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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164530
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】扁平ワイヤーハーネスの取付構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/32 20060101AFI20241120BHJP
   F16B 19/00 20060101ALI20241120BHJP
   F16B 7/04 20060101ALI20241120BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
H02G3/32
F16B19/00 Q
F16B7/04 302B
B60R16/02 623C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080078
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】西村 和浩
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 辰海
(72)【発明者】
【氏名】岡庭 大純
(72)【発明者】
【氏名】蒲 拓也
(72)【発明者】
【氏名】立石 智彦
(72)【発明者】
【氏名】楠山 一博
(72)【発明者】
【氏名】石川 晃紀
(72)【発明者】
【氏名】加藤 充洋
【テーマコード(参考)】
3J036
3J039
5G363
【Fターム(参考)】
3J036AA03
3J036DA12
3J036DB04
3J039AA04
3J039BB01
3J039FA01
5G363AA16
5G363BA02
5G363BA05
5G363DA13
5G363DA15
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】リインフォースメントへの扁平ワイヤーハーネスの取付け作業を簡易にできる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】扁平ワイヤーハーネスの取付構造10は、車両に設けられるリインフォースメント20と、前記リインフォースメント20に沿って配置される扁平ワイヤーハーネス30と、前記扁平ワイヤーハーネス30を前記リインフォースメント20に取付けているクランプ40と、を備える。前記扁平ワイヤーハーネス30は前記クランプ40に保持される被保持部31を含み、前記クランプ40は、前記リインフォースメント20に固定される固定部42と、前記被保持部31が挿入保持される保持部46とを含み、前記保持部46は前記被保持部31が挿入される挿入口47を有し、前記挿入口47が前記リインフォースメント20の側方を向いている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられるリインフォースメントと、
前記リインフォースメントに沿って配置される扁平ワイヤーハーネスと、
前記扁平ワイヤーハーネスを前記リインフォースメントに取付けているクランプと、
を備え、
前記扁平ワイヤーハーネスは前記クランプに保持される被保持部を含み、
前記クランプは、前記リインフォースメントに固定される固定部と、前記被保持部が挿入保持される保持部とを含み、
前記保持部は前記被保持部が挿入される挿入口を有し、
前記挿入口が前記リインフォースメントの側方を向いている、扁平ワイヤーハーネスの取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の扁平ワイヤーハーネスの取付構造であって、
前記扁平ワイヤーハーネスは、複数の線状伝送部材と前記複数の線状伝送部材をフラットに保つベース材とを有する配線体を含み、
前記保持部は、前記リインフォースメントの表面から離れる方向に並びつつ、前記リインフォースメントの幅方向に延びる一対の挟持片を有し、
前記被保持部としての前記配線体が、前記一対の挟持片に挟まれて保持されている、扁平ワイヤーハーネスの取付構造。
【請求項3】
請求項2に記載の扁平ワイヤーハーネスの取付構造であって、
前記一対の挟持片の先端の間が、前記挿入口であり、
前記一対の挟持片それぞれの先端の位置が、前記幅方向に沿って互いに異なっている、扁平ワイヤーハーネスの取付構造。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の扁平ワイヤーハーネスの取付構造であって、
前記保持部は、前記リインフォースメントの長手方向に沿う回転軸を有するヒンジ部を介して開閉可能に設けられている、扁平ワイヤーハーネスの取付構造。
【請求項5】
請求項2又は請求項3に記載の扁平ワイヤーハーネスの取付構造であって、
前記保持部と、前記保持部に収容された前記配線体とが、前記リインフォースメントの曲面に沿うように曲がっている部分を有する、扁平ワイヤーハーネスの取付構造。
【請求項6】
請求項2又は請求項3に記載の扁平ワイヤーハーネスの取付構造であって、
前記配線体は、前記複数の線状伝送部材のうち一部の線状伝送部材が他の一部線状伝送部材から分岐する分岐部を有し、
前記クランプの位置に前記分岐部が設けられている、扁平ワイヤーハーネスの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、扁平ワイヤーハーネスの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は扁平配線部材を車両に固定する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-145175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
扁平ワイヤーハーネスは、厚み寸法と比べて大きい幅寸法を有するため、取付対象部材への扁平ワイヤーハーネスの取付け作業時に、作業者の視界が扁平ワイヤーハーネスによって遮られやすい。扁平ワイヤーハーネスの取付け作業が簡易となることが望まれる。
【0005】
そこで、リインフォースメントへの扁平ワイヤーハーネスの取付け作業を簡易にできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の扁平ワイヤーハーネスの取付構造は、車両に設けられるリインフォースメントと、前記リインフォースメントに沿って配置される扁平ワイヤーハーネスと、前記扁平ワイヤーハーネスを前記リインフォースメントに取付けているクランプと、を備え、前記扁平ワイヤーハーネスは前記クランプに保持される被保持部を含み、前記クランプは、前記リインフォースメントに固定される固定部と、前記被保持部が挿入保持される保持部とを含み、前記保持部は前記被保持部が挿入される挿入口を有し、前記挿入口が前記リインフォースメントの側方を向いている、扁平ワイヤーハーネスの取付構造である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、リインフォースメントへの扁平ワイヤーハーネスの取付け作業を簡易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形態1にかかる扁平ワイヤーハーネスの取付構造を示す概略斜視図である。
図2図2は扁平ワイヤーハーネスの取付構造を示す平面図である。
図3図3図2のIII-III線に沿った断面図である。
図4図4は扁平ワイヤーハーネスを取り付ける様子を示す説明図である。
図5図5は扁平ワイヤーハーネスを取り付ける様子を示す説明図である。
図6図6は第1変形例にかかる扁平ワイヤーハーネスの取付構造を示す断面図である。
図7図7は第2変形例にかかる扁平ワイヤーハーネスの取付構造を示す断面図である。
図8図8は第3変形例にかかる扁平ワイヤーハーネスの取付構造を示す断面図である。
図9図9は第4変形例にかかる扁平ワイヤーハーネスの取付構造を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の扁平ワイヤーハーネスの取付構造は、次の通りである。
【0011】
(1)車両に設けられるリインフォースメントと、前記リインフォースメントに沿って配置される扁平ワイヤーハーネスと、前記扁平ワイヤーハーネスを前記リインフォースメントに取付けているクランプと、を備え、前記扁平ワイヤーハーネスは前記クランプに保持される被保持部を含み、前記クランプは、前記リインフォースメントに固定される固定部と、前記被保持部が挿入保持される保持部とを含み、前記保持部は前記被保持部が挿入される挿入口を有し、前記挿入口が前記リインフォースメントの側方を向いている、扁平ワイヤーハーネスの取付構造である。
【0012】
このように構成された扁平ワイヤーハーネスの取付構造によると、リインフォースメントに予め固定されたクランプに、挿入口を通じて扁平ワイヤーハーネスの被保持部を保持部へ挿入することによって、リインフォースメントへ扁平ワイヤーハーネスを取付けることができる。挿入口は、リインフォースメントの側方に開口しているため、作業者が視認しやすい。また、被保持部と保持部とがリインフォースメントの幅方向にスライドして保持可能である。これらより、リインフォースメントへの扁平ワイヤーハーネスの取付け作業が簡易となる。
【0013】
(2)(1)の扁平ワイヤーハーネスの取付構造において、前記扁平ワイヤーハーネスは、複数の線状伝送部材と前記複数の線状伝送部材をフラットに保つベース材とを有する配線体を含み、前記保持部は、前記リインフォースメントの表面から離れる方向に並びつつ、前記リインフォースメントの幅方向に延びる一対の挟持片を有し、前記被保持部としての前記配線体が、前記一対の挟持片に挟まれて保持されていてもよい。これにより、保持部は、扁平ワイヤーハーネスの配線体を保持できる大きさであるため、作業者が保持部を視認しやすい。
【0014】
(3)(2)の扁平ワイヤーハーネスの取付構造において、前記一対の挟持片の先端の間が、前記挿入口であり、前記一対の挟持片それぞれの先端の位置が、前記幅方向に沿って互いに異なっていてもよい。これにより、挿入口を通じた保持部への配線体の挿入時に、先端が突出している方の挟持片に配線体を当てつつスライドさせて挿入できる。
【0015】
(4)(2)又は(3)のいずれか1つの扁平ワイヤーハーネスの取付構造において、前記保持部は、前記リインフォースメントの長手方向に沿う回転軸を有するヒンジ部を介して開閉可能に設けられていてもよい。これにより、ヒンジ部によって挿入口を広げるように保持部を開くことができる。
【0016】
(5)(2)から(4)のいずれか1つの扁平ワイヤーハーネスの取付構造において、前記保持部と、前記保持部に収容された前記配線体とが、前記リインフォースメントの曲面に沿うように曲がっている部分を有してもよい。これにより、扁平ワイヤーハーネスの取付構造にかかる投影面積を小さくできる。これにより、扁平ワイヤーハーネスの取付構造にかかるリインフォースメントの両側方のスペースを小さくできる。
【0017】
(6)(2)から(5)のいずれか1つの扁平ワイヤーハーネスの取付構造において、前記配線体は、前記複数の線状伝送部材のうち一部の線状伝送部材が他の一部線状伝送部材から分岐する分岐部を有し、前記クランプの位置に前記分岐部が設けられていてもよい。これにより、分岐部をクランプの近くに配置でき、分岐した一部の線状伝送部材の端部への車両の振動の影響を小さくできる。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の扁平ワイヤーハーネスの取付構造の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0019】
[実施形態1]
以下、実施形態1にかかる扁平ワイヤーハーネスの取付構造について説明する。図1は実施形態1にかかる扁平ワイヤーハーネスの取付構造10を示す概略斜視図である。図2は扁平ワイヤーハーネスの取付構造10を示す平面図である。図3図2のIII-III線に沿った断面図である。図4及び図5は扁平ワイヤーハーネス30を取り付ける様子を示す説明図である。
【0020】
扁平ワイヤーハーネスの取付構造10は、リインフォースメント20と扁平ワイヤーハーネス30とクランプ40とを備える。扁平ワイヤーハーネスの取付構造10は、クランプ40によって扁平ワイヤーハーネス30をリインフォースメント20に取付けるものである。
【0021】
リインフォースメント20は車両に設けられる。車両において、リインフォースメント20の配置箇所は特に限定されるものではなく、適宜設定可能である。ここではリインフォースメント20が、車両のインストルメントパネル内に配置されるものとして説明される。リインフォースメント20は、例えば、円筒状又は角筒状などの筒状に形成される。リインフォースメント20がインストルメントパネル内に配置される場合、リインフォースメント20は車両の幅方向に延びる。リインフォースメント20の長手方向一端部が車体の左方壁部に連結され、他端部が車体の右方壁部に連結される。
【0022】
扁平ワイヤーハーネス30はリインフォースメント20に沿って配置される。扁平ワイヤーハーネス30は、配線体31を含む。配線体31は、複数の線状伝送部材32と複数の線状伝送部材32をフラットに保つベース材36とを有する。線状伝送部材32は、電気又は光を伝送する線状の部材であればよい。線状伝送部材32は、例えば、電気を伝送する電線又は光を伝送する光ファイバである。ここでは線状伝送部材32が、電線32であるものとして説明される。複数の電線32のそれぞれは、被覆電線である。被覆電線は、導体芯線33と、導体芯線33を覆う被覆層34とを有する。
【0023】
ベース材36は、複数の電線32を扁平に並んだ状態に保持する。ここでは、ベース材36は、シート状に形成される。ベース材36に対して複数の電線32を扁平に並んだ状態に保持する構造は特に限定されない。例えば、複数の電線32のそれぞれがベース材36に対して、溶着(超音波溶着、加熱加圧溶着、熱風溶着、高周波溶着又は溶剤による溶着を含む)、接着剤、粘着剤等によって固定されてもよい。この場合、複数の電線32をより扁平状態に保ち易い。また、複数の電線32のそれぞれが縫糸によってベース材36に固定されてもよい。また、複数の電線32とベース材36とに巻かれた結束部材により、複数の電線32とベース材36とが結束されていてもよい。結束部材は、例えば、結束バンド(ケーブルタイとも呼ばれる)であってもよいし、粘着テープであってもよい。
【0024】
複数の電線32の並列構造は、扁平に並ぶものであれば、特に限定されない。例えば、複数の電線32は、ばらばらな状態でベース材36の主面上に配置されてもよい。複数の電線32は、1列に並んだ状態に保持されていてもよいし、積重なりつつ並んだ状態で保持されていてもよい。各列において、隣り合う電線32同士は、図3に示すように、互いに離れていてもよい。各列において、隣り合う電線32同士は、互いに接触していてもよい。
【0025】
複数の電線32は、束ねられた状態でベース材36の主面上に配置されてもよい。この場合、複数の電線32が複数のグループに分けられてもよい。具体的には、複数の電線32は、複数のグループごとに互いに別に束ねられて複数の束とされる。複数の束が、主面に沿って並べられる。これにより、複数の電線32を扁平状態に保ち易い。
【0026】
ベース材36は互いに逆向きの第1主面及び第2主面を有する。ここでは複数の電線32は、ベース材36の第1主面上にのみ配置されている。第2主面上には電線32が配置されていない。複数の電線32は、ベース材36の第1主面及び第2主面に分かれて配置されていてもよい。複数の電線32がベース材36の第1主面上にのみ配置される場合、ベース材36のうちリインフォースメント20の外面に対向する面は、第1主面であってもよいし、第2主面であってもよい。
【0027】
なお、扁平ワイヤーハーネス30は、複数の線状導体を並列状態にしてフィルム等の絶縁材料で被覆した帯状の配線部材、例えば、フレキシブルフラットケーブルであってもよい。この場合、線状導体が線状伝送部材32に相当し、フィルム等がベース材36に相当する。
【0028】
複数の電線32の延在方向が扁平ワイヤーハーネス30の延在方向である。複数の電線32の並列方向が扁平ワイヤーハーネス30の幅方向である。電線32とベース材36との積層方向が扁平ワイヤーハーネス30の厚み方向である。扁平ワイヤーハーネス30において、厚み方向の寸法と比べて延在方向の寸法及び幅方向の寸法が大きい。扁平ワイヤーハーネス30の幅寸法は、例えば、リインフォースメント20の幅寸法と同じかそれよりも大きくてもよい。
【0029】
クランプ40は、固定部42と保持部46とを含む。クランプ40は例えば樹脂製の金型成形品である。
【0030】
固定部42は、リインフォースメント20に固定される。ここでは固定部42は、リインフォースメント20の固定孔22に挿入係止可能な形状を有する。固定部42は柱部43と係止片44とを有する。柱部43は固定孔22よりも細い柱状に形成される。固定部42が固定孔22に挿入されて係止している状態で、柱部43は固定孔22を貫通している。係止片44は、柱部43の先端から突出する。係止片44は、固定孔22に挿入時に固定孔22の周縁部に接触して縮径するように弾性変形可能である。係止片44は、固定孔22を越えた後に弾性復帰して、リインフォースメント20の内面における固定孔22の周縁部に係止する。
【0031】
保持部46は扁平ワイヤーハーネス30を保持する。扁平ワイヤーハーネス30はクランプ40に保持される被保持部31を含む。被保持部31が保持部46に挿入保持される。保持部46は被保持部31が挿入される挿入口47を有する。挿入口47がリインフォースメント20の側方を向いている。
【0032】
ここでは保持部46は、一対の挟持片48を有する。一対の挟持片48は、リインフォースメント20の表面から離れる方向に並びつつ、リインフォースメント20の幅方向に延びる。一対の挟持片48のうち一方の端部に挿入口47が設けられる。挟持片48のうち挿入口47側が先端部であり、挿入口47とは反対側が基端部である。一対の挟持片48の基端部同士がつながっており、挿入口47とは反対側が閉口している。一対の挟持片48の先端面は傾斜面49とされている。傾斜面49は、被保持部31が挿入口47へ挿入される際のガイドとされる。配線体31の長手方向に沿った一部が被保持部31とされている。ここでは被保持部31としての配線体31が、一対の挟持片48に挟まれて保持されている。
【0033】
挿入口47からの配線体31の抜けを抑制する構成が設けられていてもよい。例えば、一対の挟持片48の間隔は例えば配線体31の厚みと同じかそれよりも小さく、配線体31が一対の挟持片48の間に圧入されていてもよい。この場合、配線体31と挟持片48とのがたつきも抑制できる。挟持片48の先端部に配線体31の抜けを抑制する返しが設けられていてもよい。挿入口47が閉口されていてもよい。
【0034】
配線体31は、図3に示すように幅方向及び延在方向が水平方向と平行な姿勢で一部が支持されたときに、自重で垂れ下がらず、実質的に水平な姿勢を保てる剛性を有してもよい。配線体31がかかる剛性を有するための構成は、特に限定されない。例えば、ベース材36が自重で垂れ下がらない高い剛性を有するシート材などであってもよい。また図3に示す例では配線体31が1層であるが、配線体31が積層構造を有することによって、剛性が高められてもよい。この場合、配線体31は、厚み方向に並ぶ複数のベース材36を有し、複数の線状伝送部材32が複数のベース材36に分かれて保持される。複数のベース材36同士が、例えば、接着又は溶着などによって一体化されることによって、積層構造を有する配線体31とされる。この場合、ベース材36は可撓性を有するシート材など自重で垂れ下がる剛性を有していてもよく、配線体31における各層も単体では自重で垂れ下がる剛性を有していてもよい。もっとも配線体31は、幅方向及び延在方向が水平方向と平行な姿勢で一部が支持されたときに、自重で垂れ下がる剛性を有していてもよい。
【0035】
扁平ワイヤーハーネス30の幅方向端部の縁部が、扁平ワイヤーハーネス30の側縁である。ここではベース材36の側縁が扁平ワイヤーハーネス30の側縁である。扁平ワイヤーハーネス30の第1側縁から第2側縁までの長さ寸法は、保持部46の挿入口47から保持部46の奥側端部までの寸法よりも短い。被保持部31のうち第1側縁から第2側縁まで全体が保持部46に収まり、被保持部31は挿入口47からの挿入方向において保持部46からはみ出す部分を有していない。被保持部31は挿入口47からの挿入方向において保持部46からはみ出す部分を有していてもよい。
【0036】
保持部46はリインフォースメント20の上面に収まらず、リインフォースメント20の側方にはみ出す部分を有していてもよい。当該はみ出す部分に挿入口47が設けられていてもよい。保持部46はリインフォースメント20の上面に収まっていてもよい。
【0037】
クランプ40を用いて扁平ワイヤーハーネス30をリインフォースメント20に取り付けるに当たり、図4に示すように、扁平ワイヤーハーネス30を保持していないクランプ40の固定部42をリインフォースメント20に固定し、挿入口47がリインフォースメント20の側方を向くようにする。次に、挿入口47から扁平ワイヤーハーネス30を保持部46の内部に挿入する。これにより、扁平ワイヤーハーネス30がリインフォースメント20に取付けられて、図1の状態の扁平ワイヤーハーネスの取付構造10となる。
【0038】
図1に示すように、ここでは複数のクランプ40が、リインフォースメント20の延在方向に沿って間隔をあけて設けられている。扁平ワイヤーハーネス30が複数のクランプ40を用いて取付けられる。もっとも、クランプ40は1つであってもよい。リインフォースメント20への複数の取付箇所のうち作業者の視界が確保しにくい一部の箇所にクランプ40が用いられ、他の箇所には従来の取付構造が採用されてもよい。
【0039】
<効果等>
以上のように構成された扁平ワイヤーハーネスの取付構造10によると、リインフォースメント20に予め固定されたクランプ40に、挿入口47を通じて扁平ワイヤーハーネス30の被保持部31を保持部46へ挿入することによって、リインフォースメント20へ扁平ワイヤーハーネス30を取付けることができる。挿入口47は、リインフォースメント20の側方に開口しているため、作業者が視認しやすい。また、被保持部31と保持部46とがリインフォースメント20の幅方向にスライドして保持可能である。これらより、リインフォースメント20への扁平ワイヤーハーネス30の取付け作業が簡易となる。この際、リインフォースメント20へクランプ40を固定する作業は、扁平ワイヤーハーネス30を保持していないクランプ40を先に固定する作業であるため、扁平ワイヤーハーネス30によって作業者の視界が遮られることがない。このため、リインフォースメント20へのクランプ40の固定作業が、固定孔22への固定部42の差込作業を伴うものであっても、容易に行うことができる。
【0040】
また、被保持部31としての配線体31が、保持部46における一対の挟持片48に挟まれて保持されている。これにより、保持部46は、扁平ワイヤーハーネス30の配線体31を保持できる大きさであるため、作業者が保持部46を視認しやすい。
【0041】
保持部46への配線体31の挿入作業時に、作業者は、配線体31のうち挿入口47に最初に挿入される部分とは別の部分を把持して、挿入作業を行う場合がある。このとき、扁平ワイヤーハーネス30の剛性が高いと、配線体31のうち作業者に把持される部分から挿入口47に最初に挿入される部分まで水平姿勢を保ちやすくなり、挿入作業が容易となる。また、被保持部31の一部が保持部46に挿入された状態で、被保持部31を保持部46の奥までスライドさせる際、扁平ワイヤーハーネス30の剛性が高いと、被保持部31に意図しない曲げが生じにくくなり、挿入作業が容易となる。
【0042】
[付記]
図6は第1変形例にかかる扁平ワイヤーハーネスの取付構造110を示す断面図である。
【0043】
第1変形例にかかる扁平ワイヤーハーネスの取付構造110において、一対の挟持片148の形状が上記一対の挟持片48の形状とは異なる。一対の挟持片148それぞれの先端の位置が、リインフォースメント20の幅方向に沿って互いに異なっている。一対の挟持片148のうち一方の挟持片148Aが、他方の挟持片148Bよりも突出している。これにより、挿入口47を通じた保持部46への配線体31の挿入時に、先端が突出している方の挟持片148Aに配線体31を当てつつスライドさせて挿入できる。
【0044】
図6に示す例では、挟持片148Aが、挟持片148Bよりもリインフォースメント20側に位置している。この場合、図6に示すように、挿入口47に対して配線体31を斜め上から挿入しやすい。挟持片148Bが、挟持片148Aよりもリインフォースメント20側に位置していてもよい。この場合、挿入口47に対して配線体31を斜め下から挿入しやすい。
【0045】
図7は第2変形例にかかる扁平ワイヤーハーネスの取付構造210を示す断面図である。
【0046】
扁平ワイヤーハーネスの取付構造210において、保持部246の形状が上記保持部46の形状とは異なる。保持部246は、リインフォースメント20の長手方向に沿う回転軸を有するヒンジ部250を介して開閉可能に設けられている。これにより、ヒンジ部250によって挿入口47を広げるように保持部246を開くことができる。
【0047】
図8は第3変形例にかかる扁平ワイヤーハーネスの取付構造310を示す断面図である。
【0048】
扁平ワイヤーハーネスの取付構造310において、保持部346及び被保持部331の形状が上記保持部46及び被保持部31の形状とは異なる。保持部346と、保持部346に収容された被保持部331である配線体331とが、リインフォースメント20の曲面に沿うように曲がっている部分を有する。これにより、扁平ワイヤーハーネスの取付構造310にかかる投影面積を小さくできる。これにより、扁平ワイヤーハーネスの取付構造310にかかるリインフォースメント20の両側方のスペース(リインフォースメント20がインパネリインフォースメントの場合、車両前後方向のスペース)を小さくできる。
【0049】
リインフォースメント20の曲面が湾曲面である場合に、保持部346のうちリインフォースメント20の曲面に沿うように曲がっている部分は、湾曲している必要はない。図8に示す例のように、保持部346は、互いに交差する方向に延びる2つの直線部と、2つの直線部を連結する曲げ部とを有していてもよい。保持部346は、3つ以上の直線部と2つ以上の曲げ部とを有していてもよい。保持部346は、湾曲部と直線部とを有していてもよい。例えば、図8の保持部346において、挿入口47側の直線部及び奥側の直線部のいずれかに代えて湾曲部が設けられていてもよい。保持部346は湾曲部のみを有していてもよい。
【0050】
図9は第4変形例にかかる扁平ワイヤーハーネスの取付構造410を示す平面図である。
【0051】
扁平ワイヤーハーネスの取付構造410において、配線体431の配線形態が、上記配線体31の配線形態とは異なる。配線体431は、複数の電線32のうち一部の電線32が他の一部の電線32から分岐する分岐部437を有している。クランプ40の位置に分岐部437が設けられている。これにより、分岐部437をクランプ40近くに配置でき、分岐した一部の電線32の端部(例えばコネクタ438)への車両の振動の影響を小さくできる。
【0052】
クランプ40の位置に分岐部437が設けられているとは、クランプ40の内部に分岐部437が設けられる場合のほか、クランプ40の隣に分岐部437が設けられる場合を含む。具体的には、図9に示す例では、クランプ40内部に分岐部437が設けられ、分岐した一部の電線が挿入口47からクランプ40の外に延び出ている。複数の電線32のうち保持部46を延び出た部分に分岐部437が設けられていてもよい。これにより、挿入口47が閉口されている場合などにも分岐部437をクランプ40の位置に設けることができる。なお、図9に示す例では、配線体31の1つの層の中で電線32が分岐している。配線体31が複数層である場合、1つの層が他の層に対して層ごと分岐していてもよい。
【0053】
このほかこれまで、保持部46が一対の挟持片48を有し、被保持部31が扁平ワイヤーハーネス30の配線体31であるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。例えば、被保持部が配線体31に外装されるスライダであり、保持部がスライダをスライド保持可能なレールであってもよい。
【0054】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0055】
10、110、210、310、410 扁平ワイヤーハーネスの取付構造
20 リインフォースメント
22 固定孔
30 扁平ワイヤーハーネス
31、331、431 配線体(被保持部)
32 電線(線状伝送部材)
33 導体芯線
34 被覆層
36 ベース材
40、140、240、340 クランプ
42 固定部
43 柱部
44 係止片
46、246、346 保持部
47 挿入口
48、148A、148B、248 挟持片
49 傾斜面
250 ヒンジ部
437 分岐部
438 コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9