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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164583
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20241120BHJP
   H01L 23/467 20060101ALI20241120BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
H01L23/36 Z
H01L23/46 C
H05K7/20 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080177
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉川 謙一郎
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AB04
5E322BB03
5E322EA10
5E322FA04
5F136AA10
5F136BA03
5F136BC01
5F136BC07
5F136CA06
5F136CA08
5F136DA25
5F136EA36
5F136FA02
5F136FA03
5F136FA82
(57)【要約】
【課題】ヒートシンクにより発熱体を破損させてしまうことを抑制することができ、発熱体を効率よく放熱させることができる冷却装置を提供する。
【解決手段】発熱体18に接触する接触面24と、発熱体18が設置される基板に固定されヒートシンク21を発熱体18上に支持する支持脚40と、ヒートシンク21と支持脚40との間に設けられ、接触面24と発熱体18との距離を調整する調整部材50と、を備えている。これにより、調整部材50により、ヒートシンク21と発熱体18との距離を調整することができるので、ヒートシンク21により発熱体18を破損させてしまうことを抑制することができ、発熱体18を効率よく放熱させることができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体を冷却するヒートシンクを有する冷却装置において、
前記発熱体に接触する接触面と、
前記発熱体が設置される基板に固定され前記ヒートシンクを前記発熱体上に支持する支持部と、
前記ヒートシンクと前記支持部との間に設けられ、前記接触面と前記発熱体との距離を調整する調整部材と、を備えている
ことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記支持部は、前記ヒートシンクよりも熱伝導率の低い部材で構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記ヒートシンクは、支持突部を備え、
前記支持部は、前記ヒートシンクの前記支持突部を受け入れる支持係合部を備え、
前記調整部材は、前記支持突部と、前記支持部の上端部との間に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記調整部材の厚さ寸法は、前記支持突部の下端部と前記支持係合部の下部との間の距離より大きく形成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PC板に立設された複数の取付部支柱により、ヒートシンク本体を上下動自在かつ傾動自在に支持し、コイルばねによりヒートシンク本体をMPUの方へ付勢することにより、高さあるいは傾きなどの寸法誤差があっても、ヒートシンク本体がMPUの発熱面に確実に接触する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-024114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、ヒートシンクを用いたMPUなどの発熱体の放熱については、ヒートシンクと発熱体とを密着させることで最も放熱性能が高くなる。
しかしながら、ヒートシンクの製造時における寸法誤差が生じる場合があり、ヒートシンクを発熱体に装着させた場合に、ヒートシンクと発熱体との間に間隙が形成されて装着されたり、ヒートシンクが発熱体に対して常に応力がかかる状態で装着される場合がある。
この場合に、前記従来の技術では、ヒートシンク本体を発熱体に対してコイルばねにより付勢力を与えるため、発熱体に対して常に応力を付与する状態で装着されてしまい、発熱体の破損を招くおそれがある。
また、発熱体に対してコイルばねによる付勢力を与えるための別の機構が必要となるという課題もある。
本発明は、前記した事情に鑑みてなされたものであり、ヒートシンクにより発熱体を破損させてしまうことを抑制することができ、発熱体を効率よく放熱させることができる冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明の冷却装置は、発熱体を冷却するヒートシンクを有する冷却装置において、前記発熱体に接触する接触面と、前記発熱体が設置される基板に固定され前記ヒートシンクを前記発熱体上に支持する支持部と、前記ヒートシンクと前記支持部との間に設けられ、前記接触面と前記発熱体との距離を調整する調整部材と、を備えていることを特徴とする冷却装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、調整部材により、ヒートシンクと発熱体との距離を調整することができるので、ヒートシンクにより発熱体を破損させてしまうことを抑制することができ、発熱体を効率よく放熱させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施の形態に係る冷却装置が適用された車載装置を示す分解斜視図である。
図2】本実施の形態に係るヒートシンクユニットを示す分解斜視図である。
図3】本実施の形態に係るヒートシンクユニットを示す側面図である。
図4】本実施の形態に係る支持脚部分の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[1.冷却装置の構成]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0009】
車載装置1は、例えば、オーディオ装置やナビゲーション装置といった車両に搭載される装置である。
図1に示すように、車載装置1は、筐体10を備えている。筐体10は、車両における設置スペースに収まる形状(図示例では直方体形状)、及び寸法に、金属や樹脂などの適宜の材料から形成されている。
設置スペースとしては、例えば、車両のダッシュボードに設けられた収納凹部が挙げられる。この収納凹部のサイズには、ドイツ工業規格の1DIN、または2DINのサイズ規格が用いられる。
【0010】
筐体10は、略平板状の底板部材11と、両側部を閉塞する側板12と天板13とを一体に形成してなる上側部材14と、背面部材15とから構成されている。
底板部材11には、底板部材11の略全面に亘って設置される基板としての回路基板16が取付けられている。回路基板16には、必要な電気・電子部品17が搭載されている。
【0011】
回路基板16は、例えば、プリント基板であり、車載装置の各種の機能を実現するための多数の部品が実装面に配置されている。これらの部品の中には、他の部品に比べて発熱量が多く、また安定動作のために放熱を要する発熱体18(以下、発熱体と言う)が含まれている。発熱体18としては、例えばMPUやCPUのどのプロセッサや、各種の集積回路が挙げられる。
【0012】
ヒートシンクユニット20は、発熱体18を空冷することで、当該発熱体18の発熱を放熱する放熱構造の一態様であり、ヒートシンク21と、冷却ファン22と、を備えている。
ヒートシンク21は、発熱体18を放熱する部材であり、例えばアルミニウムや銅、アルミニウム合金などの高熱伝導性材料から形成されている。
【0013】
図1および図2に示すように、ヒートシンク21は、上面が開放された箱型の本体23を備えている。本体23の下面略中央部分には、下方に突出する接触面24が形成されている。
接触面24は、略平面状に形成されており、接触面24は、発熱体18の表面に当接される。
発熱体18の表面と接触面24との間には、熱伝導性グリスや熱伝導性シートを設けてもよい。
【0014】
図1に示すように、本体23の上面内側には、複数の放熱フィン25が立設されている。本体23の一側の底面には、開口26が形成されている。開口26には、冷却ファン22が取付けられている。
冷却ファン22は、発熱体18から熱量が伝導されたヒートシンク21を空冷する気流発生装置である。本実施の形態では、冷却ファン22には軸流ファンが用いられている。なお、冷却ファン22の種類は、シロッコファンなどの軸流ファン以外でもよい。
本実施の形態では、冷却ファン22を回転駆動することで、ヒートシンク21の中に気流が発生し、この気流により放熱フィン25を空冷することにより、ヒートシンク21が効率良く冷却されるように構成されている。
【0015】
図2から図4に示すように、本体23の両側下面には、下方に突出する支持突部30が形成されている。支持突部30の下方には、直径が小径とされた脚係合部31が形成されている。支持突部30と脚係合部31との境界部分には、支持段部32が形成されている。
【0016】
支持突部30には、支持部としての支持脚40が取付けられる。支持脚40は、下方の径が小径となるようにテーパ状に形成された円筒状に形成されている。
支持脚40の上方内側には、内径を大きく形成してなり、脚係合部31の外周側に係合する支持係合部41が形成されている。
支持係合部41の下端には、支持脚段部42が形成されている。
そして、支持脚40を回路基板16に固定した状態で、支持脚40の支持係合部41の内側に、支持突部30の脚係合部31を係合させることで、支持脚40によりヒートシンク21の本体23を回路基板16上に支持するように構成されている。
支持脚40は、例えば、樹脂など、ヒートシンク21よりも熱伝導率の低い部材で構成されている。
【0017】
さらに、支持脚40の支持係合部41の内側に、支持突部30の脚係合部31を係合させた状態で、支持段部32と支持脚40の上端面との間には、環状の調整部材50が設けられている。
調整部材50は、その厚さ寸法を調整することで、回路基板16に対するヒートシンク21の支持高さを調整できるように構成されている。
【0018】
ヒートシンク21の外形は、製造工程における寸法精度の関係で、微小な寸法誤差が生じることがある。
ヒートシンク21の接触面24と、発熱体18の表面との間には、熱伝導性グリスや熱伝導性シートなどが介在されるため、微小な間隙を形成することが望ましい。
しかしながら、前述のように、ヒートシンク21の寸法誤差が生じると、接触面24と発熱体18との間隙を所定の間隙とすることができなくなるおそれがある。
【0019】
本実施の形態においては、調整部材50の厚さ寸法を調整することで、回路基板16に対するヒートシンク21の支持高さを調整することが可能となる。
調整部材50としては、例えば、ゴムなどの弾性部材からなるダンパやスプリングワッシャなど、厚さ寸法が弾性変形するものが用いられる。
【0020】
調整部材50の厚さ寸法は、支持脚40の支持係合部41の内側に支持突部30の脚係合部31を係合させた状態で、支持突部30の脚係合部31の下端部と支持脚40の支持脚段部42との距離より、大きく形成されている。
これにより、通常は、調整部材50の厚さ寸法により、脚係合部31の下端部と支持脚段部42との距離を確保することができる。従って、調整部材50に押圧力が加わって調整部材50の厚さ寸法が限界まで圧縮され場合には、脚係合部31の下端部が支持脚段部42に突き当たることで、ヒートシンク21を支持することができる。
【0021】
[2.冷却装置の作用]
次に、本実施の形態の作用について説明する。
本実施の形態においては、まず、回路基板16に支持脚40の下端を固定する。一方、ヒートシンク21の接触面24と、発熱体18の表面との間隙に応じて、所望の厚さ寸法の調整部材50を用意する。
そして、支持脚40の上端面に所定の厚さ寸法の調整部材50を載置させた状態で、支持脚40の支持係合部41の内側に、支持突部30の脚係合部31を係合させる。
これにより、支持脚40によりヒートシンク21の本体23を回路基板16上に支持することができる。
【0022】
この状態で、ヒートシンク21の接触面24は、発熱体18の表面に密着される。
そして、冷却ファン22を回転駆動することで、ヒートシンク21の中に気流が発生し、この気流により放熱フィン25を空冷することにより、ヒートシンク21が効率良く冷却される。
ヒートシンク21の冷却により、ヒートシンク21に密着している発熱体18の放熱が行われる。
【0023】
本実施の形態においては、このように支持突部30の支持段部32と支持脚40の上端部との間に、調整部材50を配置することで、ヒートシンク21の寸法誤差が生じた場合でも、調整部材50により、寸法誤差に応じて、ヒートシンク21を適正な高さに調整することができる。その結果、ヒートシンク21の接触面24を発熱体18の表面に適切な位置で密着させることが可能となる。
これにより、ヒートシンク21により発熱体18を効率よく放熱させることができる。また、ヒートシンク21を発熱体18に対して応力を加えることを抑制することができ、発熱体18の破損を抑制することができる。
【0024】
[3.効果]
以上説明したように、本実施の形態においては、発熱体18に接触する接触面24と、発熱体18が設置される基板に固定されヒートシンク21を発熱体18上に支持する支持脚40(支持部)と、ヒートシンク21と支持脚40との間に設けられ、接触面24と発熱体18との距離を調整する調整部材50と、を備えている。
これにより、調整部材50により、ヒートシンク21と発熱体18との距離を調整することができるので、ヒートシンク21により発熱体18を破損させてしまうことを抑制することができ、発熱体18を効率よく放熱させることができる。
【0025】
また、支持脚40(支持部)は、ヒートシンク21よりも熱伝導率の低い部材で構成されている。
この構成によれば、ヒートシンク21が発熱体18から吸収した熱が、ヒートシンク21および支持脚40を通って回路基板16に戻ることを抑制することができる。
【0026】
また、ヒートシンク21は、支持突部30を備え、支持脚40(支持部)は、ヒートシンク21の支持突部30を受け入れる支持係合部41を備え、調整部材50は、支持突部30と、支持脚40の上端部との間に配置されている。
これにより、調整部材50を支持突部30と支持脚40の上端部との間に配置することで、調整部材50を容易に設置することができる。さらに、調整部材50により、ヒートシンク21と発熱体18との距離を調整して、ヒートシンク21により発熱体18を破損させてしまうことを抑制することができ、発熱体18を効率よく放熱させることができる。
【0027】
また、調整部材50の厚さ寸法は、支持突部30の下端部と支持係合部41の下部との間の距離より大きく形成されている。
これにより、調整部材50の厚さ寸法により、脚係合部31の下端部と支持脚段部42との距離を確保することができ、調整部材50に押圧力が加わって調整部材50の厚さ寸法が限界まで圧縮され場合には、支持突部30の下端部が支持係合部41の下部に突き当たることで、ヒートシンク21を支持することができる。
【0028】
上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
【0029】
[4.本発明のまとめ]
以下、本発明のまとめを記載する。
(構成1)
発熱体を冷却するヒートシンクを有する冷却装置において、前記発熱体に接触する接触面と、前記発熱体が設置される基板に固定され前記ヒートシンクを前記発熱体上に支持する支持部と、前記ヒートシンクと前記支持部との間に設けられ、前記接触面と前記発熱体との距離を調整する調整部材と、を備えていることを特徴とする冷却装置。
この構成によれば、調整部材により、ヒートシンクと発熱体との距離を調整することができるので、ヒートシンクにより発熱体を破損させてしまうことを抑制することができ、発熱体を効率よく放熱させることができる。
【0030】
(構成2)
前記支持部は、前記ヒートシンクよりも熱伝導率の低い部材で構成されていることを特徴とする構成1に記載の冷却装置。
この構成によれば、ヒートシンクが発熱体から吸収した熱が、ヒートシンクおよび支持脚を通って回路基板に戻ることを抑制することができる。
【0031】
(構成3)
前記ヒートシンクは、支持突部を備え、前記支持部は、前記ヒートシンクの前記支持突部を受け入れる支持係合部を備え、前記調整部材は、前記支持突部と、前記支持部の上端部との間に配置されていることを特徴とする構成1または構成2に記載の冷却装置。
この構成によれば、調整部材を支持突部と支持脚の上端部との間に配置することで、調整部材を容易に設置することができ、調整部材により、ヒートシンクと発熱体との距離を調整して、ヒートシンクにより発熱体を破損させてしまうことを抑制することができ、発熱体を効率よく放熱させることができる。
【0032】
(構成4)
前記調整部材の厚さ寸法は、前記支持突部の下端部と前記支持係合部の下部との間の距離より大きく形成されていることを特徴とする構成3に記載の冷却装置。
この構成によれば、調整部材の厚さ寸法により、脚係合部の下端部と支持脚段部との距離を確保することができ、調整部材に押圧力が加わって調整部材の厚さ寸法が限界まで圧縮され場合には、支持突部の下端部が支持係合部の下部に突き当たることで、ヒートシンクを支持することができる。
【符号の説明】
【0033】
16 回路基板
18 発熱体
20 ヒートシンクユニット
21 ヒートシンク
24 接触面
30 支持突部
31 脚係合部
32 支持段部
40 支持脚
41 支持係合部
42 支持脚段部
50 調整部材
図1
図2
図3
図4