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特開2024-164525ブローアウトパネル、及び、当該ブローアウトパネルを備える建屋
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  • 特開-ブローアウトパネル、及び、当該ブローアウトパネルを備える建屋 図1
  • 特開-ブローアウトパネル、及び、当該ブローアウトパネルを備える建屋 図2
  • 特開-ブローアウトパネル、及び、当該ブローアウトパネルを備える建屋 図3
  • 特開-ブローアウトパネル、及び、当該ブローアウトパネルを備える建屋 図4A
  • 特開-ブローアウトパネル、及び、当該ブローアウトパネルを備える建屋 図4B
  • 特開-ブローアウトパネル、及び、当該ブローアウトパネルを備える建屋 図4C
  • 特開-ブローアウトパネル、及び、当該ブローアウトパネルを備える建屋 図5A
  • 特開-ブローアウトパネル、及び、当該ブローアウトパネルを備える建屋 図5B
  • 特開-ブローアウトパネル、及び、当該ブローアウトパネルを備える建屋 図6
  • 特開-ブローアウトパネル、及び、当該ブローアウトパネルを備える建屋 図7A
  • 特開-ブローアウトパネル、及び、当該ブローアウトパネルを備える建屋 図7B
  • 特開-ブローアウトパネル、及び、当該ブローアウトパネルを備える建屋 図7C
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164525
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】ブローアウトパネル、及び、当該ブローアウトパネルを備える建屋
(51)【国際特許分類】
   G21C 9/004 20060101AFI20241120BHJP
   G21C 13/00 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
G21C9/004
G21C13/00 600
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080065
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】西郷 諭
(72)【発明者】
【氏名】松尾 憲弥
【テーマコード(参考)】
2G002
【Fターム(参考)】
2G002EA03
(57)【要約】
【課題】建屋の小型化を実現するブローアウトパネルを提供する。
【解決手段】ブローアウトパネル2は、第1面21aと第2面21bとを有し、第1面から第2面への第1方向と第2面から第1面への第2方向との双方に開放可能な構成になっており、かつ、第1方向に開放する第1圧力と第2方向に開放する第2圧力とが同程度に設定されている。ブローアウトパネルは、板状部材(パネル21)の第1面と第2面とにスリット31a,31bが形成された構成になっている。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と第2面とを有し、
前記第1面から前記第2面への第1方向と前記第2面から前記第1面への第2方向との双方に開放可能な構成になっており、かつ、前記第1方向に開放する第1圧力と前記第2方向に開放する第2圧力とが同程度に設定されている
ことを特徴とするブローアウトパネル。
【請求項2】
請求項1に記載のブローアウトパネルにおいて、
前記ブローアウトパネルは、板状部材の前記第1面と前記第2面とにスリットが形成された構成になっている
ことを特徴とするブローアウトパネル。
【請求項3】
請求項2に記載のブローアウトパネルにおいて、
前記ブローアウトパネルは、当該ブローアウトパネルに求められる機械的な強度が十分に担保されるように、前記スリットの形状及び深さが設定されている
ことを特徴とするブローアウトパネル。
【請求項4】
請求項1に記載のブローアウトパネルにおいて、
前記ブローアウトパネルは、板状の芯材の前記第1面と前記第2面とに、スリットが形成された2つの板状の部材を取り付けた、複合型パネルである
ことを特徴とするブローアウトパネル。
【請求項5】
請求項1に記載のブローアウトパネルにおいて、
前記ブローアウトパネルは、複数の板状の部材をパッキンで固定した構成になっている
ことを特徴とするブローアウトパネル。
【請求項6】
請求項1に記載のブローアウトパネルにおいて、
前記ブローアウトパネルは、原子力発電プラント用の放射線耐性規格を満たす
ことを特徴とするブローアウトパネル。
【請求項7】
双方向に開放可能な双方向開放型のブローアウトパネルが内壁に配置されており、
前記双方向開放型のブローアウトパネルは、
第1面と第2面とを有し、
前記第1面から前記第2面への第1方向と前記第2面から前記第1面への第2方向との双方に開放可能な構成になっており、かつ、前記第1方向に開放する第1圧力と前記第2方向に開放する第2圧力とが同程度に設定されている
ことを特徴とする建屋。
【請求項8】
請求項7に記載の建屋において、
片方向にのみ開放可能な片方向開放型のブローアウトパネルが外壁に配置されておいる
ことを特徴とする建屋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブローアウトパネル、及び、当該ブローアウトパネルを備える建屋に関する。
【背景技術】
【0002】
ブローアウトパネルとは、建屋内で蒸気などの高圧の流体を内包した配管が事故等で破断した場合に、流体の圧力を受けて開放して、流体を部屋の外部や建屋の外部に逃がす機構である。
【0003】
ブローアウトパネルは、事故等で配管が破断した場合に開放することにより、建屋内に設置された重要機器が流体に曝されないようにすることができ、重要機器の機能が阻害されることを防ぐことができる。
【0004】
従来のブローアウトパネルは、ラプチャ式と呼ばれる、金属板にスリットが入っており、圧力がある一方向から作用した際にスリットから金属板が割れて圧力を開放する機構が採用されている(特許文献1参照)。
【0005】
ブローアウトパネルは、例えば、原子力発電プラントの一部の建屋に設けられている。その原子力発電プラントの建屋には、通常時(事故等が発生していない時)に放射性物質が外部に漏洩することを防ぐための気密性能が求められる。そのため、ブローアウトパネルには通常時に気密性能が求められる。また、ブローアウトパネルは、壁や床に比べて、構造物としての強度と放射線の遮蔽機能が小さいため、できるだけ面積を小さくすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63-223592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
原子力発電プラントでは、新規制に適用するために、高圧配管の破断想定箇所が増加しており、これに伴って破断時の高圧の蒸気などの流体を外部に逃がすための流路が増加している。この流路は、容積が大きいほど流体の圧力を下げることができるが、容積を大きくすると建屋を大型化させてしまう。
【0008】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、建屋の小型化を実現するブローアウトパネルを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明は、ブローアウトパネルであって、第1面と第2面とを有し、前記第1面から前記第2面への第1方向と前記第2面から前記第1面への第2方向との双方に開放可能な構成になっており、かつ、前記第1方向に開放する第1圧力と前記第2方向に開放する第2圧力とが同程度に設定されている構成とする。
その他の手段は、後記する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、建屋の小型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係るブローアウトパネルを備える建屋の模式図(1)である。
図2】実施形態に係るブローアウトパネルを備える建屋の模式図(2)である。
図3】実施形態に係るブローアウトパネルの正面図である。
図4A】実施形態に係るブローアウトパネルの説明図(1)である。
図4B】実施形態に係るブローアウトパネルの説明図(2)である。
図4C】実施形態に係るブローアウトパネルの説明図(3)である。
図5A】片方向開放型のブローアウトパネルの説明図(1)である。
図5B】片方向開放型のブローアウトパネルの説明図(2)である。
図6】第1変形例のブローアウトパネルの説明図である。
図7A】第2変形例のブローアウトパネルの説明図(1)である。
図7B】第2変形例のブローアウトパネルの説明図(2)である。
図7C】第2変形例のブローアウトパネルの説明図(3)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)について詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示しているに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0013】
<実施形態に係るブローアウトパネルを備える建屋の構成>
以下、図1及び図2を参照して、本実施形態に係るブローアウトパネル2を備える建屋1の構成について説明する。図1及び図2は、本実施形態に係るブローアウトパネル2を備える建屋1の模式図である。本実施形態では、建屋1が原子力発電プラントの建屋である場合を想定して説明する。
【0014】
図1及び図2に示す例では、建屋1は、配管5が敷設された部屋10と、配管6が敷設された部屋11と、重要機器7が設置された部屋12と、を備えている。建屋1は、通常時は気密性能を有している。建屋1は、任意の個所にブローアウトパネルを備えている。例えば、図1及び図2に示す例では、建屋1は、部屋10と部屋11とを仕切る内壁9にブローアウトパネル2を備え、部屋10の外壁8aにブローアウトパネル3を備え、部屋11の外壁8bにブローアウトパネル4を備えている。なお、ブローアウトパネル2は、部屋10と部屋11とを仕切る内壁9に限らず、建屋1内の任意の個所(例えば、部屋と通路を仕切る内壁)に設けてもよい。
【0015】
ブローアウトパネル2は、本実施形態に係る双方向開放型のパネルであり、双方向に開放可能な構造になっている。ブローアウトパネル3,4は、従来技術に相当する片方向開放型のパネルであり、片方向にのみ開放可能な構造になっている。ブローアウトパネル2の開放圧力は、好ましくは、ブローアウトパネル3,4の開放圧力よりも小さくなっているとよい。ブローアウトパネル2の開放圧力は、後記するスリット31a,31b(図4A参照)の形状や深さによって調整することができる。
【0016】
図1は、部屋10内において配管破断位置5aで配管5が破断して、配管5から蒸気などの高圧の流体が噴出する事故が発生した場合のブローアウトパネル2,3,4の開放状態を示している。図1に示す例では、まず配管5から噴出した蒸気により部屋10内の圧力が上昇し、上昇した部屋10内の圧力を受けてブローアウトパネル2が部屋10から部屋11の方向に開放される(開放方向A11参照)。これにより、部屋10と部屋11とを連通する蒸気流路13が形成される。
【0017】
配管5から噴出した蒸気は、開放されたブローアウトパネル2を通って部屋10から部屋11に流れ込む。このとき、部屋10内の圧力が一時的に低下する。しかしながら、配管5から噴出した蒸気が部屋10と部屋11とに満ちることで、部屋10内の圧力と部屋11内の圧力とは、ほぼ同じになり、一緒に上昇する。その結果、上昇した部屋10内の圧力を受けてブローアウトパネル3が部屋10から建屋1の外方向に開放され、蒸気が外気14に放出される。また、上昇した部屋11内の圧力を受けてブローアウトパネル4が部屋11から建屋1の外方向に開放され、蒸気が外気14に放出される。このとき、配管5から噴出した蒸気は、蒸気流路13を通ることで、重要機器7が設置された部屋12を通ることなく、ブローアウトパネル3,4から建屋1の外部に放出される。つまり、いずれのブローアウトパネル2,3,4も部屋12を構成する構造物上に設置されていないため、部屋12には蒸気が流入しない。そのため、建屋1は、建屋1内に設置された重要機器7が蒸気に曝されないようにすることができ、蒸気により重要機器7の機能が阻害されることを防ぐことができる。
【0018】
一方、図2は、部屋11内において配管破断位置6aで配管6が破断して、配管6から蒸気などの高圧の流体が噴出する事故が発生した場合のブローアウトパネル2,3,4の開放状態を示している。図2に示す例では、まず配管6から噴出した蒸気により部屋11内の圧力が上昇し、上昇した部屋11内の圧力を受けてブローアウトパネル2が部屋11から部屋10の方向に開放される(開放方向A12参照)。これにより、部屋10と部屋11とを連通する蒸気流路13が形成される。
【0019】
配管6から噴出した蒸気は、開放されたブローアウトパネル2を通って部屋11から部屋10に流れ込む。このとき、部屋11内の圧力が一時的に低下する。しかしながら、配管6から噴出した蒸気が部屋11と部屋10とに満ちることで、部屋10内の圧力と部屋11内の圧力とは、ほぼ同じになり、一緒に上昇する。その結果、上昇した部屋10内の圧力を受けてブローアウトパネル3が部屋10から建屋1の外方向に開放され、蒸気が外気14に放出される。また、上昇した部屋11内の圧力を受けてブローアウトパネル4が部屋11から建屋1の外方向に開放され、蒸気が外気14に放出される。このとき、配管6から噴出した蒸気は、蒸気流路13を通ることで、重要機器7が設置された部屋12を通ることなく、ブローアウトパネル3,4から建屋1の外部に放出される。つまり、いずれのブローアウトパネル2,3,4も部屋12を構成する構造物上に設置されていないため、部屋12には蒸気が流入しない。そのため、建屋1は、建屋1内に設置された重要機器7が蒸気に曝されないようにすることができ、蒸気により重要機器7の機能が阻害されることを防ぐことができる。
【0020】
<実施形態に係るブローアウトパネルの構成>
以下、図3、並びに、図4Aから図4Cを参照して、本実施形態に係るブローアウトパネル2の構成について説明する。図3は、ブローアウトパネル2の正面図である。図4Aから図4Cは、ブローアウトパネル2の説明図である。
【0021】
図3に示す例では、ブローアウトパネル2は、板状部材であるパネル21と、パネル21を支持するホルダー22と、ホルダー22を建屋1の建屋構造体20(図4A)に固定するボルト23と、を有する構成になっている。図3に示す例では、ブローアウトパネル2は、正面視で矩形状を呈しているが、ブローアウトパネル2の形状は矩形に限らない。建屋1は、通常時に、ブローアウトパネル2とブローアウトパネル2を支持する建屋構造体20(図4A)とで任意の隣接する複数(図1及び図2に示す例では2つ)の部屋を仕切っており、各部屋の気密性を保っている。
【0022】
図4Aに示すように、ブローアウトパネル2は、側面視で、板状部材(パネル21)の第1面21aと第2面21bとにスリット31a,31bが形成された構成になっている。スリット31a,31bはパネル21の第1面21aと第2面21bの両面に設けられているので、以下の説明ではスリット31a,31bを総称して「両面スリット31」と称する場合がある。図3に示すように、本実施形態では、両面スリット31が矩形状のパネル21の対角同士を結ぶ2本の対角線に沿って配置されているものとして説明する。ただし、両面スリット31は、図3に示す例に限らず、本数を増やしたり、任意の場所に配置したりすることができる。
【0023】
図4B及び図4Cに示すように、ブローアウトパネル2は、第1面21aから第2面21bへの第1方向(図4Bの開放方向A11参照)と第2面21bから第1面21aへの第2方向(図4Cの開放方向A12参照)との双方に開放可能な構成になっている。ブローアウトパネル2は、開放圧力を超える蒸気の圧力が第1面21aにかかると、両面スリット31が割れて、第1方向(図4Bの開放方向A11参照)に開放される。また、ブローアウトパネル2は、開放圧力を超える蒸気の圧力が第2面21bにかかると、両面スリット31が割れて、第2方向(図4Cの開放方向A12参照)に開放される。
【0024】
また、ブローアウトパネル2は、第1方向(図4Bの開放方向A11参照)に開放する第1圧力と第2方向(図4Cの開放方向A12参照)に開放する第2圧力とが同程度に設定されている。ここでは、「第1圧力と第2圧力とが同程度に設定されている」とは、例えば、第1圧力と第2圧力との圧力差の絶対値が第1圧力の20%以下の値に設定されている状態であるものとして説明する。
ちなみに、第1圧力をP1として第2圧力をP2とすれば、第1圧力と第2圧力との圧力差の絶対値が第1圧力の20%以下とは、ABS(P1-P2)/P1≦0.2である。なお、別表現をすると、P1とP2の比が0.8~1.2の間である(即ち0.8≦P1/P2≦1.2)。この20%という数値は、これに限定されるものではない。
【0025】
建屋1は、ブローアウトパネル2の開放圧力である第1圧力と第2圧力とが同程度に設定されているため、ブローアウトパネル2を任意の個所に設置するだけで、蒸気などの高圧の流体が噴出する事故が発生した場合に、任意の個所に蒸気流路13を設けることができ、圧力を建屋1外へ良好に逃すことができる。
【0026】
なお、本実施形態に係るブローアウトパネル2は、好ましくは、原子力発電プラント用の放射線耐性規格を満たすもの(特に、構造物としての強度と放射線の遮蔽機能を有するもの)であるとよい。また、本実施形態に係るブローアウトパネル2は、パネル21の第1面21aと第2面21bとに両面スリット31が設けられている両方向開放型のパネルである。両面にスリット構造が設けられていると強度が低下する可能性があるが、本実施形態に係るブローアウトパネル2は、スリット31a,31b(図4A参照)の形状及び深さを設定することによって開放圧力が調整されており、ブローアウトパネルに求められる機械的な強度が十分に担保されている。換言すると、本実施形態に係るブローアウトパネル2は、当該ブローアウトパネルに求められる機械的な強度が十分に担保されるように、両面スリット31の形状及び深さが設定(設計)されている。
【0027】
このような本実施形態に係るブローアウトパネル2に対して、ブローアウトパネル3,4は、図5A及び図5Bに示すような構造になっている。図5A及び図5Bは、片方向開放型のブローアウトパネル102の説明図である。片方向開放型のブローアウトパネル102は、片方向開放型のパネルであり、片方向にのみ開放可能な構造になっている。
【0028】
図5Aに示すように、片方向開放型のブローアウトパネル102は、側面視で、板状部材(パネル121)の第1面121aにスリット131が形成されておらず、第2面121bにのみスリット131が形成された構成になっている。
【0029】
図5Bに示すように、片方向開放型のブローアウトパネル102は、第1面121aから第2面121bへの第1方向(開放方向A11参照)のみに開放可能な構成になっている。つまり、片方向開放型のブローアウトパネル102は、開放圧力を超える蒸気の圧力が第1面121aにかかると、スリット131が割れて、第1方向(開放方向A11参照)に開放される。
【0030】
片方向開放型のブローアウトパネル102に対して、本実施形態に係るブローアウトパネル2は、事故発生時に第1方向(図4Bの開放方向A11参照)と第2方向(図4Cの開放方向A12参照)との双方に開放することができる。そのため、建屋1は、本実施形態に係る双方向開放型のブローアウトパネル2を建屋1内の任意の個所(内壁)に設けることで、隣接する部屋同士で蒸気流路を統合すること(共通化すること)ができる。これにより、建屋1は、流路の容積を小さくすることができる。建屋1は、このようなブローアウトパネル2を用いることで、建屋1の小型化(大型化の抑制)を実現することができる。また、建屋1は、建屋1内に設置された重要機器7が設置された部屋12に蒸気を流れ込ませないための蒸気流路13が形成されるように、ブローアウトパネル2を任意の個所に設けることで、重要機器7が蒸気に曝されないようにすることができ、蒸気により重要機器7の機能が阻害されることを防ぐことができる。
【0031】
また、建屋1は、ブローアウトパネル2を双方向に開放することで、部屋10と部屋11とを蒸気流路13の一部として利用することができるため、流路を追加することやブローアウトパネル3,4を大きくすることなく、蒸気を外気14に放出することができる。
【0032】
また、建屋1は、片方向開放型のブローアウトパネル102を建屋1の外壁に設けることで、建屋1内の蒸気を効率よく外気14に放出することができる。
【0033】
<変形例>
本実施形態に係るブローアウトパネル2は、様々な変更を行うことができる。以下、図6、並びに、図7Aから図7Cを参照して、変形例のブローアウトパネルについて説明する。図6は、第1変形例のブローアウトパネル2Aの説明図である。図7Aから図7Cは、第2変形例のブローアウトパネル2Bの説明図である。
【0034】
図6に示す例では、第1変形例のブローアウトパネル2Aは、板状の芯材42と、両面スリット51が形成された2つの板状の第1部材43aと第2部材43bと、を有する複合型パネル41として構成されている。具体的には、第1変形例のブローアウトパネル2Aは、芯材42の第1面41aにスリット51aが形成された第1部材43aを取り付けるとともに、芯材42の第2面41bにスリット51bが形成された第2部材43bを取り付けた構成になっている。
【0035】
前記したブローアウトパネル2(図4A参照)は、パネル21の第1面21aにスリット31aを形成した後、パネル21を反転させて、第2面21bのスリット31aに対向する位置にスリット31bを形成する構成になっている。そのため、ブローアウトパネル2(図4A参照)は、製造に手間を要する。これに対して、第1変形例のブローアウトパネル2Aは、第1部材43aにスリット51aを形成するとともに、第2部材43bにスリット51bを形成し、スリット51aとスリット51bが対向するように、第1部材43aと第2部材43bを芯材42に取り付ける構成になっている。そのため、第1変形例のブローアウトパネル2Aは、前記したブローアウトパネル2(図4A参照)よりも簡単に製造することができる。
【0036】
また、図7Aから図7Cに示す例では、第2変形例のブローアウトパネル2Bは、複数の板状の部材(第1部材62aと第2部材62b)と、パッキン63と、を有するパネル61として構成されている。具体的には、第2変形例のブローアウトパネル2Bは、板状の第1部材62aの第1面61aにパッキン63が配置され、第1部材62aと第2部材62bがパッキン63で固定されている。図7B及び図7Cに示すように、第2変形例のブローアウトパネル2Bは、第1面61aから第2面61bへの第1方向(図7Bの開放方向A11参照)と第2面61bから第1面61aへの第2方向(図7Cの開放方向A12参照)との双方に開放可能な構成になっている。
【0037】
建屋1は、通常時に、第2変形例のブローアウトパネル2Bとブローアウトパネル2Bを支持する建屋構造体20とで任意の隣接する複数の部屋を仕切っている。ブローアウトパネル2Bは、パッキン63が第1部材62aと第2部材62bの復元力を受け続けることで圧縮されて、第1部材62aと第2部材62bとを対向させた状態で固定する。これにより、建屋1は、各部屋の気密性を保っている。ブローアウトパネル2Bは、開放圧力を超える蒸気の圧力が第1面61aにかかると、パッキン63が変形してしまい、第1部材62aと第2部材62bとを固定しきれなくなる。その結果、第1部材62aと第2部材62bの固定が解かれてしまい、ブローアウトパネル2Bは、第1方向(開放方向A11参照)に開放される。これにより、蒸気が第1方向の部屋(又は通路)に流れ込む。また、ブローアウトパネル2Bは、開放圧力を超える蒸気の圧力が第2面61bにかかると、パッキン63が変形してしまい、第1部材62aと第2部材62bとを固定しきれなくなる。その結果、第1部材62aと第2部材62bの固定が解かれてしまい、ブローアウトパネル2Bは、第2方向(開放方向A12参照)に開放される。これにより、蒸気が第2方向の部屋(又は通路)に流れ込む。
【0038】
以上の通り、本実施形態に係るブローアウトパネル2によれば、建屋1の小型化を実現することができる。
【0039】
本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成を加えることも可能である。また、各構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 建屋
2,2A,2B ブローアウトパネル(双方向開放型のパネル)
3,4,102 ブローアウトパネル(片方向開放型のパネル)
5,6 配管
5a,6a 配管破断位置
7 重要機器
8a,8b 外壁
9 内壁
10,11,12 部屋
13 蒸気流路(流路)
14 外気
20 建屋構造体
21,61,121 パネル(板状部材)
21a,61a,121a 第1面
21b,61b,121b 第2面
22 ホルダー
23 ボルト
31,51 両面スリット
31a,31b,51a,51b,131 スリット
41 複合型パネル
42 芯材
43a,62a 第1部材
43b,62b 第2部材
63 パッキン
A11,A12 開放方向
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C