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  • 特開-ポリアミド樹脂組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016462
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】ポリアミド樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 77/00 20060101AFI20240131BHJP
   C08K 5/49 20060101ALI20240131BHJP
   C08K 5/098 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
C08L77/00
C08K5/49
C08K5/098
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118607
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 頼人
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002CL011
4J002CL031
4J002EG027
4J002EG037
4J002EG047
4J002EW026
4J002EW126
4J002FD206
4J002FD207
(57)【要約】
【課題】ポリアミド樹脂よりも結晶化温度が高いポリアミド樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド樹脂と、有機系の結晶核剤と、脂肪酸金属塩からなる助剤とを含み、前記結晶核剤が、炭素数が15未満の有機リン化合物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド樹脂と、
有機系の結晶核剤と、
脂肪酸金属塩からなる助剤と
を含み、
前記結晶核剤は、炭素数が15未満の有機リン化合物である
ことを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
【請求項2】
前記結晶核剤は、ヒドロキシ基及びオキソ基を持つオキソ酸構造を有する前記有機リン化合物であることを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項3】
前記結晶核剤は、少なくともオキソ基を持つエステル構造を有する前記有機リン化合物であることを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項4】
100重量部の前記ポリアミド樹脂に対して、前記結晶核剤が0.3重量部であり、前記助剤が0.1重量部であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミド樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両には多くの樹脂成形品が用いられている。このような樹脂成形品は、一般的に射出成形によって形成される。射出成形においては、溶融した樹脂を金型のキャビティに供給した後に冷却することで成形を行う。例えば、特許文献1には、このような射出成形に用いられるポリアミド樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-194841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポリアミド樹脂の化学構造にはアミド基(-CONH)が含まれており、分子鎖同士が接近することでアミド基同士の相互作用(水素結合)が発現する。この結果、分子配列が生じ、結晶構造が生成される。このようなポリアミド樹脂等の結晶性熱可塑樹脂には、結晶化を促進させるために、結晶核剤を添加する場合がある。有機系の結晶核剤としては、炭素数が15以上でかつ環状構造やエステル構造を有する結晶核剤が検討されている。しかしながら、このような結晶核剤をポリアミド樹脂に添加した場合であっても、結晶化温度を上昇させることができず、樹脂の凝固を早めることができない。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、ポリアミド樹脂よりも結晶化温度が高いポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0007】
本発明の一態様は、ポリアミド樹脂と、有機系の結晶核剤と、脂肪酸金属塩からなる助剤とを含み、上記結晶核剤が、炭素数が15未満の有機リン化合物であるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ポリアミド樹脂よりも結晶化温度が高いポリアミド樹脂組成物を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態におけるポリアミド樹脂組成物によって形成された樹脂製インテークマニホールドの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明に係るポリアミド樹脂組成物の一実施形態について説明する。
【0011】
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂と、有機系の結晶核剤と、脂肪酸金属塩からなる助剤とを含む。なお、ポリアミド樹脂組成物は、ポリアミドオリゴマを含んでもよい。
【0012】
[ポリアミド]
ポリアミド樹脂(ポリアミド)としては、例えば、環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物、二塩基酸とジアミンとの重縮合物が用いられる。具体的には、ナイロン6、ナイロン4・6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン6・12、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド、ポリ(メタキシレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(テトラメチレンイソフタルアミド)などの脂肪族-芳香族ポリアミド、およびこれらの共重合体や混合物を用いることができる。特に本実施形態のポリアミド樹脂組成物に好適なポリアミドとしてはナイロン6を用いることができる。
【0013】
[結晶核剤]
有機系の結晶核剤としては、炭素数が15未満の有機リン化合物が用いる。ポリアミドは、分子構造中にアミド基を有しており、分子鎖同士が接近することで、アミド基の相互作用(水素結合)が発現する。この結果、分子配列が促されて、結晶構造が得られる。したがって、分子鎖同士の中継ぎを担う結晶核剤が分子鎖間に入ることができなければ、結晶化温度を高めて結晶化を促進させる効果が得られない。
【0014】
炭素数が15未満の有機リン化合物であれば、ポリアミドの分子鎖間に入り込むことができる。さらに、ヒドロキシ基及びオキソ基を持つオキソ酸構造を有する有機リン酸化合物、あるいは、ヒドロキシ基及びオキソ基を持つエステル構造を有する有機リン化合物であると、ヒドロキシ基及びオキソ基と、アミド基との相互作用により分子配列が促される。この結果、炭素数が15以上の結晶核剤を用いる場合や結晶核剤を用いない場合と比較して、ポリアミド樹脂組成物の結晶化温度を上昇させることができる。ポリアミド樹脂組成物の結晶化温度が上昇することで、溶融されたポリアミド樹脂組成物が冷却される過程で高い温度で結晶化が開始される。つまり、射出成形において、ポリアミド樹脂組成物の固化を早めることができる。
【0015】
ヒドロキシ基及びオキソ基を持つオキソ酸構造を有する有機リン酸化合物としては、下記(1)式で表されるフェニルホスホン酸が挙げられる。このようなフェニルホスホン酸を結晶核剤として用いる場合には、特に限定されないが、フェニルホスホン酸の平均粒径は、例えば40μmである。
【0016】
【化1】
【0017】
ヒドロキシ基及びオキソ基を持つエステル構造を有する有機リン化合物としては、下記(2)式が表されるリン酸エステル系化合物が挙げられる。下記(2)式中のRは、ヒドロキシ基、アルキル基、または環状化合物を表し、炭素数が10以下の基である。下記(2)式中のR´は、水素、またはアルキル基を表し、炭素数が10以下の基である。下記(2)式中のR´´は、水素、またはアルキル基を表し、炭素数が10以下の基である。なお、R´とR´´とは同一であっても異なっていてもよい。結晶核剤として用いる上記有機リン化合物は、炭素数が合計で15未満とされている。
【0018】
【化2】
【0019】
本実施形態のポリアミド樹脂組成物において、このような結晶核剤の含有割合は、100重量部のポリアミド樹脂に対して、0.005~5重量部であるとよい。さらに、本実施形態のポリアミド樹脂組成物において、結晶核剤の含有割合は、100重量部のポリアミド樹脂に対して、0.3重量部であると特に好ましい。
【0020】
[脂肪酸金属塩]
脂肪酸金属塩は、例えば、炭素数10以上25未満の脂肪酸と、周期律表第I~III族の金属とから得られるものを用いることができる。特に、炭素数12以上22未満の脂肪酸が好ましい。
【0021】
脂肪酸金属塩を得るための脂肪酸としては、ステアリン酸、バルミチン酸、オレイン酸、アラギン酸、ベヘニン酸等を用いることができる。特に、脂肪酸金属塩を得るための脂肪酸としては、としては、ステアリン酸を用いることが好ましい。
【0022】
また、脂肪酸金属塩を得るための金属としては、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、リチウム、アルミニウム、バリウム等を用いることができる。特に、脂肪酸金属塩を得るための金属としては、マグネシウムが好ましい。
【0023】
脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム等を用いることができる。特に、脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸マグネシウムが好ましい。特に限定されないが、ステアリン酸マグネシウムの平均粒径は、例えば1μm~100μmである。
【0024】
本実施形態のポリアミド樹脂組成物において、このような脂肪酸金属塩の含有割合は、100重量部のポリアミド樹脂に対して、0.005~5重量部であるとよい。さらに、本実施形態のポリアミド樹脂組成物において、脂肪酸金属塩の含有割合は、0.1重量部であると特に好ましい。
【0025】
例えば、ポリアミド樹脂組成物において、結晶核剤の含有割合を100重量部のポリアミド樹脂に対して0.3重量部とし、脂肪酸金属塩の含有割合を100重量部のポリアミド樹脂に対して0.1重量部とすると、ポリアミド樹脂組成物の結晶化温度を、炭素数15以上の結晶核剤を用いた場合や結晶核剤を用いない場合と比較して、高くすることができる。
【0026】
本実施形態のポリアミド樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではない。例えば、本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド重合時に結晶核剤及び脂肪酸金属塩を添加する方法、重合後のドライブレンド及びペレット表面に結晶核剤及び脂肪酸金属塩を付着する方法、溶融混練による方法、結晶核剤や脂肪酸金属塩の濃縮物ペレットを溶融混練により作成し、その濃縮物ペレットをドライブレンドする方法等いずれの方法で製造してもよい。溶融混練の方法を採用する場合には、例えばバンバリーミキサー、ミキシングロール、単軸あるいは2軸の押出機などを使用して溶融混練することで、混合体のペレットを得ることができる。
【0027】
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、成形性、物性を損なわない程度に他の成分が添加されていてもよい。例えば、本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、上述のポリアミド以外のポリアミド成分、銅化合物、熱安定剤、耐候剤、無機充填剤、補強剤、酸化防止剤、耐衝撃性改良剤、顔料、滑剤、難燃剤等が添加されてもよい。
【0028】
このような本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、結晶化温度が高くなり、射出成形においてポリアミド樹脂組成物の固化を早めることができるため、射出成形品の形成材料に好適に用いることができる。本実施形態のポリアミド樹脂組成物を用いた射出成形品としては、例えば、図1に示すような樹脂製インテークマニホールド1が挙げられる。つまり、樹脂製インテークマニホールド1は、本実施形態のポリアミド樹脂組成物を溶融させて金型のキャビティに射出し、金型内部で本実施形態のポリアミド樹脂組成物を冷却固化させることが形成することができる。
【0029】
この他にも、本実施形態のポリアミド樹脂組成物を用いて形成できる射出成形品としては、スロットルボディのギヤ部品、ブレーキピストン等のブレーキ周辺部品、インジェクターの部品、EGRバルブの部品、ダンパー部品等のサスペション部品、パワーステアリングの部品、及び燃料ポンプモジュールの部品が挙げられる。
【0030】
また、本実施形態のポリアミド樹脂組成物を用いて形成できる射出成形品としては、スイッチ類、超小型スライドスイッチ、DIPスイッチ、スイッチのハウジング、ランプソケット、結束バンド、コネクタ、コネクタのハウジング、コネクタのシェル、ICソケット類、コイルボビン、ボビンカバー、リレー、リレーボックス、コンデンサーケース、モーターの内部部品、小型モーターケース、ギヤ、カム、ダンシングプーリー、スペーサー、インシュレーター、ファスナー、バックル、ワイヤークリップ、自転車用ホイール、キャスター、端子台、電動工具のハウジング、スターターの絶縁部分、キャニスター、ヒューズボックス、エアクリーナーケース、エアコンファン、ターミナルのハウジング、ホイールカバー、ベアリングリテーナー、シリンダーヘッドカバー、ウォターパイプインペラ、クラッチレリーズベアリングハブ、スピーカー振動板、耐熱容器、電子レンジ部品、炊飯器部品、プリンターリボンガイド等に代表される電気あるいは電子関連部品、自動車や車両の関連部品、家庭用や事務用の電気製品部品、コンピュータ関連部品、ファクシミリや複写機の関連部品、機械関連部品も挙げられる。
【0031】
以上のような本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂と、有機系の結晶核剤と、脂肪酸金属塩からなる助剤とを含む。また、結晶核剤は、炭素数が15未満の有機リン化合物である。このような本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂よりも結晶化温度が高い。
【0032】
さらに、本実施形態のポリアミド樹脂組成物においては、結晶核剤として、ヒドロキシ基及びオキソ基を持つオキソ酸構造を有する有機リン化合物を用いることができる。また、本実施形態のポリアミド樹脂組成物においては、結晶核剤として、少なくともオキソ基を持つエステル構造を有する有機リン化合物を用いることができる。
【0033】
このような本実施形態のポリアミド樹脂組成物によれば、ヒドロキシ基やオキソ基とアミド基との相互作用によって分子配列を促し、結晶化温度を上昇させることが可能となる。
【0034】
また、本実施形態のポリアミド樹脂組成物においては、100重量部のポリアミド樹脂に対して、結晶核剤が0.3重量部であり、助剤が0.1重量部であることが好ましい。このような本実施形態のポリアミド樹脂組成物によれば、結晶化温度を大幅に上昇させることができる。
【0035】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【実施例0036】
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
【0037】
本実施例では、単軸の押出機を用いてポリアミド樹脂組成物の形成材料を溶融混合しながら連続的に押出成形し、冷却装置で冷却し、引取装置で引き出した後、切断装置でペレット状に切断することで樹脂ペレットを形成した。
【0038】
また、本実施例では、樹脂ペレットをDSC-60(島津製作所製)で結晶化温度を測定した。測定温度範囲は、室温~300℃である。昇温条件は10℃/minであり、高温条件も10℃/minとした。さらに、窒素雰囲気にて測定を行った。
【0039】
(実施例1)
実施例1では、ガラス繊維が30%含まれたナイロン6をポリアミドとして用い、上記(1)式で表されるフェニルホスホン酸を結晶核剤に用い、ステアリン酸マグネシウムを脂肪酸金属塩として用いた。また、結晶核剤の含有割合を100重量部のポリアミド樹脂に対して0.3重量部とし、脂肪酸金属塩の含有割合を100重量部のポリアミド樹脂に対して0.1重量部とした。
【0040】
(実施例2)
実施例2では、ガラス繊維が30%含まれたナイロン6をポリアミドとして用い、上記(2)式で表されるリン酸エステル系化合物を結晶核剤に用い、ステアリン酸マグネシウムを脂肪酸金属塩として用いた。また、結晶核剤の含有割合を100重量部のポリアミド樹脂に対して0.3重量部とし、脂肪酸金属塩の含有割合を100重量部のポリアミド樹脂に対して0.1重量部とした。
【0041】
(比較例1)
比較例1では、ガラス繊維が30%含まれたナイロン6をポリアミドとして用い、結晶核剤及び脂肪酸金属塩を添加しなかった。
【0042】
(比較例2)
比較例2では、ガラス繊維が30%含まれたナイロン6をポリアミドとして用い、下記(3)式で表されるリン酸金属塩(炭素数が15以上の有機系の結晶核剤)を結晶核剤に用い、ステアリン酸マグネシウムを脂肪酸金属塩として用いた。また、結晶核剤の含有割合を100重量部のポリアミド樹脂に対して0.3重量部とし、脂肪酸金属塩の含有割合を100重量部のポリアミド樹脂に対して0.1重量部とした。
【0043】
【化3】
【0044】
(比較例3)
比較例3では、ガラス繊維が30%含まれたナイロン6をポリアミドとして用い、下記(4)式で表されるテルペンフェノール樹脂(炭素数が15以上の有機系の結晶核剤)を結晶核剤に用い、ステアリン酸マグネシウムを脂肪酸金属塩として用いた。また、結晶核剤の含有割合を100重量部のポリアミド樹脂に対して0.3重量部とし、脂肪酸金属塩の含有割合を100重量部のポリアミド樹脂に対して0.1重量部とした。
【0045】
【化4】
【0046】
実施例1の結晶化温度は185℃であった。実施例2の結晶化温度は178℃であった。比較例1の結晶化温度は175℃であった。比較例2の結晶化温度は173℃であった。比較例3の結晶化温度は175℃であった。
【0047】
比較例2の結晶化温度と比較例3の結晶化温度から分かるように、炭素数が15以上の有機系の結晶核剤を用いた場合には、結晶核剤及び脂肪酸金属塩を添加していない比較例1に対して、結晶化温度が下降あるいは変わらない結果となった。
【0048】
一方で、実施例1の結晶化温度と実施例2の結晶化温度から分かるように、炭素数が15未満の有機系の結晶核剤を用いた場合には、結晶核剤及び脂肪酸金属塩を添加していない比較例1に対して、結晶化温度が上昇する結果となった。
【0049】
なお、上記実施形態については、例えば以下の付記のようにも記載できる。
【0050】
(付記1)
ポリアミド樹脂と、
有機系の結晶核剤と、
脂肪酸金属塩からなる助剤と
を含み、
上記結晶核剤は、炭素数が15未満の有機リン化合物である
ことを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
【0051】
(付記2)
上記結晶核剤は、ヒドロキシ基及びオキソ基を持つオキソ酸構造を有する上記有機リン化合物であることを特徴とする付記1記載のポリアミド樹脂組成物。
【0052】
(付記3)
上記結晶核剤は、少なくともオキソ基を持つエステル構造を有する上記有機リン化合物であることを特徴とする付記1記載のポリアミド樹脂組成物。
【0053】
(付記4)
100重量部の上記ポリアミド樹脂に対して、上記結晶核剤が0.3重量部であり、上記助剤が0.1重量部であることを特徴とする付記1~3のいずれか一つに記載のポリアミド樹脂組成物。
【符号の説明】
【0054】
1……樹脂製インテークマニホールド

図1