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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016452
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】製氷機
(51)【国際特許分類】
   F25C 1/147 20180101AFI20240131BHJP
   F16C 17/04 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
F25C1/147 C
F16C17/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118585
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】影山 利之
【テーマコード(参考)】
3J011
【Fターム(参考)】
3J011BA09
3J011SC01
(57)【要約】
【課題】製造コストの低減化を図ること。
【解決手段】シリンダ12aの内部に自身の中心軸回りに回転可能に配設され、かつ駆動モータ40の駆動力が伝達された場合に、中心軸回りに回転することによりシリンダ12aの内周に形成された薄氷を剥離してシリンダ12aの出口に向けて搬送するオーガ11を備えた製氷機1であって、駆動モータ40とオーガ11との間に介在し、かつ該駆動モータ40の駆動力を該オーガ11に伝達する伝達部材30と、伝達部材30の一部に当接することにより、オーガ11から伝達部材30に作用するオーガ11のアキシャル方向の荷重を受ける軸受部材52とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダの内部に自身の中心軸回りに回転可能に配設され、かつ駆動モータの駆動力が伝達された場合に、中心軸回りに回転することにより前記シリンダの内周に形成された薄氷を剥離して該シリンダの出口に向けて搬送するオーガを備えた製氷機であって、
前記駆動モータと前記オーガとの間に介在し、かつ該駆動モータの駆動力を該オーガに伝達する伝達部材と、
前記伝達部材の一部に当接することにより、前記オーガから該伝達部材に作用する該オーガのアキシャル方向の荷重を受ける軸受部材と
を備えたことを特徴とする製氷機。
【請求項2】
前記伝達部材は、中心軸が前記オーガの中心軸に一致する態様で該オーガに連結されるとともに、前記中心軸より径方向外部に延在するフランジ部を有し、
前記軸受部材は、前記フランジ部を摺接可能な状態で載置させることにより前記オーガのアキシャル方向の荷重を受けることを特徴とする請求項1に記載の製氷機。
【請求項3】
前記軸受部材は、取付台に設置されるものであり、
前記取付台は、結露水を外部に逃がすための溝部が形成されて成ることを特徴とする請求項2に記載の製氷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製氷機の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばカップ等の飲料容器に対し、氷片を供給するオーガ式製氷機が例えば特許文献1に提案されている。そのようなオーガ式製氷機は、製氷部で製造される薄氷をオーガが回転して押し上げることにより、貯氷室に氷片を貯氷するものである。このようにして貯氷室に貯氷される氷片は、アジテータによって撹拌され、必要に応じて開放される払出口より飲料容器に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-001312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記オーガ式製氷機においては、オーガが駆動源である駆動モータに対して回転伝達可能に連結されるとともに、該オーガのアキシャル方向への移動が規制された状態で連結されているので、次のような問題があった。
【0005】
すなわち、駆動モータの駆動力が伝達されることによりオーガが中心軸回りに回転して薄氷を押し上げることになるが、その反力であるオーガのアキシャル方向の荷重が駆動モータに作用するため、駆動モータにはアキシャル方向の荷重以上の耐荷重を有することが必要とされていた。そのため、駆動モータは専用に設計されたものが用いられ、高価なものであった。そのように高価な駆動モータを用いることにより、製造コストの増大化を招来していた。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、製造コストの低減化を図ることができる製氷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る製氷機は、シリンダの内部に自身の中心軸回りに回転可能に配設され、かつ駆動モータの駆動力が伝達された場合に、中心軸回りに回転することにより前記シリンダの内周に形成された薄氷を剥離して該シリンダの出口に向けて搬送するオーガを備えた製氷機であって、前記駆動モータと前記オーガとの間に介在し、かつ該駆動モータの駆動力を該オーガに伝達する伝達部材と、前記伝達部材の一部に当接することにより、前記オーガから該伝達部材に作用する該オーガのアキシャル方向の荷重を受ける軸受部材とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記製氷機において、前記伝達部材は、中心軸が前記オーガの中心軸に一致する態様で該オーガに連結されるとともに、前記中心軸より径方向外部に延在するフランジ部を有し、前記軸受部材は、前記フランジ部を摺接可能な状態で載置させることにより前記オーガのアキシャル方向の荷重を受けることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記製氷機において、前記軸受部材は、取付台に設置されるものであり、前記取付台は、結露水を外部に逃がすための溝部が形成されて成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、軸受部材が、駆動モータとオーガとの間に介在して該駆動モータの駆動力を該オーガに伝達する伝達部材の一部に当接することにより、オーガから該伝達部材に作用する該オーガのアキシャル方向の荷重を受けるので、駆動モータにオーガのアキシャル方向の荷重が作用することを防止することができ、これにより駆動モータとしては、従来のように専用に設計されたものを用いる必要がなく、汎用品を用いることができる。しかも駆動モータとしては、オーガに対して回転駆動力だけを伝達すればいいので、小型化を図ることもできる。従って、小型で汎用されている駆動モータを用いることにより、製造コストの低減化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施の形態である製氷機の主要構成を示す縦断面図である。
図2図2は、図1における要部を拡大して示す拡大縦断面図である。
図3図3は、図2における第1係合部とオーガの下端部との係合状態を示す横断面図である。
図4図4は、図2における第2係合部と駆動モータとの係合状態を示す横断面図である。
図5図5は、図1に示した製氷機1の変形例の主要構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る製氷機の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態である製氷機の主要構成を示す縦断面図である。ここで例示する製氷機1は、オーガ式製氷機と称されるもので、例えばカップ等の飲料容器に氷片を供給するものである。かかる製氷機1は、製氷部10及び貯氷部20を備えて構成してある。
【0014】
製氷部10は、スクリュー状の回転式切削刃からなるオーガ11を内蔵する製氷筒12により構成してある。オーガ11は、伝達部材30を介して駆動モータ40に連結してあり、かかる駆動モータ40の駆動力が伝達された場合に、自身の中心軸回りに回転駆動するものである。製氷筒12には、オーガ11が挿通する金属製のシリンダ12aが設けてあり、かかるシリンダ12aにはエバポレータ13が巻回してある。エバポレータ13は、図示せぬ圧縮機、凝縮器、膨張機構と冷媒配管を介して接続されて冷凍サイクルを構成しており、自身を通過する冷媒が蒸発することによりシリンダ12aを冷却し、該シリンダ12aの内壁面に薄氷を生成させるものである。
【0015】
貯氷部20は、有底円筒状の断熱容器であり内部に貯氷室21を有するものである。この貯氷部20は、製氷部10を構成する製氷筒12の上部に連結してある。より詳細に説明すると、貯氷部20の底部22に形成された開口22aを通じて貯氷室21と、製氷筒12のシリンダ12aの内部とが連通している。つまり、シリンダ12aの出口が貯氷室21に連通している。
【0016】
貯氷室21には、オーガ11の上端に連結した縦軸の回転軸23と、この回転軸23から放射状に複数本突き出たアジテータ24とが設けてある。
【0017】
また貯氷室21には、例えばステンレス等の金属材料からなる簀の子25が設けてある。簀の子25は、下方に向かうに連れて外径が漸次拡大する態様で放射状(傘状)に形成されており、その中心部には、回転軸23が挿通するための挿通孔25aが形成してある。このような簀の子25には、多数の孔部(図示せず)が穿設してある。かかる簀の子25は、貯氷室21に配設されることで貯氷室21を上下に区画し、自身より上方側を撹拌領域とし、自身より下方側を融水貯留領域として仕切っている。
【0018】
尚、図中の符号26は固定刃であり、符号27は検知プレートである。固定刃26は、オーガ11により送られた氷を切り取るためのものである。検知プレート27は、撹拌領域の上部において上下動可能に配設してあり、上下動することで図示せぬ検知スイッチを通じて貯氷量が検知させるものである。
【0019】
上記製氷機1では、駆動モータ40の駆動力が伝達されたオーガ11が回転することにより、製氷筒12のシリンダ12aの内壁面に生成された薄氷を削り取りながら上方に送出し、固定刃26で切り取った氷片を貯氷室21の簀の子25の上に載置させる。つまり貯氷室21の撹拌領域に供給する。かかる撹拌領域においては、オーガ11と連動して回転するアジテータ24が氷片を撹拌して、氷片どうしが融着して大きな氷塊になることを防止している。そして、撹拌領域の氷片は、必要に応じて開放される図示せぬ払出口より所定量が飲料容器内に供給される。
【0020】
ところで、上記伝達部材30は、上下方向が長手方向となる長尺状部材である。この伝達部材30は、その中心軸がオーガ11の中心軸に一致する態様で、製氷部10と駆動モータ40との間に取り付けられた取付台50の取付貫通孔50aを貫通した状態で配設してある。かかる伝達部材30は、図2に示すように、第1係合部31、第2係合部32及びフランジ部33が一体的に成形されて構成してある。
【0021】
第1係合部31は、伝達部材30の上端部分を構成しており、略円筒状の形態を成している。この第1係合部31は、オーガ11の下端部を上端開口311より中空部分312に相対的に挿入させている。かかる第1係合部31は、図3に示すように、中空部分312の内壁面に内方に向けて突出する複数の第1係合歯部313が周方向に沿って所定間隔毎に形成してあり、これら第1係合歯部313が該中空部分312に挿入するオーガ11の下端部に周方向に沿って所定間隔毎に形成された複数のオーガ係合歯部111と噛合することで、オーガ11と係合している。つまり、第1係合部31(伝達部材30)は、オーガ11との間で、該オーガ11のアキシャル方向の変位を許容しつつ回転駆動力が伝達されるように係合している。
【0022】
第2係合部32は、伝達部材30の下端部分を構成しており、略円柱状の形態を成している。この第2係合部32は、駆動モータ40に形成された駆動貫通孔41を上方より挿通している。かかる第2係合部32は、図4に示すように、外周面に径方向外部に向けて突出する複数の第2係合歯部321が周方向に沿って所定間隔毎に形成してあり、これら第2係合歯部321が駆動貫通孔41の内壁面に形成された複数の出力歯部411と噛合することで、駆動モータ40と係合している。つまり、第2係合部32(伝達部材30)は、駆動モータ40との間で、上記オーガ11のアキシャル方向の変位を許容しつつ回転駆動力が伝達されるように係合している。
【0023】
フランジ部33は、第1係合部31と第2係合部32との間に形成してあり、伝達部材30の中間部分を構成している。このフランジ部33は、伝達部材30の中心軸に対して径方向外部に突出する態様で周方向に形成したものである。
【0024】
取付台50は、上述したように製氷部10と駆動モータ40との間に取り付けられており、取付貫通孔50aの中心軸に向けて内方に突出する支持片部51の上面に、上記フランジ部33を載置させる円環状の軸受部材52が配置してある。軸受部材52は、摺動抵抗の小さい樹脂等により形成されたものであり、フランジ部33を載置させるものである。
【0025】
また取付台50には、軸受部材52の外周部分に誘導溝部531が形成してあるとともに、誘導溝部531の一部より取付貫通孔50aの中心軸より径方向外部に向けて延在する排出溝部532が形成してある。
【0026】
以上のような構成を有する製氷機1においては、駆動モータ40とオーガ11との間に介在する伝達部材30は、駆動モータ40及びオーガ11のそれぞれに対し、オーガ11のアキシャル方向の変位を許容しつつ回転駆動力が伝達されるように係合してあり、製氷部10と駆動モータ40との間に取り付けられた取付台50には、伝達部材30のフランジ部33を載置する軸受部材52が配設してあるので、オーガ11のアキシャル方向の荷重については伝達部材30の一部であるフランジ部33を載置する軸受部材52で受けることができ、駆動モータ40にオーガ11のアキシャル方向の荷重が作用することを防止することができる。これにより駆動モータ40としては、従来のように専用に設計されたものを用いる必要がなく、汎用品を用いることができる。しかも駆動モータ40としては、オーガ11に対して回転駆動力だけを伝達すればいいので、小型化を図ることもできる。
【0027】
従って、上記製氷機1によれば、小型で汎用されている駆動モータ40を用いることにより、製造コストの低減化を図ることができる。
【0028】
また上記製氷機1においては、取付台50における軸受部材52の外周部分に誘導溝部531が形成してあるとともに、誘導溝部531の一部より取付貫通孔50aの中心軸より径方向外部に向けて延在する排出溝部532が形成してあるので、製氷部10により生じた結露水を、誘導溝部531及び排出溝部532を通じて外部に逃がすことができ、駆動モータ40に結露水が到達することを防止して駆動モータ40が故障することを抑制することができる。
【0029】
図5は、図1に示した製氷機1の変形例の主要構成を示す縦断面図である。尚、上述した実施の形態である製氷機1と同一の構成を有するものには同一の符号を付して重複した説明を適宜省略する。ここで例示する製氷機2は、製氷部10及び貯氷部20を備えて構成してあり、製氷部10を構成するオーガ11は、伝達部材60を介して駆動モータ70に連結してある。
【0030】
駆動モータ70は、オーガ11を回転駆動させる駆動源であり、駆動する場合に、上方に向けて突出する出力部71をその中心軸回りに回転させるものである。尚、出力部71の中心軸は、オーガ11の中心軸と一致している。
【0031】
伝達部材60は、上下方向が長手方向となる長尺状部材である。この伝達部材60は、その中心軸がオーガ11の中心軸及び出力部71の中心軸に一致する態様で、製氷部10と駆動モータ70との間に取り付けられた取付台50の取付貫通孔50aを貫通した状態で配設してある。かかる伝達部材60は、上端係合部61、下端係合部62及びフランジ部63が一体的に成形されて構成してある。
【0032】
上端係合部61は、伝達部材60の上端部分を構成しており、略円筒状の形態を成している。この上端係合部61は、上記第1係合部31と同様に、オーガ11の下端部を上端開口611より中空部分612に相対的に挿入させており、オーガ11との間で、該オーガ11のアキシャル方向の変位を許容しつつ回転駆動力が伝達されるように係合している。
【0033】
下端係合部62は、伝達部材60の下端部分を構成しており、略円筒状の形態を成している。この下端係合部62は、出力部71の上端部を下端開口621より中空部分622に相対的に挿入させており、出力部71との間で、該オーガ11のアキシャル方向の変位を許容しつつ回転駆動力が伝達されるように係合している。
【0034】
フランジ部63は、下端係合部62より、伝達部材60の中心軸に対して径方向外部に突出する態様で周方向に形成したものである。
【0035】
このような伝達部材60は、製氷部10と駆動モータ70との間に取り付けられた取付台50の取付貫通孔50aを貫通する態様で設けてあり、取付貫通孔50aの中心軸に向けて内方に突出する支持片部51の上面に配置された円環状の軸受部材52の上面にフランジ部63が載置されて配置してある。軸受部材52は、摺動抵抗の小さい樹脂等により形成されている。
【0036】
そのような構成を有する製氷機2においては、駆動モータ70とオーガ11との間に介在する伝達部材60は、駆動モータ70及びオーガ11のそれぞれに対し、オーガ11のアキシャル方向の変位を許容しつつ回転駆動力が伝達されるように係合してあり、製氷部10と駆動モータ70との間に取り付けられた取付台50には、伝達部材60のフランジ部63を載置する軸受部材52が配設してあるので、オーガ11のアキシャル方向の荷重については伝達部材60の一部であるフランジ部63を載置する軸受部材52で受けることができ、駆動モータ70にオーガ11のアキシャル方向の荷重が作用することを防止することができる。これにより駆動モータ70としては、従来のように専用に設計されたものを用いる必要がなく、汎用品を用いることができる。しかも駆動モータ70としては、オーガ11に対して回転駆動力だけを伝達すればいいので、小型化を図ることもできる。
【0037】
従って、上記製氷機2によれば、小型で汎用されている駆動モータ70を用いることにより、製造コストの低減化を図ることができる。
【0038】
以上、本発明の好適な実施の形態及びその変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0039】
上述した実施の形態では、軸受部材52が取付台50に配設してあったが、本発明においては、軸受部材は、伝達部材の一部に当接することにより、オーガから該伝達部材に作用する該オーガのアキシャル方向の荷重を受けることができれば、その配設個所は特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0040】
1…製氷機、10…製氷部、11…オーガ、12…製氷筒、12a…シリンダ、13…エバポレータ、20…貯氷部、21…貯氷室、23…回転軸、24…アジテータ、25…簀の子、30…伝達部材、31…第1係合部、32…第2係合部、33…フランジ部、40…駆動モータ、50…取付台、50a…取付貫通孔、51…支持片部、52…軸受部材、531…誘導溝部、532…排出溝部。
図1
図2
図3
図4
図5