(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164568
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】スカム付着抑制剤、スカム付着抑制方法、および化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/84 20060101AFI20241120BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20241120BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20241120BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20241120BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20241120BHJP
C11D 3/04 20060101ALI20241120BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20241120BHJP
C11D 1/04 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
A61K8/84
A61K8/36
A61K8/86
A61Q5/02
A61Q19/10
C11D3/04
C11D3/37
C11D1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080148
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】鳥羽 悠子
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC122
4C083AC241
4C083AC242
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD111
4C083AD112
4C083BB60
4C083CC23
4C083CC38
4C083DD01
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE03
4C083EE07
4C083EE50
4H003AB02
4H003BA12
4H003DA02
4H003DB04
4H003EA12
4H003EB38
4H003ED02
4H003FA04
4H003FA28
(57)【要約】
【課題】スカムの付着の抑制性に優れる組成物を提供する。
【解決手段】アルキレンイミンに由来する構造単位(a)およびアルキレンオキシドに由来する構造単位(b)を含むアルキレンイミン誘導体と、高級脂肪酸とを含む、スカム付着抑制剤。前記スカム付着抑制剤を含む化粧料。前記化粧料を使用して身体を洗浄する際に洗浄水で洗い流す工程を備えるスカム付着抑制方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキレンイミンに由来する構造単位(a)およびアルキレンオキシドに由来する構造単位(b)を含むアルキレンイミン誘導体と、高級脂肪酸とを含む、スカム付着抑制剤。
【請求項2】
アルキレンオキシドに由来する構造単位(b)はアルキレンイミンに由来する構造単位(a)における窒素原子に結合している、請求項1に記載のスカム付着抑制剤。
【請求項3】
請求項1または2に記載のスカム付着抑制剤を含む化粧料。
【請求項4】
前記化粧料100質量%中の前記アルキレンイミン誘導体の含有割合は0.0001~20質量%である請求項3に記載の化粧料。
【請求項5】
請求項3の化粧料を使用して身体を洗浄する際に洗浄水で洗い流す工程を備えるスカム付着抑制方法。
【請求項6】
前記洗浄水は無機金属塩を含む請求項5に記載のスカム付着抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スカム付着抑制剤、スカム付着抑制方法、および化粧料に関する。より詳細には、本発明は、スカム付着抑制剤、上記スカム付着抑制剤を用いたスカム付着抑制方法、および上記スカム付着抑制剤を含む化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
石けんやシャンプー、ボディソープなどの皮膚洗浄剤は、高級脂肪酸を主成分とするものが多い。このような皮膚洗浄剤としては、例えば特許文献1~3に開示されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-134191号公報
【特許文献2】特開2021-75481号公報
【特許文献3】特開2017-193530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、高級脂肪酸は硬水中のマグネシウムイオンやカルシウムイオン等の非アルカリ金属イオンと反応して水に難溶な石けんカス(スカム)を発生することが知られている。スカムは、風呂場やシンクなどに付着して汚れとなったり、皮膚や毛髪に付着してキシミ感の原因になったりする。また、皮膚洗浄剤等の化粧料の使用時にスカムが生成されると、泡立ちや泡質が低下するという問題もある。
【0005】
従って、本発明の目的は、スカムの付着の抑制性に優れる組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定のアルキレンイミン誘導体および高級脂肪酸を含む組成物によれば、スカムの付着の抑制性に優れることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
【0007】
すなわち、本発明は、アルキレンイミンに由来する構造単位(a)およびアルキレンオキシドに由来する構造単位(b)を含むアルキレンイミン誘導体と、高級脂肪酸とを含む、スカム付着抑制剤を提供する。
【0008】
アルキレンオキシドに由来する構造単位(b)はアルキレンイミンに由来する構造単位(a)における窒素原子に結合していることが好ましい。
【0009】
また、本発明は、上記スカム付着抑制剤を含む化粧料を提供する。
【0010】
上記化粧料100質量%中の上記アルキレンイミン誘導体の含有割合は0.0001~20質量%であることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、上記化粧料を使用して身体を洗浄する際に洗浄水で洗い流す工程を備えるスカム付着抑制方法を提供する。
【0012】
上記洗浄水は無機金属塩を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のスカム付着抑制剤はスカムの付着の抑制性およびスカム分散性に優れる。このため、例えば、化粧料に添加することによって、本発明のスカム付着抑制剤を添加した組成物(例えば本発明の化粧料)を使用した際にスカムが皮膚等の使用箇所や周囲に付着するのを抑制することができる。また、スカムの付着を抑制もしくは低減することによって、洗浄後の毛髪や皮膚のキシミ感やつっぱり感を低減させ、感触を向上することも期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[スカム付着抑制剤]
本発明のスカム付着抑制剤は、アルキレンイミンに由来する構造単位(a)およびアルキレンオキシドに由来する構造単位(b)を含むアルキレンイミン誘導体と、高級脂肪酸とを少なくとも含む。
【0015】
(アルキレンイミン誘導体)
上記アルキレンイミン誘導体は、アルキレンイミンに由来する構造単位(a)およびアルキレンオキシドに由来する構造単位(b)を含む。上記アルキレンイミン誘導体は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。アルキレンイミンに由来する構造単位(a)およびアルキレンオキシドに由来する構造単位(b)は、それぞれ、一種のみを有していてもよいし、二種以上を有していてもよい。
【0016】
上記アルキレンイミンに由来する構造単位(a)としては、例えば、下記式(1)で表される構造単位が挙げられる。
【0017】
【0018】
上記構造単位(a)における窒素原子は、1級~3級アミンの窒素原子であってもよく、中和されていてもよく、4級化されていてもよく、N-オキシドの形態であってもよい。上記式(1)において、3つのアスタリスクは、それぞれアルキレンイミンに由来する構造単位(a)が結合する元素または基などを表す。
【0019】
R1は、置換基を有していてもよいアルキレン基を示す。上記アルキレン基は、直鎖または分岐鎖状アルキレン基であることが好ましい。上記アルキレン基は、炭素数2~10のアルキレン基が好ましく、より好ましくは炭素数2~5のアルキレン基、さらに好ましくは炭素数2~3のアルキレン基である。上記アルキレン基としては、エチレン基(ジメチレン基)、メチルメチレン基、1,2-プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基などが挙げられる。上記置換基としては、アルコキシ基、アセトキシ基、エステル基などが挙げられる。
【0020】
上記構造単位(a)における窒素原子がN-オキシドの形態としては下記式(1-2)で表される構造単位が挙げられる。式(1-2)におけるアスタリスクおよびR1は式(1)中のものと同じである。
【0021】
【0022】
上記構造単位(a)における窒素原子が4級化された形態としては下記式(1-3)で表される構造単位が挙げられる。式(1-3)におけるアスタリスクおよびR1は式(1)中のものと同じである。
【0023】
【0024】
上記式(1-3)中、R3は炭素数1~10の炭化水素基を示し、Z-は有機または無機のカウンターアニオンを示す。
【0025】
上記構造単位(a)(例えば、上記式(1)、式(1-2)、および式(1-3)で表される構造単位)における窒素原子およびR1は、特に限定されないが、水素原子;アミノ基;エステル基、チオエステル基、アミド基、チオアミド基、アセタール基、ヘミアセタール基、ヘミケタール基等の結合基;アルキレンイミンに由来する構造単位(a);アルキレンオキシドに由来する構造単位(b)などに結合していてもよい。
【0026】
上記アルキレンイミン誘導体は、アルキレンイミンに由来する構造単位(a)が連続した構造部位(「ポリアルキレンイミンに由来する構造部位(A)」と称する場合がある)を含むことが好ましい。上記構造部位(A)は、数平均分子量が150以上、10000以下であることが好ましく、200以上、5000以下であることがより好ましく、250以上、3000以下であることがさらに好ましい。ポリアルキレンイミンに由来する構造部位(A)は、直鎖構造であってもよく、分岐構造であってもよい。また、上記構造単位(a)が上記構造部位(A)として上記アルキレンイミン誘導体に含まれる場合、上記構造単位(a)の繰り返し数は、2~50が好ましく、より好ましくは6~30、さらに好ましくは10~20である。なお、本明細書において、構造単位(a)として構造部位(A)を有するアルキレンイミン誘導体を「ポリアルキレンイミン誘導体」と称する場合がある。
【0027】
上記構造部位(A)は、エチレンイミンに由来する構造単位を含む(すなわち、上記式(1)中のR1がエチレン基である構造単位(a)を含む)ことが好ましい。上記アルキレンイミン誘導体に含まれるすべての構造単位(a)に含まれるアルキレン基(例えば式(1)中のすべてのR1)の内、50モル%以上がエチレン基であることが好ましく、80モル%以上がエチレン基であることがより好ましく、90モル%以上がエチレン基であることがさらに好ましい。
【0028】
上記アルキレンオキシドに由来する構造単位(b)としては、例えば、下記式(2)で表される構造単位が挙げられる。
【0029】
【0030】
上記式(2)において、2つのアスタリスクは、それぞれアルキレンオキシドに由来する構造単位(b)が結合する元素または基などを表す。
【0031】
R2は、置換基を有していてもよいアルキレン基を示す。上記アルキレン基は、直鎖または分岐鎖状アルキレン基であることが好ましい。上記アルキレン基は、炭素数2~10のアルキレン基が好ましく、より好ましくは炭素数2~5のアルキレン基、さらに好ましくは炭素数2~3のアルキレン基である。上記アルキレン基としては、エチレン基(ジメチレン基)、メチルメチレン基、1,2-プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基などが挙げられる。上記置換基としては、アルコキシ基、アセトキシ基、エステル基などが挙げられる。
【0032】
上記構造単位(b)(例えば、上記式(2)で表される構造単位)における酸素原子およびR2は、特に限定されないが、水素原子;エステル基、チオエステル基、アミド基、チオアミド基、アセタール基、ヘミアセタール基、ヘミケタール基等の結合基;アルキレンイミンに由来する構造単位(a);アルキレンオキシドに由来する構造単位(b);水酸基と反応可能な基の残基などに結合していてもよい 。
【0033】
上記構造単位(b)は、上記式(2)で表される構造単位に加えて、さらに下記一般式(3)で表される構造単位を有してもよい。すなわち、上記構造単位(b)は、アルキレン基の炭素数が1つ異なる二種の構造単位を有していてもよい。式(3)におけるアスタリスクおよびR2は式(2)中のものと同じである。
【0034】
【0035】
nは上記式(3)における構造単位(b)の繰り返し数を表し、例えば、1~9であることが好ましい。
【0036】
上記アルキレンイミン誘導体は、アルキレンオキシドに由来する構造単位(b)が連続した構造部位(「ポリアルキレンオキシドに由来する構造部位(B)」と称する場合がある)を含むことが好ましい。ポリアルキレンオキシドに由来する構造部位(B)は、直鎖構造であってもよく、分岐構造であってもよい。また、上記構造単位(b)が上記構造部位(B)として上記アルキレンイミン誘導体に含まれる場合、上記構造単位(b)の繰り返し数は、2~50が好ましく、より好ましくは6~40、さらに好ましくは10~30である。
【0037】
上記構造部位(B)は、エチレンオキシド基を含む(すなわち、上記式(2)中のR2がエチレン基である構造単位(b)を含む)ことが好ましい。上記アルキレンイミン誘導体に含まれるすべての構造単位(b)に含まれるアルキレン基(例えば式(2)中のすべてのR2)の内、50モル%以上がエチレン基であることが好ましく、80モル%以上がエチレン基であることがより好ましく、90モル%以上がエチレン基であることがさらに好ましい。
【0038】
上記アルキレンイミン誘導体は、上記構造単位(a)および上記構造単位(b)以外のその他の構造単位(以下、「構造単位(c)」とも言う)を有していてもよい。上記構造単位(c)としては 、特に限定されないが、例えば、水素原子;アミノ基等の開始剤に由来する残基;エステル基、チオエステル基、アミド基、チオアミド基、アセタール基、ヘミアセタール基、ヘミケタール基等の結合基;酸無水物、イソシアネート、エステル化合物等の水酸基と反応可能な化合物の残基などが挙げられる。上記結合基は、上記構造単位(a)または上記構造部位(A)と上記構造単位(b)または上記構造部位(B)とを結合していてもよい。
【0039】
上記構造単位(b)は上記構造単位(a)における窒素原子(例えば上記式(1)中の窒素原子)に結合していることが好ましい。この場合、上記構造単位(b)中のアルキレン基(例えば式(2)中のR2)が上記窒素原子に直接結合していてもよいし、上記結合基等の連結基を介して結合していてもよい。
【0040】
上記アルキレンイミン誘導体において、構造単位(a)と構造単位(b)とのモル比[前者:後者]は、1:0.1~1:100であることが好ましく、より好ましくは1:0.3~1:80、さらに好ましくは1:0.5~1:50、さらに好ましくは1:0.5~1:30、さらに好ましくは1:0.5~1:10、さらに好ましくは1:0.5~1:5、特に好ましくは1:0.5~1:3である。上記モル比が上記範囲内であると、スカム分散効果がより優れ、スカム付着抑制効果がより優れる。
【0041】
上記アルキレンイミン誘導体中の構造単位(a)および構造単位(b)との合計の含有割合は、上記アルキレンイミン誘導体の総量100質量%に対して、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。上記含有割合が50質量%以上であると、スカム分散効果がより優れ、スカム付着抑制効果がより優れる。
【0042】
上記ポリアルキレンイミン誘導体は、重量平均分子量が1000以上、100000以下であることが好ましく、より好ましくは1500以上、80000以下である。市販品としては、株式会社日本触媒製の「品番:ZX-CC-C-130」(重量平均分子量13,000、表示名称:(PEI-14/PEG-20)コポリマー、水、INCI:PEI-14/PEG-20 Copolymer, Water)」を使用することができる。なお、上記アルキレンイミン誘導体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および、分子量分布(Mw/Mn)は、通常は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定することができる。
【0043】
上記アルキレンイミン誘導体は、例えば、ポリエチレンイミンなどのアルキレンイミンに由来する構造単位(a)を有する重合体(P0)に含まれるアミノ基に、アルキレンオキシドを付加することにより製造することができる。上記アルキレンイミン誘導体は、重合体(P0)のアミノ基に含まれる活性水素1モルに対し、例えばアルキレンオキシドを平均0.1~100モル、好ましくは0.5~50モル、より好ましくは1.0~30モル付加することにより製造してもよい。なお、原料として使用するポリアルキレンイミンなどのアルキレンイミンに由来する構造単位(a)を有する重合体(P0)の数平均分子量については、原料として使用する重合体(P0)の数平均分子量がカタログ値などで既知の場合には、カタログ値を使用してもよく、沸点上昇法などの既知の測定方法により測定してもよい。上記ポリアルキレンイミンに由来する構造部位(A)の数平均分子量は、上記原料として使用する重合体(P0)の数平均分子量から算出してもよい。
【0044】
(高級脂肪酸)
上記高級脂肪酸として、化粧料に使用される公知乃至慣用のものが使用できる。上記高級脂肪酸は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0045】
上記高級脂肪酸としては、例えば、炭素数12~30の脂肪酸が挙げられる。このような炭素数12~30の脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸などが挙げられる。
【0046】
上記高級脂肪酸は高級脂肪酸塩として上記スカム付着抑制剤に含まれていてもよい。上記高級脂肪酸塩の対イオンとしては、特に限定されないが、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、塩基性アミノ酸などが挙げられる。
【0047】
上記アルカリ金属イオンとしては、特に限定されないが、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどが挙げられる。上記塩基性アミノ酸としては、特に限定されないが、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リジン、アルギニンなどが挙げられる。これらの中でも、泡のきめ細かさの点から、カリウムイオンが好ましい。
【0048】
上記高級脂肪酸としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。上記高級脂肪酸の市販品としては、例えば、商品名「プライオリーB-100」(ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、水、グリセリン、水酸化カリウムの混合物、花王株式会社製)、商品名「NIKKOL ラウリン酸カリLK-120」(ラウリン酸カリウム)、商品名「NIKKOL ミリスチン酸カリMK-140」(ミリスチン酸カリウム)、商品名「タイソープ MNK-40」(ヤシ油脂肪酸カリウム)(以上、日光ケミカルズ株式会社製)、商品名「コスメチックソープ KS-100」(カリ石ケン素地、水の混合物、ミヨシ油脂株式会社製)、商品名「アルホーム K-100」(ヤシ脂肪酸Kと水の混合物、新日本理化株式会社製)などが挙げられる。なお、上記高級脂肪酸塩は、高級脂肪酸塩として配合することも可能であるが、高級脂肪酸と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン等の塩とを別々に、配合槽中に添加して中和反応させて高級脂肪酸塩としてもよい。
【0049】
上記スカム付着抑制剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記アルキレンイミン誘導体および上記高級脂肪酸以外のその他の成分を含んでいてもよい。上記その他の成分としては、上記高級脂肪酸以外の界面活性剤、アルキレンイミン誘導体以外の重合体、ポリオール類、食塩、芒硝等の無機塩類、有機塩類、モノラウリン酸ポリグリセリル、可溶化剤、BHT、α-トコフェロール等の酸化防止剤、トリクロサン、トリクロロカルバン等の殺菌剤、脂肪酸ジエタノールアミド等の粘度調整剤、紫外線吸収剤、タンパク質誘導体、動植物抽出液、ピロクトンオラミン、ジンクピリチオン等のフケ防止剤、グリチルリチン酸ジカリウム等の抗炎症剤、安息香酸またはその塩、パラベン類、フェノキシエタノール、メチルイソチアゾリノン等の防腐剤、クエン酸、コハク酸、フマル酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、アルギニン、トリエタノールアミン等のpH調整剤、乳濁剤、ハイドロトロープ、低級アルコール、ビタミン類、植物油、揮発性油分、疎水性溶媒、精製水等の水等の希釈性溶媒、色素、香料などが挙げられる。上記その他の成分は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0050】
上記スカム付着抑制剤中の高級脂肪酸の含有量は、上記アルキレンイミン誘導体の総量100質量部に対して、0.1~30質量部が好ましく、より好ましくは0.2~20質量部、さらに好ましくは0.3~15質量部である。上記含有量が上記範囲内であると、スカムの分散性により優れ、スカムの付着をより抑制することができる。
【0051】
上記スカム付着抑制剤中の上記アルキレンイミン誘導体の含有割合は、上記スカム付着抑制剤の総量100質量%に対して、0.0001~20質量%が好ましく、より好ましくは0.001~10質量%、さらに好ましくは0.005~8質量%、さらにより好ましくは0.1~7質量%、特に好ましくは0.2~6質量%である。上記含有割合が上記範囲内であると、スカムの分散性により優れ、スカムの付着をより抑制することができる。
【0052】
上記スカム付着抑制剤中の高級脂肪酸の含有割合は、上記スカム付着抑制剤の総量100質量%に対して、1~90質量%が好ましく、より好ましくは5~80質量%、さらに好ましくは10~70質量%である。上記含有割合が上記範囲内であると、スカムの分散性により優れ、スカムの付着をより抑制することができる。
【0053】
上記スカム付着抑制剤中の希釈性溶媒(特に水)の含有割合は、上記スカム付着抑制剤の総量100質量%に対して、5~90質量%が好ましく、より好ましくは10~80質量%、さらに好ましくは20~70質量%である。
【0054】
上記スカム付着抑制剤のpHは、特に限定されないが、8以上が好ましく、より好ましくは9以上、さらに好ましくは10以上である。上記pHは、例えば13以下、好ましくは12以下である。上記pHが上記範囲内であると、スカムの分散性により優れ、スカムの付着をより抑制することができる。
【0055】
[化粧料]
上記スカム付着抑制剤を化粧料の添加成分として使用することができる。上記スカム付着抑制剤を含む化粧料を「本発明の化粧料」と称する場合がある。本発明の化粧料は、上記スカム付着抑制剤を含むことにより、保存中におけるスカムの発生を抑制することができるし、また、使用時において皮膚や周囲などへのスカムの付着が生じにくい。本発明のスカム付着抑制剤をそのまま化粧料として使用してもよい。
【0056】
上記化粧料は、上記スカム付着抑制剤以外のその他の成分を含んでいてもよい。上記その他の成分としては、公知乃至慣用の化粧料に含まれ得る成分が挙げられる。上記化粧料中の上記アルキレンイミン誘導体の含有割合は、上記化粧料の総量100質量%に対して、0.0001~20質量%が好ましく、より好ましくは0.001~10質量%、さらに好ましくは0.005~8質量%、さらにより好ましくは0.1~7質量%、特に好ましくは0.2~6質量%である。
【0057】
上記化粧料としては、例えば、シャンプー、リンス(ヘアコンディショナー)、ヘアトリートメント、ヘアフォーム、ヘアジェル、ヘアウォーター、ヘアワックス、 ヘアクリーム、ヘアカラー、ヘアブリーチ、パーマネントウェーブ剤等の毛髪用化粧料;クリーム、洗顔フォーム、液体石鹸、固形石鹸、ハンドソープ、ボディソープ、ベビー用液体洗浄剤、ペット用シャンプー、クレンジングクリーム、クレンジングミルク、クレンジングローション、泡風呂用入浴剤、マッサージクリーム、モイスチュアクリーム、日焼け止めクリーム、ハンドクリーム、ボディーシャンプー、口紅、液状ファンデーション、化粧水、化粧液、乳液、オーデコロン、爪用化粧料等の皮膚用化粧料などが挙げられる。
【0058】
化粧料は、水で希釈して使用されたり、使用後に水(洗浄水)で洗い流して使用されたりする場合がある。ここで使用される水は無機金属塩を含むことが多い。水が非アルカリ金属を多量に含む場合(例えば水道水)などにおいて、化粧料に含まれる高級脂肪酸と水に含まれる非アルカリ金属とが反応して金属石鹸が形成され、この金属石鹸がスカムとなる。ここで、上記スカム付着抑制剤を含む化粧料はスカム付着抑制剤を含むことにより、化粧料の使用時において、水中の無機金属塩と接触した際のスカム形成を抑止したり、スカムが発生した場合であってもスカムを分散させたり、あるいはスカムの付着性を低減させるなどして、スカムの周囲への付着を抑制することができる。具体的には、例えば、上記スカム付着抑制剤を含む化粧料を使用して身体を洗浄する際に洗浄水で洗い流す工程を備える方法によりスカムの付着を抑制することができる。また、スカムの付着を抑制もしくは低減することによって、洗浄後の毛髪や皮膚のキシミ感やつっぱり感を低減させ、感触を向上することも期待できる。なお、本明細書において、「身体」とは、皮膚および毛髪を含む、動物の表面を構成する部位を意味する。
【実施例0059】
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0060】
実施例1~10および比較例1~4
表1および表2に示す割合(質量%)となるように各成分を混合し、洗浄料組成物を調製した。そして、上記洗浄料組成物2gに、水97.95gおよび硫酸マグネシウム七水和物0.05gを溶解させた水溶液を98g添加し、混合し、スカムの状態を目視で観察し、下記の基準で判定した。
[スカム分散能の判定]
◎:非常に分散している
〇:分散している
×:分散していない
【0061】
【0062】
【0063】
なお、表に示す各成分は以下の通りである。
※1 プライオリーB-100:商品名「プライオリーB-100」、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、水、グリセリン、水酸化カリウムの混合物、35%水溶液、花王株式会社製
※2 ポリアルキレンイミン誘導体:商品名「ZX-CC-C-130」、株式会社日本触媒製、重量平均分子量13000、エチレンイミンに由来する構造単位とエチレンオキシドに由来する構造単位とのモル比=1:20、80%水溶液
※3 ポリエチレンイミン:商品名「エポミンSP-012」、株式会社日本触媒製、数平均分子量1200、アミン価(mmol/g.solid)19、アミン比(モル%)1級/2級/3級=35/35/30
【0064】
表1および表2に示すように、実施例の洗浄剤組成物においては、混合直後および24時間経過後の両方においてスカムを目視で確認することができず、スカムの分散性に優れていると判断された。このため、実施例の洗浄剤組成物を使用した場合、皮膚や周囲へのスカムの付着を抑制することができると評価された。なお、実施例の洗浄料組成物は、スカム付着抑制剤として使用することもでき、化粧料として使用することもできる。一方、ポリアルキレンイミン誘導体を含まない場合(比較例1,3)、およびポリアルキレンイミン誘導体に代えてポリエチレンイミンを使用した場合(比較例2,4)、混合直後および24時間経過後の両方においてスカムを目視で確認され、スカムの分散性に劣っており、洗浄剤組成物を使用した際にスカムの付着の抑制が困難であると評価された。