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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164572
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】パレットボックス
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/02 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
B65D19/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080154
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 伸二
(72)【発明者】
【氏名】吉田 貴裕
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA06
3E063BA05
3E063BB04
3E063CA01
3E063CC06
3E063CC09
3E063CD08
3E063DA01
3E063EE03
(57)【要約】
【課題】パレットボックスのスリーブに含まれる複数の側板のうち少なくとも1つを分割可能又は折り畳み可能に設け、かつスリーブの強度低下を抑える。
【解決手段】パレットボックス1は、パレット2と、環状のスリーブ3と、を備える。スリーブ3は、複数の側板4と、複数の側板4を連結させる複数の縦フレーム5と、を含む。複数の側板4のうち少なくとも1つが、上下に分割可能又は折り畳み可能に構成された側板4Aである。複数の縦フレーム5のうち、側板4Aの両端に連結される2つの縦フレーム5Aは、それぞれ上下に分割可能である。側板4Aの分割線L1又は折り曲げ線L2の位置と、2つの縦フレーム5Aの分割線L5の位置と、は上下方向において互いに相違する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットと、
前記パレットの上に配置される環状のスリーブと、を備え、
前記スリーブは、
複数の側板と、
前記複数の側板を環状に連結させる複数の縦フレームと、を含み、
前記複数の側板のうち少なくとも1つが、上下に分割可能又は折り畳み可能に構成された側板であり、
前記複数の縦フレームのうち、前記側板の両端に連結される2つの縦フレームは、それぞれ上下に分割可能であり、
前記側板の分割線又は折り曲げ線の位置と、前記2つの縦フレームの分割線の位置と、は上下方向において互いに相違する、
パレットボックス。
【請求項2】
前記スリーブの高さ寸法は、前記パレットの外寸よりも長い、
請求項1のパレットボックス。
【請求項3】
前記スリーブは、前記パレットの外形内に収まるように折り畳み可能である、
請求項2のパレットボックス。
【請求項4】
前記複数の側板の全てが、上下に分割可能に構成された前記側板であり、
前記複数の縦フレームの全てが、上下に分割可能である、
請求項1から3のいずれか1つのパレットボックス。
【請求項5】
前記複数の側板のうち少なくとも1つが、上下に分割可能に構成された前記側板であり、
前記側板は、上板と、前記上板の下方に位置する下板と、前記上板及び前記下板を連結させる断面H字状の横フレームと、を含む、
請求項1のパレットボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パレットボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
スリーブを備えるパレットボックスにおいて、スリーブに含まれる複数の側板の少なくとも1つを分割可能に設けることや、折り畳み可能に設けることが、従来提案されている(例えば特許文献1,2等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-132158号公報
【特許文献2】特開2007-99369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術では、スリーブに含まれる複数の側板のうち、分割可能に構成された側板の強度が低下するおそれや、折り畳み可能に構成された側板の強度が低下するおそれがある。
【0005】
本開示が解決しようとする課題は、パレットボックスのスリーブに含まれる複数の側板のうち少なくとも1つを分割可能又は折り畳み可能に設け、かつスリーブの強度低下を抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一様態に係るパレットボックスは、パレットと、前記パレットの上に配置される環状のスリーブと、を備える。前記スリーブは、複数の側板と、前記複数の側板を環状に連結させる複数の縦フレームと、を含む。前記複数の側板のうち少なくとも1つが、上下に分割可能又は折り畳み可能に構成された側板である。前記複数の縦フレームのうち、前記側板の両端に連結される2つの縦フレームは、それぞれ上下に分割可能である。前記側板の分割線又は折り曲げ線の位置と、前記2つの縦フレームの分割線の位置と、は上下方向において互いに相違する。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、パレットボックスのスリーブに含まれる複数の側板のうち少なくとも1つを分割可能又は折り畳み可能に設け、かつスリーブの強度低下を抑えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態のパレットボックスを示す斜視図である。
図2図2は、同上のパレットボックスが備えるスリーブを示す分解斜視図である。
図3図3は、同上のスリーブに含まれる一対の第1側板からそれぞれ上板を外した状態を示す斜視図である。
図4図4は、図3に示される一対の第1側板を組み合わせた状態を示す斜視図である。
図5図5は、同上のスリーブに含まれる一対の第2側板と、一対の第1側板から外された一対の上板と、を示す斜視図である。
図6図6は、図5に示される一対の第2側板及び一対の上板を組み合わせた状態を示す斜視図である。
図7図7は、同上のスリーブを折り畳んでパレットに載せた状態を示す平面図である。
図8図8Aは、変形例の第1側板の要部正面図であり、図8Bは、図8AのA-A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.実施形態
(全体の概要)
図1は、一実施形態のパレットボックス1を示している。図1に示されるパレットボックス1は、組み立て状態である。以下の説明において用いる上下方向等の各方向は、パレットボックス1が組み立て状態にあるときを基準とする。
【0010】
パレットボックス1は、パレット2と、パレット2の上に着脱可能に配置された環状のスリーブ3と、を備える。
【0011】
パレット2は、例えば合成樹脂を用いて形成されている。パレット2は、平面視において矩形状の外形を有する。つまり、パレット2は、矩形状の上面20を有する。
【0012】
パレット2の側周面23には、複数のフォーク挿入口25が、水平方向に距離をあけて設けられている。各フォーク挿入口25は、フォークリフトが備えるフォークの爪を挿し込むために利用可能である。
【0013】
スリーブ3は、パレット2の上面20に載置されている。パレット2の上面20に、スリーブ3の下端縁部を嵌めて位置決めするための溝を設けることも好ましい。スリーブ3は、複数の側板4と、複数の側板4を環状に連結させる複数の縦フレーム5と、を含む。環状であるスリーブ3の周方向においては、複数の側板4と、複数の縦フレーム5と、が交互に位置する。
【0014】
スリーブ3が環状に組み立てられた状態で、各側板4の左右両端には、複数の縦フレーム5のうち対応する縦フレーム5が、それぞれ連結されている。各縦フレーム5の左右両端には、複数の側板4のうち対応する側板4が、それぞれ連結されている。
【0015】
図1に示されるように、パレットボックス1が組み立て状態にあるとき、各縦フレーム5は、平面視においてL字状の外形を有し、かつ側面視において上下方向に伸びる直線状の外形を有する。各縦フレーム5は、自身に隣接する1つの側板4の側端縁部を嵌め込むことが可能な断面コ字状の連結部と、自身に隣接するもう1つの側板4の側端縁部を嵌め込むことが可能な断面コ字状の連結部と、両連結部をつなぐ中間部と、を含む。
【0016】
スリーブ3は、例えば合成樹脂を用いて形成されている。複数の側板4は、それぞれ合成樹脂製であり、かつ複数の縦フレーム5は、それぞれ合成樹脂製である。
【0017】
一実施形態における複数の側板4は、4つの側板4である。複数の縦フレーム5は、4つの縦フレーム5である。組み立てられた状態において、スリーブ3は、平面視矩形環状である。4つの側板4は、4つの縦フレーム5を介して、平面視において矩形環状をなすように連結される。
【0018】
一実施形態のパレットボックス1が組み立て状態にあるとき、スリーブ3の高さ寸法H3は、パレット2の外寸E2よりも長い。ここでのスリーブ3の高さ寸法H3は、言い換えればスリーブ3の上下方向の寸法である。スリーブ3の高さ寸法H3は、4つの側板4のそれぞれの高さ寸法と一致する。また、スリーブ3の高さ寸法H3は、4つの縦フレーム5のそれぞれの高さ寸法と一致する。
【0019】
パレット2の外寸E2は、平面視正方形状であるパレット2の各辺の長さと一致する。つまり、パレット2の各辺の長さは、4つの側板4のそれぞれの高さ寸法よりも短く設けられている。また、パレット2の各辺の長さは、4つの縦フレーム5のそれぞれの高さ寸法よりも短く設けられている。
【0020】
以下においては、側板4及び縦フレーム5の更に詳細な構成について、添付図面に基づいて説明する。
【0021】
(側板)
一実施形態のパレットボックス1においては、4つの側板4のそれぞれが、上下に分割可能又は折り畳み可能に構成された、変形可能な側板4Aである。側板4Aは、上下方向を長手方向とした矩形状の外形を有する。
【0022】
各側板4を構成する側板4Aは、上下に分割可能な第1側板41Aである場合と、折り畳み可能な第2側板42Aである場合と、がある。一実施形態のパレットボックス1における4つの側板4は、それぞれ上下に分割可能に構成された2つの第1側板41Aと、それぞれ折り畳み可能に構成された2つの第2側板42Aと、からなる。
【0023】
組み立て状態のスリーブ3において、2つの第1側板41Aと、2つの第2側板42Aと、はスリーブ3の周方向において交互に位置する。
【0024】
(第1側板)
図1に示されるように、対をなす2つの第1側板41Aは、パレットボックス1の組み立て状態において、互いに平行な姿勢で、互いに対向して位置する。対をなす2つの第1側板41Aのうち1つの第1側板41Aは、平面視におけるパレット2の1辺に沿って配置され、もう1つの第1側板41Aは、パレット2の該1辺と平行な別の1辺に沿って配置されている。
【0025】
上下に分割可能な第1側板41Aは、分割線L1を有する。分割線L1は、第1側板41Aが上下に分割される境界線である。組み立て状態のスリーブ3において(つまり第1側板41Aがパレット2の上に起立した状態において)、分割線L1は、左右に直線状に伸びている。分割線L1は、第1側板41Aの上下方向の中間点よりも、上に位置する。
【0026】
第1側板41Aは、第1側板41Aのうち分割線L1よりも上の部分を構成する上板411と、第1側板41Aのうち分割線L1よりも下の部分を構成する下板412と、を含む。上板411及び下板412は、互いに別体に設けられている。第1側板41Aは、分割線L1を介して、上板411と下板412とに分割することが可能である。
【0027】
上板411及び下板412は、ともに上下方向を短手方向とした矩形平板状の板材である。上板411の上下方向の寸法は、下板412の上下方向の寸法よりも短い。上板411の上下方向の寸法は、下板412の上下方向の寸法の例えば1/2倍である。上板411及び下板412の上下方向の寸法は、ともにパレット2の外寸E2よりも短く設定されている。
【0028】
(第2側板)
図1に示されるように、対をなす2つの第2側板42Aは、パレットボックス1の組み立て状態において、互いに平行な姿勢で、互いに対向して位置する。2つの第2側板42Aのうち1つの第2側板42Aは、平面視におけるパレット2の1辺に沿って配置され、もう1つの第1側板41Aは、パレット2の該1辺と平行な別の1辺に沿って配置されている。
【0029】
折り曲げ可能な第2側板42Aは、折り曲げ線L2を有する。折り曲げ線L2は、第2側板42Aの折り曲げ中心となる直線である。組み立て状態のスリーブ3において(つまり第2側板42Aがパレット2の上に起立した状態において)、折り曲げ線L2は、左右に直線状に伸びている。折り曲げ線L2は、第2側板42Aの上下方向の中間点よりも、下に位置する。
【0030】
第2側板42Aは、第2側板42Aのうち折り曲げ線L2よりも上の部分を構成する上板部421と、第2側板42Aのうち折り曲げ線L2よりも下の部分を構成する下板部422と、を含む。上板部421及び下板部422は、折り曲げ線L2を中心として相対回転可能につながっている。
【0031】
第2側板42Aを構成する上板部421及び下板部422は、ともに上下方向を短手方向とした矩形平板状の部分である。上板部421の上下方向の寸法は、下板部422の上下方向の寸法よりも長い。上板部421の上下方向の寸法は、下板部422の上下方向の寸法の例えば2倍である。上板部421及び下板部422の上下方向の寸法は、ともにパレット2の外寸E2よりも短く設定されている。
【0032】
折り曲げ線L2は、一実施形態の第2側板42Aでは、合成樹脂製の板材に熱罫線加工を施すことで形成されている。第2側板42Aの外側面には、熱罫線加工によって、V字状に凹んだ溝425が成形されている。溝425は、側面視において左右方向に伸びる直線状の溝である。上板部421は、第2側板42Aのうち溝425の谷線よりも上の部分であり、下板部422は、第2側板42Aのうち溝425の谷線よりも下の部分である。
【0033】
(縦フレーム)
一実施形態のパレットボックス1においては、4つの縦フレーム5のそれぞれが、上下に分割可能に構成された縦フレーム5Aである。
【0034】
スリーブ3が矩形環状に組み立てられた状態で、各第1側板41Aの左右両端には、4つの縦フレーム5Aのうち対応する縦フレーム5Aが、それぞれ連結されている。同様に、各第2側板42Aの左右両端には、4つの縦フレーム5Aのうち対応する縦フレーム5Aが、それぞれ連結されている。
【0035】
各縦フレーム5Aの左右両端には、対をなす2つの第2側板42Aのうち対応する第1側板41Aと、複数の第2側板42Aのうち対応する第2側板42Aと、が連結されている。各縦フレーム5Aは、自身の左右両側に位置する第1側板41A及び第2側板42Aを、L字状に交差するように連結させる。
【0036】
上下に分割可能な縦フレーム5Aは、分割線L5を有する。分割線L5は、縦フレーム5が上下に分割される境界線である。組み立て状態のスリーブ3において(つまり縦フレーム5Aがパレット2の上に起立した状態において)、分割線L5は、左右に伸びるように形成される。
【0037】
分割線L5は、縦フレーム5の上下方向の中間点よりも、上に位置する。各縦フレーム5Aの分割線L5は、第1側板41Aの分割線L1よりも上に位置する。また、各縦フレーム5Aの分割線L5は、第2側板42Aの折り曲げ線L2よりも上に位置する。
【0038】
縦フレーム5Aは、縦フレーム5Aのうち分割線L5よりも上の部分を構成する上フレーム51と、縦フレーム5Aのうち分割線L5よりも下の部分を構成する下フレーム52と、を含む。上フレーム51及び下フレーム52は、互いに別体に設けられている。縦フレーム5Aは、分割線L5を介して、上フレーム51と下フレーム52とに分割することが可能である。
【0039】
上フレーム51及び下フレーム52は、ともに平面視においてL字状の外形を有し、かつ側面視において上下方向に伸びる直線状の外形を有する。上フレーム51及び下フレーム52は、互いに同一の水平断面を有する。上フレーム51の上下方向の長さは、下フレーム52の上下方向の長さよりも短い。上フレーム51の上下方向の長さは、下フレーム52の上下方向の長さの例えば1/4倍である。
【0040】
(上フレーム)
上フレーム51は、水平断面がコ字状の第1連結部511と、同じく水平断面がコ字状の第2連結部512と、第1及び第2連結部511,512をつなぐ中間部513と、を含む平面視L字状の部材である(図2を参照)。
【0041】
第1連結部511は、上フレーム51に隣接する1つの側板4の側端縁部の上部を、嵌め込むことが可能に構成されている。第2連結部512は、上フレーム51に隣接するもう1つの側板4の側端縁部の上部を、嵌め込むことが可能に構成されている。
【0042】
上フレーム51の第1連結部511に嵌め込まれる側板4は、第1側板41Aである。第1側板41Aに含まれる上板411の上部が、第1連結部511に対して着脱可能に嵌め込まれる。上フレーム51の第2連結部512に嵌め込まれる側板4は、第2側板42Aである。第2側板42Aに含まれる上板部421の上部が、第2連結部512に嵌め込まれ、かつ第2連結部512に対して固定される。上板部421は、例えばビスを用いて、上フレーム51の第2連結部512に固定することが可能である。
【0043】
(下フレーム)
下フレーム52は、上フレーム51と同様に、水平断面がコ字状の第1連結部521と、水平断面がコ字状の第2連結部522と、第1及び第2連結部521,522をつなぐ中間部523と、を含む平面視L字状の部材である(図2を参照)。
【0044】
第1連結部521は、下フレーム52に隣接する1つの側板4の側端縁部の下部を、嵌め込むことが可能に構成されている。第2連結部522は、下フレーム52に隣接するもう1つの側板4の側端縁部の下部を、嵌め込むことが可能に構成されている。
【0045】
下フレーム52の第1連結部521に嵌め込まれる側板4は、第1側板41Aである。第1側板41Aに含まれる下板412が、第1連結部521に対して固定される。下板412は、例えばビスを用いて、下フレーム52の第1連結部521に固定することが可能である。加えて、第1側板41Aに含まれる上板411の下部が、第1連結部521に対して着脱可能に嵌め込まれる。
【0046】
下フレーム52の第2連結部522に嵌め込まれる側板4は、第2側板42Aである。第2側板42Aに含まれる下板部422が、第2連結部522に対して着脱可能に嵌め込まれる。加えて、第2側板42Aに含まれる上板部421の下部が、第2連結部522に対して着脱可能に嵌め込まれる。
【0047】
(折り畳み状態)
上記したように、組み立て状態におけるスリーブ3の高さ寸法H3は、パレット2の外寸E2よりも長い。これに対して、一実施形態のパレットボックス1では、各側板4が第1側板41A又は第2側板42Aであることから、スリーブ3をパレット2の外形内に収まるように折り畳むことが可能である。
【0048】
スリーブ3は、例えば図7に示すように折り畳むことが可能である。
【0049】
図7に示される折り畳み状態のスリーブ3は、分解したパーツを組み合わせることで、第1ブロックB1及び第2ブロックB2を形成している。
【0050】
第1ブロックB1は、対をなす2つの第1側板41Aからそれぞれ上板411を取り外し、2つの第1側板41Aの下板412同士を上下に組み合わせたものである(図3及び図4を参照)。
【0051】
第1ブロックB1において、各下板412の両側の側端縁部には、縦フレーム5Aの下フレーム52がそれぞれ固定されている。下フレーム52の長手方向の一端部は、下板412の端から突出している。第1ブロックB1では、1つの下板412に固定された2つの下フレーム52の第2連結部522と、もう1つの下板412に固定された2つの下フレーム52の第2連結部522と、が一対一で嵌め合わさっている。第1ブロックB1において、対をなす2つの下板412は、隙間S1をあけて互いに平行に位置する。つまり、第1ブロックB1の全体は、隙間S1が一方向に貫通形成された矩形筒状の外形を有する。
【0052】
第2ブロックB2は、対をなす2つの第2側板42Aを、それぞれ折り曲げ線L2を中心に二つ折りした状態で上下に組み合わせ、二つ折り状態の2つの第2側板42Aの間に、2つの第1側板41Aから外した2つの上板411を収容したものである(図5及び図6を参照)。これによって、全体として平板状の外形を有する第2ブロックB2が形成される。
【0053】
第2ブロックB2において、各第2側板42Aの上板部421の両側の側端縁部には、縦フレーム5Aの上フレーム51がそれぞれ固定されている。対をなす2つの第2側板42Aのうち、一方の第2側板42Aに固定された両側の上フレーム51の第1連結部511は、他方の第2側板42Aが位置する側に向けて突出した姿勢になっている。
【0054】
上記のように組み合わさった第2ブロックB2は、第1ブロックB1の隙間S1内に挿し込むことが可能である。第1ブロックB1の隙間S1に第2ブロックB2を挿し込んだ状態で、第1及び第2ブロックB1,B2を、図7に示されるように、パレット2の上に載せることが可能である。
【0055】
このとき、第1ブロックB1の縦フレーム5の一部(具体的には下フレーム52)と第2ブロックB2の縦フレーム5の一部(具体的には上フレーム51)とが干渉することを避けるために、第1及び第2ブロックB1,B2の互いの向きを直交させることが好ましい。つまり、第1ブロックB1において上フレーム51が伸びる向きと、第2ブロックB2において下フレーム52が伸びる向きと、が互いに直交するように、第1及び第2ブロックB1,B2を組み合わせることが好ましい。これにより、折り畳み時の容積を小さくすることができる。
【0056】
図7に示されるように第1及び第2ブロックB1,B2を組み合わせたとき、第1ブロックB1に含まれる第1側板41Aの一部の表面(具体的には下板412の表面)と、第2ブロックB2に含まれる第2側板42Aの一部の表面(具体的には上板部421の表面)と、は互いに接触することが好ましい。
【0057】
矩形状の外形を有する第1ブロックB1の長手方向の寸法及び短手方向の寸法は、ともにパレット2の外寸E2よりも短い。加えて、矩形状の外形を有する第2ブロックB2の長手方向の寸法及び短手方向の寸法は、ともにパレット2の外寸E2よりも短い。したがって、一実施形態のパレットボックス1によれば、第1及び第2ブロックB1,B2を、パレット2の外形内に収めることが可能であり、つまりは、コンパクトに折り畳まれたスリーブ3を、パレット2の外形内に収めることが可能である。
【0058】
(作用効果)
上記の構成を備える一実施形態のパレットボックス1によれば、スリーブ3に含まれる複数の側板4のそれぞれが分割可能又は折り畳み可能であるから、非使用時にはスリーブ3をコンパクトに収容することが可能である。また、複数の側板4のうち2つの側板4が、上下に分割可能な第1側板41Aで構成されているので、各第1側板41Aの上板411に、扉としての機能を与えることが可能である。つまり、各第1側板41Aから、必要に応じて上板411を外して開口を形成し、この開口を通じて物品を出し入れすることが可能である。
【0059】
しかも、一実施形態のパレットボックス1においては、第1側板41Aの分割線L1の位置と、その両側に位置する2つの縦フレーム5Aの分割線L5の位置と、が上下方向において互いに相違している。詳細には、第1側板41Aの分割線L1が、その両側に位置する2つの縦フレーム5Aの分割線L5よりも、下に位置している。
【0060】
そのため、一実施形態のパレットボックス1では、第1側板41Aを含む部分においてスリーブ3の強度が低下することが、効果的に抑えられている。一実施形態のパレットボックス1によれば、スリーブ3の圧縮強度の低下が抑えられ、また、スリーブ3が胴膨れすることが抑えられる。
【0061】
また、一実施形態のパレットボックス1では、第2側板42Aの折り曲げ線L2の位置と、その両側に位置する2つの縦フレーム5Aの分割線L5の位置と、が上下方向において互いに相違している。詳細には、第2側板42Aの折り曲げ線L2が、その両側に位置する2つの縦フレーム5Aの分割線L5の位置よりも、下に位置している。
【0062】
そのため、一実施形態のパレットボックス1では、第2側板42Aを含む部分においてスリーブ3の強度が低下することが、効果的に抑えられている。
【0063】
2.変形例
上記の実施形態は、本開示のパレットボックス1の一例に過ぎず、同様の作用効果を奏する範囲内において、適宜に構成を変更することが可能である。
【0064】
以下において列挙する変形例において、上記の実施形態と同様の構成については同一符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0065】
図8A及び第8Bに示される変形例では、上下に分割可能な側板4Aを構成する第1側板41Aが、上板411及び下板412に加えて、横フレーム415を含んでいる。横フレーム415は、上板411及び下板412を連結させるフレームである。
【0066】
横フレーム415は、H字状の垂直断面を有し、かつ側面視において左右に伸びる直線状の外形を有する。横フレーム415の上側半部は、上板411の下端部を嵌め込むことができるように、上方に開放されたコ字状の垂直断面を有している。横フレーム415の下側半部は、下板412の上端部を嵌め込むことができるように、下方に開放されたコ字状の垂直断面を有している。
【0067】
上記の変形例によれば、上板411及び下板412の間に横フレーム415が介在することで、第1側板41Aを含む部分においてスリーブ3の強度が低下することが、更に効果的に抑えられる。
【0068】
本開示のパレットボックス1の他の構成においても、適宜に変更することが可能である。例えば、上記の実施形態では、複数の側板4の全てが、上下に分割可能又は折り畳み可能に構成された側板4Aであるが、これに限定されず、複数の側板4のうち少なくとも1つが、上下に分割可能又は折り畳み可能に構成された側板4Aであればよい。
【0069】
そのため、複数の側板4の全て又は一部が、上下に分割可能に構成された第1側板41Aであり、複数の側板4が第2側板42Aを含まないことも有り得る。複数の側板4の全て又は一部が、折り畳み可能に構成された第2側板42Aであり、複数の側板4が第1側板41Aを含まないことも有り得る。
【0070】
分割可能な第1側板41Aが、3以上に分割可能に構成されてもよい。この場合、第1側板41Aは、2箇所以上に分割線L1を有する。また、折り畳み可能な第2側板42Aが、3つ折り以上で折り畳み可能に構成されてもよい。この場合、第2側板42Aは、2箇所以上に折り曲げ線L2を有する。
【0071】
また、複数の側板4のうち1つの側板4が、上下に分割可能に構成された第1側板41Aであり、他の側板4は分割可能でなく、かつ折り畳み可能でないことも有り得る。この場合にも、第1側板41Aの上板411に扉としての機能を与えることができる。
【0072】
上記の実施形態では、環状のスリーブ3は、パレット2に着脱可能に載置されているが、環状のスリーブ3に含まれる複数の側板4の全部又は一部が、パレット2及びスリーブ3とは別体である図示略の底部パーツを介して、パレット2に対して回転可能にヒンジ連結されてもよい。
【0073】
上記の実施形態では、スリーブ3の高さ寸法H3が、パレット2の外寸E2よりも長く設けられているが、この寸法関係に限定されない。スリーブ3の高さ寸法H3が、パレット2の外寸E2と一致してもよいし、パレット2の外寸E2より短く設けられてもよい。
【0074】
上記の実施形態では、折り畳み状態のスリーブ3が、パレット2の外形内に収まるように構成されているが、これに限定されず、折り畳み状態のスリーブ3が、パレット2の外形からはみ出すように構成されてもよい。
【0075】
上記の実施形態では、折り畳み可能な第2側板42Aを、一枚の合成樹脂製の板材に熱罫線加工を施すことで形成しているが、第2側板42Aの構成はこれに限定されない。例えば、上板部421を構成する板材と、下板部422を構成する別の板材と、をこれらとは別部材である蝶番等のヒンジ部を用いて回転可能に連結させることによって、第2側板42Aを形成してもよい。
【0076】
上記の実施形態において、組み立て状態のスリーブ3の上に載せられる蓋を、更に備えることも可能である。この蓋の外寸は、パレット2の外寸E2と一致することが好ましい。この場合、図7に示されるようにパレット2の上に載せられた折り畳み状態のスリーブ3の上に、更に蓋を載せることで、スリーブ3、パレット2、及び蓋をコンパクトに収容することができる。
【0077】
スリーブ3に含まれる複数の側板4の全部又は一部を、内外の二重壁構造とすることも可能である。第1側板41Aが二重壁構造である場合、第1側板41は上下に分割可能な内側の側板と、上下に分割可能な外側の側板と、を含む。つまり第1側板41は、内側の側板が上下に分割される分割線L1と、外側の側板が上下に分割される別の分割線L1と、を有する。内側の分割線L1の位置と、外側の分割線L1の位置と、は上下方向において互いに相違することが好ましい。この場合においても、内側の分割線L1の位置と、両側の2つの縦フレーム5Aの分割線L5の位置と、は上下方向において互いに相違することが好ましい。また、外側の分割線L1の位置と、両側の2つの縦フレーム5Aの分割線L5の位置と、は上下方向において互いに相違することが好ましい。
【0078】
同様に、第2側板42Aが二重壁構造である場合、第2側板42は折り曲げ可能な内側の側板と、折り曲げ可能な外側の側板と、を含む。つまり第2側板42は、内側の側板の折り曲げ中心となる折り曲げ線L2と、外側の側板の折り曲げ中心となる別の折り曲げ線L2と、を有する。内側の折り曲げ線L2の位置と、外側の折り曲げ線L2の位置と、は上下方向において互いに相違することが好ましい。この場合においても、内側の折り曲げ線L2の位置と、両側の2つの縦フレーム5Aの分割線L5の位置と、は上下方向において互いに相違することが好ましい。また、外側の折り曲げ線L2の位置と、両側の2つの縦フレーム5Aの分割線L5の位置と、は上下方向において互いに相違することが好ましい。
【0079】
3.まとめ
上記の実施形態および各種の変形例に基づいて説明したように、本開示の第1態様に係るパレットボックス1は、パレット2と、パレット2の上に配置される環状のスリーブ3と、を備える。スリーブ3は、複数の側板4と、複数の側板4を環状に連結させる複数の縦フレーム5と、を含む。複数の側板4のうち少なくとも1つが、上下に分割可能又は折り畳み可能に構成された側板4Aである。複数の縦フレーム5のうち、側板4Aの両端に連結される2つの縦フレーム5Aは、それぞれ上下に分割可能である。側板4Aの分割線L1又は折り曲げ線L2の位置と、2つの縦フレーム5Aの分割線L5の位置と、は上下方向において互いに相違する。
【0080】
この態様によれば、側板4Aの分割線L1又は折り曲げ線L2の位置と、2つの縦フレーム5Aの分割線L5の位置と、が上下方向において互いに相違していることで、側板4Aを含む部分においてスリーブ3の強度が低下することが、効果的に抑えられる。
【0081】
本開示の第2態様に係るパレットボックス1では、第1態様において、スリーブ3の高さ寸法H3は、パレット2の外寸E2よりも長い。
【0082】
この態様によれば、パレット2の外寸E2よりも長い高さ寸法H3を有したスリーブ3を、非使用時には側板4Aを分割又は折り畳むことによって、コンパクトに収容することが可能となる。
【0083】
本開示の第3態様に係るパレットボックス1では、第2態様において、スリーブ3は、パレット2の外形内に収まるように折り畳み可能である。
【0084】
この態様によれば、側板4Aを分割又は折り畳むことで、スリーブ3の全体を、パレット2の外形内に収まるように折り畳むことが可能であり、非使用時には、折り畳んだスリーブ3をパレット2に載せてコンパクトにまとめることができる。
【0085】
本開示の第4態様に係るパレットボックス1では、第1から第3のいずれか1つの態様において、複数の側板4の全てが、上下に分割可能に構成された側板4Aである。複数の縦フレーム5の全てが、上下に分割可能である。
【0086】
この態様によれば、非使用時には、スリーブ3に含まれる複数の側板4の全てを分割し、かつ複数の縦フレーム5の全てを分割することで、スリーブ3をコンパクトに収容することが可能である。
【0087】
本開示の第5態様に係るパレットボックス1では、第1態様において、複数の側板4のうち少なくとも1つが、上下に分割可能に構成された側板4Aである。側板4Aは、上板411と、上板411の下方に位置する下板412と、上板411及び下板412を連結させる断面H字状の横フレーム415と、を含む。
【0088】
この態様によれば、分割可能に構成された側板4Aの強度が確保されるので、側板4Aを含む部分においてスリーブ3の強度が低下することが、効果的に抑えられる。
【符号の説明】
【0089】
1 パレットボックス
2 パレット
3 スリーブ
4 側板
4A 側板
411 上板
412 下板
415 横フレーム
5 縦フレーム
5A 縦フレーム
E2 外寸
H3 高さ寸法
L1 分割線
L2 折り曲げ線
L5 分割線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8