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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164604
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】ラミネート装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 23/08 20060101AFI20241120BHJP
   B65H 20/02 20060101ALI20241120BHJP
   B65H 23/185 20060101ALI20241120BHJP
   B65H 37/04 20060101ALI20241120BHJP
   B41J 11/42 20060101ALI20241120BHJP
   B41J 11/70 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
B65H23/08
B65H20/02 Z
B65H23/185
B65H37/04 Z
B41J11/42
B41J11/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080210
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】酒井 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】王 裕ブン
(72)【発明者】
【氏名】大岡 一成
【テーマコード(参考)】
2C058
3F103
3F104
3F105
3F108
【Fターム(参考)】
2C058AC07
2C058AE04
2C058AF15
2C058AF20
2C058AF51
2C058AF59
2C058GC01
2C058GC02
2C058LA03
2C058LC16
3F103BA01
3F103BA31
3F104AA03
3F104DA01
3F104EA01
3F105AA04
3F105BA01
3F105BA20
3F105CA01
3F105CA13
3F105CB01
3F105DA03
3F105DB02
3F105DC03
3F105DC13
3F108GB01
3F108GB10
3F108HA04
3F108HA12
(57)【要約】
【課題】第2部材のたるみを抑制できる手段を提供する。
【解決手段】ラミネート装置1は、第1ロール111を支持する第1ホルダ21と、第2ロール112を支持する第2ホルダ22と、第1ロール111から引き出された第1部材101に画像を記録する画像記録部30と、画像が記録された第1部材101と、第2ロール112から引き出された第2部材102とを貼り合わせる貼合ローラ50と、回転駆動部74と、制御部90と、を備える。制御部90が第2ロール112から第2部材102を引き出す向きに搬送させる制御を行うときに、第2部材102を巻き取る向きに作用する力が回転駆動部74により第2ロール112に与えられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材が巻かれて形成された第1ロールを支持する第1支持部と、
第2部材が巻かれて形成された第2ロールを支持する第2支持部と、
上記第1ロールから引き出された上記第1部材に画像を記録する画像記録部と、
上記画像記録部で画像が記録された上記第1部材と、上記第2ロールから引き出された上記第2部材とを貼り合わせる貼合部と、
上記第2ロールを回転させる第1の力を上記第2ロールに与える第1回転駆動部と、
制御部と、を備え、
上記制御部が上記第2ロールから上記第2部材を引き出す向きに搬送させる制御を行うときに、上記第2部材を巻き取る向きに作用する上記第1の力が上記第1回転駆動部により上記第2ロールに与えられるラミネート装置。
【請求項2】
上記第1回転駆動部は、第1モータと、上記第1モータと上記第2ロールとの間に介在する第1トルクリミッタと、を含み、
上記第1トルクリミッタにより制限された上記第1モータの動力が、上記第1の力として上記第2ロールに与えられる請求項1に記載のラミネート装置。
【請求項3】
上記貼合部は、上記画像記録部で画像が記録された上記第1部材と、上記第2ロールから引き出された上記第2部材とを貼り合わせる貼合ローラを含む請求項1に記載のラミネート装置。
【請求項4】
上記貼合ローラを回転させる第2の力を上記貼合ローラに与える第2回転駆動部をさらに備え、
上記第2回転駆動部は、第2モータと、上記第2モータと上記貼合ローラとの間に介在する第2トルクリミッタと、を含み、
上記第2トルクリミッタにより制限された上記第2モータの動力が、上記第2の力として上記貼合ローラに与えられる請求項3に記載のラミネート装置。
【請求項5】
上記貼合ローラを回転させる第2の力を上記貼合ローラに与える第2回転駆動部をさらに備え、
上記制御部は、上記貼合ローラに上記第1ロールと繋がった上記第1部材が把持されていないときに、上記第2回転駆動部を駆動させ上記貼合ローラに上記第1の力より強い上記第2の力を与えて上記第2部材を引き出す向きに搬送させ、上記第1の力と同じ向きの力を上記貼合ローラに与えるか、上記第2の力を上記貼合ローラに与えないか、または、上記第1の力より弱い力を上記貼合ローラに与えて上記第2部材を巻き取る向きに搬送させることにより、上記第2部材の斜行を補正する斜行補正制御を行う請求項3に記載のラミネート装置。
【請求項6】
上記制御部は、上記第2ロールが上記第2支持部に支持された後、かつ、上記第1部材が上記貼合ローラに把持される前に、上記斜行補正制御を行う請求項5に記載のラミネート装置。
【請求項7】
上記制御部は、上記貼合ローラに上記第1ロールと繋がった上記第1部材が把持されておらず、かつ、上記斜行補正制御を行わないときに、上記第1回転駆動部および上記第2回転駆動部の駆動を停止する制御を行う請求項5に記載のラミネート装置。
【請求項8】
上記貼合ローラを回転させる第2の力を上記貼合ローラに与える第2回転駆動部をさらに備え、
上記制御部は、上記第2回転駆動部を駆動させ上記貼合ローラによって、上記第1ロールから引き出された上記第1部材、および、上記第2ロールから引き出された上記第2部材に、上記第1の力より強い力を与えて、上記第1部材および上記第2部材を引き出す方向に搬送させつつ貼り合わせる制御を行う請求項3に記載のラミネート装置。
【請求項9】
上記貼合ローラを回転させる第2の力を上記貼合ローラに与える第2回転駆動部と、
上記第1ロールと上記貼合ローラとの間に位置する搬送ローラと、
上記搬送ローラを回転させる第3回転駆動部と、をさらに備え、
上記制御部は、
上記貼合ローラに上記第1ロールと繋がった上記第1部材が把持されておらず、かつ、上記貼合ローラに上記第2ロールと繋がった上記第2部材が把持されているときに、
上記第3回転駆動部を駆動させ、上記搬送ローラに上記第1ロールから上記第1部材を引き出す向きに搬送させると共に、上記第1部材の搬送方向先端を上記貼合ローラに向けて搬送させる制御と、
上記第1部材が上記貼合ローラに到達した後に、駆動停止状態にある上記第2回転駆動部の駆動を開始して、上記貼合ローラに上記第2の力を与える制御と、
上記第2回転駆動部の駆動を開始する前、または開始と同時に、駆動停止状態にある上記第1回転駆動部の駆動を開始して、上記第2ロールに上記第1の力を与える制御と、を行う請求項3に記載のラミネート装置。
【請求項10】
上記搬送ローラと上記貼合ローラとの間に上記第1部材があるか否かを検知する第1部材検知部をさらに備え、
上記制御部は、上記第1部材検知部により上記第1部材が検知されたことに応じて、上記第1部材が上記貼合ローラに到達したと判断する請求項9に記載のラミネート装置。
【請求項11】
上記貼合ローラを回転させる第2の力を上記貼合ローラに与える第2回転駆動部と、
上記第1ロールと上記貼合ローラとの間に位置する搬送ローラと、
上記搬送ローラを回転させる第3回転駆動部と、をさらに備え、
上記制御部は、
上記貼合ローラに上記第1ロールと繋がった上記第1部材が把持されておらず、かつ、上記貼合ローラに上記第2ロールと繋がった上記第2部材が把持されているときに、
上記第3回転駆動部を駆動させ、上記搬送ローラに上記第1ロールから上記第1部材を引き出す向きに搬送させると共に、上記第1部材の搬送方向先端を上記貼合ローラに向けて搬送させる制御と、
上記第1部材が上記貼合ローラに到達する前に、駆動停止状態にある上記第2回転駆動部の駆動を開始して、上記貼合ローラに上記第2の力を与える制御と、
上記第2回転駆動部の駆動を開始する前、または開始と同時に、駆動停止状態にある上記第1回転駆動部の駆動を開始して、上記第2ロールに上記第1の力を与える制御と、を行う請求項3に記載のラミネート装置。
【請求項12】
上記貼合ローラを回転させる第2の力を上記貼合ローラに与える第2回転駆動部と、
上記第1ロールと上記貼合ローラとの間に位置する搬送ローラと、
上記搬送ローラを回転させる第3回転駆動部と、をさらに備え、
上記制御部は、
上記貼合ローラに上記第1ロールと繋がった上記第1部材と、上記第2ロールと繋がった上記第2部材とが把持されているときに、
上記第1回転駆動部を駆動させ上記第2ロールに上記第1の力を与える制御と、
上記第2回転駆動部を駆動させ上記貼合ローラに上記第2の力を与える制御と、
上記第3回転駆動部を駆動させ上記第1ロールから上記第1部材を引き出す向きに搬送させる搬送制御と、
上記第3回転駆動部の駆動を停止させ上記第1部材を搬送させない停止制御と、を行う請求項3に記載のラミネート装置。
【請求項13】
上記搬送ローラの回転量を検出する回転量検出部をさらに備え、
上記制御部は、上記回転量検出部によって検出された上記回転量に基づき、上記第3回転駆動部について上記搬送制御および上記停止制御のいずれを行うかを切り替える請求項12に記載のラミネート装置。
【請求項14】
上記制御部は、上記第3回転駆動部について上記搬送制御および上記停止制御を交互に行い、上記停止制御を行う間に、上記画像記録部を駆動させ上記第1部材に画像を記録させる制御を行う請求項12に記載のラミネート装置。
【請求項15】
上記貼合ローラを回転させる第2の力を上記貼合ローラに与える第2回転駆動部と、
上記第1ロールと上記貼合ローラとの間に位置する搬送ローラと、
上記搬送ローラを回転させる第3回転駆動部と、
上記第1ロールと上記貼合ローラとの間で上記第1部材を切断する第1切断部と、をさらに備え、
上記制御部は、上記貼合ローラに上記第1ロールと繋がった上記第1部材と、上記第2ロールと繋がった上記第2部材とが把持されているときに、上記第1回転駆動部、上記第2回転駆動部、および上記第3回転駆動部の駆動を停止させた後に、上記第1切断部を駆動させ、上記第1部材を切断させる制御を行う請求項3に記載のラミネート装置。
【請求項16】
上記貼合ローラを回転させる第2の力を上記貼合ローラに与える第2回転駆動部と、
上記貼合ローラの搬送方向の下流で、上記貼合ローラで貼り合わされた上記第1部材および上記第2部材を切断する第2切断部と、をさらに備え、
上記制御部は、上記第1回転駆動部および上記第2回転駆動部の駆動を停止した後に、上記第2切断部を駆動させ、上記貼合ローラで貼り合わされた上記第1部材および上記第2部材を切断させる制御を行う請求項3に記載のラミネート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の部材を貼り合わせるラミネート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、第1ロールから引き出された第1部材に画像を記録し、画像が記録された第1部材と第2ロールから引き出された第2部材とを貼り合わせるラミネート装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載された装置では、印刷部は、被記録媒体用ロールから引き出された被記録媒体上に印画像を形成する。印画像が形成された被記録媒体は、第1のカット部で所定の長さにカットされ、ラミネート処理部に搬送され、ラミネート処理部内のガイドロールでラミネート部材用ロールから引き出されたラミネート部材と重ね合わされる。重ね合わされた被記録媒体とラミネート部材とは、加圧加熱ロールで加熱され、第2のカット部で切り離される。被記録媒体用ロール、被記録媒体、ラミネート部材用ロール、およびラミネート部材は、それぞれ、第1ロール、第1部材、第2ロール、および第2部材に該当する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-211593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ラミネート装置では、第2ロールから第2部材が必要以上に引き出されると、第2部材にたるみが生じる。第2部材にたるみが生じると、第1部材との貼り合わせに不具合が生じ、ラミネート完成品が異常となることがある。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、第2部材のたるみを抑制できる手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明のラミネート装置は、第1部材が巻かれて形成された第1ロールを支持する第1支持部と、第2部材が巻かれて形成された第2ロールを支持する第2支持部と、上記第1ロールから引き出された上記第1部材に画像を記録する画像記録部と、上記画像記録部で画像が記録された上記第1部材と、上記第2ロールから引き出された上記第2部材とを貼り合わせる貼合部と、上記第2ロールを回転させる第1の力を上記第2ロールに与える第1回転駆動部と、制御部と、を備えている。上記制御部が上記第2ロールから上記第2部材を引き出す向きに搬送させる制御を行うときに、上記第2部材を巻き取る向きに作用する上記第1の力が上記第1回転駆動部により上記第2ロールに与えられる。
【0008】
上記のラミネート装置によれば、第2部材を引き出す向きに搬送するときに、第2部材を巻き取る向きに作用する第1の力が第2ロールに与えられるので、第2部材のたるみを抑制できる。これにより、画像が記録された第1部材と、たるみがない第2部材とを貼り合わせて、ラミネート完成品を綺麗に仕上げることができる。
【0009】
(2) 好ましくは、上記第1回転駆動部は、第1モータと、上記第1モータと上記第2ロールとの間に介在する第1トルクリミッタと、を含み、上記第1トルクリミッタにより制限された上記第1モータの動力が、上記第1の力として上記第2ロールに与えられてもよい。
【0010】
(3) 好ましくは、上記貼合部は、上記画像記録部で画像が記録された上記第1部材と、上記第2ロールから引き出された上記第2部材とを貼り合わせる貼合ローラを含んでいてもよい。
【0011】
(4) 好ましくは、上記ラミネート装置は、上記貼合ローラを回転させる第2の力を上記貼合ローラに与える第2回転駆動部をさらに備え、上記第2回転駆動部は、第2モータと、上記第2モータと上記貼合ローラとの間に介在する第2トルクリミッタと、を含み、上記第2トルクリミッタにより制限された上記第2モータの動力が、上記第2の力として上記貼合ローラに与えられてもよい。
【0012】
(5) 好ましくは、上記ラミネート装置は、上記貼合ローラを回転させる第2の力を上記貼合ローラに与える第2回転駆動部をさらに備え、上記制御部は、上記貼合ローラに上記第1ロールと繋がった上記第1部材が把持されていないときに、上記第2回転駆動部を駆動させ上記貼合ローラに上記第1の力より強い上記第2の力を与えて上記第2部材を引き出す向きに搬送させ、上記第1の力と同じ向きの力を上記貼合ローラに与えるか、上記第2の力を上記貼合ローラに与えないか、または、上記第1の力より弱い力を上記貼合ローラに与えて上記第2部材を巻き取る向きに搬送させることにより、上記第2部材の斜行を補正する斜行補正制御を行ってもよい。
【0013】
(6) 好ましくは、上記制御部は、上記第2ロールが上記第2支持部に支持された後、かつ、上記第1部材が上記貼合ローラに把持される前に、上記斜行補正制御を行ってもよい。
【0014】
(7) 好ましくは、上記制御部は、上記貼合ローラに上記第1ロールと繋がった上記第1部材が把持されておらず、かつ、上記斜行補正制御を行わないときに、上記第1回転駆動部および上記第2回転駆動部の駆動を停止する制御を行ってもよい。
【0015】
(8) 好ましくは、上記ラミネート装置は、上記貼合ローラを回転させる第2の力を上記貼合ローラに与える第2回転駆動部をさらに備え、上記制御部は、上記第2回転駆動部を駆動させ上記貼合ローラによって、上記第1ロールから引き出された上記第1部材、および、上記第2ロールから引き出された上記第2部材に、上記第1の力より強い力を与えて、上記第1部材および上記第2部材を引き出す方向に搬送させつつ貼り合わせる制御を行ってもよい。
【0016】
(9) 好ましくは、上記ラミネート装置は、上記貼合ローラを回転させる第2の力を上記貼合ローラに与える第2回転駆動部と、上記第1ロールと上記貼合ローラとの間に位置する搬送ローラと、上記搬送ローラを回転させる第3回転駆動部と、をさらに備え、上記制御部は、上記貼合ローラに上記第1ロールと繋がった上記第1部材が把持されておらず、かつ、上記貼合ローラに上記第2ロールと繋がった上記第2部材が把持されているときに、上記第3回転駆動部を駆動させ、上記搬送ローラに上記第1ロールから上記第1部材を引き出す向きに搬送させると共に、上記第1部材の搬送方向先端を上記貼合ローラに向けて搬送させる制御と、上記第1部材が上記貼合ローラに到達した後に、駆動停止状態にある上記第2回転駆動部の駆動を開始して、上記貼合ローラに上記第2の力を与える制御と、上記第2回転駆動部の駆動を開始する前、または開始と同時に、駆動停止状態にある上記第1回転駆動部の駆動を開始して、上記第2ロールに上記第1の力を与える制御と、を行ってもよい。
【0017】
(10) 好ましくは、上記ラミネート装置は、上記搬送ローラと上記貼合ローラとの間に上記第1部材があるか否かを検知する第1部材検知部をさらに備え、上記制御部は、上記第1部材検知部により上記第1部材が検知されたことに応じて、上記第1部材が上記貼合ローラに到達したと判断してもよい。
【0018】
(11) 好ましくは、上記ラミネート装置は、上記貼合ローラを回転させる第2の力を上記貼合ローラに与える第2回転駆動部と、上記第1ロールと上記貼合ローラとの間に位置する搬送ローラと、上記搬送ローラを回転させる第3回転駆動部と、をさらに備え、上記制御部は、上記貼合ローラに上記第1ロールと繋がった上記第1部材が把持されておらず、かつ、上記貼合ローラに上記第2ロールと繋がった上記第2部材が把持されているときに、上記第3回転駆動部を駆動させ、上記搬送ローラに上記第1ロールから上記第1部材を引き出す向きに搬送させると共に、上記第1部材の搬送方向先端を上記貼合ローラに向けて搬送させる制御と、上記第1部材が上記貼合ローラに到達する前に、駆動停止状態にある上記第2回転駆動部の駆動を開始して、上記貼合ローラに上記第2の力を与える制御と、上記第2回転駆動部の駆動を開始する前、または開始と同時に、駆動停止状態にある上記第1回転駆動部の駆動を開始して、上記第2ロールに上記第1の力を与える制御と、を行ってもよい。
【0019】
(12) 好ましくは、上記ラミネート装置は、上記貼合ローラを回転させる第2の力を上記貼合ローラに与える第2回転駆動部と、上記第1ロールと上記貼合ローラとの間に位置する搬送ローラと、上記搬送ローラを回転させる第3回転駆動部と、をさらに備え、上記制御部は、上記貼合ローラに上記第1ロールと繋がった上記第1部材と、上記第2ロールと繋がった上記第2部材とが把持されているときに、上記第1回転駆動部を駆動させ上記第2ロールに上記第1の力を与える制御と、上記第2回転駆動部を駆動させ上記貼合ローラに上記第2の力を与える制御と、上記第3回転駆動部を駆動させ上記第1ロールから上記第1部材を引き出す向きに搬送させる搬送制御と、上記第3回転駆動部の駆動を停止させ上記第1部材を搬送させない停止制御と、を行ってもよい。
【0020】
(13) 好ましくは、上記ラミネート装置は、上記搬送ローラの回転量を検出する回転量検出部をさらに備え、上記制御部は、上記回転量検出部によって検出された上記回転量に基づき、上記第3回転駆動部について上記搬送制御および上記停止制御のいずれを行うかを切り替えてもよい。
【0021】
(14) 好ましくは、上記制御部は、上記第3回転駆動部について上記搬送制御および上記停止制御を交互に行い、上記停止制御を行う間に、上記画像記録部を駆動させ上記第1部材に画像を記録させる制御を行ってもよい。
【0022】
(15) 好ましくは、上記ラミネート装置は、上記貼合ローラを回転させる第2の力を上記貼合ローラに与える第2回転駆動部と、上記第1ロールと上記貼合ローラとの間に位置する搬送ローラと、上記搬送ローラを回転させる第3回転駆動部と、上記第1ロールと上記貼合ローラとの間で上記第1部材を切断する第1切断部と、をさらに備え、上記制御部は、上記貼合ローラに上記第1ロールと繋がった上記第1部材と、上記第2ロールと繋がった上記第2部材とが把持されているときに、上記第1回転駆動部、上記第2回転駆動部、および上記第3回転駆動部の駆動を停止させた後に、上記第1切断部を駆動させ、上記第1部材を切断させる制御を行ってもよい。
【0023】
(16) 好ましくは、上記ラミネート装置は、上記貼合ローラを回転させる第2の力を上記貼合ローラに与える第2回転駆動部と、上記貼合ローラの搬送方向の下流で、上記貼合ローラで貼り合わされた上記第1部材および上記第2部材を切断する第2切断部と、をさらに備え、上記制御部は、上記第1回転駆動部および上記第2回転駆動部の駆動を停止した後に、上記第2切断部を駆動させ、上記貼合ローラで貼り合わされた上記第1部材および上記第2部材を切断させる制御を行ってもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、第1部材に画像を記録し、画像が記録された第1部材と第2部材とを貼り合わせる場合に、第2部材のたるみを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1(A)は、本発明の実施形態に係るラミネート装置1の外観斜視図であり、図1(B)は、ラミネート装置1で作成されるラミネート完成品100の模式断面図である。
図2図2は、ラミネート装置1の縦断面図である。
図3図3は、ラミネート装置1のブロック図である。
図4図4は、ラミネート装置1の回転駆動部74、77の一部を示す図である。
図5図5は、ラミネート装置1の制御部90によるラミネート処理を示すフローチャートである。
図6図6(A)は、ラミネート処理実行前のラミネート装置1を示す図である。図6(B)および図6(C)は、斜行補正制御を実行中のラミネート装置1を示す図である。図6(D)は、第1部材101を第2搬送ローラ42に把持させた後のラミネート装置1を示す図である。
図7図7(A)は、たるみ解消制御を実行中のラミネート装置1を示す図である。図7(B)は、第1部材101を搬送中のラミネート装置1を示す図である。図7(C)は、画像記録中のラミネート装置1を示す図である。図7(D)は、貼合ローラ50の駆動開始後に第1部材101を搬送中のラミネート装置1を示す図である。
図8図8(A)は、第1切断部68による切断位置まで第1部材101を搬送した後のラミネート装置1を示す図である。図8(B)は、第1切断部68による切断後のラミネート装置1を示す図である。図8(C)は、第2切断部69による切断後のラミネート装置1を示す図である。図8(D)は、巻き戻し制御を実行中のラミネート装置1を示す図である。
図9図9(A)は、斜行補正制御において第2部材102を引き出す様子を示す図であり、図9(B)は、第2部材102を巻き取る様子を示す図である。
図10図10は、変形例に係るラミネート装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係るラミネート装置1について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、ラミネート装置1が使用可能に設置された状態(図1(A)の状態)を基準として上下方向7が定義され、操作部12および表示部13が設けられている面を前面として前後方向8が定義され、ラミネート装置1を前方から視て左右方向9が定義される。上下方向7、前後方向8、および左右方向9は、互いに直交している。
【0027】
[ラミネート装置1の概要]
図1(A)に示されるように、本実施形態に係るラミネート装置1は、直方体状の筐体11を有する。筐体11の前面には、操作部12および表示部13が位置する。筐体11の前面において、操作部12および表示部13の下方には、排出口14が位置する。ラミネート装置1は、2種類の部材を貼り合わせて、ラミネート完成品100を作成する。
【0028】
ラミネート装置1には、テープ状の第1部材101と第2部材102とが供給される。図2に示されるように、第1部材101は、円筒状の芯材113に巻かれて、第1ロール111を形成する。第2部材102は、円筒状の芯材114に巻かれて、第2ロール112を形成する。第1ロール111および第2ロール112は、それぞれ、ラミネート装置1の第1ホルダ21および第2ホルダ22に装着される。
【0029】
第1部材101は、例えば、透明フィルムである。図1(B)に示されるように、第2部材102は、少なくとも一方の面に粘着層を有する部材である。第2部材102は、例えば、テープ層104の一方の面(ラミネート完成品100において第1部材101側の面)に第1粘着層103を有し、テープ層104の他方の面に第2粘着層105を有する台紙である。第2粘着層105を挟んでテープ層104の反対側には、離型シート106が設けられる。
【0030】
なお、第1部材101および第2部材102の材質は、任意である。第2部材102は、例えば、PETやPVC(塩化ビニル)などの樹脂製の部材、ユポ紙(登録商標)などの合成紙、金属製の部材などでもよい。第2部材102は、透明でも不透明でもよい。第1部材101および第2部材102は、一方の面に粘着層を有していてもよく、他方の面に粘着層を有していてもよく、両方の面に粘着層を有していてもよく、両方の面に粘着層を有していなくてもよい。粘着層を有しない材料を用いる場合には、第1部材101および第2部材102は、粘着剤が塗布された後に貼り合わされてもよく、熱溶着や圧着などにて貼り合わされてもよい。
【0031】
図2において、記録面107は、第1部材101の面のうち画像が記録される面である。裏面108は、第1部材101の面のうち記録面107の反対側の面である。貼り合わせ面109は、第2部材102の面のうち第1粘着層103を有するほうの面である。
【0032】
ラミネート装置1は、第1部材101の記録面107と第2部材102の貼り合わせ面109とを密着させることにより、第1部材101と第2部材102とを貼り合わせる。ラミネート装置1は、貼り合わせ後の部材を所定サイズに切断する。これにより、図1(B)に示されるラミネート完成品100が作成される。作成されたラミネート完成品100は、排出口14から排出される。
【0033】
図2に示されるように、ラミネート装置1は、筐体11の内部に、第1ホルダ21、第2ホルダ22、画像記録部30、第1~第4搬送ローラ41~44、貼合ローラ50、張力発生部60、たるみセンサ63、部材センサ64、第1切断部68、および第2切断部69を備えている。これに加えて、ラミネート装置1は、筐体11の内部に、制御部90、および各種のモータを備えている(図3参照)。筐体11内の必要な位置には、第1部材101を支持するガイド部材(図示せず)が設けられている。これにより、第1ホルダ21から、画像記録部30、第1切断部68、および貼合ローラ50を経由して、第2切断部69に至る搬送路15が形成される。
【0034】
[第1ホルダ21と第2ホルダ22]
第1ホルダ21および第2ホルダ22は、左右方向9に延伸する軸を中心として回転可能な部材である。第1ホルダ21の太さは、第1ロール111の芯材113の内径と同等である。第2ホルダ22の太さは、第2ロール112の芯材114の内径と同等である。第1ホルダ21および第2ホルダ22は、筐体11、または筐体11に固定された部材に固定される。
【0035】
第1ホルダ21および第2ホルダ22は、筐体11内で互いに離れた位置に位置する。図2に示される構成では、第1ホルダ21は、上下方向7において筐体11内の中央付近、かつ、前後方向8において筐体11内の後方に位置している。第2ホルダ22は、上下方向7において筐体11内の上方、かつ、前後方向8において筐体11内の中央より前に位置している。なお、筐体11内における第1ホルダ21および第2ホルダ22の位置は、任意である。
【0036】
ラミネート装置1が動作する前に、第1ホルダ21には第1ロール111が装着され、第2ホルダ22には第2ロール112が装着される。第1ホルダ21は、第1ロール111を回転可能に支持する。第2ホルダ22は、第2ロール112を回転可能に支持する。第1ホルダ21に支持された第1ロール111からは、第1部材101が引き出される。第2ホルダ22に支持された第2ロール112からは、第2部材102が引き出される。第1ホルダ21は、第1支持部の一例である。第2ホルダ22は、第2支持部の一例である。
【0037】
第1ホルダ21には、第1ロール用モータ72(図3参照)から、第1部材101を巻き取る向きに作用する力が与えられる。第2ホルダ22には、第2ロール用モータ75(図3参照)から、第2部材102を巻き取る向きに作用する力が与えられる。
【0038】
[画像記録部30]
画像記録部30は、第1ロール111より搬送路15の下流側に位置する。画像記録部30は、上下方向7において搬送路15の上方、かつ、前後方向8において第1ロール111と第1切断部68との間に位置する。画像記録部30は、キャリッジ31、および記録ヘッド32を含んでいる。筐体11の内部には、左右方向9に延伸し、両端が筐体11、または筐体11に固定された部材に固定された2本のガイドレール(図示せず)が位置する。キャリッジ31は、2本のガイドレールの上に載置されている。キャリッジ31は、CR用モータ84(図3参照)から駆動力を受けて、左右方向9に移動する。
【0039】
記録ヘッド32は、キャリッジ31に搭載されている。記録ヘッド32の下面には、複数のノズル33が形成されている。キャリッジ31の移動に伴い、記録ヘッド32は左右方向9に移動する。キャリッジ31の移動範囲の下方には、プラテン34が位置する。記録ヘッド32は、左右方向9に移動しながら、ノズル33から下向きにインクを吐出させる。これにより、プラテン34上を搬送される第1部材101の記録面107に画像が記録される。このように画像記録部30は、第1ロール111から引き出された第1部材101に画像を記録する。
【0040】
[第1~第4搬送ローラ41~44]
第1~第4搬送ローラ41~44は、第1ロール111と貼合ローラ50との間に位置する。具体的には、第1搬送ローラ41と第2搬送ローラ42とは、前後方向8において、第1ロール111と画像記録部30との間に位置する。第3搬送ローラ43と第4搬送ローラ44とは、前後方向8において、画像記録部30と貼合ローラ50との間に位置する。第2搬送ローラ42は、前後方向8において、第1搬送ローラ41の前方に位置する。第4搬送ローラ44は、前後方向8において、第3搬送ローラ43の前方に位置する。
【0041】
第1搬送ローラ41は、第1ローラ411と、第2ローラ412とを含んでいる。第1ローラ411は、第2ローラ412の真上に位置する。第1部材101は、第1ローラ411と第2ローラ412との間を通過する。このとき、第1ローラ411は第1部材101の記録面107に当接し、第2ローラ412は第1部材101の裏面108に当接する。これにより、第1搬送ローラ41は第1部材101を把持する。第1搬送ローラ41は、第1ロール111と貼合ローラ50との間で第1部材101を把持する。
【0042】
第2ローラ412は、搬送用モータ81(図3参照)から駆動力を受けて、左右方向9に延伸する軸を中心として回転する。これに伴い、第1ローラ411も、左右方向9に延伸する軸を中心として回転する。このとき、第1部材101には、第1ロール111から引き出す向きの力が作用する。また、第2ローラ412は、搬送用モータ81から逆向きの駆動力を受けて逆回転し、これに伴い第1ローラ411も逆回転する。このとき、第1部材101には、第1ロール111に近づける向きの力が作用する。
【0043】
第2搬送ローラ42は、第3ローラ421と、第4ローラ422とを含んでいる。第3搬送ローラ43は、第5ローラ431と、第6ローラ432とを含んでいる。第4搬送ローラ44は、第7ローラ441と、第8ローラ442とを含んでいる。第2~第4搬送ローラ42~44の構成および機能は第1搬送ローラ41の構成および機能と同じであるので、ここでは説明を省略する。第2~第4搬送ローラ42~44は、第1搬送ローラ41と同様に、第1ロール111と貼合ローラ50との間で第1部材101を把持する。
【0044】
なお、ここでは、第1~第4搬送ローラ41~44に含まれる2個のローラのうち、下側のローラが搬送用モータ81から駆動力を受けることとした。これに代えて、上側のローラが搬送用モータ81から駆動力を受けてもよく、上側および下側のローラの両方が搬送用モータ81から駆動力を受けてもよい。また、第1~第4搬送ローラ41~44のすべてが搬送用モータ81から駆動力を受ける構成でなくてもよい。第1~第4搬送ローラ41~44は、それぞれ別のモータから独立して駆動力を受けてもよく、第1~第4搬送ローラ41~44を駆動するモータ以外を駆動するモータから駆動力を受けてもよい。
【0045】
[貼合ローラ50]
貼合ローラ50は、画像記録部30より搬送路15の下流側に位置する。貼合ローラ50は、前後方向8において、第1切断部68と第2切断部69との間に位置する。貼合ローラ50は、第1貼合ローラ51と、第2貼合ローラ52とを含んでいる。第1貼合ローラ51は、第2貼合ローラ52の直上に位置する。第1貼合ローラ51および第2貼合ローラ52は、所定の力で第1部材101および第2部材102を把持する。これにより、第1部材101および第2部材102は、貼り合わされラミネート完成品100となる。
【0046】
第2ロール112から引き出された第2部材102は、第1貼合ローラ51と第2貼合ローラ52との間に侵入する。このとき、第2部材102の貼り合わせ面109は下向きである。画像記録部30および第1切断部68を通過した第1部材101は、第1貼合ローラ51と第2貼合ローラ52との間において、第2部材102の下に侵入する。このとき、第1部材101の記録面107は上向きである。
【0047】
第2貼合ローラ52は、貼合用モータ78(図3参照)から駆動力を受けて、左右方向9に延伸する軸を中心として回転する。これに伴い、第1貼合ローラ51も、左右方向9に延伸する軸を中心として回転する。第1貼合ローラ51と第2貼合ローラ52とは、第1部材101の記録面107と第2部材102の貼り合わせ面109とを密着させることにより、第1部材101と第2部材102を貼り合わせる。なお、第1貼合ローラ51が貼合用モータ78から駆動力を受けてもよく、第1貼合ローラ51および第2貼合ローラ52の両方が貼合用モータ78から駆動力を受けてもよい。貼合ローラ50は、貼合部の一例である。
【0048】
[張力発生部60とたるみセンサ63]
張力発生部60は、上下方向7において搬送路15の下方、かつ、前後方向8において第1搬送ローラ41と第2搬送ローラ42との間に位置する。張力発生部60は、当接部材61と、上下方向7に伸縮するバネ62とを含んでいる。バネ62の下端は筐体11内で固定されており、バネ62の上端は当接部材61の下端に接続されている。当接部材61の上端は、第1搬送ローラ41と第2搬送ローラ42との間の第1部材101の裏面108に当接し得る。当接部材61と当接した第1部材101には、バネ62の復元力に応じた張力が与えられる。張力発生部60は、第1搬送ローラ41と第2搬送ローラ42との間の第1部材101に所定の張力を発生させる。なお、当接部材61は、第1部材101の表面(記録面107)に当接し得るように構成されていてもよい。
【0049】
当接部材61は、第1搬送ローラ41と第2搬送ローラ42との間の第1部材101の張力に応じて、上下方向7に移動する。当接部材61は、第1部材101の張力が大きいときには、バネ62の復元力に抗して相対的に下方に位置し、第1部材101の張力が小さいときには、バネ62の復元力によって相対的に上方に位置する。なお、バネ62の復元力は、回転駆動部71(図3参照)から第1ロール111に与えられる力、および、搬送用モータ81から第1搬送ローラ41に与えられる力より弱い。
【0050】
たるみセンサ63は、上下方向7において当接部材61の下端付近に位置する。たるみセンサ63は、当接部材61の側面に向けて光を出射する発光素子(図示せず)と、当接部材61の側面で反射した光を受光する受光素子(図示せず)とを含んでいる。第1部材101の張力が大きく、第1部材101のたるみが小さいときには、当接部材61は基準より下方に位置する。このとき、たるみセンサ63の受光素子は当接部材61の側面で反射した光を受光し、受光素子で検知される光の量は閾値より多くなる。一方、第1部材101の張力が小さく、第1部材101のたるみが大きいときには、当接部材61は基準より上方に位置する。このとき、たるみセンサ63の受光素子は当接部材61の側面で反射した光を受光せず、受光素子で検知される光の量は閾値より少なくなる。
【0051】
[第1切断部68]
第1切断部68は、画像記録部30より搬送路15の下流側に位置する。第1切断部68は、上下方向7において搬送路15の上方、かつ、前後方向8において第3搬送ローラ43と第4搬送ローラ44との間に位置する。第1切断部68は、第2搬送ローラ42と貼合ローラ50との間で第1部材101を切断する。
【0052】
第1切断部68は、第1部材101を切断可能な任意の構成を有する。第1切断部68は、例えば、切断用モータ85(図3参照)から駆動力を受けて左右方向9に移動するカッターキャリッジと、カッターキャリッジに搭載されたカッターとを含んでいてもよい。あるいは、第1切断部68は、切断用モータ85から駆動力を受けて上下方向7に移動する移動刃と、移動刃に対向する固定刃とを含んでいてもよい。
【0053】
[第2切断部69]
第2切断部69は、貼合ローラ50より搬送路15の下流側に位置する。第2切断部69は、上下方向7において搬送路15の上方、かつ、前後方向8において貼合ローラ50の前方に位置する。第2切断部69は、貼合ローラ50の搬送方向の下流で、貼合ローラ50で貼り合わされた第1部材101および第2部材102を同時に切断する。
【0054】
第2切断部69は、第1部材101および第2部材102を切断可能な任意の構成を有する。第2切断部69は、例えば、第1切断部68と同様に、左右方向9に移動するカッターキャリッジと、カッターとを含んでいてもよく、上下方向7に移動する移動刃と、移動刃に対向する固定刃とを含んでいてもよい。
【0055】
[部材センサ64]
部材センサ64は、上下方向7において搬送路15の上方、かつ、前後方向8において第4搬送ローラ44と貼合ローラ50との間に位置する。具体的には、部材センサ64は、前後方向8において貼合ローラ50のすぐ前に位置する。また、部材センサ64は、貼合ローラ50よりも搬送路15の上流側であって、第1切断部68よりも搬送路15の下流側に位置する。
【0056】
部材センサ64は、搬送路15に沿って搬送される第1部材101の記録面107に向けて光を出射する発光素子(図示せず)と、第1部材101の記録面107で反射した光を受光する受光素子(図示せず)とを含んでいる。部材センサ64の下方に第1部材101があるとき、部材センサ64の受光素子は第1部材101の記録面107で反射した光を受光し、受光素子で検知される光の量は閾値より多くなる。一方、部材センサ64の下方に第1部材101がないとき、部材センサ64の受光素子は第1部材101の記録面107で反射した光を受光せず、受光素子で検知される光の量は閾値より少なくなる。
【0057】
部材センサ64は、第2搬送ローラ42と貼合ローラ50との間に第1部材101があるか否かを検知する第1部材検知部の一例である。制御部90は、部材センサ64の出力信号に基づき、第1部材101の先端、および第1切断部68で切断された第1部材101の後端を検知する。
【0058】
なお、ここでは、発光素子と受光素子とを含む部材センサ64を搬送路15の上方に設けることとしたが、このような部材センサ64を搬送路15の下方に設けてもよい。また、部材センサ64は、搬送路15の左または右に設けられ、第1部材101の左端または右端に接触して、第1部材101の端部を検知する接触センサでもよい。
【0059】
[制御部90とその周辺部]
図3に示されるように、制御部90は、CPU91、ROM92、RAM93、およびEEPROM94を備えている。ROM92には、ラミネート装置1の各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。EEPROM94には、上記プログラムを実行するときに用いられる各種データが格納されている。RAM93は、CPU91が上記プログラムを実行するときに用いる各種データを一時的に記録する記憶領域や、データやプログラムの展開領域として使用される。ラミネート装置1の電源オン時に、ROM92に格納されたプログラムは、RAM93に複写転送される。CPU91は、RAM93に記憶されたプログラムを実行する。これにより、制御部90は各種の制御を行う。
【0060】
ASIC95には、操作部12および表示部13が接続されている。操作部12は、操作キーの押下を検出して、押下された操作キーに応じた信号を出力する。制御部90は、操作部12の出力信号に基づき、押下された操作キーを識別する。表示部13は、制御部90からの指示に基づき、ラミネート装置1の動作に関する情報を画面に表示する。
【0061】
ASIC95には、記録ヘッド32が接続されている。制御部90は、ASIC95を経由して記録ヘッド32に、画像データに応じた信号を出力する。記録ヘッド32は、制御部90から出力された信号に応じて、記録ヘッド32に設けられた複数のノズル33からインクを吐出する。
【0062】
ASIC95には、たるみセンサ63が接続されている。たるみセンサ63は、受光素子で検知される光の量に応じた信号を出力する。制御部90は、受光素子の出力信号に基づき、第1搬送ローラ41と第2搬送ローラ42との間の第1部材101のたるみを取得する。
【0063】
ASIC95には、部材センサ64が接続されている。部材センサ64は、受光素子で検知される光の量に応じた信号を出力する。制御部90は、受光素子の出力信号に基づき、第2搬送ローラ42と貼合ローラ50との間に第1部材101があるか否かを判断する。
【0064】
[各種モータ]
ASIC95には、第1ロール用モータ72、第2ロール用モータ75、貼合用モータ78、搬送用モータ81、CR用モータ84、および切断用モータ85が接続されている。ASIC95には、これらのモータを制御する駆動回路が組み込まれている。制御部90は、各モータを回転させるための駆動信号を各モータに対応する駆動回路に出力する。駆動回路は、制御部90から出力された駆動信号に応じた駆動電流を対応するモータへ出力する。これにより、対応するモータが回転する。なお、上記モータの一部が、同じモータで構成されていてもよい。
【0065】
第1ロール用モータ72は、第1ホルダ21に支持された第1ロール111を回転させる動力を発生させる。第1ロール用モータ72と第1ホルダ21との間には、トルクリミッタ73が介在する。トルクリミッタ73は、例えば、第1ホルダ21の回転軸に装着されている。トルクリミッタ73は、第1ロール用モータ72の動力を制限して、第1ホルダ21の回転軸に伝える。第1ロール用モータ72およびトルクリミッタ73は、回転駆動部71として機能する。
【0066】
第2ロール用モータ75は、第2ホルダ22に支持された第2ロール112を回転させる動力を発生させる。第2ロール用モータ75と第2ホルダ22との間には、トルクリミッタ76が介在する。トルクリミッタ76は、例えば、第2ホルダ22の回転軸に装着されている。トルクリミッタ76は、第2ロール用モータ75の動力を制限して、第2ホルダ22の回転軸に伝える。第2ロール用モータ75およびトルクリミッタ76は、回転駆動部74として機能する。
【0067】
回転駆動部74は、第1回転駆動部の一例である。第2ロール用モータ75は、第1モータの一例である。トルクリミッタ76は、第1トルクリミッタの一例である。第1トルクリミッタによって制限された第1モータの動力が、第1の力として第2ロール112に与えられる。
【0068】
貼合用モータ78は、貼合ローラ50を回転させる動力を発生させる。貼合用モータ78と貼合ローラ50と間には、トルクリミッタ79が介在する。トルクリミッタ79は、例えば、第2貼合ローラ52の回転軸に装着されている。トルクリミッタ79は、貼合用モータ78の動力を制限して、第2貼合ローラ52の回転軸に伝える。貼合用モータ78およびトルクリミッタ79は、回転駆動部77として機能する。
【0069】
回転駆動部77は、第2回転駆動部の一例である。貼合用モータ78は、第2モータの一例である。トルクリミッタ79は、第2トルクリミッタの一例である。第2トルクリミッタによって制限された第3モータの動力が、第2の力として貼合ローラ50に与えられる。
【0070】
搬送用モータ81は、第1~第4搬送ローラ41~44を回転させる動力を発生させる。搬送用モータ81で発生された動力は、第2ローラ412、第4ローラ422、第6ローラ432、および第8ローラ442に与えられる。第2ローラ412は、第4ローラ422、第6ローラ432、および第8ローラ442は、搬送用モータ81から動力を受けて左右方向9を中心軸として回転する。これに伴い、第1ローラ411、第3ローラ421、第5ローラ431、および第7ローラ441も左右方向9を中心軸として回転する。搬送用モータ81は、第3回転駆動部の一例である。
【0071】
第2ローラ412の回転軸には、ロータリーエンコーダ82が装着されている。ロータリーエンコーダ82は、第2ローラ412の回転量に応じた信号を出力する。制御部90は、ロータリーエンコーダ82の出力信号に基づき、第1搬送ローラ41の回転量を取得する。なお、ロータリーエンコーダ82は、第1ローラ411の回転軸に装着されていてもよい。
【0072】
第4ローラ422の回転軸には、ロータリーエンコーダ83が装着されている。ロータリーエンコーダ83は、第4ローラ422の回転量に応じた信号を出力する。制御部90は、ロータリーエンコーダ83の出力信号に基づき、第2搬送ローラ42の回転量を取得する。ロータリーエンコーダ83は、回転量検出部の一例である。CR用モータ84は、キャリッジ31を左右方向9に移動させる力を発生させる。
【0073】
制御部90は、搬送用モータ81を駆動させ第1~第4搬送ローラ41~44を回転させ、回転駆動部77を駆動させ貼合ローラ50を回転させる。制御部90は、回転駆動部71を駆動させ第1ロール111に力を与え、回転駆動部74を駆動させ第2ロール112に力を与える。制御部90は、CR用モータ84を駆動させキャリッジ31を移動させ、切断用モータ85を駆動させ第1切断部68および第2切断部69を動作させる。
【0074】
[第2部材102に関するモータ]
第2ロール用モータ75は、第2部材102を巻き取る向きに作用する力を発生させる。貼合用モータ78は、第2部材102を引き出す向きに作用する力を発生させる。第2ロール用モータ75と貼合用モータ78とは、例えば、別々のモータで実現される。この場合、制御部90は、第2ロール用モータ75と貼合用モータ78とを別々に制御する。第2ロール用モータ75と貼合用モータ78とを同じモータで実現することもできる(図4参照)。この場合、制御部90は、第2ロール用モータ75および貼合用モータ78として機能するモータ(以下、モータMと称される)を制御する。
【0075】
図4において、ギヤ211は、モータMの回転軸に取り付けられたギヤである。ギヤ223は、第2貼合ローラ52の回転軸に取り付けられたギヤである。ギヤ233は、第2ホルダ22の回転軸に取り付けられたギヤである。なお、図4は、ギヤ列を模式的に示すものであり、ギヤの配置、ギヤのサイズ、およびギヤの歯の形状などを正確に示すものではない。
【0076】
ギヤ211は、ギヤ221、231と噛み合う。ギヤ222は、ギヤ223と噛み合う。ギヤ232は、ギヤ231、233と噛み合う。ギヤ221の回転軸とギヤ222の回転軸との間には、クラッチ224が設けられている。クラッチ224は、制御部90からの制御により、ギヤ221の回転をギヤ222に伝達するか否かを切り換える。クラッチ224は、第2ロール112および貼合ローラ50を異なるタイミングで回転させるために設けられている。
【0077】
制御部90がモータMを駆動させ、ギヤ211が反時計周りに回転するとき、ギヤ233、第2ホルダ22、および第2ロール112は時計回りに回転する。クラッチ224がギヤ221の回転をギヤ222に伝達する状態では、ギヤ223および第2貼合ローラ52は時計回りに回転する。クラッチ224がギヤ221の回転をギヤ222に伝達しない状態では、ギヤ223および第2貼合ローラ52は回転しない。
【0078】
図4に示される構成によれば、第2部材102を巻き取る向きに作用する力を発生させる第2ロール用モータ75と、第2部材102を引き出す向きに作用する力を発生させる貼合用モータ78とを、同じモータで実現できる。
【0079】
なお、第2ロール用モータ75と貼合用モータ78とを同じモータで実現するときに、上記以外の構成を用いてもよい。例えば、第2ロール112と貼合ローラ50とを同じタイミングで回転させる場合、クラッチ224は不要である。
【0080】
[制御部90によるラミネート処理]
図5が参照されて、制御部90よるラミネート処理が説明される。図5に示されるラミネート処理は、制御部90が、RAM93に記憶されたプログラムを実行することにより実行される。制御部90は、例えば、操作部12からラミネート処理の実行指示を受けたときに、ラミネート処理を実行する。制御部90がラミネート処理を実行するとき、ラミネート装置1は図6から図8に示されるように動作する。なお、図6から図8には、ラミネート装置1の主な要素のみが記載されている。第3搬送ローラ43および第4搬送ローラ44はラミネート処理における役割が小さいので、以下では第3搬送ローラ43および第4搬送ローラ44に関する説明を省略する。
【0081】
図6(A)には、ラミネート処理実行前の初期状態が示されている。制御部90は、初期状態では、第1ロール111、第2ロール112、および貼合ローラ50を停止させる。初期状態では、第1ロール111から引き出された第1部材101の先端が第1搬送ローラ41に把持され、第2ロール112から引き出された第2部材102の先端が貼合ローラ50に把持されている。これに加えて、貼合ローラ50には、前回のラミネート処理で発生した第1部材101の残りが把持されている。
【0082】
利用者は、ラミネート装置1の使用を開始するときに、第1ホルダ21に第1ロール111を装着し、第2ホルダ22に第2ロール112を装着し、第1ロール111から引き出した第1部材101の先端を第1搬送ローラ41に把持させ、第2ロール112から引き出した第2部材102の先端を貼合ローラ50に把持させる。これにより、ラミネート装置1は、図6(A)に示される初期状態になる。ただし、この場合、前回のラミネート処理で発生した第1部材101の残りは、貼合ローラ50に把持されていない。
【0083】
[第1部材101および第2部材102の斜行補正]
制御部90は、ラミネート処理の最初に、第1部材101および第2部材102の斜行を補正する(S11)。制御部90は、S11において、搬送用モータ81を駆動させ、第1部材101を引き出す向きに作用する力を第1搬送ローラ41に与える引き出し処理を行う(図6(B)参照)。このとき、第1部材101を巻き戻す向きに作用する力が回転駆動部74から第1ロール111に与えられる。ただし、後者の力は前者の力より小さいので、第1部材101は搬送路15の下流側に向けて引き出される。
【0084】
制御部90は、引き出し処理に続いて、搬送用モータ81を逆方向に駆動させ、第1部材101を巻き取る向きに作用する力を第1搬送ローラ41に与える巻き取り処理を行う(図6(C)参照)。このときにも、第1部材101を巻き戻す向きに作用する力が回転駆動部74から第1ロール111に与えられる。このため、第1部材101は、第1ロール111に巻き取られる。
【0085】
制御部90は、引き出し処理では、第1部材101の先端が第2搬送ローラ42に到達しない程度に第1部材101を引き出す。制御部90は、巻き取り処理では、第1部材101の先端が第1搬送ローラ41から抜けない程度に第1部材101を巻き取る。制御部90は、例えば、引き出し処理と巻き取り処理を1回ずつ行うことにより、第1部材101の斜行を補正する。
【0086】
制御部90は、第1部材101について引き出し処理と巻き取り処理とを行うときに、第1ロール用モータ72と搬送用モータ81とを駆動させる。ただし、第1ロール用モータ72と搬送用モータ81とが同じモータで実現されている場合には、制御部90は、1個のモータを駆動させる。
【0087】
以上の処理に加えて、制御部90は、S11において、貼合用モータ78を駆動させ、第2部材102を引き出す向きに作用する力を貼合ローラ50に与える引き出し処理を行う(図6(B)および図9(A)参照)。このとき、第2部材102を巻き戻す向きに作用する力が回転駆動部74から第2ロール112に与えられる。ただし、後者の力は前者の力より小さいので、第2部材102は貼合ローラ50に向けて引き出される。
【0088】
制御部90は、引き出し処理に続いて、貼合用モータ78を逆方向に駆動させ、第2部材102を巻き取る向きに作用する力を貼合ローラ50に与える巻き取り処理を行う(図6(C)および図9(B)参照)。このときにも、第2部材102を巻き戻す向きに作用する力が回転駆動部74から第2ロール112に与えられる。このため、第2部材102は、第2ロール112に巻き取られる。
【0089】
制御部90は、巻き取り処理では、第2部材102の先端が貼合ローラ50から抜けない程度に第2部材102を巻き取る。制御部90は、例えば、引き出し処理と巻き取り処理を1回ずつ行うことにより、第2部材102の斜行を補正する。
【0090】
制御部90は、第2部材102について引き出し処理と巻き取り処理とを行うときに、第2ロール用モータ75と貼合用モータ78とを駆動させる。ただし、第2ロール用モータ75と貼合用モータ78とが同じモータで実現されている場合には、制御部90は、1個のモータを駆動させる。
【0091】
利用者が第2ロール112から引き出した第2部材102の先端を貼合ローラ50に把持させたときに、図9(A)に示されるように、第2部材102が斜め方向に貼合ローラ50に把持されることがある。このときに、第2部材102について引き出し処理(図9(A))と巻き取り処理(図9(B))とを交互に行うことにより、第2部材102の斜行を補正できる。同様の方法で、第1部材101の斜行も補正できる。
【0092】
制御部90は、S11において、第1部材101の斜行補正と、第2部材102の斜行補正とを並列に実行する。なお、制御部90は、第1部材101の斜行補正および第2部材102の斜行補正のうちいずれか一方を先に実行した後に、他方を実行してもよい。
【0093】
制御部90は、引き出し処理と巻き取り処理とを複数回ずつ(例えば、10回ずつ)交互に行うことにより、第2部材102の斜行補正を行ってもよい。制御部90は、第2部材102の巻き取り処理を行うときに、貼合用モータ78を駆動させず、貼合用モータ78から貼合ローラ50に力を与えなくてもよい。制御部90は、第2部材102の巻き取り処理を行うときに、貼合用モータ78を駆動させ、第2部材102を引き出す向きに作用し、かつ、第2ロール112からの力より小さい力を貼合ローラ50に与えてもよい。第1部材101の斜行補正についても、これと同様である。
【0094】
制御部90は、第2ロール112が第2ホルダ22に装着された後、かつ、第1部材101が貼合ローラ50に把持される前に、第2部材102の斜行補正を行う。S11は、斜行補正制御の一例である。
【0095】
[第1部材101を第2搬送ローラ42に把持]
次に、制御部90は、第1部材101を第2搬送ローラ42に把持させる(S12)。制御部90は、S12において、貼合用モータ78および第2ロール用モータ75の駆動を停止させ、貼合ローラ50および第2ロール112を停止させる。その後、制御部90は、搬送用モータ81を駆動させ、第1部材101を引き出す向きに作用する力を第1搬送ローラ41に与える。このときにも、第1部材101を巻き戻す向きに作用する力が回転駆動部74から第1ロール111に与えられる。後者の力は前者の力より小さいので、第1部材101は、所定の張力を維持したまま搬送路15の下流側に向けて引き出される。第1部材101の先端が第2搬送ローラ42に到達すると、第2搬送ローラ42は第1部材101を把持する(図6(D)参照)。制御部90がS12を実行するときにも、第1部材101を巻き取る向きに作用する力が回転駆動部71により第1ロール111に与えられる。
【0096】
[第1部材101のたるみ制御]
次に、制御部90は、第1部材101のたるみを制御する(S13)。第1部材101は、S12において、たるんだ状態で第2搬送ローラ42に把持される。制御部90は、S13において、第2搬送ローラ42を停止させながら、搬送用モータ81を逆向きに駆動させ、第1搬送ローラ41を逆回転させる(図7(A)参照)。これにより、第1部材101は、第2搬送ローラ42から離れる向きに搬送される。このとき、張力発生部60に乗り上げていた第1部材101のたるみが解消され、張力発生部60の当接部材61を押し下げ、上下方向7に伸縮するバネ62が縮む。これにより、当接部材61が第1部材101を押し上げ、第1部材101に張力が与えられる。
【0097】
制御部90は、S13において、たるみセンサ63の出力信号を受け取る。制御部90は、たるみセンサ63の出力信号に基づき、たるみセンサ63で検出された第1搬送ローラ41と第2搬送ローラ42との間の第1部材101のたるみを取得する。制御部90は、第1部材101のたるみが所定量に到達すると、搬送用モータ81の逆向き駆動を停止させ、第1搬送ローラ41を停止させる。これにより、第1搬送ローラ41と第2搬送ローラ42との間の第1部材101のたるみは低減される。制御部90がS13を実行するときにも、第1部材101を巻き取る向きに作用する力が回転駆動部71により第1ロール111に与えられる。
【0098】
[第1部材101の搬送と画像記録]
次に、制御部90は、第1部材101を搬送させる(S14)。制御部90は、S14において、搬送用モータ81を駆動させ第1搬送ローラ41および第2搬送ローラ42を回転させて、第1搬送ローラ41および第2搬送ローラ42に第1部材101を搬送させる(図7(B)参照)。
【0099】
制御部90は、S14において、ロータリーエンコーダ83の出力信号を受け取る。この信号は、第2搬送ローラ42の回転量を示す。制御部90は、ロータリーエンコーダ83の出力信号に基づき、第2搬送ローラ42の回転量が所定量になるまで、搬送用モータ81を駆動させる。このように制御部90は、ロータリーエンコーダ83で検知された第2搬送ローラ42の回転量に基づき、第1部材101を貼合ローラ50に向けて搬送するときの搬送量を決定する。また、制御部90は、第1部材101の搬送速度を一定に保つために、ロータリーエンコーダ83の出力信号に基づき、搬送用モータ81の駆動力を制御する。
【0100】
制御部90は、S14において、第2搬送ローラ42が第1部材101を搬送する速度を、第1搬送ローラ41が第1部材101を搬送する速度より遅く制御する。このため、第1搬送ローラ41と第2搬送ローラ42との間の第1部材101のたるみは、時間の経過と共に増加する。制御部90は、S14においても、たるみセンサ63で検出された第1搬送ローラ41と第2搬送ローラ42との間の第1部材101のたるみを取得し、第1部材101のたるみが所定量に到達すると、搬送用モータ81から第1搬送ローラ41への駆動を停止させ、搬送用モータ81から第2搬送ローラ42への駆動を継続させる。これにより、S14においても、第1搬送ローラ41と第2搬送ローラ42との間の第1部材101のたるみは低減される。
【0101】
次に、制御部90は、第1部材101の搬送を停止して、画像記録部30を駆動させ第1部材101に画像を記録させる(S15)。制御部90は、S15において、搬送用モータ81の駆動を停止させ第1搬送ローラ41および第2搬送ローラ42の回転を停止させて、第1部材101を停止させる。第1部材101が停止している間に、画像記録部30の記録ヘッド32から第1部材101の記録面107にインクが吐出される。これにより、第1部材101の記録面107の一部に画像が記録される(図7(C)参照)。
【0102】
制御部90は、S18において、画像の記録を継続するか否かを判断する(S18)。制御部90は、画像の記録を継続すると判断した場合には(S18:Yes)、S14へ進む。制御部90は、S18においてNoと判断するまで、S14とS15とを繰り返し実行する。これにより、第1部材101には、搬送方向の下流側から上流側に向かって画像が順に記録される。なお、図7(B)などにおいて、第1部材101上のハッチング領域は、画像記録部30が1回の画像記録で画像を記録した部分を示す。
【0103】
[貼合ローラ50の駆動]
制御部90は、S15を実行した後、第1部材101が貼合ローラ50に到達したタイミングであるか否かを判断する(S16)。制御部90は、S16において、部材センサ64の出力信号に基づき、第2搬送ローラ42と貼合ローラ50との間に第1部材101の先端があると判断した後に、ロータリーエンコーダ83の出力信号に基づき、第2搬送ローラ42の回転量が所定量に到達したと判断したときに、第1部材101が貼合ローラ50に到達したタイミングであると判断する。
【0104】
制御部90は、第1部材101の先頭が貼合ローラ50に到達したタイミングであると判断した場合(S16:Yes)、S17へ進む。この場合、制御部90は、貼合ローラ50の駆動を開始する(S17)。制御部90は、S17において、貼合用モータ78の駆動と、第2ロール用モータ75の駆動とを同時に開始する。次に、制御部90は、S14へ進む。なお、制御部90がS16においてYesと判断するのは、1回のラミネート処理につき1回だけである。
【0105】
制御部90は、S17を実行した以降、貼合用モータ78を駆動させ、第2部材102を引き出す向きに作用する力を貼合ローラ50に与える。このとき、第2部材102を巻き取る向きに作用する力が回転駆動部74から第2ロール112に与えられ(図7(D)参照)。制御部90がS17を実行した以降、貼合ローラ50は、第1部材101の記録面107と第2部材102の貼り合わせ面109とを貼り合わせる。
【0106】
制御部90は、S17を実行した以降、貼合ローラ50が第1部材101を搬送する速度を、第2搬送ローラ42が第1部材101を搬送する速度より速く制御する。このため、第1部材101が貼合ローラ50に到達した時点でたるんでいた場合でも、第1部材101のたるみはすぐに解消される。
【0107】
なお、制御部90は、S17において、第2ロール用モータ75を駆動させた後に、貼合用モータ78を駆動させてもよい。これにより、貼合ローラ50を回転させる前に、第2部材102を巻き取る向きに作用する力を第2ロール112に与え、第2部材102のたるみを解消できる。
【0108】
制御部90は、S16において、第1部材101が貼合ローラ50の少し前の位置に到達したタイミングか否かを判断してもよい。この場合、制御部90は、第1部材101が貼合ローラ50に到達する前に、貼合用モータ78の駆動と、第2ロール用モータ75の駆動とを開始する。
【0109】
制御部90がS17を実行した以降、貼合ローラ50は第1部材101を引き出す向きに作用する力を第1部材101に与える。一方、第1部材101は第2搬送ローラ42に把持されており、第2搬送ローラ42は回転しているときと、停止しているときとがある。第2搬送ローラ42が停止状態のとき、第2搬送ローラ42は、第1部材101を停止させる力を第1部材101に与える。第2搬送ローラ42が第1部材101を停止させる力は、貼合ローラ50が第1部材101を搬送する力より強い。このため、第2搬送ローラ42が停止状態のとき、第1部材101は、貼合ローラ50から力を受けても停止したままとなる。また、第2搬送ローラ42が第1部材101を所定以上搬送させない力は、貼合ローラ50が第1部材101を搬送する力より強い。なお、搬送用モータ81は、第2搬送ローラ42が第1部材101の搬送を停止するときに、電力を消費するモータであってもよく、電力を消費しないモータであってもよい。
【0110】
制御部90は、S17を実行した以降、回転駆動部77を駆動させ貼合ローラ50によって、第1ロール111から引き出された第1部材101、および、第2ロール112から引き出された第2部材102に、第2ロール112から与えられる力より強い力を与えて、第1部材101および第2部材102を引き出す方向に搬送させつつ貼り合わせる制御を行う。
【0111】
制御部90は、貼合ローラ50に第1ロール111と繋がった第1部材101が把持されておらず、かつ、貼合ローラ50に第2ロール112と繋がった第2部材102が把持されているとき(図6(D))に、回転駆動部71を駆動させ、第2搬送ローラ42に第1ロール111から第1部材101を引き出す向きに搬送させると共に、第1部材101の搬送方向先端を貼合ローラ50に向けて搬送させる制御(S17実行前のS14)と、第1部材101が貼合ローラ50に到達した後に、駆動停止状態にある回転駆動部77の駆動を開始して、貼合ローラ50に第2の力を与える制御(S17)と、回転駆動部77の駆動を開始する前、または開始と同時に、駆動停止状態にある回転駆動部74の駆動を開始して、第2ロール112に第2部材102を引き出す向きに作用する力を与える制御(S17)と、を行う。なお、制御部90は、第1部材101が貼合ローラ50に到達する前に、駆動停止状態にある回転駆動部77の駆動を開始してもよい。制御部90は、部材センサ64により第1部材101が検知されたことに応じて、第1部材101が貼合ローラ50に到達したと判断する。
【0112】
制御部90は、貼合ローラ50に第1ロール111と繋がった第1部材101と、第2ロール112と繋がった第2部材102とが把持されているとき(図7(D))に、回転駆動部74を駆動させ第2ロール112に力を与える制御と、回転駆動部77を駆動させ貼合ローラ50に力を与える制御と、搬送用モータ81を駆動させ回転駆動部71を駆動させ第1ロール111から第1部材101を引き出す向きに搬送させる搬送制御と、搬送用モータ81の駆動を停止させ第1部材101を搬送させない停止制御と、を行う。
【0113】
制御部90は、ロータリーエンコーダ83によって検出された第2搬送ローラ42の回転量に基づき、搬送用モータ81について搬送制御および停止制御のいずれを行うかを切り替える。制御部90は、搬送用モータ81について搬送制御および停止制御を交互に行い、停止制御を行う間に、画像記録部30を駆動させ第1部材101に画像を記録させる制御を行う。制御部90は、貼合ローラ50に第1ロール111と繋がった第1部材101が把持されておらず、かつ、斜行補正制御を行わないときに、回転駆動部74、77の駆動を停止する制御を行う。
【0114】
[第1切断部68による切断]
制御部90は、S18において画像の記録を継続しないと判断した場合(S18:No)、S19へ進む。この場合、制御部90は、第1部材101の画像を記録した位置よりも上流にある切断位置が第1切断部68の下に到達するまで、第1部材101を搬送する(S19)。制御部90は、S19においてS14と同じ処理を行う。ただし、S19では貼合ローラ50は回転しているので、第1部材101は、第2搬送ローラ42からの力と貼合ローラ50からの力の両方によって搬送される(図8(A)参照)。
【0115】
制御部90がS19を実行した後、第1ロール111と繋がった第1部材101と、第2ロール112と繋がった第2部材102とが貼合ローラ50に把持されている。次に、制御部90は、第1部材101の搬送を停止し、貼合ローラ50の駆動を停止する(S20)。制御部90は、S20において、搬送用モータ81の駆動を停止させ、第1搬送ローラ41および第2搬送ローラ42の回転を停止させて、第1部材101を停止させる。これに加えて、制御部90は、貼合用モータ78および第2ロール用モータ75の駆動を停止させ、貼合ローラ50および第2ロール112の回転を停止させて、第2部材102を停止させる。このように制御部90は、S20において、搬送用モータ81および回転駆動部74、77の駆動を停止させる。
【0116】
次に、制御部90は、第1部材101を第1切断部68で切断させる(S21)。制御部90は、S21において、切断用モータ85を駆動させ第1切断部68を動作させる。第1切断部68は、第1部材101を切断位置で切断する(図8(B)参照)。
【0117】
貼合ローラ50からの力が第1部材101にかかった状態で、第1切断部68が第1部材101を切断すると、切断中に第1部材101の左右方向9の一方にのみに力がかかる。このため、第1部材101に位置ずれが発生し、第1部材101が斜めに切断されることがある。第1部材101が斜めに切断されることを防止するために、制御部90は、貼合ローラ50および第2ロール112を停止させた後に、第1部材101を第1切断部68で切断させる。
【0118】
[第2切断部69による切断]
次に、制御部90は、貼り合わせ後の第1部材101および第2部材102を搬送させる(S22)。制御部90は、S22において、貼合用モータ78を駆動させ、貼り合わせ後の第1部材101および第2部材102の切断位置が第2切断部69の下に到達するまで、貼り合わせ後の第1部材101および第2部材102を搬送させる。
【0119】
貼合用モータ78がステッピングモータである場合、制御部90は、部材センサ64の出力信号に基づき、切断された第1部材101の後端が第2搬送ローラ42と貼合ローラ50との間にあると判断した後に、貼合用モータ78に所定数のパルスを与える。これにより、貼り合わせ後の第1部材101および第2部材102を切断位置に搬送できる。
【0120】
貼合用モータ78がDCモータである場合、第2貼合ローラ52にロータリーエンコータが設けられる。制御部90は、部材センサ64の出力信号に基づき、第2搬送ローラ42と貼合ローラ50との間に第1部材101の後端があると判断した後に、ロータリーエンコーダの出力信号に基づき貼合ローラ50の回転量を制御する。これにより、貼り合わせ後の第1部材101および第2部材102を切断位置に搬送できる。
【0121】
制御部90は、S22を実行した後、第1搬送ローラ41、第2搬送ローラ42、貼合ローラ50、および第2ロール112を停止させる。この時点で、第2切断部69の下には、貼り合わせ後の第1部材101および第2部材102の切断位置が位置する。
【0122】
次に、制御部90は、貼り合わされた第1部材101および第2部材102を第2切断部69で切断させる(S23)。制御部90は、S23において、切断用モータ85を駆動させ第2切断部69を動作させる。第2切断部69は、貼り合わせ後の第1部材101および第2部材102を切断位置で切断する(図8(C)参照)。
【0123】
[第1部材101の巻き戻し]
次に、制御部90は、第1部材101を第1ロール111に巻き戻させる(S24)。制御部90は、S24において、搬送用モータ81を逆向きに駆動させ、第1搬送ローラ41および第2搬送ローラ42を逆向きに回転させる。第1搬送ローラ41および第2搬送ローラ42は、第1部材101を巻き取る向きの力を作用させる。このときにも、第1部材101を巻き取る向きに作用する力が回転駆動部74から第1ロール111に与えられる。したがって、第1部材101は、第1ロール111に向けて搬送され、第1ロール111に巻き戻される(図8(D)参照)。
【0124】
制御部90は、S24において、画像記録部30の上流側に第1部材101の先端が位置するように、第1部材101を搬送させる。制御部90は、S24において、第1搬送ローラ41と第2搬送ローラ42との間に第1部材101の先端が位置するように、第1部材101を搬送させることが好ましい。これにより、第1部材101のうち、第2搬送ローラ42に把持され続けた部分が劣化することを防止できる。ただし、第1部材101の先端が第2搬送ローラ42よりも下流に位置するように第1部材101を停止させてもよい。つまり、第1部材101が第2搬送ローラ42に把持され続けるように第1部材101を停止させてもよい。この場合には、制御部90は、把持された部分に画像記録を行わないように制御してもよい。これにより、第1部材101が再び把持された際のたるみを解消する制御を省略できるので、次の画像記録を早く開始できる。制御部90は、S24を実行した後、ラミネート処理を終了する。
【0125】
[第1部材101の搬送の詳細]
第1部材101は、第1~第4搬送ローラ41~44、および貼合ローラ50によって把持される。これらのローラのうち第1部材101を把持する力が最も強いのは、第2搬送ローラ42である。その理由は、他のローラによる搬送力の影響によって第1部材101が滑り、結果として位置ずれが発生することを防止するためである。これにより、ロータリーエンコーダ83によって検出される搬送量の精度が向上する。また、第1ロール111および貼合ローラ50にはトルクリミッタにより制限された力が与えられるのに対して、第2搬送ローラ42にはトルクリミッタにより制限されていない力が与えられる。
【0126】
制御部90がS17において貼合ローラ50の駆動を開始してから、S20において貼合ローラ50の駆動を停止するまで、貼合ローラ50には第1部材101を引き出す向きに作用する力が与えられる。しかし、貼合ローラ50に与えられる力は、トルクリミッタ79により制限されており、第2搬送ローラ42が第1部材101を搬送する力より弱い。このため、貼合ローラ50に第1部材101を引き出す向きに作用する力が与えられても、第2搬送ローラ42が停止している間、第1部材101は搬送されない。第1部材101は、第2搬送ローラ42が回転しているときには第2搬送ローラ42の回転に応じた搬送速度で搬送され、第2搬送ローラ42が停止しているときには搬送されない。つまり、第1部材101の搬送量および搬送速度が第2搬送ローラ42の駆動によって制御されるように、貼合ローラ50のトルクリミッタ79は設定されている。貼合ローラ50は、第2搬送ローラ42に把持されている第1部材101を搬送しようとする際には、トルクリミッタ79により与えられた力が制限された状態となり、回転速度も制限された状態となる。
【0127】
貼合ローラ50が駆動されていても、第2搬送ローラ42が停止している限り、第1部材101は搬送されず、第2部材102も搬送されない。S15では、第1部材101および第2部材102は所定の張力がかかった状態で停止しており、停止状態の第1部材101に画像が記録される。一方、S14では、第1部材101は、停止状態とは異なる張力がかかった状態で搬送される。上述されたように、貼合ローラ50が第1部材101を搬送しようとする速度は、第2搬送ローラ42が第1部材101を搬送する速度より速い。したがって、制御部90がS17を実行した以降、第1部材101は、第2搬送ローラ42と貼合ローラ50との間でたるむことがない。
【0128】
[実施形態の作用効果]
以上に示されるように、本実施形態に係るラミネート装置1は、第1ホルダ21(第1支持部)と、第2ホルダ22(第2支持部)と、画像記録部30と、貼合ローラ50(貼合部)と、第2ロール112を回転させる第1の力を第2ロール112に与える回転駆動部74(第1回転駆動部)と、制御部90と、を備えている。制御部90が第2ロール112から第2部材102を引き出す向きに搬送させる制御を行うときに、第2部材102を巻き取る向きに作用する第1の力が回転駆動部74によって第2ロール112に与えられる。
【0129】
したがって、本実施形態に係るラミネート装置1によれば、第2部材102を引き出す向きに搬送するときに、第2部材102を巻き取る向きに作用する第1の力が第2ロール112に与えられるので、第2部材102のたるみを抑制できる。これにより、画像が記録された第1部材101と、たるみがない第2部材102とを貼り合わせて、ラミネート完成品100を綺麗に仕上げることができる。
【0130】
第1ロール111および第2ロール112は、大きな慣性を有する。このため、第2ロール112からの第2部材102の引き出しを停止させるときに、第2ロール112はしばらくの間回転し続ける。このとき、第2ロール112から第2部材102が余分に引き出され、第2部材102にたるみが生じる。たるんだ第2部材102は、ラミネート装置1内の部品に接触したり、絡まったりするので、第2部材102のジャムが発生し得る。第2部材102は、貼り合わせ面109に第1粘着層103を有するので、第2部材102のジャムは発生しやすい。
【0131】
第2部材102の張力は、第1部材101の搬送精度に影響を与える。第2部材102がたるむと、第2部材102の張力が変化するので、第1部材101の搬送精度が低下し得る。また、停止している第2ロール112を回転させ始めるときには大きな力が必要となるが、回転が始まった後では必要な力は小さくなる。第2部材102にたるみがあると、大きな力が必要な状態と、小さな力でよい状態とが交互に発生し、必要な力が安定せず、第1部材101の搬送精度が低下する。第2部材102にたるみがなく、第2部材102に張力がかかった状態を維持できる場合には、第2ロール112を回転させ始めるときと、回転が始まった後とで必要な力の差が小さいので、第1部材101の搬送精度が向上する。また、停止している第1ロール111を回転させるときに、第1ロール111はしばらくの間停止したままになるので、第2部材102にたるみが発生する。このたるみによっても、第1部材101の搬送精度が低下し得る。本実施形態に係るラミネート装置1によれば、第2部材102のたるみを抑制することにより、第2部材102のジャム、および第1部材101の搬送精度の低下を防止できる。
【0132】
また、トルクリミッタ76(第1トルクリミッタ)により制限された第2ロール用モータ75(第1モータ)の動力が、第1の力として第2ロール112に与えられるので、トルクリミッタ76により、第2ロール112に与えられる第1の力を制限できる。また、貼合ローラ50は、第1貼合ローラ51と第2貼合ローラ52とを含んでいるので、2つの貼合ローラにより、第1部材101および第2部材102を貼り合わせできる。
【0133】
また、回転駆動部77(第2回転駆動部)では、トルクリミッタ79(第2トルクリミッタ)により制限された貼合用モータ78(第2モータ)の動力が、第2の力として貼合ローラ50に与えられるので、トルクリミッタ79により、貼合ローラ50に与えられる第2の力を制限できる。
【0134】
また、制御部90は、貼合ローラ50に第1ロール111と繋がった第1部材101が把持されていないときに、第2部材102の斜行を補正する斜行補正制御を行う(S11)。制御部90は、S11において、回転駆動部77を駆動させ、貼合ローラ50に第1の力より強い第2の力を与えて第2部材102を引き出す向きに搬送させる。これに加えて、制御部90は、第1の力と同じ向きの力を貼合ローラ50に与えるか、第2の力を貼合ローラ50に与えないか、または、第1の力より弱い力を貼合ローラ50に与えることにより、第2部材102を巻き取る向きに搬送させる。制御部90は、第2ロール112が第2ホルダ22に支持された後、かつ、第1部材101が貼合ローラ50に把持される前に、斜行補正制御を行う。このように第2部材102の斜行補正制御を行うことにより、正しい姿勢の第2部材102を貼合ローラ50に与えて、ラミネート完成品100を綺麗に仕上げることができる。
【0135】
また、制御部90は、貼合ローラ50に第1ロール111と繋がった第1部材101が把持されておらず、かつ、斜行補正制御を行わないときに、回転駆動部74、77の駆動を停止する制御を行う。このように貼り合わせ、および、第2部材102の斜行補正制御を行わないときに、回転駆動部74、77の駆動を停止することにより、第2部材102が引き出されることを防止できる。
【0136】
また、制御部90は、S17を実行した以降、回転駆動部77を駆動させ貼合ローラ50によって、第1ロール111から引き出された第1部材101、および、第2ロール112から引き出された第2部材102に、第1の力より強い力を与えて、第1部材101および第2部材102を引き出す方向に搬送させつつ貼り合わせる制御を行う。このように貼合ローラ50から第1部材101および第2部材102に、第2ロール112から与えられる力より強い力を与えることにより、貼合ローラ50で第1部材101および第2部材102を貼り合わせつつ搬送できる。
【0137】
また、制御部90は、貼合ローラ50に第1ロール111と繋がった第1部材101が把持されておらず、かつ、貼合ローラ50に第2ロール112と繋がった第2部材102が把持されているとき(図6(D))に、搬送用モータ81(第3回転駆動部)を駆動させ、第2搬送ローラ42(搬送ローラ)に第1ロール111から第1部材101を引き出す向きに搬送させると共に、第1部材101の搬送方向先端を貼合ローラ50に向けて搬送させる制御(S17実行前のS14)と、第1部材101が貼合ローラ50に到達した後に、駆動停止状態にある回転駆動部77の駆動を開始して、貼合ローラ50に第2の力を与える制御(S17)と、回転駆動部77の駆動の開始と同時に、駆動停止状態にある回転駆動部74の駆動を開始して、第2ロール112に第1の力を与える制御(S17)と、を行う。制御部90は、回転駆動部77の駆動を開始する前に、駆動停止状態にある回転駆動部74の駆動を開始して、第2ロール112に第1の力を与えてもよい。このように第1部材101が貼合ローラ50に到達した後に貼合ローラ50に第2の力を与え、その前または同時に第2ロール112に第1の力を与えることにより、貼り合わせ中の第2部材102のたるみを抑制できる。
【0138】
また、制御部90は、S18において、部材センサ64(第1部材検知部)により第1部材101が検知されたことに応じて、第1部材101が貼合ローラ50に到達したと判断する。このように部材センサ64による検知結果に応じて第1部材101が貼合ローラ50に到達したか否かを判断し、貼り合わせを開始できる。
【0139】
また、制御部90は、第1部材101が貼合ローラ50に到達する前に、駆動停止状態にある回転駆動部77の駆動を開始して、貼合ローラ50に第2の力を与える制御を行ってもよい。この構成によっても、貼り合わせ中の第2部材102のたるみを抑制できる。
【0140】
また、制御部90は、貼合ローラ50に第1ロール111と繋がった第1部材101と、第2ロール112と繋がった第2部材102とが把持されているとき(図7(D))に、回転駆動部74を駆動させ第2ロール112に第1の力を与える制御と、回転駆動部77を駆動させ貼合ローラ50に第2の力を与える制御と、搬送用モータ81を駆動させ第1ロール111から第1部材101を引き出す向きに搬送させる搬送制御と、搬送用モータ81の駆動を停止させ第1部材101を搬送させない停止制御と、を行う。このように第2ロール112に第1の力を与え、貼合ローラ50に第2の力を与えて、第2部材102のたるみを防止しながら、第1搬送ローラ41により第1部材101を間欠搬送できる。
【0141】
また、制御部90は、ロータリーエンコーダ83(回転量検出部)によって検出された第2搬送ローラ42の回転量に基づき、搬送用モータ81について搬送制御および停止制御のいずれを行うかを切り替える。これにより、第1部材101を間欠搬送できる。また、制御部90は、搬送用モータ81について搬送制御および停止制御を交互に行い、停止制御を行う間に、画像記録部30を駆動させ第1部材101に画像を記録させる制御を行う。このように第1部材101を間欠搬送し、停止している第1部材101に画像を記録することにより、第1部材101に画像を綺麗に記録できる。
【0142】
また、制御部90は、貼合ローラ50に第1ロール111と繋がった第1部材101と、第2ロール112と繋がった第2部材102とが把持されているときに、搬送用モータ81および回転駆動部74、77の駆動を停止させた後に、第1切断部68を駆動させ、第1部材101を切断させる制御を行う。このように搬送用モータ81および回転駆動部74、77の駆動を停止し、停止している第1部材101を切断することにより、第1部材101を綺麗に切断できる。
【0143】
また、制御部90は、回転駆動部74、77の駆動を停止した後に、第2切断部69を駆動させ、貼合ローラ50で貼り合わされた第1部材101および第2部材102を切断させる制御を行う。このように回転駆動部74、77の駆動を停止し、停止している貼り合わせ後の第1部材101および第2部材102を切断することにより、張り合わせ後の第1部材101および第2部材102を綺麗に切断できる。
【0144】
[変形例]
上記実施形態に係るラミネート装置1については、各種の変形例を構成できる。変形例に係るラミネート装置は、少なくとも、第1ホルダ21と、第2ホルダ22と、画像記録部30と、貼合ローラ50と、第2ロール112を回転させる第1の力を第2ロール112に与える第1回転駆動部と、制御部90と、を備えている(図10参照)。本変形例に係るラミネート装置でも、制御部90が第2ロール112から第2部材102を引き出す向きに搬送させる制御を行うときに、第2部材102を巻き取る向きに作用する力が第1回転駆動部により第2ロール112に与えられる。本変形例に係るラミネート装置でも、ラミネート装置1と同様に、第1部材101のたるみを抑制できる。
【0145】
変形例に係るラミネート装置は、第3搬送ローラ43、および第4搬送ローラ44を必ずしも備えていなくてもよい。変形例に係るラミネート装置では、第2搬送ローラ42は、第3搬送ローラ43の位置、または、第4搬送ローラ44の位置に位置してもよい。
【0146】
変形例に係るラミネート装置は、搬送用モータ81としてステッピングモータを備え、制御部はステッピングモータの出力信号に基づき、第1搬送ローラ41および第2搬送ローラ42の回転量を検出してもよい。
【0147】
変形例に係るラミネート装置は、部材センサ64に代えて、キャリッジ31に搭載され、キャリッジ31と共に左右方向9に移動するセンサ(以下、メディアセンサと称される)を備えていてもよい。メディアセンサは、例えば、部材センサ64と同様に、発光素子と受光素子とを含む光センサであってもよい。
【0148】
変形例に係るラミネート装置は、1個の貼合ローラを含む貼合部を備えていてもよい。1個の貼合ローラを筐体11内の好適な位置に配置することにより、第1ロール111から引き出され、画像記録部30により画像が記録された第1部材101と第2ロール112から引き出された第2部材102とを1個の貼合ローラによって貼り合わせできる。また、変形例に係るラミネート装置の貼合部は、必ずしも回転するローラを含んでいなくてもよい。貼合部は、例えば、上下方向7に所定の間隔を空けて配置された2枚の板状部材を含んでいてもよい。この場合、搬送方向の下流側に位置する把持部材が、第1部材101および第2部材102を把持して所定の方向に引っ張ればよい。
【0149】
変形例に係るラミネート装置は、第2切断部69を備えていなくてもよい。この場合、第1部材101と第2部材102とを貼り合わせた部材が切断されない状態で排出口14から排出される。ユーザは、排出された部材をラミネート装置の外部で、例えばハサミを用いて切断する。
【0150】
ラミネート装置1の画像記録部30は、インクを吐出する記録ヘッド32を有し、所謂シリアルインクジェット方式で画像を記録するものであることとしたが、画像記録部30の構成はこれに限定されない。変形例に係るラミネート装置の記録部は、例えば、固定されたインクジェットの記録ヘッドを有し、所謂ラインヘッド方式で画像を記録するものでもよい。また、変形例に係るラミネート装置の記録部は、所謂サーマルヘッド方式で画像を記録するものでもよい。また、変形例に係るラミネート装置の記録部は、レーザ光を用いてトナーを被記録媒体に定着させる所謂レーザ方式で画像を記録するものでもよい。
【符号の説明】
【0151】
1・・・ラミネート装置
21・・・第1ホルダ(第1支持部)
22・・・第2ホルダ(第2支持部)
30・・・画像記録部
42・・・第2搬送ローラ(搬送ローラ)
50・・・貼合ローラ(貼合部)
64・・・部材センサ(第1部材検知部)
68・・・第1切断部
69・・・第2切断部
74・・・回転駆動部(第1回転駆動部)
75・・・第2ロール用モータ(第1モータ)
76・・・トルクリミッタ(第1トルクリミッタ)
77・・・回転駆動部(第2回転駆動部)
78・・・貼合用モータ(第2モータ)
79・・・トルクリミッタ(第2トルクリミッタ)
81・・・搬送用モータ(第3回転駆動部)
83・・・ロータリーエンコーダ(回転量検出部)
90・・・制御部
100・・・ラミネート完成品
101・・・第1部材
102・・・第2部材
111・・・第1ロール
112・・・第2ロール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10