(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164580
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】処理システム
(51)【国際特許分類】
C02F 11/18 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
C02F11/18 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080173
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西澤 ▲祥▼太
【テーマコード(参考)】
4D059
【Fターム(参考)】
4D059AA04
4D059AA05
4D059BA12
4D059BA21
4D059BC03
4D059BE00
4D059BF02
4D059BF15
4D059BK12
4D059CA01
(57)【要約】
【課題】エネルギーの消費量を削減することを可能とする処理システムを提供する。
【解決手段】第1処理対象を第2処理対象によって冷却する熱交換器と、熱交換器から供給された第1処理対象に対して所定の処理を行う第1処理装置と、を備え、第2処理対象は、第1処理装置において所定の処理が行われた後の第1処理対象である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1処理対象を第2処理対象によって冷却する熱交換器と、
前記熱交換器から供給された前記第1処理対象に対して所定の処理を行う第1処理装置と、を備え、
前記第2処理対象は、前記第1処理装置において前記所定の処理が行われた後の前記第1処理対象である、処理システム。
【請求項2】
さらに、前記熱交換器によって昇温された前記第2処理対象を脱水する第1脱水装置を備える、請求項1に記載の処理システム。
【請求項3】
さらに、前記熱交換器に供給される前の前記第1処理対象を昇温する第2処理装置を備える、請求項2に記載の処理システム。
【請求項4】
前記第2処理装置は、前記熱交換器に供給される前の前記第1処理対象を可溶化する可溶化装置を有する、請求項3に記載の処理システム。
【請求項5】
前記第1処理対象は、少なくとも有機性成分を含み、
前記第1処理装置は、前記第2処理装置によって昇温された後の前記第1処理対象に含まれる前記有機性成分を消化する消化槽を有し、さらに、
前記有機性成分の消化によって発生した消化ガスを燃焼させて生じる熱エネルギーによって発電する発電装置を備え、
前記第2処理対象は、前記消化槽において消化された後の前記第1処理対象であり、
前記第2処理装置は、前記発電装置から排出される流体が有する熱エネルギーによって前記第1処理対象を昇温する、請求項3に記載の処理システム。
【請求項6】
さらに、前記熱交換器に対する前記第1処理対象の供給と、前記熱交換器に対する前記第2処理対象の供給とのうちの少なくともいずれかを制御する制御装置を有する、請求項1に記載の処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、有機性成分を含む処理対象(例えば、汚泥を含む廃水)に対して各処理を行う設備では、処理対象の加温や冷却を適宜行うことによって、処理対象の温度を各処理に適した温度に調整する(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記のような設備では、例えば、処理対象に対して各処理を行うことによるエネルギー(例えば、電力等の外部エネルギー)の消費量を削減することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における処理システムは、第1処理対象を第2処理対象によって冷却する熱交換器と、前記熱交換器から供給された前記第1処理対象に対して所定の処理を行う第1処理装置と、を備え、前記第2処理対象は、前記第1処理装置において前記所定の処理が行われた後の前記第1処理対象である。
【発明の効果】
【0006】
本開示における処理システムによれば、エネルギーの消費量を削減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、比較例における処理システム900の構成について説明する図である。
【
図2】
図2は、比較例における処理システム900の構成について説明する図である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態における処理システム100の概略構成について説明する図である。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態における処理システム100の詳細構成について説明する図である。
【
図5】
図5は、制御装置20の機能について説明する図である。
【
図6】
図6は、制御装置20の機能について説明する図である。
【
図7】
図7は、制御装置20の機能について説明する図である。
【
図8】
図8は、制御装置20のハードウエア構成を説明する図である。
【
図9】
図9は、第1の実施の形態における処理方法について説明するフローチャート図である。
【
図10】
図10は、第1変形例の構成について説明する図である。
【
図11】
図11は、第2変形例の構成について説明する図である。
【
図12】
図12は、第3変形例の構成について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる説明は限定的な意味に解釈されるべきではなく、特許請求の範囲に記載の主題を限定するものではない。また、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することがなく様々な変更や置換や改変をすることができる。また、異なる実施の形態を適宜組み合わせることができる。
【0009】
[比較例における処理システム900]
初めに、比較例における処理システム900について説明を行う。
図1及び
図2は、比較例における処理システム900の構成について説明する図である。以下、処理システム900における処理対象が汚泥であるものとして説明を行う。
【0010】
本比較例における処理システム900は、
図1に示すように、例えば、濃縮装置81と、可溶化装置83と、希釈装置84と、熱交換器85と、槽86(以下、消化槽86とも呼ぶ)と、脱水装置87とを有する。
【0011】
濃縮装置81は、例えば、下水等の被処理液体を処理する水処理システム(以下、単に水処理システムとも呼ぶ)における最初沈殿池(図示しない)から排出された初沈汚泥や最終沈殿池(図示しない)から排出された余剰汚泥を濃縮する。以下、初沈汚泥や余剰汚泥を総称して単に汚泥とも呼ぶ。そして、濃縮された汚泥は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって濃縮装置81から可溶化装置83に供給される。また、濃縮によって汚泥から分離した液体は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって濃縮装置81から最初沈殿池等に返送される。
【0012】
可溶化装置83は、例えば、濃縮装置81から供給された汚泥の可溶化を行う。具体的に、可溶化装置83は、例えば、汚泥に対して蒸気を供給して加熱するとともに加圧することによって熱加水分解を行う。そして、可溶化が行われた汚泥は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって可溶化装置83から消化槽86に供給される。
【0013】
希釈装置84は、例えば、可溶化装置83から供給された汚泥を希釈する。具体的に、希釈装置84は、例えば、可溶化装置83から供給された汚泥に対して液体(以下、希釈水とも呼ぶ)を供給することによって汚泥の希釈を行う。希釈水は、例えば、常温の水であってよい。そして、希釈された汚泥は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって希釈装置84から熱交換器85に供給される。すなわち、希釈装置84は、例えば、可溶化装置83から供給された汚泥の固形物濃度が消化槽86における消化に適した濃度になるように希釈を行う。
【0014】
熱交換器85は、例えば、希釈装置84から供給された汚泥と冷却水との間における熱交換を行うことによって、希釈装置84から供給された汚泥を冷却する。そして、冷却された汚泥は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって熱交換器85から消化槽86に供給される。すなわち、熱交換器85は、例えば、消化槽86に供給される汚泥の温度が消化に適した温度になるように冷却を行う。
【0015】
消化槽86は、例えば、攪拌機能を有する槽である。そして、消化槽86では、例えば、熱交換器85から供給された汚泥に含まれる有機性成分(以下、単に有機物とも呼ぶ)が消化槽86内の嫌気性細菌によって嫌気性消化(分解)される。この消化の過程において、消化槽86では、例えば、メタン等の消化ガス(以下、単に消化ガスとも呼ぶ)が生成される。また、消化槽86において消化された汚泥(以下、消化汚泥とも呼ぶ)は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって消化槽86から脱水装置87に供給される。
【0016】
脱水装置87は、例えば、消化槽86から供給された汚泥を脱水する。そして、脱水された汚泥は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって脱水装置87から焼却炉(図示しない)等の後段設備に供給される。また、汚泥から脱水された液体(以下、脱水ろ液とも呼ぶ)は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって脱水装置87から最初沈殿池等に返送される。
【0017】
これにより、処理システム900では、消化が行われやすい状態の汚泥を消化槽86に供給することで、例えば、消化槽86における汚泥の消化率を向上させることが可能になり、消化ガスの発生量を増加させることが可能になる。また、処理システム900では、可溶化によって汚泥に含まれる細胞(植物、菌類及び細菌類等の細胞)の細胞壁や細胞膜を破壊することで、例えば、汚泥の脱水性を向上させることが可能になり、脱水装置87において脱水された後の汚泥の減容化を行うことが可能になる。
【0018】
なお、処理システム900では、可溶化装置83において熱加水分解を行う場合、例えば、可溶化装置83に供給する前の汚泥を予め脱水するものであってよい。
【0019】
具体的に、処理システム900では、この場合、
図2に示すように、例えば、濃縮装置81と可溶化装置83との間において脱水装置82を有し、濃縮装置81から供給された汚泥を脱水装置82において脱水してから可溶化装置83に供給するものであってよい。また、汚泥から脱水された脱水ろ液は、この場合、例えば、ポンプ(図示しない)等によって脱水装置82から最初沈殿池等に返送されるものであってよい。
【0020】
これにより、処理システム900では、例えば、可溶化装置83に供給される汚泥(すなわち、可溶化対象の汚泥)の含水率を熱加水分解に適した値に調整することが可能になり、可溶化装置83における汚泥の熱加水分解を効率的に行うことが可能になる。
【0021】
ここで、脱水装置87では、例えば、脱水対象の汚泥の温度を昇温させることにより、汚泥の脱水性をより向上させることが可能になる。そのため、処理システム900では、例えば、脱水装置87に供給される消化汚泥の温度を昇温させることが好ましい。
【0022】
しかしながら、処理システム900では、この場合、例えば、脱水装置87に供給される消化汚泥を昇温するためのさらなるエネルギー(例えば、電力等の外部エネルギー)が必要となる。そのため、処理システム900では、例えば、脱水装置87に供給される消化汚泥の昇温に要するエネルギーを削減することが望まれている。以下、第1の実施の形態における処理システム100について説明を行う。
【0023】
[第1の実施の形態における処理システム100の概略]
図3は、第1の実施の形態における処理システム100の概略構成について説明する図である。以下、処理システム100における処理対象が汚泥であるものとして説明を行う。
【0024】
本実施の形態における処理システム100は、
図3に示すように、例えば、熱交換器5と、処理装置6(以下、第1処理装置6とも呼ぶ)とを有する。
【0025】
熱交換器5は、例えば、前段設備から供給された汚泥(以下、第1処理対象とも呼ぶ)と、処理装置6から再度供給された汚泥(以下、第2処理対象とも呼ぶ)との間において熱交換を行うことによって、前段設備から供給された汚泥を冷却するとともに、処理装置6から再度供給された汚泥を昇温する。そして、冷却された汚泥(前段設備から供給された汚泥)は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって熱交換器5から処理装置6に供給される。また、昇温された汚泥(処理装置6から再度供給された汚泥)は、ポンプ(図示しない)等によって熱交換器5から後段設備に供給される。
【0026】
処理装置6は、例えば、熱交換器5から供給された汚泥(熱交換器5において冷却された汚泥)に対して所定の処理を行う。所定の処理は、例えば、汚泥の消化(嫌気性消化)である。そして、処理装置6において所定の処理が行われた汚泥は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって処理装置6から熱交換器5に再度供給される。
【0027】
このように、本実施の形態における処理システム100は、例えば、第1処理対象を第2処理対象によって冷却する熱交換器5と、熱交換器5から供給された第1処理対象に対して所定の処理を行う処理装置6と、を備える。そして、第2処理対象は、例えば、処理装置6において所定の処理が行われた後の第1処理対象である。
【0028】
すなわち、本実施の形態における処理システム100は、例えば、前段設備から供給された汚泥と、処理装置6から再度供給された汚泥との間において熱交換を行うことによって、処理装置6において所定の処理が行われる前の汚泥の温度を所定の処理に適する温度に冷却させるとともに、前段設備から熱交換器5に供給される汚泥が保有する熱エネルギーによって所定の処理が行われた後の汚泥を昇温させる。そして、処理システム100は、例えば、昇温された汚泥を後段設備に供給し、後段設備において後段設備に対応する処理(以下、他の処理とも呼ぶ)を行わせる。他の処理は、例えば、汚泥の脱水である。
【0029】
言い換えれば、処理システム100は、例えば、処理装置6において所定の処理が行われる前の汚泥と、後段設備において他の処理が行われる前の汚泥との熱交換を行うことによって、電力等の外部エネルギーを用いることなく、各処理が行われる汚泥の温度を各処理に適した温度に調整する。
【0030】
これにより、処理システム100は、例えば、所定の処理が行われた後の汚泥を昇温させるために必要なエネルギー(例えば、電力等の外部エネルギー)を抑制することが可能になる。
【0031】
[第1の実施の形態における処理システム100の詳細]
図4は、第1の実施の形態における処理システム100の詳細構成について説明する図である。以下、
図3で説明した処理装置6が槽6であるものとして説明を行う。また、以下、
図3で説明した前段設備が希釈装置4であり、
図3で説明した後段設備が脱水装置7であるものとして説明を行う。
【0032】
本実施の形態における処理システム100は、
図4に示すように、例えば、濃縮装置1と、脱水装置2(以下、第2脱水装置2とも呼ぶ)と、可溶化装置3と、希釈装置4と、熱交換器5と、槽6(以下、消化槽6とも呼ぶ)と、脱水装置7(以下、第1脱水装置7とも呼ぶ)と、発電装置8とを有する。以下、脱水装置2と可溶化装置3とを総称して処理装置10または第2処理装置10とも呼ぶ。
【0033】
濃縮装置1は、
図1で説明した濃縮装置81と同様に、例えば、最初沈殿池や最終沈殿池(図示しない)から排出された汚泥を濃縮する。そして、濃縮された汚泥は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって濃縮装置1から可溶化装置3に供給される。また、濃縮によって汚泥から分離した液体は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって濃縮装置1から最初沈殿池等に返送される。
【0034】
脱水装置2は、
図1で説明した脱水装置82と同様に、例えば、濃縮装置1から供給された汚泥を脱水する。そして、脱水された汚泥は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって脱水装置2から可溶化装置3に供給される。また、汚泥から脱水された脱水ろ液は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって脱水装置2から最初沈殿池等に返送される。
【0035】
具体的に、脱水装置2は、例えば、濃縮装置1から供給された汚泥の固形物濃度が可溶化装置3における可溶化に適した濃度になるように脱水を行う。
【0036】
可溶化装置3は、
図1で説明した可溶化装置83と同様に、例えば、濃縮装置1から供給された汚泥の可溶化を行う。具体的に、可溶化装置3は、例えば、汚泥に対して蒸気を供給して加熱するとともに加圧することによって熱加水分解を行う。なお、汚泥に対して供給される蒸気は、例えば、発電装置8から供給される蒸気であってよい。そして、可溶化が行われた汚泥(蒸気によって昇温された汚泥)は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって可溶化装置3から希釈装置4に供給される。
【0037】
なお、可溶化装置3は、例えば、汚泥に対してアルカリ剤を添加して加熱するとともに加圧することによって汚泥を可溶化する装置であってもよいし、汚泥に対して好熱性微生物を添加して加熱することによって汚泥を可溶化する装置であってもよい。
【0038】
希釈装置4は、
図1で説明した希釈装置84と同様に、例えば、可溶化装置3から供給された汚泥を希釈する。そして、希釈された汚泥は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって希釈装置4から熱交換器5に供給される。
【0039】
具体的に、希釈装置4は、例えば、可溶化装置3から供給された汚泥の固形物濃度が消化槽6における消化に適した濃度になるように希釈を行う。
【0040】
熱交換器5は、例えば、希釈装置4から供給された汚泥と、消化槽6において消化された消化汚泥との間において熱交換を行うことによって、希釈装置4から供給された汚泥を冷却するとともに、消化槽6において消化された消化汚泥を昇温する。そして、冷却された汚泥は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって熱交換器5から消化槽6に供給される。また、昇温された消化汚泥は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって熱交換器5から脱水装置7に供給される。
【0041】
具体的に、熱交換器5は、例えば、消化槽6に供給される汚泥の温度が消化槽6における消化に適した温度になるように冷却するとともに、脱水装置7に供給される消化汚泥の温度が脱水装置7における脱水に適した温度になるように昇温する。
【0042】
消化槽6は、
図1等で説明した消化槽86と同様に、例えば、攪拌機能を有する槽である。そして、消化槽6では、例えば、熱交換器5から供給された汚泥に含まれる有機物が消化槽6内の嫌気性細菌によって嫌気性消化される。また、消化槽6において消化された消化汚泥は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって消化槽6から熱交換器5に再度供給される。
【0043】
脱水装置7は、例えば、熱交換器5から供給された消化汚泥を脱水する。そして、脱水された消化汚泥は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって脱水装置7から焼却炉(図示しない)等の後段設備に供給される。また、消化汚泥から脱水された脱水ろ液は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって脱水装置7から最初沈殿池等に返送される。
【0044】
発電装置8は、例えば、ガスエンジン等の発電装置であり、消化槽6における汚泥の消化によって発生した消化ガスに含まれるメタンを燃焼させることによって発電を行う。そして、発電装置8は、例えば、発電に伴って発生した蒸気を可溶化装置3に供給する。
【0045】
ここで、熱交換器5から脱水装置7に供給された消化汚泥の温度は、例えば、脱水装置7における脱水に適した温度に調整されている。そのため、処理システム100は、例えば、電力等の外部エネルギーを用いることによって消化汚泥を昇温させることなく、消化汚泥の脱水性を向上させることが可能になる。
【0046】
したがって、処理システム100は、例えば、電力等の外部エネルギーの消費量を抑制しながら、脱水装置7によって脱水された消化汚泥の含水率を低下させることが可能になり、脱水装置7において脱水された後の消化汚泥の減容化を行うことが可能になる。
【0047】
さらに、処理システム100は、例えば、希釈装置4から供給される汚泥の冷却と消化槽6から供給される汚泥の昇温とを1つの熱交換器5によって行うことが可能になる。そのため、処理システム100では、例えば、希釈装置4から供給される汚泥と消化槽6から供給される汚泥との各々に対して別個の熱交換器を設ける必要がなくなり、熱交換器の設置やメンテナンス等に要するコストを抑制することが可能になる。
【0048】
[第1の実施の形態における制御装置20]
次に、第1の実施の形態における制御装置20の構成について説明を行う。
図5から
図7は、制御装置20の機能について説明する図である。また、
図8は、制御装置20のハードウエア構成を説明する図である。
【0049】
処理システム100は、
図5から
図7に示すように、例えば、希釈装置4から熱交換器5に対する汚泥の供給や消化槽6から熱交換器5に対する消化汚泥の供給の制御(以下、供給制御とも呼ぶ)を実行する制御装置20を有する。
【0050】
制御装置20は、例えば、電子回路を有する電子機器である。具体的に、制御装置20は、
図8に示すように、例えば、プロセッサであるCPU201と、メモリ202と、通信装置203と、記憶媒体204とを有するコンピュータ装置である。各部は、例えば、バス205を介して互いに接続される。
【0051】
記憶媒体204は、例えば、供給制御を行うためのプログラム210を記憶するプログラム格納領域(図示しない)を有する。また、記憶媒体204は、例えば、供給制御を行う際に用いられる情報を記憶する情報格納領域230を有する。なお、記憶媒体204は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)であってよい。
【0052】
CPU201は、例えば、記憶媒体204からメモリ202にロードされたプログラム210を実行することによって供給制御を行う。
【0053】
通信装置203は、例えば、インターネット等のネットワーク(図示せず)を介して作業者が必要な情報の入力等を行う操作端末(図示せず)とアクセスを行う。
【0054】
なお、制御装置20は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)を有するものであってもよい。そして、供給制御は、例えば、FPGAやASICにおいて実行されるものであってもよい。
【0055】
そして、制御装置20は、
図5に示すように、例えば、希釈装置4と熱交換器5とを連通する配管L1に設けられたポンプP1の回転数制御を行うことにより、希釈装置4から熱交換器5に対する汚泥の供給量(単位時間あたりの供給量)を制御する。また、制御装置20は、例えば、消化槽6と熱交換器5とを連通する配管L2に設けられたポンプP2の回転数制御を行うことにより、消化槽6から熱交換器5に対する消化汚泥の供給量(単位時間あたりの供給量)を制御する。
【0056】
具体的に、制御装置20は、例えば、熱交換器5から消化槽6に対する汚泥の温度をより低下させる必要があると判定した場合、希釈装置4から熱交換器5に対する汚泥の供給量を減少させる制御と、消化槽6から熱交換器5に対する消化汚泥の供給量を増加させる制御とのうちの少なくともいずれかを行う。また、制御装置20は、例えば、熱交換器5から消化槽6に対する汚泥の温度をより上昇させる必要があると判定した場合、希釈装置4から熱交換器5に対する汚泥の供給量を増加させる制御と、消化槽6から熱交換器5に対する消化汚泥の供給量を減少させる制御とのうちの少なくともいずれかを行う。
【0057】
また、制御装置20は、
図6に示すように、例えば、配管L1におけるポンプP1の下流側に設けられた三方弁V1の開閉制御を行うことにより、希釈装置4から熱交換器5に対する汚泥の供給量(単位時間あたりの供給量)と、希釈装置4から熱交換器5を迂回して消化槽6に対して供給される汚泥の供給量(単位時間あたりの供給量)とを制御する。なお、希釈装置4から熱交換器5を迂回して消化槽6に対して供給される汚泥は、例えば、配管L5を経由して希釈装置4から消化槽6に対して供給される。配管L5は、例えば、三方弁V1と配管L3とを連通する配管である。また、配管L3は、例えば、熱交換器5と消化槽6とを連通する配管である。
【0058】
具体的に、制御装置20は、例えば、熱交換器5から消化槽6に対する汚泥の温度をより低下させる必要があると判定した場合、希釈装置4から熱交換器5に対する汚泥の供給量を増加させるとともに、希釈装置4から熱交換器5を迂回して消化槽6に対して供給される汚泥の供給量を減少させる制御を行う。また、制御装置20は、例えば、熱交換器5から消化槽6に対する汚泥の温度をより上昇させる必要があると判定した場合、希釈装置4から熱交換器5に対する汚泥の供給量を減少させるとともに、希釈装置4から熱交換器5を迂回して消化槽6に対して供給される汚泥の供給量を増加させる制御を行う。
【0059】
また、制御装置20は、
図7に示すように、例えば、配管L2におけるポンプP2の下流側に設けられた三方弁V2の開閉制御を行うことにより、消化槽6から熱交換器5に対する消化汚泥の供給量(単位時間あたりの供給量)と、消化槽6から熱交換器5を迂回して脱水装置7に対して供給される消化汚泥の供給量(単位時間あたりの供給量)とを制御する。なお、消化槽6から熱交換器5を迂回して脱水装置7に対して供給される消化汚泥は、例えば、配管L6を経由して消化槽6から脱水装置7に対して供給される。配管L6は、例えば、三方弁V2と配管L4とを連通する配管である。また、配管L4は、例えば、熱交換器5と脱水装置7とを連通する配管である。
【0060】
具体的に、制御装置20は、例えば、熱交換器5から消化槽6に対する汚泥の温度をより低下させる必要があると判定した場合、消化槽6から熱交換器5に対する消化汚泥の供給量を増加させるとともに、消化槽6から熱交換器5を迂回して脱水装置7に対して供給される消化汚泥の供給量を減少させる制御を行う。また、制御装置20は、例えば、熱交換器5から消化槽6に対する汚泥の温度をより上昇させる必要があると判定した場合、消化槽6から熱交換器5に対する消化汚泥の供給量を減少させるとともに、消化槽6から熱交換器5を迂回して脱水装置7に対して供給される消化汚泥の供給量を増加させる制御を行う。
【0061】
これにより、制御装置20は、例えば、希釈装置4から熱交換器5に供給される汚泥の温度によらず、熱交換器5から消化槽6に対する汚泥の温度が消化槽6における消化に適した温度になるように制御を行うことが可能になる。
【0062】
なお、制御装置20は、例えば、配管L1を流れる汚泥や配管L2を流れる消化汚泥の固形物濃度を制御するものであってもよい。
【0063】
具体的に、制御装置20は、例えば、配管L1を流れる汚泥の固形物濃度が閾値を上回った場合、脱水装置7から排出された脱水ろ液等を供給することによって、配管L1を流れる汚泥の固形物濃度を所定の値まで低下させる制御を行うものであってもよい。同様に、制御装置20は、例えば、配管L2を流れる消化汚泥の固形物濃度が閾値を上回った場合、脱水装置7から排出された脱水ろ液等を供給することによって、配管L2を流れる消化汚泥の固形物濃度を所定の値まで低下させる制御を行うものであってもよい。
【0064】
これにより、制御装置20は、例えば、脱水装置2等において不具合が発生した場合であっても、配管L1を流れる汚泥や配管L2を流れる消化汚泥における固形物濃度の上昇を抑制することが可能になる。そのため、制御装置20は、例えば、脱水装置2等において不具合が発生した場合であっても、熱交換器5内における閉塞の発生を防止することが可能になり、熱交換器5から消化槽6や脱水装置7に対する汚泥の供給を継続させることが可能になる。
【0065】
[第1の実施の形態における処理方法]
次に、第1の実施の形態における処理方法について説明を行う。
図9は、第1の実施の形態における処理方法について説明するフローチャート図である。
【0066】
濃縮装置1は、例えば、最初沈殿池等の前段設備から供給された汚泥を濃縮する(
図9のステップS11)。
【0067】
そして、脱水装置2は、例えば、ステップS11において濃縮された汚泥を脱水する(
図9のステップS12)。
【0068】
続いて、可溶化装置3は、例えば、ステップS12において脱水された汚泥の可溶化を行う(
図9のステップS13)。
【0069】
具体的に、可溶化装置3は、例えば、発電装置8から供給された蒸気を用いることにより、ステップS2において脱水された汚泥を可溶化するとともに昇温させる。
【0070】
その後、希釈装置4は、例えば、ステップS13において可溶化が行われた汚泥を希釈する(
図9のステップS14)。
【0071】
そして、熱交換器5は、例えば、ステップS14において希釈された汚泥を、後述するステップS16において消化された消化汚泥との熱交換によって冷却する(
図9のステップS15)。
【0072】
続いて、消化槽6は、例えば、ステップS15において冷却された汚泥を消化する(
図9のステップS16)。
【0073】
その後、熱交換器5は、例えば、ステップS16において消化された消化汚泥を、ステップS14において希釈された汚泥によって昇温する(
図9のステップS17)。
【0074】
すなわち、ステップS15とステップS17のそれぞれは、例えば、熱交換器5において同時に行われる処理である。
【0075】
そして、脱水装置7は、例えば、ステップS17において昇温された消化汚泥を脱水する(
図9のステップS18)。
【0076】
このように、本実施の形態における処理システム100は、例えば、熱交換器5に対する汚泥の供給と、熱交換器5に対する消化汚泥の供給とのうちの少なくともいずれかを制御する制御装置20を有する。
【0077】
また、本実施の形態における処理システム100は、例えば、熱交換器5によって昇温された消化汚泥を脱水する脱水装置7を備える。
【0078】
また、本実施の形態における処理システム100は、例えば、熱交換器5に供給される前の汚泥を昇温する処理装置10を備える。
【0079】
具体的に、処理装置10は、例えば、熱交換器5に供給される前の汚泥を可溶化する可溶化装置3を有する。また、処理装置10は、例えば、可溶化装置3に供給される前の汚泥を脱水する脱水装置2を有する。
【0080】
さらに、消化槽6は、例えば、処理装置10によって昇温された後の汚泥に含まれる有機性成分を消化する。また、本実施の形態における処理システム100は、例えば、消化槽6における有機性成分の消化によって発生した消化ガスを燃焼させて生じる熱エネルギーによって発電する発電装置8を備える。そして、処理装置10は、例えば、発電装置8から排出される流体が有する熱エネルギーによって汚泥を昇温する。
【0081】
これにより、本実施の形態における処理システム100は、例えば、熱交換器5から消化槽6に供給される汚泥の温度を消化に適する温度に冷却させることが可能になるとともに、希釈装置4から熱交換器5に供給される汚泥が保有する熱エネルギーによって消化汚泥を昇温させることが可能になる。そのため、処理システム100は、例えば、電力等の外部エネルギーの消費量を抑制しながら、脱水装置7によって脱水された消化汚泥の含水率を低下させることが可能になり、脱水装置7において脱水された後の消化汚泥の減容化を行うことが可能になる。
【0082】
なお、熱交換器5は、例えば、脱水装置7に取り付けられるものであってもよい。具体的に、熱交換器5は、例えば、希釈装置4から供給された汚泥(可溶化装置3において昇温された汚泥)を内部に供給することによって、脱水装置7内の消化汚泥を昇温するジャケットであってもよい。
【0083】
[第1の実施の形態における処理システム100の変形例(1)]
次に、第1の実施の形態における処理システム100の変形例(以下、第1変形例とも呼ぶ)について説明を行う。
図10は、第1変形例の構成について説明する図である。
【0084】
本変形例における発電装置8は、例えば、発電に伴って発生した蒸気を可溶化装置3に供給するとともに、発電に伴って発生した温水を希釈装置4に供給する。そして、希釈装置4は、例えば、発電装置8から供給された温水を希釈水の少なくとも一部として用いることによって、可溶化装置3から供給された汚泥を希釈する。
【0085】
すなわち、例えば、発電装置8がガスエンジン等である場合、発電装置8は、蒸気に加えて温水を排出する。そのため、希釈装置4は、例えば、発電装置8から供給された温水を希釈液として用いることにより、常温の水を希釈液として用いた場合と比較して、可溶化装置3から供給された汚泥の温度低下を抑制しながら希釈を行うことが可能になる。
【0086】
これにより、本変形例における処理システム100は、例えば、熱交換器5において回収可能な熱エネルギーを増加させることが可能になり、脱水装置7に供給される消化汚泥をより加温することが可能になる。そのため、処理システム100は、例えば、脱水装置7における汚泥の脱水性をより向上させることが可能になる。
【0087】
[第1の実施の形態における処理システム100の変形例(2)]
次に、第1の実施の形態における処理システム100の変形例(以下、第2変形例とも呼ぶ)について説明を行う。
図11は、第2変形例の構成について説明する図である。
【0088】
本変形例における希釈装置4は、例えば、脱水装置7において脱水された脱水ろ液のうちの少なくとも一部を希釈水として用いることにより、可溶化装置3から供給された汚泥を希釈する。
【0089】
すなわち、脱水装置7において脱水された脱水ろ液は、例えば、熱交換器5によって加温された消化汚泥から脱水された脱水ろ液である。そのため、希釈装置4は、例えば、脱水装置7において脱水された脱水ろ液を希釈液として用いることにより、常温の水を希釈液として用いた場合と比較して、可溶化装置3から供給された汚泥の温度低下を抑制しながら希釈を行うことが可能になる。
【0090】
これにより、本変形例における処理システム100は、
図10で説明した場合と同様に、例えば、熱交換器5において回収可能な熱エネルギーを増加させることが可能になり、脱水装置7に供給される消化汚泥をより加温することが可能になる。そのため、処理システム100は、例えば、脱水装置7における汚泥の脱水性をより向上させることが可能になる。
【0091】
また、本変形例における処理システム100は、この場合、例えば、脱水装置7から排出された脱水ろ液の少なくとも一部を希釈装置4に供給することで、最初沈殿池等に返送される脱水ろ液の量を抑制することが可能になる。そのため、処理システム100は、例えば、脱水ろ液の返送先である水処理システム(水処理システムに含まれる最初沈殿池や反応槽や最終沈殿池等)における処理負担を低減させることが可能になる。
【0092】
[第1の実施の形態における処理システム100の変形例(3)]
次に、第1の実施の形態における処理システム100の変形例(以下、第3変形例とも呼ぶ)について説明を行う。
図12は、第3変形例の構成について説明する図である。
【0093】
本変形例における発電装置8は、例えば、発電に伴って発生した蒸気を可溶化装置3に供給するとともに、発電に伴って発生した温水を脱水装置7に供給する。そして、脱水装置7の熱交換器(図示せず)は、例えば、発電装置8から供給された温水と熱交換を行うことによって、脱水装置7内の消化汚泥(消化槽6から供給された消化汚泥)を昇温する。脱水装置7の熱交換器は、例えば、脱水装置7に取り付けられたジャケットであってよい。その後、脱水装置7の熱交換器は、例えば、脱水装置7内の消化汚泥と熱交換を行った後の温水を外部に排出する。
【0094】
すなわち、脱水装置7の熱交換器は、例えば、発電装置8から供給された温水を熱媒として熱交換を行うことにより、脱水装置7内の消化汚泥を直接昇温させる。
【0095】
これにより、本変形例における処理システム100は、例えば、脱水装置7の熱交換器に対して供給される熱媒(温水)の量を調整することで、脱水装置7内の消化汚泥の温度を精度良く調整することが可能になる。
【0096】
また、本変形例における処理システム10は、例えば、発電装置8から供給された温水によって脱水装置7内の消化汚泥を直接昇温させることで、脱水装置7における消化汚泥の脱水をより高温の状態で行うことが可能になり、消化汚泥の脱水性をより向上させることが可能になる。
【0097】
なお、本実施の形態における処理システム100では、例えば、第1変形例、第2変形例及び第3変形例のそれぞれを適宜組み合わせるものであってもよい。
【符号の説明】
【0098】
1:濃縮装置 2:脱水装置
3:可溶化装置 4:希釈装置
5:熱交換器 6:消化槽
7:脱水装置 8:発電装置
10:処理装置 20:制御装置
100:処理システム 201:CPU
202:メモリ 203:通信装置
204:記憶媒体 205:バス
210:プログラム 230:情報格納領域