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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016457
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】介助装置における回動連結構造
(51)【国際特許分類】
   A61G 5/10 20060101AFI20240131BHJP
   A47K 17/02 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
A61G5/10 715
A47K17/02 A
A61G5/10 704
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118594
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000110479
【氏名又は名称】ナカ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100166327
【弁理士】
【氏名又は名称】舟瀬 芳孝
(74)【代理人】
【識別番号】100106644
【弁理士】
【氏名又は名称】戸塚 清貴
(72)【発明者】
【氏名】庄子 怜子
【テーマコード(参考)】
2D037
【Fターム(参考)】
2D037BA12
(57)【要約】
【課題】介助装置を構成する回動部材を所定の回動位置でもってロックできるようにしつつ、この回動部材のがたつきを防止する。
【解決手段】例えば着座式便器1の近傍に配設された第1部材としての側方フレーム部20に対して、第2部材としての前方アーム部30が使用位置と待避位置との間で回動可能とされる。側方フレーム部20に固定された連結ブラケット100に対して、前方アーム部30の連結部材33が回動可能に保持される。連結ブラケット100に揺動可能に保持された揺動レバー110によって、前方アーム部30の回動が例えば待避位置でロックされる。連結ブラケット100に螺合された第1ねじ部材121によって、押圧部材120を連結部材33の外周面に対して押圧することにより、連結部材33の連結ブラケット100に対するがたつきが防止される。
【選択図】 図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被介助者が着座される座部の近傍に配設される介助装置における回動連結構造であって、
固定部と回動保持部とを有する連結ブラケットと、
前記連結ブラケットの固定部に固定された第1部材と、
介助部を有すると共に前記連結ブラケットの前記回動保持部に回動可能に保持されて、前記座部に着座された被介助者を該介助部でもって介助する使用位置と、該使用位置から所定角度回動された待避位置と、を選択的にとり得るようにされた第2部材と、
前記連結ブラケットに保持され、前記第2部材のうち前記回動保持部に保持されている回動部位の外周面に対して当接可能とされた押圧部材と、
前記連結ブラケットの一部に螺合され、前記押圧部材を前記回動部位の外周面に向けて押圧するための第1ねじ部材と、
を備えていることを特徴とする介助装置における回動連結構造。
【請求項2】
前記押圧部材と前記連結ブラケットとの間に、前記回動部位から該押圧部材へ作用する反力を該連結ブラケットに伝達するための反力伝達手段が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の介助装置における回動連結構造。
【請求項3】
前記押圧部材が、前記連結ブラケットに揺動可能に連結される連結部と、該連結部から延びて前記回動部位の外周面に当接される当接部を有する第1延設部を有し、
前記第1ねじ部材が、前記第1延設部に位置されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の介助装置における回動連結構造。
【請求項4】
前記反力伝達手段が、前記押圧部材に形成されて前記当接部に対して離間するように前記連結部から延びる第2延設部と、該第2延設部と前記連結ブラケットとの間に延びる支柱部材とを有している、ことを特徴とする請求項3に記載の介助装置における回動連結構造。
【請求項5】
前記反力伝達手段が、前記押圧部材に形成されて前記当接部に対して離間するように前記連結部から延びる第2延設部と、該第2延設部と前記連結ブラケットとの間に介在された弾性部材とを有している、ことを特徴とする請求項3に記載の介助装置における回動連結構造。
【請求項6】
前記第1ねじ部材によって前記押圧部材に対して付与される押圧方向とは反対方向の力を該押圧部材に対して付与するための第2ねじ部材が設けられている、ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の介助装置における回動連結構造。
【請求項7】
前記押圧部材が、前記回動保持部内に配設されると共に前記第2部材の前記回動部位に沿って延びており、
前記第1ねじ部材の先端部が、前記押圧部材を前記回動部位の外周面に向けて押圧している、
ことを特徴とする請求項1に記載の介助装置における回動連結構造。
【請求項8】
前記連結ブラケットの一部には、前記第1ねじ部材が螺合されつつ貫通されるブロック部材が遊挿され、
前記第1ねじ部材によって前記押圧部材に対して付与される押圧方向とは反対方向の力を前記ブロック部材に対して付与するための第3ねじ部材が設けられている、
ことを特徴とする請求項7に記載の介助装置における回動連結構造。
【請求項9】
前記第2部材の前記使用位置と前記待避位置との間での回動を、該使用位置または該待避位置の少なくとも一方の位置でロックしておくためのロック機構を有している、ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の介助装置における回動連結構造。
【請求項10】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項7又は請求項8のいずれか1項に記載の回動連結構造を備えている、ことを特徴とする介助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介助装置における回動連結構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、障がい者や高齢者などの被介助者が、着座式便器(洋式便器)に着座した場合の介助装置が開示されている。この特許文献1のものでは、第1部材としての側方フレーム部20に対して、連結ブラケット100を介して第2部材としての前方アーム部30を上下方向に回動可能に保持させたものとしてある。前方アーム部30は、その回動に応じて、着座式便器に着脱自在している被介助者の前方に位置して被介助者の前倒れを防止する使用位置と、上下方向に延びて被介助者の前方から待避された待避位置とを選択的にとり得るようにされている。
【0003】
特許文献1では、前方アーム部30の回動を待避位置でロックするロック機構90を設けることも開示されている。このロック機構は、前方アーム部30の回動部位の外周面に形成された係止溝33aと、連結ブラケット100に揺動可能に保持された揺動レバー110を有するものとしてある。揺動レバー110の揺動に応じて、その一端部に形成された係止部110aが、係止溝33aに係脱される。前方アーム部30が待避位置にあるときに、係止部110aが係止溝33aに係合されることにより、前方アーム部30が使用位置へ向けて回動されることが規制(ロック)される。揺動レバー110は、板バネからなるスプリング112によって、係止部11aが係止溝33aに係合する方向へ付勢されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-199141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1に記載のものでは、連結ブラケット100、前方アーム部30(の回動部位)および揺動レバー110は、例えばアルミニウムの形材によってそれぞれ所定の寸法公差の範囲内となるように製造された後に、その組立てが行われる。しかしながら、組立後においては、前方アーム部30と連結ブラケットとの間に少なからず隙間が生じてしまうことが避けられず、このため前方アーム部30に少しの外力を加えただけでも前方アーム部30にがたつきを生じてしまうことになっていた。このがたつきは、前方アーム部30がロック状態であっても生じることから、ロック状態であるにもかかわらずロックが不完全ではないかとの違和感を、被介助者や介助者等に対して感じさせてしまうことにもなりかねない。
【0006】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その第1の目的は、介助用の回動部材の適度な回動を確保しつつそのがたつきを防止できるようにした介助装置における回動連結構造を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、上記回動連結構造を有する介助装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記第1の目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、
被介助者が着座される座部の近傍に配設される介助装置における回動連結構造であって、
固定部と回動保持部とを有する連結ブラケットと、
前記連結ブラケットの固定部に固定された第1部材と、
介助部を有すると共に前記連結ブラケットの前記回動保持部に回動可能に保持されて、前記座部に着座された被介助者を該介助部でもって介助する使用位置と、該使用位置から所定角度回動された待避位置と、を選択的にとり得るようにされた第2部材と、
前記連結ブラケットに保持され、前記第2部材のうち前記回動保持部に保持されている回動部位の外周面に対して当接可能とされた押圧部材と、
前記連結ブラケットの一部に螺合され、前記押圧部材を前記回動部位の外周面に向けて押圧するための第1ねじ部材と、
を備えているようにしてある。
【0008】
上記解決手法によれば、連結ブラケットの回動保持部と第2部材の回動部位との間の寸法公差に起因するがたつきを、第1ねじ部材により付与されるねじ力という大きな力を利用して無くすことができる。これにより、第2部材が不必要にぐらついてしまう事態が防止される。第1ねじ部材のねじ力は微調整可能なので、上記がたつきを防止と第2部材のスムーズな回動確保とを共に高い次元で満足させることができる。
【0009】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、次のとおりである。
【0010】
前記押圧部材と前記連結ブラケットとの間に、前記回動部位から該押圧部材へ作用する反力を該連結ブラケットに伝達するための反力伝達手段が設けられている、ようにすることができる。この場合、第2部材の回動部位から押圧部材に作用する反力を、反力伝達手段を介して連結ブラケットで受け止めて、反力が第1ねじ部材に集中して作用してしまう事態を防止できる。これにより、第1ねじ部材での所定のねじ力を長期に亘って維持できる。
【0011】
前記押圧部材が、前記連結ブラケットに揺動可能に連結される連結部と、該連結部から延びて前記回動部位の外周面に当接される当接部を有する第1延設部を有し、
前記第1ねじ部材が、前記第1延設部に位置されている、
ようにすることができる。この場合、押圧部材の具体的な構造、および押圧部材と第1ねじ部材との具体的な位置関係が提供される。
【0012】
前記反力伝達手段が、前記押圧部材に形成されて前記当接部に対して離間するように前記連結部から延びる第2延設部と、該第2延設部と前記連結ブラケットとの間に延びる支柱部材とを有している、ようにすることができる。この場合、当接部から離間した位置にある第2延設部を介して、支柱部材から連結ブラケットへと反力を効果的に伝達させることができる。
【0013】
前記反力伝達手段が、前記押圧部材に形成されて前記当接部に対して離間するように前記連結部から延びる第2延設部と、該第2延設部と前記連結ブラケットとの間に介在された弾性部材とを有している、ようにすることができる。この場合、反力伝達手段を簡単かつ安価に構成する上で好ましいものとなる。また、弾性部材によって多少の寸法誤差を吸収して、反力伝達を確実に行えるように上でも好ましいものとなる。
【0014】
前記第1ねじ部材によって前記押圧部材に対して付与される押圧方向とは反対方向の力を該押圧部材に対して付与するための第2ねじ部材が設けられている、ようにすることができる。この場合、第2ねじ部材によって、第1ねじ部材の緩み止め(ロック)を強固に行って、初期に設定された第1ねじ部材の所定のねじ力を長期にわたって維持することができる。
【0015】
前記押圧部材が、前記回動保持部内に配設されると共に前記第2部材の前記回動部位に沿って延びており、
前記第1ねじ部材の先端部が、前記押圧部材を前記回動部位の外周面に向けて押圧している、
ようにすることができる。この場合、押圧部材を簡単な構造とすることができる。
【0016】
前記連結ブラケットの一部には、前記第1ねじ部材が螺合されつつ貫通されるブロック部材が遊挿され、
前記第1ねじ部材によって前記押圧部材に対して付与される押圧方向とは反対方向の力を前記ブロック部材に対して付与するための第3ねじ部材が設けられている、
ようにすることができる。この場合、第3ねじ部材によって、ブロック部材を強固に固定することにより、初期に設定された第1ねじ部材の所定の押圧力を長期にわたって維持することができる。
【0017】
前記第2部材の前記使用位置と前記待避位置との間での回動を、該使用位置または該待避位置の少なくとも一方の位置でロックしておくためのロック機構を有している、ようにすることができる。この場合、第2部材をロックしておくことにより、使用位置と待避位置との間で不用意に第2部材が回動されてしまうことを防止することができる。また、第1ねじ部材によりがたつきが防止されていることから、第2部材をロックしているときに第2部材ががたつきを生じてしまうことがないので、ロックされているにもかかわらずロックされていないと勘違いさせてしまう事態を防止する上でも好ましいものとなる。
【0018】
前記連結ブラケットが前記ロック機構を有している、ようにすることができる。この場合、押圧部材をロック機構の直近にコンパクトに配設することができる。
【0019】
前記ロック機構が、前記第2部材のうち前記回動保持部に保持されている部位の外周面に形成された第1係止部と、前記連結ブラケットに保持されてマニュアル操作される操作部材と、を有し、
前記操作部材は、前記第2部材の回動がロックされるべきロック位置において、前記第1係止部に対して係脱される第2係止部を有し、
前記ロック位置において、前記操作部を操作して前記第1係止部に対する前記第2係止部の係合を解除することにより、前記第2部材が前記使用位置と前記待避位置との間で回動可能とされ、
前記回動保持部の周方向のうち前記ロック位置において前記第1係止部が位置する部位において、該回動保持部の長手方向に延びる貫通孔が形成され、
前記操作部材と前記押圧部材とが、前記回動保持部の長手方向に直列に配設され、
前記第2係止部が、前記ロック位置において前記貫通孔を貫通して前記第1係止部に係止され、
前記押圧部材が、前記貫通孔を貫通した状態で前記回動部位の外周面に対して押圧されている、
ようにすることができる。
【0020】
前記第2の目的を達成するため、本発明における介助装置にあっては、前述した回動連結構造を有するものとなっている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、回動部材の適度な回動を確保されつつ、回動部材のがたつきを防止された回動連結構造を提供することができる。また、上記回動連結構造を有する介助装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態を示すもので、第2部材としての左右一対の前方アーム部がそれぞれ使用位置とされた状態を示す斜視図。
図2】左右一対の前方アーム部がそれぞれ待避位置とされた状態を示すもので、図1に対応した斜視図。
図3図1に示す介助装置の側面図で、着座式便器に着座している被介助者を支承している状態を示す。
図4】右方側にある連結ブラケットの部分を、押圧部材を覆うカバー部材の一部を断面した状態で示す斜視図。
図5】左方側にある連結ブラケットの部分を、押圧部材を覆うカバー部材を二点鎖線で描いた状態で示す斜視図。
図6】前方アーム部のうちロック機構に関連する要部を示す斜視図。
図7】待避位置にある前方アーム部がロックされた状態を示すもので、図5の矢印X7が示す部位に相当する断面を前方側からみた断面図。
図8】使用位置にある前方アーム部がロックが解除された状態を示すもので、図7に対応した断面図。
図9】前方アーム部が待避位置にあるときに、前方アーム部と押圧部材と反力伝達手段としての支柱部材と連結ブラケットの関係を示すもので、図4の矢印X9が示す部位での断面を後方側からみた断面図。
図10】前方アーム部が使用位置にあるときの断面を示すもので、図9に対応した断面図。
図11】前方アーム部が待避位置にあるときに、前方アーム部と押圧部材と第2ねじ部材と連結ブラケットの関係を示すもので、図4の矢印X11が示す部位での断面を後方側からみた断面図。
図12】本発明の第2の実施形態を示すもので、図9に対応した断面図。
図13】本発明の第3の実施形態を示すもので、図9に対応した断面図。
図14】本発明の第4の実施形態を示すもので、図9に対応した断面図。
図15】本発明の第5の実施形態を示すもので、連結ブラケット部分の斜視図。
図16図15の矢印X16が示す部位における断面を後方側からみたときの断面図。
図17図15の矢印X17が示す部位における断面を後方側からみたときの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1図3は本発明による介助装置Kの一例を示すものである。図3では、介助装置Kが、着座式便器1に対して配設された状態を示すものとなっており、この着座式便器1に着座された被介助者が符号Pで示される。
【0024】
介助装置Kは、大別して、ベース部材10と、第1部材としての左右一対の側方フレーム部20と、第2部材としての左右一対の前方アーム部30と、後方フレーム部40と、を有する。また、介助装置Kは、連結ブラケット100により側方フレーム部20と前方アーム部30とを回動可能に連結した回動連結構造を有している。
【0025】
ベース部材10は、上下方向に延びる左右一対の縦棒状部材11と、左右方向に延びて左右一対の縦棒状部材11の上端部同士を連結する横棒状部材12と、縦棒状部材11の下端に連結された載置板部13と、を有して、全体的に門型形状とされている。左右一対の縦棒状部材11の間で横棒状部材12の下方となる空間に、着座式便器1の後部が配設される。ベース部材10は、着座式便器1の構造(フラッシュバルブやロータンク)に影響されない床置き型とされている。なお、ベース部材10(の載置板部13)は、着座式便器1近傍に配設すればよく、着座式便器1に対して固定したり、床面に対して固定しておくことができる。
【0026】
側方フレーム部20は、左右一対設けられて、パイプ材を曲げ加工することにより形成されている。なお、以下で説明するパイプ材は、例えばSUS等の金属製の芯材と合成樹脂の被覆材からなるものであるが、これに限るものではない。各側方フレーム部20は、大別して、前後方向に延びる上フレーム部21と、上フレーム部21の前端から一旦下方へ延びた後に後方へ延びる下フレーム部22と、を有する。そして、下フレーム部22の後端部が、後述するように、揺動連結機構50を介して縦棒状部材11に対して上下方向に揺動可能に取付けられている。
【0027】
左右一対の側方フレーム部20のうち、上フレーム部21の後端部同士が、水平状態で左右方向に延びる後方フレーム部40によって連結されている。実施形態では、側方フレーム部20と後方フレーム部40とは、同一のパイプ材によって一体的に形成されている。左右一対の側方フレーム部20が後方フレーム部40によって連結されることにより全体として剛性が向上され、また、一方の側方フレーム部20を揺動させることにより、これに連動して他方の側方フレーム部20も揺動されることになる。
【0028】
前記揺動連結機構50は、ベース部10における縦棒状部材11に固定された連結ブラケット51を有する。この連結ブラケット51に対して、側方フレーム部20(における下フレーム部22の後端部)が、連結部52によって上下方向に揺動可能に連結されている。なお、連結部52は、例えばねじ付きの連結ピンとこれに螺合されるナットによって構成する等、適宜の手法により構成することができる。
【0029】
側方フレーム部20の揺動角度を変更するための揺動角度変更機構が設けられている。この揺動角度変更機構は、特許文献1に記載の揺動角度変更機構と同様の構造であるので、その説明を省略する。
【0030】
次に、側方フレーム部20と前方アーム部30との関係について説明する。まず、前方アーム部30は、パイプ材を曲げ加工することにより略L字状に形成されている。すなわち、前方アーム部30は、側方フレーム部20における上フレーム部21に沿う回動部31と、回動部31から略90度折曲されて延びる本体部32と、を有する。本体部32が、後述するように、前方アーム部30が使用位置とされた際に、着座式便器1に着座された被介助者Pが前倒れするのを防止する介助部となっている。前方アーム部30は、左右の側方フレーム部20に対してそれぞれ設けられている。
【0031】
回動部31が、上フレーム部21に対して回動可能に取付けられている。これにより、前方アーム部30は、本体部32が水平方向に延びる使用位置(図1で示す位置)と、その先端部が上方を向いた待避位置(図2に示す位置)とを選択的にとり得るようになっている。そして、前方アーム部30は、後述するロック機構90によって、待避位置でもってその揺動がロック可能とされている。
【0032】
左右一対の回動部31および本体部32には、それぞれクッション部材80が取付けられている。前方アーム部30を使用位置としたとき、クッション材80は、着座式便器1に着座されている被介助者Pの前方および左右側方に位置される。これにより、被介助者Pが前倒れあるいは横倒れしようとしたときに、被介助者Pの上半身がクッション材80を介して前方アーム部30や側方フレーム部20によって柔らかく受け止められる。
【0033】
次に、前方アーム部30を使用位置と待避位置との少なく一方でロックしておくためのロック機構90に着目しつつ、前方アーム部30の側方フレーム部20に対する取付について、図4図8を参照しつつ説明する。なお、実施形態では、待避位置がロックが行われるロック位置とされ、使用位置がロックされないアンロック位置とされている。また、ロック機構90は、特許文献1に記載のロック機構90と全く同じなので、その概要について説明することとする。
【0034】
まず、前方アーム部30における回動部31の後端部は、軸状の連結部材33によって構成されている(図5参照)。この連結部材33は、例えばアルミニウム合金を押し出し成形することによって形成されて、ボルト等の固定具34によって、パイプ材からなる回動部31に固定されている。
【0035】
上記連結部材33の断面形状が、図7図8に示される。この連結部材33は、その断面形状が示すように、第1係止部としての係止溝33aと、それぞれ係止段部からなる第1ストッパ部33bと第2ストッパ部33cを有する形状とされている。
【0036】
前方アーム部30(の回動部31)と側方フレーム部20(の上フレーム部21)とは、連結ブラケット100を利用して連結されている。すなわち、連結ブラケット100は、前方アーム部30の回動部31が回動可能に嵌合される回動保持部としての第1筒部101と、側方フレーム部20の上フレーム部31が嵌合される固定部としての第2筒部102と、を有する。
【0037】
連結ブラケット100は、第2筒部102の部分で、第1部品100Aと第2部品100Bとの2つ割り構造とされている。そして、上フレーム部21を貫通するボルト103とナット104とによって、2つの部材100Aと100Bとが締結されている。また、ボルト103とナット104とによって、上フレーム部21と連結ブラケット100とが一体化される。
【0038】
連結ブラケット100には、第1筒部101と第2筒部102との間において、断面円弧状の内周面を有する凹部101dが形成されている。 凹部101dは、第1筒部101の軸線方向全長に渡って延びるスリット状に形成されている。第1筒部101には、操作部材としての揺動レバー110がピン部材111によって揺動可能に取付けられている。ピン部材111の位置において、揺動レバー110の中間部に形成された断面円弧状の外周面を有する凸部としての連結部110cが、前記凹部101d内に回動可能に嵌合されている。
【0039】
揺動レバー110の一端部が、突起状の第2係止部としての係止部110aとされている。この係止部110aは、第1筒部101に形成された貫通孔101cを貫通した状態で、前記連結部材33の係止溝33aに対して嵌合(ロック)可能とされている。係止部110aが係止溝33aに嵌合した状態が、前方アーム部30の揺動が規制されたロック状態とされる(図7の状態)。そして、揺動レバー110は、付勢手段としてのスプリング112によって、係止部110aが係止溝33aに対して嵌合する方向に付勢されている。実施形態では、スプリング112は、板ばねによって構成されて、揺動レバー110と連結ブラケット100との間に介在されている。
【0040】
揺動レバー110は、手動操作される操作部110bを有する。図7に示すロック状態から、操作部110bを図7中時計方向に操作することにより、係止部110aの係止溝33aに対する嵌合が解除されて(ロック解除)、前方アーム部30を図8に示す使用位置へと揺動させることができる。
【0041】
なお、第1筒部101に形成された貫通孔101cは、実施形態では第1筒部101の軸方向全長に渡って延びるスリットの形態とされているが、これに限定されるものではない。具体的には、貫通孔101cは、その長手方向(連結部材33の軸方向)の少なくとも一端部が閉じた形状とすることもできる(両端部がそれぞれ閉じられた形状としてもよく、いずれか一方の端部のみが閉じられた形状でもよい)。
【0042】
連結ブラケット100における第1筒部101の内面には、係止段部からなる周方向に間隔をあけて第1段差部101aと第2段差部101bとが形成されている。図7に示すように、前方アーム部30を使用位置から待避位置へ向けて回動させて待避位置とされたとき、第1段差部101aに対して連結部材33の第1ストッパ部33bが当接されて、待避位置を超えて前方アーム部30がさらに回動されてしまう事態が規制される。
【0043】
前方アーム部30を待避位置から使用位置へ向けて回動させて使用位置とされたとき、図7に示すように、第2段差部101bに対して連結部材33の第2ストッパ部33cが当接されて、使用位置を超えて前方アーム部30がさらに回動されてしまう事態が規制される。
【0044】
図7に示すロック位置にある前方アーム部30を、待避位置から使用位置へと変更するには、揺動レバー110の操作部110bを操作して、その係止部110aを連結部材33の係止溝33aから離脱させることにより行えばよい。
【0045】
前述した連結ブラケット100、揺動レバー110、前方アーム部30における連結部材33は、例えばアルミニウム合金等の金属材を押し出し成形することによって形成されている。上記各部材100、110、33はそれぞれ製造上の寸法公差を有することから、連結部材33は、連結ブラケット100における第1筒部101に対して若干のがたつきを生じた状態で嵌合されている。また、揺動レバー110における係止部110aと、連結部材33の係止溝33aとの係合も若干のがたつきを生じるものとなっている。このため、前方アーム部30は、待避位置でロック状態とされていても、少なからずがたつきを生じるものとなっている。
【0046】
上記連結部材33の第1筒部101内でのがたつきに起因して、待避位置でロックされた状態にある前方アーム部30の先端部(上部)に対して、被介助者Pやその介助者が比較的小さな力でもって触れても、回動部位となる連結部材33には大きなモーメントが作用することとなって、前方アーム部30が少なからず揺れ動いてしまうことになる。
【0047】
ロック機構90におけるスプリング112は、上記がたつきを小さくする方向の力として作用するものである。しかしながら、前方アーム部30の先端部に作用する外力によって連結部材33には大きなモーメントが作用するため、この大きなモーメントに比してスプリング12の付勢力は小さすぎて、前方アーム部30のがたつきを防止することは事実上不可能である。
【0048】
本発明では、連結部材33の第1筒部101内でのがたつきを、別途設けた押圧部材と第1ねじ部材とによって防止するようにしてある。以下、このがたつき防止のための構成について、図4図5図9図11を参照しつつ説明する。
【0049】
まず、連結ブラケット100には、押圧部材120が保持される。この押圧部材120は、揺動レバー110に対して、第1筒部101の軸線方向に隣りあうように(直列に)配設されている。
【0050】
押圧部材120は、その中間部に、断面円弧状の外周面を有する凸部としての連結部120aを有する。この連結部120aが、前述した第1筒部101の凹部101d内に嵌合されて、この連結部120aを中心にして押圧部材120が揺動される。なお、押圧部材120は、実施形態ではアルミニウム合金によって形成してあるが、これ以外の金属や合成樹脂によって形成することができる。
【0051】
押圧部材120は、連結部120aから一方側に延びる第1延設部120bと、他方側に延びる第2延設部120cと、を有する。第1延設部120cの先端部は、第1筒部101に形成された貫通孔101cを貫通する当接部120dとされている。この当接部120dは、前方アーム部30の回動部位となる連結部材33の外周面に当接されている。当接部120dのうち連結部材33の外周面に当接される当接面は、連結部材33の外周面が有する曲率半径と同一の曲率半径を有するように曲面とされて、連結部材33の外周面に対する接触面積が大きくなるように設定されている。
【0052】
第1延設部120bには、第1ねじ部材121(の軸部)が貫通する取付孔120eが形成されている。第1筒部101には、取付孔120eが臨む位置において、ねじ孔101eが形成されている。第1ねじ部材121は、取付孔120eを貫通した状態で、ねじ孔101eに螺合されている。この螺合を進めていくことにより、第1ねじ部材121の大径の頭部121aが、第1延設部120bを押圧して、押圧部材120の当接部120dが、連結部材33の外周面を強く押圧する。
【0053】
第1ねじ部材121のねじ力によって、押圧部材120(の当接部120d)を連結部材33の外周面に対して強く押圧することにより、連結部材33の連結ブラケット100(の第1筒部101)に対するがたつきが防止される。第1ねじ部材121によるねじ力の大きさは、上記がたつき防止と、前方アーム部30(連結部材33)の第1筒部101に対するスムーズな回動との両方が満足できる範囲に調整される。第1ねじ部材121のねじ力は微調整可能なので、上記がたつき防止と前方アーム部30のスムーズな回動とを共に高い次元で満足させることが可能である。
【0054】
押圧部材120における第2延設部120cには、支柱部材122が設けられている。第2延設部120cと支柱部材112は、回動部位となる連結部材33から押圧部材120へ作用する反力を連結ブラケット100に伝達するための反力伝達手段として機能する。支柱部材122は、本実施形態では、ボルト103と平行に延びるねじ部材(イモねじ)によって形成されている。すなわち、第2延設部120cにねじ孔120fが形成されて、このねじ孔120fに対して支柱部材122が螺合されている。この支柱部材12の先端部は、連結ブラケット100(の第1筒部101)の上面に当接されている。
【0055】
第1ねじ部材121によって連結部材33を押圧している押圧部材120には、連結部材33からの反力が作用することになる。この反力は、支柱部材122を介して、連結ブラケット100にしっかりと受け止められることになる。これにより、第1ねじ部材121に対して上記反力が集中して作用するのが防止される。特に、上記反力は、支柱部材122の軸線方向に作用して、支柱部材122と平行な剛性の高いボルト103でもしっかりと受け止められることになる。
【0056】
押圧部材120のうち、第1延設部120bには、図11に示すように、ねじ孔120gが形成されている。このねじ孔120gには、第2ねじ部材123が螺合されている。第2ねじ部材123は、第1ねじ部材121に対して第1筒部101の軸線方向において離れた位置に設けられている。第2ねじ部材123は、実施形態ではイモねじとされて、その先端が第1筒部101の外周面に当接されている。
【0057】
第2ねじ部材123のねじ力は、第1ねじ部材121の頭部121aを第1筒部101から離間させる方向の力となる。つまり、第2ねじ部材123のねじ力は、第1ねじ部材121によって押圧部材120を押圧する方向とは反対方向の力となって、第1ねじ部材121の緩み止めとなる(第2ねじ部材123による第1ねじ部材121に対するロック作用)。第2ねじ部材123による緩み止め機能によって、第1ねじ部材121でのねじ力が、初期の好ましい設定値として長期に亘って維持される。
【0058】
第1ねじ部材121は、第1筒部101の軸線方向に間隔をあけて2つ設けられ、第2ねじ部材123は、2つの第1ねじ部材121の間に1つのみ設けてられている。なお、第1ねじ部材121および第2ねじ部材123の個数は、特に問わないものである。
【0059】
押圧部材120は、全体的にカバー部材124によって覆われて、外部から目視できないようにされている。カバー部材124は、例えば合成樹脂によって形成されて、押圧部材120に対して着脱自在に取付けられている。すなわち、図11に示すように、カバー部材124の内面側に設けた凸状の係合部124aが、押圧部材120(の第2延設部)に形成された孔状の係止部120hに係合されている。また、カバー部材124の端部に形成された爪状の係合部124bが、押圧部材120に形成された係止部120iに係止されている。なお、カバー部材124は、連結ブラケット100に取付けるようにしてもよく、またその取付手法は別途固定具を使用する等の適宜の手法を採択し得る。
【0060】
直列に配設された揺動レバー110と押圧部材120とは、第1筒部101の軸線方向各端部に設けたストッパ部材(図示略)によって、第1筒部101の軸線方向に変位してしまうのが規制されている。
【0061】
特に連結ブラケット100がアルミや合成樹脂などの柔らかい材料で形成されると、ねじ孔101eの雌ねじが傷みやすいが、本実施形態のように回動連結構造が反力伝達手段を有している構造とすることで、第1ねじ部材121の所定のねじ力を長期にわたって維持することができる。
【0062】
図12は、本発明の第2の実施形態を示すものであり、前記実施形態と同一構成要素には同一符号を付してその重複した説明は省略する(このことは、以下のさらに別の実施形態についても同じ)。本実施形態では、側方フレーム部20に連結ブラケット110を固定するボルト103の先端部が、第2延設部120cと連結ブラケット100との間に延びる支柱部材としても機能する。ボルト103の先端部には、例えば硬質ゴムからなるキャップ状の弾性部材130が被せてある。弾性部材130は、ボルト103と押圧部材120の第2延設部120cとの間に介在されるが、第2延設部120cがボルト103に直接当接可能なときは、弾性部材130をなくすこともできる。本実施形態では、押圧部材120に作用する反力を、剛性の高いボルト103によってその軸線方向からしっかりと受け止めさせることができる。また、反力伝達手段の構成が簡単であり、かつ安価に提供できる。
【0063】
図12の実施形態では、さらに、押圧部材120に、第1ねじ部材121の頭部121aが収納される収納凹部120jを形成する一方、カバー部材124を有しない構成としてある。
【0064】
図13は、本発明の第3の実施形態を示すものであり、図12の変形例となっている。本実施形態では、反力伝達手段としての弾性部材140を、押圧部材120のうち、連結部材33からの反力の入力部位となる当接部120dからもっとも遠く離れた第2延設部120cの先端部に設けてあり、反力を効果的に受け止めるという点で好ましいものである。
【0065】
図14は、本発明の第4の実施形態を示すものである。本実施形態では、図9図11の実施形態の変形例となるもので、押圧部材120として、第2延設部120cを有しない構成としてある。また、反力伝達手段を有しない構成としてある。
【0066】
図15図17は、本発明の第5の実施形態を示すものである。本実施形態では、ロック機構90を連結ブラケット100とは離れた別位置に設けた場合となっており、このため、ロック機構90に関連する構成は図示されていないものである。
【0067】
本実施形態では、連結ブラケット100における第1筒部101の内面に、軸線方向全長に渡って延びる収納溝部101fが形成されている。この収納溝部101fには、第1筒部101の軸線方向ほぼ全長に渡って長く延びる板状の押圧部材150が配設されている。この押圧部材150は、耐久性等を考慮してアルミニウム合金等の金属によって形成するのが好ましいが、合成樹脂で形成することもできる。
【0068】
第1筒部101には、収納溝部101fと平行に、軸線方向全長に渡って延びる収納孔101gが形成されている。この収納孔101g内には、ブロック部材151が配設されている。
【0069】
第1筒部101には、ブロック部材151を挟んで押圧部材150とは反対側の位置において、軸線方向に間隔をあけて貫通孔101hと101iとが形成されている。実施形態では、貫通孔101hは2つで、貫通孔101iは1つとされている。貫通孔101iは、隣り合う2つの貫通孔101hの間に位置されている。各貫通孔101hと101iとは、ブロック部材151に臨んでいる。
【0070】
第1筒部101には、貫通孔101hと同一軸線上において、収納溝部101fと収納孔101gとを連通する貫通孔101jが形成されている。
【0071】
ブロック部材151には、各貫通孔101hと101iとに対応した位置において、ねじ孔151aと151bが形成されている。ねじ孔151aは、貫通孔101hに挿通される第1ねじ部材161用とされている。ねじ孔151bは、貫通孔101iに挿通される第3ねじ部材162用とされている。
【0072】
図17に示すように、貫通孔101iに挿通された第3ねじ部材162は、ねじ孔151bに螺合される。第3ねじ部材162の先端は、収納孔101gにおける収納溝部101f側の内壁面に当接される。また、第3ねじ部材162を所定方向へ回動させることにより、そのねじ力によってブロック部材151が図17中右方と変位されるが、所定以上の右方への変位は収納孔101gにおける貫通孔101i側の内壁面によって規制される。これにより、ブロック部材151が、連結ブラケット100の所定位置に対して固定された状態とされる。
【0073】
図16に示すように、貫通孔101hに挿通された第1ねじ部材161は、ねじ孔151aに螺合されると共にこれを貫通しており、その先端が押圧部材150に当接されている。第1ねじ部材161を、ねじ孔151aとの螺合が進む方向へ回動させると(この回動方向はブロック部材151を図中右方へと変位させる方向への回動となる)、第1ねじ部161のねじ力によって、押圧部材150が連結部材33の外周面を押圧することになる(連結部材33の第1筒部101に対するがたつき防止)。特に連結ブラケット100がアルミや合成樹脂などの柔らかい材料で形成されると、雌ねじが傷みやすいが、本実施形態のように回動連結構造を構成し、ステンレスなどのより硬い材料でブロック部材151を形成することで、第1ねじ部材161の所定のねじ力を長期にわたって維持することができる。
【0074】
第3ねじ部材162によるブロック部材151に対する押圧方向は、第1ねじ部材161による押圧部材150に対する押圧する方向とは反対方向の力となって、第3ねじ部材162によって第1ねじ部材161に対する緩み止めが行われる。
【0075】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能である。前方アーム部30を、左右一対の側方フレーム部20のうちいずれか一方の側方フレーム部20に対してのみ設けるようにしてもよい。側方フレーム部20の揺動角度は、連続可変式に変更できるようにしてもよく、また側方フレーム部20の揺動角度を変更できない固定設定とすることもできる。
【0076】
ロック機構90による前方アーム部30の回動ロックを、待避位置と使用位置との両方の位置で行うようにしてもよく、また使用位置でのみロックするようにしてもよい。また、ロック機構90は実施形態のものに限らず適宜の構造のものを採択することができる。第1~第4の実施形態では、ロック機構90を連結ブラケット100に設けたが、ロック機構90を連結ブラケット100とは離れた別位置に設けてもよい。第5の実施形態では、ロック機構90を連結ブラケット100とは離れた別位置に設けたが、ロック機構90を連結ブラケット100に設けてもよい。
【0077】
第1係止部は、係止溝33aという溝形態ではなく、係止段部の形態とすることもできる。具体的には、ロック位置を示す図7において、係止溝33aの周方向両側の内壁面のうち、第2ストッパ部33c側の内壁面のみを構成する係止段部の形態とすることもできる。第1ねじ部材の緩み止めを行う第2ねじ部材あるいは第3ねじ部材は、雌ねじ部材とすることもできる(例えば、第2ネジ部材あるいは第3ねじ部材を、雄ねじ部材とされた第1ねじ部材に螺合されるロックナットとする)。
【0078】
回動部材となる第2部材(実施形態における前方アーム部30対応)としては、座部に着座された被介助者の近傍に位置されて被介助者の介助を行う機能を有するものであれば、例えば特許文献1に記載の肘載せ部等、適宜のものを選択することができる。同様に、第1部材(実施形態における側方フレーム部20対応)も、第1部材が回動可能に連結されるものであれば、適宜のものを選択できる。
【0079】
本発明が適用される座部を有する機器としては、着座式便器に限らず、例えば、休憩用の固定椅子や観賞位置にある固定椅子等、適宜のものを含むものである。また、特許文献1に記載の変形例をそのまま適用することもできる。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、ロック機能付きの回動連結構造を有する介助装置として好適である。
【符号の説明】
【0081】
P:被介助者
K:介助装置
1:着座式便器
10:ベース部材
20:側方フレーム部(第1部材)
30:前方アーム部(第2部材)
31:回動部
32:本体部
33:連結部材
33a:係止溝(第1係止部)
90:ロック機構
100:連結ブラケット
101:第1筒部(回動保持部)
101c:貫通孔
101e:ねじ孔(第1ねじ部材用)
102:第2筒部(固定部)
110:揺動レバー(揺動部材)
110a:係止部
110b:操作部
112:スプリング
120:押圧部材
120a:連結部
120b:第1延設部
120c:第2延設部(反力伝達手段)
120d:当接部
120e:取付孔(第1ねじ部材用)
120f:ねじ孔(第2ねじ部材用)
120g:ねじ孔(第3ねじ部材用)
120h:係止孔(カバー部材用)
120i:係止部(カバー部材用)
120j:収納凹部(第1ねじ部材用で、図12図13
121:第1ねじ部材
121a:頭部
122:支柱部材
123:第2ねじ部材
124:カバー部材
130:弾性部材(反力伝達手段-図12
140:弾性部材(反力伝達手段-図13
150:押圧部材(図15図17
151:ブロック部材(図15図17
151a:ねじ孔(図16で、第1ねじ部材用)
151b:ねじ孔(図17で、第3ねじ部材用)
161:第1ねじ部材(図15図17
162:第3ねじ部材(図15図17
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2022-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
まず、前方アーム部30における回動部31の後端部は、軸状の連結部材33によって構成されている(図6参照)。この連結部材33は、例えばアルミニウム合金を押し出し成形することによって形成されて、ボルト等の固定具34によって、パイプ材からなる回動部31に固定されている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
前方アーム部30を待避位置から使用位置へ向けて回動させて使用位置とされたとき、図8に示すように、第2段差部101bに対して連結部材33の第2ストッパ部33cが当接されて、使用位置を超えて前方アーム部30がさらに回動されてしまう事態が規制される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
押圧部材120における第2延設部120cには、支柱部材122が設けられている。第2延設部120cと支柱部材122は、回動部位となる連結部材33から押圧部材120へ作用する反力を連結ブラケット100に伝達するための反力伝達手段として機能する。支柱部材122は、本実施形態では、ボルト103と平行に延びるねじ部材(イモねじ)によって形成されている。すなわち、第2延設部120cにねじ孔120fが形成されて、このねじ孔120fに対して支柱部材122が螺合されている。この支柱部材122の先端部は、連結ブラケット100(の第1筒部101)の上面に当接されている。