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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164516
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/533 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
H01R13/533 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080052
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】森 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】森 茂生
(72)【発明者】
【氏名】青島 信輔
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE02
5E087EE07
5E087FF04
5E087FF12
5E087GG12
5E087LL04
5E087LL17
5E087MM05
5E087QQ03
5E087QQ04
5E087RR49
(57)【要約】
【課題】短時間で、蓄熱部材の熱容量が飽和状態になるのを防いで、通電時における、端子の温度上昇を効果的に抑えることができるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ1は、パワー端子10、LA端子20、第2収容部70、蓄熱部材90、及びカバー120を備える。パワー端子10は、相手端子と電気的に接続される。LA端子20は、電線200と電気的に接続される。蓄熱部材90は、パワー端子10とLA端子20との接続箇所に立設される。第2収容部70は、蓄熱部材90を収容する第2収容空間71を有する。カバー120は、第2収容部70の上端開口を覆う。カバー120は、カバー120を貫通して、第2収容空間71に連通する通気孔123を有する。通気膜130は、通気孔123に設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手端子と電気的に接続される端子接続部と、
電線と電気的に接続される電線接続部と、
前記端子接続部と前記電線接続部との接続箇所を収容する第1収容空間を有する第1収容部と、
前記接続箇所に立設される蓄熱部材と、
前記第1収容空間に連通し、かつ、前記蓄熱部材を収容する第2収容空間を有する筒状の第2収容部と、
前記第2収容部の上端開口を覆うカバーと、
を備え、
前記カバーは、
前記カバーを貫通して、前記第2収容空間に連通する通気孔を有する本体部と、
前記通気孔に設けられて、気体が前記通気孔を通過するのを許容し、かつ、液体が前記通気孔を通過するのを阻止する通気膜と、
を有するコネクタ。
【請求項2】
前記蓄熱部材、前記端子接続部、及び前記電線接続部は、締結部材によって共締めされている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記通気膜は前記通気孔の開口を覆う、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記本体部の上面には、収容凹部が形成されており、
前記収容凹部の底面に、前記通気孔の開口が形成されており、
前記通気膜は、前記収容凹部に収容されて、前記通気孔の開口を覆う、請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記本体部は、第1本体部位及び第2本体部位を含み、
前記通気孔は、前記第1本体部位を貫通する第1孔と、前記第2本体部位を貫通する第2孔とを含み、
前記通気膜は、前記第1本体部位と前記第2本体部位との間に配置されて、前記第1孔の開口及び前記第2孔の開口を覆う、請求項1に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に設置された充電用コネクタを介して、車両に搭載されたバッテリに、車両外部から電力を供給している。
【0003】
充電用コネクタにおいて、充電時に端子に電流が流れると、ジュール熱が生じて、端子の温度(動作温度)が上昇する。特に、急速充電の場合、端子に大電流が流れて、端子の温度上昇が大きくなる。このため、充電用コネクタでは、通電時における、端子の温度上昇を抑えることが望まれている。
【0004】
特許文献1に開示されたコネクタでは、蓄熱部材が端子に組み付けられている。この構成により、蓄熱部材を用いて、端子で生じた熱を吸収することで、通電時における、端子の温度上昇を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2023-3377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されたコネクタでは、防水などの観点から、蓄熱部材が収容される収容空間は封止されて、外部から隔離されている。
【0007】
このため、蓄熱部材が収容される箇所では、熱が籠ってしまい、短時間で、蓄熱部材の熱容量が飽和状態になる可能性がある。蓄熱部材の熱容量が飽和状態になると、蓄熱部材は、端子で生じた熱を吸収できなくなる。
【0008】
これにより、通電時における、端子の温度上昇を抑えられなくなる可能性があり、更なる改善が求められていた。
【0009】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、短時間で、蓄熱部材の熱容量が飽和状態になるのを防いで、通電時における、端子の温度上昇を効果的に抑えることができるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の態様に係るコネクタは、相手端子と電気的に接続される端子接続部と、電線と電気的に接続される電線接続部と、前記端子接続部と前記電線接続部との接続箇所を収容する第1収容空間を有する第1収容部と、前記接続箇所に立設される蓄熱部材と、前記第1収容空間に連通し、かつ、前記蓄熱部材を収容する第2収容空間を有する筒状の第2収容部と、前記第2収容部の上端開口を覆うカバーと、を備える。前記カバーは、前記カバーを貫通して、前記第2収容空間に連通する通気孔を有する本体部と、前記通気孔に設けられて、気体が前記通気孔を通過するのを許容し、かつ、液体が前記通気孔を通過するのを阻止する通気膜とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、短時間で、蓄熱部材の熱容量が飽和状態になるのを防いで、通電時における、端子の温度上昇を効果的に抑えることができるコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態に係るコネクタの分解斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係るコネクタの斜視図である。
図3図3は、本実施形態に係るコネクタの平面図である。
図4図4は、図3のIV-IV線に沿った断面図である。
図5図5は、図3のV-V線に沿った断面図である。
図6図6は、本実施形態の第1変形例に係るコネクタにおける、カバーの要部断面図である。
図7図7は、本実施形態の第2変形例に係るコネクタにおける、カバーの要部断面図である。
図8図8は、本実施形態の第3変形例に係るコネクタにおける、カバーの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて本実施形態に係るコネクタについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。また、同一の機能や構成には、同一又は類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0014】
[コネクタの全体構成]
最初に、コネクタ1の全体構成を説明する。図1は、コネクタ1の分解斜視図である。図2は、コネクタ1の斜視図である。図3は、コネクタ1の平面図である。図4は、図3のIV-IV線に沿った断面図である。図5は、図3のV-V線に沿った断面図である。
【0015】
図1図5に示したX方向は、コネクタ1の長手方向に対応する。コネクタ1の長手方向は、コネクタ1及び相手コネクタ(図示略)との嵌合方向に一致する。図1図5に示したY方向は、コネクタ1の幅方向に対応しており、X方向に直交する。図1図5に示したZ方向は、コネクタ1の高さ方向に対応しており、X方向及びY方向に直交する。
【0016】
図1図5に示した+X側及び-X側は、それぞれ、コネクタ1の前方及び後方に対応する。図1図5に示した+Y側及び-Y側は、それぞれ、コネクタ1の前方に向かって、コネクタ1の左方及び右方に対応する。図1図5に示した+Z側及び-Z側は、それぞれ、コネクタ1の上方及び下方に対応する。
【0017】
コネクタ1は、電気自動車などのバッテリが搭載された車両に設置されて、当該バッテリから延びる電線に接続されている。具体的には、コネクタ1の後端には、車両に搭載されたバッテリ(図示略)から延びる電線200、200が接続されている。
【0018】
電線200、200は、芯線201、201及び絶縁被覆203、203を有する。芯線201、201は、絶縁被覆203、203で被覆されている。電線200、200の端末にて、芯線201、201は、絶縁被覆203、203が剥ぎ取られて、絶縁被覆203、203から露出している。
【0019】
コネクタ1は相手コネクタと嵌合すると、コネクタ1側の端子が相手コネクタ側の端子(相手端子)に電気的に接続される。これにより、車両外部から電力が供給されて、バッテリが充電される。なお、コネクタ1は、充電インレットとも呼称される。
【0020】
図1に示すように、コネクタ1は、パワー端子10、10、LA端子20、20、封止部材30、30、リアホルダ40、端子ホルダ50、蓄熱部材90、90、パッキン110、及びカバー120を備える。
【0021】
パワー端子10、10は、コネクタ1側の端子として機能し、相手端子と電気的に接続される。LA端子20、20は、電線200、200と電気的に接続される。LA端子20、20は、パワー端子10、10に接合される。なお、パワー端子10、10は端子接続部とも呼称され、かつ、LA端子20、20は電線接続部とも呼称される。
【0022】
パワー端子10、10とLA端子20、20との接続箇所は、端子ホルダ50に収容され、封止部材30、30で封止される。リアホルダ40は、端子ホルダ50に装着されて、LA端子20、20に電気的に接続された電線200、200を保持する。
【0023】
蓄熱部材90、90は、パワー端子10、10とLA端子20、20との接続箇所に立設されて、端子ホルダ50に収容される。カバー120は、パッキン110を介して、端子ホルダ50に装着されて、蓄熱部材90、90が収容された箇所を覆う。なお、後述するように、カバー120は、カバー120を貫通する通気孔123、123を有し、通気孔123、123には、通気膜130、130が設けられている。
【0024】
以下に、コネクタ1が備える各部品の構成を順に説明する。
【0025】
[パワー端子の構成]
まず、パワー端子10、10の構成を説明する。パワー端子10、10は、金属製であり、コネクタ1の長手方向(X方向)に延在する。パワー端子10、10は、端子部11、11、基部13、13、及び螺合孔15、15を有する(図1参照)。
【0026】
パワー端子10、10を端子ホルダ50に組み付けた状態において、端子部11、11は、端子ホルダ50の前端から前方に突出する(図2及び図3参照)。端子部11、11の一方は、陽極側の端子として機能し、かつ、端子部11、11の他方は、陰極側の端子として機能する。コネクタ1が相手コネクタと嵌合すると、端子部11、11の一方は、陽極側の相手端子に電気的に接続され、かつ、端子部11、11の他方は、陰極側の相手端子に電気的に接続される。これにより、パワー端子10、10は、相手端子と電気的に接続される。
【0027】
基部13、13は、小径部13a、13a、拡径部13b、13b、大径部13c、13c、及び切欠部13d、13dを有する。小径部13a、13aは円柱状に形成されている。小径部13a、13aの前端には、前方に突出する端子部11、11が一体に設けられている。小径部13a、13aの後端には、拡径部13b、13bが一体に設けられている。拡径部13b、13bは円錐台に形成されている。拡径部13b、13bの後端には、大径部13c、13cが一体に設けられている。なお、拡径部13b、13bは円柱状に形成されてもよい。
【0028】
大径部13c、13cは円柱状に形成されている。大径部13c、13cの後端上部には、切欠部13d、13dが形成されている。切欠部13d、13dは、上方に面する当接面13d1、13d1を有する。当接面13d1、13d1は、X-Y平面に平行である。大径部13c、13cの後端には、螺合孔15、15が形成されている。螺合孔15、15は、切欠部13d、13dの当接面13d1、13d1で開口する。
【0029】
[LA端子の構成]
次に、LA端子20、20の構成を説明する。LA端子20、20は、金属製であり、コネクタ1の長手方向(X方向)に延在する。LA端子20、20は、端子部21、21、貫通孔23、23、及び加締め部25、25を有する(図1参照)。
【0030】
端子部21、21は、板状に形成されており、吸熱面21a、21a及び当接面21b、21bを有する。吸熱面21a、21aは、上方に面しており、端子部21、21の上面に対応する。当接面21b、21bは、下方に面しており、端子部21、21の下面に対応する。吸熱面21a、21a及び当接面21b、21bは、X-Y平面に平行である。貫通孔23、23は、端子部21、21を貫通しており、吸熱面21a、21a及び当接面21b、21bで開口する。
【0031】
パワー端子10、10及びLA端子20、20を端子ホルダ50に組み付けた状態において、端子部21、21の当接面21b、21bは、パワー端子10、10の切欠部13d、13dの当接面13d1、13d1に当接する。この状態において、貫通孔23、23は、パワー端子10、10の螺合孔15、15に連通する。なお、端子部21、21の当接面21b、21bが、パワー端子10、10の切欠部13d、13dの当接面13d1、13d1に当接する箇所は、パワー端子10、10とLA端子20、20との接続箇所に対応する。
【0032】
パワー端子10、10及びLA端子20、20を端子ホルダ50に組み付けた状態において、端子部21、21の吸熱面21a、21aには、後述するように、蓄熱部材90、90が立設される。
【0033】
端子部21、21の後端には、加締め部25、25が一体に設けられている。加締め部25、25は、電線200、200の端末にて、絶縁被覆203、203から露出した芯線201、201に加締められる。これにより、LA端子20、20は、電線200、200と電気的に接続される。
【0034】
[封止部材の構成]
次に、封止部材30、30の構成を説明する。封止部材30、30は、円環状に形成されて、電線200の絶縁被覆203、203の周囲に設けられる(図1参照)。封止部材30、30は、例えば、ゴム栓である。
【0035】
パワー端子10、10及びLA端子20、20を端子ホルダ50に組み付けた状態において、封止部材30、30は、電線200、200と端子ホルダ50との間に挟持される(図4参照)。これにより、パワー端子10、10とLA端子20、20との接続箇所は、封止部材30、30によって封止される。
【0036】
[リアホルダの構成]
次に、リアホルダ40の構成を説明する。リアホルダ40は、筒状部41、カバー部43、及び電線挿入孔45、45を有する(図1参照)。
【0037】
筒状部41は、コネクタ1の長手方向(X方向)に延在する。筒状部41の内周面の形状は、端子ホルダ50における、後述する第1収容部60、60の後端部60b、60bの外周面の形状に対応するように形成されている。この構成により、リアホルダ40を端子ホルダ50に装着した状態において、筒状部41は、第1収容部60、60の後端部60b、60bを覆う。
【0038】
カバー部43は、筒状部41の後端開口を閉塞する。カバー部43には、電線挿入孔45、45が貫通している。リアホルダ40を端子ホルダ50に装着した状態において、LA端子20、20に電気的に接続された電線200、200は、電線挿入孔45、45に挿入されて、リアホルダ40に保持される(図4参照)。また、リアホルダ40を端子ホルダ50に装着した状態において、端子ホルダ50の第1収容部60、60の後端開口は、リアホルダ40のカバー部43によって閉塞される。
【0039】
[端子ホルダの構成]
次に、端子ホルダ50の構成を説明する。端子ホルダ50は、第1収容部60、60、第2収容部70、及び取付部80を有する(図1参照)。
【0040】
第1収容部60、60は、コネクタ1の長手方向(X方向)に延在する。第1収容部60、60は、連結部63により、互いに連結されて、コネクタ1の幅方向(Y方向)に並んで配置される(図2及び図3参照)。
【0041】
第1収容部60、60は、筒状に形成されて、第1収容空間61、61を内部に有する(図4及び図5参照)。第1収容空間61、61には、パワー端子10、10の拡径部13b、13b及び大径部13c、13c、LA端子20、20、及びLA端子20、20に電気的に接続された電線200、200の端末部分が収容される。なお、電線200、200の端末部分は、絶縁被覆203、203から露出した芯線201、201の先端と、絶縁被覆203、203における封止部材30、30が設けられた設置位置の近傍との間の部分に対応する(図4参照)。この構成により、第1収容部60、60の第1収容空間61、61には、パワー端子10、10とLA端子20、20との接続箇所が収容される。
【0042】
第1収容部60、60の前端開口には、筒状の端子保持部65、65が挿入されている(図4参照)。端子保持部65、65は、第1収容部60、60と一体に形成されている。端子保持部65、65の内周面の形状は、パワー端子10、10の基部13、13における、小径部13a、13aの後端部、拡径部13b、13b、及び大径部13c、13cの前端部の外周面の形状に対応するように形成されている。この構成により、パワー端子10、10を第1収容部60、60に収容した状態において、端子保持部65、65は、パワー端子10、10を保持する。
【0043】
端子保持部65、65が、パワー端子10、10を保持した状態において、端子部11、11及び小径部13a、13aの前端部は、端子保持部65、65から前方に突出する。なお、端子保持部65、65のうち、小径部13a、13aの後端部を保持する部位は、第1収容部60、60の前端開口よりも前方に位置する。
【0044】
第1収容部60、60の前端には、フード部67が設けられている(図4参照)。フード部67は、第1収容部60、60と一体に形成されている。フード部67は、第1収容部60、60の前端外周から前方に延在して、端子保持部65、65を取り囲む。
【0045】
第1収容部60、60は、前端部60a、60a及び後端部60b、60bを有する(図1参照)。前端部60a、60aには、後述するように、第2収容部70、70が設けられる。後端部60b、60bには、リアホルダ40が装着される。
【0046】
パワー端子10、10及びLA端子20、20は、第1収容部60、60の後端開口から挿入されて、第1収容空間61、61に組み付けられる。この状態で、封止部材30、30は、電線200、200の絶縁被覆203、203と、第1収容部60、60の後端部60b、60bとの間に挟持される(図4参照)。
【0047】
リアホルダ40を後端部60b、60bに装着した状態において、リアホルダ40の筒状部41は、第1収容部60、60の後端部60b、60bを覆い、かつ、リアホルダ40のカバー部43は、電線200、200を保持しつつ、第1収容部60、60の後端開口を閉塞する。
【0048】
このように、第1収容部60、60の前端開口は、パワー端子10、10及び端子保持部65、65により閉塞され、かつ、第1収容部60、60の後端開口は、リアホルダ40及び電線200、200により閉塞される。また、第1収容空間61、61は、封止部材30、30によって封止される。これにより、第1収容空間61、61は外部から隔離される。
【0049】
第1収容部60、60の内周面には、第1収容部60、60を補強するために、コネクタ1の長手方向(X方向)に沿って、複数のリブ69、69が形成されている(図5参照)。コネクタ1の長手方向(X方向)に垂直な断面視において、複数のリブ69、69は、第1収容空間61,61内で、第1収容部60、60の内周面から、第1収容部60、60の内径方向内側に向けて、突出している。
【0050】
第2収容部70は、コネクタ1の高さ方向(Z方向)に延在する。第2収容部70は、第1収容部60、60と一体に形成されており、第1収容部60、60の前端部60a、60aに立設される(図1参照)。
【0051】
第2収容部70は、筒状に形成されて、平坦壁70a、70b及び円弧壁70c、70dを有する。平坦壁70a、70bは、第2収容部70の前部及び後部を形成し、かつ、円弧壁70c、70dは、第2収容部70の左部及び右部を形成する。平坦壁70aの一端及び他端は、それぞれ、円弧壁70cの一端及び円弧壁70dの一端に接続されている。平坦壁70bの一端及び他端は、それぞれ、円弧壁70cの他端及び円弧壁70dの他端に接続されている。
【0052】
第2収容部70は、第2収容空間71を内部に有する(図4及び図5参照)。第2収容部70は、第2収容空間71内に、湾曲壁70e、70fを有する(図1参照)。湾曲壁70e、70fは、平坦壁70a、70b及び円弧壁70c、70dよりも低い。第2収容空間71において、円弧壁70cの内周面と湾曲壁70eの内周面は連接し、かつ、円弧壁70dの内周面と湾曲壁70fの内周面は連接する。
【0053】
この構成により、第2収容空間71は、円弧壁70cの内周面及び湾曲壁70eの内周面に囲まれた空間71aと、円弧壁70dの内周面及び湾曲壁70fの内周面に囲まれた空間71bとを有する(図5参照)。また、第2収容空間71は、第2収容部70の上端部において平坦壁70a、70bの内周面及び円弧壁70c、70dの内周面に囲まれた空間71cと、湾曲壁70e、70fの外周面及び平坦壁70a、70bの内周面に囲まれた空間71dとを有する。第2収容空間71において、空間71cは、空間71a、71b、71dの上方に位置する。
【0054】
第2収容空間71は、第2収容部70の下端開口を介して、第1収容空間61、61と連通している。具体的には、第2収容空間71において、空間71a、71bは、第2収容部70の下端開口を介して、第1収容空間61、61と連通している。なお、空間71dの下方は、第1収容部60、60の外周面によって閉塞されている。
【0055】
第2収容空間71には、蓄熱部材90、90が収容される。具体的には、第2収容空間71において、蓄熱部材90、90は、空間71a、71bに収容される。
【0056】
平坦壁70a、70b及び円弧壁70c、70dの外周面の各々には、係止片73が突設されている。カバー120を端子ホルダ50に装着する際に、各係止片73は、後述するカバー120の係止孔125に挿入される。これにより、カバー120は、第2収容部70に係止されて、第2収容部70の上端開口を覆う。
【0057】
取付部80は、第1収容部60、60の前端に設けられて、フード部67の外方に位置する(図1参照)。取付部80の左側上部、左側下部、右側上部、及び右側下部の各々には、取付孔81が、コネクタ1の長手方向に沿って貫通している。
【0058】
[蓄熱部材の構成]
蓄熱部材90、90は、一時的に熱を貯めるのに使用される部材である。蓄熱部材90、90は、例えば、空気と比較して熱容量が大きい材料を内部に含んでいる。
【0059】
蓄熱部材90、90は、円柱状に形成されている。パワー端子10、10及びLA端子20、20を端子ホルダ50に組み付けた状態において、蓄熱部材90、90は、第2収容部70の上端開口から、第2収容空間71に挿入されて、第2収容空間71における空間71a、71bに収容される。この状態において、蓄熱部材90、90の下端部は、第2収容部70の下端開口を介して、第1収容空間61、61に導入される。これにより、蓄熱部材90、90は、パワー端子10、10とLA端子20、20との接続箇所に立設される。この状態において、蓄熱部材90、90の下端は、LA端子20、20の吸熱面21a、21aに当接している(図4及び図5参照)。
【0060】
蓄熱部材90、90には、貫通孔91、91が形成されている。蓄熱部材90、90が、空間71a、71bに収容されて、パワー端子10、10とLA端子20、20との接続箇所に立設された状態において、ボルト100、100が、蓄熱部材90、90の貫通孔91、91に挿入される。ボルト100、100は、蓄熱部材90、90の貫通孔91、91に挿入されると、LA端子20、20の貫通孔23、23を介して、パワー端子10、10の螺合孔15、15に導入される。この状態において、ボルト100、100は、パワー端子10、10の螺合孔15、15に螺合されて、蓄熱部材90、90を、パワー端子10、10とLA端子20、20との接続箇所に締結固定する。このように、パワー端子10、10、LA端子20、20、及び蓄熱部材90、90は、ボルト100、100によって共締めされる。なお、ボルト100、100は、締結部材とも呼称される。
【0061】
[パッキンの構成]
次に、パッキン110の構成を説明する。カバー120を第2収容部70に係止した状態において、パッキン110は、第2収容部70とカバー120との間に挟持されている(図4及び図5参照)。具体的には、パッキン110は、後述するカバー120の内壁部126によって押圧されて、第2収容部70の上端部の内周面に押し付けられている。この構成により、第2収容空間71に外部から水が浸入するのを防ぐことができる。
【0062】
なお、パッキン110は、第2収容部70とカバー120との間に挟持された状態で潰される潰し代を予め想定した厚さを有している。
【0063】
[カバーの構成]
次に、カバー120の構成を説明する。カバー120は、筒状に形成されて、本体部121、外壁部124、内壁部126、及び通気膜130、130を有する(図1図4及び図5参照)。カバー120を第2収容部70に係止した状態において、本体部121は、第2収容部70の上端開口に覆う。
【0064】
本体部121には、本体部121を貫通する通気孔123、123が形成されている。カバー120を第2収容部70に係止した状態において、通気孔123、123は、第2収容空間71における空間71cと連通する。この状態において、通気孔123、123は、第2収容空間71における空間71a、71bの上方に位置する。
【0065】
外壁部124は、本体部121の周縁に沿って、当該周縁から下方に延在する。外壁部124の前部、後部、左部、及び右部の各々には、外壁部124から下方に延在する突部が設けられている。各突部には、係止孔125が貫通している。カバー120の係止孔125に、第2収容部70の係止片73が挿入されると、カバー120は、第2収容部70に係止されて、端子ホルダ50に装着される。
【0066】
内壁部126は、外壁部124に沿って、本体部121の周縁より内側の位置から下方に延在する。カバー120を第2収容部70に係止した状態において、内壁部126は、第2収容部70の上端開口に挿入されて、第2収容空間71の空間71cの一部を取り囲む。
【0067】
通気膜130、130は、通気孔123、123に設けられて、気体が通気孔123、123を通過するのを許容し、かつ、液体が通気孔123、123を通過するのを阻止する。通気膜130、130は、例えば、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂などからなる多孔質フィルムである。本実施形態では、通気膜130、130は、本体部121の上面121aに貼り付けられて、通気孔123、123の開口を覆っている。
【0068】
以上、コネクタ1が備える各部品の構成を説明した。
【0069】
[コネクタの組み付け手順]
次に、コネクタ1の組み付け手順を説明する。最初に、パワー端子10、10が、端子ホルダ50に挿入される。具体的には、パワー端子10、10は、第1収容部60、60の後端開口から、第1収容部60、60の第1収容空間61、61に挿入される。パワー端子10、10の端子部11、11及び基部13、13の小径部13a、13aの前端部が、端子保持部65、65から前方に突出するまで、パワー端子10、10は、第1収容空間61、61に挿入される。この状態で、基部13、13の小径部13a、13aの後端部、拡径部13b、13b、及び大径部13c、13cの前端部は、端子保持部65、65に保持される。これにより、パワー端子10、10は、端子ホルダ50に組み付けられる。
【0070】
パワー端子10、10を端子ホルダ50に組み付けると、電線200、200が電気的に接続されたLA端子20、20が、端子ホルダ50に挿入される。具体的には、LA端子20、20は、第1収容部60、60の後端開口から、第1収容部60、60の第1収容空間61、61に挿入される。LA端子20、20の端子部21、21の当接面21b、21bが、パワー端子10、10の切欠部13d、13dの当接面13d1、13d1に当接し、かつ、端子部21、21の貫通孔23、23が、パワー端子10、10の螺合孔15、15に連通するまで、LA端子20、20は、第1収容空間61、61に挿入される。この状態で、LA端子20、20は、第1収容空間61、61に収容され、かつ、封止部材30、30は、電線200、200と端子ホルダ50との間に挟持される。これにより、LA端子20、20は、端子ホルダ50に組み付けられる。
【0071】
なお、パワー端子10、10及びLA端子20、20を端子ホルダ50に組み付けた状態において、パワー端子10、10とLA端子20、20との接続箇所は、第1収容空間61、61に収容されて、封止部材30、30によって封止される。
【0072】
LA端子20、20を端子ホルダ50に組み付けると、リアホルダ40が、端子ホルダ50に装着される。具体的には、LA端子20、20に電気的に接続された電線200、200が、電線挿入孔45、45に挿入された状態で、リアホルダ40は、第1収容部60、60の後端部60b、60bに装着される。リアホルダ40が後端部60b、60bに装着された状態において、リアホルダ40の筒状部41は、第1収容部60、60の後端部60b、60bを覆い、かつ、リアホルダ40のカバー部43は、第1収容部60、60の後端開口を閉塞する。
【0073】
リアホルダ40を端子ホルダ50に装着すると、蓄熱部材90、90が、端子ホルダ50に収容される。具体的には、蓄熱部材90、90は、第2収容部70の上端開口から、第2収容空間71に挿入されて、第2収容空間71における空間71a、71bに収容される。蓄熱部材90、90が空間71a、71bに収容された状態において、蓄熱部材90、90の下端部は、第1収容空間61、61に導入される。これにより、蓄熱部材90、90は、パワー端子10、10とLA端子20、20との接続箇所に立設される。
【0074】
蓄熱部材90、90が、パワー端子10、10とLA端子20、20との接続箇所に立設されると、ボルト100、100が、蓄熱部材90、90の貫通孔91、91に挿入される。更に、ボルト100、100は、LA端子20、20の貫通孔23、23を介して、パワー端子10、10の螺合孔15、15に導入される。この状態において、ボルト100、100は、パワー端子10、10の螺合孔15、15に螺合されて、蓄熱部材90、90を、パワー端子10、10とLA端子20、20との接続箇所に固定する。これにより、蓄熱部材90、90が、端子ホルダ50に収容される。
【0075】
蓄熱部材90、90を端子ホルダ50に収容すると、カバー120が、パッキン110を介して、端子ホルダ50に装着される。具体的には、第2収容部70の各係止片73が、カバー120の外壁部124の各係止孔125に挿入されて、カバー120が、第2収容部70に係止される。
【0076】
カバー120が端子ホルダ50に装着された状態において、カバー120の外壁部124は、第2収容部70の上端部を覆い、かつ、カバー120の本体部121は、第2収容部70の上端開口を覆う。更に、カバー120の内壁部126は、第2収容部70の上端開口に挿入されて、第2収容部70の上端部の内周面に向けて、パッキン110を押し付ける。
【0077】
なお、カバー120が端子ホルダ50に装着された状態において、第2収容部70の第2収容空間71と連通する本体部121の通気孔123、123の開口は、通気膜130、130で覆われている。
【0078】
[端子の温度上昇の抑制]
次に、コネクタ1における、端子の温度上昇の抑制を説明する。コネクタ1は相手コネクタと嵌合すると、パワー端子10、10が相手端子に電気的に接続される。これにより、車両外部から電力が供給されて、バッテリが充電される。この際、パワー端子10、10の端子部11、11と相手端子の端子部(図示略)との接触箇所で発熱する。当該接触箇所で生じた熱は、パワー端子10、10の端子部11、11及び基部13、13を介して、パワー端子10、10とLA端子20、20との接続箇所に伝導される。
【0079】
パワー端子10、10とLA端子20、20との接続箇所には、蓄熱部材90、90が立設されている。このため、蓄熱部材90、90は、パワー端子10、10とLA端子20、20との接続箇所に伝導された熱を吸収して、一時的に貯める。
【0080】
蓄熱部材90、90に吸収された熱は、蓄熱部材90、90が収容された第2収容部70の第2収容空間71内の自然対流により、第2収容空間71の上方に移動する。第2収容空間71の上方に移動した熱は、カバー120の本体部121に形成された通気孔123、123を介して、第2収容部70の外部に放熱される。
【0081】
このため、蓄熱部材90、90は、パワー端子10、10とLA端子20、20との接続箇所に伝導された熱を、持続的に吸収することができる。したがって、コネクタ1は、パワー端子10、10の温度上昇を効果的に抑えることができる。また、コネクタ1は、パワー端子10、10からLA端子20,20に伝導される熱を抑えることができ、LA端子20、20の温度上昇も効果的に抑えることができる。
【0082】
[作用・効果]
本実施形態によれば、コネクタ1は、パワー端子10、10、LA端子20、20、第1収容部60、60、第2収容部70、蓄熱部材90、90、及びカバー120を備える。パワー端子10、10は、相手端子と電気的に接続される。LA端子20、20は、電線200、200と電気的に接続される。第1収容部60、60は、パワー端子10、10とLA端子20、20との接続箇所を収容する第1収容空間61、61を有する。蓄熱部材90、90は、パワー端子10、10とLA端子20、20との接続箇所に立設される。第2収容部70は、筒状に形成される。第2収容部70は、第1収容空間61、61に連通し、かつ、蓄熱部材90、90を収容する第2収容空間71を有する。カバー120は、第2収容部70の上端開口を覆う。
【0083】
カバー120は、本体部121及び通気膜130、130を有する。本体部121は、カバー120を貫通して、第2収容空間71に連通する通気孔123、123を有する。通気膜130、130は、通気孔123、123に設けられて、気体が通気孔123、123を通過するのを許容し、かつ、液体が通気孔123、123を通過するのを阻止する。
【0084】
上述した構成により、通電時に、パワー端子10、10と相手端子との接触箇所で発生した熱は、パワー端子10、10とLA端子20、20との接続箇所に伝導される。パワー端子10、10とLA端子20、20との接続箇所には、蓄熱部材90、90が立設されている。このため、蓄熱部材90、90は、パワー端子10、10とLA端子20、20との接続箇所に伝導された熱を吸収して、一時的に貯める。
【0085】
蓄熱部材90、90によって吸収された熱は、蓄熱部材90、90が収容された第2収容部70の第2収容空間71内の自然対流により、第2収容空間71の上方に移動する。第2収容空間71の上方に移動した熱は、カバー120の本体部121に形成された通気孔123、123を介して、第2収容部70の外部に放熱される。
【0086】
これにより、蓄熱部材90、90が収容された第2収容空間71内に熱が籠るのを防ぐことができ、短時間で、蓄熱部材90、90の熱容量が飽和状態になるのを回避することができる。このため、蓄熱部材90、90は、パワー端子10、10とLA端子20、20との接続箇所に伝導された熱を、持続的に吸収することができる。したがって、コネクタ1は、通電時における、パワー端子10、10の温度上昇を効果的に抑えることができる。また、コネクタ1は、パワー端子10、10からLA端子20,20に伝導される熱を抑えることができ、通電時における、LA端子20、20の温度上昇も効果的に抑えることができる。
【0087】
上述した構成により、通気膜130、130が、通気孔123、123に設けられている。このため、コネクタ1は、通電時に、第2収容部70の外部に熱を放出しつつ、第2収容部70の内部に液体が侵入するのを防ぐことができる。
【0088】
また、熱膨張による内圧に耐えるために、端子ホルダ50の構成部材を肉厚に形成する必要がなく、かつ、パッキン110の潰し代を大きくする必要がないため、コネクタ1の縮小化、軽量化、及び製造コストの低減を図ることができる。更に、パワー端子10、10及びLA端子20、20の温度上昇を予め想定して設定されていた電線200、200の径も縮小することができる。
【0089】
本実施形態によれば、パワー端子10、10、LA端子20、20、及び蓄熱部材90、90は、ボルト100、100によって共締めされている。
【0090】
上述した構成により、部品数及び作業数の増加を抑えて、第2収容部70の上端開口から、パワー端子10、10とLA端子20、20との接続箇所に、蓄熱部材90、90を簡易に立設することができる。このため、コネクタ1の縮小化、軽量化、及び製造コストの低減を図ることができる。
【0091】
本実施形態によれば、通気膜130、130は、通気孔123、123の開口を覆う。
【0092】
上述した構成により、部品数及び作業数の増加を抑えて、通気膜130、130を通気孔123、123に設けることができる。このため、コネクタ1の縮小化、軽量化、及び製造コストの低減を図ることができる。
【0093】
[第1変形例]
上述した実施形態では、通気膜130、130は、本体部121の上面121aに貼り付けられて、通気孔123、123の開口を覆っていたが、これに限定されない。
【0094】
図6は、本変形例に係るコネクタ1aにおける、カバー120の要部断面図である。図6に示すように、本変形例では、通気膜130、130の各々は、本体部121の下面121bに貼り付けられて、通気孔123の開口を覆う。なお、図6では、1つの通気膜130のみが示されている。
【0095】
上述した構成によっても、部品数及び作業数の増加を抑えて、通気膜130、130を通気孔123、123に設けることができる。このため、コネクタ1の縮小化、軽量化、及び製造コストの低減を図ることができる。
【0096】
[第2変形例]
上述した実施形態及び第1変形例では、通気膜130、130は、本体部121の上面121a又は下面121bに貼り付けられて、通気孔123、123の開口を覆っていたが、これに限定されない。
【0097】
図7は、本変形例に係るコネクタ1bにおける、カバー120の要部断面図である。図7に示すように、本変形例では、本体部121の上面121aには、円形状の収容凹部121c、121cが形成されている。なお、図7では、1つの収容凹部121cのみが示されている。収容凹部121cの深さは、通気膜130の高さに等しく、かつ、収容凹部121cの径は、通気膜130の径に等しい。
【0098】
収容凹部121c、121cの底面に、通気孔123、123の開口が形成されている。通気膜130、130は、収容凹部121c、121cに収容されて、通気孔123、123の開口を覆う。なお、収容凹部121c、121cには、防水加工が施される。
【0099】
上述した構成により、通気膜130、130は、本体部121の上面121aに形成された収容凹部121c、121cに収容された状態で、通気孔123、123の開口を覆う。このため、例えば、コネクタ1の周辺に存在する部品が、本体部121の上面121aに干渉する場合でも、通気膜130、130は、本体部121の上面121aに、剥き出しで貼り付けられていないため、本体部121から剥がれにくい。
【0100】
[第3変形例]
上述した実施形態では、カバー120の本体部121は、1つの部材で形成されていたが、これに限定されない。
【0101】
図8は、本変形例に係るコネクタ1cにおける、カバー220の要部断面図である。図8に示すように、本変形例では、カバー220は、本体部121の代わりに、第1本体部位231及び第2本体部位241を有する。
【0102】
第1本体部位231は、上面231a及び下面231bを有する。下面231bには、円形状の収容凹部231c、231cが形成されている。なお、図8では、1つの収容凹部231cのみが示されている。収容凹部231cの深さは、通気膜130の高さの半分に等しく、かつ、収容凹部231cの径は、通気膜130の径に等しい。下面231bは、第1対向面とも呼称される。
【0103】
第1本体部位231には、第1本体部位231を貫通する第1孔233、233が形成されている。なお、図8では、1つの第1孔233のみが示されている。上面231a及び収容凹部231c、231cの底面に、それぞれ、第1孔233、233の上側開口及び下側開口が形成されている。
【0104】
同様に、第2本体部位241は、上面241a及び下面241bを有する。上面241aには、円形状の収容凹部241c、241cが形成されている。なお、図8では、1つの収容凹部241cのみが示されている。収容凹部241cの深さは、通気膜130の高さの半分に等しく、かつ、収容凹部241cの径は、通気膜130の径に等しい。上面241aは、第2対向面とも呼称される。
【0105】
第2本体部位241には、第2本体部位241を貫通する第2孔243、243が形成されている。なお、図8では、1つの第2孔243のみが示されている。収容凹部241c、241cの底面及び下面241bに、それぞれ、第2孔243、243の上側開口及び下側開口が形成されている。
【0106】
カバー220において、通気膜130、130の各々は、第1本体部位231と第2本体部位241との間に配置されて、第1孔233の下側開口及び第2孔243の上側開口を覆っている。具体的には、第2本体部位241の収容凹部241c、241cに通気膜130、130の下部を収容させた状態で、第1本体部位231の下面231bが、第2本体部位241の上面241aに接合される。この状態において、通気膜130、130の上部は、第1本体部位231の収容凹部231c、231cに収容される。このような構成により、第1孔233、233は、第2孔243、243と連通し、かつ、通気膜130、130の各々は、第1孔233の下側開口及び第2孔243の上側開口を覆う。
【0107】
なお、連通した第1孔233及び第2孔243は、上述した実施形態の各通気孔を形成する。また、第1本体部位231の下面231b及び収容凹部231c、231cと、第2本体部位241の上面241a及び収容凹部241c、241cには、防水加工が施される。
【0108】
本変形例によれば、コネクタ1cの本体部は、第1本体部位231及び第2本体部位241を含み、かつ、コネクタ1cの通気孔は、第1本体部位231を貫通する第1孔233、233と、第2本体部位241を貫通する第2孔243、243とを含む。通気膜130、130は、第1本体部位231と第2本体部位241との間に配置されて、第1孔233、233の開口及び第2孔243、243の開口を覆う。
【0109】
このような構成により、通気膜130、130は、第1本体部位231と第2本体部位241との間に挟み込まれるため、通気膜130、130は、コネクタ1cの本体部から、より剥がれにくい。
【0110】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0111】
1 コネクタ
10 パワー端子
20 LA端子
60 第1収容部
61 第1収容空間
70 第2収容部
71 第2収容空間
90 蓄熱部材
100 ボルト
120 カバー
121 本体部
121a 上面
121c 収容凹部
123 通気孔
130 通気膜
200 電線
231 第1本体部位
233 第1孔
241 第2本体部位
243 第2孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8