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特開2024-164607高周波増幅回路および高周波増幅デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164607
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】高周波増幅回路および高周波増幅デバイス
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/02 20060101AFI20241120BHJP
   H03F 3/195 20060101ALI20241120BHJP
   H03F 3/68 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
H03F1/02 188
H03F3/195
H03F3/68 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080214
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】森 拓磨
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA21
5J500AA62
5J500AA63
5J500AA64
5J500AA65
5J500AC36
5J500AC92
5J500AF12
5J500AF15
5J500AF16
5J500AH09
5J500AH24
5J500AH29
5J500AH33
5J500AK13
5J500AK29
5J500AK45
5J500AQ02
5J500AQ03
5J500AS13
5J500AT05
(57)【要約】
【課題】高い増幅効率を維持して小型化できる、高周波増幅回路および高周波増幅デバイスを提供する。
【解決手段】高周波増幅回路は、メイン増幅器と、ピーク増幅器と、を有するドハティ増幅器を備える。メイン増幅器は、第1の入力端と、第1の出力端と、第1のトランジスタとを含む。メイン増幅器は、第1のトランジスタに入力される高調波を抑制するための第1の高調波処理回路、および、第1のトランジスタの入力インピーダンスと整合を得るための第1の基本波整合回路のうち、第1の高調波処理回路のみを含む。ピーク増幅器は、第2の入力端と、第2の出力端と、第2のトランジスタとを含む。ピーク増幅器は、第2のトランジスタに入力される高調波を抑制するための第2の高調波処理回路、および、第2のトランジスタの入力インピーダンスと整合を得るための第2の基本波整合回路のうち、第2の基本波整合回路のみを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイン増幅器と、ピーク増幅器と、を有するドハティ増幅器を備える高周波増幅回路であって、
前記メイン増幅器は、
第1の入力端と、
第1の出力端と、
前記第1の入力端に制御端子が接続され、前記第1の出力端に電流端子が接続される第1のトランジスタと、
を含むとともに、
前記第1のトランジスタの前記制御端子に接続され、前記第1のトランジスタに入力される高調波を抑制するための第1の高調波処理回路、および、前記第1の入力端と前記第1のトランジスタの前記制御端子との間に接続され、前記第1のトランジスタの入力インピーダンスと整合を得るための第1の基本波整合回路のうち、前記第1の高調波処理回路のみを含み、
前記ピーク増幅器は、
第2の入力端と、
第2の出力端と、
前記第2の入力端に前記制御端子が接続され、前記第2の出力端に前記電流端子が接続される第2のトランジスタと、
を含むとともに、
前記第2のトランジスタの前記制御端子に接続され、前記第2のトランジスタに入力される高調波を抑制するための第2の高調波処理回路、および、前記第2の入力端と前記第2のトランジスタの前記制御端子との間に接続され、前記第2のトランジスタの入力インピーダンスと整合を得るための第2の基本波整合回路のうち、前記第2の基本波整合回路のみを含む、高周波増幅回路。
【請求項2】
前記第1の高調波処理回路は、
一方の電極が基準電位に接続される第1のキャパシタと、
前記第1のキャパシタの他方の電極と前記第1のトランジスタの前記制御端子とを接続し、第1のインダクタンスを含む第1のワイヤと、
を含み、
前記第2の基本波整合回路は、
前記一方の電極が前記基準電位に接続される第2のキャパシタと、
前記第2のキャパシタの前記他方の電極と前記第2の入力端とを接続し、第2のインダクタンスを含む第2のワイヤと、
前記第2のトランジスタの前記制御端子と前記第2のキャパシタの前記他方の電極とを接続し、第3のインダクタンスを含む第3のワイヤと、
を含む、請求項1に記載の高周波増幅回路。
【請求項3】
メイン増幅器と、ピーク増幅器と、を有するドハティ増幅器を備える高周波増幅デバイスであって、
前記メイン増幅器は、
第1の入力端と、
第1の出力端と、
前記第1の入力端に制御端子が接続され、前記第1の出力端に電流端子が接続される第1のトランジスタと、
を含むとともに、
前記第1のトランジスタの前記制御端子に接続され、前記第1のトランジスタに入力される高調波を抑制するための第1の高調波処理素子、および、前記第1の入力端と前記第1のトランジスタの前記制御端子との間に接続され、前記第1のトランジスタの入力インピーダンスと整合を得るための第1の基本波整合素子のうち、前記第1の高調波処理素子のみを含み、
前記ピーク増幅器は、
第2の入力端と、
第2の出力端と、
前記第2の入力端に前記制御端子が接続され、前記第2の出力端に前記電流端子が接続される第2のトランジスタと、
を含むとともに、
前記第2のトランジスタの前記制御端子に接続され、前記第2のトランジスタに入力される高調波を抑制するための第2の高調波処理素子、および、前記第2の入力端と前記第2のトランジスタの前記制御端子との間に接続され、前記第2のトランジスタの入力インピーダンスと整合を得るための第2の基本波整合素子のうち、前記第2の基本波整合素子のみを含む、高周波増幅デバイス。
【請求項4】
前記ピーク増幅器の出力は、前記メイン増幅器の出力より大きい、請求項3に記載の高周波増幅デバイス。
【請求項5】
前記メイン増幅器は、
前記第1の出力端と前記第1のトランジスタの前記電流端子との前記接続をなす第4のワイヤを含み、
前記ピーク増幅器は、
前記第2の出力端と前記第2のトランジスタの前記電流端子との前記接続をなす第5のワイヤを含み、
前記第4のワイヤの長さは、前記第5のワイヤの長さより長い、請求項4に記載の高周波増幅デバイス。
【請求項6】
前記第1の高調波処理素子は、前記第1のトランジスタと前記ピーク増幅器との間に配置される、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の高周波増幅デバイス。
【請求項7】
前記メイン増幅器は、
前記第1のトランジスタの前記制御端子と前記第1の高調波処理素子との前記接続をなす第1のワイヤと、
前記第1の入力端と前記第1のトランジスタの前記制御端子との前記接続をなす第6のワイヤと、
を含み、
平面視にて、前記第1のワイヤの延在する方向と前記第6のワイヤの延在する方向とが交差する、請求項6に記載の高周波増幅デバイス。
【請求項8】
前記第1の高調波処理素子および前記第2の基本波整合素子を有する集積受動デバイスを備える、請求項6に記載の高周波増幅デバイス。
【請求項9】
前記集積受動デバイスは、
基板と、
前記基板の一方の面上に設けられる第2の金属膜および第4の金属膜と、
前記第2の金属膜および前記第4の金属膜上に設けられる誘電体膜と、
前記誘電体膜上に設けられる第1の金属膜および第3の金属膜と、
を有し、
前記第1の高調波処理素子は、前記第2の金属膜、前記誘電体膜、および前記第1の金属膜により構成され、
前記第2の基本波整合素子は、前記第4の金属膜、前記誘電体膜、および前記第3の金属膜により構成され、
前記第1の金属膜と前記第1のトランジスタの前記制御端子とが互いに接続され、
前記第3の金属膜と前記第2のトランジスタの前記制御端子とが互いに接続され、
前記第2の金属膜および前記第4の金属膜は、基準電位に接続される、請求項8に記載の高周波増幅デバイス。
【請求項10】
前記集積受動デバイスは、前記第1の高調波処理素子と前記第2の基本波整合素子との間の前記一方の面上に設けられ、前記基準電位に接続される第5の金属膜を有する、請求項9に記載の高周波増幅デバイス。
【請求項11】
前記集積受動デバイスは、
前記基板に設けられ、前記第5の金属膜に接続されるビアと、
前記一方の面とは反対側の面に設けられ、前記ビアおよび前記基準電位に接続される裏面金属膜と、
を含む、請求項10に記載の高周波増幅デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、高周波増幅回路および高周波増幅デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ドハティ型増幅器に関する技術が公開されている。このドハティ型増幅器は、入力信号を増幅するキャリア増幅器と、入力信号のピーク成分のみを増幅するピーク増幅器と、から構成される。このドハティ型増幅器においては、基材にキャリア増幅器とピーク増幅器とが実装され、キャリア増幅器とピーク増幅器とをパッケージがカバーする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-210224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば通信基地局装置の構成要素のひとつに、入力された信号を増幅する増幅器がある。通信量の増加に伴い、該増幅器として、広い出力範囲を有し高効率で動作するドハティ増幅器が採用される。ドハティ増幅器を有する通信基地局装置において、高い増幅効率を維持しながら該装置を小型化することが課題となる。
【0005】
本開示は、高い増幅効率を維持して小型化できる、高周波増幅回路および高周波増幅デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態による高周波増幅回路は、メイン増幅器と、ピーク増幅器と、を有するドハティ増幅器を備える高周波増幅回路である。メイン増幅器は、第1の入力端と、第1の出力端と、第1の入力端に制御端子が接続され、第1の出力端に電流端子が接続される第1のトランジスタとを含む。メイン増幅器は、第1のトランジスタの制御端子に接続され、第1のトランジスタに入力される高調波を抑制するための第1の高調波処理回路、および、第1の入力端と第1のトランジスタの制御端子との間に接続され、第1のトランジスタの入力インピーダンスと整合を得るための第1の基本波整合回路のうち、第1の高調波処理回路のみを含む。ピーク増幅器は、第2の入力端と、第2の出力端と、第2の入力端に制御端子が接続され、第2の出力端に電流端子が接続される第2のトランジスタとを含む。ピーク増幅器は、第2のトランジスタの制御端子に接続され、第2のトランジスタに入力される高調波を抑制するための第2の高調波処理回路、および、第2の入力端と第2のトランジスタの制御端子との間に接続され、第2のトランジスタの入力インピーダンスと整合を得るための第2の基本波整合回路のうち、第2の基本波整合回路のみを含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、高い増幅効率を維持して小型化できる、高周波増幅回路および高周波増幅デバイスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の第1実施形態に係る高周波増幅回路の回路図である。
図2図2は、本開示の第2実施形態に係る高周波増幅デバイスを概略的に示す平面図である。
図3図3は、図2に示されるIII-III線に沿った断面図である。
図4図4は、図2に示されるIV-IV線に沿った断面図である。
図5図5は、第2実施形態の第1変形例に係る高周波増幅デバイスを示す平面図である。
図6図6は、図5の第1変形例におけるインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
図7図7は、第2変形例に係る高周波増幅デバイスを示す平面図である。
図8図8は、第3変形例に係る高周波増幅デバイスを示す平面図である。
図9図9は、集積受動デバイスの構成を示す拡大図である。
図10図10は、図9に示されるX-X線に沿った断面図である。
図11図11は、第4変形例に係る高周波増幅デバイスを示す平面図である。
図12図12は、第5変形例に係る高周波増幅デバイスを示す平面図である。
図13図13は、集積受動デバイスの変形例を示した拡大図である。
図14図14は、図13に示されるXIV-XIV線に沿った断面図である。
図15図15は、比較例である高周波増幅回路の回路図である。
図16図16は、比較例である高周波増幅デバイスを概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。[1]本開示の一実施形態による高周波増幅回路は、メイン増幅器と、ピーク増幅器と、を有するドハティ増幅器を備える高周波増幅回路である。メイン増幅器は、第1の入力端と、第1の出力端と、第1の入力端に制御端子が接続され、第1の出力端に電流端子が接続される第1のトランジスタとを含む。メイン増幅器は、第1のトランジスタの制御端子に接続され、第1のトランジスタに入力される高調波を抑制するための第1の高調波処理回路、および、第1の入力端と第1のトランジスタの制御端子との間に接続され、第1のトランジスタの入力インピーダンスと整合を得るための第1の基本波整合回路のうち、第1の高調波処理回路のみを含む。ピーク増幅器は、第2の入力端と、第2の出力端と、第2の入力端に制御端子が接続され、第2の出力端に電流端子が接続される第2のトランジスタとを含む。ピーク増幅器は、第2のトランジスタの制御端子に接続され、第2のトランジスタに入力される高調波を抑制するための第2の高調波処理回路、および、第2の入力端と第2のトランジスタの制御端子との間に接続され、第2のトランジスタの入力インピーダンスと整合を得るための第2の基本波整合回路のうち、第2の基本波整合回路のみを含む。
【0010】
ドハティ増幅器のメイン増幅器は、常時動作する。ピーク増幅器は、メイン増幅器の飽和出力より大きい出力が必要となる場合に動作する。メイン増幅器は、A級増幅回路、AB級増幅回路、またはB級増幅回路を有する。したがって、メイン増幅器は、C級増幅回路を有する増幅器よりも低い効率で動作する。そこで、メイン増幅器に第1の高調波処理回路を設けることにより、メイン増幅器に入力される高調波が抑制される。高調波を抑制することにより、メイン増幅器における動作効率の低下が低減される。ピーク増幅器は、C級増幅回路を有する。さらに、ピーク増幅器は、メイン増幅器の飽和出力より大きい出力が必要となる場合に動作する。したがって、ピーク増幅器に第2の高調波処理回路を設けずにピーク増幅器を高効率で動作させることが可能である。ただし、ピーク増幅器の出力は大きいので、第2のトランジスタの入力インピーダンスの不整合が大きくなる。このため、ピーク増幅器の増幅効率が低下する。そこで、ピーク増幅器に第2の基本波整合回路が設けられる。第2の基本波整合回路は、第2の入力端と第2のトランジスタの制御端子との間に接続されることにより、第2のトランジスタの入力インピーダンスの不整合を抑制する。これにより、ピーク増幅器における増幅効率の低下が抑制される。したがって、メイン増幅器およびピーク増幅器における増幅効率の低下が抑制され、より高い効率を維持しながら高周波増幅回路を動作させることが可能となる。メイン増幅器の入力側に、第1の高調波処理回路のみが設けられる。ピーク増幅器の入力側に、第2の基本波整合回路のみが設けられる。これにより、実装される回路の点数が減縮され、高周波増幅回路の面積が縮小される。したがって、高周波増幅回路をより小型化することが可能となる。
【0011】
[2]上記[1]の高周波増幅回路の第1の高調波処理回路は、一方の電極が基準電位に接続される第1のキャパシタと、第1のキャパシタの他方の電極と第1のトランジスタの制御端子とを接続し、第1のインダクタンスを含む第1のワイヤとを含んでもよい。第2の基本波整合回路は、一方の電極が基準電位に接続される第2のキャパシタと、第2のキャパシタの他方の電極と第2の入力端とを接続し、第2のインダクタンスを含む第2のワイヤと、第2のトランジスタの制御端子と第2のキャパシタの他方の電極とを接続し、第3のインダクタンスを含む第3のワイヤとを含んでもよい。第1のキャパシタと、第1のインダクタンスとが直列に接続される。これにより、第1のキャパシタと第1のインダクタンスとが共振し、メイン増幅器に入力される高周波を抑制できる。第2のキャパシタ、第2のインダクタンス、および第3のインダクタンスが、第2のトランジスタの入力インピーダンスに含まれるリアクタンス成分を整合する。これにより、第2のトランジスタの入力インピーダンスと第2のワイヤおよび第3のワイヤのインピーダンスとの不整合を低減できる。したがって、メイン増幅器およびピーク増幅器における増幅効率の低下が抑制され、より高い効率を維持しながら高周波増幅回路を動作させることが可能となる。
【0012】
[3]本開示の一実施形態による高周波増幅デバイスは、メイン増幅器と、ピーク増幅器と、を有するドハティ増幅器を備える高周波増幅デバイスである。メイン増幅器は、第1の入力端と、第1の出力端と、第1の入力端に制御端子が接続され、第1の出力端に電流端子が接続される第1のトランジスタとを含む。メイン増幅器は、第1のトランジスタの制御端子に接続され、第1のトランジスタに入力される高調波を抑制するための第1の高調波処理素子、および、第1の入力端と第1のトランジスタの制御端子との間に接続され、第1のトランジスタの入力インピーダンスと整合を得るための第1の基本波整合素子のうち、第1の高調波処理素子のみを含む。ピーク増幅器は、第2の入力端と、第2の出力端と、第2の入力端に制御端子が接続され、第2の出力端に電流端子が接続される第2のトランジスタとを含む。ピーク増幅器は、第2のトランジスタの制御端子に接続され、第2のトランジスタに入力される高調波を抑制するための第2の高調波処理素子、および、第2の入力端と第2のトランジスタの制御端子との間に接続され、第2のトランジスタの入力インピーダンスと整合を得るための第2の基本波整合素子のうち、第2の基本波整合素子のみを含む。
【0013】
ドハティ増幅器のメイン増幅器は、常時動作する。ピーク増幅器は、メイン増幅器の飽和出力より大きい出力が必要となる場合に動作する。メイン増幅器は、A級増幅回路、AB級増幅回路、またはB級増幅回路を有する。したがって、メイン増幅器は、C級増幅回路を有する増幅器よりも低い効率で動作する。そこで、メイン増幅器に第1の高調波処理素子を設けることにより、メイン増幅器に入力される高調波が抑制される。高調波を抑制することにより、メイン増幅器における動作効率の低下が低減される。ピーク増幅器は、C級増幅回路を有する。さらに、ピーク増幅器は、メイン増幅器の飽和出力より大きい出力が必要となる場合に動作する。したがって、ピーク増幅器に第2の高調波処理素子を設けずにピーク増幅器を高効率で動作させることが可能である。ただし、ピーク増幅器の出力は大きいので、第2のトランジスタの入力インピーダンスの不整合が大きくなる。このため、ピーク増幅器の増幅効率が低下する。そこで、ピーク増幅器に第2の基本波整合素子が設けられる。第2の基本波整合素子は、第2の入力端と第2のトランジスタの制御端子との間に接続されることにより、第2のトランジスタの入力インピーダンスの不整合を抑制する。これにより、ピーク増幅器における増幅効率の低下が抑制される。したがって、メイン増幅器およびピーク増幅器における増幅効率の低下が抑制され、より高い効率を維持しながら高周波増幅デバイスを動作させることが可能となる。メイン増幅器の入力側に、第1の高調波処理素子のみが設けられる。ピーク増幅器の入力側に、第2の基本波整合素子のみが設けられる。これにより、実装される素子の点数が減縮され、高周波増幅デバイスの面積が縮小される。したがって、高周波増幅デバイスをより小型化することが可能となる。
【0014】
[4]上記[3]の高周波増幅デバイスのピーク増幅器の出力は、メイン増幅器の出力より大きくてもよい。これは、ピーク増幅器の出力がメイン増幅器の出力よりも大きいことによって、ドハティ増幅器において、より広い出力範囲で高効率な動作が可能となるからである。
【0015】
[5]上記[4]の高周波増幅デバイスのメイン増幅器は、第1の出力端と第1のトランジスタの電流端子との接続をなす第4のワイヤを含んでもよい。ピーク増幅器は、第2の出力端と第2のトランジスタの電流端子との接続をなす第5のワイヤを含んでもよい。第4のワイヤの長さは、第5のワイヤの長さより長い。これにより、ピーク増幅器の出力がメイン増幅器の出力よりも大きい場合に、インピーダンスの整合が容易となる。
【0016】
[6]上記[3]、[4]または[5]の高周波増幅デバイスの第1の高調波処理素子は、第1のトランジスタとピーク増幅器との間に設けられてもよい。第1の高調波処理素子が第1のトランジスタとピーク増幅器との間に配置されることにより、第1のトランジスタと第1の入力端との間隔を縮小させることが可能となる。したがって、高周波増幅デバイスをより小型化することが可能となる。
【0017】
[7]上記[5]の高周波増幅デバイスのメイン増幅器は、第1のトランジスタの制御端子と第1の高調波処理素子との接続をなす第1のワイヤと、第1の入力端と第1のトランジスタの制御端子との接続をなす第6のワイヤとを含んでもよい。平面視にて、第1のワイヤの延在する方向と第6のワイヤの延在する方向とが交差する。このような配置により、第1のワイヤと第6のワイヤとの線間容量が抑制される。これにより、第1のワイヤおよび第6のワイヤにおける線路損失を抑制することができる。したがって、より高い効率を維持しながら高周波増幅デバイスを動作させることが可能となる。
【0018】
[8]上記[6]または[7]の高周波増幅デバイスは、第1の高調波処理素子および第2の基本波整合素子を有する集積受動デバイスを備えてもよい。これにより、高周波増幅デバイスに含まれる素子の面積が縮小され、高周波増幅デバイスをより小型化することが可能となる。
【0019】
[9]上記[8]の高周波増幅デバイスの集積受動デバイスは、基板と、基板の一方の面上に設けられる第2の金属膜および第4の金属膜と、第2の金属膜および第4の金属膜上に設けられる誘電体膜と、誘電体膜上に設けられる第1の金属膜および第3の金属膜とを有してもよい。第1の高調波処理素子は、第2の金属膜、誘電体膜、および第1の金属膜により構成される。第2の基本波整合素子は、第4の金属膜、誘電体膜、および第3の金属膜により構成される。第1の金属膜と第1のトランジスタの制御端子とが互いに接続される。第3の金属膜と第2のトランジスタの制御端子とが互いに接続される。第2の金属膜および第4の金属膜は、基準電位に接続される。
【0020】
第1の金属膜、第2の金属膜、および誘電体膜によって、第2の金属膜の電位を基準とするキャパシタが形成される。第1の高調波処理素子は、該キャパシタを有する。第3の金属膜、第4の金属膜、および誘電体膜によって、第4の金属膜の電位を基準とするキャパシタが形成される。第2の基本波整合素子は、該キャパシタを有する。第1の高調波処理素子および第2の基本波整合素子は、基板の一方の面上に設けられる。これにより、集積受動デバイスが実現できる。
【0021】
[10]上記[9]の高周波増幅デバイスの集積受動デバイスは、第1の高調波処理素子と第2の基本波整合素子との間の一方の面上に設けられ、基準電位に接続される第5の金属膜を有してもよい。第1の高調波処理素子と第2の基本波整合素子との間に、基準電位に接続された第5の金属膜を設けることにより、メイン増幅器とピーク増幅器との電磁気的な干渉を抑制することが可能となる。
【0022】
[11]上記[10]の高周波増幅デバイスの集積受動デバイスは、基板に設けられ、第5の金属膜に接続されるビアと、一方の面とは反対側の面に設けられ、ビアおよび基準電位に接続される裏面金属膜とを含んでもよい。第5の金属膜とビアとが接続され、該ビアと基準電位に接続された裏面金属膜とが接続される。その結果、第5の金属膜が基準電位となる。
【0023】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の高周波増幅回路および高周波増幅デバイスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。なお、下記の説明において、接続されるとは、電気的に接続されることを意味し、明示する場合を除き、電気抵抗が実質的にゼロである導電線を介して接続される場合のほか、抵抗等の電子部品を介して接続される場合を含む。また、制御端子は、トランジスタがFETの場合、ゲートであり、バイポーラトランジスタの場合、ベースである。電流端子は、トランジスタがFETの場合、ソースまたはドレインであり、バイポーラトランジスタの場合、エミッタまたはコレクタである。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、本開示の第1実施形態に係る高周波増幅回路1Aの回路図である。図1を参照して、本開示の第1実施形態に係る高周波増幅回路1Aについて説明する。この高周波増幅回路1Aは、いわゆるドハティ増幅器である。ドハティ増幅器に入力される信号の周波数は、例えば60GHz以上90GHz以下である。図1に示されるように、高周波増幅回路1Aは、メイン増幅器100Aと、ピーク増幅器200Aとを備える。
【0025】
メイン増幅器100Aは、第1の入力端2と、第1の出力端11と、第1のトランジスタ8とを含む。第1のトランジスタ8の制御端子と、第1の入力端2とが互いに接続され、第1のトランジスタ8の一方の電流端子と第1の出力端11とが互いに接続される。第1のトランジスタ8の他方の電流端子は、基準電位線7に接続される。また、メイン増幅器100Aは、第1のトランジスタ8の制御端子に接続され、第1のトランジスタ8に入力される高調波を抑制するための第1の高調波処理回路4、および、第1の入力端2と第1のトランジスタ8の制御端子との間に接続され、第1のトランジスタ8の入力インピーダンスと整合を得るための第1の基本波整合回路のうち、第1の高調波処理回路4のみを含む。ワイヤ3は、第1の入力端2と第1のトランジスタ8の制御端子との間に接続され、第1の入力端2と第1のトランジスタ8の制御端子との間に介在する。ワイヤ10(第4のワイヤ)は、第1のトランジスタ8の一方の電流端子と第1の出力端11との間に接続され、第1のトランジスタ8の一方の電流端子と第1の出力端11との間に介在する。ワイヤ3およびワイヤ10は、信号周波数において、インダクタンスを含む。第1の入力端2は、例えば入力端子である。第1の出力端11は、例えば出力端子である。メイン増幅器100Aは、A級増幅回路、AB級増幅回路、またはB級増幅回路である。
【0026】
ピーク増幅器200Aは、第2の入力端12と、第2の出力端21と、第2のトランジスタ18とを含む。第2のトランジスタ18の制御端子と、第2の入力端12とが互いに接続される。第2のトランジスタ18の一方の電流端子と、第2の出力端21とが互いに接続される。第2のトランジスタ18の他方の電流端子は、基準電位線7に接続される。また、ピーク増幅器200Aは、第2のトランジスタ18の制御端子に接続され、第2のトランジスタ18に入力される高調波を抑制するための第2の高調波処理回路、および、第2の入力端12と第2のトランジスタ18の制御端子との間に接続され、第2のトランジスタ18の入力インピーダンスと整合を得るための第2の基本波整合回路13のうち、第2の基本波整合回路13のみを含む。第2の基本波整合回路13は、第2の入力端12と第2のトランジスタ18の制御端子との間に接続され、第2のトランジスタ18の入力インピーダンスと整合を得る。第2の入力端12と、第2の基本波整合回路13の入力端24とは互いに接続される。第2の基本波整合回路13の出力端25と、第2のトランジスタ18の制御端子とは互いに接続される。ワイヤ20(第5のワイヤ)は、第2のトランジスタ18の一方の電流端子と、第2の出力端21との間に接続され、第2のトランジスタ18の一方の電流端子と、第2の出力端21との間に介在する。ワイヤ20は、信号周波数において、インダクタンスを含む。第2の入力端12は、例えば入力端子である。第2の出力端21は、例えば出力端子である。ピーク増幅器200Aは、C級増幅回路である。
【0027】
第1の高調波処理回路4は、第1のキャパシタ6と、ワイヤ5(第1のワイヤ)とを含む。第1のキャパシタ6の一方の電極は、基準電位線7に接続される。ワイヤ5は、第1のキャパシタ6の他方の電極と第1のトランジスタ8の制御端子との間に接続される。ワイヤ5は、信号周波数において、インダクタンスを含む。第1のキャパシタ6の容量は、例えば0.1pF以上1pF以下である。
【0028】
第2の基本波整合回路13は、第2のキャパシタ16と、ワイヤ14(第2のワイヤ)と、ワイヤ15(第3のワイヤ)とを含む。第2のキャパシタ16の一方の電極は、基準電位線7に接続される。ワイヤ14は、第2のキャパシタ16の他方の電極と、第2の入力端12との間に接続される。ワイヤ15は、第2のトランジスタ18の制御端子と、第2のキャパシタ16の他方の電極との間に接続される。ワイヤ14およびワイヤ15は、信号周波数において、インダクタンスを含む。第2のキャパシタ16の容量は、例えば1pF以上10pF以下である。
【0029】
以上の構成を備えるメイン増幅器100Aの動作を説明する。メイン増幅器100Aは、常時動作する。第1の入力端2から入力された信号は、第1のトランジスタ8の制御端子に入力される。第1の高調波処理回路4において、第1のキャパシタ6とワイヤ5とが共振する。制御端子に該信号が入力される際、第1の高調波処理回路4の共振により該信号に含まれる高調波が抑制される。次に、第1のトランジスタ8において、高調波を抑制された信号が増幅され、第1の出力端11から増幅された信号が出力される。
【0030】
ピーク増幅器200Aは、メイン増幅器100Aの飽和出力より大きい出力が必要となる場合に動作する。第2の入力端12から入力された信号は、第2のトランジスタ18の制御端子に入力される。該信号は、第2のトランジスタ18において増幅され、第2の出力端21から出力される。第2のトランジスタ18の入力側に設けられる第2の基本波整合回路13において、第2のキャパシタ16、ワイヤ14、およびワイヤ15が、第2のトランジスタ18の入力インピーダンスに含まれるリアクタンス成分を整合する。
【0031】
以上の構成を備えるメイン増幅器100Aおよびピーク増幅器200Aによる効果について、図15を参照して説明する。図15は、比較例である高周波増幅回路1Hの回路図である。高周波増幅回路1Hは、メイン増幅器100Hとピーク増幅器200Hとを備える。メイン増幅器100Hは、入力側に第1の高調波処理回路4および第1の基本波整合回路22の両方を有する。ピーク増幅器200Hは、入力側に第2の高調波処理回路23および第2の基本波整合回路13の両方を有する。メイン増幅器100Hは、第1の高調波処理回路4および第1の基本波整合回路22の両方によって高い増幅効率を維持される。ピーク増幅器200Hは、第2の高調波処理回路23および第2の基本波整合回路13の両方によって高い増幅効率を維持される。このような構成のドハティ増幅器に対し、高い増幅効率を維持しながらドハティ増幅器をより小型化することが課題となる。C級増幅回路である増幅器と比べて、A級、AB級、またはB級増幅回路であるメイン増幅器の効率は低い。また、メイン増幅器は全パワーレンジで駆動するので、変調信号の増幅の際に効率低下を生じやすい。そこで、本開示の第1実施形態による高周波増幅回路1Aにおいて、メイン増幅器100Aに第1の高調波処理回路4を設けることにより、メイン増幅器100Aに入力される高調波が抑制される。これにより、メイン増幅器100Aにおける効率低下が生じにくくなる。これは、一般的にメイン増幅器の出力は小さいため、入力インピーダンスの整合が取りやすく、メイン増幅器に基本波整合回路を設けずともメイン増幅器が高効率で動作できるからである。一方、ピーク増幅器は、C級増幅回路であるため、そもそも効率が高い。故に、ピーク増幅器200Aは、第2の高調波処理回路23を設けられずに高効率で動作することが可能である。ただし、一般的にピーク増幅器の出力は大きいので、トランジスタの入力インピーダンスの不整合が大きくなる傾向がある。このため、ピーク増幅器の増幅効率が低下しやすい。そこで、本実施形態では、ピーク増幅器200Aに第2の基本波整合回路13が設けられる。これにより、ピーク増幅器200Aにおける増幅効率の低下が抑制される。したがって、メイン増幅器100Aおよびピーク増幅器200Aにおける増幅効率の低下が抑制され、高い効率を維持しながら高周波増幅回路1Aを動作させることが可能となる。また、メイン増幅器100Aの入力側に、第1の高調波処理回路4のみが設けられ、ピーク増幅器200Aの入力側に、第2の基本波整合回路13のみが設けられる。これにより、実装される回路の規模が小型化され、高周波増幅回路1Aの面積が縮小される。したがって、高周波増幅回路1Aをより小型化することが可能となる。
【0032】
(第2実施形態)
図2は、本開示の第2実施形態に係る高周波増幅デバイス1Bを概略的に示す平面図である。高周波増幅デバイス1Bは、図1の高周波増幅回路1Aを素子化したものであり、直方体の形状を有する。高周波増幅デバイス1Bは、メイン増幅器100Bと、ピーク増幅器200Bとを有する。図3は、図2に示されるIII-III線に沿った断面図である。図4は、図2に示されるIV-IV線に沿った断面図である。
【0033】
メイン増幅器100Bは、第1の入力端101と、第1の出力端109と、第1のトランジスタ106とを含む。メイン増幅器100Bは、図1のメイン増幅器100Aに対応する。第1の入力端101は、図1の第1の入力端2に対応する。第1の出力端109は、図1の第1の出力端11に対応する。第1のトランジスタ106は、図1の第1のトランジスタ8に対応する。第1のトランジスタ106の制御端子105と、第1の入力端101とが互いに接続され、第1のトランジスタ106の電流端子107と、第1の出力端109とが互いに接続される。メイン増幅器100Bは、第1のトランジスタ106の制御端子105に接続され、第1のトランジスタ106に入力される高調波を抑制するための第1の高調波処理素子103、および、第1の入力端101と第1のトランジスタ106の制御端子105との間に接続され、第1のトランジスタ106の入力インピーダンスと整合を得るための第1の基本波整合素子のうち、第1の高調波処理素子103のみを含む。第1の高調波処理素子103は、図1の第1の高調波処理回路4に対応する。メイン増幅器100Bは、例えば平面視にて長方形の形状を有するパッケージ内に設けられる。第1の入力端101と第1の出力端109との間に、第1の高調波処理素子103および第1のトランジスタ106が、第1の入力端101側からこの順に並んで配置される。第1の入力端101は、例えば入力端子である。第1の出力端109は、例えば出力端子である。
【0034】
ピーク増幅器200Bは、第2の入力端201と、第2の出力端209と、第2のトランジスタ206とを含む。ピーク増幅器200Bは、図1のピーク増幅器200Aに対応する。第2の入力端201は、図1の第2の入力端12に対応する。第2の出力端209は、図1の第2の出力端21に対応する。第2のトランジスタ206は、図1の第2のトランジスタ18に対応する。第2のトランジスタ206の制御端子205と、第2の入力端201とが互いに接続される。第2のトランジスタ206の電流端子207と、第2の出力端209とが互いに接続される。ピーク増幅器200Bは、第2のトランジスタ206の制御端子205に接続され、第2のトランジスタ206に入力される高調波を抑制するための第2の高調波処理素子、および、第2の入力端201と第2のトランジスタ206の制御端子205との間に接続され、第2のトランジスタ206の入力インピーダンスと整合を得るための第2の基本波整合素子203のうち、第2の基本波整合素子203のみを含む。第2の基本波整合素子203は、図1の第2の基本波整合回路13に対応する。ピーク増幅器200Bは、メイン増幅器100Bと共通のパッケージ内に設けられる。第2の入力端201と第2の出力端209との間に、第2の基本波整合素子203および第2のトランジスタ206が、第2の入力端201側からこの順に並んで配置される。第2の入力端201は、例えば入力端子である。第2の出力端209は、例えば出力端子である。
【0035】
メイン増幅器100Bおよびピーク増幅器200Bは、例えば封止材51によって封止される。封止材51は、例えばモールド樹脂である。
【0036】
図2に示されるように、第1の高調波処理素子103は、平面視にて長方形の形状を有し、第1の入力端101と第1のトランジスタ106との間に配置される。図3に示されるように、第1の高調波処理素子103は、表面金属膜112と、誘電体113と、裏面金属膜114とを有する。表面金属膜112は、誘電体113の一方の面上に設けられる。裏面金属膜114は、誘電体113の他方の面上に設けられる。第1の高調波処理素子103の断面の形状は、略長方形の形状を有している。第1の高調波処理素子103は、表面金属膜112を一方の電極とし、裏面金属膜114を他方の電極とするキャパシタを構成する。該キャパシタの容量Cは、例えば0.1pF以上1pF以下である。このキャパシタは、図1に示された第1のキャパシタ6に対応する。
【0037】
図2に示されるように、第1のトランジスタ106は、平面視にて長方形の形状を有する。第1のトランジスタ106は、第1の高調波処理素子103と対向して第1の出力端109側に配置される。図3に示されるように、第1のトランジスタ106は、電流端子107と、制御端子105と、電流端子110とを有する。第1のトランジスタ106の断面の形状は、略長方形の形状を有している。第1のトランジスタ106は、例えばGaNまたはGaAsにより構成されるFETである。電流端子107および制御端子105は、平面視にて長方形の形状を有している。
【0038】
図2および図4を参照して説明する。第2の基本波整合素子203は、平面視にて長方形の形状を有し、第2の入力端201と第2の出力端209との間に配置される。第2の基本波整合素子203は、第2のトランジスタ206に対して第2の入力端201側に配置される。第2の基本波整合素子203は、表面金属膜222と、誘電体223と、裏面金属膜224とを有する。表面金属膜222は、誘電体223の一方の面上に設けられる。裏面金属膜224は、誘電体223の他方の面上に設けられる。第2の基本波整合素子203の断面の形状は、略長方形の形状を有している。第2の基本波整合素子203は、表面金属膜222を一方の電極とし、裏面金属膜224とを他方の電極とするキャパシタを構成する。該キャパシタの容量Cは、例えば1pF以上10pF以下である。このキャパシタは、図1に示された第2のキャパシタ16に対応する。
【0039】
第2のトランジスタ206は、平面視にて長方形の形状を有する。第2のトランジスタ206は、第2の入力端201と第2の出力端209との間に配置され、第2の基本波整合素子203と対向して第2の出力端209側に配置される。第2のトランジスタ206は、電流端子207と、制御端子205と、電流端子220とを有する。第2のトランジスタ206の断面の形状は、略長方形の形状を有している。第2のトランジスタ206は、例えばGaNまたはGaAsにより構成されるFETである。電流端子207および制御端子205は、平面視にて長方形の形状を有している。
【0040】
第1の高調波処理素子103の裏面金属膜114および第1のトランジスタ106の電流端子110は、導電性接合材111によってベース52の実装面52a上に固定される。第2の基本波整合素子203の裏面金属膜224および第2のトランジスタ206の電流端子220は、導電性接合材221によってベース52の実装面52a上に固定される。導電性接合材111および導電性接合材221の材質は、例えばAuSnまたは焼結されたAgである。ベース52の材質は、例えば金属である。また、ベース52は、板状の形状を有し、平面視にて長方形の形状を有する。ベース52は、基準電位に規定され、図1の基準電位線7に対応する。
【0041】
再び図2を参照して、ワイヤの接続関係を説明する。ワイヤ104(第1のワイヤ)は、第1の高調波処理素子103の表面金属膜112と制御端子105とを接続し、第1の高調波処理素子103の表面金属膜112と制御端子105との間に介在する。ワイヤ108(第4のワイヤ)は、電流端子107と第1の出力端109とを接続し、電流端子107と第1の出力端109との間に介在する。ワイヤ102(第6ワイヤ)は、第1の入力端101と制御端子105とを接続し、第1の入力端101と制御端子105との間に介在する。ワイヤ102は、第1の高調波処理素子103を跨いでいる。
【0042】
また、ワイヤ202(第2のワイヤ)は、第2の入力端201と第2の基本波整合素子203の表面金属膜222とを接続し、第2の入力端201と第2の基本波整合素子203の表面金属膜222との間に介在する。ワイヤ204(第3のワイヤ)は、第2の基本波整合素子203の表面金属膜222と制御端子205とを接続し、第2の基本波整合素子203の表面金属膜222と制御端子205との間に介在する。ワイヤ208(第5のワイヤ)は、電流端子207と第2の出力端209とを接続し、電流端子207と第2の出力端209との間に介在する。
【0043】
ワイヤ102、ワイヤ104、ワイヤ202、ワイヤ204、ワイヤ108、およびワイヤ208の材質は、例えば金ワイヤである。また、ワイヤ102、ワイヤ104、ワイヤ202、ワイヤ204、ワイヤ108、およびワイヤ208は、例えばボンディングワイヤである。
【0044】
以上の構成を備えるメイン増幅器100Bの動作を説明する。メイン増幅器100Bは、常時動作する。第1の入力端101から入力された信号は、制御端子105に入力される。制御端子105に該信号が入力される際、第1の高調波処理素子103により該信号に含まれる高調波が抑制される。高調波を抑制された信号は、第1のトランジスタ106において増幅される。増幅された信号は、第1の出力端109から出力される。
【0045】
ピーク増幅器200Bは、メイン増幅器100Bの飽和出力より大きい出力が必要となる場合に動作する。第2の入力端201から入力された信号は、制御端子205に入力される。該信号は、第2のトランジスタ206において増幅され、第2の出力端209から出力される。第2のトランジスタ206の入力側に設けられる第2の基本波整合素子203において、第2のトランジスタ206の入力インピーダンスに含まれるリアクタンス成分が整合される。
【0046】
以上の構成を備えるメイン増幅器100Bおよびピーク増幅器200Bによる効果について、図16を参照して説明する。図16は、比較例である高周波増幅デバイス1Jを概略的に示す平面図である。高周波増幅デバイス1Jは、メイン増幅器100Jとピーク増幅器200Jとを備える。メイン増幅器100Jは、入力側に第1の高調波処理素子103および第1の基本波整合素子115の両方を有する。このとき、第1の入力端101と第1の基本波整合素子115との間にワイヤ116が設けられる。ワイヤ117は、制御端子105と第1の基本波整合素子115とを接続し、制御端子105と第1の基本波整合素子115との間に介在する。また、ワイヤ117は、第1の高調波処理素子103を跨いでいる。ピーク増幅器200Jは、入力側に第2の高調波処理素子214および第2の基本波整合素子203の両方を有する。このとき、制御端子205と第2の高調波処理素子214との間にワイヤ215が設けられる。メイン増幅器100Jは、第1の高調波処理素子103および第1の基本波整合素子115の両方によって高い増幅効率を維持される。ピーク増幅器200Jは、第2の高調波処理素子214および第2の基本波整合素子203の両方によって高い増幅効率を維持される。このような構成のドハティ増幅器に対し、高い増幅効率を維持しながらドハティ増幅器をより小型化することが課題となる。C級増幅回路である増幅器と比べて、A級、AB級、またはB級増幅回路であるメイン増幅器の効率は低い。また、メイン増幅器は全パワーレンジで駆動するので、変調信号の増幅の際に効率低下を生じやすい。そこで、本開示の第2実施形態による高周波増幅デバイス1Bにおいて、メイン増幅器100Bに第1の高調波処理素子103を設けることにより、メイン増幅器100Bに入力される高調波が抑制される。これにより、メイン増幅器100Bにおける効率低下が生じにくくなる。ピーク増幅器は、C級増幅回路であるため、そもそも効率が高い。ピーク増幅器200Bは、第2の高調波処理素子214を設けられずに高効率で動作することが可能である。ただし、一般的にピーク増幅器の出力は大きいので、トランジスタの入力インピーダンスの不整合が大きくなる傾向がある。このため、ピーク増幅器の増幅効率が低下しやすい。そこで、本実施形態では、ピーク増幅器200Bに第2の基本波整合素子203が設けられる。これにより、ピーク増幅器200Bにおける増幅効率の低下が抑制される。したがって、メイン増幅器100Bおよびピーク増幅器200Bにおける増幅効率の低下が抑制され、高い効率を維持しながら高周波増幅デバイス1Bを動作させることが可能となる。また、メイン増幅器100Bの入力側は、第1の高調波処理素子103のみ設けられ、ピーク増幅器200Bの入力側は、第2の基本波整合素子203のみ設けられる。これにより、実装される素子の点数が減縮され、高周波増幅デバイス1Bの面積が縮小される。したがって、高周波増幅デバイス1Bをより小型化することが可能となる。
【0047】
(第1変形例)
図5は、第2実施形態の第1変形例に係る高周波増幅デバイス1Cを示す平面図である。高周波増幅デバイス1Cは、メイン増幅器100Cと、ピーク増幅器200Cとを備える。メイン増幅器100Cは、以下の点でメイン増幅器100Bと相違し、その他の点で同一である。ピーク増幅器200Cは、以下の点でピーク増幅器200Bと相違し、その他の点で同一である。高周波増幅デバイス1Cにおいて、ワイヤ108の長さは、ワイヤ208の長さより長い。ワイヤ102の長さは、ワイヤ202とワイヤ204とを合わせた長さより短い。第1のトランジスタ106と第1の高調波処理素子103との間隔は、第2のトランジスタ206と第2の基本波整合素子203との間隔より小さい。第1のトランジスタ106と第1の出力端109との間隔は、第2のトランジスタ206と第2の出力端209との間隔より大きい。
【0048】
図6は、本変形例におけるインピーダンス特性を示すスミスチャートである。ピーク増幅器200Cの出力は、メイン増幅器100Cの出力より大きい。メイン増幅器100Cの出力は、例えば5Wである。ピーク増幅器200Cの出力は、例えば10Wである。メイン増幅器100Cの出力側のワイヤであるワイヤ108に含まれるインダクタンスは、例えば4nHである。ピーク増幅器200Cの出力側のワイヤであるワイヤ208(第5のワイヤ)に含まれるインダクタンスは、例えば2nHである。
【0049】
S1は、ワイヤ長を変える前のメイン増幅器100Bのインピーダンス値である。S3は、ワイヤ長を変えた後のメイン増幅器100Cのインピーダンス値である。S2は、ワイヤ長を変える前のピーク増幅器200Bのインピーダンス値である。S4は、ワイヤ長を変えた後のピーク増幅器200Cのインピーダンス値である。このように、高周波増幅デバイス1Cによれば、メイン増幅器100Cおよびピーク増幅器200Cのインピーダンスの虚部成分を小さくできる。したがって、インピーダンスの整合が容易となる。
【0050】
(第2変形例)
図7は、第2変形例に係る高周波増幅デバイス1Dを示す平面図である。高周波増幅デバイス1Dは、メイン増幅器100Dと、ピーク増幅器200Bとを備える。メイン増幅器100Dは、以下の点でメイン増幅器100Cと相違し、その他の点で同一である。第1の高調波処理素子103は、第1のトランジスタ106とピーク増幅器200Bとの間に配置される。本変形例では、平面視にて、ワイヤ104の延在する方向とワイヤ102の延在する方向とが交差する。一実施例では、平面視にて、ワイヤ104の延在する方向とワイヤ102の延在する方向とが略直交する。また、本変形例では、ワイヤ104の延在する方向とワイヤ204の延在する方向とが交差する。一実施例では、ワイヤ104の延在する方向とワイヤ204の延在する方向とが略直交する。第1の高調波処理素子103は、例えば第1のトランジスタ106と第2の基本波整合素子203との間に配置される。
【0051】
図7の配置により、第1のトランジスタ106と第1の入力端101との間隔を縮小することが可能となる。したがって、高周波増幅デバイス1Dをより小型化することができる。さらに、このような配置により、ワイヤ104とワイヤ102との線間容量が抑制される。これにより、ワイヤ104およびワイヤ102における線路損失を抑制することができる。したがって、より高い効率を維持しながら高周波増幅デバイス1Dを動作させることが可能となる。
【0052】
(第3変形例)
図8は、第3変形例に係る高周波増幅デバイス1Eを示す平面図である。図9は、集積受動デバイス53の構成を示す拡大図である。図10は、図9に示されるX-X線に沿った断面図である。
【0053】
本変形例の高周波増幅デバイス1Eは、メイン増幅器100Eと、ピーク増幅器200Eとを備える。メイン増幅器100Eは、以下の点でメイン増幅器100Dと相違し、その他の点で同一である。ピーク増幅器200Eは、以下の点でピーク増幅器200Bと相違し、その他の点で同一である。高周波増幅デバイス1Eは、集積受動デバイス53を備える。集積受動デバイス53は、第1の高調波処理素子103E、第2の基本波整合素子203E、および基板61を有する。基板61の材質は、例えばGaAsまたはSiである。基板61は、板状の形状を有し、平面視にて長方形の形状を有する。基板61は、面64および面65を有する。第1の高調波処理素子103Eおよび第2の基本波整合素子203Eは、面64上に設けられる。
【0054】
図9および図10に示されるように、面64上に、第2の金属膜56および第4の金属膜59が設けられている。さらに、第2の金属膜56および第4の金属膜59上に誘電体膜55が設けられている。また、誘電体膜55は、面64と互いに接している。誘電体膜55上に、第1の金属膜54および第3の金属膜57が設けられている。図8および図9を参照して、第1の金属膜54と第2の基本波整合素子203Eとの距離は、第2の金属膜56と第2の基本波整合素子203Eとの距離よりも長い。第1の金属膜54と第1のトランジスタ106との距離は、第2の金属膜56と第1のトランジスタ106との距離よりも短い。第3の金属膜57と第2のトランジスタ206との距離は、第4の金属膜59と第2のトランジスタ206との距離よりも短い。第3の金属膜57と第2の入力端201との距離は、第4の金属膜59と第2の入力端201との距離よりも長い。第1の金属膜54、第2の金属膜56、第3の金属膜57、および第4の金属膜59は、膜状の形状を有し、平面視にて長方形の形状を有する。第1の金属膜54、第2の金属膜56、第3の金属膜57、および第4の金属膜59の材質は、例えば金である。誘電体膜55は、膜状の形状を有し、平面視にて長方形の形状を有する。誘電体膜55の材質は、例えばSiNである。第1の高調波処理素子103Eは、第1の金属膜54と第2の金属膜56とが対向する部分と、誘電体膜55とによって構成されている。第2の基本波整合素子203Eは、第3の金属膜57と第4の金属膜59とが対向する部分と、誘電体膜55とによって構成されている。
【0055】
図9および図10に示されるように、集積受動デバイス53は、基板61に加えて、複数のビア60aおよび複数のビア60bと、裏面金属膜62とを含む。複数のビア60aは、第2の金属膜56に接続される。複数のビア60bは、第4の金属膜59に接続される。裏面金属膜62は、面65に設けられる。裏面金属膜62は、複数のビア60aおよび複数のビア60bに接続される。また、裏面金属膜62は、図示しない導電性接合材を介してベース52に接続されている。裏面金属膜62の材質は、例えば金である。複数のビア60aおよび複数のビア60bは、面64から面65まで貫通している。複数のビア60aおよび複数のビア60bは、平面視にて円形状を有し、断面において長方形の形状を有する。複数のビア60aおよび複数のビア60bの材質は、例えば金である。平面視にて、複数のビア60aは、第2の金属膜56の内側に収まる。平面視にて、複数のビア60bは、第4の金属膜59の内側に収まる。
【0056】
図8の形態により、高周波増幅デバイス1Eに含まれる素子の面積が縮小され、高周波増幅デバイス1Eをより小型化することが可能となる。第1の金属膜54、第2の金属膜56、および誘電体膜55によって、第2の金属膜56の電位を基準とするキャパシタが形成される。第1の高調波処理素子103Eは、該キャパシタを有する。第3の金属膜57、第4の金属膜59、および誘電体膜55によって、第4の金属膜59の電位を基準とするキャパシタが形成される。第2の基本波整合素子203Eは、該キャパシタを有する。第1の高調波処理素子103Eおよび第2の基本波整合素子203Eは、面64上に設けられる。これにより、集積受動デバイス53が実現可能となる。
【0057】
(第4変形例)
図11は、第4変形例に係る高周波増幅デバイス1Fを示す平面図である。図11において、高周波増幅デバイス1Fは、メイン増幅器100Eとピーク増幅器200Fとを備える。ピーク増幅器200Fは、以下の点でピーク増幅器200Eと相違し、その他の点で同一である。高周波増幅デバイス1Fは、集積受動デバイス53に代えて集積受動デバイス53Fを備える。集積受動デバイス53Fは、第1の高調波処理素子103Eと第2の基本波整合素子203Fとを有する。本変形例における第2の基本波整合素子203Fは、2個の第3の金属膜57と、誘電体膜55と、1個の第4の金属膜59とを有する。第4の金属膜59は、基板61上に設けられている。誘電体膜55は、第4の金属膜59上に設けられている。また、誘電体膜55は、基板61と互いに接している。2個の第3の金属膜57は、誘電体膜55上に設けられている。第4の金属膜59、誘電体膜55、および一方の第3の金属膜57によってキャパシタが形成され、第4の金属膜59、誘電体膜55、および他方の第3の金属膜57によって別のキャパシタが形成される。一方の第3の金属膜57と他方の第3の金属膜57とは、2本のワイヤ213によって互いに接続されている。これにより、ピーク増幅器におけるトランジスタの入力インピーダンス不整合をより広帯域に抑制することができる。
【0058】
(第5変形例)
図12は、第5変形例に係る高周波増幅デバイス1Gを示す平面図である。本変形例における高周波増幅デバイス1Gは、1個のメイン増幅器100Gと、2個のピーク増幅器200Eとを備える。メイン増幅器100Gは、以下の点でメイン増幅器100Eと相違し、その他の点で同一である。メイン増幅器100Gは、2個のピーク増幅器200Eに挟まれて配置される。第1のトランジスタ106は、2個の第1の高調波処理素子103Eに挟まれて配置される。集積受動デバイス53において、第1の高調波処理素子103Eは、第2の基本波整合素子203Eに対して第1のトランジスタ106側に配置される。メイン増幅器100Gは、第1の高調波処理素子103Eを2個有する。
【0059】
高周波増幅デバイス1Gにピーク増幅器200Eを2個搭載し、メイン増幅器100Gに第1の高調波処理素子103Eを2個搭載することにより、高周波増幅デバイス1Gに入力される第二高調波が抑制される。さらに、第1の高調波処理素子103Eは、ワイヤ104により制御端子105に接続される。第1の高調波処理素子103Eは、第1のトランジスタ106を挟んで第1のトランジスタ106の両側に配置される。この配置により、第二高調波が抑制される。したがって、高調波抑制のアンバランスが低減される。
【0060】
(第6変形例)
図13は、集積受動デバイスの変形例を示した拡大図である。図14は、図13に示されるXIV-XIV線に沿った断面図である。図13の集積受動デバイス53Eは、図9の形態に加えて第5の金属膜63を有する。第5の金属膜63は、第1の高調波処理素子103Eと第2の基本波整合素子203Eとの間の面64上に設けられる。図14において、第5の金属膜63は、誘電体膜55に囲まれて設けられている。さらに、図14に示されるように、集積受動デバイス53Eは、基板61と、複数のビア60a、複数のビア60b、および複数のビア60cと、裏面金属膜62とを含む。複数のビア60cは、基板61に設けられ、第5の金属膜63に接続される。裏面金属膜62は、面65に設けられ、複数のビア60cに接続される。第5の金属膜63は、膜状の形状を有し、平面視にて長方形の形状を有する。
【0061】
第1の高調波処理素子103Eと第2の基本波整合素子203Eとの間に、基準電位に接続された第5の金属膜63が設けられる。これにより、メイン増幅器100Eとピーク増幅器200Eとの電磁気的な干渉を抑制することが可能となる。加えて、第5の金属膜63と複数のビア60cとが接続され、複数のビア60cと基準電位に接続された裏面金属膜62とが接続される。その結果、第5の金属膜63を基準電位とすることができる。
【符号の説明】
【0062】
1A,1H…高周波増幅回路
1B,1C,1D,1E,1F,1G,1J…高周波増幅デバイス
2…第1の入力端
3…ワイヤ
4…第1の高調波処理回路
5…ワイヤ
6…第1のキャパシタ
7…基準電位線
8…第1のトランジスタ
10…ワイヤ
11…第1の出力端
12…第2の入力端
13…第2の基本波整合回路
14,15…ワイヤ
16…第2のキャパシタ
18…第2のトランジスタ
20…ワイヤ
21…第2の出力端
22…第1の基本波整合回路
23…第2の高調波処理回路
24…入力端
25…出力端
51…封止材
52…ベース
52a…実装面
53,53E,53F…集積受動デバイス
54…第1の金属膜
55…誘電体膜
56…第2の金属膜
57…第3の金属膜
59…第4の金属膜
60a,60b,60c…ビア
61…基板
62…裏面金属膜
63…第5の金属膜
64,65…面
100A,100B,100C,100D,100E,100G,100H,100J…メイン増幅器
101…第1の入力端
102…ワイヤ
103,103E…第1の高調波処理素子
104…ワイヤ
105…制御端子
106…第1のトランジスタ
107…電流端子
108…ワイヤ
109…第1の出力端
110…電流端子
111…導電性接合材
112…表面金属膜
113…誘電体
114…裏面金属膜
115…第1の基本波整合素子
116…ワイヤ
200A,200B,200E,200F,200H,200J…ピーク増幅器
201…第2の入力端
202…ワイヤ
203,203E,203F…第2の基本波整合素子
204…ワイヤ
205…制御端子
206…第2のトランジスタ
207…電流端子
208…ワイヤ
209…第2の出力端
213…ワイヤ
214…第2の高調波処理素子
215…ワイヤ
220…電流端子
221…導電性接合材
222…表面金属膜
223…誘電体
224…裏面金属膜
S1…インピーダンス値
S2…インピーダンス値
S3…インピーダンス値
S4…インピーダンス値。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16