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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164529
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】払拭装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/08 20060101AFI20241120BHJP
   B60S 1/28 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
B60S1/08 A
B60S1/28 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080077
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】天笠 俊之
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AA01
3D225AC01
3D225AD02
3D225AD09
3D225AE57
3D225AE79
3D225AG02
3D225AG07
3D225AG78
(57)【要約】
【課題】ウォッシャモータの駆動機能を具備しない場合であっても一対の駆動ユニットにおける外部接続用端子の端子数と同一にすることが可能な払拭装置を提供する。
【解決手段】一対のワイパブレードを個別に駆動する一対の駆動ユニットを備える払拭装置であって、一方の駆動ユニットに上位制御系とのバックアップ通信線及び他方の駆動ユニットとの専用通信線の一端が接続され、他方の駆動ユニットに上位制御系との通常通信線及び専用通信線の他端が接続される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のワイパブレードを個別に駆動する一対の駆動ユニットを備える払拭装置であって、
一方の前記駆動ユニットに上位制御系とのバックアップ通信線及び他方の前記駆動ユニットとの専用通信線の一端が接続され、
他方の前記駆動ユニットに前記上位制御系との通常通信線及び前記専用通信線の他端が接続されることを特徴とする払拭装置。
【請求項2】
一方の前記駆動ユニットは、一対の前記ワイパブレードのうち、車両の運転席側に設けられた前記ワイパブレードを駆動し、
他方の前記駆動ユニットは、車両の助手席側に設けられた前記ワイパブレードを駆動することを特徴とする請求項1記載の払拭装置。
【請求項3】
一対の前記駆動ユニットは、一対の前記ワイパブレードをシンメトリカル式で駆動することを特徴とする請求項1又は2に記載の払拭装置。
【請求項4】
一対の前記駆動ユニットは、一対の前記ワイパブレードをタンデム式で駆動することを特徴とする請求項1又は2に記載の払拭装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、払拭装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、各種の車両にはフロントガラスやリヤガラスの表面(被払拭面)上の雨水を払拭する払拭装置が搭載されている。下記特許文献1には、払拭装置の一例として、運転席側のワイパブレードに対応する第1ワイパモータユニットと、助手席側のワイパブレードに対応する第2ワイパモータユニットとを備えたワイパシステムが開示されている。
【0003】
このワイパシステムは、第1ワイパモータユニットは、車両に搭載された制御装置及び第2ワイパモータユニットと通信する通信部を備え、第2ワイパモータユニットは、第1ワイパモータユニットと通信を行う通信部及び制御部に加え、ワイパモータとは別に設けられたウォッシャモータを駆動するウォッシャモータ制御部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-66236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したワイパシステムは、第2ワイパモータユニットにウォッシャモータの駆動機能を追加することにより、第1ワイパモータユニットの外部接続用端子の端子数と第2ワイパモータユニットの外部接続用端子の端子数とを同数としている。すなわち、上述したワイパシステムでは、同一仕様のコネクタを外部接続用部品として使用することを可能とすることにより、外部接続用部品の管理の容易化が図られている。
【0006】
しかしながら、例えばウォッシャモータの駆動機能が不要な場合には、第2ワイパモータユニットの外部接続用端子の端子数が減少するので、第2ワイパモータユニットの第1ワイパモータユニットの外部接続用端子の端子数を第1ワイパモータユニットの外部接続用端子の端子数と同一にすることができない。よって、この場合には、2仕様の外部接続用部品が必要になるので、外部接続用部品の管理の容易化を図すことができない。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、ウォッシャモータの駆動機能を具備しない場合であっても一対の駆動ユニットにおける外部接続用端子の端子数と同一にすることが可能な払拭装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、払拭装置に係る第1の解決手段として、一対のワイパブレードを個別に駆動する一対の駆動ユニットを備える払拭装置であって、一方の前記駆動ユニットに上位制御系とのバックアップ通信線及び他方の前記駆動ユニットとの専用通信線の一端が接続され、他方の前記駆動ユニットに前記上位制御系との通常通信線及び前記専用通信線の他端が接続される、という手段を採用する。
【0009】
本発明では、払拭装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、一方の前記駆動ユニットは、一対の前記ワイパブレードのうち、車両の運転席側に設けられた前記ワイパブレードを駆動し、他方の前記駆動ユニットは、車両の助手席側に設けられた前記ワイパブレードを駆動する、という手段を採用する。
【0010】
本発明では、払拭装置に係る第3の解決手段として、上記第1又は第2の解決手段において、一対の前記駆動ユニットは、一対の前記ワイパブレードをシンメトリカル式で駆動する、という手段を採用する。
【0011】
本発明では、払拭装置に係る第4の解決手段として、上記第1又は第2の解決手段において、一対の前記駆動ユニットは、一対の前記ワイパブレードをタンデム式で駆動する、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ウォッシャモータの駆動機能を具備しない場合であっても2つの駆動ユニットにおける外部接続用端子の端子数と同一にすることが可能な払拭装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る払拭装置Aのワイパブレードを示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係る払拭装置Aの電気的な接続関係を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態における第1ワイパモータユニット(運転席側)の動作を示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態における第2ワイパモータユニット(助手席側)の動作を示すフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態に係る払拭装置Aの制御動作を示す一覧表である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1図5を参照して本発明の一実施形態について説明する。本実施形態に係る払拭装置Aは、ガソリン自動車、ハイブリッド自動車又は電気自動車等、各種の車両に搭載され、フロントガラスやリヤガラス等の被払拭部材の表面(被払拭面)に付着する雨水を払拭する装置である。
【0015】
この払拭装置Aは、ウォッシャモータの駆動機能を具備しない仕様のものであり、図1に示すように一対のワイパブレード1a、1bをシンメトリカル式(対向式)で駆動する。一対のワイパブレード1a、1bは、図示するようにフロントガラスW上に載置された棒状部材である。一対のワイパブレード1a、1bは、フロントガラスWの表面(被払拭面)に当接しており、被払拭面上を往復運動(揺動運動)することにより被払拭面上に存在する雨水を払拭する。
【0016】
図1において、符号Raは運転席側のワイパブレード1aの払拭範囲であり、符号Rbは助手席側のワイパブレード1bの払拭範囲である。運転席側の払拭範囲Raは、ワイパブレード1aの下反転位置から上反転位置に亘るとともに、運転席側のワイパ軸2aを支点とするワイパブレード1aの移動範囲である。これに対して、助手席側の払拭範囲Rbは、ワイパブレード1bの下反転位置から上反転位置に亘るとともに、助手席側のワイパ軸2bを支点とするワイパブレード1bの移動範囲である。
【0017】
一対のワイパブレード1a、1bは、払拭範囲Ra、Rbにおける往復運動において、下反転位置及び上反転位置において一旦停止する。具体的には、一対のワイパブレード1a、1bは、下反転位置から上反転位置に向かって移動すると、上反転位置において一旦停止し、この停止後に上反転位置から下反転位置に向かって移動する。
【0018】
また、一対のワイパブレード1a、1bは、下反転位置において一旦停止し、この停止後に下反転位置から上反転位置に向かって移動する。すなわち、一対のワイパブレード1a、1bは、下反転位置及び上反転位置における一時停止を行いつつ往復運動を繰り返す。
【0019】
このような払拭装置Aは、図1に示すように、一対のワイパブレード1a、1bを個別に駆動する一対の駆動ユニット、つまり第1ワイパモータユニットDS(運転席側)及び第2ワイパモータユニットPS(助手席側)を備えている。
【0020】
第1ワイパモータユニットDS及び第2ワイパモータユニットPSは、一対のワイパブレード1a、1bを向かい合って逆方向に往復運動するように駆動する。すなわち、第1実施形態に係る払拭装置Aは、一対のワイパブレード1a、1bをシンメトリカル方式(対向式)で駆動する。
【0021】
第1ワイパモータユニットDS(一方の駆動ユニット)は、車両の運転席側に設けられた一方のワイパブレード1aを駆動する駆動装置であり、第2ワイパモータユニットPS(他方の駆動ユニット)は、車両の助手席側に設けられた他方のワイパブレード1bを駆動する駆動装置である。
【0022】
払拭装置Aにおける第1ワイパモータユニットDS及び第2ワイパモータユニットPSは、図2に示す結線構造を備える。第1ワイパモータユニットDSは、図示するように外部接続用端子として、第1通信端子B/U、第2通信端子CLN、電源端子UBAT及び接地端子GNDを備えている。この図2に示すように、本実施形態に係る払拭装置Aはウォッシャモータの駆動機能を具備しない。
【0023】
第1ワイパモータユニットDSにおいて、第1通信端子B/Uにはバックアップ通信線3の一端が接続されている。このバックアップ通信線3は、B/U信号を車両の上位制御系であるBCM4(Body Control Module)との間で送受信するために設けられ、後述する通常通信線6によるBCM4との通信異常を補助(バックアップ)する通信線である。
【0024】
また、第1ワイパモータユニットDSにおいて、第2通信端子CLNには専用通信線5の一端が接続されている。この専用通信線5は、第2ワイパモータユニットPS(他方の駆動ユニット)との間に設けられ、第2ワイパモータユニットPSとの間でCLN信号を送受信することにより制御情報の共有を行う通信線である。
【0025】
また、この第1ワイパモータユニットDSにおいて、電源端子UBATには電源線7が接続されている。この電源線7は、図示するようにフューズFを介してバッテリBのプラス端子に接続されている。また、第1ワイパモータユニットDSの接地端子GNDは、図示するように接地されている。すなわち、第1ワイパモータユニットDSは、バッテリBから電源線7及びフューズFを介して給電される所定電圧(バッテリ電圧)の直流電力に基づいて作動する。
【0026】
第2ワイパモータユニットPSは、外部接続用端子として、第1通信端子LIN、第2通信端子CLN、電源端子UBAT及び接地端子GNDを備えている。第2ワイパモータユニットPSにおいて、第1通信端子LINには通常通信線6の一端が接続されている。この通常通信線6は、BCM4との間でLIN信号を送受信するために設けられ、払拭装置AにおけるBCM4との主通信線である。また、第2ワイパモータユニットPSにおいて、第2通信端子CLNには上記専用通信線5の他端が接続されている。
【0027】
すなわち、本実施形態に係る払拭装置Aでは、BCM4との間における制御情報の送受信を第2ワイパモータユニットPSで行う。また、第2ワイパモータユニットPSがBCM4から受信した制御情報は、専用通信線5を介して第1ワイパモータユニットDSと共有される。
【0028】
また、この第2ワイパモータユニットPSにおいて、電源端子UBATには電源線7が接続されている。また、第1ワイパモータユニットDSの接地端子GNDは、図示するように接地されている。すなわち、第2ワイパモータユニットPSは、第1ワイパモータユニットDSと同様にバッテリBから電源線7及びフューズFを介して給電される所定電圧(バッテリ電圧)の直流電力に基づいて作動する。
【0029】
ここで、図2に示すように、第1ワイパモータユニットDSにおける外部接続用端子の端子数は、第2ワイパモータユニットPSにおける外部接続用端子の端子数と同数でる。すなわち、払拭装置Aでは、本来であれば第1ワイパモータユニットDSに接続されるべきバックアップ通信線3及び通常通信線6のうち、通常通信線6を第2ワイパモータユニットPSに接続する。
【0030】
本実施形態に係る払拭装置Aでは、ウォッシャモータの駆動機能を具備しない場合において、通常通信線6を第1ワイパモータユニットDSではなく第2ワイパモータユニットPSに接続することによって、第1ワイパモータユニットDS及び第2ワイパモータユニットPSにおける外部接続用端子の端子数を同一としている。
【0031】
また、本実施形態における第1ワイパモータユニットDS及び第2ワイパモータユニットPSは、一対のワイパ軸2a、2bを個別に回転操作する一対のモータと、当該一対のモータを電気的に駆動する一対の駆動制御回路と、駆動制御回路とBCM4等との通信を仲介する一対の通信回路等を備える。
【0032】
すなわち、第1ワイパモータユニットDSは、運転席側のワイパ軸2aを回転操作するDSモータと、当該DSモータを電気的に駆動する運転席側の駆動制御回路と、運転席側の駆動制御回路とBCM4等との通信を仲介する運転席側の通信回路等を備える。第2ワイパモータユニットPSは、助手席側のワイパ軸2bを回転操作するPSモータと、当該PSモータを電気的に駆動する助手席側の駆動制御回路と、助手席側の駆動制御回路とBCM4等との通信を仲介する助手席側の通信回路等を備える。
【0033】
このような第1ワイパモータユニットDS及び第2ワイパモータユニットPSは、一対のモータ(DSモータ及びPSモータ)、一対の駆動制御回路及び一対の通信回路等が協働することにより、一対のワイパ軸2a、2bを同期回転させる。第1ワイパモータユニットDS及び第2ワイパモータユニットPSは、この一対のワイパ軸2a、2bの同期回転に基づいて一対のワイパブレード1a、1bを被払拭面上において向かい合う逆方向に往復運動させる。
【0034】
なお、このような第1ワイパモータユニットDS及び第2ワイパモータユニットPSを構成する一対の駆動制御回路は、予め記憶するワイパ制御プログラム(アプリケーションプログラム)に基づいて一対のモータ(DSモータ及びPSモータ)を駆動制御する。すなわち、本実施形態に係る払拭装置Aは、ハードウエア資源とソフトウエア資源との協働によって一対のワイパブレード1a、1bを制御するものである。
【0035】
次に、本実施形態に係る払拭装置Aの動作について、図3図5を参照して説明する。
【0036】
図3は、第1ワイパモータユニットDS(運転席側)の動作を示すフローチャートである。第1ワイパモータユニットDSは、バックアップ通信線3を介して第1通信端子B/UにワイパSWを「ON」とする制御指令がBCM4から受信したか否かを判断する(ステップS1a)。
【0037】
そして、第1ワイパモータユニットDSは、ステップS1aの判断が「No」の場合、第2通信端子CLNに接続された専用通信線5を用いて第2ワイパモータユニットPSから受信するCLN信号が正常か否かを判断する(ステップS2a)。そして、第1ワイパモータユニットDSは、このステップS2aの判断が「No」の場合、つまり専用通信線5を用いた第2ワイパモータユニットPSとの通信が異常な場合、DSモータを停止させる(ステップS3a)。
【0038】
一方、第1ワイパモータユニットDSは、ステップS2aの判断が「Yes」の場合、つまり専用通信線5を用いた第2ワイパモータユニットPSとの通信が正常な場合には、第2ワイパモータユニットPSがBCM4から受信するLIN信号が正常か否かを判断する(ステップS4a)。
【0039】
すなわち、第1ワイパモータユニットDSは、ステップS4aの判断処理に際して、第2通信端子CLNに接続された専用通信線5を介して第2ワイパモータユニットPSと通信を行う。そして、第1ワイパモータユニットDSは、第2ワイパモータユニットPSとの通信結果に基づいて、第2ワイパモータユニットPSがBCM4からLIN信号を正常に受信しているか否かを判断する。
【0040】
第1ワイパモータユニットDSは、ステップS4aの判断が「No」の場合、つまり専用通信線5を用いた第2ワイパモータユニットPSとの通信が異常な場合、DSモータを停止させる(ステップS5a)。一方、第1ワイパモータユニットDSは、ステップS4aの判断が「Yes」の場合、つまり専用通信線5を用いた第2ワイパモータユニットPSとの通信が正常な場合には、DSモータをPSモータに対して同期制御する(ステップS6a)。
【0041】
なお、上述したステップS1aの判断が「Yes」の場合、第1ワイパモータユニットDSは、第2通信端子CLNに接続された専用通信線5を用いて第2ワイパモータユニットPSから受信するCLN信号が正常か否かを判断する(ステップS7a)。そして、第1ワイパモータユニットDSは、このステップS7aの判断が「No」の場合、つまり専用通信線5を用いた第2ワイパモータユニットPSとの通信が異常な場合、DSモータをHi作動(高速作動)させる(ステップS8a)。
【0042】
一方、第1ワイパモータユニットDSは、ステップS7aの判断が「Yes」の場合、つまり専用通信線5を用いた第2ワイパモータユニットPSとの通信が正常な場合には、第2ワイパモータユニットPSがBCM4から受信するLIN信号が正常か否かを判断する(ステップS9a)。
【0043】
すなわち、第1ワイパモータユニットDSは、ステップS9aの判断処理に際して、第2通信端子CLNに接続された専用通信線5を介して第2ワイパモータユニットPSと通信を行う。そして、第1ワイパモータユニットDSは、第2ワイパモータユニットPSとの通信結果に基づいて、第2ワイパモータユニットPSがBCM4からLIN信号を正常に受信しているか否かを判断する。
【0044】
第1ワイパモータユニットDSは、ステップS9aの判断が「No」の場合、つまり専用通信線5を用いた第2ワイパモータユニットPSとの通信が異常な場合、DSモータをHi作動(高速作動)させる(ステップS10a)。一方、第1ワイパモータユニットDSは、ステップS10aの判断が「Yes」の場合、つまり専用通信線5を用いた第2ワイパモータユニットPSとの通信が正常な場合には、DSモータをPSモータに対して同期制御する(ステップS11a)。
【0045】
続いて、第2ワイパモータユニットPS(助手席側)の動作を図4のフローチャートを参照して説明する。第2ワイパモータユニットPSは、第2ワイパモータユニットPSがワイパSWを「ON」とする制御指令をバックアップ通信線3を介してBCM4から受信したか否かを判断する(ステップS1b)。
【0046】
すなわち、第2ワイパモータユニットPSは、ステップS1bの判断処理に際して、第2通信端子CLNに接続された専用通信線5を介して第1ワイパモータユニットDSと通信を行う。そして、第2ワイパモータユニットPSは、第1ワイパモータユニットDSとの通信結果に基づいて、第1ワイパモータユニットDSがBCM4からワイパSWを「ON」とする制御指令を受信していたか否かを判断する。
【0047】
そして、第2ワイパモータユニットPSは、ステップS1bの判断が「No」の場合、第2通信端子CLNに接続された専用通信線5を用いて第1ワイパモータユニットDSから受信するCLN信号が正常か否かを判断する(ステップS2b)。そして、第2ワイパモータユニットPSは、このステップS2bの判断が「No」の場合、つまり専用通信線5を用いた第1ワイパモータユニットDSとの通信が異常な場合、助手席側のワイパブレード1bをPS格納位置に退避させるようにPSモータを制御する(ステップS3b)。
【0048】
一方、第2ワイパモータユニットPSは、ステップS2bの判断が「Yes」の場合、つまり専用通信線5を用いた第2ワイパモータユニットPSとの通信が正常な場合には、第1通信端子LINに接続された通常通信線6を介してLIN信号をBCM4から正常に受信しているか否かを判断する(ステップS4b)。
【0049】
第2ワイパモータユニットPSは、ステップS4bの判断が「No」の場合、つまり通常通信線6を介してLIN信号を正常に受信していない場合、助手席側のワイパブレード1bをPS格納位置に退避させるようにPSモータを制御する(ステップS5b)。一方、第2ワイパモータユニットPSは、ステップS4bの判断が「Yes」の場合、つまりLIN信号をBCM4から正常に受信している場合には、PSモータをDSモータに対して同期制御する(ステップS6b)。
【0050】
上述したステップS1bの判断が「Yes」の場合、第2ワイパモータユニットPSは、第2通信端子CLNに接続された専用通信線5を用いて第1ワイパモータユニットDSから受信するCLN信号が正常か否かを判断する(ステップS7b)。そして、第2ワイパモータユニットPSは、このステップS7bの判断が「No」の場合、つまり専用通信線5を用いた第1ワイパモータユニットDSとの通信が異常な場合、助手席側のワイパブレード1bをPS格納位置に退避させるようにPSモータを制御する(ステップS8b)。
【0051】
一方、第2ワイパモータユニットPSは、ステップS7bの判断が「Yes」の場合、つまり専用通信線5を用いた第1ワイパモータユニットDSとの通信が正常な場合には、第1通信端子LINに接続された通常通信線6を介してLIN信号をBCM4から正常に受信しているか否かを判断する(ステップS9b)。
【0052】
そして、第2ワイパモータユニットPSは、ステップS9bの判断が「No」の場合、つまり通常通信線6を介してLIN信号を正常に受信していない場合、助手席側のワイパブレード1bをPS格納位置に退避させるようにPSモータを制御する(ステップS10b)。一方、第2ワイパモータユニットPSは、ステップS10bの判断が「Yes」の場合、つまり通常通信線6を介してLIN信号を正常に受信している場合には、PSモータをDSモータに対して同期制御する(ステップS11b)。
【0053】
図4は、このような第1ワイパモータユニットDS及び第2ワイパモータユニットPSの制御動作をまとめた一覧表である。第1ワイパモータユニットDSは、この図4に示されているように、LIN信号、CLN信号及びB/U信号の状態に基づいて、DSモータの停止、DSモータのHi作動(高速作動)又はDSモータのPSモータに対する同期制御のいずれかを行う。
【0054】
一方、第2ワイパモータユニットPSは、図4に示されているように、LIN信号、CLN信号及びB/U信号の状態に基づいて、助手席側のワイパブレード1bのPS格納位置への退避又はPSモータのDSモータに対する同期制御のいずれかを行う。
【0055】
このような本実施形態では、一対のワイパブレード1a、1bを個別に駆動する一対の駆動ユニット(第1ワイパモータユニットDS及び第2ワイパモータユニットPS)を備える払拭装置Aであって、一方の駆動ユニット(第1ワイパモータユニットDS)に上位制御系とのバックアップ通信線3及び他方の駆動ユニット(第2ワイパモータユニットPS)との専用通信線5の一端が接続され、他方の駆動ユニット(第2ワイパモータユニットPS)に上位制御系(BCM4)との通常通信線6及び専用通信線5の他端が接続される。
【0056】
したがって、本実施形態によれば、ウォッシャモータの駆動機能を具備しない場合であっても一対の駆動ユニット(第1ワイパモータユニットDS及び第2ワイパモータユニットPS)における外部接続用端子の端子数と同一にすることが可能な払拭装置Aを提供することができる。
【0057】
また、本実施形態では、一方の駆動ユニット(第1ワイパモータユニットDS)は、一対のワイパブレード1a、1bのうち、車両の運転席側に設けられたワイパブレード1aを駆動し、他方の駆動ユニット(第2ワイパモータユニットPS)は、車両の助手席側に設けられたワイパブレード1bを駆動する。
【0058】
したがって、本実施形態によれば、車両に搭載される払拭装置Aにおいて、ウォッシャモータの駆動機能を具備しない場合であっても一対の駆動ユニット(第1ワイパモータユニットDS及び第2ワイパモータユニットPS)における外部接続用端子の端子数と同一にすることが可能である。
【0059】
さらに、本実施形態では、一対の駆動ユニット(第1ワイパモータユニットDS及び第2ワイパモータユニットPS)は、一対のワイパブレード1a、1bをシンメトリカル式で駆動する払拭装置Aにおいて、ウォッシャモータの駆動機能を具備しない場合であっても一対の駆動ユニット(第1ワイパモータユニットDS及び第2ワイパモータユニットPS)における外部接続用端子の端子数と同一にすることが可能である。
【0060】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態ではウォッシャモータの駆動機能を具備しない仕様、かつ一対のワイパブレード1a、1bをシンメトリカル式(対向式)で駆動する払拭装置Aについて説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、例えばウォッシャモータの駆動機能を具備しない仕様、かつ一対のワイパブレード1a、1bをタンデム式(並行連動式)で駆動する払拭装置のも適用可能である。
【符号の説明】
【0061】
A…払拭装置、DS…第1ワイパモータユニット(駆動ユニット)、PS…第2ワイパモータユニット(駆動ユニット)、1a、1b…ワイパブレード、2a、2b…ワイパ軸、3…バックアップ通信線、4…BCM(上位制御系)、5…専用通信線、6…通常通信線、7…電源線
図1
図2
図3
図4
図5