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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164573
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】測定装置セット及び収納ケース
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
A61B5/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080157
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】高橋 智紀
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 純
(72)【発明者】
【氏名】田中 功二
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XB01
4C117XD08
4C117XE07
4C117XE20
4C117XE23
4C117XE27
(57)【要約】
【課題】センサ部に帯電した静電気を除電できないおそれがある。
【解決手段】測定装置セットSは、測定装置10と、当該測定装置10を収容可能な収納ケース50と、を備える。測定装置10は、棒状の筐体20と、生体情報を検出可能なセンサ部30と、を有する。センサ部30は、筐体20に内蔵され、且つ筐体20の外面で露出している。収納ケース50は、センサ部30を収容可能な容器部52と、容器部52の内面53から突出しており、容器部52に収容された測定装置10の筐体20を特定姿勢に位置決めするガイド部と、導電性を有する導電部と、を有する。筐体20が特定姿勢になっている状態において、導電部は、センサ部30に接触している。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定装置と、当該測定装置を収容可能な収納ケースと、を備え、
前記測定装置は、
棒状の筐体と、生体情報を検出可能なセンサ部と、を有し、
前記センサ部は、前記筐体に内蔵され、且つ前記筐体の外面で露出しており、
前記収納ケースは、
前記センサ部を収容可能な容器部と、前記容器部の内面に位置し、前記容器部に収容された前記測定装置の前記筐体を特定姿勢に位置決めするガイド部と、導電性を有する導電部と、を有し、
前記筐体が前記特定姿勢になっている状態において、前記導電部は、前記センサ部に接触している
測定装置セット。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記容器部の内面から突出している
請求項1に記載の測定装置セット。
【請求項3】
前記センサ部は、静電容量を測定可能なセンサを含む
請求項1に記載の測定装置セット。
【請求項4】
前記筐体は、本体部と、当該本体部から延びる挿入部と、を有し、
前記センサ部は、前記挿入部の外面において露出しており、
前記筐体が前記特定姿勢になっている状態において
前記ガイド部は、前記挿入部に接触している
請求項1に記載の測定装置セット。
【請求項5】
前記筐体は、本体部と、当該本体部から延びる挿入部と、を有し、
前記導電部を第1導電部としたとき、導電性を有する第2導電部をさらに備え、
前記筐体が前記特定姿勢になっている状態において、前記第2導電部は、前記筐体のうち前記挿入部に接触する
請求項1に記載の測定装置セット。
【請求項6】
前記ガイド部は、導電性を有する
請求項1に記載の測定装置セット。
【請求項7】
前記導電部の弾性率は、前記センサ部の弾性率よりも小さい
請求項1に記載の測定装置セット。
【請求項8】
前記導電部及び前記センサ部が接触したか否かを検知する接触センサと、
前記接触センサが前記導電部と前記センサ部との接触を検知した場合に通知する通知部と、
を備える
請求項1~請求項7の何れか1項に記載の測定装置セット。
【請求項9】
棒状の筐体と、生体情報を検出可能なセンサ部と、を有し、
前記センサ部は、前記筐体に収容され、且つ前記筐体の外面で露出しており、
測定装置を収容可能な収納ケースであって、
前記センサ部を収容可能な容器部と、前記容器部の内面に位置し、前記容器部に収容された前記測定装置の前記筐体を特定姿勢に位置決めするガイド部と、前記特定姿勢に位置決めされている前記筐体の前記センサ部に接触可能であり、且つ導電性を有する導電部と、を有している
収納ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置セット及び収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のケースは、内部に電子精密機器を収納可能な箱体と、箱体の開口を閉塞する蓋体と、を備える。箱体の内部には、第1の緩衝部材が嵌め込まれている。蓋体の裏面には、第2の緩衝部材が設けられている。ケースの内部に電子精密機器を収納した場合において、第1の緩衝部材及び第2の緩衝部材は、電子精密機器に接触する。第1の緩衝部材及び第2の緩衝部材は、導電性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3089969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
センサ部が生体に対して接触することにより当該生体に関する生体情報を検出可能な測定装置が知られている。特許文献1に記載されているようなケースに、この種の測定装置を収納したとする。この場合、測定装置のセンサ部がケースの各緩衝材に接触するとは限らない。そのため、センサ部に帯電した静電気を除電できないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、測定装置と、当該測定装置を収容可能な収納ケースと、を備え、前記測定装置は、棒状の筐体と、生体情報を検出可能なセンサ部と、を有し、前記センサ部は、前記筐体に内蔵され、且つ前記筐体の外面で露出しており、前記収納ケースは、前記センサ部を収容可能な容器部と、前記容器部の内面に位置し、前記容器部に収容された前記測定装置の前記筐体を特定姿勢に位置決めするガイド部と、導電性を有する導電部と、を有し、前記筐体が前記特定姿勢になっている状態において、前記導電部は、前記センサ部に接触している測定装置セットである。
【0006】
また、本発明は、棒状の筐体と、生体情報を検出可能なセンサ部と、を有し、前記センサ部は、前記筐体に収容され、且つ前記筐体の外面で露出しており、測定装置を収容可能な収納ケースであって、前記センサ部を収容可能な容器部と、前記容器部の内面に位置し、前記容器部に収容された前記測定装置の前記筐体を特定姿勢に位置決めするガイド部と、前記特定姿勢に位置決めされている前記筐体の前記センサ部に接触可能であり、且つ導電性を有する導電部と、を有している収納ケースである。
【0007】
上記構成によれば、ガイド部は、容器部内において、筐体を特定姿勢に位置決めする。このように筐体を位置決めすることにより、導電部は、センサ部に接触する。そして、センサ部が導電部に接触すれば、センサ部に帯電している静電気が導電部に逃げる。このように、上記構成によれば、測定装置を収納ケースに収納することで、確実にセンサ部を除電できる。
【発明の効果】
【0008】
センサ部に帯電した静電気を除電しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、測定装置の斜視図である。
図2図2は、測定装置の側面図である。
図3図3は、センサ部の拡大図である。
図4図4は、収納ケースの上面図である。
図5図5は、収納ケースの蓋を開けた場合の測定装置セットの上面図である。
図6図6は、収納ケースの蓋を閉めた場合の測定装置セットの上面図である。
図7図7は、弾性率の確認方法を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<測定装置セットの一実施形態>
以下、測定装置セットの一実施形態を、図面を参照して説明する。なお、図面は、理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は実際のものと、又は別の図面中のものと異なる場合がある。
【0011】
(測定装置の全体構成について)
図1に示すように、本実施形態における測定装置10は、口腔内の水分量を測定する水分量測定器具である。すなわち、測定装置10は、いわゆる口腔センサである。図2に示すように、測定装置10は、筐体20と、センサ部30と、を備えている。筐体20は、棒状である。筐体20は、本体部21と、挿入部22と、を備えている。
【0012】
筐体20の本体部21は、棒状である。すなわち、本体部21は、全体として一方に長手の直方体状である。本体部21は、測定装置10の使用時に、使用者によって把持される部分である。本体部21は、上面23を有している。本実施形態では、上面23は、本体部21の外面のうち、最も面積が大きい一方の面である。なお、以下の説明では、本体部21の上面23が向く方向を上側、その反対側を下側として説明する。
【0013】
図1に示すように、測定装置10は、電源ボタン24と、表示画面25と、を備えている。電源ボタン24は、本体部21の上面23に位置している。なお、当該電源ボタン24を押すことにより、測定装置10の電源のオン状態とオフ状態とが切り替わる。すなわち、電源ボタン24を押すことにより、使用者は、測定装置10の駆動状態を、オン状態又はオフ状態に切り替え可能である。
【0014】
表示画面25は、本体部21の上面23で露出している。表示画面25は、本体部21の長手方向の略中央に位置している。表示画面25は、測定装置10の電源オン状態において、測定した水分量の測定結果の文字データ等を表示可能である。
【0015】
図2に示すように、測定装置10は、電池ボックス26を備えている。電池ボックス26は、本体部21の内部において空間を区画している。電池ボックス26内には、測定装置10の電力源として、一次電池を挿入可能である。具体的には、電池ボックス26には、2本の単4電池を挿入可能である。
【0016】
筐体20の挿入部22は、全体として本体部21の長手方向に長手の略棒状である。挿入部22は、本体部21の長手方向の一端から延びている。挿入部22は、測定装置10の使用時に、口腔内に挿入される部分である。
【0017】
センサ部30は、筐体20に内蔵されている。具体的には、センサ部30は、挿入部22の先端近傍に取り付けられている。且つ、センサ部30は、挿入部22の下側を向く面で、筐体20の外面から露出している。センサ部30は、生体に対して接触することにより当該生体に関する生体情報を検出可能である。本実施形態において、センサ部30は、口腔内の生体情報として、水分量を測定可能である。また、本実施形態では、センサ部30は、静電容量を測定可能なセンサである。なお、図示は省略するが、センサ部30に対しては、袋状のカバーを取り付け可能である。例えば、カバーの材質は、ポリエチレンテレフタレート等である。したがって、センサ部30が「生体に対して接触する」とは、センサ部30と生体との間に、上記カバー等の、センサ部30による生体情報の検出を阻害しない程度の物体を介在させて、間接的に接触することも含む。
【0018】
図3に示すように、センサ部30は、一対の電極31を有している。各電極31は、櫛歯状になっている。一対の電極31の歯は、互い違いに配置されている。一対の電極31は、コンデンサの電極として機能する。センサ部30のうち、一対の電極31の間の部分は、一対の電極31に対する誘電体として機能する。そして、センサ部30は、誘電体の近接又は接触によって電極31が検出する容量値を、検出値として検出する。なお、センサ部30は、測定装置10の電源がオン状態である場合に、電極31にいずれの誘電体も近接又は接触していなくても検出値を出力する。
【0019】
図1に示すように、測定装置10は、制御装置40を備えている。制御装置40は、筐体20の本体部21に格納されている。制御装置40は、1又は複数のプロセッサを含む回路(circuitry)を含んでいる。制御装置40は、測定装置10の全体を統括して制御する。具体的には、制御装置40は、センサ部30が検出した検出値を、水分量に換算する。また、制御装置40は、センサ部30の検出値に応じた水分量を、表示画面25に表示させる。
【0020】
(収納ケースの全体構成について)
図4に示すように、本実施形態において、収納ケース50は、上記の測定装置10を収納可能である。収納ケース50は、容器部52と、上蓋51と、を有している。容器部52は、上記測定装置10を収容可能な空間を区画している。すなわち、容器部52は、センサ部30を収容可能である。容器部52は、一方が開放した、略直方体の箱状である。容器部52の材質は合成樹脂である。以下では、収納ケース50の長手方向に平行な軸を第1軸Xとする。そして、第1軸Xに直交し、且つ収納ケース50の内面53のうちの底面に平行な軸を第2軸Yとする。加えて、第1軸Xに沿う方向の一方を第1正方向X1とし、第1軸Xに沿う方向のうち第1正方向X1と逆の方向を第1負方向X2とする。また、第2軸Yに沿う方向の一方を第2正方向Y1とし、第2軸Yに沿う方向のうち第2正方向Y1と逆の方向を第2負方向Y2とする。なお、容器部52の内面53とは、収納ケース50を閉じた際に、上蓋51と対向する面のことである。容器部52の内面53は、平面だけでなく曲面も含む。例えば、容器部52の内面53は、上蓋51の側面等の一部分と対向する平面、曲面も含む。
【0021】
上蓋51は、略長方形板状である。上蓋51の長辺側の一縁は、容器部52の開口縁の第2正方向Y1側に連結している。上蓋51は、当該取り付け箇所を起点として、回動可能である。そして、上蓋51を閉じた状態では、上蓋51は、容器部52の開口全体を覆う。上蓋51の材質は、容器部52と同じ合成樹脂である。なお、この実施形態では、上蓋51は、容器部52との一体成形物である。
【0022】
収納ケース50は、2つの補助突起100を備えている。補助突起100は、上蓋51の内面53から突出している。補助突起100は、十字型である。一方の補助突起100は、上蓋51の第1軸Xに沿う方向の中央に対して、上蓋51の第1正方向X1側に位置している。他方の補助突起100は、上蓋51の第1軸Xに沿う方向の中央に対して、上蓋51の第1負方向X2側に位置している。補助突起100の材質は、合成樹脂である。
【0023】
収納ケース50は、第1導電部60を備えている。第1導電部60は、容器部52の内面53のうちの底面から突出している。第1導電部60は、板状である。第1導電部60は、概ね第1軸Xに沿って延びている。第1導電部60における第1軸Xに沿う方向の寸法は、測定装置10のセンサ部30の寸法よりも大きくなっている。第1導電部60の第1負方向X2側の端は、容器部52の内面53のうちの第1正方向X1側を向く側面に連結している。第1導電部60の材質は、金属粉を含んだ合成樹脂である。したがって、第1導電部60は、導電性を有する。
【0024】
収納ケース50は、一対の第1ガイド部61と、一対の第2ガイド部62と、1つの第3ガイド部63と、を備えている。
各第1ガイド部61は、容器部52の内面53のうちの底面から突出している。各第1ガイド部61は、板状である。各第1ガイド部61は、概ね第1軸Xに沿って延びている。各第1ガイド部61は、第1軸Xに沿う方向において、容器部52の中央に対して第1負方向X2寄りの箇所に位置している。一対の第1ガイド部61は、第2軸Yに沿う方向において互いに間隔を空けて位置している。一対の第1ガイド部61の間隔は、測定装置10の挿入部22の太さに対応している。各第1ガイド部61の材質は、金属粉を含んだ合成樹脂である。したがって、各第1ガイド部61は、導電性を有する第2導電部としても機能する。
【0025】
各第2ガイド部62は、容器部52の内面53のうちの底面から突出している。各第2ガイド部62は、略筒状である。各第2ガイド部62は、第1軸Xに沿う方向において、容器部52の概ね中央に位置している。一対の第2ガイド部62は、第2軸Yに沿う方向において互いに間隔を空けて位置している。一対の第2ガイド部62の間隔は、測定装置10の本体部21の太さに対応している。各第2ガイド部62の材質は、合成樹脂である。
【0026】
第3ガイド部63は、容器部52の内面53のうちの底面から突出している。第3ガイド部63の突出長は、第1ガイド部61及び第2ガイド部62の突出長に比べて低くなっている。第3ガイド部63は、板状である。第3ガイド部63は、切り欠きを有しており、突出方向に二又になっている。そして、この二又の間の切り欠き部分の形状は、測定装置10の挿入部22の太さに対応している。第3ガイド部63は、概ね第2軸Yに沿って延びている。第3ガイド部63の第2正方向Y1側の端は、容器部52における第2負方向Y2側を向く側面に連結している。第3ガイド部63は、第1軸Xに沿う方向において、第1導電部60と一対の第1ガイド部61との間に位置している。
【0027】
収納ケース50は、接触センサ70と、通知部80と、バッテリ90と、を備えている。
接触センサ70は、第1導電部60における第2負方向Y2側の面に取り付けられている。接触センサ70は、第1導電部60と、センサ部30とが接触したことを検知する。具体的には、接触センサ70は、歪センサである。したがって、接触センサ70は、測定装置10を収納したときの第1導電部60の歪みを検知する。
【0028】
通知部80は、容器部52内に収容されている。通知部80は、接触センサ70と電気的に接続している。通知部80は、接触センサ70が第1導電部60の歪みを検知したことを取得する。接触センサ70が第1導電部60の歪みを検知した場合、換言すると、接触センサ70が第1導電部60とセンサ部30との接触を検知した場合に、通知部80は、特定の音を発することでユーザに通知をする。
【0029】
バッテリ90は、容器部52内に収容されている。バッテリ90は、接触センサ70及び通知部80と電気的に接続している。バッテリ90は、接触センサ70及び通知部80に電力を供給する。
【0030】
(収容ケース50に測定装置10を収容した状態について)
図5に示すように、測定装置セットSは、上述の測定装置10及び収納ケース50を備えている。収納ケース50は、測定装置10を収容可能である。
【0031】
収納ケース50の第1ガイド部61、第2ガイド部62、第3ガイド部63は、測定装置10の筐体20を特定姿勢に位置決めして支持する。具体的には、一対の第1ガイド部61は、測定装置10の挿入部22を挟み込むことで支持する。一対の第2ガイド部62は、測定装置10の本体部21を挟み込むことで支持する。第3ガイド部63の二又に分岐した部分は、測定装置10の挿入部22を支持する。特定姿勢において、筐体20は、長手方向が第1軸Xに沿う姿勢となる。尚且つ、特定姿勢として、筐体20は、上面23が、第2正方向Y1を向く姿勢となる。さらに、特定姿勢として、筐体20は、センサ部30は、第2負方向Y2を向く姿勢となる。
【0032】
測定装置10の筐体20が特定姿勢になっている状態において、第1導電部60は、センサ部30に接触している。上述したとおり、第1導電部60の弾性率は、センサ部30の弾性率よりも小さい。そのため、センサ部30が第1導電部60と接触することで、第1導電部60の形状に歪みが生じる。この歪みが、接触センサ70に検知される。また、測定装置10の筐体20が特定姿勢になっている状態において、第2導電部としての第1ガイド部61は、挿入部22に接触している。
【0033】
また、図6に示すように、収納ケース50の上蓋51を閉めた場合において、一方の補助突起100は、測定装置10の本体部21に接触している。他方の補助突起100は、測定装置10の挿入部22に接触している。すなわち、2つの補助突起100は、測定装置10が上蓋51側に動かないように抑えつけている。
【0034】
(弾性率及び引張試験について)
第1導電部60の弾性率は、センサ部30の弾性率よりも小さくなっている。換言すると、第1導電部60は、センサ部30よりも柔らかくなっている。各部材の弾性率の大小関係は、引張試験機200を用いた引張試験により確認できる。図7に示すように、引張試験機200は、第1クランプ201と、第2クランプ202と、フォースゲージ203と、を有している。第1クランプ201と第2クランプ202とは、対向している。第1クランプ201、第2クランプ202、及びフォースゲージ203は、この順番に、中心軸が同一となるように連結している。フォースゲージ203は、第2クランプ202に取り付けられている。フォースゲージ203は、第1クランプ201及び第2クランプ202による引っ張り荷重を検出可能である。以下、当該中心軸が延びる方向を、引張方向とする。
【0035】
次に、引張試験の方法を説明する。なお、引張試験を行うに際して、第1導電部60は、容器部52と分離されている。センサ部30は、測定装置10と分離されている。まず、センサ部30の一端を、第1クランプ201に固定する。次いで、センサ部30の引張方向に沿う方向の他端を、第2クランプ202に固定する。この状態で、フォースゲージ203を、引張方向に沿って、第1クランプ201から遠ざかる方向に引っ張る。このとき、フォースゲージ203が検出する引っ張り荷重が特定の一定値になるようにする。このようにしてセンサ部30に一定値の引っ張り荷重をかけたときの、引張方向に平行な方向におけるセンサ部30の伸び量を測定する。同様にして、第1導電部60の伸び量を測定する。そして、センサ部30の伸び量と、第1導電部60の伸び量とを比較することで、各部材の弾性率の大小関係を確認できる。例えば、第1導電部60の伸び量が、センサ部30の伸び量に比べて大きい場合、第1導電部60の弾性率がセンサ部30の弾性率に対して小さいといえる。
【0036】
(本実施形態の効果について)
(1)上記実施形態によれば、第1ガイド部61は、容器部52内において、筐体20を特定姿勢に位置決めする。このように筐体20を位置決めすることにより、第1導電部60は、センサ部30に接触する。そして、センサ部30が第1導電部60に接触すれば、センサ部30に帯電している静電気が第1導電部60に逃げる。このように、上記実施形態によれば、測定装置10を収納ケース50に収納することで、確実にセンサ部30を除電できる。
【0037】
(2)上記実施形態によれば、第1ガイド部61、第2ガイド部62、及び第3ガイド部63は、容器部52の内面53から突出している。位置決めしたい箇所のみに突起状のガイド部を設ければよいため、例えば容器部52に測定装置10の付属品を収納するなど、容器部52内部の空間を有効活用できる。
【0038】
(3)上記実施形態によれば、測定装置10は、いわゆる口腔センサである。口腔センサは、口腔内の粘膜にセンサ部30を押し当てて、口腔内の水分及び湿潤度を測定する。仮にセンサ部30に静電気が蓄積されている場合、その静電気が口腔内で放電された場合に、使用者は皮膚に比べて静電気による衝撃を敏感に感じる。したがって、静電気の放電による不快感を防ぐという観点では、センサ部30を確実に除電できる収納ケース50を適用するセンサとして、口腔センサは特に好適である。
【0039】
(4)上記実施形態によれば、センサ部30は、静電容量方式のセンサである。静電容量方式のセンサは、微弱な静電気を利用した検出センサである。そのため、静電容量方式のセンサを備える測定装置10に過剰な静電気が蓄積されていると、検出値が不安定になる虞がある。したがって、センサ部30の検出値を安定化させるという観点では、センサ部30を確実に除電できる収納ケース50を適用するセンサとして、口腔センサは特に好適である。
【0040】
(5)上記実施形態によれば、第1ガイド部61は、筐体20のうちでもセンサ部30に近い挿入部22に接触して、当該筐体20を支持する。そのため、測定装置10が収納ケース50内で多少がたついても、センサ部30と第1導電部60との接触関係を維持でき得る。
【0041】
(6)上記実施形態において、測定装置10を容器部52に収容した場合において、第2導電部としての第1ガイド部61は、筐体20の挿入部22に接触する。そして、第1ガイド部61のうち筐体20に接触する箇所を含む全体は、導電性を有している。これにより、センサ部30だけでなく、筐体20に帯電した静電気を除去できる。
【0042】
(7)上記実施形態において、第1導電部60の弾性率は、センサ部30の弾性率よりも小さい。つまり、第1導電部60がセンサ部30よりも柔らかい。これにより、センサ部30が第1導電部60に接触しても、センサ部30の表面が傷つきにくい。
【0043】
(8)上記実施形態において、測定装置セットSは、接触センサ70を備える。また、接触センサ70が第1導電部60とセンサ部30との接触を検知したことを通知する通知部80を備える。これにより、第1導電部60とセンサ部30とが接触したこと、すなわちセンサ部30が除電されたことを、使用者が認知しやすい。
【0044】
(9)上記実施形態において、上蓋51は、補助突起100を備えている。これにより、測定装置10を収納ケース50に収納したときに、仮に、筐体20の挿入部22が上蓋51の方向に傾いていたとしても、上蓋51を閉めれば当該傾きが是正され、筐体20が確実に特定姿勢に位置決めされる。その結果、センサ部30が確実に第1導電部60に接触する。
【0045】
<変更例>
上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0046】
・測定装置10の種類、形状、構成等は、上記実施形態の例に限らない。棒状の筐体20を備えていて、且つ生体に接触して生体情報を検出できる装置であれば、どのような測定装置であっても、上記実施形態の技術を適用でき得る。例えば、咬合力センサといった他の口腔センサであってもよいし、体温計等であってもよい。
【0047】
・センサ部30の位置は、先端近傍に限られない。測定装置10の筐体20のうち、何れかの箇所において外面で露出していればよい。
・センサ部30の構成は、上記実施形態の例に限られない。センサ部30は、静電容量式のセンサに限らない。また、例えば、咬合力計、湿潤計、口唇圧計、舌圧計等、測定装置の種類に合わせて好適なセンサを選択すればよい。
【0048】
・通知部80は、接触センサ70が一定時間以上、センサ部30及び第1導電部60の接触を検知しない場合に、通知を行う機能を有していてもよい。これにより、測定装置10が長時間、収納ケース50から取り出されたままであることを防止できる。そのため、センサ部30が汚れることを防止できる可能性が高まる。
【0049】
・収納ケース50に代えて、測定装置10が、接触センサ70と、通知部80と、を備えていてもよい。例えば、センサ部30で第1導電部60との接触を検知してもよい。センサ部30が第1導電部60と接触している場合、センサ部30は、特定の範囲内の検出値を検出する。この特定の範囲内の検出値が一定時間以上維持された場合に、制御装置40が、センサ部30と第1導電部60との接触を判定してもよい。
【0050】
・通知部80は、音によりユーザに通知をするものに限らない。例えば、通知部80は、センサ部30と第1導電部60とが接触していることを、光により通知するインジケータランプであってもよい。
【0051】
・通知部80は、ユーザに対して直接通知するものに限らない。例えば、通知部80は、外部機器に、測定装置10のセンサ部30と第1導電部60とが接触したことを通信により通知するものであってもよい。上記の外部機器としては、例えば、ディスプレイ、スマートフォンなどが挙げられる。
【0052】
・さらに、接触センサ70及び通知部80を省略してもよい。
・容器部52の形状、材質等は、測定装置10を収容可能であれば、上記実施形態の例に限られない。
【0053】
・収納ケース50は、上記実施形態で説明した構成の他に追加の構成を備えていてもよい。例えば、測定装置10の保護カバー、説明書等の付属品を収納可能なスペースを備えていてもよい。また、説明書を収納可能なスペースを備える場合、例えば第1導電部60の第2負方向Y2側に当該スペースを設けることで、第1導電部60を第2正方向Y1側に押す力が僅かに働き、第1導電部60とセンサ部30とを、より接触させやすくなる。
【0054】
・また、例えば、測定装置10が有するセンサ部30が咬合力センサ等の交換可能なものである場合、交換用のセンサ部30を収納可能なスペースを備えていてもよい。この場合、当該スペースにも、導電部を備えていることが好ましい。当該スペースに導電部を備えていることで、交換用のセンサ部30も除電できる。これにより、センサ部30を交換した際にも、生体に静電気が放電することを防止できる。
【0055】
・測定装置セットSは、測定装置10及び収納ケース50に加えて他の構成を有していてもよい。例えば、使用済みのセンサ部30を収容するケースを備えていてもよい。
・上記実施形態において、収納ケース50は、補助突起100を備えていなくてもよい。さらに、収納ケース50は、上蓋51を備えていなくてもよい。
【0056】
・収納ケース50が有するガイド部の構成は、上記実施形態の例に限られない。例えば、第1ガイド部61のみを備えていてもよい。また、第1ガイド部61~第3ガイド部63に加えて他のガイド部を備えていてもよい。
【0057】
・第1導電部60及び第2導電部としての第1ガイド部61の材質は、導電性を有する材質であれば、上記実施形態の例に限られない。また、第1ガイド部61は、少なくとも筐体20に接触する箇所が導電性を有していればよい。また、第1ガイド部61は、導電性を有していなくてもよい。この場合、第1ガイド部61は、導電部としては機能せずガイド部としてのみ機能する。
【0058】
・各ガイド部は、測定装置10を支持する構成に限定されない。各ガイド部は、測定装置10を位置決めするのみであり、且つ、測定装置10を支持しない構成であってもよい。
【0059】
・ガイド部の形状は、上記実施形態の例に限られない。ガイド部は、容器部52の内面53に位置し、且つ容器部52に収容された測定装置10の筐体20を特定姿勢に位置決めできればよい。例えば、容器部52の内面53が、測定装置10の形状に倣って窪んでいてもよい。この場合、当該窪みがガイド部である。
【0060】
・第2ガイド部62及び第3ガイド部63の材質は問わない。測定装置10の筐体20を位置決めできる程度の強度を有していればよい。例えば、第2ガイド部62及び第3ガイド部63は、第1ガイド部61と同様に導電性を有していてもよい。
【0061】
・上記実施形態において、収納ケース50は、少なくとも第1導電部60を備えていればよい。また、収納ケース50は、3つ以上の導電部を備えていてもよい。
・第1導電部60の材質は、上記実施形態の例に限らない。例えば、第1導電部60は、導電ゴム、ゲル、多孔質部材、厚さ数μmの金属箔、導電ブラシ、スポンジ、導電性フィラーとしてカーボン粉を含む導電性樹脂等でもよい。第1導電部60の弾性率が小さいほど、すなわち、第1導電部60がセンサ部30よりも柔らかいほど、センサ部30の表面が傷つくことを防止しやすい。
【0062】
・第1導電部60の構成は、上記実施形態の例に限られない。第1導電部60は、ガイド部が筐体20を特定姿勢に位置決めしたときに、センサ部30に接触していればよい。例えば、収納ケース50全体の材質が導電性を有しており、当該収納ケース50が第1導電部60として機能してもよい。この場合、例えば、筐体20を特定姿勢に位置決めしたときに、センサ部30が第1導電部60としての収納ケース50の内壁に接触していればよい。
【0063】
・上記実施形態における「特定姿勢」は、あくまでも一例である。容器部52の内部において測定装置10が如何なる姿勢であっても、測定装置10がガイド部によって位置決めされ、その状態において、第1導電部60がセンサ部30に接触していればよい。
【0064】
・筐体20が特定姿勢になっている状態において、第2導電部としての第1ガイド部61は、筐体20のうち挿入部22に接触しなくてもよい。少なくとも、特定姿勢において、第1導電部60が、測定装置10のセンサ部30に接触していればよい。
【0065】
<付記>
上記実施形態及び変更例から導き出せる技術思想を以下に記載する。
[1]
測定装置と、当該測定装置を収容可能な収納ケースと、を備え、
前記測定装置は、
棒状の筐体と、生体情報を検出可能なセンサ部と、を有し、
前記センサ部は、前記筐体に内蔵され、且つ前記筐体の外面で露出しており、
前記収納ケースは、
前記センサ部を収容可能な容器部と、前記容器部の内面に位置し、前記容器部に収容された前記測定装置の前記筐体を特定姿勢に位置決めするガイド部と、導電性を有する導電部と、を有し、
前記筐体が前記特定姿勢になっている状態において、前記導電部は、前記センサ部に接触している測定装置セット。
【0066】
[2]
前記ガイド部は、前記容器部の内面から突出している[1]に記載の測定装置セット。
[3]
前記センサ部は、静電容量を測定可能なセンサを含む[1]又は[2]に記載の測定装置セット。
【0067】
[4]
前記筐体は、本体部と、当該本体部から延びる挿入部と、を有し、
前記センサ部は、前記挿入部の外面において露出しており、
前記筐体が前記特定姿勢になっている状態において
前記ガイド部は、前記挿入部に接触している[1]~[3]のいずれか1つに記載の測定装置セット。
【0068】
[5]
前記筐体は、本体部と、当該本体部から延びる挿入部と、を有し、
前記導電部を第1導電部としたとき、導電性を有する第2導電部をさらに備え、
前記筐体が前記特定姿勢になっている状態において、前記第2導電部は、前記筐体のうち前記挿入部に接触する[1]~[4]のいずれか1つに記載の測定装置セット。
【0069】
[6]
前記ガイド部は、導電性を有する[1]~[5]のいずれか1つに記載の測定装置セット。
【0070】
[7]
前記導電部の弾性率は、前記センサ部の弾性率よりも小さい[1]~[6]のいずれか1つに記載の測定装置セット。
【0071】
[8]
前記導電部及び前記センサ部が接触したか否かを検知する接触センサと、
前記接触センサが前記導電部と前記センサ部との接触を検知した場合に通知する通知部と、
を備える[1]~[7]のいずれか1つに記載の測定装置セット。
【0072】
[9]
棒状の筐体と、生体情報を検出可能なセンサ部と、を有し、
前記センサ部は、前記筐体に収容され、且つ前記筐体の外面で露出しており、
測定装置を収容可能な収納ケースであって、
前記センサ部を収容可能な容器部と、前記容器部の内面に位置し、前記容器部に収容された前記測定装置の前記筐体を特定姿勢に位置決めするガイド部と、前記特定姿勢に位置決めされている前記筐体の前記センサ部に接触可能であり、且つ導電性を有する導電部と、を有している収納ケース。
【符号の説明】
【0073】
S…測定装置セット
10…測定装置
20…筐体
21…本体部
22…挿入部
30…センサ部
50…収納ケース
52…容器部
60…第1導電部
61…第1ガイド部
62…第2ガイド部
63…第3ガイド部
70…接触センサ
80…通知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7