(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164570
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】経路規制部材およびワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20241120BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20241120BHJP
F16L 57/00 20060101ALI20241120BHJP
F16B 5/07 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
H02G3/04 075
H02G3/04 037
H01B7/00 301
F16L57/00 A
F16B5/07 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080151
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】萩 真博
(72)【発明者】
【氏名】王 韋智
【テーマコード(参考)】
3H024
3J001
5G309
5G357
【Fターム(参考)】
3H024AA02
3H024AB07
3H024AC03
3J001FA06
3J001GA01
3J001GA06
3J001GB01
3J001HA04
3J001JD15
3J001JD32
3J001KA19
3J001KB01
3J001KB02
5G309AA01
5G309AA09
5G357DA06
5G357DA10
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD02
5G357DD06
5G357DD16
5G357DE03
5G357DG04
(57)【要約】
【課題】組立作業性を向上できる経路規制部材を提供する。
【解決手段】経路規制部材20は、直線部品30と屈曲部品80とを備える。直線部品30は、電線部材を保持する保持部31と、連結部40Aとを有す
る。屈曲部品80は、電線部材を保持する保持部81と、連結部40Aに連結される連結部95Aとを有する。連結部40Aは、保持部31に設けられた収容部41と、収容部41に収容されたラッチ部50とを有する。ラッチ部50は、収容部41の外部に突出する突出部55を有するラッチ本体51と、ラッチ本体51を連結部95Aに向けて付勢する付勢部材58とを有する。連結部95Aは、突出部55と凹凸嵌合される嵌合凹部61を有する。ラッチ本体51は、付勢部材58の付勢力に抗して突出部55が収容部41の内部に収容された姿勢に変位可能である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線部材の経路を規制する経路規制部材であって、
第1規制部品と、前記第1規制部品に連結される第2規制部品とを備え、
前記第1規制部品は、前記電線部材を保持する第1保持部と、第1連結部とを有し、
前記第2規制部品は、前記電線部材を保持する第2保持部と、前記第1連結部に連結される第2連結部とを有し、
前記第1連結部は、前記第1保持部に設けられた収容部と、前記収容部に収容されたラッチ部とを有し、
前記ラッチ部は、前記収容部の外部に突出する突出部を有するラッチ本体と、前記ラッチ本体を前記第2連結部に向けて付勢する付勢部材とを有し、
前記第2連結部は、前記突出部と凹凸嵌合される嵌合凹部を有し、
前記ラッチ本体は、前記付勢部材の付勢力に抗して前記突出部が前記収容部の内部に収容された姿勢に変位可能である、経路規制部材。
【請求項2】
前記ラッチ本体は、第1面と前記第1面の反対側に設けられた第2面とを含む基部と、前記第1面から前記嵌合凹部に向かって突出する係合突起と、前記第2面から突出する柱状突起と、を有し、
前記係合突起は、前記第1面に設けられた突起基部と、前記突起基部の先端に設けられた前記突出部とを含み、
前記付勢部材は、前記柱状突起の外周に取り付けられたコイルばねである、請求項1に記載の経路規制部材。
【請求項3】
前記係合突起は、前記突起基部の先端に設けられるとともに前記経路規制部材の周方向において互いに離れて設けられた2つの前記突出部を含み、
前記第2連結部は、前記2つの突出部の各々が凹凸嵌合する2つの前記嵌合凹部を含み、
前記2つの突出部の各々は、前記経路規制部材の周方向において前記嵌合凹部の内面と係合する係合面を有する、請求項2に記載の経路規制部材。
【請求項4】
前記2つの突出部の各々は、前記嵌合凹部に向く先端面を有し、
前記2つの係合面は、前記経路規制部材の周方向において互いに対向しており、
前記先端面は、前記経路規制部材の周方向において他方の前記突出部から離れるに連れて、前記突起基部からの前記突出部の突出量が小さくなるように傾斜している、請求項3に記載の経路規制部材。
【請求項5】
前記収容部は、前記第1保持部の外周面から前記第1保持部の径方向内側に向かって凹む第1凹部と、前記第1保持部の軸方向の端面から凹むとともに前記第1凹部と連通する第2凹部と、前記第1凹部の内面を構成するとともに前記第2凹部が形成される第1周壁と、前記第1凹部の内面を構成するとともに前記第1周壁と対向する第2周壁と、前記第2周壁の内面に設けられた第3凹部と、を有し、
前記付勢部材の端部は、前記第3凹部に収容されている、請求項1に記載の経路規制部材。
【請求項6】
前記第1凹部は、前記第1保持部を径方向に貫通しないように形成されている、請求項5に記載の経路規制部材。
【請求項7】
前記第1保持部は、第1底壁と、前記第1底壁の第1側縁から突出する第1側壁と、前記第1底壁の第2側縁から突出する第2側壁とを有し、
前記第1規制部品は、前記第1規制部品の軸方向の第1端部と、前記第1端部の反対側に設けられた第2端部とを有し、
前記第1規制部品は、前記第1端部における前記第1側壁に設けられた前記第1連結部と、前記第1端部における前記第1側壁に設けられた第1係合部とを有し、
前記第2保持部は、第2底壁と、前記第2底壁の第3側縁から突出する第3側壁と、第2底壁の第4側縁から突出する第4側壁とを有し、
前記第2規制部品は、前記第2規制部品の軸方向の第3端部と、前記第3端部の反対側に設けられた第4端部とを有し、
前記第2規制部品は、前記第3端部における前記第3側壁に設けられた前記第2連結部と、前記第3端部における前記第3側壁に設けられた第2係合部とを有し、
前記第1係合部は、前記経路規制部材の軸方向において前記第2係合部と係合されている、請求項1に記載の経路規制部材。
【請求項8】
前記第2係合部は、前記第3側壁の先端における外周面から前記第2底壁に向かって延びるとともに、前記第3側壁の外周面から前記第2保持部の軸方向に向かって前記第2保持部の外方に突出する係合壁を有し、
前記係合壁は、前記第1保持部の径方向において前記第1側壁の外周面と係合されており、
前記係合壁は、前記ラッチ部の一部を前記第1保持部の径方向外側から被覆している、請求項7に記載の経路規制部材。
【請求項9】
前記第1係合部は、前記係合壁を把持する把持部を有し、
前記把持部は、前記経路規制部材の軸方向において前記係合壁と係合されるとともに、前記第1保持部の径方向において前記係合壁と係合されている、請求項8に記載の経路規制部材。
【請求項10】
前記第1規制部品は、前記第1端部における前記第2側壁に設けられた第3連結部と、前記第2端部における前記第2側壁に設けられた第4連結部と、前記第2端部における前記第1側壁に設けられた第5連結部とを有し、
前記第2規制部品は、前記第3端部における前記第4側壁に設けられた第6連結部を有し、
前記第3連結部は、前記第2連結部と同一の構造を有し、
前記第4連結部は、前記第1連結部と同一の構造を有し、
前記第5連結部は、前記第2連結部と同一の構造を有し、
前記第6連結部は、前記第1連結部と同一の構造を有する、請求項7に記載の経路規制部材。
【請求項11】
前記第1規制部品は、前記第1保持部が一方向に直線状に延びるように形成された直線部品であり、
前記第2規制部品は、前記第2保持部が屈曲部を有する屈曲部品である、請求項1に記載の経路規制部材。
【請求項12】
前記第1規制部品は、前記第1保持部が屈曲部を有する第1屈曲部品であり、
前記第2規制部品は、前記第1屈曲部品と同一の構造を有する第2屈曲部品である、請求項1に記載の経路規制部材。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の経路規制部材と、
前記経路規制部材により経路が規制される前記電線部材と、を備える、ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、経路規制部材およびワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の内部に配索されるワイヤハーネスとしては、電線部材と、その電線部材の経路を規制する経路規制部材とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記ワイヤハーネスにおいては、複数の規制部品が連結されることによって1つの経路規制部材が構成される場合がある。この場合には、複数の規制部品同士を連結する際の組立作業性の向上が望まれている。
【0005】
本開示の目的は、組立作業性を向上できる経路規制部材およびワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の経路規制部材は、電線部材の経路を規制する経路規制部材であって、第1規制部品と、前記第1規制部品に連結される第2規制部品とを備え、前記第1規制部品は、前記電線部材を保持する第1保持部と、第1連結部とを有し、前記第2規制部品は、前記電線部材を保持する第2保持部と、前記第1連結部に連結される第2連結部とを有し、前記第1連結部は、前記第1保持部に設けられた収容部と、前記収容部に収容されたラッチ部とを有し、前記ラッチ部は、前記収容部の外部に突出する突出部を有するラッチ本体と、前記ラッチ本体を前記第2連結部に向けて付勢する付勢部材とを有し、前記第2連結部は、前記突出部と凹凸嵌合される嵌合凹部を有し、前記ラッチ本体は、前記付勢部材の付勢力に抗して前記突出部が前記収容部の内部に収容された姿勢に変位可能である。
【発明の効果】
【0007】
本開示の経路規制部材およびワイヤハーネスによれば、組立作業性を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、一実施形態のワイヤハーネスを示す平面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態のワイヤハーネスの一部を拡大して示す平面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態のワイヤハーネスを示す斜視図である。
【
図5】
図5は、一実施形態の経路規制部材を示す分解斜視図である。
【
図6】
図6は、一実施形態の直線部品を示す分解斜視図である。
【
図7】
図7は、一実施形態の直線部品を示す側面図である。
【
図8】
図8は、一実施形態のラッチ部を示す分解斜視図である。
【
図9】
図9は、一実施形態の経路規制部材の一部を拡大して示す断面図(
図3における9-9線断面図)である。
【
図10】
図10は、一実施形態の経路規制部材の一部を拡大して示す断面図である。
【
図11】
図11は、一実施形態の経路規制部材を示す側面図である。
【
図12】
図12は、一実施形態の屈曲部品を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、一実施形態の経路規制部材の一部を示す断面図(
図11における13-13線断面図)である。
【
図14】
図14は、一実施形態のワイヤハーネスを示す斜視図である。
【
図15】
図15は、一実施形態の経路規制部材の製造方法を示す斜視図である。
【
図16】
図16は、一実施形態の経路規制部材の製造方法を示す斜視図である。
【
図17】
図17は、一実施形態の経路規制部材の製造方法を示す斜視図である。
【
図18】
図18は、一実施形態の経路規制部材の製造方法を示す側面図である。
【
図19】
図19は、一実施形態の経路規制部材の製造方法を示す側面図である。
【
図20】
図20は、一実施形態の経路規制部材の製造方法を示す断面図である。
【
図21】
図21は、一実施形態の経路規制部材の製造方法を示す断面図(
図20における21-21線断面図)である。
【
図22】
図22は、一実施形態の経路規制部材の製造方法を示す側面図である。
【
図23】
図23は、変更例の経路規制部材を示す分解斜視図である。
【
図24】
図24は、変更例の経路規制部材を示す平面図である。
【
図25】
図25は、変更例のワイヤハーネスを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列挙して説明する。
[1]本開示の経路規制部材は、電線部材の経路を規制する経路規制部材であって、第1規制部品と、前記第1規制部品に連結される第2規制部品とを備え、前記第1規制部品は、前記電線部材を保持する第1保持部と、第1連結部とを有し、前記第2規制部品は、前記電線部材を保持する第2保持部と、前記第1連結部に連結される第2連結部とを有し、前記第1連結部は、前記第1保持部に設けられた収容部と、前記収容部に収容されたラッチ部とを有し、前記ラッチ部は、前記収容部の外部に突出する突出部を有するラッチ本体と、前記ラッチ本体を前記第2連結部に向けて付勢する付勢部材とを有し、前記第2連結部は、前記突出部と凹凸嵌合される嵌合凹部を有し、前記ラッチ本体は、前記付勢部材の付勢力に抗して前記突出部が前記収容部の内部に収容された姿勢に変位可能である。
【0010】
この構成によれば、ラッチ本体が、付勢部材の付勢力により突出部が収容部の外部に突出する第1の姿勢と、付勢部材の付勢力に抗して突出部が収容部の内部に収容された第2の姿勢とに変位可能である。このようなラッチ本体では、第2規制部品の周壁等により突出部が収容部の内部に向かって押圧されると、その突出部が収容部の内部に収容されて第2の姿勢に変位される。この第2の姿勢では、突出部が収容部の外部に突出していないため、その突出部によって第1規制部品に対する第2規制部品の相対移動が阻害されることを好適に抑制できる。また、突出部が第2連結部の嵌合凹部に向かい合うと、突出部に対する押圧が解除されるため、付勢部材の付勢力によって突出部が収容部の外部に突出される。これにより、突出部を嵌合凹部に容易に凹凸嵌合させることができるとともに、第1連結部と第2連結部とを容易に連結させることができる。したがって、第1規制部品と第2規制部品とを連結する際の作業性を向上できる。
【0011】
[2]上記[1]において、前記ラッチ本体は、第1面と前記第1面の反対側に設けられた第2面とを含む基部と、前記第1面から前記嵌合凹部に向かって突出する係合突起と、前記第2面から突出する柱状突起と、を有し、前記係合突起は、前記第1面に設けられた突起基部と、前記突起基部の先端に設けられた前記突出部とを含み、前記付勢部材は、前記柱状突起の外周に取り付けられたコイルばねであってもよい。
【0012】
この構成によれば、基部の第2面に設けられた柱状突起の外周に取り付けられたコイルばねによって、ラッチ本体を第2連結部の嵌合凹部に向けて付勢することができる。また、第2規制部品の周壁等により突出部が収容部の内部に向かって押圧された場合には、コイルばねが圧縮されることにより、ラッチ本体を第2の姿勢に好適に変位させることができる。
【0013】
[3]上記[2]において、前記係合突起は、前記突起基部の先端に設けられるとともに前記経路規制部材の周方向において互いに離れて設けられた2つの前記突出部を含み、前記第2連結部は、前記2つの突出部の各々が凹凸嵌合する2つの前記嵌合凹部を含み、前記2つの突出部の各々は、前記経路規制部材の周方向において前記嵌合凹部の内面と係合する係合面を有してもよい。
【0014】
この構成によれば、第1連結部のラッチ部における2つの突出部が第2連結部における2つの嵌合凹部のそれぞれに凹凸嵌合される。これにより、第1連結部と第2連結部とが互いに連結される。さらに、第1連結部と第2連結部とが連結された状態では、2つの突出部の各々の係合面と2つの嵌合凹部の各々の内面とが経路規制部材の周方向において互いに係合される。これにより、経路規制部材の周方向において第1規制部品に対して第2規制部品が相対移動することをより好適に抑制できる。
【0015】
[4]上記[3]において、前記2つの突出部の各々は、前記嵌合凹部に向く先端面を有し、前記2つの係合面は、前記経路規制部材の周方向において互いに対向しており、前記先端面は、前記経路規制部材の周方向において他方の前記突出部から離れるに連れて、前記突起基部からの前記突出部の突出量が小さくなるように傾斜していてもよい。
【0016】
この構成によれば、突出部の傾斜面である先端面に第2規制部品の周壁等を接触させることにより、突出部を収容部に向かって好適に押圧することができる。さらに、先端面の傾斜に沿って第2規制部品の周壁を移動させることにより、突出部を収容部の内部に徐々に収容することができる。
【0017】
[5]上記[1]から[4]のいずれかにおいて、前記収容部は、前記第1保持部の外周面から前記第1保持部の径方向内側に向かって凹む第1凹部と、前記第1保持部の軸方向の端面から凹むとともに前記第1凹部と連通する第2凹部と、前記第1凹部の内面を構成するとともに前記第2凹部が形成される第1周壁と、前記第1凹部の内面を構成するとともに前記第1周壁と対向する第2周壁と、前記第2周壁の内面に設けられた第3凹部と、を有し、前記付勢部材の端部は、前記第3凹部に収容されていてもよい。
【0018】
この構成によれば、収容部の第2周壁の内面に設けられた第3凹部に付勢部材の端部が収容される。これにより、第2周壁の内面に付勢部材の端部が接触される場合に比べて、収容部から付勢部材が抜けることを抑制できる。
【0019】
[6]上記[5]において、前記第1凹部は、前記第1保持部を径方向に貫通しないように形成されていてもよい。
この構成によれば、第1保持部の外周面から第1保持部の径方向内側に向かって凹む第1凹部が、第1保持部を径方向に貫通しないように形成される。このため、第1凹部における径方向内側の開口を塞ぐように端壁が設けられる。この端壁によって、ラッチ部が第1凹部から抜けることを抑制できる。
【0020】
[7]上記[1]から[6]のいずれかにおいて、前記第1保持部は、第1底壁と、前記第1底壁の第1側縁から突出する第1側壁と、前記第1底壁の第2側縁から突出する第2側壁とを有し、前記第1規制部品は、前記第1規制部品の軸方向の第1端部と、前記第1端部の反対側に設けられた第2端部とを有し、前記第1規制部品は、前記第1端部における前記第1側壁に設けられた前記第1連結部と、前記第1端部における前記第1側壁に設けられた第1係合部とを有し、前記第2保持部は、第2底壁と、前記第2底壁の第3側縁から突出する第3側壁と、第2底壁の第4側縁から突出する第4側壁とを有し、前記第2規制部品は、前記第2規制部品の軸方向の第3端部と、前記第3端部の反対側に設けられた第4端部とを有し、前記第2規制部品は、前記第3端部における前記第3側壁に設けられた前記第2連結部と、前記第3端部における前記第3側壁に設けられた第2係合部とを有し、前記第1係合部は、前記経路規制部材の軸方向において前記第2係合部と係合されていてもよい。
【0021】
この構成によれば、第1規制部品の第1係合部と第2規制部品の第2係合部とが経路規制部材の軸方向において互いに係合される。これにより、経路規制部材の軸方向において第1規制部品に対して第2規制部品が相対移動することを好適に抑制できる。
【0022】
[8]上記[7]において、前記第2係合部は、前記第3側壁の先端における外周面から前記第2底壁に向かって延びるとともに、前記第3側壁の外周面から前記第2保持部の軸方向に向かって前記第2保持部の外方に突出する係合壁を有し、前記係合壁は、前記第1保持部の径方向において前記第1側壁の外周面と係合されており、前記係合壁は、前記ラッチ部の一部を前記第1保持部の径方向外側から被覆していてもよい。
【0023】
この構成によれば、第2係合部の係合壁によりラッチ部の一部が第1保持部の径方向外側から被覆される。この係合壁により、ラッチ部が収容部から抜けることを抑制できる。
[9]上記[8]において、前記第1係合部は、前記係合壁を把持する把持部を有し、前記把持部は、前記経路規制部材の軸方向において前記係合壁と係合されるとともに、前記第1保持部の径方向において前記係合壁と係合されていてもよい。
【0024】
この構成によれば、第1係合部の把持部と第2係合部の係合壁とが第1保持部の径方向において互いに係合される。これにより、第1保持部の径方向において第1規制部品に対して第2規制部品が相対移動することを好適に抑制できる。
【0025】
[10]上記[7]から[9]のいずれかにおいて、前記第1規制部品は、前記第1端部における前記第2側壁に設けられた第3連結部と、前記第2端部における前記第2側壁に設けられた第4連結部と、前記第2端部における前記第1側壁に設けられた第5連結部とを有し、前記第2規制部品は、前記第3端部における前記第4側壁に設けられた第6連結部を有し、前記第3連結部は、前記第2連結部と同一の構造を有し、前記第4連結部は、前記第1連結部と同一の構造を有し、前記第5連結部は、前記第2連結部と同一の構造を有し、前記第6連結部は、前記第1連結部と同一の構造を有してもよい。
【0026】
この構成によれば、第1規制部品の第1端部では、第1側壁に第1連結部が設けられるとともに、第2側壁に第2連結部と同一の構造を有する第3連結部が設けられる。一方、第1規制部品の第2端部では、第2側壁に第1連結部と同一の構造を有する第4連結部が設けられるとともに、第1側壁に第2連結部と同一の構造を有する第5連結部が設けられる。このように、第1規制部品の第2端部における第4連結部および第5連結部は、第1規制部品の第1端部における第1連結部および第3連結部の構造を180°回転させた構造に形成されている。このため、第2規制部品を、第1規制部品の第1端部に連結させることが可能であるとともに、第1規制部品の第2端部にも連結させることが可能である。これにより、電線部材の経路に合わせて第1規制部品に対する第2規制部品の連結方向を適宜変更することができる。
【0027】
[11]上記[1]から[10]のいずれかにおいて、前記第1規制部品は、前記第1保持部が一方向に直線状に延びるように形成された直線部品であり、前記第2規制部品は、前記第2保持部が屈曲部を有する屈曲部品であってもよい。
【0028】
この構成によれば、直線部品の第1連結部と屈曲部品の第2連結部とを互いに連結させることができる。
[12]上記[1]から[10]のいずれかにおいて、前記第1規制部品は、前記第1保持部が屈曲部を有する第1屈曲部品であり、前記第2規制部品は、前記第1屈曲部品と同一の構造を有する第2屈曲部品であってもよい。
【0029】
この構成によれば、互いに同一の構造を有する2つの屈曲部品、つまり第1屈曲部品と第2屈曲部品とが直接連結される。これにより、屈曲部品が1つの場合に比べて、経路規制部材の曲げ角度を変更することができる。このように、同一構成の屈曲部品を連結する数を調整することにより、経路規制部材の曲げ角度を容易に変更することができる。
【0030】
[13]本開示のワイヤハーネスは、上記[1]から[12]のいずれかに記載の経路規制部材と、前記経路規制部材により経路が規制される前記電線部材と、を備える。
この構成によれば、上記[1]の経路規制部材と同様の効果を得ることができる。
【0031】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の経路規制部材およびワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「直交」、「平行」や「全長」は、厳密に直交、平行や全長の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね直交、平行や全長の場合も含まれる。本明細書において「同一」とは、正確に同一の場合の他、寸法公差等の影響により比較対象同士に多少の相違がある場合も含む。また、本明細書の説明で使用される「筒状」は、周方向全周にわたって連続して周壁が形成されたものだけではなく、複数の部品を組み合わせて筒状をなすものや、C字状やU字状のように周方向の一部に切り欠き等を有するものも含む。なお、「筒状」の形状には、円形、楕円形、および尖ったまたは丸い角を有する多角形が含まれるが、これらに限定されない。また、本明細書における「対向」とは、面同士または部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。また、本明細書における「対向」とは、2つの部分の間に、2つの部分とは別の部材が介在している場合と、2つの部分の間に何も介在していない場合の両方を含む。また、一部の図面には、相互に直交するX軸、Y軸、Z軸を図示している。以下の説明では、便宜上、X軸に沿って延びる方向をX軸方向と称し、Y軸に沿って延びる方向をY軸方向と称し、Z軸に沿って延びる方向をZ軸方向と称する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0032】
(ワイヤハーネス10の全体構成)
図1に示すワイヤハーネス10は、例えば、車両Vに搭載されるものである。車両Vとしては、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車を挙げることができる。ワイヤハーネス10は、2個以上の電気機器同士を電気的に接続する。ワイヤハーネス10は、例えば、車両Vの前部に設置されたインバータM1と、インバータM1よりも車両Vの後方に設置された高圧バッテリM2とを電気的に接続する。
【0033】
ワイヤハーネス10は、電線部材11を備えている。電線部材11は、1本以上の電線12と、電線12の外周を囲う筒状の外装部材13とを備えている。電線12は、例えば、導体断面積が大きい太物電線である。ここで、本明細書における「太物電線」とは、導体断面積が10mm2(所謂10sq)以上の電線である。外装部材13は、例えば、全体として長尺の筒状をなしている。
【0034】
図2に示すように、電線部材11は、例えば、車両Vに搭載された状態において、二次元的または三次元的に屈曲されている。本実施形態の電線部材11は、X軸に沿って直線状に延びる直線部14Aと、直線部14Aの端部に設けられた屈曲部15Aと、屈曲部15Aから図中右斜め下方に延びる直線部14Bとを有している。電線部材11は、直線部14Bの端部に設けられた屈曲部15Bと、屈曲部15BからX軸に沿って直線状に延びる直線部14Cと、直線部14Cの端部に設けられた屈曲部15Cとを有している。電線部材11は、屈曲部15CからY軸に沿って直線状に延びる直線部14Dと、直線部14Dの端部に設けられた屈曲部15Dと、屈曲部15DからX軸に沿って直線状に延びる直線部14Eとを有している。電線部材11は、直線部14Eの端部に設けられた屈曲部15Eと、屈曲部15Eから図中右斜め上方に延びる直線部14Fとを有している。このように、本実施形態の電線部材11は、5つの屈曲部15A,15B,15C,15D,15Eを有している。
【0035】
屈曲部15Aは、例えば、電線部材11の経路を曲げ角度θ1で屈曲させるように形成されている。ここで、曲げ角度θ1は、直線部14Aの中心軸線L1と直線部14Bの中心軸線L2とがなす角度である。屈曲部15Aは、曲げ角度θ1が45°になるように電線部材11の経路を屈曲させている。屈曲部15Aは、例えば、直線部14Aの中心軸線L1に対して電線部材11の経路を図中右方向に曲げるように形成されている。すなわち、屈曲部15Aは、直線部14Aの中心軸線L1に対して電線部材11の経路を45°の曲げ角度θ1で右曲げするように形成されている。
【0036】
屈曲部15Bは、例えば、直線部14Bの中心軸線L2と直線部14Cの中心軸線L3とがなす曲げ角度θ2が45°になるように電線部材11の経路を屈曲させている。屈曲部15Bは、例えば、直線部14Bの中心軸線L2に対して電線部材11の経路を図中左方向に曲げるように形成されている。すなわち、屈曲部15Bは、直線部14Bの中心軸線L2に対して電線部材11の経路を45°の曲げ角度θ2で左曲げするように形成されている。屈曲部15Cは、例えば、直線部14Cの中心軸線L3と直線部14Dの中心軸線L4とがなす曲げ角度θ3が90°になるように電線部材11の経路を左曲げさせている。屈曲部15Dは、例えば、直線部14Dの中心軸線L4と直線部14Eの中心軸線L5とがなす曲げ角度θ4が90°になるように電線部材11の経路を右曲げさせている。屈曲部15Eは、例えば、直線部14Eの中心軸線L5と直線部14Fの中心軸線L6とがなす曲げ角度θ5が45°になるように電線部材11の経路を左曲げさせている。
【0037】
ワイヤハーネス10は、電線部材11の経路を規制する1以上の経路規制部材20を備えている。経路規制部材20は、電線部材11の外周に取り付けられている。経路規制部材20は、電線部材11における複数の屈曲部15A,15B,15C,15D,15Eの少なくとも1つに設けられ、当該屈曲部15A,15B,15C,15D,15Eにおける電線部材11の屈曲形状を維持する。本実施形態のワイヤハーネス10は、5つの屈曲部15A,15B,15C,15D,15Eにそれぞれ対応して設けられる5つの経路規制部材20A,20B,20C,20D,20Eを備えている。
【0038】
複数の経路規制部材20A,20B,20C,20D,20Eは、例えば、電線部材11の長さ方向において互いに離れて設けられている。経路規制部材20A,20B,20C,20D,20Eの各々は、例えば、1以上の直線部品30と、1以上の屈曲部品80とを備えている。
【0039】
(経路規制部材20Aの構成)
図3および
図4に示すように、経路規制部材20Aは、電線部材11の長さ方向に沿って、直線部品30と屈曲部品80と直線部品30とがこの順番で並ぶように構成されている。以下の説明では、便宜上、屈曲部品80よりも図中左に設けられた直線部品30を「直線部品30A」と称し、屈曲部品80よりも図中右に設けられた直線部品30を「直線部品30B」と称する場合がある。
【0040】
直線部品30A,30Bおよび屈曲部品80の各々は、外装部材13を保持する。外装部材13は、例えば、直線部品30A,30Bおよび屈曲部品80が取り付けられていない状態よりも曲がり難くなっている。直線部品30A,30Bおよび屈曲部品80は、例えば、金属製または樹脂製である。本実施形態の直線部品30A,30Bおよび屈曲部品80は、樹脂製である。
【0041】
直線部品30Aは、例えば、電線部材11の経路のうち直線部14Aにおいて、外装部材13の外周に取り付けられている。直線部品30Bは、例えば、電線部材11の経路のうち直線部14Bにおいて、外装部材13の外周に取り付けられている。各直線部品30A,30Bは、直線部14A,14Bにおける電線部材11の経路をそれぞれ規制する。
【0042】
屈曲部品80は、例えば、電線部材11の経路のうち屈曲部15Aにおいて、外装部材13の外周に取り付けられている。屈曲部品80は、屈曲部15Aにおける電線部材11の経路を規制する。
【0043】
(直線部品30A,30Bの構成)
次に、直線部品30Aの具体的構造について説明する。なお、直線部品30Bは、直線部品30Aと同一の構造を有しているため、直線部品30Aと同様の構成には同一の符号を付して、ここでは詳細な説明を省略する。
【0044】
図5に示すように、直線部品30Aは、保持部31と、互いに同一の構造を有する2つの連結部40A,40Bと、互いに同一の構造を有する2つの連結部60A,60Bとを備えている。直線部品30Aは、互いに同一の構造を有する2つの係合部70A,70Bと、互いに同一の構造を有する2つの係合部75A,75Bとを備えている。直線部品30Aは、例えば、XY平面における直線部品30Aの中心を通るとともにZ軸方向に延びる直線部品30Aの中心軸を中心として点対称となる形状に形成されている。
【0045】
図4に示すように、保持部31は、電線部材11を保持している。保持部31は、外装部材13の周方向の一部において外装部材13の外周を被覆する筒状をなしている。保持部31の横断面形状は、全体としてU字状をなしている。保持部31は、一方向に直線状に延びる形状に形成されている。
【0046】
図5に示すように、保持部31は、底壁32と、底壁32の第1側縁から突出する側壁33と、底壁32の第2側縁から突出する側壁34とを有している。底壁32および側壁33,34の各々は、例えば、X軸方向に沿って直線状に延びている。底壁32の横断面形状は、例えば、円弧状に形成されている。
【0047】
各側壁33,34は、底壁32と連続して一体に形成されている。各側壁33,34は、例えば、底壁32の幅方向(ここでは、Y軸方向)の両端縁のそれぞれからZ軸方向に向かって突出している。2つの側壁33,34は、例えば、底壁32の幅方向において互いに対向している。各側壁33,34は、例えば、板状に形成されている。各側壁33,34は、例えば、Z軸方向に沿って直線状に延びている。
【0048】
直線部品30Aは、直線部品30Aの軸方向と直交する方向に開口する挿入口35を有している。挿入口35は、側壁33の上端と側壁34の上端との間の間隙によって構成されている。挿入口35は、例えば、直線部品30Aの軸方向に沿って直線部品30Aの軸方向の全長にわたって延びている。すなわち、挿入口35は、直線部品30Aの軸方向の両端に開口している。
【0049】
直線部品30Aは、直線部品30Aの軸方向の端部36と、端部36の反対側に設けられた端部37とを有している。端部36は、屈曲部品80と対向する端部である。
直線部品30Aは、例えば、保持部31の外周面に設けられた1以上(本実施形態では、2つ)の補強リブ38を有している。補強リブ38は、例えば、保持部31の外周面の周方向全周にわたって形成されている。各補強リブ38は、保持部31の外周面から保持部31の径方向外側に突出している。補強リブ38を設けたことにより、直線部品30Aの曲げ剛性を向上させることができる。
【0050】
直線部品30Aは、例えば、保持部31の外周面に設けられた1以上の溝部39を有している。溝部39は、直線部品30の軸方向において、2つの補強リブ38の間に設けられている。溝部39は、側壁33,34の上面から下方に凹むように形成されている。
【0051】
連結部40Aは、端部36における側壁33に設けられている。連結部40Bは、端部37における側壁34に設けられている。連結部60Aは、端部36における側壁34に設けられている。連結部60Bは、端部37における側壁33に設けられている。端部37に設けられた連結部40B,60Bは、端部36に設けられた連結部40A,60Aの構造を180°回転させた構造に形成されている。
【0052】
係合部70Aは、端部36における側壁33に設けられている。係合部70Bは、端部37における側壁34に設けられている。係合部75Aは、端部36における側壁34に設けられている。係合部75Bは、端部37における側壁33に設けられている。端部37に設けられた係合部70B,75Bは、端部36に設けられた係合部70A,75Aの構造を180°回転させた構造に形成されている。
【0053】
次に、連結部40Aの具体的構造について説明する。なお、連結部40Bは、連結部40Aと同一の構造を有しているため、連結部40Aと同様の構成には同一の符号を付して、ここでは詳細な説明を省略する。
【0054】
図6および
図7に示すように、連結部40Aは、保持部31に設けられた収容部41と、収容部41に収容されたラッチ部50とを備えている。ラッチ部50は、例えば、保持部31と別部品である。
【0055】
図6に示すように、収容部41は、例えば、端部36における側壁33の外周面に形成された第1凹部42と、端部36における側壁33の軸方向の端面に形成された第2凹部43とを有している。
【0056】
第1凹部42は、端部36における側壁33の外周面から保持部31の径方向内側に向かって凹むように形成されている。第1凹部42は、例えば、側壁33を径方向に貫通しないように形成されている。換言すると、収容部41は、第1凹部42における保持部31の径方向内側の開口を塞ぐ端壁44を有している。また、収容部41は、第1凹部42の内面を構成するとともに第2凹部43が形成された第1周壁45と、第1凹部42の内面を構成するとともに第1周壁45と対向する第2周壁46とを有している。第1周壁45の内面と第2周壁46の内面とはX軸方向において互いに対向している。収容部41は、第2周壁46の内面に形成された1以上(本実施形態では、2つ)の第3凹部47を有している。2つの第3凹部47は、Z軸方向において互いに離れて設けられている。各第3凹部47は、第2周壁46の内面から側壁33の軸方向(ここでは、X軸方向)に沿って凹むように形成されている。
【0057】
第2凹部43は、端部36における側壁33の軸方向の端面から第1凹部42に向かって凹むとともに第1凹部42に連通するように形成されている。第2凹部43は、第1周壁45をX軸方向に貫通するように形成されている。第2凹部43は、側壁33の厚さ方向の中間部のみに設けられている。
【0058】
図7に示すように、ラッチ部50は、収容部41に収容されるとともに、端部36における側壁33の軸方向の端面よりも外方に一部が突出するように設けられている。ラッチ部50は、相手の連結部と係合可能な第1の姿勢(
図9参照)と、相手の連結部との係合を解除可能な第2の姿勢(
図10)とに変位可能に構成されている。
【0059】
図8に示すように、ラッチ部50は、ラッチ本体51と、1以上(本実施形態では、2つ)の付勢部材58とを備えている。付勢部材58は、ラッチ本体51と別部品である。
ラッチ本体51は、第1面52Aおよび第2面52Bを有する基部52と、基部52の第1面52Aに設けられた係合突起53と、基部52の第2面52Bに設けられた1以上(本実施形態では、2つ)の柱状突起57とを有している。ラッチ本体51は、例えば、金属製または樹脂製である。本実施形態のラッチ本体51は、樹脂製である。
【0060】
基部52は、例えば、直方体状に形成されている。
図7に示すように、第1面52Aは、X軸方向において第1周壁45の内面と係合可能である。第2面52Bは、第2周壁46の内面と対向している。基部52は、第2凹部43に挿入不能な大きさに形成されている。
【0061】
図8に示すように、係合突起53は、基部52の第1面52AからX軸方向に沿って突出する突起基部54と、突起基部54の先端面からX軸方向に沿って突出する1以上(本実施形態では、2つ)の突出部55とを有している。突起基部54は、例えば、直方体状に形成されている。突起基部54は、基部52よりも一回り小さく形成されている。
【0062】
図9に示すように、2つの突出部55は、経路規制部材20Aの周方向(ここでは、Z軸方向)において互いに離れて設けられている。各突出部55は、係合面55Aと、先端面55Bとを有している。2つの係合面55Aは、Z軸方向において互いに対向している。係合面55Aは、例えば、XY平面と平行に形成されている。先端面55Bは、他方の突出部55から離れるに連れて突起基部54からの突出部55の突出量が小さくなるように傾斜した傾斜面に形成されている。Y軸方向から見た突出部55の平面形状は、例えば、三角形状に形成されている。
【0063】
図8に示すように、2つの柱状突起57は、Z軸方向において互いに離れて設けられている。各柱状突起57は、基部52の第2面52BからX軸方向に沿って突出する柱状に形成されている。本実施形態の各柱状突起57は、円柱状に形成されている。各柱状突起57の先端には、フランジ部57Aが設けられている。フランジ部57Aは、柱状突起57の外周面から柱状突起57の径方向外側に突出している。フランジ部57Aは、柱状突起57の周方向全周にわたって連続して形成されている。
【0064】
本実施形態の各付勢部材58は、コイルばねである。各付勢部材58は、各柱状突起57の外周に取り付けられている。各付勢部材58は、各柱状突起57の外周を包囲するように設けられている。各付勢部材58は、X軸方向に沿って延びている。
【0065】
図9に示すように、各付勢部材58の先端部は、収容部41の第3凹部47に収容されている。各付勢部材58の先端部は、第3凹部47の底面に接触している。各付勢部材58の基端部は、基部52の第2面52Bに接触している。第1の姿勢における各付勢部材58は、ラッチ本体51を第1周壁45の内面に向かって付勢している。これにより、第1の姿勢では、ラッチ本体51の基部52の第1面52Aが第1周壁45の内面に押し付けられる。第1の姿勢では、ラッチ本体51の突出部55が端部36における側壁33の軸方向の端面よりも外方に突出している。
【0066】
図10に示すように、ラッチ本体51の突出部55が第2周壁46に向かって押圧されると、基部52の第2面52Bと第3凹部47の底面との間で各付勢部材58が圧縮され、ラッチ部50が第2の姿勢になる。第2の姿勢では、基部52の第1面52Aが第1周壁45の内面から離隔するとともに、突出部55が第2凹部43の内部に収容される。すなわち、第2の姿勢では、突出部55が端部36における側壁33の軸方向の端面よりも外方に突出していない。
【0067】
次に、
図6にしたがって、連結部60Aの具体的構造について説明する。なお、連結部60B(
図5参照)は、連結部60Aと同一の構造を有しているため、連結部60Aと同様の構成には同一の符号を付して、ここでは詳細な説明を省略する。
【0068】
図6に示すように、連結部60Aは、端部36における側壁34の軸方向の端面から端部37に向かって凹む1以上(本実施形態では、2つ)の嵌合凹部61を有している。2つの嵌合凹部61は、Z軸方向において互いに離れて設けられている。2つの嵌合凹部61は、Z軸方向において、2つの突出部55のそれぞれと凹凸嵌合可能な位置に設けられている。各嵌合凹部61は、突出部55と凹凸嵌合可能な大きさに形成されている。各嵌合凹部61は、例えば、側壁34の厚さ方向の中間部のみに設けられている。
【0069】
次に、係合部75Aの具体的構造について説明する。ここで、係合部75Bは、係合部75Aと同一の構造を有しているため、係合部75Aと同様の構成には同一の符号を付して、ここでは詳細な説明を省略する。なお、係合部75Bも参照しながら、係合部75Aの構造について説明する。
【0070】
係合部75Aは、例えば、側壁34の外周面に設けられた係合壁76を有している。係合壁76は、例えば、側壁34の外周面と連続して一体に形成されている。係合壁76は、側壁34の外周面から保持部31の径方向外側に突出している。係合壁76は、側壁34の外周面から保持部31の軸方向に向かって保持部31の外方に突出している。すなわち、係合壁76は、端部36における側壁34の軸方向の端面よりも保持部31の外方に突出している。
図3に示すように、係合壁76は、例えば、屈曲部品80の外周面を保持部31の径方向外側から被覆可能に設けられている。
【0071】
図6に示すように、係合壁76は、例えば、板状に形成されている。係合壁76は、側壁34の高さ方向および保持部31の軸方向に延びる板状に形成されている。係合壁76は、例えば、側壁34の上端から下方に延びている。係合壁76は、Z軸方向において、嵌合凹部61よりも下方まで延びている。
【0072】
図11に示すように、係合壁76は、例えば、Z軸方向において、第1凹部42の下端よりも上方の位置まで延びている。係合壁76は、例えば、第1凹部42の開口の一部を被覆可能に形成されている。
【0073】
次に、係合部70Aの具体的構造について説明する。ここで、係合部70Bは、係合部70Aと同一の構造を有しているため、係合部70Aと同様の構成には同一の符号を付して、ここでは詳細な説明を省略する。なお、係合部70Bも参照しながら、係合部70Aの構造について説明する。
【0074】
係合部70Aは、側壁33の外周面に設けられた把持部71を有している。把持部71は、側壁33の外周面と連続して一体に形成されている。把持部71は、係合壁76を把持可能に形成されている。
【0075】
図5に示すように、把持部71は、例えば、全体として半割筒状に形成されている。把持部71は、例えば、溝部72を有する半円筒状に形成されている。把持部71は、側壁33の高さ方向(ここでは、Z軸方向)に沿って延びている。把持部71は、例えば、側壁33の上端から下方に延びている。把持部71は、Z軸方向において、第1凹部42よりも上方の位置まで延びている。Z軸方向に沿う把持部71の長さ寸法は、例えば、Z軸方向に沿う係合壁76の長さ寸法よりも小さい。
【0076】
把持部71は、側壁33の外周面から保持部31の径方向外側に突出している。把持部71は、側壁33の外周面から保持部31の軸方向に向かって保持部31の外方に突出している。把持部71は、保持部31の軸方向において、端部36における側壁33の軸方向の端面よりも外方に突出している。
図3に示すように、把持部71は、端部36における側壁33の外周面から、保持部31の径方向外側および屈曲部品80に向かって円弧状に突出している。把持部71の外周面は、Z軸方向から見た平面形状が円弧状に形成されている。
【0077】
溝部72は、把持部71の内面から保持部31の径方向外側に向かって凹むように形成されている。溝部72は、係合壁76を収容可能な大きさに形成されている。溝部72の内面は、例えば、Z軸方向から見た平面形状が円弧状に形成されている。溝部72は、例えば、把持部71の軸方向(ここでは、Z軸方向)に沿って把持部71の軸方向の全長にわたって延びている。
【0078】
(屈曲部品80の構成)
次に、屈曲部品80の具体的構造について説明する。
図12および
図13に示すように、屈曲部品80は、保持部81を備えている。
図13に示すように、屈曲部品80は、互いに同一の構造を有する2つの連結部90A,90Bと、互いに同一の構造を有する2つの連結部95A,95Bとを備えている。
図12に示すように、屈曲部品80は、互いに同一の構造を有する2つの係合部100A,100Bと、互いに同一の構造を有する2つの係合部105A,105Bとを備えている。
【0079】
図4に示すように、保持部81は、電線部材11を保持している。保持部81は、外装部材13の周方向の一部において外装部材13の外周を被覆する筒状をなしている。保持部81の横断面形状は、全体としてU字状をなしている。保持部81の横断面形状は、例えば、保持部31の横断面形状と同一の形状および同一の大きさに形成されている。
図3に示すように、保持部81は、所定の曲げ角度θで屈曲する屈曲部80Rを有する屈曲形状に形成されている。本実施形態の屈曲部80Rにおける曲げ角度θは、45°に設定されている。筒状をなす保持部81の軸方向は、所定の曲げ角度θで屈曲するように延びている。
【0080】
保持部81は、例えば、底壁82と、底壁82の第3側縁から突出する側壁83と、底壁82の第4側縁から突出する側壁84とを有している。底壁82および側壁83,84の各々は、例えば、Z軸方向から見た平面視において、所定の曲げ角度θで屈曲するように延びている。底壁82および側壁83,84の各々は、Z軸方向から見た平面視において、円弧状に湾曲するように形成されている。
図5に示すように、底壁82の横断面形状は、例えば、円弧状に形成されている。
【0081】
各側壁83,84は、底壁82と連続して一体に形成されている。各側壁83,84は、例えば、底壁82の幅方向(ここでは、Y軸方向)の両端縁のそれぞれからZ軸方向に向かって突出している。2つの側壁83,84は、例えば、底壁82の幅方向において互いに対向している。
【0082】
図3に示すように、側壁83は、例えば、底壁82の幅方向の両端縁のうち屈曲部80Rの曲げ内側に設けられている。側壁84は、例えば、底壁82の幅方向の両端縁のうち屈曲部80Rの曲げ外側に設けられている。側壁83,84の内周面および外周面は、Z軸方向から見た平面視において、円弧状に湾曲するように形成されている。保持部81の軸方向に沿う側壁83の長さ寸法は、保持部81の軸方向に沿う側壁84の長さ寸法よりも小さい。
【0083】
図5に示すように、屈曲部品80は、屈曲部品80の軸方向と直交する方向に開口する挿入口85を有している。挿入口85は、側壁83の上端と側壁84の上端との間の間隙によって構成されている。挿入口85は、例えば、屈曲部品80の軸方向に沿って屈曲部品80の軸方向の全長にわたって延びている。すなわち、挿入口85は、屈曲部品80の軸方向の両端に開口している。
【0084】
屈曲部品80は、屈曲部品80の軸方向の端部86と、端部86の反対側に設けられた端部87とを有している。端部86は、直線部品30Aと対向する端部である。
屈曲部品80は、例えば、保持部81の外周面に設けられた1以上(本実施形態では、2つ)の補強リブ88を有している。補強リブ88は、例えば、保持部81の外周面の周方向全周にわたって形成されている。各補強リブ88は、保持部81の外周面から保持部81の径方向外側に突出している。補強リブ88を設けたことにより、屈曲部品80の曲げ剛性を向上させることができる。
【0085】
図13に示すように、連結部90Aは、端部86における側壁84に設けられている。連結部90Bは、端部87における側壁83に設けられている。連結部95Aは、端部86における側壁83に設けられている。連結部95Bは、端部87における側壁84に設けられている。端部87に設けられた連結部90B,95Bは、端部86に設けられた連結部90A,95Aの構造を180°回転させた構造に形成されている。
【0086】
ここで、各連結部90A,90Bは、直線部品30Aの連結部40Aと同一の構造、つまり収容部41およびラッチ部50を有している。各連結部95A,95Bは、直線部品30Aの連結部60Aと同一の構造、つまり嵌合凹部61を有している。
【0087】
図5に示すように、係合部100Aは、端部86における側壁84に設けられている。係合部100Bは、端部87における側壁83に設けられている。係合部105Aは、端部86における側壁83に設けられている。係合部105Bは、端部87における側壁84に設けられている。端部87に設けられた係合部100B,105Bは、端部86に設けられた係合部100A,105Aを180°回転させた構造に形成されている。
【0088】
ここで、各係合部100A,100Bは、直線部品30Aの係合部70Aと同一の構造、つまり溝部72を有する把持部71を有している。各係合部105A,105Bは、直線部品30Aの係合部75Aと同一の構造、つまり係合壁76を有している。
【0089】
図4、
図9および
図13示すように、直線部品30Aは、屈曲部品80の軸方向の端部86と連結されている。詳述すると、
図9に示すように、直線部品30Aの連結部40Aと屈曲部品80の連結部95Aとが連結されている。具体的には、連結部40Aのラッチ部50における2つの突出部55が連結部95Aにおける2つの嵌合凹部61にそれぞれ嵌合されている。そして、連結部40Aの各突出部55の係合面55Aと連結部95Aの嵌合凹部61の内面とが経路規制部材20Aの周方向(ここでは、Z軸方向)において互いに係合されている。同様に、
図13に示すように、直線部品30Aの連結部60Aと屈曲部品80の連結部90Aとが連結されている。具体的には、連結部90Aのラッチ部50における突出部55が連結部60Aの嵌合凹部61に嵌合されている。そして、連結部90Aの突出部55と連結部60Aの嵌合凹部61とが経路規制部材20Aの周方向において互いに係合されている。これらにより、経路規制部材20Aの周方向において、直線部品30Aに対して屈曲部品80が相対移動することを好適に抑制できる。
【0090】
さらに、
図3に示すように、直線部品30Aの係合部75Aの係合壁76が屈曲部品80の係合部100Aの把持部71に把持されている。そして、係合部75Aの係合壁76の外周面と係合部100Aの把持部71の内周面とが経路規制部材20Aの軸方向において互いに係合されている。同様に、直線部品30Aの係合部70Aの把持部71の内周面と屈曲部品80の係合部105Aの係合壁76とが経路規制部材20Aの軸方向において互いに係合されている。これらにより、経路規制部材20Aの軸方向において、直線部品30Aに対して屈曲部品80が相対移動することを好適に抑制できる。このとき、
図11に示すように、係合部105Aの係合壁76は、連結部40Aの第1凹部42の開口の一部を塞ぐように設けられるとともに、連結部40Aの第1凹部42の開口の一部を露出するように設けられている。これにより、連結部40Aのラッチ部50が第1凹部42から抜けることを好適に抑制できるとともに、第1凹部42内におけるラッチ部50の姿勢を好適に確認できる。
【0091】
図3に示すように、直線部品30Bは、直線部品30Aと同様に、屈曲部品80の端部87と連結されている。
ここで、直線部品30A,30Bと屈曲部品80とが連結された状態の経路規制部材20Aでは、直線部品30Aの挿入口35と、屈曲部品80の挿入口85と、直線部品30Bの挿入口35とが互いに連通している。
【0092】
図4に示すように、ワイヤハーネス10は、例えば、外装部材13の長さ方向に対する経路規制部材20Aのスライド移動を規制するスライド規制部材120を有している。スライド規制部材120としては、例えば、結束バンド、カシメリングや粘着テープを用いることができる。本実施形態のスライド規制部材120は、結束バンドである。スライド規制部材120は、直線部品30A,30Bの各々に対して設けられている。スライド規制部材120は、例えば、各直線部品30A,30Bの溝部39に収容されるように設けられている。このとき、溝部39は、直線部品30の軸方向において直線部品30に対してスライド規制部材120が相対移動することを規制している。スライド規制部材120は、例えば、直線部品30A,30Bの外周面と、挿入口35から露出する外装部材13の外周面とにわたって巻き付けられている。なお、図示は省略するが、スライド規制部材120は、
図2に示した経路規制部材20B,20C,20D,20Eに対しても設けられている。
【0093】
(経路規制部材20B,20C,20D,20Eの構成)
図2に示すように、経路規制部材20Bは、電線部材11の長さ方向に沿って、直線部品30と屈曲部品80と直線部品30とがこの順番で並ぶように構成されている。経路規制部材20Bにおける各直線部品30および屈曲部品80は、経路規制部材20Aにおける各直線部品30および屈曲部品80とそれぞれ同一構成である。但し、経路規制部材20Bは、経路規制部材20Aの構造を180°回転させるようにして配置されている。換言すると、屈曲部品80は、右曲げ部分である屈曲部15Aと左曲げ部分である屈曲部15Bとで共通して利用することができる。すなわち、右曲げ部分である屈曲部15Aと左曲げ部分である屈曲部15Bとでは、同一構成の屈曲部品80を共用することができる。
【0094】
図14に示すように、経路規制部材20Dは、電線部材11の長さ方向に沿って、直線部品30と屈曲部品80と屈曲部品80と直線部品30とがこの順番で並ぶように構成されている。経路規制部材20Dにおける各直線部品30および各屈曲部品80は、経路規制部材20Aにおける直線部品30および屈曲部品80とそれぞれ同一構成である。2つの屈曲部品80同士の連結は、直線部品30と屈曲部品80との連結と同様に行うことができる。2つの屈曲部品80は、例えば、1つの屈曲部品80(第1屈曲部品)の端部87と1つの屈曲部品80(第2屈曲部品)の端部86とを対向させた状態で連結されている。
図2に示すように、曲げ角度θ4が90°である屈曲部15Dに対して設けられる経路規制部材20Dでは、2つの屈曲部品80を連なって繋げることにより、経路規制部材20Dにおける曲げ角度を調整している。
【0095】
経路規制部材20Cは、電線部材11の長さ方向に沿って、直線部品30と屈曲部品80と屈曲部品80と直線部品30とがこの順番で並ぶように構成されている。経路規制部材20Cは、経路規制部材20Dの構造を180°回転させるようにして配置されている。
【0096】
経路規制部材20Eは、電線部材11の長さ方向に沿って、直線部品30と屈曲部品80と直線部品30とがこの順番で並ぶように構成されている。経路規制部材20Eは、経路規制部材20Aの構造を時計回りに135°回転させるようにして配置されている。
【0097】
(経路規制部材20Aの製造方法)
次に、
図15から
図22にしたがって、経路規制部材20Aの製造方法について説明する。まず、直線部品30Aの連結部40Aの収容部41に対するラッチ部50の組み付け方法について説明する。
【0098】
図15に示す工程では、ラッチ部50のラッチ本体51における係合突起53の先端を連結部40Aの収容部41の端壁44に向けた状態で、収容部41の第1凹部42の内部にラッチ本体51を挿入する。
【0099】
続いて、
図16に示す工程では、ラッチ本体51を収容部41内において図中矢印に沿って回転させる。これにより、
図17に示すように、基部52が第1凹部42に収容されるとともに、係合突起53の突起基部54が第2凹部43に収容される。
【0100】
次いで、
図17に示す工程では、付勢部材58をラッチ本体51に取り付けるとともに、付勢部材58を第1凹部42および第3凹部47に収容する。これにより、
図18に示すように、収容部41とその収容部41に収容されたラッチ部50とを有する連結部40Aを形成することができる。なお、図示は省略するが、他の連結部40B,90A,90Bについても同様に形成することができる。
【0101】
次に、直線部品30Aと屈曲部品80との連結方法について説明する。ここでは、連結部40Aと連結部95Aとの連結、および係合部70Aと係合部105Aとの係合に着目して説明する。
【0102】
次に、
図18に示す工程では、屈曲部品80の端部86に端部36が対向するように直線部品30Aを配置する。このとき、直線部品30Aは、端部36における直線部品30Aの軸方向の端面が端部86における屈曲部品80の軸方向の端面に接触する状態で、屈曲部品80よりも上方に配置される。
【0103】
続いて、
図19に示す工程では、直線部品30Aを、端部36,86における軸方向の端面同士を接触させながら、屈曲部品80に対して相対的に下方に移動させる。このとき、
図20に示すように、端部86における屈曲部品80の軸方向の端面によって連結部40Aのラッチ部50の突出部55が収容部41の第2周壁46に向かって押圧される。すると、ラッチ本体51は、付勢部材58の付勢力に抗して突出部55が収容部41の内部に収容された第2の姿勢に変位される。具体的には、付勢部材58が基部52と第3凹部47の底面との間で圧縮されるとともに、ラッチ本体51全体が収容部41に収容されるように後退される。
【0104】
このとき、
図21に示すように、屈曲部品80の係合部105Aの係合壁76が第1凹部42の開口の一部を塞ぐように設けられている。これにより、ラッチ部50は、Y軸方向において、収容部41の端壁44と係合部105Aの係合壁76とによって挟まれた状態になる。このため、ラッチ部50が第2の姿勢に変位する際に、ラッチ部50が収容部41から抜けることを好適に抑制できる。
【0105】
次いで、
図22に示す工程では、端部36,86における軸方向の端面同士を接触させながら、直線部品30Aを更に下方に移動させる。すると、屈曲部品80の係合部105Aの係合壁76がZ軸方向に沿って直線部品30Aの係合部70Aの把持部71の溝部72(
図5参照)に挿入される。これにより、係合壁76の外周面と把持部71の内周面とが直線部品30Aの軸方向において互いに係合されるとともに、係合壁76の外周面と把持部71の内周面とが保持部31の径方向において互いに係合される。このため、直線部品30Aを下方に移動させる際に、屈曲部品80に対して直線部品30Aが軸方向または径方向に傾くことを好適に抑制できる。また、直線部品30Aは、把持部71が係合壁76を外側から把持した状態であって、連結部40Aのラッチ部50が第2の姿勢のまま下方に移動される。そして、
図9に示すように、ラッチ部50が連結部95Aの嵌合凹部61に向かい合うと、突出部55を第2周壁46に向かって押圧する力が解除されるため、付勢部材58の付勢力によってラッチ本体51が嵌合凹部61に向かって付勢される。これにより、連結部40Aのラッチ部50における突出部55が連結部95Aの嵌合凹部61に凹凸嵌合される。すると、突出部55の係合面55Aと嵌合凹部61の内面とが保持部31の周方向において互いに係合される。以上の工程により、直線部品30Aの連結部40Aと屈曲部品80の連結部95Aとを連結させることができる。さらに、
図22に示すように、直線部品30Aの係合部70Aと屈曲部品80の係合部105Aとを互いに係合させることができる。図示は省略するが、直線部品30Aの連結部60Aと屈曲部品80の連結部90Aとを同様に連結させることができるとともに、直線部品30Aの係合部75Aと屈曲部品80の係合部100Aとを同様に係合させることができる。これにより、直線部品30Aと屈曲部品80とを連結させることができる。
【0106】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
(1)経路規制部材20は、電線部材11を保持する保持部31と、連結部40Aとを有する直線部品30と、電線部材11を保持する保持部81と、連結部40Aに連結される連結部95Aとを有する屈曲部品80とを備える。連結部40Aは、保持部31に設けられた収容部41と、収容部41に収容されたラッチ部50とを有する。ラッチ部50は、収容部41の外部に突出する突出部55を有するラッチ本体51と、ラッチ本体51を連結部95Aに向けて付勢する付勢部材58とを有する。連結部95Aは、突出部55と凹凸嵌合される嵌合凹部61を有する。ラッチ本体51は、付勢部材58の付勢力に抗して突出部55が収容部41の内部に収容された姿勢に変位可能である。
【0107】
この構成によれば、ラッチ本体51が、付勢部材58の付勢力により突出部55が収容部41の外部に突出する第1の姿勢と、付勢部材58の付勢力に抗して突出部55が収容部41の内部に収容された第2の姿勢とに変位可能である。このようなラッチ本体51では、屈曲部品80の底壁82や側壁83,84等の周壁により突出部55が収容部41の内部に向かって押圧されると、その突出部55が収容部41の内部に収容されて第2の姿勢に変位される。この第2の姿勢では、突出部55が収容部41の外部に突出していないため、その突出部55によって直線部品30に対する屈曲部品80の相対移動が阻害されることを好適に抑制できる。また、突出部55が連結部95Aの嵌合凹部61に向かい合うと、突出部55に対する押圧が解除されるため、付勢部材58の付勢力によって突出部55が収容部41の外部に突出される。これにより、突出部55を嵌合凹部61に容易に凹凸嵌合させることができるとともに、連結部40Aと連結部95Aとを容易に連結させることができる。これらにより、直線部品30と屈曲部品80とを連結する際の作業性を向上できる。
【0108】
(2)さらに、連結部40Aと連結部95Aとが連結された状態では、突出部55と嵌合凹部61とが経路規制部材20の周方向において互いに係合される。これにより、経路規制部材20の周方向において直線部品30に対して屈曲部品80が相対移動することを好適に抑制できる。
【0109】
(3)付勢部材58は、ラッチ本体51の基部52の第2面52Bに設けられた柱状突起57の外周に対して取り付けられたコイルばねである。この構成によれば、付勢部材58であるコイルばねによって、ラッチ本体51を連結部95Aの嵌合凹部61に向けて付勢することができる。また、屈曲部品80の底壁82や側壁83,84等の周壁により突出部55が収容部41の内部に向かって押圧された場合には、コイルばねが圧縮されることにより、ラッチ本体51を第2の姿勢に好適に変位させることができる。
【0110】
(4)連結部40Aのラッチ部50における2つの突出部55が連結部95Aにおける2つの嵌合凹部61のそれぞれに凹凸嵌合される。これにより、連結部40Aと連結部95Aとが互いに連結される。さらに、連結部40Aと連結部95Aとが連結された状態では、2つの突出部55の各々の係合面55Aと2つの嵌合凹部61の各々の内面とが経路規制部材20の周方向において互いに係合される。具体的には、2つの突出部55は、
図9における上方向と下方向の両方向において嵌合凹部61の内面と係合される。これにより、経路規制部材20の周方向において直線部品30に対して屈曲部品80が相対移動することをより好適に抑制できる。
【0111】
(5)収容部41の第2周壁46の内面に設けられた第3凹部47に付勢部材58の基端部が収容される。これにより、第2周壁46の内面に付勢部材58の基端部が接触される場合に比べて、収容部41から付勢部材58が抜けることを抑制できる。特に、突出部55が収容部41の内部に向けて押圧されることに伴って付勢部材58が圧縮される際に、その付勢部材58が収容部41から抜けることを好適に抑制できる。また、付勢部材58の基端部が第3凹部47に収容されることにより、収容部41に対する付勢部材58の位置を固定することができる。
【0112】
(6)収容部41は、保持部31の外周面、具体的には側壁33の外周面から保持部31の径方向内側に向かって凹む第1凹部42を有する。第1凹部42は、側壁33を径方向に貫通しないように形成される。このため、第1凹部42における径方向内側の開口を塞ぐように端壁44が設けられる。この端壁44によって、ラッチ部50が第1凹部42から抜けることを抑制できる。
【0113】
(7)直線部品30は、端部36における側壁33に設けられた連結部40Aと、端部36における側壁33に設けられた係合部70Aとを有する。屈曲部品80は、端部86における側壁83に設けられた連結部95Aと、端部86における側壁83に設けられた係合部105Aとを有する。係合部70Aは、経路規制部材20の軸方向において係合部105Aと係合されている。これにより、経路規制部材20の軸方向において直線部品30に対して屈曲部品80が相対移動することを好適に抑制できる。
【0114】
(8)係合部70Aと係合部105Aとが経路規制部材20の軸方向および保持部31の径方向において互いに係合されている。これにより、経路規制部材20に電線部材11を収容した際に、電線部材11の曲げ反力を係合部70A,105Aに分散させることができる。この結果、電線部材11の曲げ反力がラッチ部50に集中することを抑制できるため、ラッチ部50が損傷することを好適に抑制できる。
【0115】
(9)係合部105Aの係合壁76により保持部31の径方向外側からラッチ部50の一部が被覆される。この係合壁76により、ラッチ部50が収容部41から抜けることを抑制できる。
【0116】
(10)係合部70Aの把持部71と係合部105Aの係合壁76とが保持部31の径方向において互いに係合される。これにより、保持部31の径方向において直線部品30に対して屈曲部品80が相対移動することを好適に抑制できる。
【0117】
(11)直線部品30の端部36では、側壁33に連結部40Aが設けられるとともに、側壁34に連結部95Aと同一の構造を有する連結部60Aが設けられる。一方、直線部品30の端部37では、側壁34に連結部40Aと同一の構造を有する連結部40Bが設けられるとともに、側壁33に連結部95Aと同一の構造を有する連結部60Bが設けられる。このように、直線部品30の端部37における連結部40B,60Bは、直線部品30の端部36における連結部40A,60Aの構造を180°回転させた構造に形成されている。このため、屈曲部品80を、直線部品30の端部36に連結させることが可能であるとともに、直線部品30の端部37にも連結させることが可能である。これにより、電線部材11の経路に合わせて直線部品30に対する屈曲部品80の連結方向を適宜変更することができる。
【0118】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0119】
・上記実施形態の連結部40A,40B,90A,90Bの構造は適宜変更することができる。以下の説明では、連結部40Aに着目して説明するが、連結部40B,90A,90Bも同様に変更することができる。
【0120】
・連結部40Aの収容部41における第3凹部47を省略してもよい。
・連結部40Aの収容部41における第1凹部42を、側壁33の厚さ方向に貫通するように形成してもよい。すなわち、第1凹部42を、保持部31の径方向内側に向かって開口するように形成してもよい。
【0121】
・連結部40Aのラッチ部50の構造は適宜変更することができる。例えば、ラッチ部50の突出部55を1つに変更してもよい。例えば、柱状突起57のフランジ部57Aを省略してもよい。例えば、付勢部材58をコイルばね以外の付勢部材に変更してもよい。
【0122】
・上記実施形態の連結部60A,60B,95A,95Bの構造は適宜変更することができる。例えば、連結部60A,60B,95A,95Bを1つの嵌合凹部61により構成してもよい。
【0123】
・上記実施形態の係合部70A,70B,100A,100Bの構造は適宜変更することができる。例えば、把持部71の長さを適宜変更してもよい。
・上記実施形態の係合部75A,75B,105A,105Bの構造は適宜変更することができる。例えば、係合壁76の長さを適宜変更してもよい。
【0124】
・上記実施形態の直線部品30の保持部31の構造は適宜変更することができる。例えば、補強リブ38を省略してもよい。例えば、溝部39を省略してもよい。
・上記実施形態の屈曲部品80の保持部81の構造は適宜変更することができる。例えば、補強リブ88を省略してもよい。
【0125】
・上記実施形態の直線部品30Aの連結部40Bにおけるラッチ部50を省略してもよい。同様に、直線部品30Bの連結部40Aにおけるラッチ部50を省略してもよい。
・上記実施形態における経路規制部材20の構造は適宜変更することができる。例えば、直線部品30と屈曲部品80との組み合わせ、つまり直線部品30および屈曲部品80の個数や連結方向を変更することにより、経路規制部材20を種々の構造に形成することができる。経路規制部材20を構成する直線部品30および屈曲部品80のそれぞれの個数は特に限定されない。例えば、経路規制部材20を、2つ以上の直線部品30のみで構成するようにしてもよい。例えば、経路規制部材20を、2つ以上の屈曲部品80のみで構成するようにしてもよい。
【0126】
例えば
図23および
図24に示すように、2つの屈曲部品80A,80Bを連結させて経路規制部材20を構成するようにしてもよい。ここで、屈曲部品80A,80Bの各々は、
図5等に示した屈曲部品80と同一の構造を有している。屈曲部品80Bは、例えば、屈曲部品80Aの構造を180°回転させた状態で配置されている。
図23に示すように、屈曲部品80Aと屈曲部品80Bとは、屈曲部品80Aの端部87と屈曲部品80Bの端部87とを対向させた状態で互いに連結されている。例えば、屈曲部品80Aの側壁83の端部87に設けられた連結部90Bに、屈曲部品80Bの側壁84の端部87に設けられた連結部95Bが連結される。また、屈曲部品80Aの側壁84の端部87に設けられた連結部95Bに、屈曲部品80Bの側壁83の端部87に設けられた連結部90Bが連結される。
【0127】
図24に示すように、本変更例の経路規制部材20は、Z軸方向から見た平面視において、経路規制部材20の軸方向に沿って右曲げの屈曲部分と左曲げの屈曲部分とが連続する形状に形成される。
【0128】
・上記実施形態では、電線部材11の配索経路のうち屈曲部15A,15B,15C,15D,15Eのみに対して経路規制部材20を設けるようにしたが、これに限定されない。例えば、直線部14A,14B,14C,14D,14E,14Fに対しても経路規制部材20を設けるようにしてもよい。例えば、経路規制部材20Bと経路規制部材20Cとの間に設けられた直線部14Cに対して経路規制部材20を設けるようにしてもよい。例えば、経路規制部材20Cと経路規制部材20Dとの間に設けられた直線部14Dに対して、経路規制部材20C,20Dの両方に連結される直線部品30を設けるようにしてもよい。この場合には、直線部14Dに設けた直線部品30によって、経路規制部材20Cと経路規制部材20Dとが一体に形成される。この場合の経路規制部材20C,20Dの平面形状は、S字状に形成される。
【0129】
・例えば
図25に示すように、経路規制部材20は、直線部品30A,30Bの挿入口35と屈曲部品80の挿入口85とを塞ぐ蓋部200を備えていてもよい。蓋部200は、例えば、直線部品30A,30Bの挿入口35全体を塞ぐとともに、屈曲部品80の挿入口85全体を塞ぐように設けられている。蓋部200は、例えば、直線部品30A,30Bの側壁33,34の上面に設けられるとともに、屈曲部品80の側壁83,84の上面に設けられている。蓋部200は、例えば、図示しない連結部材により直線部品30A,30Bおよび屈曲部品80に連結されている。なお、蓋部200を、車両Vの車体パネルにより構成してもよい。
【0130】
・上記実施形態の屈曲部品80の屈曲部80Rにおける曲げ角度θの大きさは適宜変更することができる。
・上記実施形態の電線部材11は、外装部材13を必ずしも含んでいなくてもよい。すなわち、保持部31,81が電線12を直接保持する構成としてもよい。
【0131】
・上記実施形態の電線部材11は、電線12の外周を包囲する筒状の電磁シールド部材を備えていてもよい。
・車両VにおけるインバータM1と高圧バッテリM2の配置関係は、上記実施形態に限定されるものではなく、車両構成に応じて適宜変更してもよい。
【0132】
・上記実施形態のワイヤハーネス10が電気的に接続する複数の電気機器は、インバータM1および高圧バッテリM2に限定されず、車両Vに搭載される電気機器であれば、特に限定されない。
【0133】
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0134】
10…ワイヤハーネス、11…電線部材、12…電線、13…外装部材、14A,14B,14C,14D,14E,14F…直線部、15A,15B,15C,15D,15E…屈曲部、20,20A,20B,20C,20D,20E…経路規制部材、30,30A,30B…直線部品(第1規制部品)、31…保持部(第1保持部)、32…底壁(第1底壁)、33…側壁(第1側壁)、34…側壁(第2側壁)、35…挿入口、36…端部(第1端部)、37…端部(第2溝部)、38…補強リブ、39…溝部、40A…連結部(第1連結部)、40B…連結部(第4連結部)、41…収容部、42…第1凹部、43…第2凹部、44…端壁、45…第1周壁、46…第2周壁、47…第3凹部、50…ラッチ部、51…ラッチ本体、52…基部、52A…第1面、52B…第2面、53…係合突起、54…突起基部、55…突出部、55A…係合面、55B…先端面、57…柱状突起、57A…フランジ部、58…付勢部材(コイルばね)、60A…連結部(第3連結部)、60B…連結部(第5連結部)、61…嵌合凹部、70A…係合部(第1係合部)、70B…係合部、71…把持部、72…溝部、75A,75B…係合部、76…係合壁、80…屈曲部品(第2規制部品)、80A…屈曲部品(第1屈曲部品)、80B…屈曲部品(第2屈曲部品)、80R…屈曲部、81…保持部(第2保持部)、82…底壁(第2底壁)、83…側壁(第3側壁)、84…側壁(第4側壁)、85…挿入口、86…端部(第3端部)、87…端部(第4端部)、88…補強リブ、89…溝部、90A…連結部(第6連結部)、90B…連結部、95A…連結部(第2連結部)、95B…連結部、100A…係合部、100B…係合部、105A…係合部(第2係合部)、105B…係合部、120…スライド規制部材、200…蓋部、θ…曲げ角度、M1…インバータ、M2…高圧バッテリ、V…車両。