(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016464
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】タンクの製造方法
(51)【国際特許分類】
B23K 31/00 20060101AFI20240131BHJP
B23K 9/00 20060101ALI20240131BHJP
B23K 26/356 20140101ALI20240131BHJP
C21D 9/00 20060101ALI20240131BHJP
C21D 9/50 20060101ALI20240131BHJP
C21D 7/06 20060101ALI20240131BHJP
C21D 1/26 20060101ALI20240131BHJP
C21D 1/34 20060101ALI20240131BHJP
C21D 1/42 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
B23K31/00 F
B23K9/00 501L
B23K26/356
C21D9/00 L
C21D9/50 101Z
C21D7/06 Z
C21D1/26 R
C21D1/34 H
C21D1/42 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118610
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】渡部 亨尚
(72)【発明者】
【氏名】久保 俊之
【テーマコード(参考)】
4E081
4E168
4K042
【Fターム(参考)】
4E081YL04
4E081YL07
4E081YX02
4E168AC02
4E168JA02
4K042AA24
4K042AA25
4K042BA09
4K042DA03
4K042DB01
4K042DB04
4K042DB08
(57)【要約】
【課題】多層盛溶接による溶接部の残留応力を効果的に低減する。
【解決手段】タンクの製造方法は、タンクを構成する鋼製の板材を継手溶接することでタンクを製造するタンクの製造方法であって、互いに対向する板材の端部同士の間に、板材の表面側に向かって複数の溶接層が順次積層されるように多層溶接を行う工程と、複数の溶接層のうち、表面側に位置する一部の溶接層に対してのみ、局所的に残留応力を低減する処理を行う工程と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクを構成する鋼製の板材を継手溶接することで前記タンクを製造するタンクの製造方法であって、
互いに対向する前記板材の端部同士の間に、前記板材の表面側に向かって複数の溶接層が順次積層されるように多層溶接を行う工程と、
複数の前記溶接層のうち、前記表面側に位置する一部の前記溶接層に対してのみ、局所的に残留応力を低減する処理を行う工程と、を含む
タンクの製造方法。
【請求項2】
前記局所的に残留応力を低減する処理を行う工程では、前記表面側に位置する一部の前記溶接層のみを除去する
請求項1に記載のタンクの製造方法。
【請求項3】
前記局所的に残留応力を低減する処理を行う工程では、前記表面側に位置する一部の前記溶接層のみにピーニング処理を施す
請求項1又は2に記載のタンクの製造方法。
【請求項4】
前記局所的に残留応力を低減する処理を行う工程では、最も前記表面側に位置する前記溶接層に対してTIG溶接により入熱する
請求項1又は2に記載のタンクの製造方法。
【請求項5】
前記局所的に残留応力を低減する処理を行う工程では、最も前記表面側に位置する前記溶接層に、レーザー光を照射する
請求項1又は2に記載のタンクの製造方法。
【請求項6】
前記局所的に残留応力を低減する処理を行う工程では、最も前記表面側に位置する前記溶接層を、最も前記表面側に位置する前記溶接層に対向させた加熱手段により加熱する
請求項1又は2に記載のタンクの製造方法。
【請求項7】
前記タンクのうち、前記多層溶接を行う工程によって多層溶接がなされる部分を含む一部の領域に対してのみ、前記局所的に残留応力を低減する処理を行う工程を実施する
請求項1又は2に記載のタンクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タンクの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼材同士を溶接により接合した場合、溶接部に引張方向の残留応力が生じる。残留応力は、溶接部の脆性破壊や応力腐食割れ等の不具合に繋がる。
特許文献1には、舶用極低温用タンクを製造する際、溶接部に、ショットピーニング処理を施す構成が開示されている。この構成では、ショットピーニング処理により、溶接部に圧縮応力を付与することで、引張方向の残留応力との相殺を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、貨物温度が-10℃以下となるような舶用の液化ガスタンクでは、脆性破壊防止の観点から、溶接後に熱処理を実施して溶接残留応力を低減することが規則上で要求される場合がある。この場合、液化ガスタンクを熱処理炉に入れて一度に溶接部の熱処理を行う手法が一般的である。しかしながら、熱処理炉のサイズの制約によって、大型の液化ガスタンクを熱処理炉によって熱処理できない場合がある。このような場合には、局所的な熱処理を行う熱処理装置など、局所的な残留応力低減処理を行う装置を用いることとなる。例えば、大型の液化ガスタンクでは、タンクの板厚が厚くなるが、溶接部の板厚方向全体に対して残留応力低減処理を行うこととなり、工期の長期化につながってしまうという課題がある。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、溶接部の残留応力を効果的に低減することができるタンクの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係るタンクの製造方法は、タンクを構成する鋼製の板材を継手溶接することで前記タンクを製造するタンクの製造方法である。前記タンクの製造方法は、多層溶接を行う工程と、局所的に残留応力を低減する処理を行う工程と、を含む。前記多層溶接を行う工程は、互いに対向する前記板材の端部同士の間に、前記板材の表面側に向かって複数の溶接層が順次積層されるように多層溶接を行う。前記局所的に残留応力を低減する処理を行う工程は、複数の前記溶接層のうち、前記表面側に位置する一部の前記溶接層に対してのみ、局所的に残留応力を低減する。
【発明の効果】
【0007】
本開示のタンクの製造方法によれば、溶接部の残留応力を効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施形態に係るタンクの製造方法により製造されるタンクの一例を示す断面図である。
【
図2】本開示の第一実施形態に係るタンクを構成する鋼製の板材同士の溶接部を示す断面図である。
【
図3】本開示の実施形態に係るタンク製造方法の手順を示すフローチャートである。
【
図4】本開示の第一実施形態に係る板材同士の溶接部において、最表層の溶接層を除去した状態を示す断面図である。
【
図5】本開示の第二実施形態に係る板材同士の溶接部を示す断面図である。
【
図6】本開示の第三実施形態に係る板材同士の溶接部を示す断面図である。
【
図7】本開示の第四実施形態に係る板材同士の溶接部を示す断面図である。
【
図8】本開示の第五実施形態に係る板材同士の溶接部を示す断面図である。
【
図9】本開示の実施形態に係る変形例における、板材同士の溶接部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第一実施形態>
以下、本開示の実施形態に係るタンクの製造方法について、
図1から
図9を参照して説明する。
(タンクの構成)
図1に示すように、この実施形態のタンクの製造方法により製造するタンク1は、例えば液化二酸化炭素等の液化ガスを貯留可能なタンクである。タンク1は、船舶の船体、洋上浮体設備の浮体本体、陸上の液化ガス貯蔵施設等に設置される。タンク1は、例えば、円筒状をなしている。タンク1は、筒状部2と、鏡板部3と、を備えている。筒状部2は、その中心軸方向Dcに延びている。この実施形態において、筒状部2は、円筒状に形成され、その中心軸方向Dcに直交する断面形状が円形をなしている。鏡板部3は、筒状部2の中心軸方向Dcの両端部にそれぞれ配置されている。各鏡板部3は、半球状で、筒状部2の中心軸方向Dcの開口を閉塞している。なお、タンク1は、円筒状に限られるものではなく、球形、方形等、他の形状であってもよい。
【0010】
図2は、本開示の第一実施形態に係るタンクを構成する鋼製の板材同士の溶接部を示す断面図である。
図2に示すように、タンク1は、複数枚の鋼製の板材20を継手溶接することによって形成されている。タンク1を構成する各板材20は、例えば、高強度調質鋼等の金属材料により形成されている。
【0011】
本実施形態において、板材20同士は、X形開先である断面X字状の開先部21Xを有している。開先部21Xは、板材20同士の対向方向Da、及び板材20の板厚方向Dtに直交する方向(
図2の紙面に直行する方向)に延びている。なお、本実施形態では、開先部21XがX形開先である場合を一例にして説明するが、X形開先に限られない。
【0012】
互いに対向する板材20の端部20aのそれぞれは、傾斜面20s、20tを有している。互いに対向する板材20の傾斜面20s同士は、板厚方向Dtの第一側Dt1の表面20fから、板厚方向Dtの中央部20cに向かって、対向方向Daにおける間隔が漸次接近するよう形成されている。互いに対向する板材20の傾斜面20t同士は、板厚方向Dtの第二側Dt2の表面20gから、板厚方向Dtの中央部20cに向かって、対向方向Daにおける間隔が漸次接近するよう形成されている。
【0013】
互いに対向する板材20の端部20a同士は、溶接部30を介して接合されている。溶接部30は、板材20の端部20a同士の間に形成されている。溶接部30は、多層溶接により形成されている。多層溶接では、互いに対向する板材20の端部20a同士の間に、溶接を複数回繰り返すことで溶接部30が形成される。多層溶接は、1回あたりの溶接時における板材20への入熱量を抑える場合に好適である。
【0014】
溶接部30は、複数の溶接層31を有している。本実施形態において、複数の溶接層31は、板厚方向Dtの中央部20cから板厚方向Dtの第一側Dt1に形成された五つの溶接層311~315と、板厚方向Dtの中央部20cから板厚方向Dtの第二側Dt2に形成された五つの溶接層316~320と、を有している。なお、複数の溶接層31の層数は、板材20の板厚等によって設定されるものであり、適宜変更可能である。
【0015】
本実施形態において、板材20の板厚方向Dtにおける厚さは、例えば、10~100mm程度である。
【0016】
溶接層311~315は、板厚方向Dtの中央部20cから板厚方向Dtの第一側Dt1の表面20fに向かって順に積層されている。溶接層311~315のうち、最も板厚方向Dtの第一側Dt1に位置する溶接層315は、板材20の表面20fに対し、板厚方向Dtの第一側Dt1に突出するように盛り上がっている。本実施形態で例示する溶接層315は、板材20の表面20fよりも板厚方向第一側Dt1に形成されている。
【0017】
溶接層316~320は、板厚方向Dtの中央部20cから板厚方向Dtの第二側Dt2の表面20gに向かって順に積層されている。溶接層316~320のうち、最も板厚方向Dtの第二側Dt2に位置する溶接層320は、板材20の表面20gに対し、板厚方向Dtの第二側Dt2に突出するように盛り上がっている。本実施形態で例示する溶接層320は、板材20の表面20gよりも板厚方向第二側Dt2に形成されている。
【0018】
(タンク製造方法の手順)
図3は、本開示の実施形態に係るタンク製造方法の手順を示すフローチャートである。
図3に示すように、本開示の実施形態に係るタンク1の製造方法S10は、多層溶接を行う工程S11と、局所的に残留応力を低減する処理を行う工程S12と、を含んでいる。
【0019】
多層溶接を行う工程S11では、
図2に示すように、互いに対向する板材20の端部20a同士の間に、多層溶接を行い、板材20同士を接合する。具体的には、板厚方向Dtの第一側Dt1から、互いに対向する板材20の傾斜面20s同士の間で、溶接部の延びる方向(
図2において紙面に直交する方向)に溶接を複数回繰り返すことで、溶接層311~315を順次積層して形成する。このとき、溶接層311~315のうち、最後に溶接することで形成される、板厚方向Dtにおいて最も第一側Dt1側(最も表面20f側)に位置する最表層の溶接層315は、表面20fから板厚方向Dtの第一側Dt1に盛り上がるように形成する。
また、板厚方向Dtの第二側Dt2から、互いに対向する板材20の傾斜面20t同士の間で、溶接部の延伸方向(
図2において紙面に直交する方向)に沿って溶接を複数回繰り返すことで、溶接層316~320を順次積層して形成する。このとき、溶接層316~320のうち、最後に溶接することで形成される、板厚方向Dtにおいて最も第二側Dt2側(最も表面20g側)に位置する最表層の溶接層320は、表面20gから板厚方向Dtの第二側Dt2に盛り上がるように形成する。
【0020】
このようにして、板材20同士を接合する。これにより、互いに対向する板材20の端部20a同士の間に、複数の溶接層31が積層された溶接部30が形成される。複数の溶接層31のうち、板厚方向Dtの第一側Dt1で最後に形成される最表層の溶接層315と、板厚方向Dtの第二側Dt2で最後に形成される最表層の溶接層320と、には、残留応力が生じている。複数の溶接層31のうち、他の溶接層311~314、及び溶接層316~319は、後から他の溶接層31が形成される際の入熱によって、残留応力が緩和されている。
【0021】
局所的に残留応力を低減する処理を行う工程S12では、工程S11で形成された溶接部30に対し、局所的に残留応力を低減する処理を行う。この工程S12では、局所的に残留応力を低減する処理を、タンク1の全体ではなく、溶接部30のみを対象として実施する。この工程S12では、局所的に残留応力を低減する処理として、複数の溶接層31のうち、表面20f側、及び表面20g側に位置する一部の溶接層31に対してのみ、局所的に残留応力を低減する処理を行う。局所的に残留応力を低減する処理では、表面20f側、及び表面20g側に位置する一部の溶接層31における残留応力を、所定のレベル(例えば、鋼材の降伏応力の50%以下)まで低減するのが好ましい。
【0022】
図4は、本開示の第一実施形態に係る板材同士の溶接部において、最表層の溶接層を除去した状態を示す断面図である。
具体的には、
図4に示すように、溶接部30の板厚方向Dtの第一側Dt1において、板材20の表面20f側に位置する一部の溶接層31のみを除去する。本実施形態では、溶接部30において、表面20fよりも板厚方向Dtの第一側Dt1に盛り上がった溶接層315を切除する。溶接層315の切除は、例えばグラインダー等の手動工具により行うことができる。また、溶接部30の板厚方向Dtの第二側Dt2において、板材20の表面20g側に位置する一部の溶接層31のみを除去する。本実施形態では、溶接部30において、表面20gよりも板厚方向Dtの第二側Dt2に盛り上がった溶接層320を切除する。溶接層320の切除も、上記と同様に例えばサンダー等の手動工具により行うことができる。これにより、他の溶接層31の形成による入熱がなされずに残留応力が緩和されていない溶接層315及び溶接層320が除去される。
【0023】
(作用効果)
上記実施形態のタンク1の製造方法S10では、溶接部30の複数の溶接層31のうち、板材20の表面20f,20g側にそれぞれ位置する一部の溶接層315,320の残留応力を低減する処理をしている。その一方で、溶接層315,320以外の他の溶接層311~314,316~319に対しては、板材20の表面20f,20g側にそれぞれ位置する一部の溶接層315,320のように残留応力を低減する処理を実施していない。その結果、多層盛溶接による溶接部30において、残留応力を効果的に低減することができる。
【0024】
また、上記実施形態では、板材20の表面20f,20g側に位置する一部の溶接層315,320のみを局所的に除去することによって、溶接部30に生じている局所的な残留応力を低減することができる。
【0025】
また、上記実施形態では、多層溶接を行う工程S11によって多層溶接がなされる部分を含む一部の領域に対してのみ、局所的に残留応力を低減する処理を行う工程S12を実施している。これにより、タンク1の全体を対象として残留応力を低減する処理を実施する必要がなくなる。したがって、残留応力を低減するために、タンク1の全体が収容可能な炉等を用意する必要がなくなる。さらに、上記実施形態では、局所的な熱処理を行わないので、タンク1を製造するための工期を短縮することができる。その結果、大型のタンク1であっても、残留応力を有効に低減することができる。
さらに、熱処理を行わないことで、溶接部30における靱性低下や強度低下を抑えることができる。その結果、板材20に高強度材を活用することができ、タンク1の重量を低減することができる。
【0026】
<第二実施形態>
次に、本開示に係るタンクの製造方法の第二実施形態について説明する。以下に説明する第二実施形態においては、第一実施形態と、局所的に残留応力を低減する工程の構成のみが異なるので、
図1、
図3を援用して第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
(タンクの製造方法の手順)
図3に示すように、本開示の実施形態に係るタンク1の製造方法S20は、多層溶接を行う工程S11と、局所的に残留応力を低減する処理を行う工程S22と、を含む。
【0027】
図5は、本開示の第二実施形態に係る板材同士の溶接部を示す断面図である。
本実施形態における、局所的に残留応力を低減する処理を行う工程S22では、
図5に示すように、工程S11で形成された溶接部30に対し、局所的に残留応力を低減する処理を行う。この工程S22では、局所的に残留応力を低減する処理を、タンク1の全体ではなく、溶接部30のみを対象として実施する。この工程S22では、局所的に残留応力を低減する処理として、複数の溶接層31のうち、表面20f側、及び表面20g側に位置する一部の溶接層31に対してのみ、局所的に残留応力を低減する処理を行う。局所的に残留応力を低減する処理では、表面20f側、及び表面20g側に位置する一部の溶接層31における残留応力を、所定のレベル(例えば、鋼材の降伏応力の50%以下)まで低減するのが好ましい。
【0028】
この第二実施形態における、局所的に残留応力を低減する処理を行う工程S22では、板厚方向Dtにおいて、板材20の表面20f,20g側に位置する一部の溶接層31のみに対し、ピーニング処理を施す。より具体的には、この第二実施形態では、溶接部30において、板厚方向Dtにおいて最も第一側Dt1に位置する溶接層315の表面315fに対し、ピーニング処理を施す。また、溶接部30の板厚方向Dtにおいて、最も第二側Dt2に位置する溶接層320の表面320fに対し、ピーニング処理を施す。ピーニング処理は、例えば、ニードルピーニングにより行う。溶接層315に対するピーニング処理は、ニードルピーニングのニードルPによる圧力の影響が、他の溶接層311~314に及ぶのをなるべく抑え、残留応力の高い溶接層315に集中するような条件で行うのが好ましい。溶接層320に対するピーニング処理は、ニードルピーニングのニードルPによる圧力の影響が、他の溶接層316~319に及ぶのをなるべく抑え、残留応力の高い溶接層320に集中するような条件で行うのが好ましい。これにより、溶接層315、及び溶接層320にそれぞれ生じている残留応力が低減される。
【0029】
(作用効果)
上記実施形態のタンク1の製造方法S20では、板材20の表面20f,20g側に位置する一部の溶接層31(315,320)のみにピーニング処理を施すことによって、板材20の表面20f,20g側に位置する一部の溶接層31(315,320)の残留応力を低減することができる。
【0030】
また、上記実施形態のタンク1の製造方法S20においても、上記第一実施形態と同様、複数の溶接層31のうち、板材20の表面20f,20g側に位置する一部の溶接層31(315,320)の残留応力を低減することで、多層盛溶接による溶接部30の残留応力を効果的に低減することができる。
【0031】
<第三実施形態>
次に、本開示に係るタンク1の製造方法の第三実施形態について説明する。以下に説明する第三実施形態においては、第一、第二実施形態と、局所的に残留応力を低減する工程の構成のみが異なるので、
図1、
図3を援用し、第一、第二実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
(タンク製造方法の手順)
図3に示すように、この第三実施形態に係るタンク1の製造方法S30は、多層溶接を行う工程S11と、局所的に残留応力を低減する処理を行う工程S32と、を含んでいる。
【0032】
本実施形態における、局所的に残留応力を低減する処理を行う工程S32では、工程S11で形成された溶接部30に対し、局所的に残留応力を低減する処理を行う。この工程S32では、局所的に残留応力を低減する処理を、タンク1の全体ではなく、溶接部30のみを対象として実施する。この工程S32では、局所的に残留応力を低減する処理として、複数の溶接層31のうち、表面20f側、及び表面20g側に位置する一部の溶接層31に対してのみ、局所的に残留応力を低減する処理を行う。局所的に残留応力を低減する処理では、表面20f側、及び表面20g側に位置する一部の溶接層31における残留応力を、所定のレベル(例えば、鋼材の降伏応力の50%以下)まで低減する。
【0033】
図6は、本開示の第三実施形態に係る板材同士の溶接部を示す断面図である。
図6に示すように、本実施形態では、具体的には、板厚方向Dtにおいて板材20の表面20f,20g側に位置する一部の溶接層31に入熱するべく、TIG溶接層35を形成する。本実施形態において、TIG溶接層35は、板厚方向Dtにおいて最も第一側Dt1に位置する最表層の溶接層315を覆うTIG溶接層351と、板厚方向Dtにおいて最も第二側Dt2に位置する最表層の溶接層320を覆うTIG溶接層352と、を有している。TIG溶接層351の厚さT1は、最表層の溶接層315の板厚方向Dtにおける厚さT2よりも小さい。TIG溶接層352の厚さT3は、最表層の溶接層320の板厚方向Dtにおける厚さT4よりも小さい。TIG溶接層351,352は、TIG(Tungsten Inert Gas)溶接により形成される。なお、TIG溶接層351,352の施工位置、厚み等は、上記したものに限られず、TIG溶接層351,352の存在による残留応力が問題とならないように適宜管理すればよい。例えば、TIG溶接層351,352の残留応力が問題となる場合には、TIG溶接後にTIG溶接層351,352を切除するようにしてもよい。
【0034】
TIG溶接層351を形成する際の溶接時の入熱により、溶接層315の残留応力が低減される。TIG溶接層351を形成する際の溶接は、溶接による入熱の影響が、他の溶接層311~314に及ぶのをなるべく抑え、残留応力の高い溶接層315に集中するような条件で行うのが好ましい。
また、TIG溶接層352を形成する際の溶接時の入熱により、溶接層320の残留応力が低減される。TIG溶接層352を形成する際の溶接は、溶接による入熱の影響が、他の溶接層316~319に及ぶのをなるべく抑え、残留応力の高い溶接層320に集中するような条件で行うのが好ましい。
【0035】
(作用効果)
上記実施形態のタンク1の製造方法S30では、最も表面20f,20g側に位置する溶接層31(315,320)の残留応力が所定のレベルまで低減する熱を、TIG溶接層351,352を形成するTIG溶接により付与している。これにより、板材20の表面20f,20g側に位置する一部の溶接層315,320の残留応力を低減することができる。また、TIG溶接によりTIG溶接層35を形成した場合、TIG溶接層35は、溶接層315,320よりも薄く形成することができると共に、十分な入熱が可能であるため、最も表面20f,20g側に位置する溶接層31(315,320)に対して、局所的に残留応力を低減しつつTIG溶接層35に生じる引張方向の残留応力を小さく抑えることができる。したがって、最終的に溶接部30における残留応力を低減させることができる。
【0036】
また、上記実施形態のタンク1の製造方法S30においても、上記第一、第二実施形態と同様、多層盛溶接による溶接部30の残留応力を効果的に低減することができる。
【0037】
<第四実施形態>
次に、本開示に係るタンク1の製造方法の第四実施形態について説明する。以下に説明する第四実施形態においては、第一実施形態から第三実施形態と、局所的に残留応力を低減する工程の構成のみが異なるので、
図1、
図3を援用し、第一実施形態から第三実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
(タンク製造方法の手順)
図3に示すように、第四実施形態に係るタンク1の製造方法S40は、多層溶接を行う工程S11と、局所的に残留応力を低減する処理を行う工程S42と、を含む。
【0038】
本実施形態における、局所的に残留応力を低減する処理を行う工程S42では、工程S11で形成された溶接部30に対し、局所的に残留応力を低減する処理を行う。この工程S42では、局所的に残留応力を低減する処理を、タンク1の全体ではなく、溶接部30のみを対象として実施する。この工程S42では、局所的に残留応力を低減する処理として、複数の溶接層31のうち、表面20f側、及び表面20g側に位置する一部の溶接層31に対してのみ、局所的に残留応力を低減する処理を行う。局所的に残留応力を低減する処理では、表面20f側、及び表面20g側に位置する一部の溶接層31における残留応力を、所定のレベル(例えば、鋼材の降伏応力の50%以下)まで低減するのが好ましい。
【0039】
図7は、本開示の第四実施形態に係る板材同士の溶接部を示す断面図である。
図7に示すように、本実施形態では、具体的には、板厚方向Dtにおいて板材20の表面20f,20g側に位置する一部の溶接層31に対し、レーザー光Lbを照射する。本実施形態において、レーザー光Lbは、板厚方向Dtの第一側Dt1から、板厚方向Dtにおいて最も第一側Dt1に位置する最表層の溶接層315に対して照射される。また、レーザー光Lbは、板厚方向Dtの第二側Dt2から、板厚方向Dtにおいて最も第二側Dt2に位置する最表層の溶接層320に対して照射される。レーザー光Lbの照射は、レーザー光Lbを照射するレーザー照射部(図示せず)を、溶接部30の溶接部の延びる方向(
図7において紙面に直交する方向)に順次移動させて行う。溶接層315,320に対するレーザー光Lbの照射は、例えば、ガルバノミラーを用いてレーザー光Lbを走査可能なレーザー装置(言い換えれば、スキャナーレーザー装置)を用いることができる。なお、レーザー装置としては、例えば、レーザー溶接を行うための溶接装置を用いてもよい。
【0040】
レーザー光Lbが照射されることによって、溶接層315,320が加熱され、溶接層315,320の残留応力が低減される。レーザー光Lbの照射は、レーザー光Lbの照射による加熱の影響が、他の溶接層311~314,316~319に及ぶのをなるべく抑え、残留応力の高い溶接層315、320に集中するような条件で行うのが好ましい。
【0041】
(作用効果)
上記実施形態のタンク1の製造方法S40では、最も表面20f,20g側に位置する溶接層315,320に、レーザー光Lbを照射することによって、板材20の表面20f,20g側に位置する一部の溶接層315,320の残留応力を局所的に低減することができる。また、レーザー光Lbの照射による加熱は、溶接部30の板厚方向Dtの一部である最表層の溶接層315,320を対象として行う。このため、加熱を、溶接部30の板厚方向Dtの全体に行う必要が無く、必要とされる熱エネルギーが少なくて済む。したがって、溶接部30に生じている局所的な残留応力を、より容易、かつ低コストで低減することができる。
【0042】
また、上記実施形態のタンク1の製造方法S40においても、上記第一実施形態から第三実施形態と同様、多層盛溶接による溶接部30の残留応力を効果的に低減することができる。
【0043】
<第五実施形態>
次に、本開示に係るタンク1の製造方法の第五実施形態について説明する。以下に説明する第五実施形態においては、第一実施形態から第四実施形態と、局所的に残留応力を低減する工程の構成のみが異なるので、
図1、
図3を援用し、第一実施形態から第四実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
(タンク製造方法の手順)
図3に示すように、第五実施形態に係るタンク1の製造方法S50は、多層溶接を行う工程S11と、局所的に残留応力を低減する処理を行う工程S52と、を含んでいる。
【0044】
本実施形態における、局所的に残留応力を低減する処理を行う工程S52では、工程S11で形成された溶接部30に対し、局所的に残留応力を低減する処理を行う。この工程S52では、局所的に残留応力を低減する処理を、タンク1の全体ではなく、溶接部30のみを対象として実施する。この工程S52では、局所的に残留応力を低減する処理として、複数の溶接層31のうち、表面20f側、及び表面20g側に位置する一部の溶接層31に対してのみ、局所的に残留応力を低減する処理を行う。
【0045】
図8は、本開示の第五実施形態に係る板材同士の溶接部を示す断面図である。
図8に示すように、この第五実施形態では、板厚方向Dtにおいて板材20の表面20f,20g側に位置する一部の溶接層31を、加熱手段50により加熱する。本実施形態において、加熱手段50は、板厚方向Dtの第一側Dt1から、板厚方向Dtにおいて最も第一側Dt1に位置する最表層の溶接層315を加熱する。また、加熱手段50は、板厚方向Dtの第二側Dt2から、板厚方向Dtにおいて最も第二側Dt2に位置する最表層の溶接層320を加熱する。加熱手段50としては、例えば、パネルヒーター、高周波加熱装置等を用いることができる。加熱手段50による加熱は、加熱手段50を溶接部30の延びる方向(
図8において紙面に直交する方向)に順次移送させて行う。
【0046】
加熱手段50による加熱によって、溶接層315,320の残留応力が低減される。加熱手段50による加熱は、加熱手段50による加熱の影響が、他の溶接層311~314,316~319に及ぶのをなるべく抑え、残留応力の高い溶接層315、320に集中するような条件で行うのが好ましい。
【0047】
(作用効果)
上記実施形態のタンク1の製造方法S50では、最も表面20f,20g側に位置する溶接層315,320を、最も表面20f,20g側に位置する溶接層315,320に対向させた加熱手段50により加熱することで、板材20の表面20f,20g側に位置する一部の溶接層315,320の残留応力を低減することができる。また、加熱手段50による加熱は、溶接部30の板厚方向Dtの一部である最表層の溶接層315,320を対象として行えばよいため、加熱を、溶接部30の板厚方向Dtの全体に行う必要が無く、必要とされる熱エネルギーが少なくて済む。したがって、溶接部30に生じている局所的な残留応力を、より容易、かつ低コストで低減することができる。
【0048】
また、上記実施形態のタンク1の製造方法S50においても、上記第一実施形態から第四実施形態と同様、多層盛溶接による溶接部30の残留応力を効果的に低減することができる。
【0049】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上記実施形態では、開先部21Xを断面X字状としたが、これに限られない。例えば、
図9に示すように、開先部21Vを断面V字状としてもよい。溶接部30Vは、板厚方向Dtの第二側Dt2から第一側Dt1に向かって、複数の溶接層31として、溶接層321~327が積層される。この場合、最も表面20f側に位置する溶接層327の残留応力を低減する。これにより、多層盛溶接による溶接部30Vにおいて、局所的に生じている最表層の溶接層327の残留応力を効果的に低減することができる。
【0050】
また、上記第一実施形態から第六実施形態で示した構成を適宜組み合わせることも可能である。例えば、上記第一実施形態、及び第三実施形態から第六実施形態で示した構成に、上記第二実施形態で示したピーニング処理を組み合わせて実施するようにしてもよい。
【0051】
<付記>
各実施形態に記載のタンク1の製造方法S10,S20,S30,S40,S50は、例えば以下のように把握される。
【0052】
(1)第1の態様に係るタンク1の製造方法S10,S20,S30,S40,S50は、タンク1を構成する鋼製の板材20を継手溶接することで前記タンク1を製造するタンク1の製造方法S10であって、互いに端部20a同士が対向する前記板材20同士の間に、前記板材20の表面20f,20g側に向かって複数の溶接層31が順次積層されるように多層溶接を行う工程S11と、複数の前記溶接層31のうち、前記表面20f,20g側に位置する一部の前記溶接層31に対してのみ、局所的に残留応力を低減する処理を行う工程S12と、を含む。
【0053】
このタンク1の製造方法S10,S20,S30,S40,S50は、複数の溶接層31のうち、板材20の表面20f,20g側に位置する一部の溶接層31の残留応力を低減することができる。一方、板材20の表面20f,20g側に位置する一部の溶接層31以外の他の溶接層31に対しては、残留応力を低減する処理による影響を抑えることができる。その結果、多層盛溶接による溶接部30の残留応力を効果的に低減することができる。
【0054】
(2)第2の態様に係るタンク1の製造方法S10は、(1)のタンク1の製造方法S10であって、前記局所的に残留応力を低減する処理を行う工程S12では、前記表面20f,20g側に位置する一部の前記溶接層31のみを除去する。
【0055】
これにより、板材20の表面20f,20g側に位置する一部の溶接層31のみを除去することによって、前記表面20f,20g側に位置する一部の前記溶接層31における、残留応力を局所的に低減することができる。
【0056】
(3)第3の態様に係るタンク1の製造方法S20は、(1)又は(2)のタンク1の製造方法S20であって、前記局所的に残留応力を低減する処理を行う工程S22では、前記表面20f,20g側に位置する一部の前記溶接層31のみにピーニング処理を施す。
【0057】
これにより、板材20の表面20f,20g側に位置する一部の溶接層31のみにピーニング処理を施すことによって、板材20の表面20f,20g側に位置する一部の溶接層31の残留応力を局所的に低減することができる。
【0058】
(4)第4の態様に係るタンク1の製造方法S30は、(1)から(3)の何れか一つのタンク1の製造方法S30であって、前記局所的に残留応力を低減する処理を行う工程S32では、最も前記表面20f,20g側に位置する前記溶接層31に対してTIG溶接により入熱する。
【0059】
このような構成では、最も表面20f,20g側に位置する溶接層31に対してTIG溶接により入熱することによって、板材20の表面20f,20g側に位置する一部の溶接層31の残留応力を局所的に低減することができる。
【0060】
(5)第5の態様に係るタンク1の製造方法S40は、(1)から(4)の何れか一つのタンク1の製造方法S40であって、前記局所的に残留応力を低減する処理を行う工程S42では、最も前記表面20f,20g側に位置する前記溶接層31に、レーザー光Lbを照射する。
【0061】
これにより、最も表面20f,20g側に位置する溶接層31に、レーザー光Lbを照射することによって、板材20の表面20f,20g側に位置する一部の溶接層31の残留応力を局所的に低減することができる。
【0062】
(6)第6の態様に係るタンク1の製造方法S50は、(1)から(5)の何れか一つのタンク1の製造方法S50であって、前記局所的に残留応力を低減する処理を行う工程S52では、最も前記表面20f,20g側に位置する前記溶接層31を、最も前記表面20f,20g側に位置する前記溶接層31に対向させた加熱手段50により加熱する。
加熱手段50とは、パネルヒーター、高周波加熱装置である。
【0063】
これにより、最も表面20f,20g側に位置する溶接層31を、最も表面20f,20g側に位置する溶接層31に対向させた加熱手段50により加熱することで、板材20の表面20f,20g側に位置する一部の溶接層31の残留応力を局所的に低減することができる。
【0064】
(7)第7の態様に係るタンク1の製造方法S10,S20,S30,S40,S50は、(1)から(6)の何れか一つのタンク1の製造方法S10,S20,S30,S40,S50であって、前記タンク1のうち、前記多層溶接を行う工程S11によって多層溶接がなされる部分を含む一部の領域に対してのみ、前記局所的に残留応力を低減する処理を行う工程S12,S22,S32,S42,S52を実施する。
【0065】
これにより、タンク1において、多層溶接がなされる部分である溶接部30を含む一部の領域に対してのみ、局所的に残留応力を低減する処理を行う。これにより、タンク1の全体を対象として残留応力を低減する必要がなくなる。したがって、残留応力を低減するために、タンク1の全体が収容可能な炉等を用意する必要がなくなる。また、熱処理を行わないので、タンク1を製造するための工期を短縮することができる。その結果、大型のタンク1であっても、残留応力を有効に低減することができる。
さらに、熱処理を行わないことで、溶接部30における靱性低下や強度低下を抑えることができる。その結果、板材20に高強度材を活用することができ、タンク1の重量を低減することができる。
【符号の説明】
【0066】
1…タンク 2…筒状部 3…鏡板部 20…板材 20a…端部 20c…中央部 20f,20g…表面 20s,20t…傾斜面 21X,21V…開先部 30,30F,30V…溶接部 31,311~315,315F,316~320,320F,321~327…溶接層 35,351,352…TIG溶接層 50…加熱手段
Da…対向方向 Dc…中心軸方向 Dt…板厚方向 Dt1…第一側 Dt2…第二側 Lb…レーザー光 S10,S20,S30,S40,S50…タンクの製造方法 S11…多層溶接を行う工程 S12,S22,S32,S42,S52…局所的に残留応力を低減する処理を行う工程 T1,T2,T3,T4…厚さ