(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164638
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】医療連携サービス支援装置及び医療連携サービス支援方法
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20241120BHJP
【FI】
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080264
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩本 圭司
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
5L099AA21
(57)【要約】
【課題】各高齢者の状態を様々な観点で具体的に確認、分析し、当該高齢者及びそれに関わるステークホルダーらにとって有益な情報やサービス等の適宜な提供を可能とする技術を提供する。
【解決手段】医療連携サービス支援装置100において、高齢者に関与した医療機関等が発行した情報と遠隔介護者の情報と、高齢者の状況に応じて提供するサービス等の情報を格納する記憶装置101と、高齢者の情報のうち基準に適合する特定情報を判定し、これをサービス等の情報に照合し、状況に応じて提供しうるサービス等を判定し、特定情報及びサービス等の情報を遠隔介護者の端末に有料配信し、遠隔介護者から得た情報利用料を原資として医療機関等に対する情報提供料支払の処理を実行する演算装置104を含む構成とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高齢者に関与した医療機関または事業者が発行した当該高齢者の情報と、当該高齢者の遠隔介護者の情報と、所定のサービス提供者が高齢者の状況に応じて提供するサービスないし商品の情報を格納する記憶装置と、
前記高齢者の情報のうち所定基準に適合する特定情報を判定する処理、前記特定情報を前記サービスないし商品の情報に照合し、当該特定情報が示す状況に応じて提供しうるサービスないし商品を判定する処理、前記特定情報及び前記判定したサービスないし商品の情報を、前記遠隔介護者の端末に有料配信する処理、前記遠隔介護者が前記有料配信を受けた実績に基づき、前記遠隔介護者から得た情報利用料を原資として、前記高齢者の情報を発行した前記医療機関または前記事業者に対する所定の情報提供料支払の処理を実行する演算装置と、
を含むことを特徴とする医療連携サービス支援装置。
【請求項2】
前記演算装置は、
前記遠隔介護者による前記サービスないし前記商品の利用実績に基づき、当該サービスないし商品の提供者から得た仲介手数料を原資として、前記高齢者の情報を発行した前記医療機関または前記事業者に対する所定の情報提供料支払の処理を実行するものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療連携サービス支援装置。
【請求項3】
前記演算装置は、
前記有料配信に際し、前記特定情報として、前記高齢者による前記医療機関での受診に関する情報を、前記遠隔介護者の端末に有料配信するものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療連携サービス支援装置。
【請求項4】
前記演算装置は、
前記有料配信に際し、前記受診に関する情報を前記記憶装置で保持する前記サービスないし商品の情報に照合して、当該高齢者の受診結果に応じた好適なサービスないし商品又はそれらの提供者を判定し、当該サービスないし商品又はそれらの提供者の情報を、前記遠隔介護者の端末に有料配信するものである、
ことを特徴とする請求項3に記載の医療連携サービス支援装置。
【請求項5】
前記演算装置は、
前記サービスないし商品の判定に際し、前記事業者である金融機関が発行した情報である、前記高齢者による金融取引の情報と、前記医療機関が発行した情報とに基づき、健康状態が所定の状況にある高齢者において、所定の金融取引がなされたことを感知した場合、当該高齢者について特定の疾患疑いを推定し、当該疾患疑いの状況に応じて提供しうるサービスないし商品を判定するものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療連携サービス支援装置。
【請求項6】
情報処理装置が、
高齢者に関与した医療機関または事業者が発行した当該高齢者の情報と、当該高齢者の遠隔介護者の情報と、所定のサービス提供者が高齢者の状況に応じて提供するサービスないし商品の情報を格納する記憶装置を備えて、
前記高齢者の情報のうち所定基準に適合する特定情報を判定する処理、前記特定情報を前記サービスないし商品の情報に照合し、当該特定情報が示す状況に応じて提供しうるサービスないし商品を判定する処理、前記特定情報及び前記判定したサービスないし商品の情報を、前記遠隔介護者の端末に有料配信する処理、前記遠隔介護者が前記有料配信を受けた実績に基づき、前記遠隔介護者から得た情報利用料を原資として、前記高齢者の情報を発行した前記医療機関または前記事業者に対する所定の情報提供料支払の処理を実行する、
ことを特徴とする医療連携サービス支援方法。
【請求項7】
前記情報処理装置が、
前記遠隔介護者による前記サービスないし前記商品の利用実績に基づき、当該サービスないし商品の提供者から得た仲介手数料を原資として、前記高齢者の情報を発行した前記医療機関または前記事業者に対する所定の情報提供料支払の処理を実行する、
ことを特徴とする請求項6に記載の医療連携サービス支援方法。
【請求項8】
前記情報処理装置が、
前記有料配信に際し、前記特定情報として、前記高齢者による前記医療機関での受診に関する情報を、前記遠隔介護者の端末に有料配信する、
ことを特徴とする請求項6に記載の医療連携サービス支援方法。
【請求項9】
前記情報処理装置が、
前記有料配信に際し、前記受診に関する情報を前記記憶装置で保持する前記サービスないし商品の情報に照合して、当該高齢者の受診結果に応じた好適なサービスないし商品又はそれらの提供者を判定し、当該サービスないし商品又はそれらの提供者の情報を、前記遠隔介護者の端末に有料配信する、
ことを特徴とする請求項8に記載の医療連携サービス支援方法。
【請求項10】
前記情報処理装置が、
前記サービスないし商品の判定に際し、前記事業者である金融機関が発行した情報である、前記高齢者による金融取引の情報と、前記医療機関が発行した情報とに基づき、健康状態が所定の状況にある高齢者において、所定の金融取引がなされたことを感知した場合、当該高齢者について特定の疾患疑いを推定し、当該疾患疑いの状況に応じて提供しうるサービスないし商品を判定する、
ことを特徴とする請求項6に記載の医療連携サービス支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療連携サービス支援装置及び医療連携サービス支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本においては、人口減少や高齢化が加速度的に進むと予想されており、そうした傾向は特に地方において強まる傾向にある。
また、地方で暮らす高齢者は独居であるケースも多い。そのため当該高齢者らが心身に不調を感じることがあっても、一人で各種判断を行い、医療機関等を訪れる必要がある。その場合、当該高齢者の子供や孫といった親族は都会に居住し、自身にとっての親や祖父母である高齢者の見守りやケアを的確に行うことも難しい現実がある。
【0003】
なお、健康管理に関連する従来技術としては、例えば、健康を害する可能性があるか又は害した際に、適切な時に適切な医療、又は介護が受けられるように常時、個人の健康を管理する技術(特許文献1参照)などが提案されている。
【0004】
この技術は、病院の外部に設けられるパーソナル健康管理システムにおいて、生体検査データ又は検体検査データを収集する収集手段と、前記収集手段により収集された検査データに基づいて、健康状態の異常を示す異常値を検出する異常値検出手段と、前記異常値検出手段による異常値の検出に応じて、該検出結果を前記病院に通知するための通信手段とを具備することを特徴とするパーソナル健康管理システムにかかるものである。
【0005】
また他にも、個人の健康状態を各種の健診データを健康標準モデルと各種疾病モデルとの比較に基づいて指標化し、生活習慣等の健康影響素因をパラメータとして変化させたときの健康度を評価することによって個人の健康状態を過去から将来までを可視的に表示する技術(特許文献2参照)などが提案されている。
【0006】
この技術は、被評価者の複数年に亘る健診データを入力する入力手段と、多数の健常者の複数年に亘る健診データに基づいて作成された健康標準モデル及び非健常者の複数年に亘る健診データに基づいて複数種の疾病毎に作成された疾病モデルを蓄積するモデル蓄積手段と、上記入力手段に入力された被評価者の健診データを上記健康標準モデル及び疾病モデルと比較して被評価者の複数年間の健康度を評価する評価手段と、この評価手段により評価された被評価者の健康度を可視的に出力する出力手段と、を具備していることを特徴とする健康度評価システムにかかるものである。
【0007】
また、被保険者の糖尿病(高血糖症)に関する保険リスクを適切に算定して契約保険料を決定する技術(特許文献3参照)などが提案されている。
【0008】
この技術は、通信ネットワークを介して被保険者の端末とサーバを接続して構成され、被保険者からの要求と被保険者の個人データに基づいてサーバが被保険者との保険契約のための契約保険料を決定する保険システムであって、被保険者の個人データを通信ネットワークを介して受け付ける保険契約受付部と、被保険者が受診した医療機関からの被保険者についての長期血糖コントロール指標を医療機関から受信する医療機関用受信部と、被保険者の食事管理を請け負う食事管理支援者から入手した被保険者の食事管理実績データを受信するデータ受信部と、上記受付部及び受信部から得られた個人データと長期血糖コントロール指標と食事管理実績データに応じて予め設定された料率で被保険者に対する契約保険料を決定する計算部とを上記サーバが備えることを特徴とする保険システムにかかるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9-28682号公報
【特許文献2】特開2002-63278号公報
【特許文献3】特開2011-165220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の高齢者の子供や孫らが、当該高齢者を遠隔で見守ろうと考えた場合、各種の安否確認サービス(例:インフラの使用履歴チェックや各種配達時の声かけ等によるもの)の利用は想定できる。
一方、安否確認だけではなく、より具体的に高齢者の状態を確認し、適宜に管理や支援を行うためのサービスやインフラは未だ存在しない。
【0011】
そのため、上述の子供や孫ら(以後、遠隔介護者と称する)は、地方の親や祖父母の生活、健康、資産管理といった観点での状況把握や各種支援を遠隔で行うことは困難である。
【0012】
一方、医療機関や各種事業者らにとって、高齢者やその遠隔介護者に向けた適宜なサービスや商品をタイムリーに提案することで、今後の高齢化社会における顧客や収益の獲得機会を確保することは重要である。他方、高齢者や遠隔介護者にとっても、そうした好適なサービスや商品の提案を望んでいる。
【0013】
しかしながら、上述のように、高齢者個々の状況を具体的に確認できていない現状においては、医療機関や各種事業者、高齢者やその遠隔介護者のいずれについても、そのニーズに応えるような分析も出来ていない。
【0014】
そこで本発明の目的は、各高齢者の状態を様々な観点で具体的に確認、分析し、当該高齢者及びそれに関わるステークホルダーらにとって有益な情報やサービス等の適宜な提供を可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決する本発明の医療連携サービス支援装置は、高齢者に関与した医療機関または事業者が発行した当該高齢者の情報と、当該高齢者の遠隔介護者の情報と、所定のサービス提供者が高齢者の状況に応じて提供するサービスないし商品の情報を格納する記憶装置と、前記高齢者の情報のうち所定基準に適合する特定情報を判定する処理、前記特定情報を前記サービスないし商品の情報に照合し、当該特定情報が示す状況に応じて提供しうるサービスないし商品を判定する処理、前記特定情報及び前記判定したサービスないし商品の情報を、前記遠隔介護者の端末に有料配信する処理、前記遠隔介護者が前記有料配信を受けた実績に基づき、前記遠隔介護者から得た情報利用料を原資として、前記高齢者の情報を発行した前記医療機関または前記事業者に対する所定の情報提供料支払の処理を実行する演算装置と、を含むことを特徴とする。
また、本発明の医療連携サービス支援方法は、情報処理装置が、高齢者に関与した医療機関または事業者が発行した当該高齢者の情報と、当該高齢者の遠隔介護者の情報と、所定のサービス提供者が高齢者の状況に応じて提供するサービスないし商品の情報を格納する記憶装置を備えて、前記高齢者の情報のうち所定基準に適合する特定情報を判定する処理、前記特定情報を前記サービスないし商品の情報に照合し、当該特定情報が示す状況に応じて提供しうるサービスないし商品を判定する処理、前記特定情報及び前記判定したサービスないし商品の情報を、前記遠隔介護者の端末に有料配信する処理、前記遠隔介護者が前記有料配信を受けた実績に基づき、前記遠隔介護者から得た情報利用料を原資として、前記高齢者の情報を発行した前記医療機関または前記事業者に対する所定の情報提供料支払の処理を実行する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、各高齢者の状態を様々な観点で具体的に確認、分析し、当該高齢者及びそれに関わるステークホルダーらにとって有益な情報やサービス等の適宜な提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態の医療連携サービス支援装置を含むネットワーク構成図である。
【
図2】本実施形態における医療連携サービス支援装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】本実施形態における医療データDBの構成例を示す図である。
【
図4】本実施形態における金融データDBの構成例を示す図である。
【
図5】本実施形態における商品DBの構成例を示す図である。
【
図6】本実施形態における配信実績DBの構成例を示す図である。
【
図7】本実施形態における医療連携サービス支援方法のフロー例を示す図である。
【
図8】本実施形態における医療連携サービス支援方法のフロー例を示す図である。
【
図9】本実施形態における医療連携サービス支援方法のフロー例を示す図である。
【
図10】本実施形態における画面例を示す図である。
【
図11】本実施形態における画面例を示す図である。
【
図12】本実施形態における画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<ネットワーク構成>
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本実施形態の医療連携サービス支援装置100を含むネットワーク構成図である。
図1に示す医療連携サービス支援装置100は、各高齢者の状態を様々な観点で具体的に確認、分析し、当該高齢者及びそれに関わるステークホルダーらにとって有益な情報やサービス等の適宜な提供を可能とする技術を提供するコンピュータである。
【0019】
本実施形態の医療連携サービス支援装置100は、
図1で示すように、ネットワーク1を介して、介護者端末200、高齢者端末300、医療機関システム400、金融機関システム500、及び事業者システム600と通信可能に接続されている。よって、これらを総称して医療連携サービス支援システム10としてもよい。
【0020】
本実施形態の医療連携サービス支援装置100は、高齢者に関して医療機関や各種事業者が得ているデータ(医療機関において、高齢者の受診に際して検査や診察等で得られた受診に関するデータ、金融機関において、高齢者の金融取引に際して得られたデータ)に基づく、当該高齢者の遠隔介護者に対する情報配信やサービス、商品の提案といったサービスの仲介または提供を行う装置と言える。
【0021】
勿論、医療連携サービス支援装置100の構成や機能を、医療機関システム400や金融機関システム500、事業者システム600らのいずれかが、或いは連携して実装する形態を採用してもよい。
【0022】
一方、介護者端末200は、高齢者と離れた場所に住まう介護者すなわち遠隔介護者が利用する端末で、医療連携サービス支援装置100が配信する情報の閲覧や、当該情報に基づき所定の事業者らが提供するサービス等の確認や利用に際し使用する端末である。
【0023】
具体的には、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータなどを想定できる。
【0024】
また、高齢者端末300は、高齢者が使用する端末であって、医療連携サービス支援装置100からの情報配信を受けて画面表示や音声出力などの処理を実行するものとなる。より具体的には、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータなどを想定できる。或いは、当該高齢者の生体情報(例:血圧、脈拍、心拍数、血糖値、歩数、など)を観測し、その観測値を医療データの1種として、ネットワーク1を介して医療連携サービス支援装置100とデータ授受可能な装置であってもよい。
【0025】
また、医療機関システム400は、上述の高齢者が各種検査や医師による診察、措置を受ける医療機関に備わるコンピュータシステムである。
【0026】
この医療機関システム400は、当該医療機関での各高齢者に関する検査や診察の結果を管理し、これを受診に関する情報として、一定期間ごと或いは要求に応じて医療連携サービス支援装置100に提供する。
【0027】
また、金融機関システム500は、上述の高齢者が利用する金融機関のシステムであって、顧客である高齢者の取引履歴を、各種機器(例:ATMなど)や勘定系から取得して管理し、これを金融取引の情報として、一定期間ごと或いは要求に応じて医療連携サービス支援装置100に提供する。
【0028】
また、事業者システム600は、高齢者やその遠隔介護者に対して、疾病等の治療やリハビリ、介護などに役立つサービスや商品、といったものを提供する事業者のシステムである。
【0029】
こうした事業者システム600は、上述のサービスや商品の特徴や適用対象となる疾病や症状などの情報について、医療連携サービス支援装置100に提供するものでもある。
<ハードウェア構成>
また、本実施形態の医療連携サービス支援装置100のハードウェア構成は、
図2に以下の如くとなる。
【0030】
すなわち医療連携サービス支援装置100は、記憶装置101、メモリ103、演算装置104、および通信装置105、を備える。
【0031】
このうち記憶装置101は、SSD(Solid State Drive)やハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶素子で構成される。
【0032】
また、メモリ103は、RAM(Random Access Memory)など揮発性記憶素子で構成される。
【0033】
また、演算装置104は、記憶装置101に保持されるプログラム102をメモリ103に読み出すなどして実行し装置自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なうCPU(Central processing Unit)である。
【0034】
また、通信装置105は、ネットワーク1と接続して、介護者端末200、高齢者端末300、医療機関システム400、金融機関システム500、及び事業者システム600との通信処理を担うネットワークインターフェイスカード等を想定する。
【0035】
なお、医療連携サービス支援装置100は、管理者等のユーザからのキー入力や音声入力を受け付ける入力装置、処理データの表示を行うディスプレイ等の出力装置、を更に備えるとすれば好適である。
【0036】
また、記憶装置101内には、本実施形態の医療連携サービス支援装置として必要な機能を実装する為のプログラム102に加えて、医療データDB125、金融データDB126、商品データDB127、及び配信実績DB128が少なくとも記憶されている。ただし、これらデータベースについての詳細は後述する。
<データ構造例>
続いて、本実施形態の医療連携サービス支援装置100が用いる各種情報について説明する。
図3に、本実施形態における医療データDB125の一例を示す。
【0037】
本実施形態の医療データDB125は、医療機関で検査や診断、措置等を受けた高齢者に関する医療データ(受診に関する情報)を、医療機関システム400から取得し格納したデータベースである。
【0038】
この医療データDB125は、例えば、高齢者を一意に特定する高齢者IDをキーとして、当該高齢者の属性(例:氏名、住所、連絡先、マイナンバー、遠隔介護者とその連絡先など)、及び受診履歴(例:受診先の医療機関、受診日、受診結果、処方内容、医師所見)の各データを紐付けたレコードの集合体となっている。
【0039】
また
図4に、本実施形態における金融データDB126の一例を示す。本実施形態の金融データDB126は、上述の高齢者が金融機関で行った金融取引の履歴を格納したデータベースである。
【0040】
この金融データDB126は、例えば、金融機関における上述の高齢者の顧客IDをキーとして、当該高齢者の属性(例:氏名、住所、連絡先、マイナンバー)、保有口座の金融機関、店番、科目、番号、及び取引履歴といったデータを紐付けたレコードの集合体となっている。
【0041】
なお、上述の取引履歴としては、例えば、取引の種別(例:振込、引出、預入、金融商品売買など)、内容(例:取引金額、取引対象など)、及び発生エラー(例:操作ミス、タイムアウト等)といったデータが含まれうるものとする。
【0042】
続いて
図5に、本実施形態における商品データDB127の一例を示す。本実施形態の商品データDB127は、事業者が提供しうる商品やサービスであって、高齢者やその遠隔介護者に情報提示されうるものに関する情報を格納したデータベースである。
【0043】
この商品データDB127は、例えば、商品やサービスのIDをキーとして、当該商品やサービスの名称、種類、内容、料金、適用対象となりうる疾病や症状とその基準、といったデータを紐付けたレコードの集合体となっている。
【0044】
続いて
図6に、本実施形態における配信実績DB128の構成例を示す。本実施形態の配信実績DB128は、医療連携サービス支援装置100が上述の事業者が提供しうる商品やサービスの情報を、遠隔介護者ないし高齢者に配信した実績情報を格納したデータベースである。
【0045】
なお、この実績情報には、情報配信の実績のみならず、当該情報配信を受けた遠隔介護者(或いは高齢者自身)が、情報配信の対象商品や対象サービスを利用(購入の概念含みうる)した実績についても含むものとする。この利用の実績については、事業者システム600から情報提供を受けるものとする。
【0046】
本実施形態における配信実績DB128は、例えば、配信情報の元データである医療データの提供元たる医療機関や金融取引のデータの提供元たる金融機関、の各識別情報、及び情報配信の対象商品や対象サービスのIDをキーとして、情報配信の日時、対象者(遠隔介護者や高齢者の識別情報)、配信量、対象商品や対象サービスの提供元たる事業者名、及び利用実績、といったデータを紐付けたレコードの集合体となっている。
<フロー例:データ取得>
以下、本実施形態における医療連携サービス支援方法の実際手順について図に基づき説明する。以下で説明する医療連携サービス支援方法に対応する各種動作は、医療連携サービス支援装置100がメモリ等に読み出して実行するプログラムによって実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0047】
図7は、本実施形態における医療連携サービス支援方法のフロー例を示す図であり、具体的には、高齢者に関する各種データの取得手順例を示すフロー図である。
【0048】
ここで、高齢者が訪れて医療サービスを受ける医療機関の医療機関システム400は、当該高齢者における受診に関する情報として、精密検査や健康診断の結果、そうした結果に基づく医師の所見を管理しており、これを一定期間ごと又は要求に応じて随時、医療連携サービス支援装置100に配信する。
【0049】
なお、上述の受診に関する情報である、精密検査や健康診断の結果は、例えば、医療機関での検査結果が示す、血圧、心拍、脈拍、心電図、特定物質の血中濃度などの値を想定しうる。また、医師の所見は、例えば、「認知症の疑いあり」、「○○がんの疑いあり」、「高血圧」、「細胞診要」、「24時間監視要」といった値を想定しうる。
【0050】
この場合、医療連携サービス支援装置100は、上述の医療機関システム400から、精密検査や健康診断の結果、あるいは所見の各データと当該高齢者の識別情報(高齢者IDやマイナンバーなど)を取得し(s1)、これを医療データDB125に格納する(s2)。
【0051】
同様に、上述の高齢者が訪れて金融取引を行う金融機関の金融機関システム500は、当該高齢者における金融取引の情報として、金融機関の営業店やATM(Automatic Teller Machine)において行われた、又はインターネットバンキングシステムにおいて行われた、振込、引出、預入、金融商品売買などの各種取引と、その内容(例:取引金額、取引対象など)、及び発生エラー(例:操作ミス、タイムアウト等)といった情報を管理しており、これを一定期間ごと又は要求に応じて随時、医療連携サービス支援装置100に配信する。
【0052】
この場合、医療連携サービス支援装置100は、上述の金融機関システム500から、金融取引の情報と当該高齢者の識別情報(顧客IDやマイナンバーなど)を取得し(s3)、これを金融データDB126に格納する(s4)。
【0053】
ここまでの処理により、医療データDB125及び金融データDB126において、各高齢者のレコードが登録され、データベースが適宜に構成されることとなる。
<フロー例:情報配信等>
続いて、の実際手順について説明する。
図8は、本実施形態における医療連携サービス支援方法のフロー例を示す図であり、具体的には、高齢者に関して取得・管理している各種データ(医療機関システム400や金融機関システム500から得たデータ)を適宜に処理し、好適な情報配信を行う際のフロー例である。
【0054】
この場合、医療連携サービス支援装置100は、医療データDB125及び金融データDB126にアクセスし、所定の又はそれぞれの高齢者の情報のうち、所定基準に適合する特定情報を判定する(s10)。
【0055】
なお、上述の高齢者の情報とは、当該高齢者による医療機関での受診に関する情報であり、精密検査や健康診断の結果、或いはその結果に基づく医師の所見といったものである。
【0056】
その場合、上述の所定基準とは、例えば、事業者が提供する医療や介護のサービス、商品の適用対象となる疾病や症状に関するものである。
【0057】
より具体的には、医療機関での検査結果が示す特定項目(例:特定物質の血中濃度)の値の高低や、医師の所見内容が含むキーワード(例:認知症の疑いあり)の有無、といった基準であって、投薬や手術等の治療や他者支援が必要となるレベルを示す基準と言える。
【0058】
或いは、当該高齢者が、金融機関の営業店やATM(Automatic Teller Machine)において、又はインターネットバンキングシステムにおいて実行した金融取引の情報も、上述の高齢者の情報として含みうる。
【0059】
その場合の所定基準とは、やはり事業者が提供する医療や介護のサービス、商品の適用対象となる疾病や症状に関するものである。より具体的には、金融取引の履歴等が示す特定操作(例:パスワード入力遅延や過誤)や特定事象(例:同操作の繰り返しや誤操作)の発生頻度や発生有無、といった基準であって、ある過誤や操作を一定基準以上の頻度で繰り返した場合、上述の疾病等が疑われ、投薬や手術等の治療や他者支援が必要となるレベルを示す基準と言える。
【0060】
続いて医療連携サービス支援装置100は、上述のs10で判定した特定情報を、商品DB127(サービスないし商品の情報)に照合し、当該特定情報が示す状況に応じて提供しうるサービスないし商品を判定する(s11)。
【0061】
例えば、特定情報が「認知症」に関するもの(例:医師の所見と、金融取引の過誤等の両方または少なくとも一方が認知症を示唆した)であった場合、当該認知症の症状改善に効果が期待されるリハビリサービスや投薬サービス、或いは、専門の介護サービスや介護機器といったサービスや商品が判定により特定される。
【0062】
続いて、医療連携サービス支援装置100は、s10で判定した特定情報、及びs11で判定したサービスないし商品の情報(
図10、
図11の画面1000参照)の少なくともいずれか一方を、介護者端末200又は高齢者端末300に有料配信する(s12)。
【0063】
有料配信の形態としては、特に限定しないが、例えば、1配信あたり又は単位データ量あたりの規定単価と、一定期間中の配信回数や総配信データ量とに基づいて配信料を算定し、当該配信料について、予め規定の決済手段(例:クレジットカード、電子マネー、銀行引落など)で精算するといったものを想定できる。
<フロー例:インセンティブ付与等>
続いて、上述の医療機関や金融機関等へのインセンティブ付与の実際手順について説明する。
図9は、本実施形態における医療連携サービス支援方法のフロー例を示す図であり、具体的には、高齢者に関する情報を医療連携サービス支援装置100に配信・提供した医療機関や金融機関にインセンティブを付与する処理フローの例である。
【0064】
この場合、医療連携サービス支援装置100は、上述のs12における有料配信の履歴を、配信実績DB128にて参照し、所定の遠隔介護者が有料配信を受けた実績、ないし当該有料配信を受けた情報に基づき商品やサービスを利用した実績を集計する(s20)。
【0065】
なお、上述のs20における集計は、配信実績DB128における各レコードが示す、配信量及び利用実績を、医療機関(有料配信の対象データの元となった医療データの提供元)、金融機関(有料配信の対象データの元となった金融取引データの提供元)、及び事業者名(商品やサービスの提供者)のそれぞれについて集計する処理が想定できる。
【0066】
これにより、医療機関及び金融機関のそれぞれについての一定期間中の配信量、また、事業者それぞれについての一定期間中の利用料(例:利用や購入の合計金額)が得られる。なお、医療連携サービス支援装置100は、上述の集計で得た「配信量」に対し、単位情報量あたりの規定料金を乗じることで、配信料を算定する。
【0067】
続いて、医療連携サービス支援装置100は、s20で得た集計結果のうち配信料の情報に基づき、所定の遠隔介護者から得た情報利用料を原資として、これの一定割合分について、対象となる高齢者の情報を発行した医療機関または金融機関に対する所定の情報提供料支払の処理(
図12参照)を実行する(s21)。支払の処理自体は、予め定めた手順での銀行振り込みや口座引き落としといった処理にて実行されるものとする。
【0068】
また、医療連携サービス支援装置100は、s20で得た集計結果のうち利用料に基づき、当該サービスないし商品の提供者たる事業者から得た仲介手数料を原資として、これの一定割合分について、上述の高齢者の情報を発行した医療機関または金融機関に対する情報提供料の支払を実行し(s22)、処理を終了する。
【0069】
以上、本発明を実施するための最良の形態などについて具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0070】
こうした本実施形態によれば、各高齢者の状態を様々な観点で具体的に確認、分析し、当該高齢者及びそれに関わるステークホルダーらにとって有益な情報やサービス等の適宜な提供が可能となる。
【0071】
本明細書の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。すなわち、本実施形態の医療連携サービス支援装置において、前記演算装置は、前記遠隔介護者による前記サービスないし前記商品の利用実績に基づき、当該サービスないし商品の提供者から得た仲介手数料を原資として、前記高齢者の情報を発行した前記医療機関または前記事業者に対する所定の情報提供料支払の処理を実行するものである、としてもよい。
【0072】
これによれば、医療機関や事業者が、患者や顧客である高齢者の情報を提供することに応じて、当該情報に基づき提供、利用されたサービス等に基づくインセンティブを取得することが可能となる。このことは、医療機関らにおいて、医療データ等の配信に伴う経済価値の取得を確かなものとするとともに、遠隔介護者や高齢者の側でも、そうした医療データに応じた好適なサービス等の提供を効率的に受けることが可能となる。
【0073】
また、本実施形態の医療連携サービス支援装置において、前記演算装置は、前記有料配信に際し、前記特定情報として、前記高齢者による前記医療機関での受診に関する情報を、前記遠隔介護者の端末に有料配信するものである、としてもよい。
【0074】
これによれば、高齢者となった肉親等に関して、例えば認知症や特定疾病の兆候や症状が認められるとの医療機関での診断等を、その子や孫などの遠隔介護者に対して迅速、確実に通知可能となる。こうした通知の運用は、遠方の肉親の細かな状況を感知し難い遠隔介護者にとって非常に有用であり、必要な措置等について早めに検討し的確な対応を行えることにつながる。
【0075】
また、本実施形態の医療連携サービス支援装置において、前記演算装置は、前記有料配信に際し、前記受診に関する情報を前記記憶装置で保持する前記サービスないし商品の情報に照合して、当該高齢者の受診結果に応じた好適なサービスないし商品又はそれらの提供者を判定し、当該サービスないし商品又はそれらの提供者の情報を、前記遠隔介護者の端末に有料配信するものである、としてもよい。
【0076】
これによれば、特定の疾病の診断結果や認知症等の兆候が単に通知されるだけでなく、そうした状況に対処する際に必要な或いは好適なサービスや商品の提案が遠隔介護者(ないし高齢者)になされることになる。
【0077】
また、本実施形態の医療連携サービス支援装置において、前記演算装置は、前記サービスないし商品の判定に際し、前記事業者である金融機関が発行した情報である、前記高齢者による金融取引の情報と、前記医療機関が発行した情報とに基づき、健康状態が所定の状況にある高齢者において、所定の金融取引がなされたことを感知した場合、当該高齢者について特定の疾患疑いを推定し、当該疾患疑いの状況に応じて提供しうるサービスないし商品を判定するものである、としてもよい。
【0078】
これによれば、医療機関での特定の検査結果や医師の所見を得た高齢者において、特定の行動、過誤を伴う金融取引の発生に基づき、特定の疾病や認知症等の発症を精度良く推定することが可能となり、また、これに対処する好適なサービス、商品等の提案を遠隔介護者に的確に提案可能となる。
【0079】
また、本実施形態の医療連携サービス支援方法において、前記情報処理装置が、前記遠隔介護者による前記サービスないし前記商品の利用実績に基づき、当該サービスないし商品の提供者から得た仲介手数料を原資として、前記高齢者の情報を発行した前記医療機関または前記事業者に対する所定の情報提供料支払の処理を実行する、としてもよい。
【0080】
また、本実施形態の医療連携サービス支援方法において、前記情報処理装置が、前記有料配信に際し、前記特定情報として、前記高齢者による前記医療機関での受診に関する情報を、前記遠隔介護者の端末に有料配信する、としてもよい。
【0081】
また、本実施形態の医療連携サービス支援方法において、前記情報処理装置が、前記有料配信に際し、前記受診に関する情報を前記記憶装置で保持する前記サービスないし商品の情報に照合して、当該高齢者の受診結果に応じた好適なサービスないし商品又はそれらの提供者を判定し、当該サービスないし商品又はそれらの提供者の情報を、前記遠隔介護者の端末に有料配信する、としてもよい。
【0082】
また、本実施形態の医療連携サービス支援方法において、前記情報処理装置が、前記サービスないし商品の判定に際し、前記事業者である金融機関が発行した情報である、前記高齢者による金融取引の情報と、前記医療機関が発行した情報とに基づき、健康状態が所定の状況にある高齢者において、所定の金融取引がなされたことを感知した場合、当該高齢者について特定の疾患疑いを推定し、当該疾患疑いの状況に応じて提供しうるサービスないし商品を判定する、としてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 ネットワーク
10 医療連携サービス支援システム
100 医療連携サービス支援装置
101 記憶装置
102 プログラム
103 メモリ
104 演算装置
105 通信装置
125 医療データDB
126 金融データDB
127 商品DB
128 配信実績DB
200 介護者端末
300 高齢者端末
400 医療機関システム
500 金融機関システム
600 事業者システム