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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164592
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】保持装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20241120BHJP
   H04M 1/11 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
B60R11/02 T
H04M1/11 C
B60R11/02 C
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080189
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 桂
(72)【発明者】
【氏名】福田 大輔
【テーマコード(参考)】
3D020
5K023
【Fターム(参考)】
3D020BA04
3D020BA06
3D020BC03
3D020BD02
3D020BD09
3D020BE03
5K023AA07
5K023BB11
5K023DD06
5K023KK10
5K023PP05
5K023PP12
5K023PP16
(57)【要約】
【課題】ユーザが操作しなくとも車両の状態に応じて電子機器を回転させることができる保持装置を提供する。
【解決手段】保持部3が、スマートフォン2を保持する。回転部4が、表示画面21に交差する軸回りに保持部3を回転させる。車載ECU6が、車両情報が車両後進を示す場合、表示画面21の長手方向が左右方向に沿うように(横置き)回転部4を回転させ、車両情報が車両後進を示していない場合、表示画面21の長手方向が上下方向に沿うように(縦置き)回転部4を回転させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車内に設置され、表示画面を有する電子機器を保持する保持装置であって、
前記電子機器を保持する保持部と、
前記表示画面に交差する軸回り方向に前記保持部を回転させる回転部と、
車両の状態を示す車両情報に基づいて前記回転部の回転を制御する回転制御部と、を備えた、
保持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の保持装置において、
前記回転制御部は、前記車両情報が車両後進を示す場合、前記表示画面の長手方向が左右方向に沿うように前記回転部を回転させ、前記車両情報が前記車両後進を示していない場合、前記表示画面の長手方向が上下方向に沿うように前記回転部を回転させる、
保持装置。
【請求項3】
請求項1に記載の保持装置において、
前記回転制御部は、前記車両情報が前記車両のイグニッションスイッチがオフを示す場合、予め定めた回転位置まで前記回転部を回転させ、
前記電子機器との通信により予め定めた前記回転位置を設定する設定部を有する、
保持装置。
【請求項4】
請求項1に記載の保持装置において、
前記保持部は、前記電子機器を吸着する永久磁石及び第1電磁石を有し、
前記車両情報が車両停止中を示す場合、前記保持部による前記電子機器の吸着力が弱まるように前記第1電磁石の磁力を制御し、前記車両情報が車両走行中を示す場合、前記保持部による前記電子機器の吸着力が高まるように前記第1電磁石の磁力を制御する電磁石制御部をさらに備えた
保持装置。
【請求項5】
請求項4に記載の保持装置において、
前記第1電磁石は、前記軸回り方向に沿って磁化され、
前記回転部は、前記第1電磁石と前記表示画面に交差する軸方向に対向する第2電磁石を有し、
前記回転制御部は、前記第2電磁石の磁力を制御して、前記回転部の回転を制御する、
保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォンなどの表示画面を有する電子機器を車内で保持するためのホルダ(保持装置)が知られている(特許文献1)。特許文献1のホルダは、クランプ機構により電子機器を保持し、回転板を回転させてクランプ構造、電子機器を回転させる。また、特許文献1のホルダは、ユーザの操作により回転できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-6530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ユーザは、車両の状態(例えば、前進か後進か)に応じて電子機器を縦置きにしたり、横置きにしたい場合がある。この場合、従来のホルダでは、ユーザが操作して電子機器を回転させる必要がある、という課題があった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザが操作しなくとも車両の状態に応じて電子機器を回転させることができる保持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る保持装置は、下記を特徴としている。
車内に設置され、表示画面を有する電子機器を保持する保持装置であって、
前記電子機器を保持する保持部と、
前記表示画面に交差する軸回り方向に前記保持部を回転させる回転部と、
車両の状態を示す車両情報に基づいて前記回転部の回転を制御する回転制御部と、を備えた、
保持装置であること。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザが操作しなくとも車両の状態に応じて電子機器を回転させることができる保持装置を提供することができる。
【0008】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態における本発明の保持装置を示す分解斜視図である。
図2図2は、図1に示す保持装置の電気構成図である。
図3図3は、図2に示す車載ECUの処理手順を示すフローチャートである。
図4図4は、スマートフォンを横置きにした図1の保持装置を示す斜視図である。
図5図5は、スマートフォンを縦置きにした図1に示す保持装置を示す斜視図である。
図6図6は、第2実施形態における本発明の保持装置を示す分解斜視図である。
図7図7は、第3実施形態における本発明の保持装置を示す分解斜視図である。
図8図8は、図7の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0011】
以下、説明の便宜上、図1図8に示すように、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、車両の運転席、助手席に座っているユーザから見た方向である。なお、「前後方向」が、本発明の「軸方向」に相当する。
【0012】
(第1実施形態)
図1及び図2に示す保持装置1は、車両のインストルメントパネルなどに設置され、スマートフォン2を保持する装置である。図1に示すように、保持装置1は、スマートフォン2を保持する保持部3と、前後方向に沿った軸回りに保持部3を回転させる回転部4と、回転部4を保持する保持部5と、車両の状態を示す車両情報に基づいて回転部4の回転を制御する回転制御部としての車載ECU(Electronic Control Unit)6(図2参照)と、を備えている。
【0013】
スマートフォン2内には、正面側に表示画面21が設けられ、背面側に磁石に吸着する鉄などの強磁性体や磁石が内蔵されている。
【0014】
図1に示すように、保持部3は、永久磁石8と、第1電磁石としての電磁石9と、を有している。
【0015】
永久磁石8は、前後方向に垂直に配置された円板状に設けられ、スマートフォン2に内蔵された強磁性体や磁石を吸着するように設けられている。本実施形態では、永久磁石8は、前後方向に沿ってS極、N極が並べられている。即ち、永久磁石8は、磁化方向が前後方向に沿うように設けられている。
【0016】
電磁石9は、リング状に設けられ、中央に永久磁石8が嵌め込まれて、固定されている。本実施形態では、電磁石9は、前後方向に沿った軸回りに巻かれたコイル(図示せず)を有し、永久磁石8と同様に前後方向に沿ってN極、S極が並べて設けられている。即ち、電磁石9は、磁化方向が前後方向に沿うように設けられている。電磁石9のコイルに永久磁石8と同じ磁化方向となるように電流を流すと、スマートフォン2が電磁石9に吸着する磁力が発生する。電磁石9のコイルに永久磁石8と逆の磁化方向となるように電流を流すと、スマートフォン2が電磁石9と反発する磁力が発生する。
【0017】
回転部4は、前後方向に沿った軸回りに回転する回転軸と、回転軸を回転させるモータ(何れも図示せず)と、を備えている。回転軸の後端が永久磁石8に固定され、モータにより回転軸が回転すると、永久磁石8及び永久磁石8に固定された電磁石9も前後方向に沿った軸回りに回転する。永久磁石8が回転するとスマートフォン2も回転する。
【0018】
保持部5は、車両の例えばインストルメントパネルに固定され、回転部4を保持する。
【0019】
図2に示すように、車載ECU6は、電磁石9のコイル及び回転部4のモータに接続され、電磁石9の磁力、回転部4の回転を制御する。車載ECU6は、車内LANなどの車内ネットワークと通信可能にするデータ通信部10に接続される。車載ECU6は、データ通信部10を通じて車内ネットワークから車両情報(例えばシフトレバーのポジションを示すシフト情報、イグニッションスイッチのオンオフ情報、車両の速度情報など)を受信する。
【0020】
車載ECU6は、スマートフォン2と通信可能にするデータ通信部11に接続される。車載ECU6は、データ通信部11を通じてスマートフォン2から電子機器情報(スマートフォン2のモデル・型番情報)や姿勢情報(縦置きか横置きか)を受信する。
【0021】
次に、上述した構成の保持装置1の使用手順について説明する。ユーザはスマートフォン2の背面に永久磁石8や電磁石9に近づける。これにより、永久磁石8や電磁石9の磁力によりスマートフォン2が永久磁石8や電磁石9に吸着されて、保持部3に保持される。
【0022】
次に、上述した構成の保持装置1の回転部4の制御動作について図3を参照して以下説明する。まず、車載ECU6は、イグニッションスイッチがオンすると、処理を開始し、シフト情報を取り込む(S1)。シフトレバーのポジションがRであることを示す、即ち車両後進を示すシフト情報であった場合(S2でY)、車載ECU6は、図4に示すようにスマートフォン2が横置きになるように、回転部4を制御する(S3)。スマートフォン2を横置きにすると、表示画面21の長手方向が左右方向に沿う。S3において、車載ECU6は、スマートフォン2と通信を行って姿勢情報を取得し、姿勢情報が横置きであれば回転部4を回転させず、姿勢情報が縦置きであれば、回転部4を回転させて横置きにする。
【0023】
シフトレバーのポジションがRの場合、スマートフォン2は、車内ネットワークと通信を行って、車両の後ろに取り付けられたカメラの映像を受信し、その映像を表示画面21に表示することにより、バックモニタとして利用される。図4に示すようにスマートフォン2を横置きにした方が、スマートフォン2をバックモニタとして利用しやすい。
【0024】
一方、シフトレバーのポジションがR以外であることを示す、即ち車両後進を示していない場合(S2でN)、車載ECU6は、図5に示すようにスマートフォン2が縦置きになるように、回転部4を制御する(S4)。スマートフォン2を縦置きにすると、表示画面21の長手方向が上下方向に沿う。これにより、スマートフォン2をバックモニタとして利用しない場合は、通常使用時と同様にスマートフォン2を縦置きにすることができる。S4において、車載ECU6は、スマートフォン2と通信を行って姿勢情報を取得し、姿勢情報が縦置きであれば回転部4を回転させず、姿勢情報が横置きであれば、回転部4を回転させて縦置きにする。
【0025】
次に、イグニッションスイッチがオフでなければ(S5でN)、車載ECU6は、S2に戻る。一方、イグニッションスイッチがオフすると(S5でY)、車載ECU6は、スマートフォン2の取り外し角度(予め定めた回転位置)がユーザにより設定されているか否かを判断する(S6)。
【0026】
詳しく説明すると、ユーザは、保持装置1用のアプリを用いて、車載ECU6と通信して自身がスマートフォン2を取り外しやすい角度に取り外し角度を設定することができる。取り外し角度としては、例えば、上下方向と表示画面21の長手方向との成す角とする。車載ECU6は、取り外し角度がユーザにより設定されている場合(S6でY)、ユーザにより設定された取り外し角度まで回転部4を回転させた後(S7)、処理を終了する。
【0027】
設定角が予め設定されていない場合(S6でN)、車載ECU6は、図5に示すように縦置き(取り外し角度=90°)まで回転部4を回転させた後(S8)、処理を終了する。
【0028】
次に、上述した構成の保持装置1の電磁石9の制御動作について以下説明する。車載ECU6は、電磁石制御部として機能し、電磁石9の制御を行う。車載ECU6は、イグニッションスイッチのオンに応じて、シフト情報や速度情報を取り込む。車載ECU6は、シフト情報や速度情報が車両走行中であることを示す場合、スマートフォン2の保持部3への吸着力が強くなるように電磁石9を制御し、車両停車中であることを示す場合、スマートフォン2の保持部3への吸着力が弱くなるように電磁石9を制御する。
【0029】
これにより、車両走行中、スマートフォン2をしっかりと保持部3に吸着して保持することができる。また、車両停車中はスマートフォン2の保持部3への吸着力が弱まり、スマートフォン2の取り外しが容易となる。
【0030】
具体的には、車載ECU6は、車両走行中及び車両停車中、電磁石9の磁化方向が永久磁石8と同じになるように電磁石9のコイルに電流を流し、車両停車中のコイルへの電流量を車両走行中のコイルの電流量よりも少なくなるようにする。これにより、車両停車中のスマートフォン2の吸着力を車両走行中のスマートフォン2の吸着力よりも弱くすることができる。
【0031】
また、車載ECU6は、車両走行中は電磁石9の磁化方向が永久磁石8と同じになるように電磁石9のコイルに電流を流し、車両停車中はコイルに流れる電流の向きを逆向きにして電磁石9の磁化方向が永久磁石8と逆向きになるようにしてもよい。この場合、電磁石9にはスマートフォン2を反発する磁力が発生し、車両停車中のスマートフォン2の吸着力をより一層弱くすることができる。
【0032】
また、車載ECU6は、スマートフォン2との通信によりモデル・型番情報を受信する。モデル・型番情報によりスマートフォン2の重量が分かるので、車載ECU6は、重量が重いほどスマートフォン2の吸着力が大きくなるように電磁石9を制御してもよい。
【0033】
上述した第1実施形態によれば、車載ECU6が、車両の状態を示す車両情報に応じて回転部4の回転を制御するので、ユーザが操作しなくとも車両の状態に応じてスマートフォン2を回転させることができる。
【0034】
上述した第1実施形態によれば、車両後進時にはスマートフォン2が横置き(表示画面21の長手方向が左右方向に沿う配置)となり、バックモニタとして使用しやすくなる。車両後進時以外にはスマートフォン2が縦置き(表示画面21の長手方向が上下方向に沿う配置)となり、スマートフォン2を通常使用時と同様の配置とすることができる。
【0035】
上述した第1実施形態によれば、車載ECU6は、車両停止中に、保持部3によるスマートフォン2の吸着力が弱まるように電磁石9の磁力を制御し、車両走行中に、保持部3によるスマートフォン2の吸着力が高まるように電磁石9の磁力を制御している。これにより、車両走行中に保持部3によるスマートフォン2の吸着力が高まり、スマートフォン2が保持装置1から脱落するのを抑制できる。車両停車中には保持部3によるスマートフォン2の吸着力が弱まり、簡単にスマートフォン2を保持装置1から取り外すことができる。
【0036】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の保持装置1Bについて図6を参照して以下説明する。図6において、上述した第1実施形態で既に説明した図1等に示す保持装置1と同等の部分には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0037】
同図に示すように、保持装置1Bは、スマートフォン2を保持する保持部3Bと、回転部4Bと、保持部5と、車載ECU6と、を備えている。第2実施形態では、保持部3Bは、永久磁石8と、電磁石9Bと、を有している。位置決め部材7及び永久磁石8は、第1実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0038】
電磁石9Bは、リング状に設けられ、中央に永久磁石8が嵌め込まれて固定されている。電磁石9Bは、磁化方向が前後方向に沿った軸回り方向となるようにコイル(図示せず)が巻かれ、軸回り方向に沿ってN極、S極が交互に並べて設けられている。本実施形態では、電磁石9Bは、2つのN極、2つのS極が設けられている。回転部4Bは、回転軸12と、第2電磁石としての電磁石13とを備えている。回転軸12は、永久磁石8に固定され、前後方向に沿った軸回り方向に回転自在となるように保持部5に保持されている。
【0039】
電磁石13は、保持部5に保持され、前後方向に電磁石9Bと対向する位置に配置されている。電磁石13は、前後方向に沿った軸回りに巻かれたコイル(図示せず)を有し、前後方向に沿ってN極、S極が並べて設けられている。車載ECU6は、後側がN極、前側がS極、後側がS極、前側がN極となるように交互に磁化方向が切り替えるように電磁石13を制御する。
【0040】
これにより、例えばスマートフォン2が縦置きである場合、電磁石9BのS極と電磁石13が対向する。このとき電磁石13の後側をN極に制御すると、回転が停止して、スマートフォン2を縦置きに保持することができる。また、電磁石13の後側をS極に切り替えると、電磁石9Bと電磁石13とが反発して回転力が発生し、回転軸12が回転し、スマートフォン2が横置きまで回転される。スマートフォン2が横置きまで回転すると、電磁石9BのN極と電磁石13のS極が前後方向に対向し、回転が停止してスマートフォン2を横置きに保持することができる。
【0041】
車載ECU6は、第1実施形態と同様に、車両走行中、スマートフォン2の保持部3Bへの吸着力が強くなるように電磁石9Bを制御し、車両停車中、スマートフォン2の保持部3Bへの吸着力が弱くなるように電磁石9Bを制御する。これにより、スマートフォン2を保持するための電磁石9Bを流用して、保持部3Bを回転させることができる。
【0042】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の保持装置1Cについて図7及び図8を参照して以下説明する。図7及び図8において、上述した第1実施形態で既に説明した図1等に示す保持装置1と同等の部分には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0043】
同図に示すように、保持装置1Cは、スマートフォン2を保持する保持部3Cと、回転部4Cと、保持部5Cと、車載ECU6と、を備えている。第3実施形態では、保持部3Cは、位置決め部材7Cと、永久磁石8Cと、電磁石9Cと、を有している。
【0044】
位置決め部材7Cは、平板部71Cと、一対の規制板72C,72Cと、規制板73Cと、一対の係止アーム74C,74Cと、位置決め突起75Cと、を有している。平板部71Cは、長方形状に形成され、中央に後述する電磁石9Cの後端が嵌め込まれる穴76Cが設けられている。一対の規制板72C,72Cは、平板部71Cの短手方向両端から前側に向かって立設して設けられ、スマートフォン2の短手方向の移動を規制する。規制板73Cは、平板部71Cの長手方向一端から前側に向かって立設して設けられ、スマートフォン2の長手方向の移動を規制する。
【0045】
一対の係止アーム74C,74Cは、平板部71Cから前側に向かって立設し、先端に電磁石9Cと前後方向に係止する係止爪が設けられている。一対の係止アーム74C,74 Cは、平板部71Cの長手方向に沿って並べて設けられている。位置決め突起75Cは、平板部71Cから前側に向かって突出して設けられている。
【0046】
永久磁石8Cは、円板状に設けられ、第1実施形態とは異なり位置決め穴は設けられていない。電磁石9Cは、第1実施形態と同様にリング状に設けられ、その中央に永久磁石8Cが固定されている。電磁石9Cの側面には、位置決め突起75Cが嵌め込まれる前後方向に沿った位置決め溝91Cが設けられている。位置決め部材7Cの位置決め突起75Cを電磁石9Cの位置決め溝91Cに嵌め込むことにより、電磁石9Cが回転すると、位置決め部材7Cも回転する。
【0047】
回転部4Cは、回転軸14と、ギア15と、ギア16と、回転軸17と、図示しないモータとを有している。回転軸14は、保持部5Cに対して前後方向に沿った軸回りに回転自在に保持され、後端が永久磁石8Cに固定されている。ギア15は、回転軸14に取り付けられている。ギア16は、ギア15と噛み合うように回転軸17に取り付けられている。回転軸17は、モータにより前後方向に沿った軸回りに回転される。モータにより回転軸17が回転すると、その回転力がギア15,16を介して回転軸17に伝わり、永久磁石8Cを回転させることができる。
【0048】
上述した第3実施形態によれば、位置決め部材7Cをスマートフォン2に固定しておく必要がなく、使い勝手がよい。
【0049】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0050】
上述した実施形態によれば、電子機器としてはスマートフォン2を一例に挙げて説明していたが、これに限ったものではない。電子機器としてはタブレットなど表示画面を有するものであればよい。
【0051】
上述した実施形態によれば、保持部3,3B,3Cは永久磁石8,8Cの磁力によりスマートフォン2を吸着して保持していたが、これに限ったものではない。保持部としては、スマートフォン2を保持できる構造であればよく、例えばスマートフォン2の短手方向両側を挟んで保持するものであってもよい。
【0052】
スマートフォン2の回転制御は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、スマートフォン2のナビゲーションアプリを利用している際に、直進時にスマートフォン2が縦置き、右左折時にスマートフォン2が横置きとなるように、車載ECU6が回転部4の回転を制御するようにしてもよい。具体的には、車載ECU6は、スマートフォン2と通信を行ってナビゲーション情報を取得し、ナビゲーション情報が直進方向の場合は、スマートフォン2が縦置きとなるように回転部4を制御する。
【0053】
また、ナビゲーション情報の右左折指示やターンスイッチの操作に応じて、車載ECU6は、右左折時と判断して、スマートフォン2が横置きとなるように回転部4を制御する。このとき、舵角センサの情報に連動してスマートフォン2の回転角度や回転速度を制御してもよい。右左折時に横置きとすることで、曲がる後の進行先の地図情報を確認することでき、使用者に多くの情報を与えることができる。
【0054】
車載ECU6は、右左折が完了するとスマートフォン2を縦置きに戻す。右左折の完了は車両の位置情報やステアリングの舵角センサの情報を元に行うことができる。スマートフォン2を横置きから縦置きに戻す際も、車載ECU6は、舵角センサの情報に連動してスマートフォン2の回転角度や回転速度を制御してもよい。
【0055】
また、車両の位置情報、速度などの車両状態とアプリケーションの種類に合わせて、スマートフォン2を回転させてもよい。アプリケーションにより見やすい画面方向に相違がある。速度情報と連携し走行中と判断し、スマートフォン2のナビゲーションアプリを利用している場合、車載ECU6は、スマートフォン2を縦置きとする。車両停車した状態で、スマートフォン2の動画再生アプリを利用している場合、車載ECU6は、スマートフォン2を横置きとする。また、車両走行中に、スマートフォン2で動画再生アプリを利用している場合、車載ECU6は、スマートフォン2を縦置きとし、使用者が動画を視聴しづらいようにしてもよい。
【0056】
また、配送業務で配送中にスマートフォン2のナビゲーションアプリを利用している場合、車載ECU6は、スマートフォン2を縦置きとする。そして、宅配先の近くと判断するとスマートフォン2は配送管理アプリに切り替わる。このとき、車載ECU6は、スマートフォン2を横置きとする。速度情報及び車両のイグニッション情報から宅配先に荷物を運ぶための停車と判定すると、車載ECU6は、スマートフォン2を外しやすい縦置きとする。アプリケーションの切替はスマートフォン2でのタッチ操作、音声操作の切り替えなど複数ある。
【0057】
また、スマートフォン2で利用しているアプリケーションの種類によって縦置き、横置きを制御するようにしてもよい。例えば、ナビゲーションアプリ、地図アプリ、SNSアプリ、電話を利用している場合、スマートフォン2を縦置きとする。また、動画再生アプリ、画像/動画撮影アプリ、データ管理(配送管理)、ゲームなどを利用している場合、スマートフォン2を横置きとする。
【0058】
ここで、上述した本発明に係る保持装置の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[5]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
車内に設置され、表示画面(21)を有する電子機器(2)を保持する保持装置(1,1B,1C)であって、
前記電子機器(2)を保持する保持部(3,3B,3C)と、
前記表示画面(21)に交差する軸回り方向に前記保持部(3,3B,3C)を回転させる回転部(4,4B,4C)と、
車両の状態を示す車両情報に基づいて前記回転部(4,4B,4C)の回転を制御する回転制御部(6)と、を備えた、
保持装置(1,1B,1C)。
【0059】
上記[1]の構成によれば、回転制御部(6)が、車両の状態に応じて回転部(4,4B,4C)の回転を制御するので、ユーザが操作しなくとも車両の状態に応じて電子機器(2)を回転させることができる。
【0060】
[2]
[1]に記載の保持装置(1,1B,1C)において、
前記回転制御部(6)は、前記車両情報が車両後進を示す場合、前記表示画面(21)の長手方向が左右方向に沿うように前記回転部(4,4B,4C)を回転させ、前記車両情報が前記車両後進を示していない場合、前記表示画面(21)の長手方向が上下方向に沿うように前記回転部(4,4B,4C)を回転させる、
保持装置(1,1B,1C)。
【0061】
上記[2]の構成によれば、車両後進時には電子機器(2)が横置き(表示画面(21)の長手方向が左右方向に沿う配置)となり、バックモニタとして使用しやすくなる。車両後進時以外には電子機器(2)が縦置き(表示画面(21)の長手方向が上下方向に沿う配置)となり、電子機器(2)を通常使用時と同様の配置とすることができる。
【0062】
[3]
[1]に記載の保持装置(1,1B,1C)において、
前記回転制御部(6)は、前記車両情報が前記車両のイグニッションスイッチがオフを示す場合、予め定めた回転位置まで前記回転部(4,4B,4C)を回転させ、
前記電子機器(2)との通信により予め定めた前記回転位置を設定する設定部(6)を有する、
保持装置(1,1B,1C)。
【0063】
上記[3]の構成によれば、イグニッションスイッチをオフして電子機器(2)を保持装置(1,1B,1C)から取り外したいときに自動的にユーザが設定した予め定めた回転位置まで回転するため、電子機器(2)が取り外しやすい。
【0064】
[4]
[1]に記載の保持装置(1,1B,1C)において、
前記保持部(3,3B,3C)は、前記電子機器(2)を吸着する永久磁石(8,8C)及び第1電磁石(9,9B,9C)を有し、
前記車両情報が車両停止中を示す場合、前記保持部(3,3B,3C)による前記電子機器(2)の吸着力が弱まるように前記第1電磁石(9,9B,9C)の磁力を制御し、前記車両情報が車両走行中を示す場合、前記保持部(3,3B,3C)による前記電子機器(2)の吸着力が高まるように前記第1電磁石(9,9B,9C)の磁力を制御する電磁石制御部(6)をさらに備えた
保持装置(1,1B,1C)。
【0065】
上記[4]の構成によれば、車両走行中に保持部(3,3B,3C)による電子機器(2)の吸着力が高まり、電子機器(2)が保持装置(1,1B,1C)から脱落するのを抑制できる。車両停車中には保持部(3,3B,3C)による電子機器(2)の吸着力が弱まり、簡単に電子機器(2)を保持装置(1,1B,1C)から取り外すことができる。
【0066】
[5]
[4]に記載の保持装置(1B)において、
前記第1電磁石(9B)は、前記軸回り方向に沿って磁化され、
前記回転部(4B)は、前記第1電磁石(9B)と前記表示画面(21)に交差する軸方向に対向する第2電磁石(13)を有し、
前記回転制御部(6)は、前記第2電磁石(13)の磁力を制御して、前記回転部(4B)の回転を制御する、
保持装置(1B)。
【0067】
上記[5]の構成によれば、電子機器(2)を保持するための第1電磁石(9,9B,9C)を流用して、保持部(3B)を回転させることができる。
【符号の説明】
【0068】
1,1B,1C 保持装置
2 スマートフォン(電子機器)
3,3B,3C 保持部
4,4B,4C 回転部
6 車載ECU(回転制御部、設定部、電磁石制御部)
8,8C 永久磁石
9,9B,9C 電磁石(第1電磁石)
13 電磁石(第2電磁石)
21 表示画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-09-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車内に設置され、表示画面を有する電子機器を保持する保持装置であって、
前記電子機器を保持する保持部と、
前記表示画面に交差する軸回り方向に前記保持部を回転させる回転部と、
車両の状態を示す車両情報に基づいて前記回転部の回転を制御する回転制御部と、を備え
前記保持部は、前記電子機器を吸着する永久磁石及び第1電磁石を有し、
前記車両情報が車両停止中を示す場合、前記保持部による前記電子機器の吸着力が弱まるように前記第1電磁石の磁力を制御し、前記車両情報が車両走行中を示す場合、前記保持部による前記電子機器の吸着力が高まるように前記第1電磁石の磁力を制御する電磁石制御部をさらに備え、
前記第1電磁石は、前記軸回り方向に沿って磁化され、
前記回転部は、前記第1電磁石と前記表示画面に交差する軸方向に対向する第2電磁石を有し、
前記回転制御部は、前記第2電磁石の磁力を制御して、前記回転部の回転を制御する、
保持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の保持装置において、
前記回転制御部は、前記車両情報が車両後進を示す場合、前記表示画面の長手方向が左右方向に沿うように前記回転部を回転させ、前記車両情報が前記車両後進を示していない場合、前記表示画面の長手方向が上下方向に沿うように前記回転部を回転させる、 保持装置。
【請求項3】
請求項1に記載の保持装置において、
前記回転制御部は、前記車両情報が前記車両のイグニッションスイッチがオフを示す場合、予め定めた回転位置まで前記回転部を回転させ、
前記電子機器との通信により予め定めた前記回転位置を設定する設定部を有する、
保持装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る保持装置は、下記を特徴としている。
車内に設置され、表示画面を有する電子機器を保持する保持装置であって、
前記電子機器を保持する保持部と、
前記表示画面に交差する軸回り方向に前記保持部を回転させる回転部と、
車両の状態を示す車両情報に基づいて前記回転部の回転を制御する回転制御部と、を備え
前記保持部は、前記電子機器を吸着する永久磁石及び第1電磁石を有し、
前記車両情報が車両停止中を示す場合、前記保持部による前記電子機器の吸着力が弱まるように前記第1電磁石の磁力を制御し、前記車両情報が車両走行中を示す場合、前記保持部による前記電子機器の吸着力が高まるように前記第1電磁石の磁力を制御する電磁石制御部をさらに備え、
前記第1電磁石は、前記軸回り方向に沿って磁化され、
前記回転部は、前記第1電磁石と前記表示画面に交差する軸方向に対向する第2電磁石を有し、
前記回転制御部は、前記第2電磁石の磁力を制御して、前記回転部の回転を制御する、
保持装置であること。