(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164582
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】播種器具
(51)【国際特許分類】
A01C 7/02 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
A01C7/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080176
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】石▲崎▼ 創
(72)【発明者】
【氏名】竹山 智洋
(72)【発明者】
【氏名】平井 宏典
(72)【発明者】
【氏名】坂垣内 貴保
(72)【発明者】
【氏名】大井戸 直幸
【テーマコード(参考)】
2B054
【Fターム(参考)】
2B054AA14
2B054AA15
2B054BA01
2B054BB03
2B054CA01
2B054CB02
2B054DD13
2B054DE02
(57)【要約】
【課題】播種孔の生成と、種子の播種孔への供給との2種類の処理を行う。
【解決手段】播種器具1は、播種孔生成部22と、播種部20とを備える。播種孔生成部22は、培地Gに対して掘削し、播種孔H1を生成する。播種部20は、播種孔H1に種子Sdを供給する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
培地に対して掘削し、播種孔を生成する播種孔生成部と、
前記播種孔に種子を供給する播種部と
を備える、播種器具。
【請求項2】
前記播種部は、前記種子を収容する第1収容部を含み、
前記第1収容部は、前記種子が通過可能な第1貫通孔を有し、
前記播種孔生成部は、前記第1貫通孔を通過可能に設けられる、請求項1に記載の播種器具。
【請求項3】
前記播種部は、複数の種子を収容する第2収容部と、
前記第1収容部と前記第2収容部とを仕切る仕切部と、
前記仕切部に設けられた第2貫通孔に挿入され、前記第2貫通孔に沿って移動可能な可動部材と
を含み、
前記可動部材は、前記種子を配置する配置部を有し、
前記播種孔生成部は、前記可動部材における前記第1収容部側の第1端部に設けられる、請求項2に記載の播種器具。
【請求項4】
前記播種部は、
前記仕切部に対する前記可動部材の位置に応じて第1状態と第2状態とが切り替わり、
前記第1状態は、前記配置部が前記第2収容部に位置する状態を示し、
前記第2状態は、前記配置部が前記第1収容部に位置する状態を示し、
前記播種孔生成部は、
前記第1状態において、前記第1貫通孔より前記第2収容部側に位置し、
前記第2状態において、前記第1貫通孔を通過して前記培地を掘削する、請求項3に記載の播種器具。
【請求項5】
前記播種部を収容する筐体と
前記筐体に接続され、前記可動部材の前記第1端部と反対側の第2端部を保持する保持部と、
前記保持部と前記第2収容部との間に位置し、前記第2収容部を前記筐体に対して前記可動部材の前記第1端部側に向かって付勢する付勢部材と
更に備える、請求項4に記載の播種器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、播種器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の種まき器の装置は、定量の粒状の種子やお菓子をスプリングのついた押し出し棒の一方を指で押すだけの簡単な操作で排出できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、植物の種類によっては、種を地中等に埋めることが要求される。つまり、種を埋めるための孔を形成することが求められる場合がある。この場合、特許文献1の種まき器では、種を埋めるための孔を形成することができない。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、種子を埋めるための播種孔の生成と、種子の播種孔への供給との2種類の処理が可能な播種器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る播種器具は、播種孔生成部と、播種部とを備える。前記播種孔生成部は、培地に対して掘削し、播種孔を生成する。前記播種部は、前記播種孔に種子を供給する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、播種孔の生成と、種子の播種孔への供給との2種類の処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】本実施形態に係る播種器具における播種部を示す分解図である。
【
図3】本実施形態に係る播種器具を示す分解図である。
【
図4】種子が播種される前の播種器具を示す図である。
【
図6】播種器具による播種孔の生成を示す図である。
【
図8】生成した播種孔に種子が播種された後の播種器具を示す図である。
【
図9】本実施形態に係る播種器具の変形例を示す図である。
【
図10】本実施形態に係る播種器具の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
図1~
図3を参照して、本実施形態に係る播種器具について説明する。
図1は、本実施形態に係る播種器具1の外観図である。
図2は、本実施形態に係る播種器具1における播種部20を示す分解図である。
図3は、本実施形態に係る播種器具1を示す分解図である。
【0011】
播種器具1は、培地に種子を植えるための播種孔を生成し、生成した播種孔に種子をまくために用いられる。
図1~
図3に示すように、播種器具1は、播種部20と、播種孔生成部22とを備える。播種孔生成部22は、培地に対して掘削し、培地に播種孔を生成する。培地は、一例として、セル成型苗、ポット苗、畑又は苗マットである。播種部20は、播種孔生成部22の掘削により生成された播種孔に種子Sd(
図8)を供給する。
【0012】
次に、
図1~
図3を参照して、播種部20の構造を説明する。
図1に示すように、播種器具1は、播種部20と、播種部20を収容する筐体10とを備える。一例として、筐体10は、円筒形状である。また、播種器具1は、播種部20と筐体10とを接続する接続部14を備える。
【0013】
図2及び
図3に示すように、播種部20は、第1収容部11と、第2収容部12と、可動部材21とを含む。第2収容部12は、筐体10の形状に沿った円筒形状であり、筐体10の内側(
図1)に位置する。第2収容部12は、種子Sdを含む複数の種子を収容可能である。具体的には、第2収容部12は、円筒状の筒部121と、筒部121の一方の端部を覆う底部13とを含む。筒部121における底部13と反対側の端部は、開口である。第2収容部12において、筒部121及び底部13で囲まれた空間には、複数の種子が収容される。例えば、筒部121の外径は、筐体10の内径と同じである。
【0014】
第2収容部12には、可動部材21が配置される。可動部材21は、接続部14に取り付けられる。具体的には、接続部14は、円筒状の筒部142と、筒部142から張り出した鍔部143とを有する。例えば、筒部142の外径は、筒部121の内径と同じである。鍔部143は、筒部121の一方の端部に設けられる。筒部142は、両端が開口である。つまり、筒部142の一方の端部は、開口144であり、筒部142の他方の端部は、開口145である。開口144には、筒部142に対して着脱可能なキャップ(カバー)30(
図1)が取り付けられる。キャップ30が取り外されると、開口144から筒部121の底部13までが複数の種子の収容空間を形成する。つまり、複数の種子は、開口144から収容空間に投入され、底部13に集積される。
【0015】
開口145には、保持部141が設けられる。保持部141は、筒部142の内壁に接続され、筒部142の径方向に対して内側に向かって延びる。保持部141は、筒部142の中心軸を通る。つまり、保持部141は、開口145の一部を覆う。したがって、筒部142の内側は、種子Sdが通り抜けることが可能である。保持部141における筒部142の中心軸の位置には、可動部材21が取り付けられる。言い換えると、保持部141は、可動部材21を保持する。具体的には、可動部材21は、保持部141によって筒部142の外側に保持される。
【0016】
可動部材21は、棒状の本体部21Aと、平板部23Aとを含む。本体部21Aは、第2収容部12の筒部121が延びる方向に沿って延びる。本体部21Aの径は、筒部121の内径及び保持部141の筒部142の内径より小さい。本体部21Aの長さは、筒部121の長さより長い。
【0017】
本体部21Aの一方の第1端部には、播種孔生成部22が設けられる。具体的には、本体部21Aの第1端部は、先細りの形状である。つまり、本体部21Aの第1端部は、尖っている。第1端部が先細りの形状であることから、第1端部は、培地に対して刺さりやすい。その結果、後述(
図7)の播種孔の生成が容易になる。
【0018】
一方、本体部21Aの反対側の第2端部は、保持部141に取り付けられる。つまり、本体部21Aの一方の端部は、保持部141によって保持される。
【0019】
本実施形態において、平板部23Aは、本体部21Aの両端間の少なくとも一部を占める。平板部23Aは、本体部21Aから径方向に延びる。平板部23Aの径方向の長さは、例えば、第2収容部12における筒部121の内径の半径と同じである。
【0020】
平板部23Aには、種子Sdが配置される配置部23Bが設けられる。本実施形態において、配置部23Bは、平板部23Aを貫通する円形の貫通孔であるが、配置部23Bは、一方が塞がった孔でもよい。また、配置部23Bの形状は、種子Sdの形状に応じて、いかなる形状でもよい。例えば、配置部23Bの開口部23Cをテーパ形状にすると、種子Sdが配置部23Bに位置しやすくなる。
【0021】
なお、平板部23Aの形状及び本体部21Aに対する平板部23Aの配置は、上記に限定されない。更に、可動部材21に平板部23Aが設けられなくてもよい。この場合、配置部23Bは、本体部21Aに設けられる。
【0022】
図3に示すように、可動部材21が接続部14に取り付けられた状態で、接続部14は、バネ15を介して、第2収容部12に対して挿抜可能に接続される。バネ15は付勢部材の一例である。このとき、可動部材21の一部は、第2収容部12の内側に位置する。バネ15は、第2収容部12の筒部121における底部13と反対側の端部と接続部14の鍔部143との間に、筒部142に巻き付けて配置される。バネ15は、第2収容部12を、鍔部143と反対側に向けて付勢する。
【0023】
一方、可動部材21の本体部21Aには、筒部121の底部13と反対側から可動部材21が抜けないための抜止部材16が配置される。抜止部材16は、本体部21Aの周囲を覆うように固定して配置されるリング状の部材である。バネ15及び抜止部材16により、第2収容部12は、バネ15に対して外からの力が加わっていない状態において、抜止部材16に押し付けられる。以下、播種器具1において、バネ15に対して外からの力が加わっていない状態を通常状態と記載する。
【0024】
図2及び
図3に示すように、第2収容部12の底部13には、貫通孔131が設けられる。貫通孔131には、可動部材21の本体部21Aと平板部23Aとが挿入される。具体的には、接続部14と第2収容部12とが接続されると、本体部21A及び平板部23Aは、貫通孔131の内側に位置する。貫通孔131のサイズは、本体部21A及び平板部23Aの径方向に沿った断面のサイズと同じである。
【0025】
図3に示すように、第2収容部12の底部13側には、第1収容部11が接続される。第1収容部11は、筒状の第1筒部112と、筒状の第2筒部113と、第1筒部112と第2筒部113とを繋ぐ連結部114とを含む。第1筒部112の外径は、筒部121の外径及び筐体10の内径と同じである。第2筒部113の外径は、第1筒部112の外径より小さい。連結部114は、第1筒部112の一方の端部と第2筒部113の一方の端部とを接続する。つまり、連結部114は、第1筒部112から第2筒部113に向かって先細りの形状である。
【0026】
第1筒部112における連結部114と反対側の端部は、第2収容部12の底部13に接続される。言い換えると、第1収容部11と第2収容部12とは、底部13によって仕切られている。本実施形態において、底部13は、仕切部の一例である。
【0027】
第1収容部11は、第2筒部113の延びる方向に沿った貫通孔111を有する。つまり、第2筒部113の内部は、貫通孔111を形成する。貫通孔111は、種子Sdが通過可能なサイズである。以下、貫通孔111が設けられた第2筒部113を先端とも記載する。
【0028】
図1~
図3に示すように、筐体10は、第2収容部12及び接続部14を覆う。本実施形態において、筐体10は、接続部14の鍔部143に固定される。したがって、バネ15は、筐体10と第2収容部12との間に位置する。その結果、バネ15によって、第1収容部11及び第2収容部12は、筐体10に対して播種器具1の先端側に向かって付勢される。
【0029】
次に、
図4~
図8を参照して、播種器具1を用いた播種方法を説明する。
図4~
図8は、播種器具1を用いた播種方法を段階ごとに示している。
図4は、種子Sdが播種される前の播種器具1を示す図である。
図5は、
図4に示す播種器具1の断面図である。
図6は、播種器具1による播種孔の生成を示す図である。
図7は、
図6に示す播種器具1の断面図である。
図8は、生成した播種孔に種子Sdが播種された後の播種器具1を示す図である。
【0030】
図4に示すように、播種器具1を用いて種子Sdを培地Gに播種する場合、まず、通常状態の播種器具1が、先端が培地Gに接触するように培地Gに突き立てられる。
【0031】
図5に示すように、通常状態の播種器具1において、配置部23Bは、第2収容部12に位置する。より詳細には、配置部23Bは、通常状態において、底部13より第2収容部12側に位置する。以下、配置部23Bが第2収容部12に位置する状態を第1状態P1と記載する。
【0032】
図5では、図の理解を容易にするために、第2収容部12に収容された複数の種子を省略している。第1状態P1において、複数の種子のうちのある種子Sdが配置部23Bに配置される。このとき、配置部23Bの開口部23Cがテーパ形状をしていることから、ある種子Sdが他の種子によって配置部23Bの内側に押し込まれやすくなっている。また、第1状態P1において、可動部材21における播種器具1の先端側に配置された播種孔生成部22は、第1収容部11に位置する。つまり、播種孔生成部22は、貫通孔111より第2収容部12側に位置する。
【0033】
図6は、
図5に示す通常状態の播種器具1に対して、筐体10に播種器具1の先端側に向かって力が加えられた状態を示す。以下、播種器具1に対して力が加えられた状態を加圧状態と記載する。
【0034】
図7に示すように、筐体10に播種器具1の先端側に向かって力が加えられると、筐体10、筐体10に固定して接続された接続部14、及び接続部14によって保持された可動部材21が、第1収容部11及び第2収容部12に対して、播種器具1の先端側に移動するとともに、バネ15が縮む。その結果、可動部材21における播種器具1の先端側に配置された播種孔生成部22が、貫通孔111を通過して第1収容部11の外に露出する。
【0035】
第1収容部11の外に露出した播種孔生成部22は、培地Gを掘削する。その結果、培地Gには、播種孔生成部22のサイズに応じた大きさの播種孔H1が生成される。
【0036】
また、加圧状態の播種器具1において、配置部23Bは、第1収容部11に位置する。より詳細には、配置部23Bは、加圧状態において、底部13より第1収容部11側に位置する。以下、配置部23Bが第1収容部11に位置する状態を第2状態P2と記載する。
【0037】
第2状態P2において、配置部23Bに配置された種子Sdは、配置部23Bの外であって第1収容部11の内側に排出される。このとき、配置部23Bの開口部23Cがテーパ形状をしていることから、種子Sdが自重又は配置部23Bの可動に伴う慣性力によって配置部23Bから排出されやすくなっている。第1収容部11における連結部114は、先細りの形状に応じて培地Gに対して傾斜しているため、第1収容部11に排出された種子Sdは、種子Sdの自重により連結部114の内側を転がり先端側の貫通孔111まで移動する。
【0038】
第2状態P2においては、貫通孔111が播種孔生成部22によって塞がれているため、種子Sdは、貫通孔111を通って第1収容部11の外には排出されない。
【0039】
更に、
図8に示すように、加圧状態から筐体10に力が加えられなくなると、播種器具1は、通常状態に移行する。このとき、バネ15が伸び、バネ15が伸びるときの弾性力によって、筐体10、筐体10に固定して接続された接続部14、及び接続部14によって保持された可動部材21が、第1収容部11及び第2収容部12に対して、播種器具1の先端と反対側に移動する。つまり、播種器具1は、
図6及び
図7に示す状態から
図4及び
図5に示す状態に戻る。したがって、可動部材21は、第2状態P2から第1状態P1へ切り替わる。よって、播種孔生成部22は、貫通孔111より第2収容部12側に位置し、貫通孔111を塞がなくなる。その結果、第1収容部11内の種子Sdは、貫通孔111を通って播種孔H1へ供給される。一方、第2状態P2へ切り替わった播種器具1において、第2収容部12に収容された複数の種子のうちから1つの種子が配置部23Bに供給される。つまり、配置部23Bに新たな種子が補充される。
【0040】
以上、
図1~
図8を参照して説明したように、播種器具1は、培地Gに対して掘削し、播種孔H1を生成する播種孔生成部22と、播種孔H1に種子Sdを供給する播種部20とを備える。したがって、播種器具1で播種孔H1を掘削するとともに、種子Sdを播種孔H1に播種できる。つまり、播種孔H1の生成と、種子Sdの播種孔H1への播種(供給)との2種類の処理を、1つの播種器具1で処理できるようになる。
【0041】
また、播種部20において、種子Sdを収容する第1収容部11には、種子Sd及び播種孔生成部22が通過可能なサイズの貫通孔111が設けられる。これにより、種子Sdに適したサイズの播種孔H1を容易に生成できる。
【0042】
また、播種部20は、第1収容部11と仕切られ、複数の種子を収容する第2収容部12を更に含む。第1収容部11と第2収容部12とを仕切る仕切部である第2収容部12の底部13に設けられた貫通孔131には、貫通孔131に沿って移動可能な可動部材21が挿入される。可動部材21は、種子Sdを配置する配置部23Bを有するとともに、第1収容部11側の第1端部に播種孔生成部22が設けられる。したがって、播種孔H1の生成及び種子Sdの播種(供給)を1つの部材で行うことが可能になる。
【0043】
更に、播種器具1は、配置部23Bが第2収容部12に位置する第1状態P1と、配置部23Bが第1収容部11に位置する第2状態P2とが切り替わる。播種孔生成部22は、第1状態P1において、貫通孔111より第2収容部12側に位置し、第2状態P2において、貫通孔111を通過して培地Gを掘削する。したがって、播種器具1において、播種孔H1の生成と、種子Sdの播種とが、播種器具1を培地Gに押し付けて離す1つの動作で行われる。つまり、播種孔H1の生成と、種子Sdの播種とを連動して行うことが可能になるとともに、作業ミスの低減が可能になる。
【0044】
更に、播種器具1は、第1収容部11及び第2収容部12を収容する筐体10と、筐体10に接続され、可動部材21の第2端部を保持する保持部141と、筐体10と第2収容部12との間に位置し、第2収容部12を筐体10に対して可動部材21の第1端部側に向かって付勢するバネ15とを有する。バネ15の弾性力により、筐体10及び筐体10に固定された可動部材21を第2収容部12に対して可動させることで、容易に第1状態P1と第2状態P2とを切り替えることができる。その結果、播種孔H1の生成及び種子Sdの播種の作業効率が向上する。
【0045】
[変形例1]
次に、
図9を参照して、本実施形態に係る播種器具1の変形例1を説明する。
図9は、本実施形態に係る播種器具1の変形例1を示す図である。
図9は、播種器具1の変形例1による播種孔H2の生成及び種子Sdの播種を示す。播種器具1の変形例1は、播種孔生成部22の形状が異なる以外、
図1~
図8に示す播種器具1を同じである。
【0046】
図9に示すように、播種器具1の変形例1における播種孔生成部22は、先端に突起部22Aを有する。突起部22Aは、播種孔生成部22の軸中心から更に先端側に向かって突出する。播種器具1の変形例1は、播種孔H2を生成する。播種孔H2は、播種孔H1に突起部22Aに沿った形状の孔が形成され た形状である。例えば、突起部22Aの径は、種子Sdより小さい。このような突起部22Aの形状により、種子Sdの根あばれ防止に効果的な形状を有する播種孔H2を容易に生成できる。
【0047】
[変形例2]
次に、
図10を参照して、本実施形態に係る播種器具1の変形例2を説明する。
図10は、本実施形態に係る播種器具1の変形例2を示す図である。本実施形態において、
図10に示す播種器具1の変形例2における播種孔生成部22は、可動部材21以外に形成される。播種器具1の変形例2は、播種孔生成部22の位置以外、播種器具1と同じである。例えば、播種器具1の変形例2における播種孔生成部22は、筐体10にアーム等を介して取り付けられる針状の部品である。播種器具1の変形例2において、播種孔生成部22は、第1収容部11又は筐体10から外側に向かっていずれかの方向に突出する。
図10では、第1収容部11の播種工程に干渉しないように、播種孔生成部22は、培地Gとは別の方向に突出している。なお、播種器具1の変形例2において、播種孔生成部22が突出する方向は、特に限定されず、播種孔生成部22は、例えば培地Gを向く方向に延びていてもよい。この場合、播種孔H1の生成及び種子Sdの播種を別工程において行うため、各々の工程において、繊細な処理が可能になる。
【0048】
[変形例3]
本実施形態において、通常状態と加圧状態との切り替わりに応じて、貫通孔111に対して空気を吹き付ける送風部が更に設けられてもよい。送風部が吹き付ける空気によって、貫通孔111に付着する土又は種子等の粒子を吹き飛ばすことで、粒子が貫通孔111に詰まりにくくなる。
【0049】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0050】
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、播種器具の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 :播種器具
10 :筐体
11 :第1収容部
12 :第2収容部
13 :仕切部(底部)
14 :接続部
15 :付勢部材(バネ)
20 :播種部
21 :可動部材
22 :播種孔生成部
23B :配置部
111 :貫通孔(第1貫通孔)
114 :連結部
131 :貫通孔(第2貫通孔)
141 :保持部
G :培地
H1、H2 :播種孔
P1 :第1状態
P2 :第2状態
Sd :種子