(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164548
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
G03G15/08 348
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080112
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】門田 憲幸
【テーマコード(参考)】
2H077
【Fターム(参考)】
2H077AA02
2H077AA06
2H077AA35
2H077DA24
2H077DA32
2H077DB18
2H077DB25
2H077GA04
(57)【要約】
【課題】装着された新品のカートリッジのシール部材を装置本体の駆動力により開封することが可能な画像形成装置において、シール部材の開封動作の負荷が過大になることを抑制しつつ、開封動作にかかる時間を短縮する。
【解決手段】駆動力が第1カートリッジおよび複数の第2カートリッジの開封機構に伝達されるカラーモードと、駆動力が第1カートリッジの開封機構に伝達され複数の第2カートリッジの開封機構に伝達されないモノクロモードと、を切り替え可能な切替部を含む駆動手段を有し、(i)新品状態のカートリッジの数が第1の数以下である場合に、カラーモードで駆動手段を動作する第1開封動作を実行可能であり、(ii)新品状態のカートリッジの数が第1の数よりも多い場合に、モノクロモードで駆動手段を動作させた後、カラーモードで駆動手段を動作する、第2開封動作を実行可能である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1カートリッジと、複数の第2カートリッジを着脱可能な画像形成装置であって、前記第1カートリッジと前記複数の第2カートリッジのそれぞれは、トナーを収容するトナー室および前記トナー室に連通する開口部を備える枠体と、前記開口部を封止するように構成されたシール部材と、駆動力を受けて前記シール部材を移動して前記シール部材を開封するように構成された開封機構と、を有し
前記画像形成装置は、
前記駆動力を発生する駆動源と、前記駆動力が前記第1カートリッジおよび前記複数の第2カートリッジの前記開封機構に伝達されるカラーモードと、前記駆動力が前記第1カートリッジの前記開封機構に伝達され、前記複数の第2カートリッジの前記開封機構に伝達されないモノクロモードと、を切り替え可能な切替部と、を含む駆動手段と、
前記駆動手段を制御する制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記第1カートリッジおよび前記複数の第2カートリッジの少なくとも一つが、新品状態のカートリッジである場合に、(i)前記新品状態のカートリッジの数が第1の数以下である場合に、前記カラーモードで前記駆動手段を動作する第1開封動作を実行可能であり、(ii)前記新品状態のカートリッジの数が前記第1の数よりも多い場合に、前記モノクロモードで前記駆動手段を動作させた後、前記カラーモードで前記駆動手段を動作する、第2開封動作を実行可能である、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記新品状態のカートリッジの数が前記第1の数よりも多く、前記新品状態のカートリッジのうち、第1量以上のトナーを収容するカートリッジの数が第2の数よりも多い場合に、前記制御手段は前記第2開封動作を実行し、
前記新品状態のカートリッジの数が前記第1の数よりも多く、前記新品状態のカートリッジのうち、前記第1量以上のトナーを収容するカートリッジの数が前記第2の数以下である場合に、前記制御手段は前記第1開封動作を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1カートリッジと前記複数の第2カートリッジのそれぞれは、カートリッジメモリを有し、
前記制御手段は、前記カートリッジメモリに格納された情報に基づいて、前記第1カートリッジと前記複数の第2カートリッジのそれぞれが新品か否か、および前記第1カートリッジと前記複数の第2カートリッジのそれぞれが前記第1量以上のトナーを有するカートリッジであるか否かを判断する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の数および前記第2の数に関する情報を記憶した本体メモリを有する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記駆動源の種類に応じて、前記1の数、前記第1量、前記第2の数の少なくとも一つが変化する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1カートリッジと前記複数の第2カートリッジのそれぞれは、カートリッジメモリを有し、
前記制御手段は、前記カートリッジメモリに格納された情報に基づいて、前記第1カートリッジと前記複数の第2カートリッジのそれぞれが新品か否かを判断する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記駆動源を第1速度で動作させた状態と、前記駆動源を前記第1速度よりも遅い第2速度で動作させた状態とで、前記第1開封動作を実行可能である、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トナーを収容するトナー室と現像ローラを収容する現像室とを有するカートリッジにおいて、トナー室と現像室とを連通する開口部をシール部材で封止し、使用開始までトナーが現像室に流入しないようにしたものがある。このようなカートリッジを使用する画像形成装置において、新品のカートリッジが装置本体に装着された際に、装置本体からカートリッジに入力される駆動力を利用してシール部材を自動開封する技術がある。イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の複数のカートリッジを装着してカラー印刷が可能な画像形成装置にカートリッジのシール部材の自動開封機構を適用した技術が特許文献1に記載されている。特許文献1の画像形成装置では、カラー画像記録モードにおいてY、M、C、Kの4色全てのカートリッジを駆動し、モノクロ画像記録モードにおいてK色のカートリッジのみ駆動する。そして、装着された新品カートリッジのうちにカラーカートリッジが含まれる場合、カラー画像記録モードで画像形成装置を駆動して当該新品カートリッジのシール部材を開封する。一方、装着された新品カートリッジがK色のみの場合、モノクロ画像記録モードで画像形成装置を駆動して当該新品カートリッジのシール部材を開封する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
新品カートリッジにおいて、輸送時の振動や保管状態によっては、収容するトナーが固まってしまい、シール部材を開封するためのカートリッジの駆動に必要なモータのトルクが、使用時よりも大きくなることがある。そのような新品カートリッジが複数ある場合、複数の新品カートリッジを並列的に駆動してシール部材を開封すると、モータにかかる負荷が過大になる可能性がある。本発明は、装着された新品のカートリッジのシール部材を装置本体の駆動力により開封することが可能な画像形成装置において、シール部材の開封動作の負荷が過大になることを抑制しつつ、開封動作にかかる時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第1カートリッジと、複数の第2カートリッジを着脱可能な画像形成装置であって、前記第1カートリッジと前記複数の第2カートリッジのそれぞれは、トナーを収容するトナー室および前記トナー室に連通する開口部を備える枠体と、前記開口部を封止するように構成されたシール部材と、駆動力を受けて前記シール部材を移動して前記シール部材を開封するように構成された開封機構と、を有し
前記画像形成装置は、
前記駆動力を発生する駆動源と、前記駆動力が前記第1カートリッジおよび前記複数の第2カートリッジの前記開封機構に伝達されるカラーモードと、前記駆動力が前記第1カートリッジの前記開封機構に伝達され、前記複数の第2カートリッジの前記開封機構に伝達されないモノクロモードと、を切り替え可能な切替部と、を含む駆動手段と、
前記駆動手段を制御する制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記第1カートリッジおよび前記複数の第2カートリッジの少なくとも一つが、新品状態のカートリッジである場合に、(i)前記新品状態のカートリッジの数が第1の数以下である場合に、前記カラーモードで前記駆動手段を動作する第1開封動作を実行可能であり、(ii)前記新品状態のカートリッジの数が前記第1の数よりも多い場合に、前記モノクロモードで前記駆動手段を動作させた後、前記カラーモードで前記駆動手段を動作する、第2開封動作を実行可能である、
ことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0006】
装着された新品のカートリッジのシール部材を装置本体の駆動力により開封することが可能な画像形成装置において、シール部材の開封動作の負荷が過大になることを抑制しつつ、開封動作にかかる時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】
図2(a)は画像形成装置のブロック図、
図2(b)は駆動接続モードの遷移図
【
図3】実施例1に係る負荷条件と駆動接続モードの関係を示す図
【
図5】実施例2に係る負荷条件と駆動接続モードの関係を示す図
【
図7】実施例3に係る負荷条件と駆動接続モードの関係を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0009】
(実施例1)
(画像形成装置の構成)
図1は、電子写真方式の画像形成装置の構成を示す断面図であり、
図1を用いて画像形成装置の構成及び基本動作を説明する。画像形成装置1は、複数のプロセスカートリッジ6を着脱可能な装置本体1Aと、装置本体1Aに装着されるプロセスカートリッジ6と、を有する。画像形成装置1は制御部(コントローラ、制御手段)40を有していて、制御部40には画像形成装置1の制御を行うためのCPU31、及びデータ等が記憶されるメモリ32が搭載されている。CPU31は、記録媒体Pの搬送に関わる駆動源の制御や画像形成に関する制御など、画像形成装置1の動作を一括して制御する。
【0010】
画像形成装置1は着脱可能なプロセスカートリッジ6Y(イエロー)、6M(マゼンタ)、6C(シアン)、6K(ブラック)を備えている。これら4つは同一構造であるが、異なる色のトナー(黒色トナー又はカラートナー)による画像を形成する点で相違している。
【0011】
画像形成装置1の装置本体1Aは、プロセスカートリッジ6Y(イエロー)、6M(マゼンタ)、6C(シアン)、6K(ブラック)のそれぞれが取り外し可能に装着される、装着部MY(イエロー)、MM(マゼンタ)、MC(シアン)、MK(ブラック)を有する。プロセスカートリッジ6Kは、第1カートリッジの例であり、プロセスカートリッジ6Y、6M、6Cは複数の第2カートリッジの例である。装着部MKは、第1装着部の例
であり、装着部MY、MM、MCは、プロセスカートリッジ6Y、6M、6Cが装着される第2装着部の例である。
【0012】
以下、必要な場合を除いてY、M、C、Kを省略して表記する。プロセスカートリッジ6は、感光ドラム8、帯電ローラ9、現像ローラ10、トナー供給ローラ11、シール部材17、撹拌部材18、トナー室20、メモリ19を有する。モータ41は4つのプロセスカートリッジ6に与える駆動力を発生する駆動源である。感光ドラム8、帯電ローラ9、現像ローラ10、トナー供給ローラ11、撹拌部材18は、モータ41を駆動源として各々動作する。
【0013】
画像形成装置1は、プロセスカートリッジ6の駆動接続モードを切り替えられるモード切り替え手段(切替部、切替手段)44を有している。画像形成装置1は、モータ41およびモード切り替え手段44を含む駆動手段を有する。制御部40は、駆動手段を制御するように構成されている。
【0014】
(プロセスカートリッジ)
プロセスカートリッジ6は、感光ドラムユニット30及び現像ユニット23を有する。感光ドラムユニット30は、感光ドラム8、帯電ローラ9、クリーニングブレード29を有する。現像ユニット23は、現像室21、トナー室20を備えた現像枠体23a、現像ローラ10等を有する。現像ユニット23は、支持軸(支点)にて揺動可能に感光ドラムユニット30に取り付けられており、バネの押圧力により、現像ローラ10は感光ドラム8に当接している。
【0015】
プロセスカートリッジ6の装置本体1Aへの装着は、プロセスカートリッジ6を装置本体1Aに設けられたプロセスカートリッジガイド(図示せず)に沿って装置本体1A内部へ挿入することにより行われる。プロセスカートリッジ6をガイドに沿って挿入すると、プロセスカートリッジ6は装置本体1A内の所定の位置に位置決めされる。
【0016】
(感光ドラムユニット)
感光ドラムユニット30には、感光ドラム8が備えられ、感光ドラム8は軸受(図示せず)によって回転自在に支持されている。感光ドラム8の周上には、感光ドラム8の表面を一様に帯電させるための帯電ローラ9、及び感光ドラム8上に残ったトナーを除去するためのクリーニングブレード29が配置されている。クリーニングブレード29によって感光ドラム8表面から除去された残留トナーは、廃トナー室35に順次送られる。モータ41の駆動力を伝達することにより、感光ドラム8を画像形成動作に応じて回転駆動させる。
【0017】
感光ドラム8は、例えば直径30mmのアルミシリンダの外周面に有機光導電体層(OPC感光体)を塗布したものである。モータ41の駆動力が感光ドラム8に伝達される。これにより感光ドラム8は回転駆動される。
【0018】
帯電ローラ9は導電性ローラであり、感光ドラム8表面に当接させた状態で帯電バイアス電圧を印加することにより、感光ドラム8表面を一様に帯電させる。
【0019】
(現像ユニット)
現像ユニット23の現像枠体23aには、トナーを収容したトナー室20、現像ローラ10及びトナー供給ローラ11を収容する現像室21、トナー室20および現像室21に連通する開口部22が備えられる。言い換えれば、トナー室20は開口部22を介して現像室21と連通する。現像ローラ10は、回転自在に現像室21に支持されるように現像室21に収容され、感光ドラム8と対向して配置される。現像ローラ10の周上には、現
像ローラ10と接触して回転するトナー供給ローラ11と、現像ブレード36がそれぞれ配置されている。トナー室20内には、収容されたトナーを撹拌するとともにトナー供給ローラ11に搬送するための撹拌部材18が設けられている。トナー室20内のトナーは、撹拌部材18によってトナー供給ローラ11へ送り込まれる。
【0020】
現像時、撹拌部材18によって、収容されたトナーがトナー供給ローラ11へ搬送されると、回転するトナー供給ローラ11が、現像ローラ10にトナーを供給し、現像ローラ10上に担持させる。現像ローラ10上に担持されたトナーは、現像ローラ10の回転に伴い現像ブレード36に至り、現像ブレード36がトナーを規制して、現像ローラ10の表面に所定のトナー薄層に形成される。現像ブレード36によって規制されたトナーには所定の電荷が付与される。
【0021】
現像ローラ10上のトナー薄層は、感光ドラム8と現像ローラ10とが接触した現像部に搬送される。現像部において、図示しない電源から現像ローラ10に直流現像バイアスが印加される。トナーは感光ドラム8の表面に形成されている静電潜像に付着して、潜像を現像する。実施例1では、感光ドラム8と現像ローラ10が接触して感光ドラム8にトナーを付与して現像を行う。このような接触現像方式においては、感光ドラム8は剛体とし、現像ローラ10は弾性体を有するローラとすることが好ましい。この弾性体としては、ソリッドゴム単層やトナーへの帯電付与性を考慮してソリッドゴム層上に樹脂コーティングを施したもの等が用いられる。
【0022】
現像に寄与せずに現像ローラ10の表面に残留したトナーは、現像ローラ10の回転に伴い現像室21内に戻され、トナー供給ローラ11との摺擦部で現像ローラ10から剥離、回収される。回収されたトナーは、撹拌部材18により残りのトナーと撹拌混合される。
【0023】
(シール部材)
シール部材17はプロセスカートリッジ6が新品状態の時に現像ユニット23のトナー室20内のトナーがトナー室20の外に漏れないようにするために開口部22を封止する。シール部材17の一端は、開口部22を覆うように、開口部22の周囲において現像枠体23aに固定されている。本実施形態においては、シール部材17は、現像枠体23aに対して溶着されているが、現像枠体23aに対して接着、もしくは両面テープを介して固定されていてもよい。シール部材17は画像形成装置1の装置本体1Aのモータ41からの駆動力を受けて開口部22を開封可能に構成される。
【0024】
本実施形態においては、開口部22を封止する状態のシール部材17を、装置本体1Aから与えられる駆動力により、人手によらず現像枠体23aから剥離させ、開口部22を開放可能である。本実施形態では、シール部材17を剥離させて開口部22を開放することを、シール部材17を開封する、又は、プロセスカートリッジ6を開封する、等と表現する。
【0025】
シール部材17は、シート状に形成されており、トナー室20と現像室21を連通する開口部22を塞ぐように、現像枠体23aに溶着や接着等の手段により剥離可能に貼り付けられることで開口部22を封止している。開口部22は、横方向(感光ドラム8の回転軸方向)の長さが、長手方向と直交する縦方向の長さよりも長い矩形の開口である。開口部22の形状は一例であり上記の例に限られない。また、シール部材17を溶着する部分の形状は、開口部22を介してトナー室20から現像室21へのトナーの流出を抑制できるものであればよい。
【0026】
(シール部材開封機構)
本実施形態において、シール部材17は折り返され、シール部材17の他端が撹拌軸18aに取り付けられている。シール部材17と撹拌軸18aは、図示しない粘着部材により固定されている。
【0027】
先ず、画像形成装置本体1Aに設けられたモータ41からの駆動力が、後述する駆動伝達手段により、プロセスカートリッジ6の現像ユニット23内の現像ローラ10、トナー供給ローラ11及び撹拌部材18の撹拌軸18aへ伝達される。撹拌部材18の撹拌軸18aが、モータ41によって駆動されると、シール部材17が撹拌軸18aによって巻き取られ、シール部材17が現像枠体23aから剥離される。すなわち、撹拌軸18aは、シール部材17を移動して、剥離するための剥離部材(開封部材、開封機構)としての機能を有する。
【0028】
なお、シール部材17を剥離するための構成は、上記のものに限られない。すなわち、撹拌軸18aと異なる剥離部材をモータ41によって駆動して、シール部材17が剥離されてもよい。また、本実施形態においては、シール部材17が剥離されるときに、シール部材17は現像ユニット23の短手方向に移動される。しかし、シール部材17が剥離されるときに、シール部材17は現像ユニット23の長手方向に移動されるように、剥離部材を配置してもよい。
【0029】
また、シール部材17の構成は、上述したような、1つのシートを折り返して用いるイージーピール方式の他、トナー室20の開口部22を封止するカバーフィルムとカバーフィルムを引き裂くためのテアテープを組み合わせた構成でもよい。また、シール部材17は、シート状の部材に限らず、例えば板状の部材をプロセスカートリッジ6の長手方向(感光ドラム8の軸方向)又は短手方向にスライド移動可能に構成したものでもよい。
【0030】
(メモリ)
プロセスカートリッジ6に搭載されたメモリ(カートリッジメモリ)19は、内部に不揮発性の記憶素子を内蔵しており、画像形成装置1の制御部40との間でデータ通信を行い、データの書き込み、及び、データの読み出しを行うことができる。データ通信の制御は制御部40により行われる。メモリ19は、シール部材17が開封された状態か未開封の新品状態かを示す開封状態の情報や、プロセスカートリッジ6の収容するトナー量の情報等のプロセスカートリッジ6に関する情報を記憶する記憶手段である。
【0031】
プロセスカートリッジ6を画像形成装置1に装着すると、メモリ19と画像形成装置1に設けられた読み書き装置の間で、通信が可能な状態となる。読み書き装置は、メモリ19から読み出した情報を制御部40へ送信し、また制御部40から取得した情報をメモリ19に書き込むことが可能に構成される。
【0032】
(装置本体)
レーザーユニット7は、画像信号に対応して発光されるレーザーダイオードからの光(画像光)を、スキャナモーターによって回転されるポリゴンミラーに照射する。ポリゴンミラーで反射した画像光は、帯電済みの感光ドラム8の表面を結像レンズを介して選択的に露光する。これによって、画像信号に応じた静電潜像を形成する。
【0033】
中間転写ベルト13は、全ての感光ドラム8に対向し、接するように循環移動する。中間転写ベルト13は、駆動ローラ24、従動ローラ25に掛け渡され、
図1の矢印26で示す方向に回動する。
【0034】
中間転写ベルト13の内側に当接して、4個の感光ドラム8に対向した一次転写ローラ12が設けられる。一次転写ローラ12に所定の電圧が印可されることにより、感光ドラ
ム8上のトナー画像が中間転写ベルト13に転写される。
【0035】
複数枚の記録媒体(記録材)Pが給紙カセット2に収容されている。画像形成時には給紙ローラ3、及び、レジストローラ5が画像形成動作に応じて駆動回転する。これによって給紙カセット2内の記録媒体Pを1枚毎分離給送する。そして、記録媒体Pの先端は、レジストローラ5に突き当たり一旦停止する。記録媒体Pは、中間転写ベルト13に転写されたトナー画像との同期をとって、レジストローラ5によって中間転写ベルト13へ給送される。そして、中間転写ベルト13と二次転写ローラ14によって形成される二次転写部において、記録媒体Pに中間転写ベルト13からトナー画像が転写される。
【0036】
定着ユニット15は、記録媒体Pに転写された複数色のトナー画像を定着させるものである。回転する加熱ローラ28と、これに圧接してする加圧ローラ27とを有する。トナー画像を転写された記録媒体Pは、定着ユニット15を通過する際に、加熱ローラ28及び加圧ローラ27で搬送されるとともに熱及び圧力を与えられる。これによって複数色のトナー画像が記録媒体P表面に定着される。
【0037】
(画像形成動作)
先ず、プロセスカートリッジ6が、画像形成のタイミングに合わせて順次駆動される。その駆動に応じて感光ドラム8が回転駆動され、そして、各々のプロセスカートリッジ6に対応するレーザーユニット7が順次駆動される。帯電ローラ9は、感光ドラム8の周面に一様な電荷を付与する。レーザーユニット7は、感光ドラム8の周面に画像信号に応じて露光を行って、感光ドラム8上に静電潜像を形成する。現像ローラ10は、静電潜像を現像する。
【0038】
各色のトナー像は、一次転写ローラ12により中間転写ベルト13上に重ねられる。給紙カセット2から、給紙ローラ3、搬送ローラ4、レジストローラ5により記録媒体Pを搬送する。二次転写ローラ14により、中間転写ベルト13上に形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する。定着ユニット15により記録媒体P上のトナー像は定着され、排紙ローラ16から排出される。
【0039】
(シール部材の開封動作)
プロセスカートリッジ6が画像形成装置1に装着されると、制御部40がメモリ19と通信し、そのプロセスカートリッジ6の開封状態の情報を取得し、装着されたプロセスカートリッジ6が新品状態(未開封状態)か否かを判別する。新品状態であればモータ41を駆動してシール部材17を剥がして開口部22を開封する開封動作を行う。モータ41の駆動力をプロセスカートリッジ6に伝達することにより、モータ41の駆動力を用いて新品状態のプロセスカートリッジ6のシール部材17を自動で開封することができる。シール部材17が開口部22を封止していた位置から剥離され、開口部22が開放されると、メモリ19に開口部22は開放されているという情報を記憶する。
【0040】
なお、画像形成装置1の制御部40がプロセスカートリッジ6の開封状態を判定する方法は、上記のメモリ19に記憶された情報の取得に限らない。例えば、プロセスカートリッジ6の外面に、シール部材17が開口部22を封止している状態で突出し、シール部材17が開封されると折れるように構成した突起部を備える。そして、突起部が突出していることを機械的に検知する機構を装置本体1Aに設ける。プロセスカートリッジ6において突起部が折れて突出しておらず、突起部が検知されないことをもってシール部材17が開封状態であると判定する、といった機械的構成であってもよい。
【0041】
(カラーモードとモノクロモード)
図2(a)はプロセスカートリッジ6の駆動接続モードを切り替える機能を説明するた
めのブロック図である。
【0042】
YMC駆動機構42は、モータ41の駆動力によりプロセスカートリッジ6Y、6M、6Cが駆動されるように、モータ41の駆動力をプロセスカートリッジ6Y、6M、6Cに伝達する。K駆動機構43は、モータ41の駆動力によりプロセスカートリッジ6Kが駆動されるように、モータ41の駆動力をプロセスカートリッジ6Kに伝達する。モード切り替え手段44は、制御部40からの駆動指示に応じて、YMC駆動機構42がプロセスカートリッジ6Y、6M、6Cに対して駆動力を伝達する状態(ON)又は駆動力を伝達しない状態(OFF)を切り替える。また、モード切り替え手段44は、制御部40からの駆動指示に応じて、K駆動機構43がプロセスカートリッジ6Kに対して駆動力を伝達する状態(ON)又は駆動力を伝達しない状態(OFF)を切り替える。モード切り替え手段44はソレノイドを用いて構成できる。また、YMC駆動機構42、K駆動機構43を、それぞれ電磁クラッチなどで構成し、モード切り替え手段44によって、電磁クラッチの動作を制御してもよい。
【0043】
図2(b)に示すように、モード切り替え手段44は、未接続モード45、モノクロモード46、カラーモード47の間でモータ41の駆動力の接続状態(駆動接続モード)を切り替え可能である。未接続モード45では、モータ41の駆動力はいずれのプロセスカートリッジ6にも接続されない。モノクロモード46では、K駆動機構43が黒色トナーを収容するプロセスカートリッジ(黒カートリッジ)6Kのみに駆動力を接続する。このとき、モータ41の駆動力は、プロセスカートリッジ6Kの開封機構である撹拌軸18aに伝達され、3色のプロセスカートリッジ(カラーカートリッジ)6Y、6M、6Cの開封機構である撹拌軸18aに伝達されない。カラーモード47では、YMC駆動機構42及びK駆動機構43が黒カートリッジ6K及びイエロー、マゼンタ、シアンの3色のカラートナーをそれぞれ収容する3色のプロセスカートリッジ(カラーカートリッジ)6Y、6M、6Cに駆動力を接続する。このとき、モータ41の駆動力は、プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kの開封機構である撹拌軸18aに伝達される。
【0044】
駆動接続モードの切り替えは、例えば、初期状態が未接続モード45になっているときに、モータ41を500[rpm]で駆動させた状態で所定時間、モード切り替え手段44をONするとモノクロモード46に移行する。その状態から所定時間、モード切り替え手段44をONするとカラーモード47に移行する。その状態から所定時間、モード切り替え手段44をONすると未接続モード45に移行する。なお、これらモードの切り替えの順番は一例にすぎず、例えば上記の順番と逆でもよい。また、例えば未接続モード45から、カラーモード47またはモノクロモード46に切り替え可能であってもよい。同様に、カラーモード47から未接続モード45またはモノクロモード46に切り替え可能であってもよく、モノクロモード46からカラーモード47または未接続モード45に切り替え可能であってもよい。
【0045】
画像形成装置1がカラーモード47にて画像形成を行う場合には、プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kが駆動される。プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kによって中間転写ベルト13に形成されたカラー画像は、二次転写ローラ14により記録媒体P上に転写され、定着ユニット15にて記録媒体Pに定着される。
【0046】
画像形成装置1がモノクロモード46にて画像形成を行う場合には、プロセスカートリッジ6Kのみが駆動され、プロセスカートリッジ6Y、6M、6Cは駆動されない。プロセスカートリッジ6Kによって中間転写ベルト13に形成されたモノクロ画像は、二次転写ローラ14により記録媒体P上に転写され、定着ユニット15にて記録媒体Pに定着される。
【0047】
(シール部材の開封動作)
実施例1におけるシール部材17の開封動作について説明する。なお、以降の説明では、画像形成装置1に装着される複数のプロセスカートリッジ6のうちには、黒カートリッジ6Kを含む複数の新品状態のプロセスカートリッジ6が含まれるものとする。なお、新品状態のプロセスカートリッジ6が黒カートリッジ6Kのみの場合、プロセスカートリッジ6Y、6M、6Cが駆動しないモノクロモード46でシール部材17を開封するとよい。これによりカラーカートリッジ6Y、6M、6Cの劣化を抑制でき、製品寿命の観点で好ましい。また、新品状態のプロセスカートリッジ6に黒カートリッジ6Kが含まれていない場合、カラーモード47でシール部材17を開封する。
【0048】
実施例1では、制御部40は、複数の新品状態のプロセスカートリッジ6が装置本体1Aに装着された場合に、新品状態のプロセスカートリッジ6の数に基づいて、開封動作を行う。さらに、実施例1では、制御部40は、複数の新品状態のプロセスカートリッジ6が装置本体1Aに装着された場合に、新品状態のプロセスカートリッジ6の数と、新品状態のプロセスカートリッジ6に収容されたトナー量とに基づいて、開封動作を行う。
【0049】
具体的には、制御部40は、新品状態のプロセスカートリッジ6の数に基づいて、第1開封モードと第2開封モードとのいずれかの開封モードでシール部材17を開封するか決定する。さらに、制御部40は、新品状態のプロセスカートリッジ6の数と、新品状態のプロセスカートリッジ6に収容されたトナー量とに基づいて、第1開封モードと第2開封モードとのいずれかの開封モードでシール部材17を開封するか決定する。第1開封モードでは、装着部MY、MM、MC、MKに装着された新品状態のプロセスカートリッジ6のシール部材17が、カラーモードで開封される。第1開封モードでは、装着部MY、MM、MC、MKに装着された複数の新品状態のプロセスカートリッジ6にモータ41の駆動力を与えて、複数の新品状態のプロセスカートリッジ6のシール部材17を開封する。第2開封モードでは、装着部MKに装着された新品状態のプロセスカートリッジ6のシール部材17が、モノクロモードで開封された後、装着部MY、MM、MC、MKに装着された新品状態のプロセスカートリッジ6のシール部材17が、カラーモードで開封される。第2開封モードでは、装着部MKに装着された黒カートリッジ6Kにモータ41の駆動力を与えたのちに、装着部MY、MM、MCに装着された新品状態のプロセスカートリッジ6にモータ41の駆動力を与えることで、複数の新品状態のプロセスカートリッジ6のシール部材17を開封する。
【0050】
制御部40は駆動手段のモータ41およびモード切り替え手段44を制御することにより、黒カートリッジ6Kのみを駆動するモノクロモード46と、全てのカートリッジ6Y、6M、6C、6Kを駆動するカラーモード47とを切り替える。制御部40は、(i)第1開封モード(第1開封動作)では、カラーモード47で複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を開封する。また、(ii)第2開封モード(第2開封動作)では、まずモノクロモード46で新品状態の黒カートリッジ6Kを開封した後、カラーモード47で一又は複数の新品状態のカラーカートリッジを開封する。
【0051】
(負荷条件と開封モード)
図3は、新品状態のプロセスカートリッジ6の数と、新品状態のプロセスカートリッジ6に収容されたトナー量と、に基づいて定まるモータ負荷条件と、開封モードと、の対応関係の一例を示す。
図3において、駆動接続モードが「カラー」となっているものは第1開封モードに対応し、駆動接続モードが「モノクロ→カラー」となっているものは第2開封モードに対応する。
図3において、「モータにかかるトルク」は、当該モータ負荷条件に対応する組み合わせの複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を第1開封モードで並列的に開封するために必要なモータ41の出力を示す。
図3の例では、開封動作時のモータ41の速度が500[rpm]とし、この速度でモータ41が出力可能なトルク(最大
出力)は260[mNm]であるとする。モータ41の速度や最大出力は一例であってこの例に限られない。
【0052】
実施例1では、画像形成装置1に装着可能なプロセスカートリッジ6には収容するトナー量の異なる3種類(大容量、中容量、小容量)があるものとする。大容量のプロセスカートリッジ6の収容するトナー量は、中容量のプロセスカートリッジ6の収容するトナー量より多い。中容量のプロセスカートリッジ6の収容するトナー量は、小容量のプロセスカートリッジ6の収容するトナー量より多い。
【0053】
実施例1では、複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を第1開封モードで並列的に開封するために必要な力が、モータ41が出力可能な力を超える場合、第2開封モードで当該複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を開封する。
【0054】
新品状態のプロセスカートリッジ6の収容するトナー量が多いほど、開封動作に必要なモータ41のトルクが大きくなる。また、新品状態のプロセスカートリッジ6の数が多いほど、第1開封モードで並列的にそれら複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を開封するために必要なモータ41のトルクが大きくなる。実施例1では第1開封モードまたは第2開封モードのいずれを実行するかを、新品状態のプロセスカートリッジ6の数、および、新品状態のプロセスカートリッジ6のうち収容するトナー量が所定量(第1量)以上であるプロセスカートリッジ6の数に基づき判定する。
【0055】
すなわち、制御部40は、複数の新品状態のプロセスカートリッジ6が所定の数(第1の数)以下である場合に、第1開封モードを選択する。これにより制御部40は第1開封動作を実行可能である。制御部40は、複数の新品状態のプロセスカートリッジ6が所定の数(第1の数)よりも多い場合に、第2開封モードを選択することが可能である。これにより制御部40は第2開封動作を実行可能である。複数の新品状態のプロセスカートリッジ6が所定の数(第1の数)よりも多い場合であって、収容するトナー量が所定量(第1量)以上であるプロセスカートリッジ6の数が所定の数(第2の数)よりも多い場合に、第2開封モードが選択される。複数の新品状態のプロセスカートリッジ6が所定の数(第1の数)よりも多い場合であって、収容するトナー量が所定量(第1量)以上であるプロセスカートリッジ6の数が所定の数(第2の数)以下である場合に、第1開封モードが選択される。
【0056】
つまり、収容するトナー量が所定量(第1量)以上であるプロセスカートリッジ6が所定の数(第2の数)より多い場合、第2開封モードでそれら複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を開封する。それ以外の場合、複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を第1開封モードで開封する。
【0057】
実施例1の場合、モータ41の最大出力が260[mNm]である。そうすると、トナー量が中容量以上の新品状態のプロセスカートリッジ6が4本以上ある場合(負荷条件番号1、2)、当該新品状態のプロセスカートリッジ6を第1開封モードで並列的に開封するために必要な力(トルク)が、モータ41の最大出力を超える。トナー量によらず新品状態のプロセスカートリッジ6の本数が3本以下の場合(負荷条件番号3-6、8、9)、当該新品状態のプロセスカートリッジ6を第1開封モードで開封するために必要な力は、モータ41のトルクは最大出力以下となる。また、トナー量が小容量の場合、新品状態のプロセスカートリッジ6の本数によらず、当該新品状態のプロセスカートリッジ6を第1開封モードで開封するために必要な力は、モータ41の最大出力以下となる(負荷条件番号7-9)。
【0058】
したがって、
図3の例では、収容するトナー量が所定量以上であるプロセスカートリッ
ジ6とは、中容量、大容量のプロセスカートリッジ6である。新品状態のプロセスカートリッジ6の本数が、第1の数である3より多い場合に、第2開封モードが選択され得る。新品状態のプロセスカートリッジ6の本数が3より多い(4である)場合、かつ、新品状態のプロセスカートリッジ6のうち、中容量または大容量のプロセスカートリッジ6の数が3より多い(4である)場合、第2開封モードが選択される。
【0059】
図3の例では、負荷条件番号1、2の場合、第2開封モードで複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を開封する。すなわち、モノクロモード46でプロセスカートリッジ6Kのシール部材17を開封した後、カラーモード47で残りの3つのプロセスカートリッジ6のシール部材17を開封し、複数回に分けて新品状態の複数のプロセスカートリッジ6を開封する。負荷条件番号3-9の場合、第1開封モードで複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を開封する。すなわち、カラーモード47で黒カートリッジ6Kを含む複数のプロセスカートリッジ6の全てのシール部材17を並列的に開封する。
【0060】
モータ41の最大出力は実施例1の数値に限られるものではなく、プロセスカートリッジ6の構成による。
図3において駆動接続モードがモノクロモード46の後にカラーモード47となる負荷条件番号についても、プロセスカートリッジ6の構成等の条件による。
【0061】
例えば、第1の数は3よりも少なくてもよい。また、新品状態のプロセスカートリッジ6の本数が第1の数よりも多い場合に、プロセスカートリッジ6の種類(小容量、中容量、大容量)によらずに、第2開封モードを選択してもよい。つまり、新品状態のプロセスカートリッジ6の数が第1の数よりも多い場合に、常に第2開封モードが選択されてもよい。この場合、新品状態のプロセスカートリッジ6のうち、第1量以上のプロセスカートリッジの数が第2の数よりも多いか否かの判断を、省略することができる。
【0062】
さらに、第1の数と第2の数は同じでなくてもよい。例えば、第1の数が3である場合に、第2の数が1または2であってもよい。第1の数が3、第2の数が1である場合には、新品状態のプロセスカートリッジ6の本数が4、新品状態のプロセスカートリッジ6のうち、中容量または大容量のプロセスカートリッジ6の数が1より多い(2~3である)場合、第2開封モードが選択される。一方、新品状態のプロセスカートリッジ6の本数が4、新品状態のプロセスカートリッジ6のうち、中容量または大容量のプロセスカートリッジ6の数が1である場合、第1開封モードが選択される。
【0063】
(開封処理の流れ)
次に実施例1の新品のプロセスカートリッジ6のシール部材17の開封処理を
図4のフローチャートを用いて説明する。
【0064】
ステップS10において、制御部40は、プロセスカートリッジ6のメモリ19から装着されたプロセスカートリッジ6のトナー量の情報と、開封状態の情報と、を取得する。
【0065】
ステップS11において、制御部40は、ステップS10で取得した情報に基づき、装着されたプロセスカートリッジ6のうちに新品状態のものがあるか判定する。つまり、制御部40は、プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kのそれぞれが新品か否かを、メモリ19に格納された情報に基づいて判断する。新品状態のプロセスカートリッジ6が複数ある場合(ステップS11:Yes)、ステップS12の処理を実行する。新品状態のプロセスカートリッジ6がない場合(ステップS11:No)、開封処理を終了する。新品状態のプロセスカートリッジ6が1本だけある場合については後述する。
【0066】
ステップS12において、制御部40は、ステップS10で取得した情報に基づき、装着されたプロセスカートリッジ6のうちに新品状態でトナー量が大容量又は中容量のもの
が4本以上あるか判定する。より具体的には、制御部40は、プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kのそれぞれが第1量以上のトナーを有するプロセスカートリッジ6であるか否かを、メモリ19に格納された情報に基づいて判断する。つまり、ステップS1
2においては、新品状態のプロセスカートリッジ6の数が第1の数よりも多いか否か、かつ、新品状態のプロセスカートリッジ6のうち、第1量以上のプロセスカートリッジ6の数が第2の数よりも多いか否かが判断される。
【0067】
新品状態でトナー量が大容量又は中容量のものが4本以上ある場合(ステップS12:Yes)、制御部40は、第2開封モードで複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を開封する。すなわち、ステップS13を実行し、モノクロモード46で黒カートリッジ6Kのシール部材17を開封する。その後、ステップS14において、カラーモード47に移行して、残りのカラーカートリッジ6のシール部材17を開封する。
【0068】
新品状態でトナー量が大容量又は中容量のものが4本以上ない場合(ステップS12:No)、制御部40は、第1開封モードで複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を開封する。すなわち、ステップS14を実行し、カラーモード47でプロセスカートリッジ6を駆動することで、新品状態のプロセスカートリッジ6のシール部材17を全て並列的に開封する。なお、本実施形態においては、第1開封モードの少なくとも一部の期間において、プロセスカートリッジ6Y、6M,6C、6Kの撹拌軸18aが同時に回転される。
【0069】
なお、新品状態のプロセスカートリッジ6が1本のみの場合、ステップS12からステップS14に移行し、当該1本の新品状態のプロセスカートリッジ6をカラーモード47で開封し、処理を終了する。また、1本の新品状態のプロセスカートリッジ6が黒カートリッジ6Kである場合は、ステップS12からステップS13に移行し、当該黒カートリッジ6Kをモノクロモード46で開封し、処理を終了する。
【0070】
このように新品状態のプロセスカートリッジ6の全てを並列的に開封した場合に必要な力が、モータ41の最大出力を超える条件でのみ、開封動作を分割して実施する(第2開封モードでの開封動作を実行する)ことが実施例1の特徴的な点である。これにより、新品状態のプロセスカートリッジ6が多数ある場合でも、シール部材17の開封動作の負荷が過大になることを抑制することができる。また、新品状態のプロセスカートリッジ6のうちにトナー量の多いものが多数ある場合でも、シール部材17の開封動作の負荷が過大になることを抑制することができる。また、新品状態のプロセスカートリッジ6のうちにトナー量の多いものが少ない場合や、新品状態のプロセスカートリッジ6の本数が少ない場合は、不必要に開封動作を分割しない。そのため、開封処理にかかる時間を短縮することができる。このようにモータ負荷条件に基づいて開封モードを決めることで、開封処理が複数回に分けて行われる頻度を低減することができる。
【0071】
なお、実施例1で例示した
図3の新品状態のプロセスカートリッジ6のトナー量及び本数と開封モードとの対応関係は、新品状態のプロセスカートリッジ6のトナー量が全て同じであることを前提にしている。しかしながら、トナー量が異なる複数の新品状態のプロセスカートリッジ6が装着される場合にも本発明は適用できる。その場合、種々のトナー量と本数の組み合わせについて
図3と同様に開封モードとの対応関係を予め設定してメモリ(本体メモリ)32に記憶しておけばよい。また、実施例1ではプロセスカートリッジ6のトナー量の種類が大容量・中容量・小容量の3種類の場合を例示したが、トナー量の種類はこの例に限らない。装着され得るプロセスカートリッジ6のトナー量の種類に応じて
図3のような開封モードとの対応関係を定めておけばよい。
【0072】
新品状態のプロセスカートリッジ6の数と、新品状態のプロセスカートリッジ6に収容
されたトナー量と、開封モードと、の予め定められた対応関係の情報は、
図3のようなテーブルとして制御部40のメモリ32に記憶しておくことができる。そして、制御部40は、新品状態のプロセスカートリッジ6が装着され、シール部材17の開封処理を行う場合に、メモリ32のテーブルを参照して開封モードを決定するようにしてもよい。つまり、第1の数に関する情報は、メモリ32に記憶しておくことができる。また、第2の数に関する情報もメモリ32に記憶しておくことができる。
【0073】
(実施例2)
実施例2では、新品状態のプロセスカートリッジ6の数と、トナー量と、モータ41の最大出力と、に基づいて開封モードを決定する例を説明する。以下、実施例1と共通する内容については詳細な説明は省略する。
【0074】
実施例2の画像形成装置1は、プロセスカートリッジ6を着脱可能な複数種類の画像形成装置の1つで、同じくプロセスカートリッジ6を着脱可能な他の種類の画像形成装置とは、少なくともモータ41の最大出力が異なるものとする。モータ41として想定されるモータには第1種類のモータAと、第1種類と異なる第2種類のモータBの2種類あり、モータAの最大出力(トルク)はモータBの最大出力(トルク)より大きいものとする。制御部40は、モータ41から最大出力に関する情報又はモータ41がモータAとモータBのいずれであるかの情報を取得する。例えば、モータ41から制御部40に対して送られる信号の論理がHighであればモータA、LowであればモータBと判定する。
【0075】
図5(a)はモータAの場合のモータ負荷条件と開封モードとの対応関係の一例を示し、
図5(b)はモータBの場合のモータ負荷条件と開封モードとの対応関係の一例を示す。ここでは、開封動作時のモータ41の速度を500[rpm]とし、この速度でのモータAの最大出力(トルク)が280[mNm]、モータBの最大出力(トルク)が260[mNm]であるとする。モータ41の速度や最大出力は一例であってこの例に限られない。
【0076】
実施例1と同様、複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を第1開封モードで並列的に開封するために必要な力が、モータ41の最大出力を超える場合、第2開封モードで複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を複数回に分けて開封する。実施例2では、新品状態のプロセスカートリッジ6の数と、それに含まれる第1量以上のプロセスカートリッジ6の数に加えて、モータ41の種類(タイプ)に応じて、第1開封モードでシール部材17を開封するか、第2開封モードでシール部材17を開封するかを決定する。
【0077】
上述のように、モータAの最大出力(トルク)は280[mNm]である。モータ41がモータAである場合(
図5(a))では、トナー量が大容量以上の新品状態のプロセスカートリッジ6が4本以上ある場合(負荷条件番号1)、当該新品状態のプロセスカートリッジ6を第1開封モードで並列的に開封するために必要な力(トルク)がモータAの最大出力を超える。一方、トナー量によらず新品状態のプロセスカートリッジ6の本数が3本以下の場合(負荷条件番号3-6、8、9)、当該新品状態のプロセスカートリッジ6を第1開封モードで開封するために必要な力は、モータAの最大出力以下となる。また、トナー量が中容量以下の場合、新品状態のプロセスカートリッジ6の本数によらず、当該新品状態のプロセスカートリッジ6を第1開封モードで開封するために必要な力は、モータAの最大出力以下となる(負荷条件番号2、4、6-9)。したがって、
図5(a)の例では、新品状態のプロセスカートリッジ6の数が4であり、そのすべてが大容量のプロセスカートリッジ6である場合のみ、第2開封モードでシール部材17が開封される。
【0078】
図5(a)の例では、負荷条件番号1の場合、第2開封モードで複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を開封する。すなわち、モノクロモード46でプロセスカートリッジ
6Kのシール部材17を開封した後、カラーモード47で残りの3つのプロセスカートリッジ6のシール部材17を開封する。負荷条件番号2-9の場合、第1開封モードで複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を開封する。すなわち、カラーモード47で黒カートリッジ6Kを含む複数のプロセスカートリッジ6の全てのシール部材17を並列的に開封する。
【0079】
上述のように、モータBの最大出力(トルク)は260[mNm]である。モータ41がモータBである場合(
図5(b))では、トナー量が中容量以上の新品状態のプロセスカートリッジ6が4本以上ある場合(負荷条件番号1、2)、当該新品状態のプロセスカートリッジ6を第1開封モードで並列的に開封するために必要な力がモータBの最大出力を超える。トナー量によらず新品状態のプロセスカートリッジ6の本数が3本以下の場合(負荷条件番号3-6、8、9)、当該新品状態のプロセスカートリッジ6を第1開封モードで開封するために必要な力は、モータBの最大出力以下となる。また、トナー量が小容量の場合、新品状態のプロセスカートリッジ6の本数によらず、当該新品状態のプロセスカートリッジ6を第1開封モードで開封するために必要な力は、モータBの最大出力以下となる(負荷条件番号7-9)。したがって、
図5(b)の例では、新品状態のプロセスカートリッジ6の数が4であり、そのすべてが中容量または大容量のプロセスカートリッジ6である場合のみ、第2開封モードでシール部材17が開封される。
【0080】
図5(b)の例では、負荷条件番号1、2の場合、第2開封モードで複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を開封する。すなわち、モノクロモード46でプロセスカートリッジ6Kのシール部材17を開封した後、カラーモード47で残りの3つのプロセスカートリッジ6のシール部材17を開封し、複数回に分けて新品状態の複数のプロセスカートリッジ6を開封する。負荷条件番号3-9の場合、第1開封モードで複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を開封する。すなわち、カラーモード47で黒カートリッジ6Kを含む複数のプロセスカートリッジ6の全てのシール部材17を並列的に開封する。
【0081】
(開封処理の流れ)
次に実施例2の新品のプロセスカートリッジ6のシール部材17の開封処理を
図6のフローチャートを用いて説明する。実施例1と同様の処理については実施例1と同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0082】
ステップS20において、制御部40は、プロセスカートリッジ6のメモリ19から装着されたプロセスカートリッジ6のトナー量の情報と、開封状態の情報と、を取得する。また、制御部40は、モータ41から最大出力の情報(モータAとモータBのいずれであるかの情報)を取得する。
【0083】
ステップS21において、制御部40は、ステップS20で取得した情報に基づき、装着されたプロセスカートリッジ6のうちに新品状態のものがあるか判定する。新品状態のプロセスカートリッジ6が複数ある場合(ステップS21:Yes)、ステップS22の処理を実行する。新品状態のプロセスカートリッジ6がない場合(ステップS21:No)、開封処理を終了する。新品状態のプロセスカートリッジ6が1本だけある場合については後述する。
【0084】
ステップS22において、制御部40は、ステップS20で取得した情報に基づき、モータ41がモータAとモータBのいずれであるか判定する。モータAであることが検知された場合、ステップS23を実行し、モータBであることが検知された場合、ステップS24を実行する。
【0085】
(モータA)
ステップS23において、制御部40は、ステップS20で取得した情報に基づき、装着されたプロセスカートリッジ6のうちに新品状態でトナー量が大容量のものが4本以上あるか判定する。つまり、ステップS23においては、新品状態のプロセスカートリッジ6の数が第1の数である3よりも多いか否か、かつ、新品状態のプロセスカートリッジ6のうち、第1量(この場合は大容量)以上のプロセスカートリッジ6の数が第2の数である3よりも多いか否かが判断される。
【0086】
新品状態でトナー量が大容量のものが4本以上ある場合(ステップS23:Yes)、制御部40は、第2開封モードで複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を開封する。すなわち、ステップS25を実行し、モノクロモード46で黒カートリッジ6Kのシール部材17を開封する。その後、ステップS26において、カラーモード47に移行して、残りのカラーカートリッジ6のシール部材17を開封する。
【0087】
新品状態でトナー量が大容量のものが4本以上ない場合(ステップS23:No)、制御部40は、第1開封モードで複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を開封する。すなわち、ステップS26を実行し、カラーモード47でプロセスカートリッジ6を駆動することで、新品状態のプロセスカートリッジ6のシール部材17を全て並列的に開封する。
【0088】
(モータB)
ステップS24において、制御部40は、ステップS20で取得した情報に基づき、装着されたプロセスカートリッジ6のうちに新品状態でトナー量が中容量または大容量のものが4本以上あるか判定する。つまり、ステップS24においては、新品状態のプロセスカートリッジ6の数が第1の数である3よりも多いか否か、かつ、新品状態のプロセスカートリッジ6のうち、第1量(この場合は中容量)以上のプロセスカートリッジ6の数が第2の数である3よりも多いか否かが判断される。
【0089】
新品状態でトナー量が大容量又は中容量のものが4本以上ある場合(ステップS24:Yes)、制御部40は、第2開封モードで複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を開封する。すなわち、ステップS25を実行し、モノクロモード46で黒カートリッジ6Kのシール部材17を開封する。その後、ステップS26において、カラーモード47に移行して、残りのカラーカートリッジ6のシール部材17を開封する。
【0090】
新品状態でトナー量が大容量又は中容量のものが4本以上ない場合(ステップS24:No)、制御部40は、第1開封モードで複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を開封する。すなわち、ステップS26を実行し、カラーモード47でプロセスカートリッジ6を駆動することで、新品状態のプロセスカートリッジ6のシール部材17を全て並列的に開封する。
【0091】
なお、新品状態のプロセスカートリッジ6が1本のみの場合、それがカラーカートリッジであればステップS26を実行し、当該プロセスカートリッジ6をカラーモード47で開封し、処理を終了する。また、1本の新品状態のプロセスカートリッジ6が黒カートリッジ6Kである場合は、ステップS25を実行し、当該プロセスカートリッジ6をモノクロモード46で開封し、処理を終了する。
【0092】
なお、モータ41の種類に応じて、第1の数、第2の数の少なくとも一つを変えてもよい。つまり、モータ41の種類に応じて、第1の数、第1量、第2の数の少なくとも一つが変化することができる。実施例2によれば、モータ41の種類(最大出力)毎にモータ負荷条件(新品状態のプロセスカートリッジ6のトナー量と本数)と開封モードとの対応関係を定めることで、装置本体1Aに搭載されるモータ41に適した開封モードを決定す
ることができる。これにより、同型のプロセスカートリッジ6を装着可能な画像形成装置であって搭載するモータ41の最大出力が異なる複数種類の画像形成装置がある場合に、搭載するモータ41に適した開封モードを決定することができる。実施例2によれば、より効果的に、シール部材17の開封動作の負荷が過大になることを抑制しつつ開封処理にかかる時間を短縮することができる。
【0093】
なお、実施例2ではモータ41の種類(最大出力)の判定方法として、モータ41と制御部40の間で通信される信号の論理に基づく方法を例示したが、これに限られない。例えば、モータ41の種類毎に異なる特性(巻線のインダクタンス値や抵抗値等)に基づき、巻線に流れる電流ピーク値を取得し、それに基づいて判定してもよい。また、予めモータ41の最大出力を測定しておいて、メモリ32に測定値を記憶させておき、開封処理の実行前にCPU31がメモリ32から当該測定値を読み出す。最大出力の測定値が所定の閾値以上であればモータA、閾値未満であればモータBと判定する方法でもよい。また、新品状態のプロセスカートリッジ6の数と、新品状態のプロセスカートリッジ6に収容されたトナー量と、モータ41の最大出力と、開封モードと、の予め定められた対応関係の情報を
図5のようなテーブルとして制御部40のメモリ32に記憶しておくこともできる。つまり、モータ41の種類に関する情報を、メモリ32に記憶しておくことができる。そして、制御部40は、新品状態のプロセスカートリッジ6が装着され、シール部材17の開封処理を行う場合に、メモリ32のテーブルを参照して開封モードを決定するようにしてもよい。
【0094】
(実施例3)
実施例3では、新品状態のプロセスカートリッジ6の数と、トナー量と、モータ41の最大出力と、に基づいて、開封モードとモータ41の速度を決定する例を説明する。実施例3では、モータ41は速度を変更可能なモータであるとする。以下、実施例1、2と共通する内容については詳細な説明を省略する。
【0095】
(モータ速度の切り替え)
一般的にモータにかかるトルクが大きいほど、モータ41の速度を低くして駆動する必要があり、トルクが小さいほど速度を高くして駆動することが可能である。実施例3では、開封動作時のモータ41の速度は2つ種類があるものとし、低い側の速度を500[rpm]、高い側の速度を1000[rpm]とする。なお、モータ41の速度は一例であり、変更(設定)可能な速度の種類は2種類に限られない。
【0096】
図7(a)はモータAの場合のモータ負荷条件と開封モードとの対応関係の一例を示し、
図7(b)はモータBの場合のモータ負荷条件と開封モードとの対応関係の一例を示す。実施例2と同様、速度500[rpm]の条件において、モータAの最大出力(トルク)が280[mNm]、モータBの最大出力(トルク)が260[mNm]であるとする。
【0097】
実施例3では、実施例1と同様、複数の新品状態のプロセスカートリッジ6のうちに、収容するトナー量が所定量(第1量)以上であるプロセスカートリッジ6の数が所定数(第2の数)より多い場合、第2開封モードでそれら複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を開封する。それ以外の場合、複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を第1開封モードで開封する。また、実施例2と同様、モータ41の種類に応じて、第1の数、第1量、第2の数の少なくとも一つを変えることができる。
【0098】
さらに、実施例3では、複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を第1開封モードで並列的に開封する場合に、モータ41の速度を第1速度1000[rpm]と、第1速度よりも遅い第2速度500[rpm]が切り替えられる。モータ41の速度が第1速度1
000[rpm]である場合、モータAの最大出力は260[mNm]であり、モータBの最大出力は220[mNm]である。
【0099】
図7(a)はモータ41の種類がモータAである場合の負荷条件を示す。ここでは、トナー量が中容量以上の新品状態のプロセスカートリッジ6が4本以上ある場合(負荷条件番号1、2)、当該新品状態のプロセスカートリッジ6を第1開封モードで並列的に開封するために必要な力がモータ41の最大出力を超える。それ以外の場合(負荷条件番号3-9)、当該新品状態のプロセスカートリッジ6を第1開封モードで並列的に開封するために必要な力がモータ41の最大出力以下となる。したがって、負荷条件番号1、2ではモータ41は低速(500rpm)で駆動され、負荷条件番号3-9ではモータ41は高速(1000rpm)で駆動される。なお、負荷条件と開封モードとの対応関係は実施例2の
図5(a)と同様である。したがって、負荷条件番号1の場合、第2開封モードかつ低速で開封処理を行う。すなわち、モノクロモード46、500[rpm]でプロセスカートリッジ6Kのシール部材17を開封した後、カラーモード47、500[rpm]で残りのプロセスカートリッジ6を開封する。負荷条件番号2の場合、第1開封モードかつ低速で開封処理を行う。すなわち、カラーモード47、500[rpm]で全ての新品状態のプロセスカートリッジ6を並列的に開封する。また、負荷条件番号3-9の場合、第1開封モードかつ高速で開封処理を行う。すなわち、カラーモード47、1000[rpm]で全ての新品状態のプロセスカートリッジ6を並列的に開封する。
【0100】
図7(b)はモータ41の種類がモータBである場合の負荷条件を示す。ここでは、トナー量が中容量以上の新品状態のプロセスカートリッジ6が3本以上ある場合(負荷条件番号1-4)、当該新品状態のプロセスカートリッジ6を第1開封モードで並列的に開封するために必要な力がモータ41の最大出力を超える。それ以外の場合(負荷条件番号5-9)、当該新品状態のプロセスカートリッジ6を第1開封モードで並列的に開封するために必要な力がモータ41の最大出力以下となる。したがって、負荷条件番号1-4ではモータ41は低速(500rpm)で駆動され、負荷条件番号5-9ではモータ41は高速(1000rpm)で駆動される。なお、負荷条件と開封モードとの対応関係は実施例2の
図5(b)と同様である。したがって、負荷条件番号1、2の場合、第2開封モードかつ低速で開封処理を行う。すなわち、モノクロモード46、500[rpm]でプロセスカートリッジ6Kのシール部材17を開封した後、カラーモード47、500[rpm]で残りのプロセスカートリッジ6を開封する。負荷条件番号3、4の場合、第1開封モードかつ低速で開封処理を行う。すなわち、カラーモード47、500[rpm]で全ての新品状態のプロセスカートリッジ6を並列的に開封する。また、負荷条件番号5-9の場合、第1開封モードかつ高速で開封処理を行う。すなわち、カラーモード47、1000[rpm]で全ての新品状態のプロセスカートリッジ6を並列的に開封する。
【0101】
(開封処理の流れ)
次に実施例3の新品のプロセスカートリッジ6のシール部材17の開封処理を
図8のフローチャートを用いて説明する。実施例1、2と同様の処理については実施例1と同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0102】
ステップS30において、制御部40は、プロセスカートリッジ6のメモリ19から装着されたプロセスカートリッジ6のトナー量の情報と、開封状態の情報と、を取得する。また、制御部40は、モータ41から最大出力の情報(モータAとモータBのいずれであるかの情報)を取得する。
【0103】
ステップS31において、制御部40は、ステップS30で取得した情報に基づき、装着されたプロセスカートリッジ6のうちに新品状態のものがあるか判定する。新品状態のプロセスカートリッジ6が複数ある場合(ステップS31:Yes)、ステップS32の
処理を実行する。新品状態のプロセスカートリッジ6がない場合(ステップS31:No)、開封処理を終了する。新品状態のプロセスカートリッジ6が1本だけある場合については後述する。
【0104】
ステップS32において、制御部40は、ステップS30で取得した情報に基づき、モータ41がモータAとモータBのいずれであるか判定する。モータAであることが検知された場合、ステップS33を実行し、モータBであることが検知された場合、ステップS35を実行する。
【0105】
(モータA)
ステップS33において、制御部40は、ステップS30で取得した情報に基づき、装着されたプロセスカートリッジ6のうちに新品状態でトナー量が大容量のものが4本以上あるか判定する。
【0106】
新品状態でトナー量が大容量のものが4本以上ある場合(ステップS33:Yes)、制御部40は、第2開封モードかつ低速で複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を開封する。すなわち、ステップS37を実行し、モノクロモード46かつ500rpmで黒カートリッジ6Kのシール部材17を開封する。その後、ステップS38において、カラーモード47かつ低速500rpmで残りのカラーカートリッジ6のシール部材17を並列的に開封する。
【0107】
新品状態でトナー量が大容量のものが4本以上ない場合(ステップS33:No)、制御部40は、ステップS34を実行する。
【0108】
ステップS34において、制御部40は、ステップS30で取得した情報に基づき、装着されたプロセスカートリッジ6のうちに新品状態でトナー量が中容量以上のものが4本以上あるか判定する。
【0109】
新品状態でトナー量が中容量以上のものが4本以上ある場合(ステップS34:Yes)、制御部40は、第1開封モードかつ低速で複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を開封する。すなわち、ステップ38において、カラーモード47かつ500rpmで複数のプロセスカートリッジ6のシール部材17を並列的に開封する。
【0110】
新品状態でトナー量が中容量以上のものが4本以上ない場合(ステップS34:No)、制御部40は、第1開封モードかつ高速で複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を開封する。すなわち、ステップS39において、カラーモード47かつ1000rpmで複数のプロセスカートリッジ6のシール部材17を並列的に開封する。
【0111】
(モータB)
ステップS35において、制御部40は、ステップS30で取得した情報に基づき、装着されたプロセスカートリッジ6のうちに新品状態でトナー量が中容量以上のものが4本以上あるか判定する。
【0112】
新品状態でトナー量が中容量以上のものが4本以上ある場合(ステップS35:Yes)、制御部40は、第2開封モードかつ低速で複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を開封する。すなわち、ステップS37を実行し、モノクロモード46かつ500rpmで黒カートリッジ6Kのシール部材17を開封する。その後、ステップS38において、カラーモード47かつ低速500rpmで残りのカラーカートリッジ6のシール部材17を並列的に開封する。
【0113】
新品状態でトナー量が中容量以上のものが4本以上ない場合(ステップS35:No)、制御部40は、ステップS36を実行する。
【0114】
ステップS36において、制御部40は、ステップS30で取得した情報に基づき、装着されたプロセスカートリッジ6のうちに新品状態でトナー量が中容量以上のものが3本以上あるか判定する。
【0115】
新品状態でトナー量が中容量以上のものが3本以上ある場合(ステップS36:Yes)、制御部40は、第1開封モードかつ低速で複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を開封する。すなわち、ステップ38において、カラーモード47かつ500rpmで複数のプロセスカートリッジ6のシール部材17を並列的に開封する。
【0116】
新品状態でトナー量が中容量以上のものが3本以上ない場合(ステップS36:No)、制御部40は、第1開封モードかつ高速で複数の新品状態のプロセスカートリッジ6を開封する。すなわち、ステップS39において、カラーモード47かつ1000rpmで複数のプロセスカートリッジ6のシール部材17を並列的に開封する。
【0117】
なお、新品状態のプロセスカートリッジ6が1本のみの場合、それがカラーカートリッジであればステップS39を実行し、当該プロセスカートリッジ6をカラーモード47かつ高速で開封し、処理を終了する。また、1本の新品状態のプロセスカートリッジ6が黒カートリッジ6Kである場合は、
図8には図示していないが、当該プロセスカートリッジ6をモノクロモード46かつ高速で開封し、処理を終了する。
【0118】
実施例3によれば、新品状態のプロセスカートリッジ6の数及び収容されたトナー量と、モータ41の種類(最大出力)と、モータ41の速度と、開封モードと、の予め定められた対応関係に基づき、開封モード及びモータ41の速度を決定する。これにより、モータ41を高速で動作させることが可能な低負荷条件では、シール部材17の開封時間をより短縮できる。
【0119】
新品状態のプロセスカートリッジ6の数及び収容されたトナー量と、モータ41の最大出力と、開封モードと、モータ速度と、の予め定められた対応関係の情報は、
図7のようなテーブルとして制御部40のメモリ32に記憶しておくことができる。そして、制御部40は、新品状態のプロセスカートリッジ6が装着され、シール部材17の開封処理を行う場合に、メモリ32のテーブルを参照して開封モードを決定するようにしてもよい。
【0120】
(変形例)
一方、新品状態のプロセスカートリッジ6の数およびトナー容量によらず、第1開封モードで開封動作を実行するようにしても良い。この場合、新品状態のプロセスカートリッジ6の数が、第1の数よりも多い場合に、モータ41の速度を第2速度として第1開封モードが実行され、新品状態のプロセスカートリッジ6の数が、第1の数以下の場合に、モータ41の速度を第2速度として第1開封モードが実行されてよい。新品状態のプロセスカートリッジ6の数が、第1の数よりも多く、新品状態のプロセスカートリッジ6のうち、第1量以上のプロセスカートリッジ6の数が第2の数より多い場合に、モータ41の速度を第2速度として第1開封モードが実行されてよい。一方、新品状態のプロセスカートリッジ6の数が、第1の数よりも多く、新品状態のプロセスカートリッジ6のうち、第1量以上のプロセスカートリッジ6の数が第2の数以下の場合に、モータ41の速度を第1速度として第1開封モードが実行されてよい。
【0121】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記
憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0122】
本実施形態の開示は、以下の構成及び方法を含む。
(構成1)
第1カートリッジと、複数の第2カートリッジを着脱可能な画像形成装置であって、前記第1カートリッジと前記複数の第2カートリッジのそれぞれは、トナーを収容するトナー室および前記トナー室に連通する開口部を備える枠体と、前記開口部を封止するように構成されたシール部材と、駆動力を受けて前記シール部材を移動して前記シール部材を開封するように構成された開封機構と、を有し
前記画像形成装置は、
前記駆動力を発生する駆動源と、前記駆動力が前記第1カートリッジおよび前記複数の第2カートリッジの前記開封機構に伝達されるカラーモードと、前記駆動力が前記第1カートリッジの前記開封機構に伝達され、前記複数の第2カートリッジの前記開封機構に伝達されないモノクロモードと、を切り替え可能な切替部と、を含む駆動手段と、
前記駆動手段を制御する制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記第1カートリッジおよび前記複数の第2カートリッジの少なくとも一つが、新品状態のカートリッジである場合に、(i)前記新品状態のカートリッジの数が第1の数以下である場合に、前記カラーモードで前記駆動手段を動作する第1開封動作を実行可能であり、(ii)前記新品状態のカートリッジの数が前記第1の数よりも多い場合に、前記モノクロモードで前記駆動手段を動作させた後、前記カラーモードで前記駆動手段を動作する、第2開封動作を実行可能である、
ことを特徴とする画像形成装置。
(構成2)
前記新品状態のカートリッジの数が前記第1の数よりも多く、前記新品状態のカートリッジのうち、第1量以上のトナーを収容するカートリッジの数が第2の数よりも多い場合に、前記制御手段は前記第2開封動作を実行し、
前記新品状態のカートリッジの数が前記第1の数よりも多く、前記新品状態のカートリッジのうち、前記第1量以上のトナーを収容するカートリッジの数が前記第2の数以下である場合に、前記制御手段は前記第1開封動作を実行する、
ことを特徴とする構成1に記載の画像形成装置。
(構成3)
前記第1カートリッジと前記複数の第2カートリッジのそれぞれは、カートリッジメモリを有し、
前記制御手段は、前記カートリッジメモリに格納された情報に基づいて、前記第1カートリッジと前記複数の第2カートリッジのそれぞれが新品か否か、および前記第1カートリッジと前記複数の第2カートリッジのそれぞれが前記第1量以上のトナーを有するカートリッジであるか否かを判断する、
ことを特徴とする構成2に記載の画像形成装置。
(構成4)
前記第1の数および前記第2の数に関する情報を記憶した本体メモリを有する
ことを特徴とする構成2又は3に記載の画像形成装置。
(構成5)
前記駆動源の種類に応じて、前記1の数、前記第1量、前記第2の数の少なくとも一つが変化する、
ことを特徴とする構成2~4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(構成6)
前記第1カートリッジと前記複数の第2カートリッジのそれぞれは、カートリッジメモ
リを有し、
前記制御手段は、前記カートリッジメモリに格納された情報に基づいて、前記第1カートリッジと前記複数の第2カートリッジのそれぞれが新品か否かを判断する、
ことを特徴とする構成1に記載の画像形成装置。
(構成7)
前記制御手段は、前記駆動源を第1速度で動作させた状態と、前記駆動源を前記第1速度よりも遅い第2速度で動作させた状態とで、前記第1開封動作を実行可能である、ことを特徴とする構成1から6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【符号の説明】
【0123】
1:画像形成装置、6:プロセスカートリッジ、17:シール部材、20:トナー室、22:開口部、40:制御部、41:モータ、44:モード切り替え手段