内筒16の周方向で第2凹部42とは反対側に、第6凹部62を有する。第6凹部62は、内筒16の側面の一部が凹んだ、あるいは切り欠かれた部分である。内筒16は、第2凹部42および第6凹部62で挟まれた部分が略平板状となっている。第2凹部42および第6凹部62は、両者の間に位置する平板部の側端面と外筒14の内側面との隙間を介して、少なくとも気体が流通可能な程度に連通している。
【0043】
また内筒16は、内筒16の周方向で各第4凹部58とは反対側に、第7凹部64を有する。各第7凹部64は、内筒16の側面の一部が凹んだ、あるいは切り欠かれた部分である。内筒16は、各第4凹部58および各第7凹部64で挟まれた部分が略平板状となっている。各第4凹部58および各第7凹部64は、両者の間に位置する平板部の側端面と外筒14の内側面との隙間を介して気体が流通可能な程度に連通していてもよいし、連通していなくてもよい。
【0044】
軸方向において、第5凹部60および第6凹部62は、それぞれ一対の第7凹部64で挟まれる。第5凹部60および第6凹部62と各第7凹部64とは、それぞれ第1隔壁66で隔てられる。各第1隔壁66の側端面は、外筒14の内側面に接している。各第1隔壁66は、側端面の一部に径方向に凹む第1溝68を有する。したがって、第5凹部60および第6凹部62と各第7凹部64とは、少なくとも第1溝68を介して連通される。なお、各第1隔壁66は、第5凹部60および第6凹部62と各第7凹部64とを連通する貫通孔を有してもよい。
【0045】
軸方向において、各第7凹部64は、いずれかの接着剤充填室54と隣り合う。したがって、第5凹部60を挟む一対の第7凹部64は、それぞれ第5凹部60と基端側または中間の接着剤充填室54との間に介在する。同様に、第6凹部62を挟む一対の第7凹部64は、それぞれ第6凹部62と中間または先端側の接着剤充填室54との間に介在する。各第7凹部64と各接着剤充填室54とは、それぞれ第2隔壁70で隔てられる。各第2隔壁70の側端面は、外筒14の内側面に接している。各第2隔壁70は、側端面の一部に径方向に凹む第2溝72を有する。したがって、各第7凹部64と各接着剤充填室54とは、少なくとも第2溝72を介して連通される。なお、各第2隔壁70は、各第7凹部64と各接着剤充填室54とを連通する貫通孔を有してもよい。
【0046】
一例として、接着剤充填室54への接着剤の充填は以下のように実施される。すなわち、まず各第4外筒孔36が鉛直方向上方を向くようにハンドル6の姿勢が定められる。この状態で、各第4外筒孔36から各接着剤充填室54に接着剤が注入される。接着剤は、重力によって落下し、各接着剤充填室54の下端から溜まり始める。接着剤の液位が上昇するにつれて、接着剤充填室54内の空気は第2溝72を通って第7凹部64に流れ込み、さらに第1溝68を通って第5凹部60または第6凹部62に流れ込む。
【0047】
第5凹部60に流れ込んだ空気は、平板部の側端面と外筒14の内側面との隙間を通って第1前室48に流れ込み、第2外筒孔26および第2ポート32を通ってハンドル6外に排出される。同様に、第6凹部62に流れ込んだ空気は、平板部の側端面と外筒14の内側面との隙間を通って第2前室50に流れ込み、第3外筒孔28および第3ポート34を通ってハンドル6外に排出される。
【0048】
第2溝72、第7凹部64、第1溝68、第5凹部60、第1前室48、第2外筒孔26および第2ポート32で構成されるガス抜き流路と、第2溝72、第7凹部64、第1溝68、第6凹部62、第2前室50、第3外筒孔28および第3ポート34で構成されるガス抜き流路とを設けることで、各接着剤充填室54をより確実に接着剤で埋め尽くすことができる。よって、第1前室48および第2前室50の密閉性をより高めることができる。接着剤は、好ましくは第2溝72から第7凹部64に流れ込み始めるまで、接着剤充填室54に注入される。これにより、第1前室48および第2前室50の密閉性をより高めることができる。
【0049】
シャフト2の基端面は、外筒14の基端面(内部空間側の面)に直に接している。第1ルーメン8は、シャフト2の基端面において開口する。したがって、第1ルーメン8は、第1外筒孔24に直に接続される。第1ルーメン8と第1外筒孔24との接続界面は、基端側の接着剤充填室54に充填される接着剤によって封止される。シャフト2は、径方向から見て基端側の接着剤充填室54と重なる側面に、複数の第3ルーメン側孔74を有する。第3ルーメン側孔74の1つは、側面の管壁を径方向に貫通し、第2ルーメン10内およびシャフト2外を連通する。第3ルーメン側孔74の他の1つは、側面の管壁を径方向に貫通し、第3ルーメン12内およびシャフト2外を連通する。基端側の接着剤充填室54に接着剤が注入されると、接着剤の一部が第3ルーメン側孔74を介して第2ルーメン10内および第3ルーメン12内に進入する。これにより、第2ルーメン10は、第1ルーメン側孔44よりも基端側が接着剤で封止される。また第3ルーメン12は、第2ルーメン側孔46よりも基端側が接着剤で封止される。
【0050】
なお、シャフト2の基端面は、軸方向で接着剤充填室54の先端面と同じ位置や接着剤充填室54の内部に位置してもよい。この場合は、第1ルーメン8と第1外筒孔24とをつなぐ連通孔が接着剤充填室54に設けられる。この連通孔は、例えば第1ルーメン8および第1外筒孔24に針金等の線材を挿通した状態で接着剤充填室54に接着剤を充填し、接着剤が固化した後に線材を引き抜くことで形成することができる。つまり、線材が引き抜かれた後に残った孔が連通孔となる。
【0051】
第5凹部60および第6凹部62には、情報表示部76が設けられる。第5凹部60に設けられる情報表示部76には、第2ルーメン10に通す流体や導線に関するマークが付される。第6凹部62に設けられる情報表示部76には、第3ルーメン12に通す流体や導線に関するマークが付される。
図4には、一例として第5凹部60の底面に設けられた情報表示部76に「B」というマークが印字され、第6凹部62の底面に設けられた情報表示部76に「C」というマークが印字されている。ハンドル6に情報表示部76を設けることで、カテーテル1の使い勝手が向上し、よってカテーテル1を用いる手技の作業性をより向上させることができる。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態のシャフト2は、ガイドワイヤ用の第1ルーメン8と、流体または導線用の第2ルーメン10とを有する。外筒14は、ガイドワイヤ用の第1外筒孔24を基端面に有するとともに、流体または導線用の第2外筒孔26を側面に有する。内筒16は、軸方向に延びるシャフト2用の第1内筒孔38を有するとともに、第2外筒孔26と重なり第1内筒孔38に達する第1凹部40を側面に有する。シャフト2は、第1凹部40と重なる側面に第1ルーメン側孔44を有する。外筒14の内側面および第1凹部40により第1前室48が区画され、第2外筒孔26および第1ルーメン側孔44は第1前室48に接続される。第1ルーメン8は、シャフト2の基端面において開口し、第1外筒孔24に接続される。
【0053】
これにより、ガイドワイヤ用の第1ポート30をハンドル6の基端面に、流体または導線用の第2ポート32をハンドル6の側面に分散させることができる。よって、外部器具の集約を抑制することができ、外部器具どうしの干渉を回避したり各外部器具を区別したりするために払わなければならない注意を軽減することができる。したがって、カテーテル1を用いる手技の作業性を向上させることができる。
【0054】
また、流体または導線用の第2ポート32は、第1前室48を介して第2ルーメン10に接続されている。これにより、第2ルーメン10への枝管の挿入を回避することができる。枝管を第2ルーメン10に圧入する場合、第2ポート32から第2ルーメン10の先端までの通路は、枝管において断面積が最小となる傾向にある。このため、枝管の内径を基準として、第2ルーメン10の寸法が設定される。つまり、枝管において流体の所望流量を達成できるように、あるいは所望の導線を挿通できるように、枝管の内径が設定され、設定された枝管の内径を達成できるように第2ルーメン10の寸法が設定される。
【0055】
この場合、第2ルーメン10が無駄に太くなり、シャフト2の大径化や、シャフト2に形成可能なルーメン数の低下等につながり得る。これに対し、本実施の形態では第1前室48を介して第2ポート32と第2ルーメン10とが接続されるため、第2ルーメン10が無駄に太くなることを抑制することができる。これにより、シャフト2の小径化やルーメン数の増加等を図りやすくなる。
【0056】
また、第1前室48を第1ルーメン側孔44と第2外筒孔26との間に介在させることで、2つの孔の位置決め、言い換えればシャフト2とハンドル6との位置決めが容易になる。また、第2ルーメン10に導線を通す場合は、第1前室48内で導線を撓ませておくことができる。これにより、導線に引っ張り方向の力がかかったときに、導線を撓ませた部分で当該力を吸収することができる。よって、導線が断線することを抑制することができる。
【0057】
また、第1ルーメン8はシャフト2の基端面において開口しており、この基端面が外筒14の基端面に直に接している。これにより、第1ルーメン8への枝管の挿入を回避することができる。枝管を第1ルーメン8に圧入する場合、第1ポート30から第1ルーメン8の先端までの通路は、枝管において断面積が最小となる傾向にある。このため、枝管の内径を基準として、第1ルーメン8の寸法が設定される。つまり、枝管において所望のガイドワイヤを挿通できるように、枝管の内径が設定され、設定された枝管の内径を達成できるように第1ルーメン8の寸法が設定される。この場合、第1ルーメン8が無駄に太くなり、シャフト2の大径化や、シャフト2に形成可能なルーメン数の低下等につながり得る。これに対し、本実施の形態によれば第1ルーメン8への枝管の挿入を回避できるため、第1ルーメン8が無駄に太くなることを抑制でき、シャフト2の小径化やルーメン数の増加等を図りやすくすることができる。なお、第1ルーメン8と第1外筒孔24とを接着剤充填室54に設けた連通孔でつなぐ場合にも、第1ルーメン8への枝管の挿入を回避でき、同様の効果を奏することができる。
【0058】
また、本実施の形態のシャフト2は、第3ルーメン12と、第3ルーメン12内およびシャフト2外を連通する第2ルーメン側孔46とを有する。また、ハンドル6は、第2前室50と、第2前室50およびハンドル6外を連通する第3外筒孔28とを有する。第2ルーメン側孔46は、第2前室50に接続される。これにより、1つのハンドル6で、複数種の流体を互いに混ざり合うことを防ぎながらシャフト2の各ルーメンに供給することができる。また、1つのハンドル6で、流体と導線とをシャフト2の各ルーメンに通すことができる。また、1つのハンドル6で、役割の異なる複数の導線をシャフト2の各ルーメンに通すことができる。よって、カテーテル1を用いる手技の作業性をより向上させることができる。
【0059】
また、第1前室48および第2前室50は、それぞれ接着剤充填室54によって封止されている。これにより、各前室を簡単に、且つより高精度に封止することができる。よって、カテーテル1の信頼性を高めることができる。また、各前室と接着剤充填室54との間には、緩衝室が設けられている。これにより、各前室に接着剤が流入することをより確実に抑制でき、カテーテル1の品質を高めることができる。
【0060】
以上、本開示の実施の形態について詳細に説明した。前述した実施の形態は、本開示を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施の形態の内容は、本開示の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された本開示の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。設計変更が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形それぞれの効果をあわせもつ。前述の実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「本実施の形態の」、「本実施の形態では」等の表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。各実施の形態に含まれる構成要素の任意の組み合わせも、本開示の態様として有効である。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0061】
本実施の形態のハンドル6は、接着剤充填室54によって第1前室48および第2前室50を封止しているが、接着剤充填室54に加えてあるいは代えて、Oリング等のシール部材で各前室を封止してもよい。また、第1前室48が第2前室50よりも先端側に配置されてもよい。また、基端側の接着剤充填室54は、他の接着剤充填室54と同様に、内筒16に設けられる第3凹部52と外筒14の内側面とで区画されてもよい。この場合、内筒16は基端面が外筒14の基端面に突き当たるまで外筒14の内部空間に挿入されてもよい。
【0062】
また、カテーテル1におけるルーメンや前室の数も特に制限されず、流体や導線を通す3つ以上のルーメンと、各ルーメンに対応する3つ以上の前室とを設けることもできる。また、バルーン4の有無や、各ルーメンに通される流体の種類や相状態(気体か液体か)等も特に制限されず、カテーテル1が用いられる手技に応じて適宜設定することができる。
【0063】
また、複数のハンドル6を併用することもできる。また、本実施の形態のハンドル6と、Yコネクタ等の公知のハンドルとを併用することもできる。例えば、本実施の形態のハンドル6とYコネクタとが併用される場合、ハンドル6とYコネクタとが軸方向にずれて配置される。シャフト2は、ハンドル6の内筒16が備える第1内筒孔38と、Yコネクタの主管とに通される。導線は、ハンドル6の第2ポート32から第2ルーメン10に通される。流体は、Yコネクタの分岐管から第3ルーメン12に通される。この場合、導線は第1前室48を介して第2ルーメン10に通される。一方、流体は前室を介さずに第3ルーメン12に通される。
【0064】
実施の形態は、以下に記載する項目によって特定されてもよい。
[第1項目]
ガイドワイヤが通される第1ルーメン(8)、および流体または導線が通される第2ルーメン(10)を有し、少なくとも先端側が体内に挿入されるシャフト(2)と、
シャフト(2)の基端側に位置するハンドル(6)と、を備え、
ハンドル(6)は、外筒(14)と、外筒(14)の内部に収容される内筒(16)と、を有し、
外筒(14)は、外筒(14)の内外を連通してガイドワイヤが通される第1外筒孔(24)を基端面に有するとともに、外筒(14)の内外を連通して流体または導線が通される第2外筒孔(26)を側面に有し、
内筒(16)は、シャフト(2)の軸方向に延びてシャフト(2)が通される第1内筒孔(38)を有するとともに、シャフト(2)の径方向から見て第2外筒孔(26)と重なる側面に第1内筒孔(38)に達する第1凹部(40)を有し、
シャフト(2)は、径方向から見て第1凹部(40)と重なる側面に第2ルーメン(10)内およびシャフト(2)外を連通する第1ルーメン側孔(44)を有し、
外筒(14)の内側面および第1凹部(40)により第1前室(48)が区画され、第2外筒孔(26)および第1ルーメン側孔(44)は第1前室(48)に接続され、
第1ルーメン(8)はシャフト(2)の基端面において開口し、第1外筒孔(24)に接続される、
カテーテル(1)。
[第2項目]
内筒(16)は、第1凹部(40)に対し軸方向にずれた位置に第3凹部(52)を有し、第3凹部(52)および外筒(14)の内側面により接着剤充填室(54)が区画され、
外筒(14)は、径方向から見て第3凹部(52)と重なる側面に外筒(14)の内外を連通して接着剤が通される第4外筒孔(36)を有する、
第1項目に記載のカテーテル(1)。
[第3項目]
内筒(16)は、軸方向における第1凹部(40)および第3凹部(52)の間に第4凹部(58)を有する、
第2項目に記載のカテーテル(1)。
[第4項目]
シャフト(2)の基端面は、外筒(14)の基端面に直に接する、
第1項目乃至第3項目のいずれかに記載のカテーテル(1)。
[第5項目]
外筒(14)は、外筒(14)の内外を連通して流体または導線が通される第3外筒孔(28)を側面に有し、
内筒(16)は、シャフト(2)の径方向から見て第3外筒孔(28)と重なる側面に第1内筒孔(38)に達する第2凹部(42)を有し、
シャフト(2)は、流体または導線が通される第3ルーメン(12)と、径方向から見て第2凹部(42)と重なる側面に第3ルーメン(12)内およびシャフト(2)外を連通する第2ルーメン側孔(46)を有し、
外筒(14)の内側面および第2凹部(42)により第2前室(50)が区画され、第3外筒孔(28)および第2ルーメン側孔(46)は第2前室(50)に接続される、
第1項目乃至第4項目のいずれかに記載のカテーテル(1)。
[第6項目]
第1前室(48)および第2前室(50)は、互いに軸方向に並ぶ、
第5項目に記載のカテーテル(1)。
【符号の説明】
【0065】
1 カテーテル、 2 シャフト、 6 ハンドル、 8 第1ルーメン、 10 第2ルーメン、 12 第3ルーメン、 14 外筒、 16 内筒、 24 第1外筒孔、 26 第2外筒孔、 28 第3外筒孔、 36 第4外筒孔、 38 第1内筒孔、 40 第1凹部、 42 第2凹部、 44 第1ルーメン側孔、 46 第2ルーメン側孔、 48 第1前室、 50 第2前室、 52 第3凹部、 54 接着剤充填室、 58 第4凹部。