(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164597
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】自動販売機
(51)【国際特許分類】
G07F 7/02 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
G07F7/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080198
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】397011111
【氏名又は名称】株式会社マースウインテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】井出 平三郎
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 俊幸
【テーマコード(参考)】
3E044
【Fターム(参考)】
3E044AA01
3E044BA01
3E044BA02
3E044BA04
3E044BA10
3E044CA02
3E044CA10
3E044DB05
3E044DD05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】商品収容部から適切に商品が取り出されたとしても、決済異常があった場合における商品の具体的な取り扱い手段を有する自動販売機を提供すること。
【解決手段】商品収容部30、商品選択ボタン13、商品取出口12、商品取出口12を閉塞しロック状態を基本とする自動開閉シャッタ14、決済部50、動作制御部70および決済部50において決済が完了しなかった場合に商品収容部30から取り出された商品20を収納する決済未完遂商品収納庫90を具備し、動作制御部70は、決済完了時に自動開閉シャッタ14をロック解除して商品取出口12を開口する処理および基本状態に戻す処理を実行し、決済失敗時に商品20を決済未完遂商品収納庫90に収納する処理を実行し、商品選択ボタン13で選択された商品20が決済未完遂商品収納庫90に収納された商品20の場合、商品取出口12に送り出す収納庫商品販売処理を実行する自動販売機100である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品が収容された複数の商品収容部と、
商品選択ボタンと、
前記商品選択ボタンにより選択された前記商品を取り出しする商品取出口と、
前記商品取出口に取り付けられていて、前記商品取出口を閉塞したロック状態を基本状態とする自動開閉シャッタと、
決済部と、
自動販売機の全体動作を制御する動作制御部と、
前記決済部において決済が完了しなかった場合に、前記商品収容部から取り出された前記商品を収納する決済未完遂商品収納庫と、を具備し、
前記動作制御部は、
前記決済部において決済が完了した場合に、前記商品取出口から前記商品を取り出せるように前記自動開閉シャッタのロックを解除して、前記商品取出口を開口する処理と、前記商品取出口から前記商品が取り出された後、または、予め設定されたロック解除時間の経過後に前記自動開閉シャッタを前記基本状態にする処理と、を実行し、
前記決済部において決済が完了しなかった場合に、前記商品を前記決済未完遂商品収納庫に収納させる決済未完遂商品収納処理を実行し、
前記商品選択ボタンにより選択された前記商品が前記決済未完遂商品収納庫に収容されている前記商品である場合に、前記決済未完遂商品収納庫に収容されている前記商品を前記商品取出口に送り出しする収納庫商品販売処理を実行することを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
前記商品収容部に収容されている前記商品と、前記決済未完遂商品収納庫に収容されている前記商品の優先販売順序が予め記憶部に記憶されており、
前記動作制御部は、前記優先販売順序に基づいて前記収納庫商品販売処理を実行することを特徴とする請求項1記載の自動販売機。
【請求項3】
前記決済未完遂商品収納庫は、各々に識別子が設定された状態で複数設けられており、
前記動作制御部は、前記決済未完遂商品収納処理の実行時以降に前記決済未完遂商品収納庫に収納された前記商品について、少なくとも商品名を前記決済未完遂商品収納庫の前記識別子と紐づけした状態で記憶部に収納庫商品データとして記憶させる収納庫商品データ記憶処理をさらに実行し、
前記収納庫商品販売処理は、
前記商品選択ボタンにより選択された前記商品が前記収納庫商品データに対応する前記商品と一致した場合、前記決済未完遂商品収納庫に収納された前記商品を前記商品取出口に送り出しすることを特徴とする請求項1または2記載の自動販売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動販売機の決済手段にもキャッシュレス化傾向が強まっている。キャッシュレス決済機能を有し、キャッシュレス決済に失敗した場合においてユーザに対し適切な清算を可能にした自動販売機の構成については、特許文献1(特開2020-149102号公報)に開示されているようなものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-149102号公報(請求項1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている自動販売機の構成によれば、商品の搬出異常が生じた場合については自動販売機のユーザに対して適切な清算を行うことが可能になる。しかしながら、商品収容部から適切に商品が取り出されたとしても、決済異常があった場合における商品の取り扱い方法については何ら開示されておらず、このような場合における具体的な解決方法についての提案が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は上記課題を解決するためのものであり、その目的とするところは次のとおりである。すなわち、商品収容部から適切に商品が取り出されたとしても、決済異常があった場合における商品の具体的な取り扱い手段を有する自動販売機を提供することにある。
【0006】
上記課題を解決するため発明者が鋭意研究した結果、以下の構成に想到した。すなわち、本発明は、商品が収容された複数の商品収容部と、商品選択ボタンと、前記商品選択ボタンにより選択された前記商品を取り出しする商品取出口と、前記商品取出口に取り付けられていて、前記商品取出口を閉塞したロック状態を基本状態とする自動開閉シャッタと、決済部と、自動販売機の全体動作を制御する動作制御部と、前記決済部において決済が完了しなかった場合に、前記商品収容部から取り出された前記商品を収納する決済未完遂商品収納庫と、を具備し、前記動作制御部は、前記決済部において決済が完了した場合に、前記商品取出口から前記商品を取り出せるように前記自動開閉シャッタのロックを解除して、前記商品取出口を開口する処理と、前記商品取出口から前記商品が取り出された後、または、予め設定されたロック解除時間の経過後に前記自動開閉シャッタを前記基本状態にする処理と、を実行し、前記決済部において決済が完了しなかった場合に、前記商品を前記決済未完遂商品収納庫に収納させる決済未完遂商品収納処理を実行し、前記商品選択ボタンにより選択された前記商品が前記決済未完遂商品収納庫に収容されている前記商品である場合に、前記決済未完遂商品収納庫に収容されている前記商品を前記商品取出口に送り出しする収納庫商品販売処理を実行することを特徴とする自動販売機である。
【0007】
これにより、商品収容部からの商品の搬出が正常であっても、決済異常があった場合においては、商品を決済未完遂商品収納庫に収容することで、商品収容部から商品取出口の間に商品がない状態となり、引き続き自動販売機の稼働が可能になる。また、決済未完遂収納庫に収容された商品を再度販売することができるため、商品の廃棄ロスを防ぐことができる。
【0008】
また、前記商品収容部に収容されている前記商品と、前記決済未完遂商品収納庫に収容されている前記商品の優先販売順序が予め記憶部に記憶されており、前記動作制御部は、前記優先販売順序に基づいて前記収納庫商品販売処理を実行することが好ましい。
【0009】
これにより、決済未完遂商品収納庫に収納された商品を販売に回す際において、商品の消費期限を優先させた販売形態またはユーザの販売商品に対する心証を優先させた販売形態のいずれかを選択することができる。
【0010】
また、前記決済未完遂商品収納庫は、各々に識別子が設定された状態で複数設けられており、前記動作制御部は、前記決済未完遂商品収納処理の実行時以降に前記決済未完遂商品収納庫に収納された前記商品について、少なくとも商品名を前記決済未完遂商品収納庫の前記識別子と紐づけした状態で記憶部に収納庫商品データとして記憶させる収納庫商品データ記憶処理をさらに実行し、前記収納庫商品販売処理は、前記商品選択ボタンにより選択された前記商品が前記収納庫商品データに対応する前記商品と一致した場合、前記決済未完遂商品収納庫に収納された前記商品を前記商品取出口に送り出しすることが好ましい。
【0011】
これにより、各々の決済未完遂商品収納庫に収納されている商品を正確に把握することができ、商品管理を確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る自動販売機の構成によれば、商品収容部からの商品の搬出が正常であっても、決済異常があった場合においては、商品を決済未完遂商品収納庫に収容することで、商品収容部から商品取出口の間に商品がない状態となり、引き続き自動販売機の稼働が可能になる。また、決済未完遂収納庫に収容された商品を再度販売することができるため、商品の廃棄ロスを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態における自動販売システムの概略構成図である。
【
図2】第1実施形態における自動販売機の概略内部構造を示す右側面図である。
【
図3】第1実施形態における自動販売機による商品販売時における概略処理フロー図である。
【
図4】第2実施形態における自動販売機の概略正面図である。
【
図5】第2実施形態における自動販売機の概略内部正面図である。
【
図6】第2実施形態における自動販売機の概略内部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本実施形態における自動販売機100とインターネット200およびキャッシュレス決済サーバ300を用いた自動販売システム400について図面を参照しながら説明を行う。
【0015】
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態における自動販売機100は、箱形に形成された筐体10、複数の商品20が収容可能な複数の商品収容部30、選択商品送り出し機構40、決済部50、通信部60、動作制御部70、表示部80および決済未完遂商品収納庫90を具備している。商品収容部30、選択商品送り出し機構40、決済部50、通信部60、動作制御部70、表示部80および決済未完遂商品収納庫90は、筐体10の内部に収容されている。その他の構成は一般的な自動販売機100における構成と共通するため、ここでの詳細な説明は省略する。本実施形態における自動販売機100は、
図1に示すように、インターネット200を介してキャッシュレス決済サーバ300に接続され、自動販売システム400の一部を構成している。
【0016】
自動販売機100の筐体10は、断熱性を有するパネルを箱形に組み立てることによって形成されている。筐体10の内部空間は、図示しない温度調整装置によって所定の設定温度に維持されている。
図1および
図2に示すように、筐体10の内部空間には、商品20が複数収容可能な商品収容部30が複数収容されている。筐体10の正面側には、商品サンプルSを表示する商品ディスプレイ11、商品選択ボタン13および表示部80が配設されていると共に、決済部50のコンタクト部53が筐体10の外部に露出した状態で配設されている。
【0017】
商品取出口12は筐体10の内部空間における下側部分に配設されており、開口部12Aの位置で筐体10の正面側に開口している。商品取出口12には、筐体10の正面側の開口部12Aを閉塞および開放可能な断熱性を有する自動開閉シャッタ14が配設されている。自動開閉シャッタ14は、シャッタ駆動部16により基本状態が商品取出口12の開口部12Aを閉塞した状態でロックされたロック状態になっている。また、商品取出口12には、商品取出口12の商品20が取り出されたことを検出する商品取り出し検出センサ18を配設することもできる。商品取り出し検出センサ18は、商品取り出し検出信号を動作制御部70に送信する。商品取出口12の下側には、商品収容部30から商品取出口12に運び出された後に未決済となった商品20を収納するための決済未完遂商品収納庫90が配設されている。商品取出口12の底板12Bは、決済未完遂商品収容部であるモータ92により
図2中の矢印Aの向きに回動可能に保持されたV字板に形成されている。
【0018】
商品取出口12の底板12Bの下側位置には代金決済が未完遂になった商品20を収納する複数の決済未完遂商品収納庫90が配設されている。決済未完遂商品収納庫90は、底板12Bの直下位置に配設されていることが好ましいが、底板12Bの下側位置にガイド体Gを配設することにより、決済未完遂商品収納庫90の配設位置は、底板12Bの直下位置でなくてもよい。決済未完遂商品収納庫90は、循環搬送体としてのベルト94に所要間隔をあけて取り付けられている。ベルト94はベルト駆動部96により商品取出口12の直下位置におけるスペース内で循環可能になっている。ベルト駆動部96は、動作制御部70によってオンオフ動作が制御されている。各々の決済未完遂商品収納庫90には識別子が付与されている。
【0019】
本実施形態における商品収容部30は、商品20を高さ方向に積み上げて収容するサーペンタイン型の商品収容部30(サーペンタイン型コラム)が採用されている。なお、本発明における商品収容部30は、サーペンタイン型コラムに限定されるものではない。商品収容部30の下端部には、選択商品送り出し機構40の一部としての商品ストッパ42が配設されている。商品ストッパ42は、
図2中の矢印Bの方向に伸縮することで、商品20を1個ずつ払い出している。商品ストッパ42の動作は、動作制御部70により伸縮動作が制御されている。
【0020】
本実施形態における決済部50は、現金決済部51とおよびキャッシュレス決済部52を有しており、これらの決済に対する処理フローについては公知であるためここでの詳細な説明は省略する。キャッシュレス決済部52はコンタクト部53、通信部60およびインターネット200を介してキャッシュレス決済業者が運用するキャッシュレス決済サーバ300とトランザクションデータの通信が可能になっている。決済部50は、自動販売機100の全体動作を制御する動作制御部70により動作が制御されている。動作制御部70は、動作制御プログラムが記憶されている記憶部72と、動作制御プログラムに基づいて自動販売機100における各構成の動作を制御する演算部74を有している。
【0021】
本実施形態における表示部80としては、ディスプレイモニタを例示することができる。表示部80には、自動販売機100において販売している商品20に関する各種情報や商品20の購入手続きにおける処理フロー等が表示される。ディスプレイモニタはタッチパネル式であることが好ましい。表示部80は動作制御部70により動作(表示内容)が制御されている。また、本実施形態においては、商品サンプルSを用いた物理的な商品ディスプレイ11を採用しているが、表示部80に取り扱い商品20を画像表示させれば、物理的な商品ディスプレイ11の配設は省略することもできる。
【0022】
次に本実施形態における自動販売システム400による商品20の購入時におこなわれる処理フローについて
図3を参照しながら説明する。ユーザは、自動販売機100の商品ディスプレイ11を参照し、購入希望の商品20を商品選択ボタン13で選択すると、動作制御部70は、表示部80に選択された商品20の画像および商品名を表示させる処理(購入希望商品確認処理)を行う。また、動作制御部70は、今後の処理メニューを表示させる処理(購入処理フロー表示処理)を行う。
【0023】
ユーザが表示部80の処理メニューを操作し、商品20の代金の決済方法をキャッシュレス決済で進めることを選択し、該当する処理メニューをタップ等する(商品代決済決定処理)。すると、動作制御部70は、選択された商品20が収容されている商品収容部30の商品ストッパ42をオフにする処理を行う。これにより、ユーザにより選択された商品20は、商品20の代金決済を行う前に商品取出口12に送り出される(選択商品送り出し処理)。とはいえ、商品取出口12は自動開閉シャッタ14により閉塞されており、代金決済前にユーザが商品20を取り出すことはできない状態になっている。
【0024】
ユーザは、表示部80に表示されたメッセージに従って、キャッシュレス決済手段としての決済アプリがインストールされた自身のスマートフォンを決済部50のコンタクト部53に近接または接触させることで商品20の代金の決済を行う(商品代金決済処理)。動作制御部70は、通信部60およびインターネット200を介してキャッシュレス決済サーバ300から決済完了の通知の受信を確認する(決済結果確認処理のYES)と、シャッタ駆動部16を作動させて予め設定したロック解除時間にわたって自動開閉シャッタ14を開放状態にする処理(シャッタロック解除処理)を行う。商品取出口12が解放された後、ユーザは商品取出口12から商品20を取り出すことができる。
【0025】
動作制御部70は、ロック解除時間にわたって自動開閉シャッタ14を開放させた後、または、商品取り出し検出センサ18からの商品取り出し検出信号を受信した場合にはロック解除時間が経過する前に、シャッタ駆動部16を作動させて自動開閉シャッタ14を閉塞すると共に再ロックして自動開閉シャッタ14を基本状態にする処理(シャッタ再ロック処理)を行う。
【0026】
このように、ユーザにより選択された商品20を決済前に商品取出口12まで送り出しすることで、商品20の代金決済後における自動販売機100の内部での商品20の詰まり等による商品20の取り出し不可状態になるリスクを大幅に低減することができる。これにより、キャッシュレス決済後におけるユーザへの商品20の受け渡しができない状況の発生を防ぎ、ユーザに対する決済済み商品代金の返還処理のリスクが大幅に低減する。
【0027】
動作制御部70は、シャッタロック解除処理を行った以降に、商品収容部30の商品在庫状況の確認(商品収容部商品在庫確認処理)を行う。このとき商品収容部30に商品20の在庫がある場合(商品収容部商品在庫確認処理のYES)には以降の処理フローを一旦終了(END)させて、次の販売機会まで待機させる。一方、動作制御部70は、商品収容部商品在庫確認処理において商品収容部30に商品20の在庫がない場合(商品収容部商品在庫確認処理のNO)、商品収容部30の在庫が欠品している商品20が決済未完遂商品収納庫90に収納されているか否かの確認を行う(商品収容部欠品商品収納庫在庫確認処理)。
【0028】
動作制御部70は、決済未完遂商品収納庫90に商品収容部30の在庫が欠品している商品20が収納されている場合(商品収容部欠品商品収納庫在庫確認処理のYES)には、以降の処理フローを一旦終了(END)させて、次の販売機会まで待機させる。一方、動作制御部70は、決済未完遂商品収納庫90に商品収容部30の在庫が欠品している商品20が収納されていない場合(商品収容部欠品商品収納庫在庫確認処理のNO)には、商品選択ボタン13または表示部80に商品20の売り切れ表示を行った(商品売り切れ表示処理)後、以降の処理フローを一旦終了(END)させて、次の販売機会まで待機させる。
【0029】
また、ユーザによるキャッシュレス決済が何らかの理由により完遂することができなかった場合(決済結果確認処理のNO)、動作制御部70は、自動開閉シャッタ14のロック状態を解除せずに、商品取出口12に運び出された商品20を決済未完遂商品収納庫90に収納する処理(決済未完遂商品収納処理)を行う。具体的には、動作制御部70が通信部60を介してキャッシュレス決済サーバ300から決済不可の通知を受信すると、動作制御部70は、自動開閉シャッタ14の基本状態を維持させると共に、決済未完遂商品収容部であるモータ92を作動させて、商品20が載置された底板12Bを360度回動させる処理を行う。これにより底板12Bに載置されていた商品取出口12内の商品20を決済未完遂商品収納庫90に収納すると共に、底板12Bを元の位置に戻すことができる。
【0030】
決済未完遂商品収納処理の実行時以降において、動作制御部70は、決済未完遂商品収納庫90の識別子と、収納された商品20に関するデータ(商品名、収納日時、決済未完遂となったトランザクション番号等)とを記憶部72に紐づけした状態で記憶させる処理(収納庫商品データ記憶処理)を行う。続けて動作制御部70は、ベルト駆動部96を作動させてベルト94を所要長さ順送りさせて、空の状態の決済未完遂商品収納庫90を商品取出口12の直下位置に待機させる処理を行う(収納庫循環処理)。
【0031】
なお、動作制御部70は、収納庫商品データ記憶処理で記憶部72に記憶させた決済未完遂商品収納庫90に収納された未決済の商品20と商品選択ボタン13の操作により動作制御部70に送信される選択商品信号とを紐づけする処理を行う(収納庫商品販売用登録処理)。これにより、決済未完遂商品収納庫90に収納されている商品20を販売することができる。具体的には、筐体10の内部空間に適宜配設された商品戻し部(図示はせず)が動作制御部70によって動作制御され、決済未完遂商品収納庫90に収納されている商品20を商品取出口12に戻す処理(再販商品戻し処理)を行えばよい。なお、決済未完遂商品収納庫90は筐体10の内部空間に収容されているので、商品収容部30に収容されている商品20と同じ温度での提供が可能になっている。
【0032】
また、記憶部72には、決済未完遂商品収納庫90の商品20と商品収容部30の商品20が同一種であって共に在庫を有している場合に、決済未完遂商品収納庫90の商品20と商品収容部30の商品20の優先販売順序を設定した優先販売順序ルールを予め記憶させておくこともできる。この場合、動作制御部70は、優先販売順序ルールに基づいて収納庫商品販売処理を行う。すなわち、優先販売順序ルールが、決済未完遂商品収納庫90の商品20の販売を優先している設定である場合、商品20の消費期限が近いものが先に販売されることになり、商品20の廃棄ロスを防止することができるといったメリットがある。
【0033】
一方、優先販売順序ルールが、商品収容部30の商品20の販売を優先している設定である場合、決済未完遂商品収納庫90の商品20の販売時には商品収容部30の商品20がなくなっていることになる。これにより、とくに自動販売機100の内部が視認可能な場合、ユーザは、決済未完遂商品収納庫90の商品20を予備在庫であると考える。すなわちユーザは、自身が購入した商品20が一旦商品収容部30から取り出されたものであるとは認識せず、自動販売機100の運用者に対する心証が悪化しないといったメリットがある。
【0034】
動作制御部70は、再販商品戻し処理以降に、商品20を取り出した決済未完遂商品収納庫90に紐づけられていた商品20に関する情報を消去する処理(収納庫商品データ消去処理)を行った後、商品代金決済処理以降の処理を繰り返すことになる。以上の収納庫商品販売用登録処理、再販商品戻し処理および収納庫商品データ消去処理が特許請求の範囲における収納庫商品販売処理に相当する。
【0035】
次に動作制御部70は、商品収容部30の商品在庫状況の確認(商品収容部商品在庫確認処理)を行う。このとき商品収容部30に商品20の在庫がある場合(商品収容部商品在庫確認処理のYES)には以降の処理フローを一旦終了(END)させて、次の販売機会まで待機させる。一方、商品収容部商品在庫確認処理において商品収容部30に商品20の在庫がない場合(商品収容部商品在庫確認処理のNO)、動作制御部70は、商品収容部30の在庫が欠品している商品20と同一種の商品20が決済未完遂商品収納庫90に収納されているか否かの確認を行う(商品収容部欠品商品収納庫在庫確認処理)。
【0036】
動作制御部70は、決済未完遂商品収納庫90に商品収容部30の在庫が欠品している商品20と同一種の商品20が収納されている場合(商品収容部欠品商品収納庫在庫確認処理のYES)には、以降の処理フローを一旦終了(END)させて、次の販売機会まで待機させる。一方、動作制御部70は、決済未完遂商品収納庫90に商品収容部30の在庫が欠品している商品20と同一種の商品20が収納されていない場合(商品収容部欠品商品収納庫在庫確認処理のNO)には、商品選択ボタン13または表示部80に商品20の売り切れ表示を行った(商品売り切れ表示処理)後、以降の処理フローを一旦終了(END)させて、次の販売機会まで待機させる。
【0037】
(第2実施形態)
自動販売機本実施形態における自動販売機100は、
図4~
図6に示すように、第1実施形態と同様の構成に対し第1実施形態で用いた符号と同一番号を付すことで、ここでの詳細な説明は省略することがある。本実施形態における複数の商品収容部30は、筐体10の背面側から正面側に向けた状態で水平方向(奥行方向)に立設された複数枚の仕切板により形成されている。商品収容部30の長さは、筐体10の奥行方向長さよりも十分短く形成されており、商品収容部30の前面側端部と筐体10の正面板との間にはバケット移動用スペースSPが形成されている。バケット移動用スペースSPの下側部分には、決済未完遂商品収納庫90が複数箇所に配設されている。本実施形態における商品取出口12は筐体10の正面板の下側部分に配設されている。商品取出口12の正面側の開口部12Aには自動開閉シャッタ14が配設されている。第1実施形態と同様に、筐体10の内部空間は同じ設定温度に維持することもできる。
【0038】
各々の商品収容部30に収容された商品20は、動作制御部70が選択商品送り出し機構40の動作を制御することにより商品収容部30の正面側端部に送り出される。なお、本実施形態における選択商品送り出し機構40は、商品送り出し体としての押出板44、ベルトコンベア45、バケット46およびバケット駆動部47により構成されている。押出板44は、商品収容部30の延伸方向に沿って敷設されたベルトコンベア45に取り付けられている。動作制御部70がベルトコンベア45を商品20の1つ分正面側に前進させると、ベルトコンベア45の上面に載置された商品20が押出板44によって商品収容部30の正面側端部(バケット移動用スペースSPの側)に向けて送り出される。このようにして商品収容部30に陳列された商品20がバケット46に送り出される。
【0039】
なお、選択商品送り出し機構40の構成は以上の構成に限定されるものではない。押出板44を商品収容部30の長さ方向に沿って伸縮する流体シリンダの出力軸(図示はせず)に取り付けた形態をすることもできる。この場合、押出板44の背面に流体シリンダの出力軸を連結させることで、商品収容部30に載置した商品20を商品収容部30の正面側端部に向けて送り出すことができる。
【0040】
商品収容部30の正面側端部の前方位置であるバケット移動用スペースSPには商品収容部30から送り出された商品20を受け取るバケット46が商品収容部30に隣接した状態で待機している。バケット46は、動作制御部70により動作が制御されたバケット駆動部47に
図5と
図6中の矢印C方向にスライド移動可能かつ
図5と
図6中の矢印D方向に回動可能に取り付けられている。バケット駆動部47は、
図5および
図6中の矢印E方向にスライド移動する。このようなバケット駆動部47によりバケット46は、各々の商品収容部30の正面側端部の前方位置(商品送り出し体の送り出し方向前方位置)と商品取出口12との間で移動可能である。このようなバケット46およびバケット駆動部47の構成を採用することより、商品20に衝撃を与えることなく商品収容部30から商品取出口12に商品20を送り出しすることができる。
【0041】
本実施形態における決済未完遂商品収納庫90は、第1実施形態と同様に、商品取出口12の下側位置に複数配設されている。これら決済未完遂商品収納庫90は、筐体10の内部空間においてバケット移動用スペースSPよりも背面側の位置(商品収容部30が配設されている位置の直下位置)に配設されている。なお、本実施形態における自動販売機100は、バケット46とバケット駆動部47により商品収容部30から商品取出口12に商品20を移動させているため、決済未完遂商品収納庫90の位置は筐体10の内部空間内のどの場所であってもよい。また、決済未完遂商品収納庫90は配設箇所に固定することもできる。本実施形態における決済未完遂商品収納庫90は、バケット46の背面側においてバケット46に隣接して配設されている。
【0042】
バケット駆動部47がバケット46を決済未完遂商品収納庫90の正面側に移動させた後、バケット駆動部47がバケット46の正面側が背面側よりも高くなるように矢印D方向に回動させる。これにより、バケット46から未決済の商品20が決済未完遂商品収納庫90に収納される。このとき、決済未完遂商品収納庫90に対するバケット46の位置を決済未完遂商品収納庫90よりも上方位置にしておくことが好ましい。また、決済未完遂商品収納庫90に図示しない戻し用プッシャーを配設しておけば、決済未完遂商品収納庫90に収納された商品20をバケット46に戻して商品取出口12に運び販売することができる。なお、決済未完遂商品収納庫90に収納された商品20を再び販売する際における処理フローは、第1実施形態と同様にして行うことができる。
【0043】
以上に本発明に係る自動販売機100について実施形態に基づいて説明したが、本発明は、以上の実施形態に限定されるものではない。例えば、第1実施形態においては、決済方法としてキャッシュレス決済が選択された形態について説明しているが、この形態に限定されるものではない。商品20の代金の決済方法は、現金決済部51による現金決済を採用することもできる。また、決済部50が現金決済部51のみである場合には、通信部60、インターネット200およびキャッシュレス決済サーバ300の構成は不要となり、スタンドアロン方式の自動販売機100とすることもできる。
【0044】
また、第1実施形態においては、商品取出口12の底板12BがV字板に形成された形態を例示しているが、底板12Bは平坦板であってもよい。底板12Bに平坦板を採用した場合、モータ92は底板12Bを180度回動させれば、未決済の商品20を決済未完遂商品収納庫90に収納することができると共に、商品取出口12を空の状態にすることができる点で好都合である。
【0045】
また、第1実施形態においては、商品取出口12に商品取り出し検出センサ18が配設された形態を例示しているが、商品取り出し検出センサ18の配設は省略することもできる。この場合、動作制御部70は、予め設定した所定解除時間にわたって自動開閉シャッタ14を開放させた後にシャッタ駆動部16を作動させ、自動開閉シャッタ14を閉塞すると共に再ロックする処理を行う。
【0046】
また、第2実施形態においては、バケット46から決済未完遂商品収納庫90に商品20を収納する際にバケット46に装着した収納用プッシャーを決済未完遂商品収容部として用いることもできる。また、第2実施形態においては、決済未完遂商品収納庫90に収納した商品20をバケット46に戻す際には戻し用プッシャーを用いているが、本発明はこの形態に限定されるものではない。決済未完遂商品収納庫90に対するバケット46の位置を決済未完遂商品収納庫90よりも下方位置にして、決済未完遂商品収納庫90の底板をバケット側が低くなるように決済未完遂商品収納庫90の底板の一部を上昇させる収納庫底板上昇用流体シリンダが配設された形態を採用することもできる。
【0047】
また、以上の実施形態においては、商品選択ボタン13により商品20が選択され、商品代決済決定処理が行われた後に、商品20が商品取出口12に送り出される選択商品送り出し処理が行われているが、この形態に限定されるものではない。選択商品送り出し処理は、商品代決済決定処理の前または商品代決済決定処理と同時に行うこともできる。また、選択商品送り出し処理は、商品20を商品取出口12ではなく、筐体10の内部空間における図示しない決済待機場所(例えば、第2実施形態におけるバケット46)に送り出してもよい。この場合、決済が完了した場合には、バケット駆動部47がバケット46を商品取出口12に移動させた後、シャッタロック解除処理およびシャッタ再ロック処理に進む。一方、決済が完了しなかった場合には、決済未完遂商品収納処理は、決済待機場所の商品20を決済未完遂商品収納庫90に収容する処理になる。
【0048】
また、以上の実施形態においては、動作制御部70は通信部60を介してキャッシュレス決済サーバ300から決済完了の通知を受信することにより商品20の代金決済処理の完遂および未完遂の判断に基づいて次の処理フローに進んでいるがこの形態に限定されない。ユーザが商品20の代金の決済処理を進めることを選択し、処理メニューをタップ(商品代決済決定処理)した後、予め設定した決済用時間を経過しても商品20の代金の決済が行われなかった場合、動作制御部70はシャッタ再ロック処理以降の処理を実行する形態を採用することもできる。
【0049】
また、第1実施形態においては、決済未完遂商品収納庫90に収容されている商品20を販売した後、動作制御部70が収納庫商品データ消去処理を行っているが、この形態に限定されるものではない。動作制御部70は、記憶部72に記憶されている収納庫商品データを、収納香粧品再販データとして記憶部72に記憶させた後に、収納庫商品データを消去することもできる。これにより、各々の決済未完遂商品収納庫90に一旦収容された商品20のデータを保存しておくことができる。
【0050】
また、動作制御部70は、収納庫商品データ記憶処理を行った後、記憶部72に記憶されている収納庫商品データを参照する。このとき、複数の決済未完遂商品収納庫90に同じ商品20が収納されている場合には、いずれか一つの決済未完遂商品収納庫90に所定の商品20を複数まとめて収納させる収納庫間商品移動処理を行うこともできる。この場合、動作制御部70は、商品20をまとめた決済未完遂商品収納庫90における収納庫商品データの商品数のデータを変更する収納庫商品数データ修正処理を行う。また、商品20が取り出された側の決済未完遂商品収納庫90における収納庫商品数データに対しては、動作制御部70により収納庫商品データ消去処理が行われる。
【0051】
そして以上に説明した変形例の他、各実施形態において説明した変形例等を適宜組み合わせた形態を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0052】
10:筐体
11:商品ディスプレイ,12:商品取出口,12A:開口部,12B:底板,
13:商品選択ボタン,14:自動開閉シャッタ,16:シャッタ駆動部,
18:商品取り出し検出センサ
20:商品
30:商品収容部
40:選択商品送り出し機構
42:商品ストッパ,44:押出板(商品送り出し体),45:ベルトコンベア,
46:バケット,47:バケット駆動部
50:決済部
51:現金決済部,52:キャッシュレス決済部,53:コンタクト部
60:通信部
70:動作制御部
72:記憶部,74:演算部
80:表示部
90:決済未完遂商品収納庫
92:モータ(決済未完遂商品収容部),94:ベルト(循環搬送体),
96:ベルト駆動部
100:自動販売機
200:インターネット
300:キャッシュレス決済サーバ
400:自動販売システム
G:ガイド体
S:商品サンプル
SP:バケット移動用スペース