(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164595
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/34 20060101AFI20241120BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20241120BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
H01L23/34 A
H01L23/36 C
H05K7/20 C
H05K7/20 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080195
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 領太
(72)【発明者】
【氏名】山口 晃弘
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA05
5E322AA11
5E322AB01
5E322AB08
5E322FA01
5E322FA04
5F136BA30
5F136BB02
5F136BB03
5F136BB04
5F136BB13
5F136BB18
5F136DA27
5F136FA03
5F136FA16
5F136FA18
5F136FA82
(57)【要約】
【課題】配線基板に発生する熱も放熱し易くする。
【解決手段】配線パターン120を有する配線基板100と、半導体素子Q1が形成された半導体チップ31と、一面20a側に半導体チップ31が配置される絶縁放熱基板20と、半導体チップ31と電気的に接続される素子用パッド71a、71bと、を有し、素子用パッド71a、71bが配線パターン120と接続される状態で配線基板100に搭載される半導体パッケージ10と、半導体パッケージ10を挟んで配線基板100と反対側に配置され、絶縁放熱基板20と熱的に接続される放熱部材200と、を備える。そして、配線パターン120は、半導体素子Q1に接続され、半導体素子Q1の動作に応じた電流が流れる放熱用パターン125を有し、放熱用パターン125と絶縁放熱基板20との間には、放熱用パターン125と絶縁放熱基板20とを熱的に接続する放熱用接続部材66を配置する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置であって、
一面(100a)および前記一面と反対側の他面(100b)を有し、前記他面に形成された配線パターン(120)を有する配線基板(100)と、
半導体素子(Q1~Q4)が形成された半導体チップ(31~34)と、一面(20a)および他面(20b)を有し、前記一面側に前記半導体チップが配置される絶縁放熱基板(20)と、前記半導体チップと電気的に接続される素子用パッド(71a~74c)と、を有し、前記素子用パッドが前記配線パターンと接続される状態で前記配線基板に搭載される半導体パッケージ(10)と、
前記半導体パッケージを挟んで前記配線基板と反対側に、前記半導体パッケージにおける絶縁放熱基板の他面と対向する状態で配置され、前記絶縁放熱基板と熱的に接続される放熱部材(200)と、を備え、
前記配線パターンは、前記半導体素子に接続され、前記半導体素子の動作に応じた電流が流れる放熱用パターン(125)を有し、
前記放熱用パターンと前記絶縁放熱基板との間には、前記放熱用パターンと前記絶縁放熱基板とを熱的に接続する放熱用接続部材(66、500)が配置されている半導体装置。
【請求項2】
前記半導体パッケージは、前記放熱用パターンと接続される放熱用パッド(75)と、前記絶縁放熱基板と前記放熱用パッドとを接続する前記放熱用接続部材としての放熱用ビア(66)と、を有し、
前記放熱用パターンは、前記絶縁放熱基板に、前記放熱用パッドおよび前記放熱用ビアを介して熱的に接続されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記絶縁放熱基板は、前記一面のうちの前記半導体チップが搭載される部分と異なる部分に放熱用配線層(23)が形成されており、
前記放熱用パターンは、前記放熱用パッドおよび前記放熱用ビアを介して前記放熱用配線層と電気的に接続されている請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記放熱用パターンは、前記絶縁放熱基板に、前記半導体パッケージとは別に備えられた前記放熱用接続部材としてのブロック体(500)を介して熱的に接続されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記絶縁放熱基板と前記放熱部材との間には、前記絶縁放熱基板よりも熱伝導率が高い材料で構成された高熱伝導部材(400)が配置されている請求項1ないし4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記高熱伝導部材は、前記絶縁放熱基板よりも厚さが厚くされている請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記絶縁放熱基板および前記高熱伝導部材の少なくとも一方には、前記絶縁放熱基板の一面に対する法線方向において、前記放熱用パターンと前記半導体チップとの間に溝部(410)が形成されている請求項5に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記溝部には、前記高熱伝導部材よりも熱伝導率の低い材料で構成された埋込部材(420)が配置されている請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記絶縁放熱基板には、チップ用配線層(22)が形成され、
前記半導体チップは、窒化ガリウムを含む半導体基板(43)を用いて構成され、前記半導体素子として、ドレイン電極(D1~D4)、ソース電極(S1~S4)、およびゲート電極(G1~G4)を有し、前記半導体基板の面方向に電流を流す横型素子が形成されており、前記絶縁放熱基板と対向する面(31b)に前記チップ用配線層と電気的に接続される裏面電極(45)が配置され、
前記ソース電極は、前記チップ用配線層を介して前記裏面電極と接続されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体パッケージは、複数のフィルム部(61)が一体化された多層封止部材(60)で封止され、前記フィルム部に形成された貫通ビア(65)を介して、前記素子用パッドと前記半導体チップとが電気的に接続されている請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージを配線基板に搭載した半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体チップを有する半導体パッケージを配線基板に搭載した半導体装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、この半導体装置では、半導体パッケージの一面側に配線基板が配置され、半導体パッケージの他面側に放熱部材が配置されている。そして、この半導体装置では、半導体パッケージで発生する熱を放熱部材から放熱する。なお、配線基板は、所定の配線パターンが形成されており、配線パターンが半導体パッケージに含まれる半導体チップと電気的に接続されている。そして、配線パターンには、半導体チップの作動に応じた電流が流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような半導体装置を高出力にも対応できるようにした場合、配線基板の配線パターンに大電流が流れることで配線パターンも発熱する。この場合、配線基板の配線パターンに発生した熱は、半導体パッケージを介して放熱部材に放熱され得るが、半導体チップも発熱しているため、配線基板の熱を十分に放熱部材に放熱できない可能性がある。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、配線基板に発生する熱も放熱し易くできる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための請求項1では、半導体装置であって、一面(100a)および一面と反対側の他面(100b)を有し、他面に形成された配線パターン(120)を有する配線基板(100)と、半導体素子(Q1~Q4)が形成された半導体チップ(31~34)と、一面(20a)および他面(20b)を有し、一面側に半導体チップが配置される絶縁放熱基板(20)と、半導体チップと電気的に接続される素子用パッド(71a~74c)と、を有し、素子用パッドが配線パターンと接続される状態で配線基板に搭載される半導体パッケージ(10)と、半導体パッケージを挟んで配線基板と反対側に、半導体パッケージにおける絶縁放熱基板の他面と対向する状態で配置され、絶縁放熱基板と熱的に接続される放熱部材(200)と、を備え、配線パターンは、半導体素子に接続され、半導体素子の動作に応じた電流が流れる放熱用パターン(125)を有し、放熱用パターンと絶縁放熱基板との間には、放熱用パターンと絶縁放熱基板とを熱的に接続する放熱用接続部材(66、500)が配置されている。
【0007】
これによれば、放熱用パターンが絶縁放熱基板と放熱用接続部材を介して熱的に接続されている。このため、放熱用パターンの熱を効果的に絶縁放熱基板へ放熱できるため、絶縁放熱基板を介して放熱部材に放熱し易くできる。
【0008】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態における電力変換装置の回路図である。
【
図2】第1実施形態における半導体装置の断面図である。
【
図3】
図1に示す半導体パッケージの断面図である。
【
図6】第1実施形態における半導体装置の放熱経路を示す図である。
【
図7】第2実施形態における半導体装置の断面図である。
【
図8】第2実施形態における半導体装置の放熱経路を示す図である。
【
図9】第3実施形態における半導体装置の断面図である。
【
図10】第4実施形態における半導体装置の断面図である。
【
図11】第5実施形態における半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0011】
(第1実施形態)
第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。以下では、本実施形態の半導体装置を用い、電力変換装置としての降圧DC/DCコンバータを構成した例について説明する。まず、電力変換装置の回路構成について簡単に説明する。
【0012】
電力変換装置は、
図1に示されるように、一次側構成部1、メイントランス部MT、二次側構成部2を有している。一次側構成部1は、詳細な説明を省略するが、2組の直列に接続されたトランジスタ等を有して構成されている。また、一次側構成部1は、一方の組の直列に接続された2つのトランジスタの間と接続される第1出力配線L1を有すると共に、他方の組の直列に接続された2つのトランジスタの間と接続される第2出力配線L2を有している。
【0013】
メイントランス部MTは、一次巻線T1、二次巻線T2、コアC等を有して構成される。そして、一次巻線T1は、一端部側が一次側構成部1における第1出力配線L1と接続され、他端部が一次側構成部1における第2出力配線L2と接続されている。
【0014】
二次側構成部2は、二次巻線T2の間に配置され、グランドに接続される中間タップT3を有している。また、二次側構成部2は、二次巻線T2の一端部側と、チョークコイルCCと接続される外部出力配線L3との間に配置される第1トランジスタQ1および第2トランジスタQ2を有している。二次側構成部2は、二次巻線T2の他端部側と外部出力配線L3との間に配置される第3トランジスタQ3および第4トランジスタQ4を有している。具体的には、第1トランジスタQ1および第2トランジスタQ2は、並列に配置され、それぞれのソース電極S1、S2が二次巻線T2の一端部側と接続され、それぞれのドレイン電極D1、D2が外部出力配線L3と接続されるように配置されている。第3トランジスタQ3および第4トランジスタQ4は、並列に配置され、それぞれのソース電極S3、S4が二次巻線T2の他端部側と接続され、それぞれのドレイン電極D3、D4が外部出力配線L3と接続されるように配置されている。また、第1~第4トランジスタQ1~Q4における第1~第4ゲート電極G1~G4は、それぞれ図示しない制御回路と接続されている。
【0015】
なお、第1~第4トランジスタQ1~Q4の各ドレイン電極D1~D4は、接続配線L4と接続され、接続配線L4を介して外部出力配線L3と接続されている。本実施形態では、第1~第4トランジスタQ1~Q4のドレイン電極D1~D4は、接続配線L4に対し、第1~第4トランジスタQ1~Q4の順に並列に配置されている。そして、外部出力配線L3は、接続配線L4のうちの第4トランジスタQ4側の端部で接続配線L4と接続されている。
【0016】
以上が本実施形態における電力変換装置の回路構成である。このような電力変換装置では、一次巻線T1に流れる電流に応じて二次巻線T2に電流が流れ、第1~第4トランジスタQ1~Q4にも電流が流れる。この場合、外部出力配線L3には、第1~第4トランジスタQ1~Q4を流れる電流の合計の大電流が流れるため、当該電流によって発熱し易くなっている。また、接続配線L4は、第1~第4トランジスタQ1~Q4が順に並列に配置され、外部出力配線L3が第4トランジスタQ4側の端部に接続されているため、第4トランジスタQ4側ほど電流が大きくなる。そして、接続配線L4は、第4トランジスタQ4側の部分ほど大電流が流れるため、第4トランジスタQ4側の部分ほど発熱し易くなっている。
【0017】
次に、上記電力変換装置を構成するための半導体装置Sの構成について、
図2~
図5を参照して説明する。なお、
図2中の後述する半導体パッケージ10および配線基板100等は、
図4および
図5中のII-II線に沿った断面図に相当している。また、本実施形態の半導体装置Sは、具体的には後述するが、
図1にも示されるように、上記の電力変換装置における第1~第4トランジスタQ1~Q4、外部出力配線L3、接続配線L4等を含んで構成される。そして、上記の電力変換装置は、例えば、本実施形態の半導体装置Sとは別に構成された一次側構成部1およびメイントランス部MT等を組み合わせて構成される。
【0018】
半導体装置Sは、
図2に示されるように、半導体パッケージ10、配線基板100、放熱部材200等を備えている。
【0019】
半導体パッケージ10は、
図2~
図4に示されるように、絶縁放熱基板20、第1~第4半導体チップ31~34、封止部材60等を備える構成とされている。なお、第2~第4半導体チップ32~34は、
図2とは別断面に備えられている。
【0020】
絶縁放熱基板20は、窒化ケイ素(SiN)や窒化アルミニウム(ALN)等で構成され、一面20aおよび一面20aと反対の他面20bを有する板状とされている。そして、絶縁放熱基板20は、一面20aに銅等で構成される配線層21が形成されている。本実施形態の配線層21は、チップ用配線層22および放熱用配線層23を有している。本実施形態では、チップ用配線層22および放熱用配線層23は、分離して備えられている。また、チップ用配線層22は、4つ備えられ、それぞれ分離されている。
【0021】
第1~第4半導体チップ31~34は、基本的な構成が同じとされている。このため、以下では、第1半導体チップ31を例に挙げて説明する。
【0022】
第1半導体チップ31は、本実施形態では、シリコンで構成されるシリコン基板41上に、窒化ガリウムを含む半導体層42が積層された半導体基板43を用いて構成されている。言い換えると、第1半導体チップ31は、いわゆるGaN-on-Siで構成される半導体基板43を用いて構成されている。そして、第1半導体チップ31は、表面31a側が半導体層42で構成され、裏面31b側がシリコン基板41で構成されている。
【0023】
なお、本実施形態の窒化ガリウムを含む半導体層42は、窒化ガリウム(GaN)層および窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層等のエピタキシャル層が積層されて構成されている。そして、本実施形態では、窒化ガリウム層と窒化アルミニウムガリウム層との界面に二次元電子ガス(すなわち、二DEG)が構成されている。
【0024】
第1半導体チップ31には、特に図示しないが、表面31a側に、ドレイン電極D1、ソース電極S1、ゲート電極G1が形成されている。そして、本実施形態の第1半導体チップ31には、第1トランジスタQ1として、二次元電子ガスを利用してドレイン電極D1とソース電極S1の間に電流を流す高電子移動度トランジスタが形成されている。つまり、第1半導体チップ31は、第1トランジスタQ1として、半導体基板43の面方向に電流を流す横型のトランジスタが形成されている。
【0025】
また、第1半導体チップ31には、裏面31b側に裏面電極44が形成されている。そして、裏面電極44は、具体的には後述するが、第1トランジスタQ1におけるソース電極S1と電気的に接続されている。これにより、本実施形態の第1半導体チップ31は、電流コラプスが抑制されるようになっている。
【0026】
なお、上記のように、第1~第4半導体チップ31~34の構成は同じである。そして、第2半導体チップ32には、第2トランジスタQ2が形成され、第3半導体チップ33には、第3トランジスタQ3が形成され、第4半導体チップ34には、第4トランジスタQ4が形成されている。そして、本実施形態では、第1~第4トランジスタQ1~Q4が半導体素子に相当する。
【0027】
以上が本実施形態の第1~第4半導体チップ31~34の構成である。そして、第1半導体チップ31は、裏面電極44が絶縁放熱基板20と対向する状態で、絶縁放熱基板20に形成された1つのチップ用配線層22上に接合部材50を介して配置されている。本実施形態では、接合部材50は、例えば、銀スズ(AgSn)を主成分とする焼結体等の導電性部材で構成されている。このため、裏面電極44は、接合部材50を介してチップ用配線層22と電気的に接続されている。なお、チップ用配線層22は、絶縁放熱基板20の一面20aに対する法線方向(以下では、単に法線方向ともいう)から視たとき、第1半導体チップ31よりも突き出すように形成されている。
【0028】
また、
図3とは別断面において、第2~第4半導体チップ32~34は、第1半導体チップ31と同様に、裏面電極44が絶縁放熱基板20と対向する状態で、絶縁放熱基板20に形成されたそれぞれのチップ用配線層22上に接合部材50を介して配置されている。
【0029】
封止部材60は、第1~第4半導体チップ31~34を封止しつつ絶縁放熱基板20と接合されるように、絶縁放熱基板20上に配置されている。但し、封止部材60は、絶縁放熱基板20の他面20bを露出させるように、絶縁放熱基板20上に配置されている。本実施形態の封止部材60は、複数の板状部材61が積層されて一体化された多層封止部材で構成されている。
【0030】
具体的には、板状部材61は、液晶ポリマやエポキシ樹脂等で構成されるフィルム部62と、当該フィルム部62に形成されたパターン63および、フィルム部62に形成された貫通孔64に配置される接続ビア65等を有する構成とされている。なお、接続ビア65は、導電性ペーストが焼結されて構成される。
【0031】
また、
図3および
図4に示されるように、第1半導体チップ31上に位置する板状部材61には、パターン63として、第1ドレイン用パッド71a、第1ソース用パッド71b、第1ゲート用パッド71cが形成されている。同様に、
図4に示されるように、第2半導体チップ32上に位置する板状部材61には、第2ドレイン用パッド72a、第2ソース用パッド72b、第2ゲート用パッド72cが形成されている。第3半導体チップ33上に位置する板状部材61には、第3ドレイン用パッド73a、第3ソース用パッド73b、第3ゲート用パッド73cが形成されている。第4半導体チップ34上に位置する板状部材61には、第4ドレイン用パッド74a、第4ソース用パッド74b、第4ゲート用パッド74cが形成されている。本実施形態では、第1~第4ドレイン用パッド71a~74a、第1~第4ソース用パッド71b~74b、第1~第4ゲート用パッド71c~74cが素子用パッドに相当する。
【0032】
なお、各パッド71a~74cは、同じ板状部材61に形成されている。また、各パッド71a~74cが形成される板状部材61には、放熱用パッド75が形成されている。そして、
図3に示されるように、板状部材61のうちの絶縁放熱基板20と反対側に位置する板状部材61には、各パッド71a~75を露出させるコンタクトホール67が形成されている。
【0033】
本実施形態では、
図4に示されるように、半導体パッケージ10は、法線方向から視たとき、2組の相対する第1~第4辺11a~11dを有し、第1、第3辺11a、11cが長辺となる平面略矩形状に構成されている。以下、第1、第3辺11a、11cに沿った方向を第1方向とし、第2、第4辺11b、11dに沿った方向を第2方向として説明する。
【0034】
放熱用パッド75は、第1辺11a側に、第1方向に沿って配置されている。また、本実施形態では、放熱用パッド75は、第3辺11c側の部分に凹部75aが形成されており、この凹部75aが第1方向に沿って4つ形成されている。
【0035】
第1~第4ドレイン用パッド71a~74aは、放熱用パッド75に形成された凹部75aに、第1方向に沿って第1~第4ドレイン用パッド71a~74aの順にそれぞれ配置されている。第1~第4ソース用パッド71b~74bは、それぞれ第1~第4ドレイン用パッド71a~74aと第1方向にて隣合うように備えられている。
【0036】
なお、第1~第4ドレイン用パッド71a~74aの間隔は、第1~第4半導体チップ31~34の大きさ等に応じて適宜調整される。また、第1~第4ドレイン用パッド71a~74aと、第1~第4ソース用パッド71b~74bとの間隔は、第1~第4半導体チップ31~34に形成される各ドレイン電極D1~D4と各ソース電極S1~S4との間隔に応じて調整される。
【0037】
第1~第4ゲート用パッド71c~74cは、それぞれ2つずつ備えられ、第1~第4ソース用パッド71b~74bを挟むようにそれぞれ配置されている。
【0038】
そして、
図3に示されるように、板状部材61に形成される接続ビア65は、第1ドレイン用パッド71aと、第1半導体チップ31に形成される図示しない第1ドレイン電極D1とを接続するように形成されている。また、板状部材61に形成される接続ビア65は、第1ソース用パッド71bと、第1半導体チップ31に形成される図示しない第1ソース電極S1とを接続するように形成されている。板状部材61に形成される接続ビア65は、
図3とは別断面において、第1ゲート用パッド71cと、第1半導体チップ31に形成される第1ゲート電極G1とを接続するように形成されている。板状部材61に形成される接続ビア65は、第1ソース用パッド71bとチップ用配線層22とを接続するように形成されている。これにより、第1半導体チップ31の裏面電極44と第1ソース電極S1とが電気的に接続される。
【0039】
また、板状部材61に形成される接続ビア65は、放熱用パッド75と、絶縁放熱基板20に形成された放熱用配線層23とを熱的に接続するように形成されている。以下、放熱用パッド75と放熱用配線層23とを接続する部分を纏めて放熱用ビア66ともいう。そして、本実施形態では、放熱用ビア66は、略円筒状とされ、複数本備えられている。なお、本実施形態では、放熱用ビア66が放熱用接続部材に相当する。また、本実施形態では、導電性ペーストが焼結されて放熱用ビア66が構成されるため、放熱用パッド75と放熱用配線層23とは、放熱用ビア66を介して電気的にも接続される。
【0040】
また、特に図示しないが、第2~第4半導体チップ32~34と、第2~第4ドレイン用パッド72a~74a、第2~第4ソース用パッド72b~74b、第2~第4ゲート用パッド72c~74cとの間も接続ビア65で接続されている。以上が本実形態における半導体パッケージ10の構成である。
【0041】
配線基板100は、
図2に示されるように、一面100aおよび他面100bを有するプリント基板等で構成されており、平面略矩形状とされている。そして、配線基板100は、一面100a側に一面側配線パターン110が形成されていると共に、他面100b側に他面側配線パターン120が形成されている。また、特に図示しないが、一面側配線パターン110と他面側配線パターン120とは、配線基板100の厚さ方向に沿って形成される貫通ビアによって適宜電気的に接続されている。
【0042】
他面側配線パターン120は、
図5に示されるように、半導体パッケージ10の各パッド71a~75に対応して形成されている。本実施形態では、他面側配線パターン120は、第1~第4ドレイン用パターン121a~124a、第1~第4ソース用パターン121b~124b、第1~第4ゲート用パターン121c~124c、放熱用パターン125を有している。また、他面側配線パターン120は、外部出力用パターン126、接続用パターン127を有している。
【0043】
具体的には、第1~第4ドレイン用パターン121a~124aは、第1方向に沿って順に配置されている。また、放熱用パターン125は、第1~第4ドレイン用パターン121a~124aを接続するように配置されている。なお、放熱用パターン125は、上記の
図1における接続配線L4を構成するものである。
【0044】
そして、外部出力用パターン126は、放熱用パターン125の第1方向における一端部側と接続されている。本実施形態では、外部出力用パターン126は、放熱用パターン125における第4ドレイン用パターン124a側の端部と接続されている。なお、外部出力用パターン126は、上記の
図1における外部出力配線L3を構成するものである。
【0045】
第1~第4ソース用パターン121b~124bは、第1~第4ドレイン用パターン121a~124aと第1方向にて隣合うように配置されている。そして、本実施形態では、上記のように第1トランジスタQ1および第2トランジスタQ2が並列に配置されるため、第1ソース用パターン121bおよび第2ソース用パターン122bは、接続用パターン127を介して接続されている。同様に、上記のように第3トランジスタQ3および第4トランジスタQ4が並列に配置されるため、第3ソース用パターン123bおよび第4ソース用パターン124bは、接続用パターン127を介して接続されている。
【0046】
第1~第4ゲート用パターン121c~124cは、それぞれ2つずつ備えられ、第1~第4ソース用パターン121b~124bを挟むようにそれぞれ配置されている。
【0047】
そして、半導体パッケージ10は、
図2に示されるように、第1ドレイン用パッド71aが第1ドレイン用パターン121aに接合部材130を介して接続されている。半導体パッケージ10は、第1ソース用パッド71bが第1ソース用パターン121bに接合部材130を介して接続されている。半導体パッケージ10は、放熱用パッド75が放熱用パターン125に接合部材130を介して接続されている。
【0048】
また、
図2とは別断面において、半導体パッケージ10は、第2~第4ドレイン用パッド72a~74aが第2~第4ドレイン用パターン122a~124aに接合部材130を介して接続されている。半導体パッケージ10は、第2~第4ソース用パッド72b~74bが第2~第4ソース用パターン122b~124bに接合部材130を介して接続されている。半導体パッケージ10は、第1~第4ゲート用パッド71c~74cが第1~第4ゲート用パターン121c~124cに接合部材130を介して接続されている。
【0049】
放熱部材200は、半導体パッケージ10を挟んで配線基板100と反対側に配置され、配線基板100および半導体パッケージ10を固定する。具体的には、配線基板100は、挿通孔111にネジ等で構成される締結部材140が挿通され、当該締結部材140が放熱部材200に締結されることで放熱部材200に固定される。
【0050】
より詳しくは、配線基板100は、他面100bが放熱部材200と対向する状態で放熱部材200に固定されている。また、配線基板100は、半導体パッケージ10における絶縁放熱基板20の他面20bが接合部材210を介して放熱部材200と接合されるように、放熱部材200に固定される。これにより、半導体パッケージ10の熱を効率的に放熱部材200へ放出できる。なお、接合部材210は、熱伝導率の高いグリス等が用いられ、放熱部材200は、熱伝導率の高い金属製の筐体等が用いられる。
【0051】
また、本実施形態の半導体装置Sでは、放熱部材200のうちの半導体パッケージ10側と反対側に、放熱部材200の熱を効率的に放熱できるように冷却部材300が配置されている。なお、冷却部材300は、例えば、配管に冷却水等を流すことで構成される。
【0052】
以上が本実施形態における半導体装置Sの構成である。そして、このように構成された半導体装置Sを用いて上記の電力変換装置を構成した場合、配線基板100における放熱用パターン125や外部出力用パターン126は、大電流が流れることで発熱し易い。
【0053】
しかしながら、本実施形態では、放熱用パターン125や外部出力用パターン126は、放熱用ビア66を介して放熱用配線層23(すなわち、絶縁放熱基板20)と熱的に接続されている。このため、
図6に示されるように、放熱用パターン125や外部出力用パターン126に発生する熱を効果的に絶縁放熱基板20から放熱部材200へと放熱できる。なお、半導体パッケージ10で発生した熱は、絶縁放熱基板20から放熱部材200へと放熱される。
【0054】
以上説明した本実施形態によれば、放熱用パターン125および外部出力用パターン126が放熱用パッド75、放熱用ビア66、および絶縁放熱基板20を介して放熱部材200に熱的に接続されている。また、放熱用パターン125および外部出力用パターン126は、大電流が流れ易い部分であって、発熱し易い部分である。このため、放熱用パターン125および外部出力用パターン126の熱を効果的に放熱部材200へ放熱することができる。
【0055】
(1)本実施形態では、放熱用パターン125が放熱用パッド75および放熱用ビア66を介して放熱用配線層23と電気的に接続されている。このため、放熱用パターン125を流れる電流は、放熱用パッド75、放熱用ビア66、および放熱用配線層23にも流れる。したがって、放熱用パターン125を流れる電流の密度を低減でき、放熱用パターン125が発熱すること自体を抑制できる。
【0056】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、絶縁放熱基板20の他面20bに高熱伝導部材を配置したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0057】
本実施形態の半導体パッケージ10は、
図7に示されるように、絶縁放熱基板20の他面20bに、絶縁放熱基板20よりも熱伝導率が高い高熱伝導部材400が配置されている。そして、絶縁放熱基板20は、高熱伝導部材400を介して放熱部材200と接合されている。つまり、高熱伝導部材400は、絶縁放熱基板20と放熱部材200との間に配置されている。
【0058】
なお、高熱伝導部材400は、例えば、銅等で構成される。そして、絶縁放熱基板20と高熱伝導部材400は、例えば、DBC(Direct Bonding of Copperの略)法、AMB(Active Metal Brazingの略)法、アルミ溶湯接合法等によって接合されている。
【0059】
また、本実施形態の高熱伝導部材400は、絶縁放熱基板20よりも厚さが厚くされている。
【0060】
以上説明した本実施形態によれば、放熱用パターン125および外部出力用パターン126が放熱用パッド75、放熱用ビア66および絶縁放熱基板20を介して放熱部材200に熱的に接続されているため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0061】
(1)本実施形態では、高熱伝導部材400が備えられているため、放熱性を向上できる。すなわち、高熱伝導部材400が備えられておらず、絶縁放熱基板20の厚さが薄い場合、絶縁放熱基板20の他面20bでは、半導体パッケージ10や放熱用パッド75から伝達された熱が十分に広がらず、部分的に高温となったり、低温となったりする可能性がある。この場合、絶縁放熱基板20の他面20bの温度が部分毎にばらつくことで接合部材210の温度もばらつき易くなり、接合部材210を介した放熱部材200への放熱性が低下する可能性がある。これに対し、本実施形態では、絶縁放熱基板20の他面20bに高熱伝導部材400が配置されている。このため、
図8に示されるように、半導体パッケージ10および放熱用パッド75から絶縁放熱基板20に伝達された熱は、高熱伝導部材400によって平面方向に広がり易くなる。つまり、接合部材210と接合される部分の温度が部分毎に高くなったり、低くなったりすることを抑制できる。このため、接合部材210の温度が部分的に高くなったり低くなったりすることを抑制でき、接合部材210の略全体を通じて放熱部材200に熱を伝達し易くなる。したがって、放熱性の向上を図ることができる。
【0062】
(2)本実施形態では、高熱伝導部材400が絶縁放熱基板20よりも厚くされている。このため、高熱伝導部材400のうちの放熱部材200と接合される部分側では、全体的な温度のばらつきがさらに抑制され、さらに接合部材210の略全体を通じて放熱部材200に熱を伝達し易くできる。
【0063】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。本実施形態は、第2実施形態に対し、高熱伝導部材400に溝部を形成したものである。その他に関しては、第2実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0064】
本実施形態の半導体装置Sでは、
図9に示されるように、高熱伝導部材400に溝部410が形成されている。具体的には、溝部410は、法線方向において、放熱用パッド75(すなわち、放熱用パターン125)と第1半導体チップ31との間に形成されている。なお、
図9とは別断面では、溝部410は、法線方向において、放熱用パッド75と第2~第4半導体チップ32~34との間に形成されている。また、溝部410は、本実施形態では、放熱部材200側から絶縁放熱基板20に達するように形成されている。そして、溝部410は、空気等が充填された状態となっており、高熱伝導部材400よりも熱伝導率が低くなっている。
【0065】
以上説明した本実施形態によれば、放熱用パターン125および外部出力用パターン126が放熱用パッド75、放熱用ビア66および絶縁放熱基板20を介して放熱部材200に熱的に接続されているため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0066】
(1)本実施形態では、高熱伝導部材400には、法線方向において、放熱用パッド75と第1~第4半導体チップ31~34との間に溝部410が形成されている。このため、熱干渉を抑制することができる。すなわち、例えば、使用環境等により、放熱用パターン125の方が第1~第4半導体チップ31~34よりも温度が著しく高くなる場合、放熱用パターン125から高熱伝導部材400に伝達された熱が第1~第4半導体チップ31~34側に伝達される可能性がある。このため、本実施形態のように溝部410を形成することにより、放熱用パターン125と第1~第4半導体チップ31~34との間の熱干渉を抑制でき、効率的に放熱部材200へ放熱できる。
【0067】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。本実施形態は、第3実施形態に対し、溝部410に埋込部材を追加したものである。その他に関しては、第3実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0068】
本実施形態の半導体パッケージ10では、
図10に示されるように、溝部410に埋込部材420が配置されている。埋込部材420は、高熱伝導部材400よりも熱伝導率が低い材料で構成され、例えば、シリコン酸化膜等で構成される。
【0069】
以上説明した本実施形態によれば、放熱用パターン125および外部出力用パターン126が放熱用パッド75、放熱用ビア66および絶縁放熱基板20を介して放熱部材200に熱的に接続されているため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0070】
(1)本実施形態では、溝部410に埋込部材420が配置されている。このため、溝部410内に、例えば、高熱伝導部材400よりも熱伝導率が高い異物等が入り込むことを抑制でき、溝部410の効果が少なくなることを抑制できる。
【0071】
(第5実施形態)
第5実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、放熱用接続部材の構成を変更したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0072】
本実施形態の半導体装置Sでは、
図11に示されるように、半導体パッケージ10に放熱用パッド75が備えられておらず、絶縁放熱基板20に放熱用配線層23が形成されていない。また、封止部材60は、絶縁放熱基板20の一面20aのうちの放熱用パターン125と対向する部分が露出するように配置されている。そして、配線基板100の放熱用パターン125と絶縁放熱基板20とは、熱伝導率の高い銅等で構成されるブロック体500を介して熱的に接続されている。なお、本実施形態では、ブロック体500が放熱用接続部材に相当する。
【0073】
以上説明した本実施形態のように、配線基板100の放熱用パターン125と絶縁放熱基板20とをブロック体500で熱的に接続するようにしても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0074】
(1)本実施形態では、配線基板100の放熱用パターン125と絶縁放熱基板20の放熱用配線層23とをブロック体500で熱的に接続している。このため、半導体パッケージ10の構成を簡素化できる。
【0075】
(他の実施形態)
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0076】
例えば、上記各実施形態において、半導体パッケージ10に含まれる半導体チップの数は適宜変更可能である。
【0077】
また、上記各実施形態において、各半導体チップ31~34の構成は適宜変更可能である。例えば、各半導体チップ31~34は、シリコン基板や炭化珪素基板等を用いて構成されていてもよい。また、各半導体チップ31~34は、形成される半導体素子も適宜変更可能であり、例えば、厚さ方向に電流を流す縦型素子が形成されていてもよい。
【0078】
さらに、上記各実施形態において、封止部材60は、板状部材61が積層されて一体化されるのではなく、例えば、射出成型等によって形成されていてもよい。
【0079】
また、上記各実施形態において、放熱用パッド75は、複数に分割されていてもよい。例えば、放熱用パッド75は、第1~第4ドレイン用パッド71a~74aと第1方向にて隣合う位置に配置される部分を有し、これらの部分が互いに分離されていてもよい。
【0080】
そして、上記第1~第4実施形態において、放熱用パターン125と放熱用配線層23とが熱的に接続されるのであれば、放熱用パターン125と放熱用配線層23とは、電気的に接続されていなくてもよい。
【0081】
さらに、上記第1~第4実施形態において、放熱用ビア66は、多角筒状であってもよいし、1つのみが備えられていてもよい。
【0082】
また、上記第1~第4実施形態において、放熱用パターン125が絶縁放熱基板20と熱的に接続されるのであれば、放熱用配線層23が形成されていなくてもよい。
【0083】
さらに、上記第2~第4実施形態において、高熱伝導部材400は、絶縁放熱基板20よりも厚さが薄くされていてもよい。
【0084】
また、上記第3、第4実施形態において、溝部410は、高熱伝導部材400から絶縁放熱基板20に渡って形成されていてもよいし、絶縁放熱基板20のみに形成されていてもよい。つまり、溝部410は、絶縁放熱基板20および高熱伝導部材400の少なくとも一方に形成されていればよい。
【0085】
そして、上記各実施形態を適宜組み合わせることもできる。例えば、上記第2~第4次絵形態を上記第5実施形態に組み合わせ、高熱伝導部材400を備えるようにしてもよい。
【0086】
[本発明の開示]
上記した本開示については、例えば以下に示す観点として把握することができる。
【0087】
[第1の観点]
半導体装置であって、
一面(100a)および前記一面と反対側の他面(100b)を有し、前記他面に形成された配線パターン(120)を有する配線基板(100)と、
半導体素子(Q1~Q4)が形成された半導体チップ(31~34)と、一面(20a)および他面(20b)を有し、前記一面側に前記半導体チップが配置される絶縁放熱基板(20)と、前記半導体チップと電気的に接続される素子用パッド(71a~74c)と、を有し、前記素子用パッドが前記配線パターンと接続される状態で前記配線基板に搭載される半導体パッケージ(10)と、
前記半導体パッケージを挟んで前記配線基板と反対側に、前記半導体パッケージにおける絶縁放熱基板の他面と対向する状態で配置され、前記絶縁放熱基板と熱的に接続される放熱部材(200)と、を備え、
前記配線パターンは、前記半導体素子に接続され、前記半導体素子の動作に応じた電流が流れる放熱用パターン(125)を有し、
前記放熱用パターンと前記絶縁放熱基板との間には、前記放熱用パターンと前記絶縁放熱基板とを熱的に接続する放熱用接続部材(66、500)が配置されている半導体装置。
【0088】
[第2の観点]
前記半導体パッケージは、前記放熱用パターンと接続される放熱用パッド(75)と、前記絶縁放熱基板と前記放熱用パッドとを接続する前記放熱用接続部材としての放熱用ビア(66)と、を有し、
前記放熱用パターンは、前記絶縁放熱基板に、前記放熱用パッドおよび前記放熱用ビアを介して熱的に接続されている第1の観点に記載の半導体装置。
【0089】
[第3の観点]
前記絶縁放熱基板は、前記一面のうちの前記半導体チップが搭載される部分と異なる部分に放熱用配線層(23)が形成されており、
前記放熱用パターンは、前記放熱用パッドおよび前記放熱用ビアを介して前記放熱用配線層と電気的に接続されている第2の観点に記載の半導体装置。
【0090】
[第4の観点]
前記放熱用パターンは、前記絶縁放熱基板に、前記半導体パッケージとは別に備えられた前記放熱用接続部材としてのブロック体(500)を介して熱的に接続されている第1の観点に記載の半導体装置。
【0091】
[第5の観点]
前記絶縁放熱基板と前記放熱部材との間には、前記絶縁放熱基板よりも熱伝導率が高い材料で構成された高熱伝導部材(400)が配置されている第1ないし第4の観点のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0092】
[第6の観点]
前記高熱伝導部材は、前記絶縁放熱基板よりも厚さが厚くされている第5の観点に記載の半導体装置。
【0093】
[第7の観点]
前記絶縁放熱基板および前記高熱伝導部材の少なくとも一方には、前記絶縁放熱基板の一面に対する法線方向において、前記放熱用パターンと前記半導体チップとの間に溝部(410)が形成されている第5または第6の観点に記載の半導体装置。
【0094】
[第8の観点]
前記溝部には、前記高熱伝導部材よりも熱伝導率の低い材料で構成された埋込部材(420)が配置されている第7の観点に記載の半導体装置。
【0095】
[第9の観点]
前記絶縁放熱基板には、チップ用配線層(22)が形成され、
前記半導体チップは、窒化ガリウムを含む半導体基板(43)を用いて構成され、前記半導体素子として、ドレイン電極(D1~D4)、ソース電極(S1~S4)、およびゲート電極(G1~G4)を有し、前記半導体基板の面方向に電流を流す横型素子が形成されており、前記絶縁放熱基板と対向する面(31b)に前記チップ用配線層と電気的に接続される裏面電極(45)が配置され、
前記ソース電極は、前記チップ用配線層を介して前記裏面電極と接続されている第1ないし第8の観点のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0096】
[第10の観点]
前記半導体パッケージは、複数のフィルム部(61)が一体化された多層封止部材(60)で封止され、前記フィルム部に形成された貫通ビア(65)を介して、前記素子用パッドと前記半導体チップとが電気的に接続されている第1ないし第9の観点のいずれか1つに記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0097】
20 絶縁放熱基板
20a 一面
20b 他面
31~34 第1~第4半導体チップ
66 放熱用ビア(放熱用接続部材)
71a~74c 素子用パッド
100 配線基板
100a 一面
100b 他面
Q1~Q4 第1~第4トランジスタ