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特開2024-164524制御装置、撮像装置、制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164524
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】制御装置、撮像装置、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/36 20210101AFI20241120BHJP
   H04N 23/69 20230101ALI20241120BHJP
   H04N 23/67 20230101ALI20241120BHJP
   G03B 13/36 20210101ALI20241120BHJP
【FI】
G02B7/36
H04N23/69
H04N23/67
G03B13/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080064
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】神羽 将樹
【テーマコード(参考)】
2H011
2H151
5C122
【Fターム(参考)】
2H011BA33
2H011BB03
2H151BA45
2H151CB22
2H151CB26
2H151CE14
2H151EB13
5C122DA03
5C122EA06
5C122EA65
5C122FA06
5C122FA16
5C122FB03
5C122FB08
5C122FD01
5C122FD11
5C122FE02
5C122GA23
5C122HA13
5C122HA35
5C122HA46
5C122HA82
5C122HA86
5C122HA88
5C122HB01
5C122HB05
5C122HB06
5C122HB09
(57)【要約】
【課題】ズーム時におけるオートフォーカスの安定化を図ること。
【解決手段】制御装置は、ズームレンズを制御して被写体の撮影サイズと目標サイズとの相違を減らすズーム制御手段と、フォーカスレンズを制御して上記被写体に焦点を合わせるフォーカス制御手段と、上記ズームレンズの制御中における上記フォーカスレンズの合焦位置のサーチ範囲を上記相違に基づいて決定するサーチ制御手段と、を備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ズームレンズを制御して被写体の撮影サイズと目標サイズとの相違を減らすズーム制御手段と、
フォーカスレンズを制御して前記被写体に焦点を合わせるフォーカス制御手段と、
前記ズームレンズの制御中における前記フォーカスレンズの合焦位置のサーチ範囲を前記相違に基づいて決定するサーチ制御手段と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記サーチ制御手段は、前記撮影サイズが前記目標サイズよりも大きい場合、前記サーチ範囲を、現在の被写体距離よりもFAR側に決定することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記サーチ制御手段は、前記撮影サイズが前記目標サイズよりも小さい場合、前記サーチ範囲を、現在の被写体距離よりもNEAR側に決定することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記サーチ制御手段は、前記相違が小さい程、前記サーチ範囲を狭く決定することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記サーチ制御手段は、前記サーチ範囲を、被写体距離とズーム位置とをパラメータとして予め記憶されたデータから取得することを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記サーチ制御手段は、前記ズームレンズの移動速度が速い程、前記サーチ範囲を広く決定することを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
【請求項7】
前記ズームレンズの制御開始時に前記被写体に焦点があっている場合、前記フォーカス制御手段は、前記フォーカスレンズをカム軌跡曲線に沿って制御し、合焦位置のサーチを行わないことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の制御装置と、
前記ズームレンズおよび前記フォーカスレンズを含む撮像光学系と、
前記撮像光学系で得られる像を撮影する撮像手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
ズームレンズを制御して被写体の撮影サイズと目標サイズとの相違を減らすズーム制御ステップと、
フォーカスレンズを制御して前記被写体に焦点を合わせるフォーカス制御ステップと、
前記ズームレンズの制御中における前記フォーカスレンズの合焦位置のサーチ範囲を前記相違に基づいて決定するサーチ制御ステップと、
を備えることを特徴とする制御方法。
【請求項10】
情報処理装置を、請求項1から7までのいずれか1項に記載の制御装置として動作させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、撮像装置、制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リモートカメラなどにおいて、講義やスポーツシーンなど動きのあるシーンで、動く被写体を追尾して自動撮影するニーズが高まっている。自動撮影を実現する技術としては、追尾対象の被写体の動きに合わせてパン・チルト操作を自動的に行う事で画角を調整し、追尾対象の被写体を画角内に収める技術が知られている。また、追尾対象の被写体にピントを合わせるオートフォーカスも知られている。
【0003】
例えば特許文献1に開示された撮像装置では、顔の大きさの変化から被写体距離の変化を推測し、推測結果に基づいて合焦レンズ位置の探索方向又は探索範囲を設定する。これにより、被写体距離の変化に対応し、合焦の高速化および安定化が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-31760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動撮影においては、追尾対象の被写体を画角内に収める際に、予め設定したサイズで被写体を捉え続けるオートズームも求められている。更に、リモートカメラにおいても映像製作向けのカメラ同様に映像品位が求められ、オートズーム時のオートフォーカスの安定性も求められている。
【0006】
しかしながら、ズーム中のオートフォーカス制御は複雑であるため、特許文献1に開示されている方法では被写体のピントが外れてしまう虞がある。
本発明が解決しようとする課題は、ズーム時におけるオートフォーカスの安定化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の1つの態様にかかる制御装置は、ズームレンズを制御して被写体の撮影サイズと目標サイズとの相違を減らすズーム制御手段と、フォーカスレンズを制御して上記被写体に焦点を合わせるフォーカス制御手段と、上記ズームレンズの制御中における上記フォーカスレンズの合焦位置のサーチ範囲を上記相違に基づいて決定するサーチ制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ズーム時のオートフォーカスが安定化する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の撮像装置の一実施形態を備える撮像システムの構成を示す構成図。
図2】カメラの機能構成の一例を示すブロック図。
図3】本実施形態のカメラにおけるハードウェア構成の一例を示すブロック図。
図4】カム軌跡曲線の例を示すグラフ。
図5】クライアント装置の構成の一例を示すブロック図。
図6】アプリケーション画面の例を示す図。
図7】ズーム制御中におけるオートフォーカス制御の比較例を示す図。
図8】本実施形態におけるズーム制御中のオートフォーカス制御を示す図。
図9】Focusリミットテーブルのイメージ図。
図10】ズーム制御の処理動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、また、実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。実施形態の構成は、本発明が適用されるシステムおよび装置の仕様および各種条件(使用条件、使用環境等)によって適宜修正又は変更され得る。本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって画定されるのであって、以下の個別の実施形態によって画定されない。
以下の説明において、先に参照した図面に示された構成要素については、後の図面の説明で適宜に参照する。
【0011】
<撮像システムの構成>
図1は、本発明の撮像装置の一実施形態を備える撮像システムの構成を示す構成図である。
図1に示す撮像システム100は、カメラ101、制御端末102、ジョイスティック103、カメラコントローラ104およびネットワーク105を備えている。カメラ101は、本発明の撮像装置の一実施形態に相当する。
【0012】
カメラ101は、ネットワーク105を通じた制御端末102の要求に応じて撮影を行い、撮影した映像データやカメラ101に関する情報を、ネットワーク105を通じて送信する。カメラ101は、あらかじめ接続されている制御端末102に対して能動的にデータを送信してもよい。
【0013】
制御端末102は、ディスプレイなどの表示部と操作部とを有する一般的なクライアント端末であり、具体的には例えばパーソナルコンピュータ(PC)やタブレットなどである。図1には、一例として、モニタと入力装置が一体となったPCが示されているが、制御端末102は、モニタと入力装置とが独立している装置でもよい。
【0014】
ジョイスティック103は、USB(Universal Serial Bus)やBluetooth(登録商標)などを介して、制御端末102と接続されており、カメラ101を遠隔操作するための入力装置として使用される。
ジョイスティック103は、特に、アプリケーション上のGUI(Graphical User Interface)では難しい、滑らかなパン・チルト・ズーム(PTZ)操作などを実現するために用いられる。
【0015】
カメラコントローラ104は、カメラ101を操作するための操作部を有するハードウェアである。カメラコントローラ104は、後述する自動追尾機能のON/OFF切り替えや詳細設定の操作も可能である。図1では、一例としてカメラコントローラ104とカメラ101がネットワーク105を介して接続されるが、カメラコントローラ104とカメラ101はシリアル接続等を用いて接続されてもよい。
【0016】
ネットワーク105は、カメラ101、制御端末102およびコントローラ104を接続する。ネットワーク105は、例えばETHERNET(登録商標)等の通信規格に準拠する複数のルータ、スイッチ、ケーブル等から実現される。なお、ネットワーク105は、インターネットや有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、WAN(Wide Area Network)等により実現されてもよい。
【0017】
<カメラの機能構成>
図2は、カメラ101の機能構成の一例を示すブロック図である。
カメラ101は、システム制御部201、撮像部202、画像処理部203、レンズ駆動部204、ズーム制御部205、フォーカス制御部206、パン駆動部207、チルト駆動部208およびパン・チルト制御部209を備えている。これらの構成部は、カメラ101の撮像および駆動に関する構成部である。更に、カメラ101は、データおよび通信に関わる構成部として、記憶部210、プログラムメモリ211、自動追尾設定データ212、ズーム・フォーカス制御データ213および通信部220を備えている。
【0018】
システム制御部201は、カメラ101全体の制御を行い、他の各構成部に対して処理を指示する。システム制御部201は、制御端末102から送信されてきて通信部220で受信されるカメラ制御コマンドを解析し、カメラ制御コマンドに応じた処理を実行する。カメラ制御コマンドは、映像データや設定値の取得を依頼する要求コマンドと、設定値の設定を依頼する設定コマンドに分類される。
【0019】
より具体的には、カメラ制御コマンドには、主に映像データの要求コマンド、カメラ101のズーム、フォーカス、パン・チルトに関する設定値の要求コマンド、撮像・画像処理に関する設定値の要求コマンド、および、設定値の設定コマンドが含まれる。
システム制御部201は、制御端末102から例えば映像データの要求コマンドを通信部220経由で受信し、画像処理部203で生成された映像データを通信部220経由で配信する。
【0020】
また、システム制御部201は、制御端末102から、例えばカメラ101のズーム、フォーカス、パン・チルトなどの、撮像に関する設定値の要求コマンドを受信する。
設定値の要求コマンドを受信したシステム制御部201は、画像処理部203、ズーム制御部205、フォーカス制御部206、および、パン・チルト制御部209から各設定値を読み取り、通信部220を介して制御端末102へ配信する。
【0021】
本明細書において撮像に関する「設定」とは、PTZ操作やフォーカスなどの制御における制御目標を付与することだけではなく、制御で実際のレンズ位置などを操作することも意味する。このため、撮像に関する「設定値」としては、制御目標の値などだけではなく、制御の結果として得られるズーム、フォーカス、パン・チルト等の現在値も含まれる。更に、撮像に関する「設定値」としては、制御目標として設定可能な値の範囲なども含まれる。
【0022】
システム制御部201は、撮像に関する設定値の設定コマンドを受信した場合、画像処理部203、ズーム制御部205、フォーカス制御部206およびパン・チルト制御部209に対し、設定コマンドが示す設定値に基づいた制御を命令する。
画像処理部203、ズーム制御部205、フォーカス制御部206およびパン・チルト制御部209は、命令に基づいて、撮像部202、レンズ駆動部204、パン駆動部207およびチルト駆動部208を制御する。これにより、制御端末102により設定された設定値がカメラ101に反映される。
【0023】
撮像部202は、レンズおよび撮像素子を含み、被写体の撮像および電気信号への変換を行う。
画像処理部203は、撮像部202における撮像および光電変換で得られた信号に対する、所定の画像処理、解像度変換処理、圧縮符号化処理を行い、映像データを生成する。撮像部202によって生成された映像データは、通信部220によってネットワーク105を介して制御端末102へ配信される。
【0024】
レンズ駆動部204は、フォーカスレンズおよびズームレンズの駆動系と、それら駆動系の駆動源となるモータとを含んでおり、ズーム制御部205およびフォーカス制御部206により制御される。ズーム制御部205およびフォーカス制御部206は、ズーム・フォーカス制御データ213に含まれるカム軌跡曲線のデータに基づいてレンズ位置を制御する。
【0025】
パン駆動部207は、パン動作を行うメカ駆動系および駆動源のモータを含み、パン駆動部207の動作はパン・チルト制御部209により制御される。
チルト駆動部208は、チルト動作を行うメカ駆動系および駆動源のモータを含み、チルト駆動部208の動作もパン・チルト制御部209により制御される。
【0026】
パン・チルト制御部209はシステム制御部201から出力されたパン・チルトの設定値に基づいてパン駆動部207およびチルト駆動部208を制御してパン・チルトを変更する。
カメラ101の制御には、自動撮影に関する制御も存在し、カメラ101は、撮像環境に応じて自動で制御を行うことができる。例えば、カメラ101が自動で被写体に焦点(フォーカス)を合わせるオートフォーカス制御では、撮像部202が撮像した画像のコントラストから画像処理部203が評価値を算出する。そして、システム制御部201を経由して評価値を取得したフォーカス制御部206が評価値に応じてフォーカスレンズを制御して被写体に焦点を合わせる。
【0027】
オートフォーカス以外の自動制御としては、被写体を撮影画角内に捉え続けるためのパン・チルトの自動制御や、被写体を目標の撮影サイズで捉え続けるためのズーム制御が存在する。パン・チルトの自動制御は、システム制御部201の指示に従ってパン・チルト制御部209によって行われる。ズーム制御は、システム制御部201の指示に従ってズーム制御部205によって行われ、ズーム制御部205は、ズームレンズを制御して被写体の撮影サイズと目標サイズとの相違を減らす。
以下の説明では、自動追尾撮影において、パン・チルトの制御とズーム制御とオートフォーカス制御の全てが実行されるものとする。
【0028】
また、露出(即ち、絞り・シャッタースピード・ゲイン・NDフィルタ等)、ホワイトバランス、ノイズリダクション、ガンマの制御等についても画像処理部203によって自動制御可能である。
記憶部210は、メモリやストレージなどといった記憶装置に対して映像データを記憶する。メモリおよびストレージは、内部メモリおよび内部ストレージであってもよいし、外部メモリおよび外部ストレージであってもよい。
【0029】
プログラムメモリ211は、カメラ制御プログラムを格納するメモリであり、システム制御部201は、プログラムメモリ211に記憶されたカメラ制御プログラムに基づき各種制御の命令を実行する。
自動追尾設定データ212は、自動追尾を行うかどうかのON/OFF設定や、追尾被写体をどの程度の大きさで一定に保つかの目標サイズ等、自動追尾に関する詳細設定のデータである。自動追尾設定データ212は、予め決められた固定データでも良いし、通信部220を介して設定される可変データでも良い。
ズーム・フォーカス制御データ213は、カム軌跡曲線など、ズーム制御やオートフォーカス制御に必要なデータである。
【0030】
通信部220は、ネットワーク105を介して映像データを制御端末102に配信する。また、通信部220は制御端末102から送信されるカメラ制御コマンドを受信し、システム制御部201へ出力する。そして、通信部220はシステム制御部201の指示に従い、制御端末102へレスポンスを配信する。
【0031】
図2に示された構成は一例であり、複数の機能ブロックが1つの機能ブロックを構成してもよいし、何れかの機能ブロックが複数の機能を行うブロックに分かれてもよい。また、機能ブロックの少なくとも1つがハードウェアとして実装されてもよい。
ハードウェアにより実装される場合、例えば、所定のコンパイラが用いられることで、各ステップを実現するためのプログラムからFPGA上に自動的に専用回路が生成されてもよい。FPGAとは、Field Programmable Gate Arrayの略である。また、FPGAと同様にしてGate Array回路が形成されて、ハードウェアとして実現されてもよいし、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)により実現されてもよい。
【0032】
<カメラのハードウェア構成>
図3は、本実施形態のカメラ101におけるハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
カメラ101は、CPU(中央演算装置)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13とを備えている。また、カメラ101は、外部メモリ14と、駆動部16と、通信インタフェース(I/F)18とを備え、上述した撮像部202も備えている。
【0033】
カメラ101が備えるこれらの要素はバス19によって互いに接続されている。撮像部202を除いたカメラ101の部分は、例えば組み込みコンピュータであり、当該部分は制御装置の一実施形態に相当する。
CPU11は、コンピュータを制御装置として動作させるプログラムやOSなどを実行する。ROM12は、コンピュータの基本的な機能を実現するプログラム(例えばBIOS等)やカメラ制御プログラムを記憶し、上述したプログラムメモリ211として機能する。RAM13は、CPU11で用いられる設定値などを記憶し、外部メモリ14は、映像データなどを記憶する。なお、カメラ101はメモリに替えて、あるいはメモリに加えてストレージを備えてもよい。
【0034】
上述した自動追尾設定データ212は、例えばRAM13に記憶され、上述したズーム・フォーカス制御データ213は、例えばROM12に記憶される。
駆動部16は、雲台やモータなどを含み、上述したパン駆動部207およびチルト駆動部208として機能する。
【0035】
通信インタフェース18は、上述した通信部220として機能する。なお、カメラ101は音声出力部を備えてもよいし、ボタンなどの入力部やディスプレイなどの表示部を備えてもよい。
【0036】
<カム軌跡曲線について>
ここで、ズームレンズのレンズ位置とフォーカスレンズのレンズ位置との関係を示すカム軌跡曲線について説明する。
【0037】
図4は、カム軌跡曲線の例を示すグラフである。
図4の横軸は、最小(WIDE端)から最大(TELE端)までのズーム倍率に対応したズームレンズのレンズ位置を示し、縦軸は、無限遠から至近までの被写体距離に対応したフォーカスレンズのレンズ位置を示している。図4のグラフ中に示された各カム軌跡曲線は、同一の被写体距離に存在する被写体の像を異なるズーム倍率それぞれで撮像素子に合焦させるためのカム軌跡を示している。
【0038】
従って、異なる被写体距離に存在する被写体については、異なるカム軌跡曲線上のフォーカスレンズ位置で合焦することになる。例えば、図4に示すズームレンズ位置Lの場合、80cmの被写体距離であれば、第1のフォーカスレンズ位置D1で合焦し、3mの被写体距離であれば、第2のフォーカスレンズ位置D2で合焦する。
【0039】
一定距離の被写体について合焦状態が維持されたままズーム制御が行われる際には、図4のカム軌跡曲線に沿ってフォーカスレンズとズームレンズの位置が制御されるため、カム軌跡曲線を表したカム軌跡データが必要となる。カメラ101では、カム軌跡データがテーブル等の形式で上述したズーム・フォーカス制御データ213に含まれ、例えばROM12上のカム軌跡データ保持部に保持される。
【0040】
但し、被写体距離について細かい粒度でカム軌跡データのテーブルがメモリ上に保持されるには、膨大なメモリ容量が必要となってしまう。このため、本実施形態では、基準となるいくつかの被写体距離のカム軌跡データのテーブルのみメモリ上に保持され、基準以外の被写体距離のカム軌跡データに関しては補間処理により算出される。
【0041】
<クライアント装置の構成>
次に、図1に示す制御端末102やコントローラ104を一例とするクライアント装置について説明する。
【0042】
図5は、クライアント装置の構成の一例を示すブロック図である。
クライアント装置は、具体例としては制御端末102やコントローラ104が該当し、ユーザがカメラ制御コマンドでカメラ101を制御するための装置である。クライアント装置102、104は、システム制御部401と、通信部402と、記憶部403と、入力部404と、プログラムメモリ405と、表示部406とを備えている。
【0043】
システム制御部401は、クライアント装置102、104全体の制御を行い、他の構成部に対して処理の指示を行う。システム制御部401は、ユーザによる入力部404からの入力操作やGUI操作に応じて、カメラ制御コマンドを生成し、通信部402を介してカメラ101へ送信する。
カメラ101に対して、カメラ制御コマンドが送信されることで、PTZなどの遠隔操作が可能となる。また、カメラ制御コマンドの送信で、自動追尾機能のON/OFF切り替えや詳細設定の操作も可能となる。システム制御部401は、カメラ101からのレスポンスを通信部402経由で受信してレスポンスを解析し、レスポンスに応じた処理を行う。
【0044】
通信部402は、カメラ制御コマンドの送信や、カメラ101から配信された各種データの受信を行う。
記憶部403は、メモリやストレージなどといった記憶装置に対して、後述する、カメラ情報やトレース情報などを記憶する。
【0045】
入力部404は、ハードウェアに備え付けられた、例えばボタン、キーボード、マウス、ジョイスティックなどのデバイスによるユーザの入力を受ける。
プログラムメモリ405は、端末制御プログラムを格納するメモリであり、システム制御部401は、プログラムメモリ404に記憶された端末制御プログラムに基づき各種動作を実行する。
【0046】
表示部406は、カメラ101の映像を表示したりカメラ101におけるレンズ位置などの現在値を表示したりする。なお、表示部406と入力部404が一体となったタッチパネルが備えられてもよい。
表示部406には、自動追尾撮影に関する追尾設定を行うアプリケーション画面も表示される。
【0047】
図6は、アプリケーション画面の例を示す図である。
アプリケーション画面901は、追尾中にズーム制御をする場合の追尾被写体のサイズおよび位置をユーザが設定する画面である。アプリケーション画面901は、追尾設定を行うWebアプリケーションによって表示部406に表示される。
【0048】
アプリケーション画面901には、カメラ101によって得られた撮像映像902が表示される。
アプリケーション画面901には、追尾機能のON/OFFを設定するための設定ボタン903と、追尾中にズーム制御をするかどうかを指定するための指定ボタン904が備えられている。
【0049】
図6に示す例では、指定ボタン904が、「ズーム制御する」ことを示す「ON」の状態となっている。指定ボタン904が「ON」の状態であるとスライダーバー905が活性化され、追尾被写体の目標サイズがドラッグ操作によって設定可能となる。
スライダーバー905には縮小ボタン906と拡大ボタン907が付属しており、縮小ボタン906がクリックされると目標サイズは小さく変更され、拡大ボタン907がクリックされると目標サイズは大きく変更される。
【0050】
撮像映像902上には、追尾被写体の目標サイズおよび位置を示すアイコン908が表示される。アイコン908の大きさは、スライダーバー905、縮小ボタン906および拡大ボタン907で設定された目標サイズに応じて変わる。また、アイコン908がドラッグ&ドロップされことで追尾対象の位置の設定および変更が可能となる。
【0051】
アプリケーション画面901で追尾設定が変更されると、カメラ101は自動追尾設定データ212のデータを更新する。そして、更新された設定に従って自動追尾撮影が実行される。
【0052】
<ズーム中のオートフォーカス>
次に、ズーム制御中におけるオートフォーカス制御について説明する。
図7は、ズーム制御中におけるオートフォーカス制御の比較例を示す図であり、図8は、本実施形態におけるズーム制御中のオートフォーカス制御を示す図である。
【0053】
図7および図8には、図4で説明したカム軌跡曲線が簡易的に示されており、一例として、60cm、5.0m、∞それぞれの被写体距離に対応したカム軌跡曲線が示されている。図4と同様に、図7および図8の横軸はズームレンズのレンズ位置を示し、縦軸はフォーカスレンズのレンズ位置を示している。以下の説明では、ズームレンズのレンズ位置のことを「ズーム位置」と称し、フォーカスレンズのレンズ位置のことを「フォーカス位置」と称する場合がある。
【0054】
図7の左方に示された画像501は、カメラ101が現在撮影している画角で得られた画像の例であり、例えばズーム位置はWIDE寄りに在り、フォーカス位置は60cmと5.0mの間に在る。被写体はカメラ101から離れる方向に例えば5.0mまで移動中であり、画像501中の被写体は目標サイズよりも小さく映り、ピントも外れだしている。このため、TELE方向へのズーム制御とともにオートフォーカス制御も求められる。
【0055】
比較例においては、ズーム制御中のズーム位置およびフォーカス位置は、ズーム開始時の被写体距離のカム軌跡曲線502に沿いながら変化し、更にオートフォーカス制御によってフォーカス位置が図7の上下方向に移動して合焦位置がサーチ(探索)される。合焦位置のサーチ範囲503は至近のカム軌跡曲線と∞のカム軌跡曲線との間であり、サーチ範囲503に亘ってフォーカスレンズが駆動される。
【0056】
図7の右方に示された3つの画像510、520、530は、ズーム制御後の画角における画像の例である。3つの画像510、520、530のうち中央の画像510はズーム後に合焦できているケースであり、5.0mのカム軌跡上に遷移できている。
これに対し、3つの画像510、520、530のうち上と下の画像520、530は合焦位置のサーチに失敗したケースである。上の画像520の場合、カム軌跡曲線502に沿ったズーム制御の途中でピントが外れ、NEAR側のサーチ端までフォーカス位置が移動してしまっている。下の画像530の場合、フォーカス位置が合焦位置を通り過ぎてFAR側のサーチ端まで移動してしまっている。
【0057】
比較例ではオートフォーカスのサーチ範囲503が広すぎるため、ピントが大きく外れた場合に画像のコントラストが無くなって評価値に差が出ず、合焦位置の方向とは逆方向にフォーカスレンズが駆動されてしまうと考えられる。また、被写体の背景等によっても合焦位置のサーチが難しい場合がある。
【0058】
そこで本実施形態のカメラ101では、図8に示すように、ズーム制御中のオートフォーカスにおいて合焦位置のサーチ範囲603が制限される。
図8にも左方にズーム前の画角における画像501が示され、被写体の動きも図7と同様である。
ズーム制御は、被写体を目標サイズで捉える制御であるため、ズーム制御の開始時には画像501中に写っている被写体のサイズが検出される。そして、検出された被写体サイズと、自動追尾設定データ212で設定された被写体の目標サイズとに基づいて、目標のズーム位置が算出される。ズーム制御では、算出された目標のズーム位置に向かってズームレンズが駆動される。
【0059】
図8の右方には、目標とするズーム位置およびフォーカス位置による画角で得られる画像510が示されている。目標のズーム位置におけるフォーカス位置へは、ズーム制御中のオートフォーカス制御によって合焦位置がサーチされることで到達される。
本実施形態では、合焦位置のサーチ範囲603が、NEAR側リミット601とFAR側リミット602との間に決定される。システム制御部201は、サーチ範囲603を被写体の撮影サイズと目標サイズとの相違に基づいて決定してフォーカス制御部206に指示する。サーチ範囲603を指示されたフォーカス制御部206は、サーチ範囲603内でフォーカスレンズを駆動する。
つまり、本実施形態の場合、ズーム制御中のオートフォーカス制御でフォーカスレンズが駆動される範囲は、図8に示すサーチ範囲603に狭められる。この結果、合焦位置のサーチは、コントラストの評価値で合焦位置の正しい方向が得られる範囲内で実行されることになる。従って、図7に示すようなピント外れが回避されるので、被写体にピントが合った画像510が得られることになる。
【0060】
図8に示す例では、追尾中の被写体サイズが目標サイズよりも小さく、被写体はカメラ101から遠ざかっている。このため、ズームレンズおよびフォーカスレンズがTELE/FAR方向に駆動されると、合焦位置および目標サイズに到達すると期待される。つまり、現在の被写体距離よりもNEAR側について合焦位置のサーチは不要と考えられるため、NEAR側リミット601には現在の被写体距離のカム軌跡曲線が設定されることが好ましい。
【0061】
図8の例では、被写体がカメラ101から遠ざかっているため、NEAR側について合焦位置のサーチが不要となる。これに対し、被写体がカメラ101に近づいていると、FAR側について合焦位置のサーチが不要となる。従ってズーム制御がWIDE方向である場合、現在の被写体距離のカム軌跡曲線がFAR側リミット602となる。以下の説明では、NEAR側リミット601とFAR側リミット602のうち、現在の被写体距離に近い方を「現状側リミット」と称し、遠い方を「変更側リミット」と称する場合がある。
【0062】
上述したように、現状側リミットは、現在の被写体距離のカム軌跡曲線であることが望ましい。そして、現状側リミットがNEAR側であるかFAR側であるかは、ズーム制御の方向に依存する。つまり、ズーム制御がTELE方向である場合、合焦位置のサーチはFAR側に限定されて現状側リミットはNEAR側リミットとなる。また、ズーム制御がWIDE方向である場合、合焦位置のサーチはNEAR側に限定されて現状側リミットはFAR側リミットとなる。
ズーム制御の方向は、被写体の撮影サイズと目標サイズとの相違に基づいてシステム制御部201が決定し、現状側リミットがNEAR側であるかFAR側であるかもシステム制御部201が決定することになる。具体的には、システム制御部201は、撮影サイズが目標サイズよりも大きい場合、サーチ範囲603を、現在の被写体距離よりもFAR側に決定する。また、システム制御部201は、撮影サイズが目標サイズよりも小さい場合、サーチ範囲603を、現在の被写体距離よりもNEAR側に決定する。
【0063】
図8の例ではFAR側リミット602が変更側リミットであり、変更側リミットについても、いずれかの被写体距離のカム軌跡曲線であることが望ましい。
本実施形態では、変更側リミットとなるカム軌跡曲線の被写体距離は、追尾被写体の現在サイズと目標サイズとの相違(差分や比率)と、現在の被写体距離と、現在のズーム位置とに応じて、後述するデータテーブルから取得される。データテーブルは、例えばズーム・フォーカス制御データ213の一部として記憶され、システム制御部201によって参照される。
撮像センサと撮像光学系が決まっていれば、前述した3つの要素から被写体距離がどの程度変化したかは予め算出可能であるので、算出された被写体距離が上記データテーブルとして記憶される。つまりシステム制御部201は、サーチ範囲603を、被写体距離とズーム位置とをパラメータとして予め記憶されたデータテーブルから取得する。データテーブルのことを以下では「Focusリミットテーブル」と称する。
【0064】
図9は、Focusリミットテーブルのイメージ図である。
Focusリミットテーブルは、現在の被写体距離毎に分けて記憶される。図8には、一例として、現在の被写体距離が5mのFocusリミットテーブルと、現在の被写体距離が2mのFocusリミットテーブルが示されている。
【0065】
Focusリミットテーブルの各行は現在のズーム位置を表しており、Focusリミットテーブルの各列は、現在の被写体サイズと目標サイズとの差(サイズ差)を表している。Focusリミットテーブルの各列が表すサイズ差は、現在の被写体サイズと目標サイズとの相違を示す指標の一例である。
【0066】
本実施形態では、現在の被写体サイズと目標サイズとの相違として、差分と比率とが組み合わされた指標が用いられている。即ち、Focusリミットテーブルにおけるサイズ差としては、現在の被写体サイズと目標サイズとの差分を現在の被写体サイズで除した100分率が用いられている。なお、現在の被写体サイズと目標サイズとの相違を示す指標としては、例えば単にサイズ差が用いられてもよいし、例えば現在の被写体サイズと目標サイズとの比が用いられてもよい。
【0067】
Focusリミットテーブルの各列のうちサイズ差「0」の列は、現在の被写体サイズと目標サイズとが等しい場合を示しており、この場合はズーム制御が不要となる。サイズ差「0」の列よりも左方の列ではサイズ差が負であるためWIDE方向へのズーム制御が求められる。また、サイズ差「0」の列よりも右方の列ではサイズ差が正であるためTELE方向へのズーム制御が求められる。
【0068】
Focusリミットテーブルの各セルには、変更側リミットとなるカム軌跡曲線の被写体距離が格納されている。サイズ差「0」の列よりも左方の列では、現在の被写体距離よりもNEAR方向について合焦位置のサーチが行われる。サイズ差「0」の列よりも右方の列では、現在の被写体距離よりもFAR方向について合焦位置のサーチが行われる。
また、各セルに格納された被写体距離の値は、サイズ差が大きい程、現在の被写体距離から離れた値を示し、サイズ差が小さい程、現在の被写体距離に近い値を示す。つまり、Focusリミットテーブルを参照するシステム制御部201は、撮影サイズと目標サイズとの相違が小さい程、サーチ範囲を狭く決定することになる。
【0069】
例えば、現在の被写体距離が5mであり、現在のズーム位置がWIDE端であり、サイズ差が「10%」である場合、ズームレンズおよびフォーカスレンズはTELE/FAR方向に駆動される。そして、変更側リミットとなるカム軌跡曲線は、FAR側に位置する6mのカム軌跡曲線となり、5mのカム軌跡曲線から6mのカム軌跡曲線までがサーチ範囲となる。
【0070】
また、例えば、現在の被写体距離が2mであり、現在のズーム位置がTELE端であり、サイズ差が「―30%」である場合、ズームレンズおよびフォーカスレンズはWIDE/NEAR方向に駆動される。そして、変更側リミットとなるカム軌跡曲線は、NEAR側に位置する0.1mのカム軌跡曲線となり、2mのカム軌跡曲線から0.1mのカム軌跡曲線までがサーチ範囲となる。
【0071】
Focusリミットテーブルに格納された被写体距離は、合焦位置のサーチ範囲のリミットであるため、サイズ差などから算出された合焦位置よりもマージンを持たせておくことが望ましい。図9に示すFocusリミットテーブルには、マージンを持った被写体距離が格納されている。
【0072】
また、被写体距離のマージンは、ズーム制御の速度や、レンズに絞り機構がある場合の絞り値に応じて変更されてもよい。Focusリミットテーブルから求められた被写体距離が、例えばFAR方向の2.4mであっても、ズーム制御の速度が大きい場合にはマージンが追加され、変更側リミットの被写体距離は例えば2.6mなどとされてもよい。
マージンの追加は、具体的にはシステム制御部201によって行われる。つまり、システム制御部201は、ズームレンズの移動速度が速い程、サーチ範囲603を広く決定する。
【0073】
図9に示すFocusリミットテーブルに基づいて合焦位置のサーチ範囲が決定されることにより、比較例のようなピント外れが抑制されて、映像品質の劣化および被写体のロストが防がれる。
【0074】
<ズーム制御の処理動作>
次に、本実施形態におけるズーム制御の処理動作を説明する。
図10は、ズーム制御の処理動作を示すフローチャートである。
【0075】
図10に示す処理動作は、カメラ101が特定の被写体の追尾をしている状態において、一定間隔で繰り返し実行される。
S801では、システム制御部201が、自動追尾設定データ212から追尾被写体の目標サイズを取得し、その後、S802に進む。
【0076】
S802では、画像処理部203が、撮像部202からの映像信号を基に追尾被写体を検知し、検知した被写体のサイズ(以下、検知サイズと言う。)をシステム制御部201が取得し、その後、S803に進む。
S803では、S801で取得された目標サイズとS802で取得された検知サイズから上述したサイズ差がシステム制御部201で算出され、その後、S804に進む。
【0077】
S804では、S803で算出されたサイズ差から、ズーム制御による画角調整が必要か否か、がシステム制御部201で判定される。具体的には、サイズ差の絶対値が閾値を超えていない場合は画角調整の必要が無いと判定され(S804:No)、図10の処理が終了する。
サイズ差の絶対値が閾値を超えている場合は画角調整が必要と判定され(S804:Yes)、S805に進む。
【0078】
S805では、S803で算出されたサイズ差と、現在のズーム位置と、現在の被写体距離とに基づいて、上述したFocusリミットテーブルがシステム制御部201によって参照される。そして、合焦位置のサーチ範囲(フォーカスサーチ範囲)の変更側リミットがシステム制御部201で確定され、その後、S806に進む。
【0079】
S806では、S801で取得された目標サイズと、S802で取得された検知サイズとが比較されてズーム制御方向がシステム制御部20で決定される。検知サイズよりも目標サイズの方が大きい場合(S806:Yes)、被写体がカメラ101から遠ざかる方向に居て被写体を拡大する必要があることが分かる。このため、S807に進み、現状側リミットはNEAR側リミットとなり、フォーカスサーチ範囲がFAR方向に制限される。システム制御部201は、ズーム制御部205とフォーカス制御部206を通じて、レンズ駆動部204に、TELE方向へのズーム制御を指示し、図10の処理が終了する。
【0080】
S806で、検知サイズよりも目標サイズの方が小さい場合(S806:No)、被写体がカメラ101に近づく方向に居て被写体を小さく映す必要があることが分かる。このため、S808に進み、現状側リミットはFAR側リミットとなり、フォーカスサーチ範囲がNEAR方向に制限される。システム制御部201は、ズーム制御部205とフォーカス制御部206を通じて、レンズ駆動部204に、WIDE方向へのズーム制御を指示し、図10の処理が終了する。
【0081】
S807でもS808でも、ズーム制御中は、システム制御部201は、ズーム制御部205とフォーカス制御部206を通じて、レンズ駆動部204に、フォーカスサーチ範囲中でのオートフォーカス制御を指示する。具体的には、TELE方向へのズーム制御中はFAR方向のサーチ範囲でオートフォーカス制御され、WIDE方向へのズーム制御はNEAR方向のサーチ範囲でオートフォーカス制御される。
なお、ズーム制御の開始時に既に被写体が合焦されている場合、オートフォーカス制御は行われず、ズームレンズおよびフォーカスレンズは、現在の被写体距離のカム軌跡曲線に沿って制御される。つまり、ズームレンズの制御開始時に被写体に焦点があっている場合、フフォーカス制御部206は、フォーカスレンズをカム軌跡曲線に沿って制御し、合焦位置のサーチを行わない。
【0082】
図10に示す処理動作により、被写体の検出サイズと予め設定された目標サイズ情報に基づいて、ズーム中のフォーカスサーチ範囲が制限される。この結果、映像品位の劣化や検出失敗による被写体のロストが防がれたズーム機能が実現される。
なお、上記説明では、自動追尾撮影に関する追尾設定がユーザによって変更可能である例が示されているが、追尾設定は固定であってもよい。
また、上記説明では、パン・チルト制御とズーム制御とオートフォーカス制御を行う例が示されているが、本発明の制御装置は、ズーム制御とオートフォーカス制御を行いパン・チルト制御しないものでもよい。
【0083】
(その他の実施形態)
本発明は例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記録媒体(記憶媒体)などとしての実施形態をとることが可能である。具体的には、複数の機器(例えば、ホストコンピュータ、インタフェース機器、Webアプリケーションなど)から構成されるシステムに適用されてもよいし、また、1つの機器からなる装置に適用されてもよい。
【0084】
また本発明は、上述した実施形態の1以上の機能を実現するプログラム(コンピュータプログラム)を、ネットワークまたは記録媒体(記憶媒体)を介して、システムまたは装置に供給することによっても実現可能である。そのシステムまたは装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行する。この場合、記録媒体から読み出されたプログラム(プログラムコード)自体が実施形態の機能を実現することになる。また、当該プログラムを記録した記録媒体は本発明を構成することができる。
【0085】
また、コンピュータが読み出したプログラムを実行することにより、実施形態の機能が実現されるだけでなく、プログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上記した実施形態の機能が実現されてもよい。
【0086】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現されてもよい。
【0087】
本発明を上記記録媒体に適用する場合、その記録媒体には、先に説明したフローチャートに対応するプログラムが格納されることになる。
なお、上記実施形態の開示は、以下の構成および方法を含む。
【0088】
(構成1)
ズームレンズを制御して被写体の撮影サイズと目標サイズとの相違を減らすズーム制御手段と、
フォーカスレンズを制御して前記被写体に焦点を合わせるフォーカス制御手段と、
前記ズームレンズの制御中における前記フォーカスレンズの合焦位置のサーチ範囲を前記相違に基づいて決定するサーチ制御手段と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【0089】
(構成2)
前記サーチ制御手段は、前記撮影サイズが前記目標サイズよりも大きい場合、前記サーチ範囲を、現在の被写体距離よりもFAR側に決定することを特徴とする構成1に記載の制御装置。
【0090】
(構成3)
前記サーチ制御手段は、前記撮影サイズが前記目標サイズよりも小さい場合、前記サーチ範囲を、現在の被写体距離よりもNEAR側に決定することを特徴とする構成1または2に記載の制御装置。
【0091】
(構成4)
前記サーチ制御手段は、前記相違が小さい程、前記サーチ範囲を狭く決定することを特徴とする構成1から3のいずれかに記載の制御装置。
【0092】
(構成5)
前記サーチ制御手段は、前記サーチ範囲を、被写体距離とズーム位置とをパラメータとして予め記憶されたデータから取得することを特徴とする構成4に記載の制御装置。
【0093】
(構成6)
前記サーチ制御手段は、前記ズームレンズの移動速度が速い程、前記サーチ範囲を広く決定することを特徴とする構成4または5に記載の制御装置。
【0094】
(構成7)
前記ズームレンズの制御開始時に前記被写体に焦点があっている場合、前記フォーカス制御手段は、前記フォーカスレンズをカム軌跡曲線に沿って制御し、合焦位置のサーチを行わないことを特徴とする構成1から6のいずれかに記載の制御装置。
【0095】
(構成8)
構成1から7までのいずれかに記載の制御装置と、
前記ズームレンズおよび前記フォーカスレンズを含む撮像光学系と、
前記撮像光学系で得られる像を撮影する撮像手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【0096】
(方法1)
ズームレンズを制御して被写体の撮影サイズと目標サイズとの相違を減らすズーム制御ステップと、
フォーカスレンズを制御して前記被写体に焦点を合わせるフォーカス制御ステップと、
前記ズームレンズの制御中における前記フォーカスレンズの合焦位置のサーチ範囲を前記相違に基づいて決定するサーチ制御ステップと、
を備えることを特徴とする制御方法。
【0097】
(構成9)
情報処理装置を、構成1から7までのいずれかに記載の制御装置として動作させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0098】
100…撮像システム、 101…カメラ、 102…制御端末、 103…ジョイスティック、 104…カメラコントローラ、 105…ネットワーク、 201…システム制御部、 202…撮像部、 203…画像処理部、 204…レンズ駆動部、 205…ズーム制御部、 206…フォーカス制御部、 207…パン駆動部、 208…チルト駆動部、 209…パン・チルト制御部、 210…記憶部、 211…プログラムメモリ、 212…自動追尾設定データ、 213…ズーム・フォーカス制御データ、 220…通信部、 401…システム制御部、 402…通信部、 403…記憶部、 404…入力部、 405…プログラムメモリ、 406…表示部、 502…カム軌跡曲線、 601…NEAR側リミット、 602…FAR側リミット、 603…サーチ範囲、 901…アプリケーション画面、 902…撮像映像、 903…設定ボタン、 904…指定ボタン、 905…スライダーバー、 906…縮小ボタン、 907…拡大ボタン、 908…アイコン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10