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特開2024-164549部品情報作成装置、部品情報作成システムおよび部品情報作成方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164549
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】部品情報作成装置、部品情報作成システムおよび部品情報作成方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080113
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】青木 洸湧
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353AA02
5E353CC01
5E353CC03
5E353CC04
5E353CC05
5E353DD19
5E353EE24
5E353EE53
5E353EE89
5E353GG01
5E353HH11
5E353HH51
5E353JJ02
5E353JJ25
5E353JJ48
5E353JJ52
5E353JJ56
5E353KK02
5E353KK03
5E353KK13
5E353LL01
5E353LL02
5E353LL04
5E353LL07
5E353QQ11
(57)【要約】
【課題】部品を移動させる際に生じる力に抗して部品を実装することに適した使用可能ノズルを選択することが可能な部品情報作成装置、部品情報作成システムおよび部品情報作成方法を提供する。
【解決手段】この部品情報作成装置7は、部品質量Mおよび部品重心位置Pgに基づいて、部品Eを基板Sbに実装する際に使用することが可能な使用可能ノズルNcを検索するための処理を行う制御部73と、制御部73により検索された使用可能ノズルNcの情報を含む部品情報Reを表示する表示部71とを備える。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に実装される部品の部品質量および前記部品の部品重心位置に基づいて、前記部品を前記基板に実装する際に使用することが可能な使用可能ノズルを検索するための処理を行う制御部と、
前記制御部により検索された前記使用可能ノズルの情報を含む部品情報を表示する表示部とを備える、部品情報作成装置。
【請求項2】
前記制御部は、撮像部により撮像された前記部品の画像に基づいて、前記部品の3次元の外形形状を取得するとともに、前記部品の3次元の外形形状と前記部品の密度を含む質量係数とに基づいて、前記部品質量および前記部品重心位置を取得する処理を行うように構成されている、請求項1に記載の部品情報作成装置。
【請求項3】
前記部品を撮像する前記撮像部、前記制御部および前記表示部を含む携帯端末をさらに備える、請求項2に記載の部品情報作成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記使用可能ノズルを動かした際に前記使用可能ノズルから吸着した前記部品がずれないか否かを判定するために設定されるとともに、前記使用可能ノズルを動かす速度に応じて変化する指標値に基づいて、前記使用可能ノズルを動かす際の推奨速度の情報をさらに含む前記部品情報を取得するとともに、取得した前記部品情報を前記表示部に表示する処理を行うように構成されている、請求項1に記載の部品情報作成装置。
【請求項5】
前記推奨速度は、前記使用可能ノズルを水平方向に動かす水平移動速度、前記使用可能ノズルを回転させて動かす回転速度、および、前記使用可能ノズルを昇降させて動かす昇降速度の少なくともいずれかを含む、請求項4に記載の部品情報作成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記使用可能ノズルを動かす速度に応じて変化する、前記使用可能ノズルの移動方向に発生する力、および、前記使用可能ノズルと前記部品との間の摩擦力または保持力に基づいて、前記指標値を算出する処理を行うように構成されている、請求項4に記載の部品情報作成装置。
【請求項7】
前記制御部は、検索結果として前記使用可能ノズルが複数取得された場合、前記複数の使用可能ノズルの情報を一覧で前記表示部に表示する処理を行うように構成されている、請求項4に記載の部品情報作成装置。
【請求項8】
前記制御部は、ユーザが所持する所持ノズルの情報およびユーザが所持していない非所持ノズルの情報の少なくともいずれかの情報に基づいて、前記使用可能ノズルを検索する処理を行うように構成されている、請求項1に記載の部品情報作成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記使用可能ノズルの検索結果として前記非所持ノズルを取得した場合、前記非所持ノズルであることを示す情報をさらに含む前記部品情報を前記表示部に表示する処理を行うように構成されている、請求項8に記載の部品情報作成装置。
【請求項10】
基板に実装される部品の部品質量および前記部品の部品重心位置に基づいて、前記部品を前記基板に実装する際に使用することが可能な使用可能ノズルを検索する処理を行う第1制御部を含むサーバと、
前記使用可能ノズルを検索するために、前記サーバに検索を実行させる信号を送信するとともに、前記サーバから検索された前記使用可能ノズルの情報を含む部品情報を取得する第2制御部と、前記部品情報を表示する表示部とを含む部品情報作成装置とを備える、部品情報作成システム。
【請求項11】
基板に実装される部品の部品質量および前記部品の部品重心位置に基づいて、前記部品を前記基板に実装する際に使用することが可能な使用可能ノズルを検索する処理を行うステップと、
検索された前記使用可能ノズルの情報を含む部品情報を表示するステップとを備える、部品情報作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品情報作成装置、部品情報作成システムおよび部品情報作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品情報作成装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、吸着ノズル決定装置(部品情報作成装置)が開示されている。吸着ノズル決定装置は、吸着ノズル選択部(制御部)と、表示部とを備えている。吸着ノズル選択部は、吸着ノズルの吸着口の内径および部品の吸着面の寸法に基づいて、部品を吸着可能な吸着ノズルを選択するように構成されている。また、吸着ノズル選択部は、上記選択した吸着ノズルの吸着口の外縁および部品供給テープの供給口の寸法に基づいて、吸着ノズルの吸着口の外縁が部品供給テープの供給口の周囲に干渉しない使用可能ノズルを選択するように構成されている。表示部は、部品の実装に必要な情報(たとえば、使用可能ノズルの情報)を表示するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-339531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1の吸着ノズル決定装置では、部品を吸着可能であり、かつ、吸着ノズルの吸着口の外縁が部品供給テープの供給口の周囲に干渉しないという条件を満たした使用可能ノズルが選択される。この選択された使用可能ノズルは、部品供給テープから部品を吸着することに適したノズルである。しかしながら、基板に部品を実装するために部品を吸着した使用可能ノズルを移動させる際、移動速度に応じて発生する部品に生じる力に抗して部品を吸着することに適したノズルか否かの判定が不十分であるので、使用可能ノズルとして、部品を実装させることに適したノズルが選択されない場合もある。このため、部品を移動させる際に生じる力に抗して部品を実装することに適した使用可能ノズルを選択することが可能な構成の実現が望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、部品を移動させる際に生じる力に抗して部品を実装することに適した使用可能ノズルを選択することが可能な部品情報作成装置、部品情報作成システムおよび部品情報作成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による部品情報作成装置は、基板に実装される部品の部品質量および部品の部品重心位置に基づいて、部品を基板に実装する際に使用することが可能な使用可能ノズルを検索するための処理を行う制御部と、制御部により検索された使用可能ノズルの情報を含む部品情報を表示する表示部とを備える。
【0008】
この発明の第1の局面による部品情報作成装置では、上記のように、部品質量および部品重心位置に基づいて、部品を基板に実装する際に使用することが可能な使用可能ノズルを検索するための処理を行う制御部と、使用可能ノズルの情報を含む部品情報を表示する表示部とを設ける。これにより、部品質量および部品重心位置を使用可能ノズルの検索条件とすることにより、ノズルを動かした際に部品質量および部品重心位置に応じて発生する力に対して適切な吸着力を有する使用可能ノズルを検索することができる。その結果、表示部に表示された適切な吸着力を有する使用可能ノズルを作業者が選択することにより、部品を移動させる際に生じる力に抗して部品を実装することに適した使用可能ノズルを選択することができる。
【0009】
上記第1の局面による部品情報作成装置において、好ましくは、制御部は、撮像部により撮像された部品の画像に基づいて、部品の3次元の外形形状を取得するとともに、部品の3次元の外形形状と部品の密度を含む質量係数とに基づいて、部品質量および部品重心位置を取得する処理を行うように構成されている。このように構成すれば、部品の3次元の外形形状を作業者が測定具を用いて測定して取得した測定値を用いていないので、作業者が測定具を用いて測定する場合と比較して、作業者の手間を省くことができる。また、部品の電子カタログなどに部品の画像が登録されていない場合でも、部品の画像を取得することができるので、部品の部品質量および部品重心位置を確実に取得することができる。
【0010】
この場合、好ましくは、部品を撮像する撮像部、制御部および表示部を含む携帯端末をさらに備える。このように構成すれば、部品実装装置の撮像部、制御部および表示部を用いることなく、携帯端末の撮像部、制御部および表示部を用いて使用可能ノズルを取得することができるので、使用可能ノズルを部品実装装置において検索した場合に生じる部品実装装置の作業停止時間を発生させないようにすることができる。したがって、部品実装装置における部品の実装作業の効率を向上させることができる。また、携帯端末において使用可能ノズルの検索を行うことにより、使用可能ノズルの検索を行う度に、作業者が部品実装装置に行く必要がなくなるので、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0011】
上記第1の局面による部品情報作成装置において、好ましくは、制御部は、使用可能ノズルを動かした際に使用可能ノズルから吸着した部品がずれないか否かを判定するために設定されるとともに、使用可能ノズルを動かす速度に応じて変化する指標値に基づいて、使用可能ノズルを動かす際の推奨速度の情報をさらに含む部品情報を取得するとともに、取得した部品情報を表示部に表示する処理を行うように構成されている。このように構成すれば、適切な吸着力だけでなく、表示部に表示された推奨速度に基づいて、作業者は可能な限り速く移動させることが可能な使用可能ノズルを選択することができるので、部品の実装作業時間を比較的短くすることが可能な使用可能ノズルを選択することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、推奨速度は、使用可能ノズルを水平方向に動かす水平移動速度、使用可能ノズルを回転させて動かす回転速度、および、使用可能ノズルを昇降させて動かす昇降速度の少なくともいずれかを含む。このように構成すれば、部品の実装作業における、水平移動速度、回転速度および昇降速度の少なくともいずれかを可能な限り速くすることが可能な使用可能ノズルを選択することができる。
【0013】
上記制御部が、指標値に基づいて、推奨速度の情報をさらに含む部品情報を取得するとともに、取得した部品情報を表示部に表示する処理を行うように構成された部品情報作成装置において、好ましくは、制御部は、使用可能ノズルを動かす速度に応じて変化する、使用可能ノズルの移動方向に発生する力、および、使用可能ノズルと部品との間の摩擦力または保持力に基づいて、指標値を算出する処理を行うように構成されている。ここで、使用可能ノズルと部品との間の摩擦力または保持力が使用可能ノズルの移動方向に発生する力よりも大きくなるように指標値が算出された場合、指標値に基づいて検索された使用可能ノズルは、部品の落下を抑制しつつ、可能な限り速く移動させることが可能であるという条件を満たすことになる。これにより、作業者は、表示部に表示された使用可能ノズルにおいて、要望に合った推奨速度の使用可能ノズルを選択するだけで、部品の落下を抑制しつつ、可能な限り速く移動させることが可能な使用可能ノズルを選択することができる。
【0014】
上記制御部が、指標値に基づいて、推奨速度の情報をさらに含む部品情報を取得するとともに、取得した部品情報を表示部に表示する処理を行うように構成された部品情報作成装置において、好ましくは、制御部は、検索結果として使用可能ノズルが複数取得された場合、複数の使用可能ノズルの情報を一覧で表示部に表示する処理を行うように構成されている。このように構成すれば、作業者が複数の使用可能ノズルの全てを容易に確認することができるので、使用者(作業者)の利便性(ユーザビリティ)を向上させることができる。
【0015】
上記第1の局面による部品情報作成装置において、好ましくは、制御部は、ユーザが所持する所持ノズルの情報およびユーザが所持していない非所持ノズルの情報の少なくともいずれかの情報に基づいて、使用可能ノズルを検索する処理を行うように構成されている。このように構成すれば、所持ノズルだけでなく、ユーザが所持していない非所持ノズルの中からも使用可能ノズルを検索することができるので、使用可能ノズルをより広範囲で検索することができる。
【0016】
この場合、好ましくは、制御部は、使用可能ノズルの検索結果として非所持ノズルを取得した場合、非所持ノズルであることを示す情報をさらに含む部品情報を表示部に表示する処理を行うように構成されている。このように構成すれば、非所持ノズルであることを容易に認識することができるので、作業者が所持ノズルでは対応できず使用可能ノズルとして非所持ノズルが必要な状況を容易に認識することができる。
【0017】
この発明の第2の局面による部品情報作成システムは、基板に実装される部品の部品質量および部品の部品重心位置に基づいて、部品を基板に実装する際に使用することが可能な使用可能ノズルを検索する処理を行う第1制御部を含むサーバと、使用可能ノズルを検索するために、サーバに検索を実行させる信号を送信するとともに、サーバから検索された使用可能ノズルの情報を含む部品情報を取得する第2制御部と、部品情報を表示する表示部とを含む部品情報作成装置とを備える。
【0018】
この発明の第2の局面による部品情報作成システムでは、上記のように、サーバと、サーバから検索された使用可能ノズルの情報を含む部品情報を取得する第2制御部と、部品情報を表示する表示部とを含む部品情報作成装置とを設ける。サーバにおいて、部品質量および部品重心位置を使用可能ノズルの検索条件とすることにより、ノズルを動かした際に部品質量および部品重心位置に応じて発生する力に対して適切な吸着力を有する使用可能ノズルを検索することができる。その結果、部品情報作成装置の表示部に表示された適切な吸着力を有する使用可能ノズルを作業者が選択することにより、部品を移動させる際に生じる力に抗して部品を実装することに適した使用可能ノズルを選択することが可能な部品情報作成システムを提供できる。
【0019】
この発明の第3の局面による部品情報作成方法は、基板に実装される部品の部品質量および部品の部品重心位置に基づいて、部品を基板に実装する際に使用することが可能な使用可能ノズルを検索する処理を行うステップと、検索された使用可能ノズルの情報を含む部品情報を表示するステップとを備える。
【0020】
この発明の第3の局面による部品情報作成方法では、上記のように、基板に実装される部品質量および部品重心位置に基づいて、部品を基板に実装する際に使用することが可能な使用可能ノズルを検索する処理を行うステップと、検索された使用可能ノズルの情報を含む部品情報を表示するステップとを設ける。これにより、部品質量および部品重心位置を使用可能ノズルの検索条件とすることにより、ノズルを動かした際に部品質量および部品重心位置に応じて発生する力に対して適切な吸着力を有する使用可能ノズルを検索することができる。その結果、表示部に表示された適切な吸着力を有する使用可能ノズルを作業者が選択することにより、部品を移動させる際に生じる力に抗して部品を実装することに適した使用可能ノズルを選択することが可能な部品情報作成方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、上記のように、部品を移動させる際に生じる力に抗して部品を実装することに適した使用可能ノズルを選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】一実施形態の部品情報作成システムの簡略図である。
図2】一実施形態による部品実装装置を示した平面図である。
図3】一実施形態による部品実装装置をY2方向側から見た側面図である。
図4図4(A)は、一実施形態の部品実装装置における部品の吸着可能範囲の第1例を示した斜視図である。図4(B)は、一実施形態の部品実装装置における部品の吸着可能範囲の第1例を示した平面図である。
図5図5(A)は、一実施形態の部品実装装置における部品の吸着可能範囲の第2例を示した斜視図である。図5(B)は、一実施形態の部品実装装置における部品の吸着可能範囲の第2例を示した平面図である。
図6図6(A)は、一実施形態の部品実装装置における部品の吸着可能範囲の第3例を示した斜視図である。図6(B)は、一実施形態の部品実装装置における部品の吸着可能範囲の第3例を示した平面図である。
図7】一実施形態の部品情報作成システムの内部管理サーバの構成を示したブロック図である。
図8】一実施形態の部品情報作成システムの内部管理サーバに記憶されたノズル情報を示した図である。
図9】一実施形態の部品情報作成システムの内部管理サーバに記憶された部品情報を示した図である。
図10】一実施形態の部品情報作成システムのクライアント端末の構成を示したブロック図である。
図11】一実施形態の部品情報作成システムの外部管理サーバの構成を示したブロック図である。
図12】一実施形態の部品情報作成システムの外部管理サーバに記憶されたノズル情報を示した図である。
図13】一実施形態の部品情報作成システムのクライアント端末に表示される部品情報を示した図である。
図14】一実施形態の部品情報作成システムのクライアント端末に表示される選択操作受付画面を示した図である。
図15】一実施形態のクライアント端末の撮像部により部品の上面を撮像する状態を示した模式図である。
図16】一実施形態のクライアント端末の撮像部により部品の下面を撮像する状態を示した模式図である。
図17】一実施形態のクライアント端末において部品の部品外形縦寸法、部品外形横寸法、電極の数および吸着可能範囲を取得した状態を示した模式図である。
図18】一実施形態のクライアント端末において作業者による吸着可能範囲の修正を受け付けた状態を示した模式図である。
図19】一実施形態のクライアント端末の撮像部により撮像する他の部品を示した斜視図である。
図20】一実施形態のクライアント端末において他の部品の部品外形縦寸法、部品外形横寸法、電極の数および吸着可能範囲を取得した状態を示した模式図である。
図21】一実施形態のクライアント端末において作業者による他の部品の吸着可能範囲の修正を受け付けた状態を示した模式図である。
図22】一実施形態のクライアント端末の撮像部により部品の側面を撮像する状態を示した模式図である。
図23】一実施形態のクライアント端末において部品の部品質量および重心位置を取得した状態を示した模式図である。
図24】一実施形態の使用可能ノズルにより水平方向に移動させた際の水平方向慣性力および摩擦力を示した模式図である。
図25】一実施形態の使用可能ノズルを回転させた際の回転トルクおよび摩擦力を示した模式図である。
図26】一実施形態の使用可能ノズルにより上下方向に移動させた際の上下方向慣性力および保持力を示した模式図である。
図27】一実施形態の使用可能ノズルの吸着開口面積の大きさについて示した模式図である。
図28】一実施形態の部品情報作成システムの内部管理サーバに注意事項とともに記憶された部品情報を示した図である。
図29】一実施形態によるクライアント端末のCPUによる部品情報作成処理の前半部分を示したフローチャートである。
図30】一実施形態によるクライアント端末のCPUによる部品情報作成処理の後半部分を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1図30を参照して、本発明の実施形態による部品情報作成システム1000の構成について説明する。
【0025】
(部品情報作成システムの構成)
部品情報作成システム1000は、基板Sbに実装する部品Eに関する情報を容易に作成するように構成されている。具体的には、部品情報作成システム1000は、基板作業システム部100と、外部管理サーバ200とを備えている。なお、外部管理サーバ200は、特許請求の範囲の「サーバ」の一例である。
【0026】
(基板作業システム部の構成)
図1に示すように、基板作業システム部100は、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの部品Eを基板Sbなどに実装して、部品Eを実装することにより製造された製造基板Pを製造する部分である。
【0027】
基板作業システム部100は、印刷装置1と、部品実装装置2と、第1検査装置3と、リフロー炉4と、第2検査装置5と、内部管理サーバ6と、クライアント端末7とを備えている。なお、クライアント端末7は、特許請求の範囲の「部品情報作成装置」および「携帯端末」の一例である。
【0028】
(印刷装置)
図1に示すように、印刷装置1は、部品Eを実装した基板Sbを製造するための基板製造作業として、プリント基板にはんだをスクリーン印刷する印刷作業を行う装置である。
【0029】
(部品実装装置)
図2および図3に示すように、部品実装装置2は、部品Eを実装した基板Sbを製造するための基板製造作業として、はんだが印刷されたプリント基板に部品Eを実装する実装作業を行う装置である。
【0030】
ここで、部品実装装置2において、基板Sbを搬送する搬送方向をX1方向とし、基板Sbを搬送する搬送方向の逆方向をX2方向とし、X1方向およびX2方向を合わせた方向をX方向とする。また、水平方向のうちのX方向に直交する方向をY方向とし、Y方向の一方をY1方向とし、Y方向の他方をY2方向とする。また、X方向およびY方向に直交する上下方向をZ方向とし、上方向をZ1方向とし、下方向をZ2方向とする。
【0031】
部品実装装置2は、基台20と、フィーダ配置部21と、トレイ配置部22と、基板搬送部23と、支持部24と、一対のレール部25と、ヘッドユニット26と、部品撮像部27と、基板撮像部28と、制御部29とを有している。
【0032】
基台20は、部品実装装置2において各構成要素を配置する基礎となる台である。基台20には、Y1方向側にフィーダ配置部21が設けられている。また、基台20には、Y2方向側にトレイ配置部22が設けられている。なお、フィーダ配置部21およびトレイ配置部22の各々の配置位置は、あくまで一例である。
【0033】
フィーダ配置部21には、複数のテープフィーダ21aが配置可能である。テープフィーダ21aは、基板Sbに実装される部品Eを供給するように構成されている。テープフィーダ21aから供給される部品Eの部品種としては、たとえば、LED、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などである。ここで、IC、トランジスタおよびコンデンサなどは、いわゆるSOP(Small Outline Package)部品である。なお、SOP部品とは、ガルウイング形状のリード線がパッケージの両側面から突出している部品を示す。テープフィーダ21aは、複数の部品Eを所定の間隔を隔てて保持した部品供給テープを巻き回したリール(図示せず)を保持している。
【0034】
トレイ配置部22には、トレイ22aが配置される。トレイ22aは、基板Sbに実装される部品Eを供給するように構成されている。トレイ22aから供給される部品Eの部品種としては、たとえば、QFP(Quad Flat Package)、BGA(Ball Grid Array)、および、コネクタなどである。
【0035】
基板搬送部23は、部品実装装置2の外部から基板Sbを搬入し、基板Sbを搬送方向(X1方向)に搬送するように構成されている。基板搬送部23は、一対のコンベア23aと、駆動部(図示せず)とを有している。
【0036】
支持部24は、ヘッドユニット26をX方向に移動可能に支持するように構成されている。支持部24は、ボールねじ軸24aと、駆動部24bとを有している。
【0037】
一対のレール部25は、支持部24をY方向に移動可能に支持するように構成されている。レール部25は、ボールねじ軸25aと、ガイドレール25bと、駆動部25cとを有している。
【0038】
ヘッドユニット26は、部品実装用のヘッドユニットであり、基板SbのZ1方向(上方)を移動するとともに基板Sbに対して実装作業を行うように構成されている。つまり、ヘッドユニット26は、作業位置において固定された基板Sbに部品Eを実装するように構成されている。
【0039】
具体的には、ヘッドユニット26は、実装ヘッド26aと、Z軸モータ(図示せず)と、R軸モータ(図示せず)とを含んでいる。実装ヘッド26aは、テープフィーダ21a、または、トレイ22aにより供給された部品Eをノズル26bにより吸着して基板Sbに実装するように構成されている。部品Eは、基板Sb上の所定の実装位置(図示せず)に実装される。実装ヘッド26aは、X方向に一列に複数(5個)並んで配置されている。このように、ヘッドユニット26は、実装ヘッド26aをX方向に一列に並べたインラインヘッドである。なお、実装ヘッド26aは、1個以上4個以下、または、6個以上並んで配置されてもよい。
【0040】
複数の実装ヘッド26aの各々には、先端部に着脱可能にノズル26bが取り付けられている。複数の実装ヘッド26aの各々は、負圧発生装置(図示せず)に接続されており、負圧発生装置により生じる負圧によって、ノズル26bに部品Eを保持(吸着)可能に構成されている。また、複数の実装ヘッド26aの各々は、負圧発生装置による負圧を正圧に切り換えることによって、部品Eをノズル26bから基板Sbに実装(搭載)可能に構成されている。ここで、負圧発生装置によりノズル26bに生じる圧力は、図示しない圧力センサにより計測される。
【0041】
ノズル26bの構造は、部品Eの吸着可能範囲などに応じて異なっている。
【0042】
ここで、一例として、図4図6に示す3種類の部品E(LED部品)を参考にして、吸着可能範囲Vs1~吸着可能範囲Vs3について説明する。図4(A)に示すように、部品Eが直方体形状である場合、図4(B)に示すように、部品Eの下面E11と同じ面積の上面E1の全体が吸着可能範囲Vs1である。図5(A)に示すように、部品Eが角錐台形状である場合、図5(B)に示すように、部品Eの下面E11よりも小さい面積の上面E1の全体が吸着可能範囲Vs2である。図6(A)に示すように、部品Eにスリットが形成されている場合、図6(B)に示すように、スリット部分にノズルの開口が重なると空気が漏れてしまうので、部品Eの上面E1のうちのスリット以外の部分が吸着可能範囲Vs3である。
【0043】
複数の実装ヘッド26aの各々に取り付けられるノズル26bは、部品Eの吸着可能範囲(たとえば、上記した吸着可能範囲Vs1~吸着可能範囲Vs3)に合った構造を有している。すなわち、ノズル26bに吸着させた部品Eがずれない(位置ずれしない)ようにしっかりと吸着可能なノズル26bが、複数の実装ヘッド26aの各々に取り付けられている。
【0044】
図2および図3に示すように、複数の実装ヘッド26aの各々は、Z軸モータによりZ方向(上下方向)に移動可能に構成されている。また、複数の実装ヘッド26aの各々は、R軸モータにより回転軸回りに回転可能に構成されている。
【0045】
部品撮像部27は、基板Sbに実装される部品Eを撮像するように構成されている。すなわち、部品撮像部27は、基板Sbへの部品Eの実装に先立ってノズル26bに吸着された部品Eを撮像する部品撮像用のカメラである。部品撮像部27は、基台20上に固定されており、部品Eの下方(Z2方向)から、ノズル26bに吸着された部品Eを撮像するように構成されている。
【0046】
基板撮像部28は、ヘッドユニット26に取り付けられ、基板Sbへの部品Eの実装に先立って、基板Sbの上面に付されたFIマーク(Fiducial Mark(フィデューシャルマーク):図示せず)を撮像するマーク撮像用のカメラである。FIマークは、基板Sbの位置を確認するためのマークである。
【0047】
(制御部)
制御部29は、部品実装装置2を制御する。制御部29は、CPU(Central Processing Unit)と、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを有する記憶部とを含んでいる。記憶部には、基板Sbに部品Eを実装する部品実装プログラムが記憶されている。
【0048】
また、図示はしないが、部品実装装置2には、他の装置(内部管理サーバ6など)と通信を行うための通信部が設けられている。
【0049】
(第1検査装置、リフロー炉および第2検査装置)
図1に示すように、第1検査装置3は、部品Eを実装した基板Sbを製造するための基板製造作業として、部品Eが実装された実装作業後の基板Sb上の部品Eのリフロー前検査作業を行う装置である。リフロー炉4は、部品Eを実装した基板Sbを製造するための基板製造作業として、プリント基板に印刷されたはんだを溶融させて固化させることにより、部品Eをプリント基板に接合するリフロー作業を行う。第2検査装置5は、部品Eを実装した基板Sbを製造するための基板製造作業として、リフロー作業後のプリント基板上の部品Eのリフロー後検査作業を行う装置である。
【0050】
(内部管理サーバ)
図1および図7に示すように、内部管理サーバ6は、印刷装置1、部品実装装置2、第1検査装置3、リフロー炉4、および、第2検査装置5を直線状に並べた実装ライン、基板Sb、および、部品Eの各々に関する情報などを管理する制御装置である。内部管理サーバ6は、通信部61と、CPU62と、記憶部63となどを含んでいる。通信部61は、印刷装置1、部品実装装置2、第1検査装置3、リフロー炉4、および、第2検査装置5、および、クライアント端末7と通信を行うように構成されている。記憶部63には、実装ラインによる実装に関する情報を管理するデータ管理プログラムが記憶されている。また、記憶部63には、ノズル情報Nz1、および、部品情報Erの各々が記憶されている。ノズル情報Nz1は、作業者Wが所属する会社において所持している所持ノズルに関する情報であるノズル情報Nz1である。部品情報Erは、製造基板Pを製造するために基板Sbに実装する部品Eに関する情報である。なお、作業者Wが所属する会社は、特許請求の範囲の「ユーザ」の一例である。
【0051】
図8に示すように、ノズル情報Nz1は、所持ノズルの1つ1つに関連付けられている。ノズル情報Nz1に登録される項目は、「ノズル種別Nz1a」を含んでいる。「ノズル種別Nz1a」は、先端に円形の1つの開口を有するといった標準ノズル、または、標準ノズル以外の特殊ノズルなどの情報を有している。ノズル情報Nz1に登録される項目は、「対応部品種Nz1b」を含んでいる。「対応部品種Nz1b」は、所持ノズルに対応する部品種の情報を有している。
【0052】
ノズル情報Nz1に登録される項目は、「ノズル先端外径縦Nz1c」、「ノズル先端外径横Nz1d」、「ノズル先端内径縦Nz1e」、および、「ノズル先端内径横Nz1f」を含んでいる。「ノズル先端外径縦Nz1c」は、所持ノズルの先端の径方向の一方向における外径の数値の情報を有している。「ノズル先端外径横Nz1d」は、所持ノズルの先端の径方向の他方向における内径の数値の情報を有している。「ノズル先端内径縦Nz1e」は、所持ノズルの先端の径方向の一方向における内径の数値の情報を有している。「ノズル先端内径横Nz1f」は、所持ノズルの先端の径方向の他方向における内径の数値の情報を有している。なお、ノズル情報Nz1に登録される項目では、「ノズル種別Nz1a」に応じて、「ノズル先端外径縦Nz1c」、「ノズル先端外径横Nz1d」、「ノズル先端内径縦Nz1e」、および、「ノズル先端内径横Nz1f」以外の項目が含まれる場合もあるとともに、「ノズル先端外径縦Nz1c」、「ノズル先端外径横Nz1d」、「ノズル先端内径縦Nz1e」、および、「ノズル先端内径横Nz1f」のうちにおいて含まれない項目もある。
【0053】
また、ノズル情報Nz1に登録される項目は、「吸着力Nz1g」を含んでいる。「吸着力Nz1g」は、「ノズル先端内径縦Nz1e」および「ノズル先端内径横Nz1f」の各々の数値に基づいて算出されるノズル26bの先端の吸着開口面積と、「ノズル穴種別Nz1h」の情報とに基づいて設定される数値の情報を有している。「ノズル穴種別Nz1h」は、ノズル26bの先端の吸着開口を含む形状(丸形状、矩形形状、長孔形状または複数など)の情報を有している。「ノズル穴種別Nz1h」は、ノズル情報Nz1に含まれる情報である。
【0054】
ノズル情報Nz1に登録される項目は、「推奨部品サイズ最小Nz1i」、および、「推奨部品サイズ最大Nz1j」を含んでいる。「推奨部品サイズ最小Nz1i」、および、「推奨部品サイズ最大Nz1j」の各々は、部品Eの水平方向における縦寸法および横寸法と、厚みの寸法を有している。ノズル情報Nz1に登録される項目は、「吸着対象部品最大質量Nz1k」を含んでいる。「推奨部品サイズ最小Nz1i」、「推奨部品サイズ最大Nz1j」、および、「吸着対象部品最大質量Nz1k」の各々は、所持ノズルの吸着力により設定される数値の情報を有している。
【0055】
また、ノズル情報Nz1に登録される項目は、「ノズル対応フィーダNz1l」および「ノズル対応ヘッドNz1m」を含んでいる。「ノズル対応フィーダNz1l」および「ノズル対応ヘッドNz1m」は、それぞれ、所持ノズルの先端の吸着開口面積および他の構造に基づいて設定される、テープフィーダ21aの名称および実装ヘッド26aの名称などの情報を有している。
【0056】
図9に示すように、部品情報Erは、過去に実装した際において登録された部品Eに関連付けられている。部品情報Erに登録される項目は、「部品種Er1」を含んでいる。「部品種Er1」は、ダイオード、チップ部品(LED、抵抗など)、コネクタ部品、バンプ部品、および、リード部品などの各々の名称などの情報を有している。
【0057】
部品情報Erに登録される項目は、「部品外形縦Er2」、「部品外形横Er3」、および、「部品の厚みEr4」を含んでいる。「部品外形縦Er2」は、部品Eの平面視における一方向の寸法の数値の情報を有している。「部品外形横Er3」は、部品Eの平面視における他方向の寸法の数値の情報を有している。「部品の厚みEr4」は、部品Eの側面視における寸法の数値の情報を有している。
【0058】
また、部品情報Erに登録される項目は、「吸着可能範囲縦Er5」および「吸着可能範囲横Er6」を含んでいる。「吸着可能範囲縦Er5」は、部品Eの上面E1における吸着可能範囲の一方向の寸法の数値の情報を有している。「吸着可能範囲横Er6」は、部品Eの上面E1における吸着可能範囲の他方向の寸法の数値の情報を有している。
【0059】
また、部品情報Erに登録される項目は、「吸着位置オフセット量縦Er7」および「吸着位置オフセット量横Er8」を含んでいる。「吸着位置オフセット量縦Er7」は、ノズル26bによる吸着の際の位置ずれの一方向の最大許容値の情報を有している。「吸着位置オフセット量横Er8」は、ノズル26bによる吸着の際の位置ずれの他方向の最大許容値の情報を有している。
【0060】
また、部品情報Erに登録される項目は、「質量係数Er9」、「部品質量Er10」および「部品重心位置Er11」を含んでいる。「質量係数Er9」は、部品Eの密度を含む数値の情報を有している。「部品質量Er10」は、部品Eの質量の数値の情報を有している。「部品重心位置Er11」は、部品Eの重心の位置座標の情報を有している。
【0061】
(クライアント端末)
図1および図10に示すように、クライアント端末7は、作業者Wが操作する携帯端末(タブレット端末またはスマートフォンなど)である。クライアント端末7は、表示部71と、通信部72と、CPU73と、記憶部74と、撮像部75とを含んでいる。表示部71は、液晶画面により構成されている。表示部71は、内部管理サーバ6から受信した、実装に関する情報、ノズル情報Nz1、および、部品情報Erなどの情報を画面に表示するように構成されている。表示部71は、外部管理サーバ200から受信した後述するノズル情報Nz2などの情報を画面に表示するように構成されている。通信部72は、内部管理サーバ6および外部管理サーバ200の各々と通信を行うように構成されている。なお、クライアント端末7のCPU73は、特許請求の範囲の「制御部」および「第2制御部」の一例である。
【0062】
記憶部74には、部品情報作成プログラムPrおよび部品種情報Etrが記憶されている。部品情報作成プログラムPrは、部品実装装置2において基板Sbへの実装の際に使用する使用可能ノズルNcの情報を含む後述する部品情報Reを作成するためのプログラムである。部品情報作成プログラムPrについては、後に詳細に説明する。
【0063】
部品種情報Etrは、上記した、ダイオード、チップ部品(LED、抵抗など)、コネクタ部品、バンプ部品、および、リード部品などを有する部品種に対応する情報である。具体的には、部品種情報Etrは、部品種に対応する、平面視における一方向の寸法である「部品種外形縦寸法」、平面視における他方向の寸法である「部品種外形横寸法」の各々の数値などの情報を含んでいる。また、部品種情報Etrは、部品種に対応する、上面E1における吸着可能範囲の一方向の寸法である「吸着可能範囲縦寸法」、上面E1における吸着可能範囲の他方向の寸法である「吸着可能範囲横寸法」、および、上面E1における吸着可能範囲の中心位置である「吸着可能範囲中心位置」の各々の数値などの情報を含んでいる。部品種情報Etrは、部品種に対応する、「吸着可能範囲縦寸法」、「吸着可能範囲横寸法」および「吸着可能範囲中心位置」の各々の数値などの情報を含んでいる。
【0064】
撮像部75は、撮像画像を撮像するように構成されている。撮像部75は、撮像素子およびレンズなどの光学系と角度検出センサとを含むカメラである。角度検出センサは、クライアント端末7の角度(姿勢)を検出するためのセンサである。
【0065】
(外部管理サーバ)
図1および図11に示すように、外部管理サーバ200は、作業者Wが所属する会社以外の会社である他社が保有する情報を管理する制御装置である。外部管理サーバ200は、通信部201と、CPU202と、記憶部203となどを含んでいる。通信部201は、クライアント端末7などと通信を行うように構成されている。記憶部203には、作業者Wが所属する会社において所持していない非所持ノズルの情報を含む、他社が保有する他社保有ノズルに関する情報であるノズル情報Nz2が記憶されている。なお、CPU202は、特許請求の範囲の「第1制御部」の一例である。
【0066】
図12に示すように、ノズル情報Nz2は、非所持ノズルの1つ1つに関連付けられている。ノズル情報Nz2に登録される項目は、ノズル情報Nz1に登録される項目と同様であるので、簡単に説明する。
【0067】
ノズル情報Nz2は、「ノズル種別Nz2a」、「対応部品種Nz2b」、「ノズル先端外径縦Nz2c」、「ノズル先端外径横Nz2d」、「ノズル先端内径縦Nz2e」、「ノズル先端内径横Nz2f」、「吸着力Nz2g」、「ノズル穴種別Nz2h」、「推奨部品サイズ最小Nz2i」、「推奨部品サイズ最大Nz2j」、「吸着対象部品最大質量Nz2k」、「ノズル対応フィーダNz2l」、および、「ノズル対応ヘッドNz2m」を含んでいる。
【0068】
「ノズル先端外径縦Nz2c」、「ノズル先端外径横Nz2d」、「ノズル先端内径縦Nz2e」、「ノズル先端内径横Nz2f」および「吸着力Nz2g」は、それぞれ、「ノズル先端外径縦Nz1c」、「ノズル先端外径横Nz1d」、「ノズル先端内径縦Nz1e」、「ノズル先端内径横Nz1f」および「吸着力Nz1g」に対応している。また、「ノズル穴種別Nz2h」、「推奨部品サイズ最小Nz2i」、「推奨部品サイズ最大Nz2j」、「吸着対象部品最大質量Nz2k」、「ノズル対応フィーダNz2l」、および、「ノズル対応ヘッドNz2m」は、それぞれ、「ノズル穴種別Nz1h」、「推奨部品サイズ最小Nz1i」、「推奨部品サイズ最大Nz1j」、「ノズル対応フィーダNz1l」、および、「ノズル対応ヘッドNz1m」に対応している。
【0069】
ここで、「対応部品種Nz2b」は、非所持ノズルに関連付けられた部品種の名称などの情報を有している。
【0070】
(部品情報作成プログラム)
ここで、本実施形態の部品実装装置2では、図13に示すように、部品実装装置2において実際にノズル26bによる部品Eの吸着および実装を行った上で使用するノズル26bをこれから実装する部品Eの情報に関連付けて設定することが可能であるが、クライアント端末7において使用するノズル26bをこれから実装する部品Eの情報に関連付けて設定することも可能である。すなわち、クライアント端末7のCPU73は、部品情報作成プログラムPrに基づいて、内部管理サーバ6に記憶されたノズル情報Nz1および外部管理サーバ200に記憶されたノズル情報Nz2の少なくともいずれかから使用可能なノズル26bを検索する制御を行うように構成されている。このように、部品実装装置2において吸着および実装を実際に行うことなく、検索された使用可能なノズル26bである使用可能ノズルNcの情報を見て、作業者Wが使用するノズル26bを設定することが可能である。
【0071】
具体的には、クライアント端末7のCPU73は、基板Sbに実装される部品Eの部品質量Mおよび部品Eの部品重心位置Pgに基づいて、部品Eを基板Sbに実装する際に使用することが可能な使用可能ノズルNcを検索するための処理を行うように構成されている。そして、クライアント端末7のCPU73は、クライアント端末7のCPU73により検索された使用可能ノズルNcの情報を含む部品情報(検索結果)Reを表示部71に表示する処理を行うように構成されている。これにより、作業者Wは、表示部71を見て、使用可能ノズルNcを選択して設定することが可能である。
【0072】
図14図28を参照して、図13の部品情報Reを取得するための作業および処理について説明する。
【0073】
図14に示すように、クライアント端末7のCPU73は、作業者Wによる部品情報作成プログラムPrの開始操作を受け付けたことに基づいて、作業者Wによる使用可能ノズルNcを検索する対象となる部品Eの部品種の選択操作受付画面W1を表示部71に表示する処理を行うように構成されている。クライアント端末7のCPU73は、選択操作受付画面W1における作業者Wによる部品種の選択操作を受け付けたことに基づいて、クライアント端末7に記憶された部品種情報Etrから対応する情報を取得する処理を行うように構成されている。対応する情報は、部品Eにおける電極E2および部品ボディE3の各々の密度を含む数値の情報である「質量係数」を含んでいる。
【0074】
また、クライアント端末7のCPU73は、作業者Wによる部品種の選択操作を受け付けたことに基づいて、上面E1を上にして部品Eを校正板300上に載置した状態で、撮像部75により上方から部品Eおよび校正板300を作業者Wに撮像させるための指示を表示部71に表示する処理を行うように構成されている。図15では、指示に沿って、作業者Wが、部品Eを撮像した状態が示されている。校正板300上には、一定の間隔で白の正方形と黒の正方形とが互い違いに配置されたチェック柄のパターンが設けられている。白の正方形の黒の正方形の各々の縦寸法および横寸法は、予め設定されている。
【0075】
また、クライアント端末7のCPU73は、作業者Wによる部品Eの上面E1の撮像の完了の操作を受け付けたことに基づいて、下面E11を上にして部品Eを校正板300上に載置した状態で、撮像部75により上方から部品Eおよび校正板300を作業者Wに撮像させるための指示を表示部71に表示する処理を行うように構成されている。図16では、指示に沿って、作業者Wが、部品Eを撮像した状態が示されている。
【0076】
図17に示すように、クライアント端末7のCPU73は、撮像した画像(上面の画像および下面の画像)と、角度検出センサにより検出された撮影角度情報と、校正板300上の白の正方形および黒の正方形の各々の歪みとに基づいて、撮像した画像の歪みを校正する処理を行うように構成されている。クライアント端末7のCPU73は、校正した画像に基づいて、部品Eの平面視の2次元の外形形状を取得する処理を行うように構成されている。クライアント端末7のCPU73は、2次元の外形形状と、校正板300上の白の正方形および黒の正方形の各々の縦寸法および横寸法とに基づいて、部品Eの部品外形縦寸法Eoyおよび部品外形横寸法Eoxの各々を算出する処理を行うように構成されている。クライアント端末7のCPU73は、2次元の外形形状と、校正板300上の白の正方形および黒の正方形の各々の縦寸法および横寸法とに基づいて、部品Eの部品ボディ外形縦寸法Ey、部品ボディ外形横寸法Ex1および部品ボディ外形横寸法Ex2の各々を算出する処理を行うように構成されている。また、クライアント端末7のCPU73は、取得した2次元の外形形状に基づいて、電極E2の位置、および、吸着可能範囲Vsを取得する処理を行うように構成されている。
【0077】
図18に示すように、クライアント端末7のCPU73は、吸着可能範囲Vsの位置および範囲と、作業者Wの選択操作により取得した部品種に基づいて部品種情報Etrにより特定された部品種の吸着可能範囲の位置および範囲とが一致しない場合、作業者Wによる吸着可能範囲Vsの修正を受け付ける処理を行うように構成されている。図18では、一例として、作業者Wの修正により、吸着可能範囲Vsが縮小されて修正後吸着可能範囲Vsmに修正されている。なお、作業者Wの修正により、吸着可能範囲Vsが拡大されてもよいし、吸着可能範囲Vsの位置が移動されてもよい。また、作業者Wの修正により、部品Eの部品外形縦寸法Eoyおよび部品外形横寸法Eoxの各々が修正されてもよい。
【0078】
また、図19図21を参照して、特殊な形状を有する部品Eの吸着可能範囲Vsの取得に関しても説明する。なお、図19図21に示す部品Eは、あくまで一例である。図19に示す部品Eは、コネクタ部品である。
【0079】
図15および図16の各々の場合と同様に、作業者Wは、部品Eの上面E1および下面E11の各々の撮像を行う。
【0080】
図20に示すように、クライアント端末7のCPU73は、撮像した画像と、角度検出センサにより検出された撮影角度情報と、校正板300上の白の正方形および黒の正方形の各々の歪みとに基づいて、撮像した画像の歪みを校正する処理を行うように構成されている。クライアント端末7のCPU73は、校正した画像に基づいて、部品Eの平面視の2次元の外形形状を取得する処理を行うように構成されている。クライアント端末7のCPU73は、2次元の外形形状と、校正板300上の白の正方形および黒の正方形の各々の縦寸法および横寸法とに基づいて、部品Eの部品外形縦寸法Eoyおよび部品外形横寸法Eoxの各々を算出する処理を行うように構成されている。クライアント端末7のCPU73は、2次元の外形形状と、校正板300上の白の正方形および黒の正方形の各々の縦寸法および横寸法とに基づいて、部品Eの部品ボディ外形縦寸法Ey、および、部品ボディ外形横寸法Exの各々を算出する処理を行うように構成されている。また、クライアント端末7のCPU73は、取得した2次元の外形形状に基づいて、電極E2の位置、および、吸着可能範囲Vsを取得する処理を行うように構成されている。
【0081】
図21に示すように、クライアント端末7のCPU73は、吸着可能範囲Vsの位置および範囲と、作業者Wの選択操作により取得した部品種に基づいて部品種情報Etrにより特定された部品種の吸着可能範囲の位置および範囲とが一致しない場合、作業者Wによる吸着可能範囲Vsの修正を受け付ける処理を行うように構成されている。図21では、一例として、作業者Wの修正により、吸着可能範囲Vsが縮小されて修正後吸着可能範囲Vsmに修正されている。なお、作業者Wの修正により、吸着可能範囲Vsが拡大されてもよいし、吸着可能範囲Vsの位置が移動されてもよい。また、作業者Wの修正により、部品Eの部品外形縦寸法Eoyおよび部品外形横寸法Eoxの各々が修正されてもよい。
【0082】
図18に示した部品Eに関する処理について説明を戻す。
【0083】
図18に示すように、クライアント端末7のCPU73は、吸着可能範囲Vsの位置および範囲と、作業者Wの選択操作により取得した部品種に基づいて特定された部品種の吸着可能範囲の位置および範囲とが一致する場合、上面E1を上にして部品Eを校正板300上に載置した状態で、撮像部75により側方から部品Eおよび校正板300を作業者Wに撮像させるための指示を表示部71に表示する処理を行うように構成されている。図22では、指示に沿って、作業者Wが、部品Eを撮像した状態が示されている。
【0084】
クライアント端末7のCPU73は、撮像した画像と、角度検出センサにより検出された撮影角度情報と、校正板300上の白の正方形および黒の正方形の各々の歪みとに基づいて、撮像した画像の歪みを校正する処理を行うように構成されている。
【0085】
図23に示すように、クライアント端末7のCPU73は、校正した画像に基づいて、部品Eの3次元の外形形状を取得する処理を行うように構成されている。クライアント端末7のCPU73は、部品Eの3次元の外形形状と、校正板300上の白の正方形および黒の正方形の各々の縦寸法とに基づいて、部品Eの厚みThを算出する処理を行うように構成されている。
【0086】
クライアント端末7のCPU73は、撮像部75により撮像された部品Eの画像に基づいて、部品Eの3次元の外形形状を取得するとともに、部品Eの3次元の外形形状と部品Eの密度を含む質量係数とに基づいて、部品質量Mおよび部品重心位置Pgを取得する処理を行うように構成されている。
【0087】
具体的には、クライアント端末7のCPU73は、撮像した、部品Eの上面E1(平面視)の画像、部品Eの下面E11(底面視)の画像および部品Eの側面視の画像に基づいて、部品Eの3次元の外形形状を取得する処理を行うように構成されている。ここで、部品Eの3次元の外形形状は、複数の電極E2の各々の3次元の外形形状と、部品ボディE3の3次元の外形形状とを含んでいる。
【0088】
クライアント端末7のCPU73は、取得した複数の電極E2の各々の3次元の外形形状と、複数の電極E2の各々の縦寸法、複数の電極E2の各々の横寸法および複数の電極E2の各々の厚みとに基づいて、複数の電極E2の各々の体積を算出する処理を行うように構成されている。ここで、複数の電極E2の各々の縦寸法は、部品Eの上面E1の画像および部品Eの下面E11の画像に基づいて算出される。複数の電極E2の各々の横寸法は、部品Eの上面E1の画像および部品Eの下面E11の画像に基づいて算出される。複数の電極E2の各々の厚みは、部品Eの側面視の画像に基づいて算出される。
【0089】
クライアント端末7のCPU73は、部品種情報Etrの「質量係数」の情報から複数の電極E2の各々の密度を取得する処理を行うように構成されている。クライアント端末7のCPU73は、複数の電極E2の各々の体積と、複数の電極E2の各々の密度との乗算に基づいて、複数の電極E2の各々の質量Meを算出する処理を行うように構成されている。
【0090】
クライアント端末7のCPU73は、取得した部品ボディE3の3次元の外形形状と、部品Eの部品外形縦寸法Eoy、部品Eの部品外形横寸法Eoxおよび部品Eの厚みThとに基づいて、部品ボディE3の体積を算出する処理を行うように構成されている。クライアント端末7のCPU73は、部品種情報Etrの「質量係数」の情報から部品ボディE3の密度を取得する処理を行うように構成されている。クライアント端末7のCPU73は、部品ボディE3の体積と、部品ボディE3の密度との乗算に基づいて、部品ボディE3の質量Mbを算出する処理を行うように構成されている。
【0091】
クライアント端末7のCPU73は、複数の電極E2の各々の質量Meと、部品ボディE3の質量Mbとの加算に基づいて、部品質量Mを算出する処理を行うように構成されている。
【0092】
クライアント端末7のCPU73は、複数の電極E2の各々の3次元の外形形状内における所定位置から部品Eの部品重心位置Pgまでの距離と複数の電極E2の各々の質量Meとの乗算であるモーメント、および、部品ボディE3の内における所定位置から部品Eの部品重心位置Pgまでの距離と部品ボディE3の質量Mbとの乗算であるモーメントに基づいて、部品重心位置Pgを算出する処理を行うように構成されている。部品重心位置Pgは、水平方向の位置および上下方向の位置を含む3次元の位置である。
【0093】
クライアント端末7のCPU73は、部品質量Mおよび部品重心位置Pgに基づいて、使用可能ノズルNcを検索する処理を行うように構成されている。使用可能ノズルNcは、実装ヘッド26aにより動かされた際、部品質量Mおよび部品重心位置Pgの部品Eがずれないような吸着力を有しているノズルである。吸着力は、上記したノズル情報Nz1の「ノズル穴種別Nz1h」、「ノズル先端内径縦Nz1e」および「ノズル先端内径横Nz1f」の各々の数値、または、上記したノズル情報Nz2の「ノズル穴種別Nz2h」、「ノズル先端内径縦Nz2e」および「ノズル先端内径横Nz2f」の各々の数値、に基づいて算出される。
【0094】
具体的には、クライアント端末7のCPU73は、所持ノズルの情報であるノズル情報Nz1および非所持ノズルの情報であるノズル情報Nz2の少なくともいずれかの情報に基づいて、使用可能ノズルNcを検索する処理を行うように構成されている。すなわち、クライアント端末7のCPU73は、作業者Wにより予め選択された、内部管理サーバ6に記憶された複数のノズル情報Nz1および外部管理サーバ200に記憶された複数のノズル情報Nz2の少なくともいずれかの情報に基づいて、使用可能ノズルNcを検索する処理を行うように構成されている。
【0095】
以下の説明では、作業者Wが、内部管理サーバ6に記憶された複数のノズル情報Nz1および外部管理サーバ200に記憶された複数のノズル情報Nz2の両方を検索対象として選択した場合を想定する。なお、作業者Wが、内部管理サーバ6に記憶された複数のノズル情報Nz1および外部管理サーバ200に記憶された複数のノズル情報Nz2のうちの1つを検索対象として選択してもよい。
【0096】
クライアント端末7のCPU73は、内部管理サーバ6に記憶された複数のノズル情報Nz1に基づいて、使用可能ノズルNc1を検索する処理を行うように構成されている。これにより、クライアント端末7のCPU73は、内部管理サーバ6において検索された使用可能ノズルNc1の情報を含む部品情報Reを取得する。
【0097】
また、クライアント端末7のCPU73は、複数のノズル情報Nz1を検索した後、使用可能ノズルNc2を検索するために、外部管理サーバ200に検索を実行させる信号を送信する処理を行うように構成されている。外部管理サーバ200のCPU202は、基板Sbに実装される部品Eの部品質量Mおよび部品Eの部品重心位置Pgに基づいて、部品Eを基板Sbに実装する際に使用することが可能な使用可能ノズルNc2を検索する処理を行う。外部管理サーバ200のCPU202は、使用可能ノズルNc2の検索を完了させた後、検索された使用可能ノズルNcの情報を含む部品情報Reをクライアント端末7に送信する処理を行うように構成されている。これにより、クライアント端末7のCPU73は、外部管理サーバ200から検索された使用可能ノズルNc2の情報を含む部品情報Reを取得する。
【0098】
これらにより、クライアント端末7のCPU73は、図13に示す部品情報Reにおける、使用可能ノズルNc1および使用可能ノズルNc2を含む使用可能ノズルNcを取得したことになる。
【0099】
また、クライアント端末7のCPU73は、使用可能ノズルNcを動かした際に使用可能ノズルNcから吸着した部品Eがずれないか否かを判定するために設定されるとともに、使用可能ノズルNcを動かす速度に応じて変化する指標値に基づいて、使用可能ノズルNcを動かす際の推奨速度の情報をさらに含む部品情報Reを取得するとともに、取得した部品情報Reを表示部71に表示する処理を行うように構成されている。ここで、推奨速度は、使用可能ノズルNcを水平方向に動かす水平移動速度、使用可能ノズルNcを回転させて動かす回転速度、および、使用可能ノズルNcを昇降させて動かす昇降速度を含んでいる。
【0100】
クライアント端末7のCPU73は、使用可能ノズルNcを動かす速度に応じて変化する、使用可能ノズルNcの移動方向に発生する水平方向慣性力Fi(図24を参照)、回転トルクFr(図25を参照)および上下方向慣性力Fud(図26を参照)と、使用可能ノズルNcと部品Eとの間の摩擦力Ffi(図24を参照)、摩擦トルクFfr(図25を参照)および保持力Ffud(図26を参照)とに基づいて、指標値を算出する処理を行うように構成されている。ここで、移動方向は、水平方向、回転方向および上下方向を含んでいる。また、指標値は、移動用指標値、回転用指標値および昇降用指標値を含んでいる。
【0101】
移動用指標値は、摩擦力Ffi(図24を参照)を水平方向慣性力Fi(図24を参照)により除算した値である。使用可能ノズルNcを移動させた際に使用可能ノズルNcから吸着した部品Eがずれない水平移動速度は、移動用指標値が1を超える場合である。水平方向の移動の推奨速度は、移動用指標値が1を超えた水平移動速度のうちの最高速度である。水平方向の移動の推奨速度は、移動用指標値が1を超えた水平移動速度のうちの最高速度を、設計上の最高速度で除算して100分率で算出される。摩擦力Ffiは、使用可能ノズルNcの先端部における部品Eとの摩擦係数および使用可能ノズルNcの吸着力などに基づいて算出される。水平方向慣性力Fiは、使用可能ノズルNcを水平方向に移動させた際に生じる合成加速度(G値)および部品質量Mなどに基づいて算出される。
【0102】
回転用指標値は、摩擦トルクFfr(図18を参照)を回転トルクFr(図18を参照)により除算した値である。使用可能ノズルNcをR軸モータにより回転させた際に使用可能ノズルNcから吸着した部品Eがずれない回転速度は、回転用指標値が1を超える場合である。回転の推奨速度は、移動用指標値が1を超えた回転速度のうちの最高速度である。回転の推奨速度は、移動用指標値が1を超えた回転速度のうちの最高速度を、設計上の最高速度で除算した100分率で算出される。摩擦トルクFfrは、使用可能ノズルNcの先端部における部品Eとの摩擦係数および使用可能ノズルNcの吸着力などに基づいて算出される。回転トルクFrは、使用可能ノズルNcを回転させた際に生じる角加速度(G値)および部品慣性モーメントなどに基づいて算出される。
【0103】
昇降用指標値は、保持力Ffud(図26を参照)を上下方向慣性力Fud(図26を参照)により除算した値である。使用可能ノズルNcを移動させた際に使用可能ノズルNcから吸着した部品Eがずれない昇降速度は、昇降用指標値が1を超える場合である。昇降の推奨速度は、移動用指標値が1を超えた昇降速度のうちの最高速度である。昇降の推奨速度は、昇降用指標値が1を超えた昇降速度のうちの最高速度を、設計上の最高速度で除算して100分率で算出される。保持力Ffudは、使用可能ノズルNcの先端部に吸着される部品Eの寸法などの情報と、使用可能ノズルNcの吸着力および先端部の吸着開口面積の寸法などの情報とに基づいて算出される。上下方向慣性力Fudは、使用可能ノズルNcを昇降させた際に生じる合成加速度(G値)および部品質量Mなどに基づいて算出される。なお、保持力Ffudおよび上下方向慣性力Fudの各々は、使用可能ノズルNcの先端部の吸着開口面積の寸法に比例して変化する。
【0104】
これらにより、クライアント端末7のCPU73は、図13に示す部品情報Reにおける、水平方向の移動の推奨速度Re9、昇降の推奨速度Re10および回転の推奨速度Re11の各々の数値を取得したことになる。
【0105】
また、クライアント端末7のCPU73は、作業者Wによる選択操作に基づいて、部品種Rer1を取得する処理を行うように構成されている。クライアント端末7のCPU73は、撮像部75により撮像した画像に基づいて、図13に示す部品情報Reにおける、部品外形縦Rer2、部品外形横Rer3、吸着可能範囲縦Rer4および吸着可能範囲横Rer5の各々の数値などの情報を取得する処理を行うように構成されている。クライアント端末7のCPU73は、図13に示す部品情報Reにおいて、クライアント端末7の撮像部75により部品Eの下面E11を撮像した画像に基づく部品Eの認識情報も表示している。
【0106】
また、クライアント端末7のCPU73は、使用可能ノズルNcの検索結果と、内部管理サーバ6のノズル情報Nz1と、外部管理サーバ200のノズル情報Nz2とに基づいて、番号Re1、適合度Re2、ノズル名称Re3、ノズル種別Re4、対応ヘッドRe5、ノズル所持Re6、使用装置Re7、使用可能フィーダRe8、推奨速度Re9、推奨速度Re10、推奨速度Re11、静電気対応Re12、および、ノズル詳細Re13の各々に対応する数値などの情報を取得する処理を行うように構成されている。適合度Re2は、一例として、推奨速度Re9の数値、推奨速度Re10の数値および推奨速度Re11の数値の各々が100%であり、かつ、使用可能ノズルNcの吸着開口面積の大きさが所定面積よりも大きい場合は「○」であり(図13の1番目の使用可能ノズルNcなどを参照)、推奨速度Re9の数値、推奨速度Re10の数値および推奨速度Re11の数値の少なくとも1つが0%に近い場合は「×」であり、それ以外の場合は「△」であると想定して記載している。
【0107】
図13に示すように、クライアント端末7のCPU73は、検索結果として使用可能ノズルNcが複数取得された場合、複数の使用可能ノズルNcの情報を一覧で示した部品情報Reを表示部71に表示する処理を行うように構成されている。
【0108】
ここで、クライアント端末7のCPU73は、複数の使用可能ノズルNcのうち、部品Eに対する使用可能ノズルNcの吸着力が最も強く、かつ、推奨速度が最も早い使用可能ノズルNcから順に並べて、複数の使用可能ノズルNcの情報を一覧で表示部71に表示する処理を行うように構成されている。
【0109】
部品Eに対する使用可能ノズルNcの吸着力は、上記したように、使用可能ノズルNcとして所持ノズルとしての使用可能ノズルNc1を取得した場合、使用可能ノズルNc1に関連付けられた、「ノズル先端内径縦Nz1e」(図8を参照)および「ノズル先端内径横Nz1f」(図8を参照)の各々の数値に基づいて算出される使用可能ノズルNcの先端の吸着開口面積と、「ノズル穴種別Nz1h」の情報とに基づいて取得される。また、部品Eに対する使用可能ノズルNcの吸着力は、使用可能ノズルNcとして非所持ノズルとしての使用可能ノズルNc2を取得した場合、使用可能ノズルNc2に関連付けられた、「ノズル先端内径縦Nz2e」(図12を参照)および「ノズル先端内径横Nz2f」(図12を参照)の各々の数値に基づいて算出される使用可能ノズルNcの先端の吸着開口面積と、「ノズル穴種別Nz2h」の情報とに基づいて取得される。
【0110】
上記した吸着力および推奨速度に基づく並べ替えについて図27を参照して説明する。
【0111】
ここで、使用可能ノズルNcは、推奨速度Re9の数値、推奨速度Re10の数値および推奨速度Re11の数値の各々が100%で使用可能なノズル、または、推奨速度Re9の数値、推奨速度Re10の数値および推奨速度Re11の数値の各々の少なくともいずれかを100%から下げることにより使用可能になったノズルを含んでいる。
【0112】
図27では、使用可能ノズルNcとして、第1ノズルN1、第2ノズルN2、第3ノズルN3および第4ノズルN4が検索された場合を一例として示されている。第1ノズルN1、第2ノズルN2、第3ノズルN3および第4ノズルN4は、それぞれ、図13の部品情報Reに合わせて、所持ノズル、非所持ノズル、所持ノズル、および、非所持ノズルである。
【0113】
第1ノズルN1のノズル穴種別は、1つの円形状の穴である。第1ノズルN1の吸着開口面積は、吸着開口面積Ar1である。第2ノズルN2のノズル穴種別は、1つの円形状の穴である。第2ノズルN2の吸着開口面積は、吸着開口面積Ar2である。第3ノズルN3のノズル穴種別は、4つの円形状の穴である。第3ノズルN3の吸着開口面積は、4つの吸着開口面積Ar3の総和である。第4ノズルN4のノズル穴種別は、1つの円形状の穴である。第4ノズルN4の吸着開口面積は、吸着開口面積Ar4である。吸着開口面積Ar1は、吸着開口面積Ar2、4つの吸着開口面積Ar3および吸着開口面積Ar4のうちで最も大きく、吸着開口面積Ar2、4つの吸着開口面積Ar3および吸着開口面積Ar4の順に小さくなる。
【0114】
これにより、図13に示すように、移動用指標値、回転用指標値および昇降用指標値に基づいて取得される推奨速度は、第1ノズルN1、第2ノズルN2および第3ノズルN3において、水平方向の移動の推奨速度、昇降の推奨速度および回転の推奨速度の全てが100%である。また、移動用指標値、回転用指標値および昇降用指標値に基づいて取得される推奨速度は、第4ノズルN4において、昇降の推奨速度のみが100%である。
【0115】
このような場合、推奨速度および吸着開口面積の大きさに応じて、第4ノズルN4の適合度は「△」となるので、一番適合度が低く、第1ノズルN1、第2ノズルN2および第3ノズルN3の各々の適合度は「○」となり、この順で適合度が高い順に並んでいる。第1ノズルN1、第2ノズルN2および第3ノズルN3の各々は、推奨速度Re9の数値、推奨速度Re10の数値および推奨速度Re11の数値の各々が100%で使用可能なノズルである。また、第4ノズルN4は、推奨速度Re9の数値、推奨速度Re10の数値および推奨速度Re11の数値のうちの推奨速度Re9の数値および推奨速度Re11の数値を100%から下げることにより使用可能になったノズルである。
【0116】
また、クライアント端末7のCPU73は、使用可能ノズルNcの検索結果として所持ノズルとしての使用可能ノズルNc1を取得した場合、所持ノズルであることを示す情報をさらに含む部品情報Reを表示部71に表示する処理を行うように構成されている。また、クライアント端末7のCPU73は、使用可能ノズルNcの検索結果として所持ノズルとしての使用可能ノズルNc1を取得した場合、所持ノズルの登録された所持本数を含む使用可能ノズルNc1の情報をさらに表示部71に表示する処理を行うように構成されている。すなわち、クライアント端末7のCPU73は、使用可能ノズルNc1の検索結果におけるノズル詳細Re13の詳細部分を選択する作業者Wの操作を受け付けたことに基づいて、所持ノズルの登録された所持本数を含む使用可能ノズルNc1の情報をさらに表示部71に表示する処理を行うように構成されている。
【0117】
クライアント端末7のCPU73は、使用可能ノズルNcの検索結果として非所持ノズルとしての使用可能ノズルNc2を取得した場合、非所持ノズルであることを示す情報をさらに含む部品情報Reを表示部71に表示する処理を行うように構成されている。また、クライアント端末7のCPU73は、使用可能ノズルNcの検索結果として非所持ノズルとしての使用可能ノズルNc2を取得した場合、非所持ノズルとしての使用可能ノズルNc2に関する情報をさらに表示部71に表示する処理を行うように構成されている。すなわち、クライアント端末7のCPU73は、使用可能ノズルNc2の検索結果におけるノズル詳細Re13の詳細部分を選択する作業者Wの操作を受け付けたことに基づいて、非所持ノズルの購入金額および見積書を、購入を推奨するメッセージとともに表示部71に表示する処理を行うように構成されている。
【0118】
クライアント端末7のCPU73は、作業者Wによる複数の使用可能ノズルNcのうちから1つのノズルの選択操作を受け付けたことに基づいて、選択されたノズルを特定するためのノズル特定情報と、選択されたノズルを検索した際に取得した、部品質量M、部品Eの3次元の外形形状、部品重心位置Pgおよび推奨速度とを含む使用可能ノズルNcの情報である部品情報Reを、内部管理サーバ6の記憶部63の部品情報Erに記憶させる(組み込む、登録する)処理を行うように構成されている。すなわち、クライアント端末7のCPU73は、作業者Wによる複数の使用可能ノズルNcのうちから1つのノズルの選択操作を受け付けたことに基づいて、部品情報Reを内部管理サーバ6の記憶部63の部品情報Erに記憶させる処理を行うように構成されている。ノズル特定情報は、部品情報Reにおける、番号Re1、適合度Re2、ノズル名称Re3、対応ヘッドRe5、ノズル所持Re6、使用装置Re7、使用可能フィーダRe8、推奨速度Re9、推奨速度Re10、推奨速度Re11、静電気対応Re12、および、ノズル詳細Re13の各々に対応する数値などの情報である。
【0119】
また、クライアント端末7のCPU73は、部品情報Re(検索結果)として使用可能ノズルNcが複数取得された場合、複数の使用可能ノズルNcの各々の情報を含む部品情報Reを内部管理サーバ6の記憶部63の部品情報Erに記憶させる処理を行うように構成されている。
【0120】
ここで、クライアント端末7のCPU73は、ノズル特定情報、部品質量M、部品Eの3次元の外形形状、部品重心位置Pg、および、推奨速度の各々に対して、内部管理サーバ6の記憶部63に記憶させる否かの作業者Wの操作を受け付ける処理を行うように構成されている。すなわち、部品情報Re(検索結果)のうちの作業者Wに選択された項目だけを、内部管理サーバ6の記憶部63の部品情報Erに記憶させることが可能である。
【0121】
また、クライアント端末7のCPU73は、作業者Wによる複数の使用可能ノズルNcのうちから1つのノズルの選択操作において、推奨速度Re9、推奨速度Re10および推奨速度Re11の各々の数値の少なくともいずれかが100%でないノズルが選択された場合(図13では4番目の使用可能ノズルNc)には、部品情報Re(検索結果)だけでなく、注意事項を示したメッセージも合わせて、新たな部品情報として内部管理サーバ6の記憶部63の部品情報Erに記憶させる処理を行うように構成されている。なお、注意事項を示したメッセージとは、図28に示すような、「※このノズルは最適なノズルではありません。使用の際は十分にご注意下さい」などのメッセージである。
【0122】
また、内部管理サーバ6のCPU62は、部品情報Reを含む部品情報Erに基づいて、基板Sbに実装される部品Eと使用可能ノズルNcとを関連付けた基板情報を作成する処理を行うように構成されている。また、内部管理サーバ6のCPU62は、基板情報に基づいて、基板Sbに実装される部品Eの実装順序などを最適化する処理を行うように構成されている。ここで、作業者Wは、最適化により算出された製造基板Pの1枚当たりの推定製造時間(タクトタイム)を変更したい場合、選択しなかった他のノズルを選択するなどして部品情報Re(検索結果)を変更することが可能である。これにより、内部管理サーバ6のCPU62は、変更した部品情報Reを含む部品情報Erに基づいて、基板Sbに実装される部品Eと使用可能ノズルNcとを関連付けた基板情報を作成した後、基板情報に基づいて、基板Sbに実装される部品Eの実装順序などを最適化する処理を行うように構成されている。
【0123】
(部品情報作成方法)
ここで、図29および図30を参照して、クライアント端末7のCPU73において処理される部品情報作成方法について説明する。
【0124】
図29に示すように、ステップS1において、作業者Wによる部品種の選択操作を受け付けたか否かを判断する。部品種の選択操作を受け付けた場合にはステップS2に進み、部品種を選択しないという操作を受け付けた場合にはステップS3に進む。ステップS2において、作業者Wにより選択された部品種が取得される。これにより、クライアント端末7に記憶された部品種情報Etrから部品種に対応する情報が取得される。ステップS3において、作業者Wによる校正板300上での部品Eの上面E1の撮像の指示が表示部71に表示される。また、ステップS3において、作業者Wによる校正板300上での部品Eの上面E1の撮像の完了の操作を受け付けた後、作業者Wによる校正板300上での部品Eの下面E11の撮像の指示が表示部71に表示される。これにより、部品Eの上面E1の画像および部品Eの下面E11の画像に基づいて、部品外形縦寸法Eoy、部品外形横寸法Eox、部品ボディ外形縦寸法Ey、部品ボディ外形横寸法Ex1および部品ボディ外形横寸法Ex2などと、部品Eの平面視の2次元の外形形状と、電極E2の位置および吸着可能範囲Vsとが取得される。また、電極E2の縦寸法および横寸法も取得される。
【0125】
ステップS4において、取得した、部品外形縦寸法Eoy、部品外形横寸法Eox、部品ボディ外形縦寸法Ey、部品ボディ外形横寸法Ex1および部品ボディ外形横寸法Ex2などと、部品Eの平面視の2次元の外形形状と、電極E2の位置および吸着可能範囲Vsとに基づいて、内部管理サーバ6の記憶部63に記憶された部品情報Erに一致する部品Eが有るか否かが判断される。一致する部品Eが有った場合には部品情報作成方法が終了し、一致する部品Eが無い場合にはステップS5に進む。
【0126】
ステップS5において、部品種に対応する部品種情報Etrにおける平面視の2次元の外形形状および吸着可能範囲が、それぞれ、取得した、部品Eの平面視の2次元の外形形状および吸着可能範囲Vsに一致するか否かが判断される。一致する場合にはステップS7に進み、一致しない場合にはステップS6に進む。ステップS6において、作業者Wによる、部品Eの平面視の2次元の外形形状および吸着可能範囲Vsの各々の修正操作が受け付けられる。ステップS7において、作業者Wによる校正板300上での部品Eの側面の撮像の指示が表示部71に表示されるとともに、撮像された部品Eの側面の画像に基づいて、部品Eの部品質量Mおよび部品重心位置Pgが取得される。すなわち、撮像された部品Eの側面の画像に基づく体積を含む3次元の外形形状が取得されるので、体積を含む3次元の外形形状と質量係数とに基づいて部品質量Mが取得されるとともに、3次元の外形形状と部品質量Mとに基づいて部品重心位置Pgが取得される。ここで、部品Eの側面の画像に基づいて部品Eの厚みThおよび電極E2の厚みの各々が取得される。
【0127】
ステップS8において、使用可能ノズルNcの検索が開始される。ステップS9において、外部管理サーバ200の情報も検索するか否かが判断される。作業者Wにより外部管理サーバ200の情報も検索することが予め選択されていた場合にはステップS10に進み、作業者Wにより外部管理サーバ200の情報を検索しないことが予め選択されていた場合にはステップS13に進む。ステップS10において、内部管理サーバ6のノズル情報Nz1を対象に検索が行われる。これにより、部品質量Mおよび部品重心位置Pgに基づいて、部品Eを基板Sbに実装する際に使用することが可能な使用可能ノズルNc1の検索が行われる。ステップS11において、外部管理サーバ200のノズル情報Nz1を対象に検索を行うために、外部管理サーバ200に検索を実行させる信号を送信する。外部管理サーバ200では、部品質量Mおよび部品重心位置Pgに基づいて、部品Eを基板Sbに実装する際に使用することが可能な使用可能ノズルNc2の検索が行われる。
【0128】
このように、ステップS10およびステップS11の各々は、基板Sbに実装される部品Eの部品質量Mおよび部品重心位置Pgに基づいて、部品Eを基板Sbに実装する際に使用することが可能な使用可能ノズルNcを検索する処理を行うステップである。
【0129】
ステップS12において、使用可能ノズルNc1および使用可能ノズルNc2の各々の検索結果に基づいて、使用可能ノズルNcが表示部71に表示される。このように、ステップS12は、検索された使用可能ノズルNcの情報を含む部品情報Reを表示するステップである。図29のA点および図30のA点を介してステップS15に進む。
【0130】
図30に示すように、ステップS15において、作業者Wが使用可能ノズルNcを選択したか否かが判断される。使用可能ノズルNcが選択された場合にはステップS17に進む。また、使用可能ノズルNcが選択されなかった場合にはステップS16に進み、所持ノズルおよび非所持ノズルにおいて作業者Wが要件を満たすと判断した使用可能ノズルNcがなく使用可能ノズルNcを特注する必要があるので、ノズルの特注に関するメッセージを表示した後、部品情報作成処理を終了する。
【0131】
ステップS17において、使用可能ノズルNcに関する情報(部品情報Re)を、内部管理サーバ6の部品情報Erに組み込んで記憶させる。ステップS18において、作業者Wにより選択された使用可能ノズルNcが非所持ノズル(使用可能ノズルNc2)であるか否かが判断される。使用可能ノズルNcが非所持ノズルである場合にはステップS19に進み、非所持ノズルであることを示すメッセージとともに、非所持ノズルの金額を含む情報を表示部71に表示した後、部品情報作成処理を終了する。使用可能ノズルNcが非所持ノズルでない場合には、部品情報作成処理を終了する。
【0132】
図29のステップS13からのフローチャートについて説明する。
【0133】
ステップS13において、内部管理サーバ6のノズル情報Nz1を対象に検索される。これにより、部品質量Mおよび部品重心位置Pgに基づいて、部品Eを基板Sbに実装する際に使用することが可能な使用可能ノズルNc1の検索が行われる。ステップS14において、使用可能ノズルNc1の検索結果に基づいて、使用可能ノズルNcが表示部71に表示される。図29のB点および図30のB点を介してステップS20に進む。
【0134】
このように、ステップS13は、基板Sbに実装される部品Eの部品質量Mおよび部品重心位置Pgに基づいて、部品Eを基板Sbに実装する際に使用することが可能な使用可能ノズルNcを検索する処理を行うステップである。また、ステップS14は、検索された使用可能ノズルNcの情報を含む部品情報Reを表示するステップである。
【0135】
ステップS20において、作業者Wが使用可能ノズルNcを選択したか否かが判断される。使用可能ノズルNcが選択された場合にはステップS17に進む。また、使用可能ノズルNcが選択されなかった場合にはステップS21に進み、使用可能ノズルNcが選択された場合にはステップS22に進む。
【0136】
ステップS21において、外部管理サーバ200の情報も検索するか否かを選択するための画面を表示部71に表示した後、作業者Wから外部管理サーバ200の情報も検索するという選択を受け付けたか否かを判断する。外部管理サーバ200の情報も検索するという選択を受け付けた場合にはステップS11に進み、外部管理サーバ200の情報も検索するという選択を受け付けなかった場合には部品情報作成処理を終了する。
【0137】
ステップS22において、使用可能ノズルNcに関する情報である部品情報Reを内部管理サーバ6の部品情報Erに組み込んで記憶させた後、部品情報作成処理を終了する。
【0138】
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0139】
本実施形態では、上記のように、クライアント端末7は、部品質量Mおよび部品重心位置Pgに基づいて、部品Eを基板Sbに実装する際に使用することが可能な使用可能ノズルNcを検索するための処理を行うクライアント端末7のCPU73と、使用可能ノズルNcの情報を含む部品情報Reを表示する表示部71とを備えている。これにより、部品質量Mおよび部品重心位置Pgを使用可能ノズルNcの検索条件とすることにより、ノズルを動かした際に部品質量Mおよび部品重心位置Pgに応じて発生する力に対して適切な吸着力を有する使用可能ノズルNcを検索することができる。この結果、表示部71に表示された適切な吸着力を有する使用可能ノズルNcを作業者Wが選択することにより、部品Eを移動させる際に生じる力に抗して部品Eを実装することに適した使用可能ノズルNcを選択することができる。
【0140】
また、本実施形態では、上記のように、クライアント端末7のCPU73は、撮像部75により撮像された部品Eの画像に基づいて、部品Eの3次元の外形形状を取得するとともに、部品Eの3次元の外形形状と部品Eの密度を含む質量係数とに基づいて、部品質量Mおよび部品重心位置Pgを取得する処理を行うように構成されている。これにより、部品Eの3次元の外形形状を作業者Wが測定具を用いて測定して取得した測定値を用いていないので、作業者Wが測定具を用いて測定する場合と比較して、作業者Wの手間を省くことができる。また、部品Eの電子カタログなどに部品Eの画像が登録されていない場合でも、部品Eの画像を取得することができるので、部品Eの部品質量Mおよび部品重心位置Pgを確実に取得することができる。
【0141】
また、本実施形態では、上記のように、クライアント端末7は、部品Eを撮像する撮像部75、クライアント端末7のCPU73および表示部71を含む携帯端末を備えている。これにより、部品実装装置2の部品撮像部27、制御部29および表示部(図示せず)を用いることなく、クライアント端末(携帯端末)7の撮像部75、クライアント端末7のCPU73および表示部71を用いて使用可能ノズルNcを取得することができるので、使用可能ノズルNcを部品実装装置2において検索した場合に生じる部品実装装置2の作業停止時間を発生させないようにすることができる。したがって、部品実装装置2における部品Eの実装作業の効率を向上させることができる。また、クライアント端末7において使用可能ノズルNcの検索を行うことにより、使用可能ノズルNcの検索を行う度に、作業者Wが部品実装装置2に行く必要がなくなるので、作業者Wの作業負担を軽減することができる。
【0142】
また、本実施形態では、上記のように、クライアント端末7のCPU73は、使用可能ノズルNcを動かした際に使用可能ノズルNcから吸着した部品Eがずれないか否かを判定するために設定されるとともに、使用可能ノズルNcを動かす速度に応じて変化する指標値に基づいて、使用可能ノズルNcを動かす際の推奨速度の情報をさらに含む部品情報Reを取得するとともに、取得した部品情報Reを表示部71に表示する処理を行うように構成されている。これにより、適切な吸着力だけでなく、表示部71に表示された推奨速度に基づいて、作業者Wは可能な限り速く移動させることが可能な使用可能ノズルNcを選択することができるので、部品Eの実装作業時間を比較的短くすることが可能な使用可能ノズルNcを選択することができる。
【0143】
また、本実施形態では、上記のように、推奨速度は、使用可能ノズルNcを水平方向に動かす水平移動速度、使用可能ノズルNcを回転させて動かす回転速度、および、使用可能ノズルNcを昇降させて動かす昇降速度を含んでいる。これにより、部品Eの実装作業における、水平移動速度、回転速度および昇降速度の少なくともいずれかを可能な限り速くすることが可能な使用可能ノズルNcを選択することができる。
【0144】
また、本実施形態では、上記のように、クライアント端末7のCPU73は、使用可能ノズルNcを動かす速度に応じて変化する、使用可能ノズルNcの移動方向に発生する力(Fi、Fr、Fud)、および、使用可能ノズルNcと部品Eとの間の摩擦力(Ffi、Ffr)または保持力Ffudに基づいて、指標値を算出する処理を行うように構成されている。ここで、使用可能ノズルNcと部品Eとの間の摩擦力(Ffi、Ffr)または保持力Ffudが使用可能ノズルNcの移動方向に発生する力よりも大きくなるように指標値が算出された場合、指標値に基づいて検索された使用可能ノズルNcは、部品Eの落下を抑制しつつ、可能な限り速く移動させることが可能であるという条件を満たすことになる。これにより、作業者Wは、表示部71に表示された使用可能ノズルNcにおいて、要望に合った推奨速度の使用可能ノズルNcを選択するだけで、部品Eの落下を抑制しつつ、可能な限り速く移動させることが可能な使用可能ノズルNcを選択することができる。
【0145】
また、本実施形態では、上記のように、クライアント端末7のCPU73は、検索結果として使用可能ノズルNcが複数取得された場合、複数の使用可能ノズルNcの情報を一覧で表示部71に表示する処理を行うように構成されている。これにより、作業者Wが複数の使用可能ノズルNcの全てを容易に確認することができるので、作業者W(使用者)の利便性(ユーザビリティ)を向上させることができる。
【0146】
また、本実施形態では、上記のように、クライアント端末7のCPU73は、作業者Wが所属する会社(ユーザ)が所持する所持ノズルの情報およびユーザが所持していない非所持ノズルの情報の少なくともいずれかの情報に基づいて、使用可能ノズルNcを検索する処理を行うように構成されている。これにより、所持ノズルだけでなく、ユーザが所持していない非所持ノズルの中からも使用可能ノズルNcを検索することができるので、使用可能ノズルNcを広範囲で検索することができる。
【0147】
また、本実施形態では、上記のように、クライアント端末7のCPU73は、使用可能ノズルNcの検索結果として非所持ノズルを取得した場合、非所持ノズルであることを示す情報をさらに含む部品情報Reを表示部71に表示する処理を行うように構成されている。これにより、非所持ノズルであることを容易に認識することができるので、作業者Wが所持ノズルでは対応できず使用可能ノズルNcとして非所持ノズルが必要な状況を容易に認識することができる。
【0148】
また、本実施形態では、上記のように、部品情報作成システム1000は、外部管理サーバ200と、外部管理サーバ200から検索された使用可能ノズルNcの情報を部品情報Reを取得するクライアント端末7のCPU73と、部品情報Reを表示する表示部71とを含むクライアント端末7とを備えている。これにより、外部管理サーバ200において、部品質量Mおよび部品重心位置Pgを使用可能ノズルNcの検索条件とすることにより、ノズルを動かした際に部品質量Mおよび部品重心位置Pgに応じて発生する力に対して適切な吸着力を有する使用可能ノズルNcを検索することができる。この結果、クライアント端末7の表示部71に表示された適切な吸着力を有する使用可能ノズルNcを作業者Wが選択することにより、部品Eを移動させる際に生じる力に抗して部品Eを実装することに適した使用可能ノズルNcを選択することが可能な部品情報作成システム1000を提供できる。
【0149】
また、本実施形態では、上記のように、部品情報作成方法は、基板Sbに実装される部品Eの部品質量Mおよび部品重心位置Pgに基づいて、部品Eを基板Sbに実装する際に使用することが可能な使用可能ノズルNcを検索する処理を行うステップS9(ステップS10およびステップS12)と、検索された使用可能ノズルNcの情報を含む部品情報Reを表示するステップS11(ステップS13)とを備えている。これにより、部品質量Mおよび部品重心位置Pgを使用可能ノズルNcの検索条件とすることにより、ノズルを動かした際に部品質量Mおよび部品重心位置Pgに応じて発生する力に対して適切な吸着力を有する使用可能ノズルNcを検索することができる。この結果、表示部71に表示された適切な吸着力を有する使用可能ノズルNcを作業者Wが選択することにより、部品Eを移動させる際に生じる力に抗して部品Eを実装することに適した使用可能ノズルNcを選択することが可能な部品情報作成方法を提供することができる。
【0150】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0151】
たとえば、上記実施形態では、推奨速度は、使用可能ノズルNcを水平方向に動かす水平移動速度、使用可能ノズルNcを回転させて動かす回転速度、および、使用可能ノズルNcを昇降させて動かす昇降速度の両方を含む例を示したが、本発明ではこれに限られない。本発明では、推奨速度は、使用可能ノズルを水平方向に動かす水平移動速度、使用可能ノズルを回転させて動かす回転速度、および、使用可能ノズルを昇降させて動かす昇降速度の少なくともいずれかを含んでいればよい。
【0152】
また、上記実施形態では、クライアント端末7のCPU73(制御部)は、複数の使用可能ノズルNcのうち、部品Eに対する使用可能ノズルNcの吸着開口面積が最も大きく、かつ、推奨速度が最も早い使用可能ノズルNcから順に並べて、複数の使用可能ノズルNcの情報を一覧で表示部71に表示する処理を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、所持ノズルの本数が多い順、および、ヘッドユニットにおける使用可能ノズルの取り付け可能本数の多い順に並べて、複数の使用可能ノズルの情報を一覧で表示部に表示する処理を行うように構成されていてもよい。
【0153】
また、上記実施形態では、作業者Wは、最適化により算出された製造基板Pの1枚当たりの推定製造時間(タクトタイム)を変更したい場合、選択しなかったの他のノズルを選択するなどして部品情報Re(検索結果)を変更することが可能である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、検索された所持ノズルである使用可能ノズルがあるが、所持本数が少ないことに起因してタクトタイムが悪化している場合には、使用可能ノズルの追加の購入を提案するメッセージなどを表示部に表示する処理を行ってもよい。また、制御部は、推奨速度が100%でない所持ノズルである使用可能ノズルを選択したような場合には、推奨速度が100%である非所持ノズルの購入を提案するメッセージなどを表示部に表示する処理を行ってもよい。
【0154】
また、上記実施形態では、クライアント端末7のCPU73(制御部)は、使用可能ノズルNcを動かす際の推奨速度の情報をさらに含む部品情報Reを取得するとともに、取得した部品情報Reを表示部71に表示する処理を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、使用可能ノズルを動かす際の推奨速度の情報を部品情報に含めなくてもよい。
【0155】
また、上記実施形態では、クライアント端末7のCPU73(制御部)は、使用可能ノズルNcの情報である部品情報Reを、内部管理サーバ6の記憶部63に記憶された部品情報Erに組み込む処理を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、内部管理サーバの記憶部に記憶された部品情報に、使用可能ノズルの情報を加えることにより、部品情報を更新する処理を行うように構成されてもよい。
【0156】
また、上記実施形態では、クライアント端末7(部品情報作成装置)は、撮像部75により部品Eの画像を取得する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品の画像は、部品実装装置の部品撮像部で取得されてもよいし、内部管理サーバなどに記憶された部品に関する電子カタログに含まれる画像から取得されてもよい。
【0157】
また、上記実施形態では、内部管理サーバ6のCPU62は、部品情報Re(検索結果)を含む部品情報Erに基づく基板情報に基づいて、基板Sbに実装される部品Eの実装順序などを最適化する処理を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、内部管理サーバは、検索結果(部品情報)および部品情報に基づく基板情報に基づいて、基板に実装される部品の実装順序などを最適化する処理を行わなくてもよい。また、内部管理サーバは、検索結果および部品情報に基づく基板情報に基づいて、実装ラインの作業順序を最適化する処理を行うように構成されていてもよい。
【0158】
また、上記実施形態では、クライアント端末7のCPU73(制御部)は、複数の電極E2の各々の質量Meと、部品ボディE3の質量Mbとの加算に基づいて、部品質量Mを算出する処理を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、部品ボディの質量を部品質量として算出する処理を行うように構成されていてもよい。
【0159】
また、上記実施形態では、クライアント端末7のCPU73(制御部)は、取得した2次元の外形形状に基づいて、電極E2の位置、および、吸着可能範囲Vsを取得する処理を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、取得した、電極の位置および吸着可能範囲に基づいて、強化学習により、電極の位置および吸着可能範囲を学習してもよい。
【0160】
また、上記本実施形態では、説明の便宜上、クライアント端末7のCPU73(制御部)の制御処理を、処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の制御処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0161】
7 クライアント端末(部品情報作成装置)
26b ノズル
71 表示部
73 CPU(制御部、第2制御部)
75 撮像部
200 外部管理サーバ(サーバ)
202 CPU(第1制御部)
1000 部品情報作成システム
E 部品
Ffi 摩擦力
Ffr 摩擦トルク(摩擦力)
Fi 水平方向慣性力(移動方向に発生する力)
Fr 回転トルク(移動方向に発生する力)
M 部品質量
Nc、Nc1、Nc2 使用可能ノズル
Pg 部品重心位置
Re 部品情報
Sb 基板
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