(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164629
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20241120BHJP
B41J 2/14 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
B41J2/165 303
B41J2/14 501
B41J2/165 211
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080250
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関 洋佑
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EC57
2C056JA09
2C056JA13
2C056JB02
2C056JB04
2C056JB08
2C056JC21
2C057AF72
2C057AG25
(57)【要約】
【課題】噴射ヘッドに付着する異物を適切に除去する。
【解決手段】印刷装置は、インクを噴射するノズルが所定の間隔で複数連なって形成されているノズル面を有する噴射ヘッドと、ノズル面を清掃する清掃部と、ノズル面と清掃部とを相対的に移動させる駆動部とを備え、噴射ヘッドは、ノズル面のうちノズルが形成されたノズル領域を囲うように配置されるノズルプレートを更に有し、ノズル面とノズルプレートとの間には、ノズルプレートの厚さ分の段差が形成され、清掃部は、ノズルプレートの表面の一部を囲んで吸引する吸引部と、吸引部の内側に配置され、ノズルプレートに囲まれるノズル面を払拭する払拭部とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを噴射するノズルが所定の間隔で複数連なって形成されているノズル面を有する噴射ヘッドと、
前記ノズル面を清掃する清掃部と、
前記ノズル面と前記清掃部とを相対的に移動させる駆動部と
を備え、
前記噴射ヘッドは、前記ノズル面のうち前記ノズルが形成されたノズル領域を囲うように配置されるノズルプレートを更に有し、
前記ノズル面と前記ノズルプレートとの間には、前記ノズルプレートの厚さ分の段差が形成され、
前記清掃部は、
前記ノズルプレートの表面の一部を囲んで吸引する吸引部と、
前記吸引部の内側に配置され、前記ノズルプレートに囲まれる前記ノズル面を払拭する払拭部と
を有する
印刷装置。
【請求項2】
前記駆動部は、前記ノズル面と前記清掃部とを相対的に往復移動させて清掃動作を行わせる
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記駆動部は、前記清掃部を用いた清掃動作において、前記吸引部による吸引動作に対応する第1速度と、前記払拭部による払拭動作に対応する第2速度とで切り替えて前記ノズル面と前記清掃部とを相対的に移動させる
請求項1または請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記払拭部は、前記ノズル面に向けて先細りとなるように前記ノズル面との相対移動方向の少なくとも一方側が傾斜する
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記払拭部は、前記ノズル面と前記清掃部との相対的な往復移動により移動させられる際において、前記ノズル面の接触によって屈折する弾性材料である
請求項1または請求項2に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記払拭部は、ゴム硬度が50°乃至70°である弾性材料を用いて形成される
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記吸引部は、前記噴射ヘッドに接触する接触部を備え、
前記接触部には、少なくとも前記ノズル面のうち前記ノズルプレートに覆われていないノズル領域より幅が広い開口部が形成され、
前記払拭部は、前記開口部より幅が狭い
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記払拭部は、前記吸引部から脱着可能である
請求項1に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズル面に形成されたノズルからインクを噴射する噴射ヘッドを有する印刷装置においては、噴射ヘッドのノズル面に付着したインクを吸引する吸引部と、ノズル面に付着したインクを払拭する払拭部とを備えた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような印刷装置においては、噴射ヘッドのノズル面のうちノズルが形成されたノズル領域を囲うようにノズルプレートが設けられる場合がある。この構成では、ノズルプレートの表面とノズル面のノズル領域との間に段差が形成される。したがって、ノズル面を払拭部で直接払拭することができず、ノズル面に付着する異物を適切に除去することができない等の問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、噴射ヘッドに付着する異物を適切に除去することが可能な印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る印刷装置は、インクを噴射するノズルが所定の間隔で複数連なって形成されているノズル面を有する噴射ヘッドと、前記ノズル面を清掃する清掃部と、前記ノズル面と前記清掃部とを相対的に移動させる駆動部とを備え、前記噴射ヘッドは、前記ノズル面のうち前記ノズルが形成されたノズル領域を囲うように配置されるノズルプレートを更に有し、前記ノズル面と前記ノズルプレートとの間には、前記ノズルプレートの厚さ分の段差が形成され、前記清掃部は、前記ノズルプレートの表面の一部を囲んで吸引する吸引部と、前記吸引部の内側に配置され、前記ノズルプレートに囲まれる前記ノズル面を払拭する払拭部とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、噴射ヘッドに付着する異物を適切に除去することが可能な印刷装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る印刷装置の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図6】
図6は、清掃部による清掃動作の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、
図7のA-A断面に沿った構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る印刷装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
本実施形態では、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。当該XYZ座標系においては、インクジェットプリンタを載置する床面に平行な平面をXY平面とする。このXY平面において、後述する記録媒体2の搬送方向をX方向と表記し、XY平面上でX方向に直交する方向をY方向と表記する。また、XY平面に垂直な方向はZ方向と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が-方向であるものとして説明する。なお、本実施形態において、+Z方向を上方と表記する場合がある。
【0011】
図1は、本実施形態に係る印刷装置の一例を模式的に示す斜視図である。
図1に示す印刷装置100は、メディアMに対してインクジェット方式で印刷を行うインクジェットプリンタである。印刷装置100は、キャリッジ10と、ガイド機構20と、清掃部30と、駆動部40と、制御部50とを備える。
【0012】
キャリッジ10は、ガイド機構20に案内されてY方向(主走査方向)に往復移動可能である。キャリッジ10は、噴射ヘッド11を有する。なお、キャリッジ10は、不図示の光照射装置が設けられてもよい。
【0013】
噴射ヘッド11は、印刷領域PAのメディアMへ向けてインクを吐出する。なお、メディアMは、印刷領域PAにおいて、プラテン16に配置される。
図2は、噴射ヘッド11の一例を示す図である。
図2(A)は斜視図、
図2(B)は断面図を示している。
【0014】
図2に示すように、噴射ヘッド11は、ノズル面13を有する。ノズル面13は、例えば平面状であり、インクを噴射するノズル14が形成される。ノズル面13は、ノズル14におけるインクのメニスカスを確保するため、撥水加工が施されている。ノズル14は、例えば所定方向に複数並んだ状態で設けられる。インクとしては、例えば紫外線硬化型インクが挙げられる。紫外線硬化インクの種類としては、例えば、メディアMに形成する画像の色彩等に応じて、白色インク、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)及び黒色(K)等の着色インク、透明インク等を適宜用いることができる。紫外線硬化型インク以外のインクの場合であっても、ラテックスインク等、インクの乾燥・硬化によってノズル面に固形物が付着しやすいインクにも適宜用いることができる。例えば、噴射ヘッド11が主走査方向(Y方向)においてインクを噴射した後に払拭部32に対向する位置に到達するまでの時間を最低噴射時間とすると、インクとしては、例えばノズル面13に付着したインクの液滴が少なくとも当該最低噴射時間中に固形化するインクを用いることができる。
【0015】
噴射ヘッド11は、ノズル面13上にノズルプレート15が配置された構成である。ノズルプレート15は、ノズル面13のうち複数のノズル14が形成されたノズル領域13Rを囲うように形成される。このため、ノズル面13には、ノズル領域13Rと、ノズルプレート15の底面であるプレート面17との間に段差が形成される。段差は、例えばノズルプレート15の厚さ分だけ形成される。
【0016】
本実施形態において、噴射ヘッド11は、X方向に2つ配置される。なお、噴射ヘッド11は、X方向に1つ又は3つ以上配置された構成であってもよい。
【0017】
ガイド機構20は、キャリッジ10をY方向に案内する。ガイド機構20は、ガイドレール21を有する。ガイドレール21は、Y方向に沿って延びている。
【0018】
清掃部30は、印刷装置100のメンテナンス領域MAに設けられる。メンテナンス領域MAは、印刷領域PAに対してY方向の外側に配置される。清掃部30は、噴射ヘッド11を清掃する。
【0019】
図3から
図5は、清掃部30の一例を示す図である。
図3は斜視図、
図4は分解斜視図、
図5は断面図である。
図3から
図5に示すように、清掃部30は、吸引部31と、払拭部32と、支持部33とを有する。吸引部31及び払拭部32は、噴射ヘッド11に対応する数だけ配置される。本実施形態では、吸引部31及び払拭部32がそれぞれ2つずつ配置される。
【0020】
吸引部31は、ノズルプレート15のプレート面17の一部を囲んで吸引する。吸引部31は、フレーム部34と、吸引ノズル35とを有する。
【0021】
フレーム部34は、側壁34aと、接触部34bと、開口部34cと、収容部34dとを有する。側壁34aの上部に接触部34bが配置される。接触部34bは、XY平面に沿って配置される。接触部34bは、プレート面17と対向して配置され、清掃部30が上昇又は噴射ヘッド11が下降することでプレート面17と接触する。
【0022】
開口部34cは、Y方向に延びるように形成される。開口部34cは、噴射ヘッド11の個数に対応して、Y方向に2つ配置される。各開口部34cのY方向の寸法は、プレート面17のY方向の寸法よりも大きい。すなわち、プレート面17は、Y方向について、開口部34cの内側に収まる寸法となっている。このため、吸引部31では、プレート面17をY方向の全体に亘って吸引することができる。なお、開口部34cは、ノズル領域13RよりもY方向の寸法が大きい構成であればよく、この場合においては開口部34cのY方向の寸法がプレート面17よりも小さくてもよい。収容部34dは、各開口部34cの内側に配置される。収容部34dは、払拭部32を収容する。すなわち、払拭部32は、開口部34cより幅が狭い。
【0023】
吸引ノズル35は、フレーム部34の内部に配置される。吸引ノズル35は、開口部34c毎に設けられる。吸引ノズル35は、開口部34cの下方(-Z方向)に配置される。吸引ノズル35は、上側(+Z側)の端面35aに吸引口35bが形成される。各吸引ノズル35は、例えば不図示のポンプ等の吸引源に接続される。
【0024】
払拭部32は、噴射ヘッド11のうちノズルプレート15で囲まれたノズル面13を払拭する。払拭部32は、上記したフレーム部34の収容部34dに収容される。したがって、払拭部32は、吸引部31の開口部34cの内側に配置される。また、払拭部32は、上記した吸引ノズル35の端面35aに支持される。払拭部32は、吸引部31に対して脱着可能に設けられる。
【0025】
払拭部32は、例えばゴム材料等の弾性材料を用いて形成される。払拭部32は、例えばゴム硬度が50°乃至70°であるゴム材料等の弾性材料を用いて形成されることが好ましい。なお、ゴム硬度は、JIS規格「JIS K 6253-3」に規定される測定方法で測定した場合の値とすることができる。
【0026】
図4に示すように、払拭部32は、基部32aと、接触部32bとを有する。基部32aは、例えば矩形のブロック状に形成される。基部32aは、上記した吸引ノズル35の端面35aに載置される。接触部32bは、基部32aから+Z方向に突出する。清掃部30が上昇又は噴射ヘッド11が下降することにより、接触部32bは、ノズル面13に接触する。接触部32bは、基部32a側から先端側(+Z方向)に向けて先細りの形状となっている。接触部32bは、Y方向の両側がそれぞれ傾斜した形状となっている。
【0027】
駆動部40は、キャリッジ10と清掃部30とを移動させることで、ノズル面13と清掃部30とを相対的に移動させる。駆動部40は、第1駆動機構41及び第2駆動機構42を有する。
【0028】
第1駆動機構41は、キャリッジ10をY方向に移動させる。第1駆動機構41は、例えばモータ等の駆動源と、伝達機構とを含む構成である。第1駆動機構41駆動源で発生する駆動力により、キャリッジ10がガイドレール21に沿ってY方向に移動する。第1駆動機構41は、2つの噴射ヘッド11を一体で移動させる。
【0029】
第2駆動機構42は、清掃部30をX方向(副走査方向)に往復移動させる。第2駆動機構42は、清掃部30の移動速度を切り替えることができる。例えば、第2駆動機構42は、吸引部31により吸引動作を行う場合に適した第1速度V1と、払拭部32により払拭動作を行う場合に適した第2速度V2とで清掃部30の移動速度を切り替えることができる。第1速度V1は、第2速度V2よりも低速である。
【0030】
また、第2駆動機構42は、清掃部30をX方向の一方に移動させる場合(往路)と、清掃部30をX方向の他方に移動させる場合(復路)とで、清掃部30の移動速度を変化させることができる。例えば、第2駆動機構42は、往路において清掃部30を第1速度V1で移動させ、復路において清掃部30を第2速度V2で移動させるようにしてもよい。また、第2駆動機構42は、往路において清掃部30を第2速度V2で移動させ、復路において清掃部30を第1速度V1で移動させるようにしてもよい。
【0031】
また、第2駆動機構42は、清掃部30をZ方向(昇降方向)に往復移動させることができる。第2駆動機構42が清掃部30をZ方向に移動させることにより、吸引部31のフレーム部34をプレート面17に接触させ、払拭部32をノズル面13に接触させることができる。また、第2駆動機構42が吸引部31をZ方向に移動させることにより、フレーム部34とプレート面17との接触を解除し、払拭部32とノズル面13との接触を解除することができる。
【0032】
第2駆動機構42がフレーム部34をプレート面17に接触させ、かつ払拭部32をノズル面13に接触させた状態で、吸引ノズル35により吸引した状態で清掃部30をX方向に移動させることにより、吸引部31によるノズルプレート15の吸引動作及び払拭部32によるノズル面13の払拭動作を行うことができる。
【0033】
制御部50は、印刷装置100の各部の動作を統括的に制御する。制御部50は、駆動部40の駆動動作を制御する。制御部50は、不図示の吸引源の動作を制御することにより、吸引部31における吸引動作を制御する。
【0034】
次に、上記のように構成された印刷装置100の清掃動作について説明する。
図6は、清掃部30による清掃動作の一例を示す図である。清掃動作を行う場合、噴射ヘッド11を清掃部30の上方に移動させる。この状態から、
図6に示すように、第2駆動機構42は、噴射ヘッド11に向けて清掃部30を上昇させる。なお、第1駆動機構41により噴射ヘッド11を下方に移動させてもよい。清掃部30の上昇により、吸引部31ではフレーム部34の接触部34bがプレート面17に接触し、払拭部32では接触部32bがノズル面13に接触する。
【0035】
図7は、
図6の要部を拡大して示す図である。
図8は、
図7のA-A断面に沿った構成を示す図である。
図7及び
図8に示すように、フレーム部34の接触部34bがプレート面17に接触した状態においては、開口部34cがノズルプレート15のY方向の全体に亘って配置される。このため、吸引部31は、ノズルプレート15のY方向の全体を吸引することができる。また、払拭部32は、接触部32bがノズルプレート15の開口部分に入り込んでノズル面13に接触する。これにより、払拭部32がノズル面13を直接払拭することができる。
【0036】
この状態から、駆動部40は、噴射ヘッド11と清掃部30とをX方向に相対移動させる。以下、第2駆動機構42が清掃部30をX方向に移動させる場合を例に挙げて説明する。
【0037】
第2駆動機構42は、吸引ノズル35に吸引動作を行わせつつ、清掃部30をX方向の一方に移動させる(往路)。往路において、第2駆動機構42は、清掃部30を第1速度V1で移動させる。この移動により、吸引部31の吸引動作に適した移動速度で清掃部30がX方向の一方に移動するため、ノズルプレート15のプレート面17に付着した異物(インク、インクの凝集物等)を適切に吸引することができる。
【0038】
次に、第2駆動機構42は、吸引ノズル35に吸引動作を行わせつつ、清掃部30をX方向の他方に移動させる(復路)。復路において、第2駆動機構42は、清掃部30を第2速度V2で移動させる。この移動により、払拭部32の払拭動作に適した移動速度で清掃部30がX方向の他方に移動するため、ノズル面13に付着した異物(インク、インクの凝集物等)を適切に払拭することができる。
【0039】
なお、本実施形態では、払拭部32がゴム硬度50°乃至70°である弾性材料(例えば、ゴム材料等)を用いて形成される。この場合、第2駆動機構42は、往路と復路とで清掃部30の移動速度を変えなくてもよい。例えば、第2駆動機構42は、往路及び復路の両方で第1速度V1となるように清掃部30を移動させてもよい。また、第2駆動機構42は、往路及び復路の両方で第2速度V2となるように清掃部30を移動させてもよい。
【0040】
以上のように、本実施形態に係る印刷装置100は、インクを噴射するノズル14が所定の間隔で複数連なって形成されているノズル面13を有する噴射ヘッド11と、ノズル面13を清掃する清掃部30と、ノズル面13と清掃部30とを相対的に移動させる駆動部40とを備え、噴射ヘッド11は、ノズル面13のうちノズル14が形成されたノズル領域13Rを囲うように配置されるノズルプレート15を更に有し、ノズル面13とノズルプレート15との間には、ノズルプレート15の厚さ分の段差が形成され、清掃部30は、ノズルプレート15のプレート面17の一部を囲んで吸引する吸引部31と、吸引部31の内側に配置され、ノズルプレート15に囲まれるノズル面13を払拭する払拭部32とを有する。
【0041】
この構成によれば、吸引部31によりノズルプレート15のプレート面17を吸引することができ、払拭部32によりノズルプレート15に囲まれるノズル面13を払拭することができる。これにより、噴射ヘッド11のプレート面17及びノズル面13に付着する異物を適切に除去することが可能となる。
【0042】
本実施形態に係る印刷装置100において、駆動部40は、ノズル面13と清掃部30とを相対的に往復移動させて清掃動作を行わせる。
【0043】
この構成によれば、ノズル面13と清掃部30とを往復移動させることで、往路及び復路のそれぞれで適切に清掃動作を行うことができる。
【0044】
本実施形態に係る印刷装置100において、駆動部40は、清掃部30を用いた清掃動作において、吸引部31による吸引動作に対応する第1速度V1と、払拭部32による払拭動作に対応する第2速度V2とで切り替えてノズル面13と清掃部30とを相対的に移動させる。
【0045】
この構成によれば、吸引動作に適した第1速度V1と、払拭動作に適した第2速度V2とで切り替えて移動することで、吸引動作及び払拭動作を適切に行うことができる。
【0046】
本実施形態に係る印刷装置100において、払拭部32は、ノズル面13に向けて先細りとなるようにノズル面13との相対移動方向の少なくとも一方側が傾斜する。
【0047】
この構成によれば、相対移動方向の往路及び復路のそれぞれにおいて、払拭部32による払拭動作を適切に行うことができる。
【0048】
本実施形態に係る印刷装置100において、払拭部32は、ノズル面13と清掃部30との相対的な往復移動により移動する際において、ノズル面13の接触によって屈折する弾性材料である。
【0049】
この構成によれば、ノズル面13と清掃部30との相対的な往復移動により移動する際にノズル面13の接触によって払拭部32が屈折するため、往復移動を円滑に行うことができる。
【0050】
本実施形態に係る印刷装置100において、払拭部32は、ゴム硬度が50°乃至70°である弾性材料を用いて形成される。
【0051】
この構成によれば、清掃部30の移動速度によらず、払拭部32による払拭動作を適切に行うことができる。
【0052】
本実施形態に係る印刷装置100において、吸引部31は、噴射ヘッド11に接触する接触部34bを備え、接触部34bには、少なくともノズル領域13Rより幅が広い開口部34cが形成され、払拭部32は、開口部34cより幅が狭い。
【0053】
この構成によれば、開口部34cの幅がノズル領域13Rより広いため、ノズル領域13Rの幅方向の全体を確実に吸引できる。また、払拭部32が開口部34cより幅が狭いため、払拭部32により開口部34cの内側に配置されるノズル領域13Rを確実に払拭することができる。
【0054】
本実施形態に係る印刷装置100において、払拭部32は、吸引部31から脱着可能である。
【0055】
この構成によれば、払拭部32及び吸引部31のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0056】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態において、払拭部32の接触部32bが基部32aから先端側にかけて先細りの形状に形成された構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。接触部32bは、基部32aから先端側にかけて先細りではない柱状の構成であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
M…メディア、MA…メンテナンス領域、V1…第1速度、V2…第2速度、PA…印刷領域、2…記録媒体、10…キャリッジ、11…噴射ヘッド、13…ノズル面、13R…ノズル領域、14…ノズル、15…ノズルプレート、16…プラテン、17…プレート面、20…ガイド機構、21…ガイドレール、30…清掃部、31…吸引部、32…払拭部、32a…基部、32b,34b…接触部、33…支持部、34…フレーム部、34a…側壁、34c…開口部、34d…収容部、35…吸引ノズル、35a…端面、35b…吸引口、40…駆動部、41…第1駆動機構、42…第2駆動機構、50…制御部、100…印刷装置