(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164545
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】電力管理システム、および、電力制御システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/46 20060101AFI20241120BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20241120BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
H02J3/46
H02J3/32
H02J3/38 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080108
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】若林 諒
(72)【発明者】
【氏名】三好 智之
(72)【発明者】
【氏名】島 明生
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066HA15
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA05
5G066JB03
(57)【要約】
【課題】目標供給電力量範囲内の電力を確実に供給する。
【解決手段】電力管理システム1は、蓄電池システム4および発電システム3のうち何れかから供給される電力量の目標値である目標供給電力量範囲を入力する目標供給電力量入力部11と、発電予測から発電計画を決定する際に用いる発電計画パラメータおよび蓄電池制御周期を記憶する記憶部13と、目標供給電力量範囲、発電計画パラメータ、および、蓄電池制御周期に基づいて蓄電池電力指令値を決定する蓄電池電力指令値決定部14とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池システムおよび発電システムのうち何れかから供給される電力量の目標値である目標供給電力量範囲を入力する目標供給電力量入力部と、
発電予測から発電計画を決定する際に用いる発電計画パラメータおよび蓄電池制御周期を記憶する記憶部と、
前記目標供給電力量範囲、前記発電計画パラメータ、および、前記蓄電池制御周期に基づいて蓄電池電力指令値を決定する蓄電池電力指令値決定部と、
を備えることを特徴とする電力管理システム。
【請求項2】
前記蓄電池電力指令値決定部は、式(7)で前記蓄電池電力指令値を計算する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電力管理システム。
【数7】
【請求項3】
前記目標供給電力量範囲と前記蓄電池電力指令値に基づいて、出力抑制値を決定する出力抑制値決定部、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項4】
前記電力管理システムは、更に負荷を管理し、
前記目標供給電力量範囲と前記蓄電池電力指令値に基づいて、前記負荷の需要抑制量を決定する需要抑制量決定部、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項5】
PV定格容量、前記発電計画パラメータ、前記蓄電池制御周期、および、前記目標供給電力量範囲に基づいて、対象時間開始時の充電量を決定する充電量決定部、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項6】
前記蓄電池制御周期は、前記蓄電池システムの計測周期よりも短い、
ことを特徴とする請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項7】
前記発電計画パラメータと前記目標供給電力量範囲に基づいて、前記蓄電池制御周期を決定する制御周期決定部、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項8】
前記制御周期決定部は、式(8)に基づいて前記蓄電池制御周期を決定する、
ことを特徴とする請求項7に記載の電力管理システム。
【数8】
【請求項9】
前記発電計画パラメータ、前記蓄電池制御周期、および、前記目標供給電力量範囲に基づいて蓄電池容量を決定する蓄電池容量決定部と、
前記発電計画パラメータ、前記蓄電池制御周期、および、前記目標供給電力量範囲に基づいて蓄電池定格出力を決定する蓄電池定格出力決定部と、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項10】
前記蓄電池容量決定部は、式(9)で蓄電池容量を決定する、
ことを特徴とする請求項9に記載の電力管理システム。
【数9】
【請求項11】
前記蓄電池システムの蓄電池容量、前記蓄電池制御周期、および、前記目標供給電力量範囲に基づいて、前記発電計画パラメータを決定する発電計画パラメータ決定部、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項12】
前記発電計画パラメータ、前記蓄電池制御周期、および、前記目標供給電力量範囲に基づいて、前記蓄電池システムに割り当てる発電システムを決定する組合せパターン決定部、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項13】
蓄電池システムと、
発電システムと、
前記蓄電池システムおよび前記発電システムのうち何れかから供給される電力量の目標値である目標供給電力量範囲を入力する目標供給電力量入力部と、
発電予測から発電計画を決定する際に用いる発電計画パラメータおよび蓄電池制御周期を記憶する記憶部と、
前記目標供給電力量範囲、前記発電計画パラメータ、および、前記蓄電池制御周期に基づいて蓄電池電力指令値を決定する蓄電池電力指令値決定部と、
を備えることを特徴とする電力制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力管理システム、および、電力制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力系統では、発電・消費される電力量に比べて、貯蔵可能な電力量が少ないことが知られている。このため、電力系統の運用では、需要量と発電量の差異を一定の範囲に維持する「同時同量」の原則を遵守する必要がある。発電・送配電・小売の垂直一貫体制において、電気事業者は「同時同量」を達成するために、ある程度柔軟に、自社の保有する発電機を制御する。
【0003】
一方、電力自由化に伴う発送電分離によって、電気事業者が送配電事業者と発電・小売事業者に分離した場合、送配電事業者は需給調整市場から調整力を購入し、これを運用する必要がある。ここで、「調整力」とは、周波数変動および需給インバランスを抑制するための発電機等の出力調整可能量を指し、周波数調整力と需給調整力に大別される。
【0004】
周波数調整力は、秒から分オーダまでの周波数変動に応じて自動的に出力調整されるガバナフリーやLFC(Load Frequency Control)やAFC(Automatic Frequency Control)を指す。需給調整力は、分オーダ以上の長周期の電力需給インバランスを解消するELD(Economic Load Dispatch)やDPC(Dispatching Power Control)を指す。
【0005】
需給調整市場にて、発電事業者が管理する発電システムは、前日に発電量を予測して、送配電事業者が管理するエネルギーマネジメントシステムに通知する。エネルギーマネジメントシステムは、この発電量の予測に基づいて、発電システムへの指令値を決定する。発電システムは、実運転の45分前の要求指令値に対して、目標供給電力量範囲内(=指令値±10%)の電力を供給することが必要である。電力供給が未達成であったとき、発電事業者には金銭的なペナルティが課せられる。更に月あたり3回の電力供給が未達成であったときには、発電事業者の資格が取り消される。
【0006】
発電事業者が管理する発電システムは、太陽光発電や蓄電池、電気自動車(EV)や住宅設備などをまとめて管理し、地域の発電・蓄電・需要を仮想的な発電所のように制御する仮想発電所(VPP:Virtual Power Plant)として実現される。仮想発電所では、多拠点の発電装置と蓄電池を組み合わせた電力供給計画が策定される。仮想発電所により、電力の安定供給やゼロカーボンなどの社会課題を解決可能である。
【0007】
仮想発電所に関する発明として、例えば特許文献1に記載の発明がある。特許文献1には、「発電設備10は、電力系統に供給される電力の1制御周期あたりの変化が、発電設備10の定格出力の規定割合以内に収まるように、発電システム30が設備内電線21に供給する電力の一部を蓄電池システム40に充電させる。発電制御装置1は、発電システム30が設備内電線21に供給する電力の現在値から蓄電池システム40が充電する電力の現在値を減じた値に、前記定格出力の前記規定割合に応じた電力値と、蓄電池システム40の1制御周期あたりの充電電力の最大値とを加えた発電許容電力値を算出する。また、発電制御装置1は、次制御周期において、発電装置10から供給される電力が前記発電許容電力値よりも大きい場合に、発電システム30が設備内電線21に供給する電力を前記発電許容電力値以下に抑制する。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2017/037868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発電システムが、計画値に合わせてリソースを制御する場合,天候急変時にペナルティを受けるリスクがある。また、例えば多拠点を連携させて制御周期が長い場合は、再エネ発電量に追従させて蓄電池システムを運転させることは困難である。
そこで、本発明は、目標供給電力量範囲内の電力を確実に供給することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記した課題を解決するため、本発明の電力管理システムは、蓄電池システムおよび発電システムのうち何れかから供給される電力量の目標値である目標供給電力量範囲を入力する目標供給電力量入力部と、発電予測から発電計画を決定する際に用いる発電計画パラメータおよび蓄電池制御周期を記憶する記憶部と、前記目標供給電力量範囲、前記発電計画パラメータ、および、前記蓄電池制御周期に基づいて蓄電池電力指令値を決定する蓄電池電力指令値決定部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の電力制御システムは、蓄電池システムと、発電システムと、前記蓄電池システムおよび前記発電システムのうち何れかから供給される電力量の目標値である目標供給電力量範囲を入力する目標供給電力量入力部と、発電予測から発電計画を決定する際に用いる発電計画パラメータおよび蓄電池制御周期を記憶する記憶部と、前記目標供給電力量範囲、前記発電計画パラメータ、および、前記蓄電池制御周期に基づいて蓄電池電力指令値を決定する蓄電池電力指令値決定部と、を備えることを特徴とする。
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、目標供給電力量範囲内の電力を確実に供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態に係る電力管理システムの構成図である。
【
図2】電力管理システムの供給電力と供給電力量のタイムチャートの一例を示す図である。
【
図3】電力管理システムの供給電力と供給電力量のタイムチャートの他の例を示す図である。
【
図4】電力管理システムの前日の処理を示すフローチャートである。
【
図5】電力管理システムの当日の処理を示すフローチャートである。
【
図6】制御部の動作と蓄電池システムの動作を示すタイムチャートである。
【
図8】第2実施形態に係る電力管理システムの構成図である。
【
図9】電力管理システムの前日の処理を示すフローチャートである。
【
図10】電力管理システムの当日の処理を示すフローチャートである。
【
図11】電力管理システムの使用電力と供給電力と供給電力量のタイムチャートの一例を示す図である。
【
図12】第3実施形態に係る電力管理システムの構成図である。
【
図13】第3実施形態に係る電力管理システムの供給電力と供給電力量と蓄電池充電量のタイムチャートの一例を示す図である。
【
図14】第4実施形態に係る電力管理システムの構成図である。
【
図15】制御周期と電力量の関係を示すグラフである。
【
図16】第5実施形態に係る電力管理システムの構成図である。
【
図17】制御周期と電力量の関係を示すグラフである。
【
図18】制御周期と定格出力の関係を示すグラフである。
【
図19】第6実施形態に係る電力管理システムの構成図である。
【
図20】発電計画パラメータと電力量の関係を示すグラフである。
【
図21】第7実施形態に係る統合電力管理システムの構成図である。
【
図22】第7実施形態に係る統合電力管理システムの詳細を示す図である。
【
図23】電力管理システムの組合せの詳細を示すテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以降、本発明を実施するための形態を、各図を参照して詳細に説明する。
《第1の実施形態》
本実施形態の発電システムは、太陽光発電の出力抑制および蓄電池による余剰吸収にて、要求電力の供給を実現する。具体的にいうと、発電予測精度である発電計画パラメータ(k)および制御周期(Δt)をパラメータとし、リソース制御方法を決定する。そして、太陽光発電による余剰発電量を吸収するための蓄電池容量と制御周期を決定する。これにより、発電システムは、要求指令値を満たす電力供給を実現しつつ、太陽光発電による電力使用量を最大化できる。更に、発電装置ごとに必要な蓄電池容量と制御周期が決定可能である。
【0015】
図1は、第1実施形態に係る電力管理システム1の構成図である。
電力管理システム1は、目標供給電力量入力部11と、制御部12を含んで構成される。電力管理システム1は、発電システム3と蓄電池システム4とを統括制御することで、仮想発電所を実現するものである。発電システム3は、ここでは太陽光発電パネルを備えて、太陽光を電力に変換するものである。しかし、発電システム3は、太陽光発電に限定されず、任意の発電方式でよい。蓄電池システム4は、複数の蓄電池を備えて、電力を貯えるか、または放電する。発電システム3と蓄電池システム4は、トランス5を介して電力系統2に接続され、電力系統2に需給調整力を提供する。
【0016】
なお、この電力管理システム1と発電システム3と蓄電池システム4とで構成される仮想発電所は、分オーダ以上の長周期の電力需給インバランスを解消する電力制御システムとして機能する。
目標供給電力量入力部11は、目標とする供給電力量の範囲の入力を受け付けて、この目標とする供給電力量の範囲を制御部12に出力する。
【0017】
制御部12は、記憶部13と、蓄電池電力指令値決定部14と、出力抑制値決定部15とを備えている。記憶部13は、発電計画パラメータと制御周期を蓄電池電力指令値決定部14に送信する。蓄電池電力指令値決定部14は、目標とする供給電力量の範囲、PV(PhotoVoltaic)発電量、蓄電池電力量、発電計画パラメータおよび制御周期に基づいて、式(1)に基づき、蓄電池電力指令値を計算する。
【数1】
【0018】
この蓄電池電力指令値は、出力抑制値決定部15と、蓄電池システム4に出力される。
出力抑制値決定部15は、目標とする供給電力量の範囲と蓄電池電力指令値に基づき、出力抑制値を決定し、発電システム3に出力する。
【0019】
図2は、電力管理システム1の供給電力と供給電力量のタイムチャートの一例である。ここでは、制御タイミングで、総発電量が目標供給電力量範囲の最大値となった場合をグラフで示している。
【0020】
上段のグラフは、対象時間Tにおける供給電力の時間的変化を示している。細い実線は、PV発電による供給電力を示している。太い実線は、蓄電池による供給電力量を示している。なお、制御周期(Δt)は、制御部12が発電システム3と蓄電池システム4を制御する周期である。グラフの縦の破線は、制御部12の制御タイミングを示している。
【0021】
下段のグラフは、対象時間Tにおける供給電力量の時間的変化を示している。細い実線は、PV発電量を示している。一点鎖線は、出力抑制しないときのPV発電量を仮想的に示している。細い破線は、出力抑制後のPV発電量を示している。粗い破線は、蓄電池の電力量を示している。太実線は、PV発電量と蓄電池の電力量とを合計した電力量を示している。目標供給電力量範囲(α)は、供給電力量最大値と目標供給電力量との差であり、かつ目標供給電力量と供給電力量最小値との差である。つまり供給電力量最大値と供給電力量最小値との差は、2αである。ここでは、PV発電量を蓄電池の電力量(充電)で打ち消すことで、合計供給電力量を目標供給電力量の範囲に収まるようにしている。
【0022】
時間t0とt1にて、出力抑制値決定部15は、発電システム3の出力を抑制しない。このときのPV供給電力は、発電予測の値である。時間t2にて、供給電力量が最大値に達したので、出力抑制値決定部15は、発電システム3の出力を所定値まで抑制する。更に蓄電池電力指令値決定部14は、蓄電池システム4に抑制した発電システム3の電力と同じ電力をそのまま蓄電させている。これにより、電力管理システム1は、対象時間Tにおける供給電力量を、最大値から最小値までの範囲内としている。
【0023】
発電計画パラメータ(k)は、発電計画(kPPV)を発電予測(PPV)で除算したものである。
【0024】
図3は、電力管理システム1の供給電力と供給電力量のタイムチャートの他の例である。ここでは、制御タイミングで、総発電量が目標供給電力量範囲を超過した場合をグラフで示している。
【0025】
時間t0とt1にて、出力抑制値決定部15は、発電システム3の出力を抑制しない。時間t2にて、供給電力量が最大値を超えたので、出力抑制値決定部15は、発電システム3の出力を抑制する。更に蓄電池電力指令値決定部14は、蓄電池システム4に抑制した発電システム3の電力よりも大きな電力を蓄電させる。これにより、電力管理システム1は、供給電力量の超過分を蓄電によって打ち消して、対象時間Tにおける供給電力量を、最大値から最小値までの範囲内としている。
【0026】
図4は、電力管理システム1の前日の処理を示すフローチャートである。
制御部12は、翌日のPV発電量を予測し(ステップS10)、発電計画パラメータに基づき、発電計画を決定する(ステップS11)。そして制御部12は、発電計画を需給調整市場へ提出すると(ステップS12)、
図4の処理が終了する。
【0027】
図5は、電力管理システム1の当日の処理を示すフローチャートである。
各対象時間の冒頭にて、目標供給電力量入力部11は、目標供給電力量の範囲を決定する(ステップS20)。そして、発電システム3は、出力抑制せずPV発電する(ステップS21)。制御タイミングにて、制御部12は、PV発電量が目標供給電力量の最小値以上であるか否かを判定する(ステップS22)。
【0028】
蓄電池電力指令値決定部14は、蓄電池への指令値を決定すると(ステップS23)、蓄電池システム4へ蓄電池指令値を指令する(ステップS24)。
出力抑制値決定部15は、出力抑制値を決定すると(ステップS25)、発電システム3へ出力抑制値を指令する(ステップS26)。これにより、対象時間の一連の処理が終了する。
【0029】
つまり、出力抑制値決定部15は、対象時間の前半では電力供給量が目標供給電力量範囲に入るまでPV発電の出力抑制を行わない。PV発電量が目標供給電力量範囲に入ったあと、蓄電池電力指令値決定部14は、蓄電池に充電指令を行う。このとき、蓄電池電力指令値決定部14が蓄電池へ与える充電指令は、目標供給電力量範囲の最小値に向けたものである。この充電指令は、制御周期、目標供給電力量範囲、発電計画パラメータで記述可能である。
【0030】
次に出力抑制値決定部15は、発電システム3の抑制量を決定する。この発電システム3の抑制量は、出力抑制後のPV発電量と蓄電池の充電量の合計値が、目標供給電力量範囲の最大値に向くように発電システム3の抑制量を決定する。
【0031】
電力管理システム1は、このようなリソース制御を行うことで、次の制御タイミングまで順調にPV発電した場合は目標供給電力量範囲の最大値になるように、全くPVが発電しなかった場合でも目標供給電力量範囲の最小値になるように電力供給を行うことができる。
【0032】
図6は、制御部12の動作と蓄電池システム4の動作を示すタイムチャートである。
制御部12は、一つの制御周期(Δt)あたり指令値を2回送信する。これに対して蓄電池システム4は、各制御周期(Δt)の冒頭にて目標値を更新する。つまり、制御部12の制御周期は、蓄電池システム4の計測周期よりも短く設定されている。これにより、蓄電池システム4のフィードバック制御が可能となる。
【0033】
図7は、供給電力量モニタ画面の例である。この画面は、端末8の表示部に表示される。電力管理システム1の制御部12は、端末8の要求に応じて、供給電力量のモニタ情報を送信する。端末8は、この供給電力量のモニタ情報を画面に表示する。供給電力量のモニタ情報とは、PV発電量と蓄電池電力量の現在値、出力抑制値と蓄電池電力量の指令値、制御周期と発電計画パラメータと目標範囲、ならびに各種情報のグラフである。
【0034】
《第2の実施形態》
電力管理システムには、更に負荷が含まれてもよい。第2の実施形態の電力管理システムは、この負荷の需要抑制量を決定するものである。
【0035】
図8は、第2実施形態に係る電力管理システム1Aの構成図である。
電力管理システム1Aは、目標供給電力量入力部11と、制御部12を含んで構成される。電力管理システム1Aは、発電システム3と、蓄電池システム4と、負荷6を統括制御することで、仮想発電所を実現するものである。発電システム3は、ここでは太陽光発電パネルを備えて、太陽光を電力に変換する。蓄電池システム4は、複数の蓄電池を備えて、電力を貯えたり放電する。負荷6は、供給された電力を消費するものである。発電システム3と蓄電池システム4と負荷6は、トランス5を介して電力系統2に接続され、電力系統2に需給調整力を提供する。
【0036】
なお、この電力管理システム1Aと発電システム3と蓄電池システム4と負荷6で構成される仮想発電所は、分オーダ以上の長周期の電力需給インバランスを解消する電力制御システムとして機能する。
目標供給電力量入力部11は、目標とする供給電力量の範囲の入力を受け付けて、この目標とする供給電力量の範囲を制御部12に出力する。
【0037】
制御部12は、記憶部13と、蓄電池電力指令値決定部14と、出力抑制値決定部15と、需要抑制量決定部16を備えている。記憶部13は、発電計画パラメータと制御周期を蓄電池電力指令値決定部14に送信する。蓄電池電力指令値決定部14は、目標とする供給電力量の範囲、PV(PhotoVoltaic)発電量、蓄電池電力量、需要電力量、発電計画パラメータおよび制御周期に基づいて、蓄電池電力指令値を出力する。この蓄電池電力指令値は、出力抑制値決定部15と、蓄電池システム4と、需要抑制量決定部16に出力される。
【0038】
需要抑制量決定部16は、目標とする供給電力量の範囲と蓄電池電力指令値に基づき、負荷6が使用する電力量を抑制した需要抑制量を決定し、負荷6と出力抑制値決定部15に出力する。
出力抑制値決定部15は、目標とする供給電力量の範囲と蓄電池電力指令値と需要抑制量に基づき、出力抑制値を決定し、発電システム3に出力する。
【0039】
図9は、電力管理システム1の前日の処理を示すフローチャートである。
制御部12は、翌日のPV発電量を予測し(ステップS30)、発電計画パラメータに基づき、発電計画を決定する(ステップS31)。そして制御部12は、負荷の需要電力量の計画値を基準値計画として決定する(ステップS32)。制御部12が、発電計画と基準値計画を需給調整市場へ提出すると(ステップS33)、
図9の処理は終了する。
【0040】
基準値計画と当日の需要電力量の差分を需要抑制量と呼び、実効的に供給した電力として、供給電力量へ合算できる。すなわち、第1実施形態の「PV発電量」を「PV発電量と需要抑制量の和」に置き換えることができる。
また需要抑制量は、需要実績量を増やすことによってその値を変化させることができる。したがって、実施例1の「出力抑制後のPV発電量」を、「出力抑制後のPV発電量と調整後の需要抑制量の和」に置き換えることができる。
【0041】
図10は、電力管理システム1の当日の処理を示すフローチャートである。
各対象時間の冒頭にて、目標供給電力量入力部11は、目標供給電力量の範囲を決定する(ステップS40)。そして、発電システム3は、出力抑制せずPV発電する(ステップS41)。制御タイミングにて、制御部12は、PV発電量と需要抑制量の和が目標供給電力量の最小値以上であるか否かを判定する(ステップS42)。
【0042】
蓄電池電力指令値決定部14は、蓄電池への指令値を決定すると(ステップS43)、蓄電池システム4へ蓄電池指令値を指令する(ステップS44)。
需要抑制量決定部16は、需要抑制量を決定すると(ステップS45)、発電システム3へ需要抑制量を指令する(ステップS46)。
【0043】
出力抑制値決定部15は、出力抑制値を決定すると(ステップS47)、発電システム3へ出力抑制値を指令する(ステップS48)。これにより、対象時間の一連の処理が終了する。
【0044】
図11は、電力管理システム1Aの使用電力と供給電力と供給電力量のタイムチャートの一例を示す図である。ここでは、制御タイミングで、総発電量が目標供給電力量範囲の最大値となった場合をグラフで示している。
【0045】
最上段のグラフは、対象時間Tにおける使用電力の時間的変化を示している。実線は、負荷6が使用した電力を示している。なお、制御周期(Δt)は、制御部12が発電システム3と蓄電池システム4と負荷6を制御する周期である。グラフの縦の破線は、制御部12の制御タイミングを示している。
【0046】
中段のグラフは、対象時間Tにおける供給電力の時間的変化を示している。細い実線は、PV発電による供給電力を示している。太い実線は、蓄電池による供給電力量を示している。なお、制御周期(Δt)は、制御部12が発電システム3と蓄電池システム4を制御する周期である。グラフの縦の破線は、制御部12の制御タイミングを示している。
【0047】
最下段のグラフは、対象時間Tにおける供給電力量の時間的変化を示している。細い実線は、PV発電量から使用電力量を減じた電力量を示している。一点鎖線は、出力抑制しないときのPV発電量から未調整の使用電力量を減じた電力量を仮想的に示している。細い破線は、出力抑制後のPV発電量から使用電力量を減じた電力量を示している。粗い破線は、蓄電池の電力量を示している。太実線は、PV発電量と蓄電池の電力量の和から使用電力量を減じた電力量を示している。
【0048】
時間t0とt1にて、出力抑制値決定部15は、発電システム3の出力を抑制しない。そして、需要抑制量決定部16は、負荷6が使用する電力量を抑制する。ここで負荷6が使用する電力は、基準値計画から需要抑制分だけ少ない電力量となる。
【0049】
時間t2にて、供給電力量が最大値に達したので、出力抑制値決定部15は、発電システム3の出力を抑制する。そして需要抑制量決定部16は、負荷6が使用する電力量を抑制しない。更に蓄電池電力指令値決定部14は、蓄電池システム4に、抑制した発電システム3の電力から負荷6が使用する電力を減じた電力を蓄電させる。これにより、電力管理システム1は、対象時間Tにおける供給電力量を、最大値から最小値までの範囲内としている。
【0050】
《第3の実施形態》
第3の実施形態の電力管理システムは、対象時間内で蓄電池が蓄電池電力量分の電力を充電するため、対象時間に入る前に蓄電池へ放電動作を行う。
【0051】
図12は、第3実施形態に係る電力管理システム1Bの構成図である。
電力管理システム1Bは、第1の実施形態と同様の構成に加えて更に、制御部12に充電量決定部17を備えている。
【0052】
充電量決定部17は、PV定格容量、発電計画パラメータ、制御周期、目標供給電力量範囲、対象時間に基づいて、対象時間における蓄電池電力量の合計値を推定する。蓄電池は、蓄電池充電量の上限を超えて充電動作を行うことができない。充電量決定部17は、蓄電池電力量の合計値と、蓄電池充電量の上限から、対象時間開始時の蓄電池充電量として、開始時目標蓄電池充電量を決定する。
【0053】
充電量決定部17は、対象時間前に、開始時目標蓄電池充電量に達するまで、蓄電池システム4に放電動作を行わせる。これにより、対象時間終了まで充電動作を実行することができ、対象時間内における合計蓄電池電力量を蓄電池へもれなく充電できる。
【0054】
図13は、第3実施形態に係る電力管理システム1Bの供給電力と供給電力量と蓄電池充電量のタイムチャートの一例を示す図である。
【0055】
上段のグラフは、対象時間Tとその直前における供給電力の時間的変化を示している。細い実線は、PV発電による供給電力を示している。太い実線は、蓄電池による供給電力量を示している。なお、制御周期(Δt)は、制御部12が発電システム3と蓄電池システム4を制御する周期である。グラフの縦の破線は、制御部12の制御タイミングを示している。
【0056】
中段のグラフは、対象時間Tとその直前における供給電力量の時間的変化を示している。細い実線は、PV発電量を示している。一点鎖線は、出力抑制しないときのPV発電量を仮想的に示している。細い破線は、出力抑制後のPV発電量を示している。粗い破線は、蓄電池の電力量を示している。太実線は、PV発電量と蓄電池の電力量とを合計した電力量を示している。ここでは、出力抑制後のPV発電量を蓄電池の電力量(充電)で打ち消すことで、合計供給電力量を目標供給電力量の範囲に収まるようにしている。
【0057】
下段のグラフは、対象時間Tとその直前における蓄電池充電量の時間的変化を示している。実線は、蓄電池充電量を示している。開始時目標蓄電池充電量は、対象周期の開始時に目標とする蓄電池充電量である。
【0058】
時間t0よりも前に、蓄電池システム4を開始時目標蓄電池充電量まで放電させることで、開始時目標蓄電池充電量から上限値までを充電可能としている。
時間t0とt1にて、出力抑制値決定部15は、発電システム3の出力を抑制しない。時間t2にて、供給電力量が最大値に達したので、出力抑制値決定部15は、発電システム3の出力を抑制する。更に蓄電池電力指令値決定部14は、蓄電池システム4に抑制した発電システム3の電力を蓄電させる。蓄電池システム4の充電量は、開始時目標蓄電池充電量から、その充電量の上限に変化する。これにより、電力管理システム1は、対象時間Tにおける供給電力量を、最大値から最小値までの範囲内としている。
【0059】
《第4の実施形態》
対象時間内における蓄電池電力量を最大化するための制御周期を決定できる。以下、この決定方法について説明する。
【0060】
図14は、第4実施形態に係る電力管理システム1Cの構成図である。
電力管理システム1Cは、第1の実施形態と同様の構成に加えて更に、制御部12に制御周期決定部18を備えている。この制御周期決定部18は、対象時間内における蓄電池電力量を最大化するための制御周期を、式(2)に基づいて決定する。
【数2】
【0061】
第4の実施形態の構成では、制御部12の指令値送信の周期に対して、蓄電池システムの目標値更新の周期が短い場合を考える。この場合、指令値送信の周期から制御周期が決定される。対象時間Tにて出力抑制された場合の、対象時間内におけるPV電力量の合計値を、合計出力抑制後PV発電量とする。この合計出力抑制後PV発電量は、PV定格容量と、発電計画パラメータと、目標供給電力量範囲と、対象時間から算出できる。
【0062】
第3の実施形態にて示した通り、合計蓄電池電力量は、PV定格容量と、発電計画パラメータと、目標供給電力量範囲と、対象時間と、制御周期から算出可能である。つまり、制御周期と合計出力抑制後PV発電量の関係を算出したのち、合計出力抑制後PV発電量から合計蓄電池電力量を決定し、更に制御周期を決定する。
【0063】
図15は、制御周期と電力量の関係を示すグラフである。横軸は、制御周期を示している。縦軸は、電力量を示している。グラフの実線は、合計出力抑制後PV発電量を示している。
合計出力抑制後PV発電量は、原則として制御周期の逆数であるが、制御周期が極めて短く、以下の式(3)の値よりも小さいならば、非出力抑制時の合計PV発電量でクリップされる。
【数3】
【0064】
非出力抑制時の合計PV発電量は、式(4)で表せる。
【数4】
【0065】
合計出力抑制後PV発電量P
PV, curは、式(5)で表せる。
【数5】
【0066】
これを用いることで、例えば、制御周期決定部18は、対象時間内における合計出力抑制後PV発電量および合計蓄電池電力量が最大となる制御周期から、制御部の指令値送信の周期を決定する。これにより、制御部12に要求される制御周期を決定でき、本制御周期を実現するために必要な通信性能、ハード構成を決定できる。
【0067】
《第5の実施形態》
第5の実施形態の電力管理システムは、合計出力抑制後PV発電量から、蓄電池システムの蓄電池容量を決定している。ここで蓄電池システムの蓄電池容量を、合計出力抑制後PV発電量と等しくすると好適である。合計出力抑制後PV発電量は、制御周期を短くしていくと、非出力抑制時の合計PV発電量にクリップされる。
【0068】
図16は、第5実施形態に係る電力管理システム1Dの構成図である。
電力管理システム1Dは、第1の実施形態と同様の構成に加えて更に、制御部12に蓄電池容量決定部191と蓄電池定格出力決定部192を備えている。この蓄電池容量決定部191は、制御周期に基づき、合計出力抑制後PV発電量を決定し、よって最適な蓄電池容量を決定する。蓄電池定格出力決定部192は、制御周期に基づき、最適な定格出力を決定する。
【0069】
第3の実施形態に示した通り、合計蓄電池電力量は、PV定格容量と、発電計画パラメータと、制御周期と、目標供給電力量範囲と、対象時間から推定可能である。
【0070】
図17は、制御周期と電力量の関係を示すグラフである。縦軸は、電力量を示している。横軸は、制御周期を示している。グラフの実線は、合計出力抑制後PV発電量である。このように、合計出力抑制後PV発電量と、蓄電池システムに要求される蓄電池容量は、本システムの制御周期に基づいて決定できる。なお、
図17の実線のうち、非出力抑制時の合計PV発電量よりも小さい領域は、以下の式(6)で表せる。
【数6】
【0071】
蓄電池容量決定部191は、合計蓄電池電力量のグラフに基づいて、式(3)により蓄電池システム4に要求される蓄電池容量を決定する。これにより、蓄電池システム4へ充電される電力量に合わせた蓄電池容量を決定でき、設備構成決定時の指標として用いることができる。
上図の「合計蓄電池電力量」を実現するためには、蓄電池定格出力を大きくする必要がある。蓄電池定格出力決定部192は、蓄電池制御周期と合計蓄電池電力量との関係から、蓄電池に必要な蓄電池定格出力を決定する。
【0072】
図18は、制御周期と定格出力の関係を示すグラフである。縦軸は、定格出力を示している。横軸は、制御周期を示している。グラフの実線は、蓄電池定格出力を示している。このように、蓄電池定格出力は、制御周期に基づいて決定できる。
【0073】
《第6の実施形態》
蓄電池容量に基づいて発電計画パラメータを決定できる。以下、この決定方法について説明する。
【0074】
図19は、第6実施形態に係る電力管理システム1Eの構成図である。
電力管理システム1Eは、第1の実施形態と同様の構成に加えて更に、制御部12に発電計画パラメータ決定部193を備えている。この発電計画パラメータ決定部193は、発電計画パラメータを決定する。
第1の実施形態と同様の構成で説明する。第3の実施形態の通り、合計蓄電池充電量は、PV定格容量と、発電計画パラメータと、目標供給電力量範囲と、対象時間と、制御周期から決定できる。
【0075】
図20は、発電計画パラメータと電力量の関係を示すグラフである。縦軸は、電力量を示している。横軸は、発電計画パラメータを示している。グラフの実線は、合計蓄電池電力量を示している。合計蓄電池電力量は、式(3)に基づいて決定される。ここで、発電計画パラメータ決定部193は、蓄電池システムの蓄電池容量に基づいて、発電計画パラメータを決定する。なお、発電計画パラメータは、発電予測と、発電計画との関係を示すパラメータである。
【0076】
すなわち、発電計画パラメータを決定することで、要求される発電予測精度を決定できる。これにより、電力管理システム1Eに求められる発電予測精度および発電予測手法の検討を行うことが可能である。
【0077】
《第7の実施形態》
需給調整市場における収益を最大化するための設備構成を決定する。
【0078】
図21は、第7実施形態に係る統合電力管理システム7の構成図である。
統合電力管理システム7は、複数の電力管理システム1を束ねて統括制御するシステムである。統合電力管理システム7は、いわゆるクラウドサーバで構成される。
【0079】
第5実施形態にて示した通り、電力管理システム1の合計蓄電池電力量から蓄電池システム4の蓄電池容量を決定できる。電力管理システム1ごとに合計蓄電池電力量を算出することで、発電システム3ごとに割り当てる蓄電池システム4を決定できる。また、複数拠点の電力管理システム1を管理する場合、統合電力管理システム7を介すため、制御周期が変化する場合がある。
【0080】
発電システム3と蓄電池システム4の組み合わせごとに制御周期を求め、この制御周期に基づいて合計蓄電池電力量を算出することで、組み合せごとに蓄電池へと充電される電力量を決定できる。これにより、リスト・パターン作成において、蓄電池へと充電される電力量を最大化するためのリスト・パターン作成方法を提供できる。
【0081】
図22は、第7実施形態に係る統合電力管理システム7の詳細を示す図である。
統合電力管理システム7は、目標供給電力量入力部71と、演算部72を含んで構成される。統合電力管理システム7は、複数の電力管理システム1を統括制御することで、仮想発電所を実現するものである。
【0082】
目標供給電力量入力部71は、目標とする供給電力量の範囲の入力を受け付けて、この目標とする供給電力量の範囲を演算部72に出力する。
演算部72は、記憶部73と、蓄電池電力指令値決定部74と、出力抑制値決定部75と、制御周期決定部76と、合計蓄電池電力量算出部77と、組合せパターン決定部78とを備えている。記憶部73は、発電計画パラメータと制御周期を蓄電池電力指令値決定部74に送信する。蓄電池電力指令値決定部74は、目標とする供給電力量の範囲、PV発電量、蓄電池電力量、発電計画パラメータおよび制御周期に基づいて、蓄電池電力指令値を出力する。
【0083】
制御周期決定部76は、各電力管理システム1の対象時間内における合計蓄電池電力量が最大となる制御周期から、制御部の指令値送信の周期を決定する。
合計蓄電池電力量算出部77は、各電力管理システム1の蓄電池電力量の合計を算出する。組合せパターン決定部78は、各電力管理システム1の発電システム3と蓄電池システム4の組合せパターンを決定する。
【0084】
需給調整市場においては、複数の拠点の発電システム3と蓄電池システム4を束ねて電力取引を行うことができる。複数拠点の発電システム3と蓄電池システム4を組み合わせてリスト・パターンとして登録する。このリスト・パターン内に含まれる発電システム3と蓄電池システム4からの供給電力量合計値を用いて電力取引する。リスト・パターンは複数作成可能であり、リスト・パターンごとに入札を行うことができる。
【0085】
図23は、電力管理システム1の組合せの詳細を示すテーブルである。
組合せパターン欄には、発電システム3とこれに割り当てる蓄電池システム4の組合せパターンが格納される。
【0086】
発電システム名欄から右3列は、発電システムに係る情報が格納されている。発電システム名欄には、発電システムの名前が格納される。その右側の拠点名欄には、発電システム拠点名が格納される。合計出力抑制後PV発電量欄には、この発電システムの合計出力抑制後PV発電量が格納される。
【0087】
割り当てる蓄電池システム欄より右3列は、蓄電池システムに係る情報が格納されている。割り当てる蓄電池システム欄には、蓄電池システムの名前が格納される。その右側の拠点名欄には、蓄電池システム拠点名が格納される。蓄電池容量欄には、この蓄電池システムの容量が格納される。
【0088】
本構成における制御周期欄より右3列は、組合せによる制御結果の情報が格納されている。本構成における制御周期欄には、制御周期が格納される。合計蓄電池容量欄には、蓄電池容量の合計値が格納される。蓄電池へ充電できる合計出力抑制後PV発電量欄には、蓄電池へ充電できる合計出力抑制後PV発電量が格納される。このようなテーブルを参照することで、最適な電力取引が可能となる。
【0089】
(変形例)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば上記した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【0090】
上記の各構成、機能、処理部、処理手段などは、それらの一部または全部を、例えば集積回路などのハードウェアで実現してもよい。上記の各構成、機能などは、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈して実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイルなどの情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)などの記録装置、または、フラッシュメモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)などの記録媒体に置くことができる。
【0091】
各実施形態に於いて、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1,1A~1D 電力管理システム
11 目標供給電力量入力部
12 制御部
13 記憶部
14 蓄電池電力指令値決定部
15 出力抑制値決定部
16 需要抑制量決定部
17 充電量決定部
18 制御周期決定部
2 電力系統
3 発電システム
4 蓄電池システム
5 トランス
6 負荷
8 端末