(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164657
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】移動体制御システム、移動体制御装置、移動体制御方法、及び移動体制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241120BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/09 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080302
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】望月 俊助
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA27
5H181BB04
5H181BB13
5H181CC02
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC24
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】移動体同士の相対的な走行を移動体間で情報通信することなく制御する。
【解決手段】第1移動体制御装置(10)は、第1移動体(100)が走行する路面に対して、第1移動体の走行情報に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表すオブジェクト(30)を照射する制御を行う照射制御部(11A)を備える。第2移動体制御装置(20)は、路面に照射されたオブジェクト30を検知する検知部(21B)と、検知部により検知されたオブジェクト(30)に基づいて、第1移動体に対する第2移動体の相対的な走行を制御する走行制御部(21C)と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1移動体(100)に搭載された第1移動体制御装置(10)と、
第2移動体(200)に搭載された第2移動体制御装置(20)と、
を含む移動体制御システム(300)であって、
前記第1移動体制御装置は、
前記第1移動体が走行する路面に対して、前記第1移動体の走行情報に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表すオブジェクト(30)を照射する制御を行う照射制御部(11A)、
を備え、
前記第2移動体制御装置は、
前記路面に照射された前記オブジェクトを検知する検知部(21B)と、
前記検知部により検知された前記オブジェクトに基づいて、前記第1移動体に対する前記第2移動体の相対的な走行を制御する走行制御部(21C)と、
を備えた移動体制御システム。
【請求項2】
前記走行情報は、前記第1移動体と前記第2移動体とのすれ違い行動を示す情報を含み、
前記オブジェクトは、前記すれ違い行動に応じた前記線の形態及び位置の少なくとも一方を表す、
請求項1に記載の移動体制御システム。
【請求項3】
前記第2移動体制御装置の前記走行制御部は、前記オブジェクトが表す、前記すれ違い行動に応じた前記線の形態及び位置の少なくとも一方に基づいて、前記第1移動体に対する前記第2移動体の相対的なすれ違い行動を制御する、
請求項2に記載の移動体制御システム。
【請求項4】
前記走行情報は、前記第1移動体の回避行動を示す情報を含み、
前記オブジェクトは、前記回避行動に応じた前記線の形態及び位置の少なくとも一方を表す、
請求項1に記載の移動体制御システム。
【請求項5】
前記第2移動体制御装置の前記走行制御部は、前記オブジェクトが表す、前記回避行動に応じた前記線の形態及び位置の少なくとも一方に基づいて、前記第1移動体に対する前記第2移動体の相対的な回避行動を制御する、
請求項4に記載の移動体制御システム。
【請求項6】
前記走行情報は、前記第1移動体の進行方向を示す情報を含み、
前記オブジェクトは、前記第1移動体の進行方向に応じて前記線の形態が異なる複数の線を表す、
請求項1に記載の移動体制御システム。
【請求項7】
前記走行情報は、前記第1移動体の走行範囲を示す情報を含み、
前記オブジェクトは、前記第1移動体の走行範囲に応じて前記線の位置が異なる複数の線を表す、
請求項1に記載の移動体制御システム。
【請求項8】
前記走行情報は、前記第1移動体の予定進路上にある障害物に関する情報を含み、
前記オブジェクトは、前記障害物に応じた前記線の形態及び位置の少なくとも一方を表す、
請求項1に記載の移動体制御システム。
【請求項9】
前記走行情報は、前記第1移動体の移動速度で所定時間以内に到達可能な地点までの区間を分割して得られた複数の領域に関する情報を含み、
前記オブジェクトは、前記複数の領域に応じた前記線の形態及び位置の少なくとも一方を表す、
請求項1に記載の移動体制御システム。
【請求項10】
前記複数の領域は、互いの移動体が回避できない危険な領域である第1領域(R11)、少なくとも一方の移動体が急制動又は急停止により回避が可能な領域である第2領域(R12)、及び、互いの移動体が安全に停止又は回避が可能な領域である第3領域(R13)のいずれか2以上を含む、
請求項9に記載の移動体制御システム。
【請求項11】
前記走行情報は、前記第1移動体から前記第2移動体への予め定めた通知に関する情報を含み、
前記オブジェクトは、前記予め定めた通知に応じた前記線の形態及び位置の少なくとも一方を表す、
請求項1に記載の移動体制御システム。
【請求項12】
前記線の形態は、前記線の幅及び色の少なくとも一方を含む、
請求項1に記載の移動体制御システム。
【請求項13】
移動体(100)に搭載された移動体制御装置(10)であって、
前記移動体が走行する路面に対して、前記移動体の走行情報に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表すオブジェクト(30)を照射する制御を行う照射制御部(11A)と、
別の移動体(200)に搭載された別の移動体制御装置(20)から前記路面に照射された、前記別の移動体の走行情報に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表す別のオブジェクト(40)を検知する検知部(11B)と、
前記検知部により検知された前記別のオブジェクトに基づいて、前記別の移動体に対する前記移動体の相対的な走行を制御する走行制御部(11C)と、
を備えた移動体制御装置。
【請求項14】
移動体(100)に搭載された移動体制御装置(10)による移動体制御方法であって、
前記移動体制御装置が、
前記移動体が走行する路面に対して、前記移動体の走行情報に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表すオブジェクトを照射する制御を行い、
別の移動体に搭載された別の移動体制御装置から前記路面に照射された、前記別の移動体の走行情報に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表す別のオブジェクトを検知し、
検知された前記別のオブジェクトに基づいて、前記別の移動体に対する前記移動体の相対的な走行を制御する、
移動体制御方法。
【請求項15】
移動体(100)に搭載された移動体制御装置(10)の移動体制御プログラム(16A)であって、
前記移動体が走行する路面に対して、前記移動体の走行情報に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表すオブジェクトを照射する制御を行い、
別の移動体に搭載された別の移動体制御装置から前記路面に照射された、前記別の移動体の走行情報に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表す別のオブジェクトを検知し、
検知された前記別のオブジェクトに基づいて、前記別の移動体に対する前記移動体の相対的な走行を制御することを、
コンピュータに実行させるための移動体制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体制御システム、移動体制御装置、移動体制御方法、及び移動体制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自律走行が可能な車両は、カメラ、LiDAR(Light Detection and Ranging/Laser Imaging Detecton and Ranging)、Radar(Radio Detection and Ranging)等の複数のセンサを持ち、走行レーンや周辺の物体等を認識して、走行可能領域を決定する。車両同士の回避走行には、車両間通信を用いる場合がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、車両同士の間で車両情報を順々に中継して通信する車両間通信装置が記載されている。この車両間通信装置は、他車に関する車両情報を受信する受信部と、車両情報を他車に向けて送信する送信部とを備える。この送信部は、受信部が受信した他車に関する車両情報に基づいて当該他車が自車よりも小型であるか否かを判断し、当該他車が自車よりも小型である場合に限り当該他車に関する車両情報を中継して送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載の車両間通信を移動体同士の相対的な走行制御に用いる場合、通信の遅延等が発生する場合があるほか、厳密な走行情報のやり取りには通信規格の統一や地図データの共有を必要とするといった問題がある。
【0006】
本開示は、移動体同士の相対的な走行を移動体間で情報通信することなく制御することができる移動体制御システム、移動体制御装置、移動体制御方法、及び移動体制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1態様に係る移動体制御システムは、第1移動体に搭載された第1移動体制御装置と、第2移動体に搭載された第2移動体制御装置と、を含む移動体制御システムであって、前記第1移動体制御装置は、前記第1移動体が走行する路面に対して、前記第1移動体の走行情報に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表すオブジェクトを照射する制御を行う照射制御部、を備え、前記第2移動体制御装置は、前記路面に照射された前記オブジェクトを検知する検知部と、前記検知部により検知された前記オブジェクトに基づいて、前記第1移動体に対する前記第2移動体の相対的な走行を制御する走行制御部と、を備える。
【0008】
本開示の第2態様に係る移動体制御装置は、移動体に搭載された移動体制御装置であって、前記移動体が走行する路面に対して、前記移動体の走行情報に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表すオブジェクトを照射する制御を行う照射制御部と、別の移動体に搭載された別の移動体制御装置から前記路面に照射された、前記別の移動体の走行情報に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表す別のオブジェクトを検知する検知部と、前記検知部により検知された前記別のオブジェクトに基づいて、前記別の移動体に対する前記移動体の相対的な走行を制御する走行制御部と、を備える。
【0009】
本開示の第3態様に係る移動体制御方法は、移動体に搭載された移動体制御装置による移動体制御方法であって、前記移動体制御装置が、前記移動体が走行する路面に対して、前記移動体の走行情報に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表すオブジェクトを照射する制御を行い、別の移動体に搭載された別の移動体制御装置から前記路面に照射された、前記別の移動体の走行情報に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表す別のオブジェクトを検知し、検知された前記別のオブジェクトに基づいて、前記別の移動体に対する前記移動体の相対的な走行を制御する。
【0010】
本開示の第4態様に係る移動体制御プログラムは、移動体に搭載された移動体制御装置の移動体制御プログラムであって、前記移動体が走行する路面に対して、前記移動体の走行情報に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表すオブジェクトを照射する制御を行い、別の移動体に搭載された別の移動体制御装置から前記路面に照射された、前記別の移動体の走行情報に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表す別のオブジェクトを検知し、検知された前記別のオブジェクトに基づいて、前記別の移動体に対する前記移動体の相対的な走行を制御することを、コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
開示の技術によれば、移動体同士の相対的な走行を移動体間で情報通信することなく制御することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る第1移動体及び第2移動体の一例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る移動体制御システムの電気的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る第1移動体及び第2移動体の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】(A)及び(B)は、実施形態に係るオブジェクトの一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る第1移動体から第2移動体への情報通知の説明に供する図である。
【
図6】(A)~(H)は、実施形態に係るオブジェクトのパターンの一例を示す図である。
【
図7】実施形態に係る第1移動体から照射されるオブジェクト及び第2移動体から照射されるオブジェクトの説明に供する図である。
【
図8】実施形態に係る移動体制御プログラムによる移動体制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図8に示すステップS106の回避行動の一例であるすれ違い行動を示すフローチャートである。
【
図10】
図9に示すステップS115の退避行動の一例を示すフローチャートである。
【
図11】第1移動体の走行ルート及び第2移動体の走行ルートの一例を示す図である。
【
図12】
図9に示すステップS115の退避行動の一例を示すフローチャートであり、
図10のフローチャートの続きである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本開示の技術を実施するための形態の一例について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本実施形態に係る第1移動体100及び第2移動体200の一例を示す図である。
【0015】
図1に示す第1移動体100及び第2移動体200は、同様の構成を有しており、予め定められた走行情報に従って自律走行が可能な移動体である。本実施形態に係る第1移動体100及び第2移動体200の各々は、一例として、搬送ロボットとして示されるが、搬送ロボットに限定されるものではない。
【0016】
第1移動体100は、プロジェクションマッピング機能を有し、第1移動体100が走行する路面に対して、第1移動体100の走行情報に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表すオブジェクト30を照射する。一方、第2移動体200は、プロジェクションマッピング機能を有し、第2移動体200が走行する路面に対して、第2移動体200の走行情報に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表すオブジェクト40を照射する。なお、走行情報は、移動体の状態や、移動体の走行ルートに関する情報であり、例えば、移動速度、走行範囲、進行方向、右左折、障害物の有無、待機場所の有無等の各種情報が含まれる。また、線の形態には、例えば、線の幅、色、種類、あるいは、これらの組み合わせ等の各種形態が含まれる。線の形態は、直線に限らず、曲線でもよい。
【0017】
第1移動体100は第2移動体200のオブジェクト40を検知し、第2移動体200は第1移動体100のオブジェクト30を検知する。第1移動体100及び第2移動体200は、互いのオブジェクトに基づいて互いの状況を認識し、認識した状況から最適な走行判断を行う。これにより、移動体同士の相対的な走行を移動体間で情報通信することなく制御することができる。
【0018】
図2は、本実施形態に係る移動体制御システム300の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
図2に示すように、本実施形態に係る移動体制御システム300は、第1移動体100に搭載された第1移動体制御装置10と、第2移動体200に搭載された第2移動体制御装置20と、を含んで構成される。
【0020】
第1移動体制御装置10は、住所又は緯度経度等の目的地の情報に基づいて、目的地までの走行ルートを含む走行情報を生成する機能、及び、第1移動体100の自律走行を制御する機能を備えている。第1移動体制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)11と、メモリ12と、撮影部13と、照射部14と、表示部15と、記憶部16と、センサ部17と、通信部18と、を備えている。
【0021】
CPU11は、プロセッサの一例である。ここでいうプロセッサとは、広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えば、CPU)や、専用のプロセッサ(例えば、GPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。メモリ12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成されている。
【0022】
撮影部13は、例えば、カメラであり、第1移動体100が走行する路面を撮影する。具体的には、撮影部13は、第1移動体100の前側に設けられており、第1移動体100の前方領域を撮影する。撮影部13は、1台でもよいが、より多くの情報を得るために複数個所に複数台設けられていてもよい。なお、撮影部13は、赤外線カメラでもよい。
【0023】
照射部14は、例えば、プロジェクションマッピング機能を実現するためのプロジェクタであり、第1移動体100が走行する路面に対して、オブジェクト30を照射する。
【0024】
表示部15には、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等が用いられる。表示部15は、タッチパネルを一体的に有し、ユーザからの操作入力を受け付ける。
【0025】
記憶部16には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等が用いられる。記憶部16には、第1移動体100の自律走行を制御するための移動体制御プログラム16Aが記憶されている。
【0026】
センサ部17は、第1移動体100の周囲の状況を把握するための各種のセンサにより構成されている。センサ部17は、移動体外部の所定範囲に探査波を送信するミリ波レーダと、少なくとも移動体前方の所定範囲をスキャンするLIDARと、を含んでいる。また、センサ部17には、自車両に搭載されるGNSS(Global Navigation Satellite System)受信機が含まれていてもよい。このGNSS受信機により、自車両の現在位置及び現在時刻等の情報が取得される。
【0027】
通信部18は、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等のネットワークに接続し、第1移動体100の走行を監視する監視センタ(図示省略)と通信を行うための通信インターフェースである。
【0028】
なお、第1移動体制御装置10は、自律走行に必要な走行装置(図示省略)と接続されており、この走行装置を制御することで自律走行を行う。この走行装置には、一例として、電子制御操舵、電子制御ブレーキ、電子制御スロットル等が含まれる。
【0029】
第1移動体制御装置10は、第1移動体100の走行計画に従って自律走行するように第1移動体100の駆動、操舵、及び制動を制御することで自律走行を行う。なお、自律走行の方法自体には、様々な公知の方法が存在し、本実施形態では特に限定されるものではない。
【0030】
また、第2移動体制御装置20は、第1移動体制御装置10と同様に、住所又は緯度経度等の目的地の情報に基づいて、目的地までの走行ルートを含む走行情報を生成する機能、及び、第2移動体200の自律走行を制御する機能を備えている。第2移動体制御装置20は、CPU21と、メモリ22と、撮影部23と、照射部24と、表示部25と、記憶部26と、センサ部27と、通信部28と、を備えている。記憶部26には、第2移動体200の自律走行を制御するための移動体制御プログラム26Aが記憶されている。なお、第2移動体制御装置20は、第1移動体制御装置10と同様の構成要素を有しており、各構成要素についての繰り返しの説明は省略する。
【0031】
ところで、上述したように、車両間通信を移動体同士の相対的な走行制御に用いる場合、通信の遅延等が発生する場合があるほか、厳密な走行情報のやり取りには通信規格の統一や地図データの共有を必要とするといった問題がある。
【0032】
このため、本実施形態に係る第1移動体制御装置10のCPU11は、記憶部16に記憶されている移動体制御プログラム16AをRAMに書き込んで実行することにより、
図3に示す各部として機能する。また、本実施形態に係る第2移動体制御装置20のCPU21は、記憶部26に記憶されている移動体制御プログラム26AをRAMに書き込んで実行することにより、
図3に示す各部として機能する。
【0033】
図3は、本実施形態に係る第1移動体100及び第2移動体200の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【0034】
図3に示すように、本実施形態に係る第1移動体制御装置10のCPU11は、照射制御部11A、検知部11B、及び走行制御部11Cとして機能する。また、本実施形態に係る第2移動体制御装置20のCPU21は、照射制御部21A、検知部21B、及び走行制御部21Cとして機能する。
【0035】
第1移動体制御装置10の照射制御部11Aは、第1移動体100が走行する路面に対して、第1移動体100の走行情報に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表すオブジェクト30(
図1参照)を照射する制御を行う。なお、オブジェクト30の照射は、例えば、常時行ってもよいが、第2移動体200が周辺にいると判断したときに行うようにしてもよい。
【0036】
第1移動体制御装置10の検知部11Bは、別の移動体の一例である第2移動体200に搭載された第2移動体制御装置20から路面に照射された、第2移動体200の走行情報に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表すオブジェクト40(
図1参照)を検知する。なお、オブジェクト40の検知は、例えば、撮影部13によって常時行われる。
【0037】
第1移動体制御装置10の走行制御部11Cは、検知部11Bにより検知されたオブジェクト40に基づいて、第2移動体200に対する第1移動体100の相対的な走行を制御する。
【0038】
一方、第2移動体制御装置20の照射制御部21Aは、第2移動体200が走行する路面に対して、第2移動体200の走行情報に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表すオブジェクト40を照射する制御を行う。なお、オブジェクト40の照射は、例えば、常時行ってもよいが、第1移動体100が周辺にいると判断したときに行うようにしてもよい。
【0039】
第2移動体制御装置20の検知部21Bは、第1移動体100に搭載された第1移動体制御装置10から路面に照射された、第1移動体100の走行情報に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表すオブジェクト30を検知する。なお、オブジェクト30の検知は、例えば、撮影部23によって常時行われる。
【0040】
第2移動体制御装置20の走行制御部21Cは、検知部21Bにより検知されたオブジェクト30に基づいて、第1移動体100に対する第2移動体200の相対的な走行を制御する。
【0041】
ここで、オブジェクト30及びオブジェクト40の各々は、例えば、プロジェクションマッピングにより走行情報が付与されたバーコードとして表される。オブジェクト30及びオブジェクト40を照射する光は、可視光に限らず、赤外線を用いてもよい。オブジェクト30及びオブジェクト40をバーコードで表すことにより、ある一定の領域内においてバーコードの延長上であればどこからでも検知(読み取り)が可能となる。また、通知する情報量は限られているため、バーコードでも十分に表現することが可能である。
【0042】
具体的には、第1移動体100の走行情報は、第1移動体100と第2移動体200とのすれ違い行動を示す情報を含むようにしてもよい。この場合、オブジェクト30は、すれ違い行動に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表す。
【0043】
第2移動体制御装置20の走行制御部21Cは、オブジェクト30が表す、すれ違い行動に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方に基づいて、第1移動体100に対する第2移動体200の相対的なすれ違い行動を制御する。
【0044】
また、第1移動体100の走行情報は、第1移動体100の回避行動を示す情報を含むようにしてもよい。この場合、オブジェクト30は、回避行動に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表す。
【0045】
第2移動体制御装置20の走行制御部21Cは、オブジェクト30が表す、回避行動に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方に基づいて、第1移動体100に対する第2移動体200の相対的な回避行動を制御する。
【0046】
また、第1移動体100の走行情報は、第1移動体100の進行方向を示す情報を含むようにしてもよい。この場合、オブジェクト30は、第1移動体100の進行方向に応じて線の形態が異なる複数の線を表す。
【0047】
また、第1移動体100の走行情報は、第1移動体100の走行範囲を示す情報を含むようにしてもよい。この場合、オブジェクト30は、第1移動体100の走行範囲に応じて線の位置が異なる複数の線を表す。
【0048】
また、第1移動体100の走行情報は、第1移動体100の予定進路上にある障害物に関する情報を含むようにしてもよい。この場合、オブジェクト30は、障害物に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表す。
【0049】
また、第1移動体100の走行情報は、第1移動体100の移動速度で現地点から所定時間以内に到達可能な地点までの区間を分割して得られた複数の領域に関する情報を含むようにしてもよい。この場合、オブジェクト30は、複数の領域に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表す。ここでいう複数の領域には、第1領域、第2領域、及び第3領域のいずれか2以上が含まれる。第1領域は、例えば、互いの移動体が回避できない危険な領域である。第2領域は、例えば、少なくとも一方の移動体が急制動又は急停止により回避が可能な領域である。第3領域は、例えば、互いの移動体が安全に停止又は回避が可能な領域である。
【0050】
また、第1移動体100の走行情報は、第1移動体100から第2移動体200への予め定めた通知に関する情報を含むようにしてもよい。この場合、オブジェクト30は、第1移動体100から第2移動体200への予め定めた通知に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表す。
【0051】
次に、
図4(A)及び
図4(B)を参照して、第1移動体100のオブジェクト30を代表例として説明するが、第2移動体200のオブジェクト40についても同様である。
【0052】
図4(A)及び
図4(B)は、本実施形態に係るオブジェクト30の一例を示す図である。
【0053】
図4(A)に示すオブジェクト30は、第1移動体100の走行範囲情報及び走行時の右左折情報が付与されている。オブジェクト30に付与される情報は、例えば、複数の線L1~L4の形態及び位置により表される。線L1及び線L2は、走行範囲を表している。線L1の幅は線L2の幅よりも広く、幅の広い線L1は第1移動体100の進行方向を表している。また、線L3及び線L4は右左折の告知を表している。線L3が表示、線L4が非表示の場合、左折告知を表し、線L3が非表示、線L4が表示の場合、右折告知を表す。線L3及び線L4の幅を変更して第1移動体100からの大凡の距離を通知してもよい。また、急制動可能範囲等の情報についても線の種類や別の線等で表示して通知してもよい。
【0054】
図4(B)に示すオブジェクト30は、第1移動体100の走行レーンに関する情報が付与されている。オブジェクト30は、複数の線L1、L2、L5、L6を含む。線L1及び線L2は、
図4(A)と同様に走行範囲を表している。線L5は走行レーン上の障害物の有無を表し、線L6は第2移動体200とのすれ違いに利用する待機場所の有無を表す。線L5及び線L6は位置によって識別される。例えば、線L5が表示の場合、障害物が有ることを表し、線L5が非表示の場合、障害物が無いことを表す。また、例えば、線L6が表示の場合、待機場所が有ることを表し、線L6が非表示の場合、待機場所が無いことを表す。オブジェクト30により走行レーンに関する情報が第1移動体100の周辺にいる第2移動体200に通知される。この通知により、第2移動体200は第1移動体100の走行レーンへの侵入前の事前減速や、すれ違い時にどちらが待機場所に入るかを決めることができる。
【0055】
図5は、本実施形態に係る第1移動体100から第2移動体200への情報通知の説明に供する図である。
【0056】
図5に示すように、第1移動体100が直進し、第2移動体200が右折する場合について想定する。第1移動体100はオブジェクト30を路面に照射し、第2移動体200はオブジェクト40を路面に照射する。第1移動体100は、オブジェクト40の検知により、第2移動体200が右折することを認識する。一方、第2移動体200は、オブジェクト30の検知により、第1移動体100が直進することを認識する。オブジェクト30は、オブジェクト40と交差する部分に複数の線L7~L9を含む。複数の線L7~L9は位置によって識別される。線L7は、走行中の走行レーンの幅を踏まえ、すれ違い行動が可能であることを表す。線L8は、すれ違い行動が不可である場合に優先走行の告知を表す。
図5の例では、直進する第1移動体100が通過すれば右折する第2移動体200の走行継続が可能となるため、その旨を通知する。線L9は、双方がぶつかる方向でかつすれ違いが不可である場合に回避行動の告知を表す。この場合、どちらか一方の回避行動(別の走行レーンに一時退避等)が必要となるため、どちらが回避行動を行うかを通知する。
【0057】
図6(A)~
図6(H)は、本実施形態に係るオブジェクト30のパターンの一例を示す図である。
【0058】
図6(A)に示すオブジェクト30は、線L1及び線L2を含み、進行方向を表すパターンである。幅の広い線L1が進行方向を表す。なお、参考として進行方向を示す矢印を併記しているが、この矢印はオブジェクト30には表示されない。
【0059】
図6(B)に示すオブジェクト30は、線L1、線L2、及び線L3を含み、線L3によって左折告知を表すパターンである。また、
図6(C)に示すオブジェクト30は、線L1、線L2、及び線L4を含み、線L4によって右折告知を表すパターンである。
【0060】
図6(D)に示すオブジェクト30は、線L1、線L2、及び線L5を含み、線L5によって走行レーン後方に障害物が有ることを表すパターンである。また、
図6(E)に示すオブジェクト30は、線L1、線L2、及び線L6を含み、線L6によって走行レーン上にすれ違いに利用する待機場所が有ることを表すパターンである。なお、線L5及び線L6は同じ太さであるが、線の位置によって識別される。
【0061】
図6(F)に示すオブジェクト30は、線L1、線L2、線L6、及び線L7を含み、線L7によってすれ違い行動が可能であることを表すパターンである。
図6(G)に示すオブジェクト30は、線L1、線L2、線L6、及び線L8を含み、線L8によってすれ違い行動が不可である場合に優先走行の告知を表すパターンである。
図6(H)に示すオブジェクト30は、線L1、線L2、線L6、及び線L9を含み、線L9によって双方がぶつかる方向でかつすれ違いが不可である場合に回避行動の告知を表すパターンである。なお、線L7、線L8、及び線L9は同じ太さであるが、線の位置によって識別される。
【0062】
オブジェクト30は、基本情報を含む。この基本情報は、上述したように、第1移動体100の走行範囲、進行方向、及び右左折等を表す情報を含む。これにより、第1移動体100の走行範囲、進行方向、及び右左折等が通知される。また、この基本情報は、第1移動体100の移動速度で現地点から所定時間以内に到達可能な地点までの区間を分割して得られた複数の領域を表す情報を含む。これにより、例えば、上述した第1領域、第2領域、及び第3領域のいずれか2以上が通知される。
【0063】
また、オブジェクト30は、第1移動体100の走行レーン上における障害物の有無を表す情報を含んでいてもよい。これにより、走行レーン上で障害物により不通、混雑等が起こっていることが通知される。また、障害物によるすれ違いの可否等も通知される。また、オブジェクト30は、待機場所の有無を表す情報を含んでいてもよい。これにより、移動体のすれ違い時に待機場所を利用できることが通知され、スタックの回避が可能となる。
【0064】
また、第1移動体制御装置10は、第2移動体200の走行範囲と第1移動体100の走行範囲に基づいて、すれ違いの可否を判定し、判定結果をオブジェクト30により通知してもよい。例えば、通路幅等の要因ですれ違いが不可であることが通知される。また、進行方向が互いにぶつからない方向である場合、優先走行の告知の一例として、相手レーンに侵入しない移動体側が優先して走行し衝突を回避することが通知される。また、すれ違い又は優先走行が難しい場合、待機場所への退避が必要であることが通知される。
【0065】
オブジェクト30の照射形状について具体的に説明する。線の位置は、走行範囲を分割し、分割した各範囲に対して線を引いて情報の有無を表す。線の太さは、分割した各範囲の線について複数の太さの線を持つことができる。線の太さは、固定値としてもよいが、基準となる線の太さに対して相対的な値としてもよい。線の太さは、数値あるいはビット演算的な複数の意味を持つ情報への変換が可能である。線の色は、環境光(つまり、その場にある光)又は路面の色に応じて認識し易い色を照射することが望ましい。例えば、黒いアスファルトの場合、黄色の光を照射し、灰色のコンクリートの場合、赤色の光を照射する。
【0066】
図7は、本実施形態に係る第1移動体100から照射されるオブジェクト30及び第2移動体200から照射されるオブジェクト40の説明に供する図である。
【0067】
図7に示すように、第1移動体100は、走行情報から得られる自身の移動速度に基づいて、所定時間(例えば、N秒)以内に到達する走行区間を算出し、算出した走行区間に対してオブジェクト30を照射する。このN秒以内の走行区間に対応する距離は、急停止により回避可能な区間に対応する距離よりも長いものとする。N秒以内の走行区間は、第1領域R11、第2領域12、及び第3領域R13に分割される。上述したように、第1領域R11は、例えば、互いの移動体が回避できない危険な領域である。第2領域R12は、例えば、少なくとも一方の移動体が急制動又は急停止により回避が可能な領域である。第3領域R13は、例えば、互いの移動体が安全に停止又は回避が可能な領域である。
【0068】
また、オブジェクト30により照射される情報は、第1移動体100からの距離に応じて変更するようにしてもよい。例えば、距離に応じて到達時間を表示してもよいし、交差する移動体に応じたすれ違いの可否等の協調動作に関する情報を表示してもよい。また、距離に応じて直進及び右左折に関する情報を表示するようにしてもよい。また、第1領域R11~第3領域R13についても、
図7の線L11~L13に示すように、別の線あるいは線の種類を変更することで識別可能に表示することができる。
【0069】
また、第1移動体100の走行時にセンサ部17(又は第2移動体200の走行時にセンサ部27)で検知した障害物情報を通知するようにしてもよい。このとき、線の種類を変更することにより、例えば、通行不可、固定障害物有り、混雑等の大まかな情報を通知してもよい。
【0070】
また、第1移動体100は、自身の走行レーンに入ってくる第2移動体200のオブジェクト40を検知し、走行時に必要な走行範囲(つまり、幅)を取得してもよい。この場合、第1移動体100の走行時に必要な走行範囲と合わせて、第1移動体100の走行レーン上ですれ違いが可能か否かを計算し、第2移動体200に通知する。
【0071】
次に、
図8~
図12を参照して、本実施形態に係る第1移動体制御装置10の作用を説明する。
【0072】
図8は、本実施形態に係る移動体制御プログラム16Aによる移動体制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、第1移動体制御装置10の移動体制御プログラム16Aは、互いのオブジェクトを介して、第2移動体制御装置20の移動体制御プログラム26Aと連動して動作する。
【0073】
まず、第1移動体制御装置10及び第2移動体制御装置20に対して移動体制御処理の実行が指示されると、移動体制御プログラム16A及び移動体制御プログラム26Aが起動され、以下の各ステップを実行する。
【0074】
図8のステップS101では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第2移動体200から照射されたオブジェクト40を撮影した撮影画像を取得する。このとき、CPU11は、照射部14を制御して、第1移動体100が走行する路面に対して、第1移動体100の走行情報に応じたオブジェクト30を照射する。
【0075】
ステップS102では、第1移動体制御装置10のCPU11が、ステップS101で取得した撮影画像中のオブジェクト40を検知可能なように撮影画像を補正する。
【0076】
ステップS103では、第1移動体制御装置10のCPU11が、ステップS102で補正した撮影画像からオブジェクト40を検知する。オブジェクト40を検知することにより、第2移動体200の走行ルートを認識する。
【0077】
ステップS104では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第1移動体100の走行ルートを取得する。第1移動体100の走行ルートは、例えば、メモリ12に走行情報の一部として記憶されている。
【0078】
ステップS105では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第1移動体100の走行ルートと第2移動体200の走行ルートとが交差するか否かを判定する。第1移動体100の走行ルートと第2移動体200の走行ルートとが交差すると判定した場合(肯定判定の場合)、ステップS106に移行し、第1移動体100の走行ルートと第2移動体200の走行ルートとが交差しないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップS107に移行する。
【0079】
ステップS106では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第1移動体100の回避行動を行う。
【0080】
図9は、
図8に示すステップS106の回避行動の一例であるすれ違い行動を示すフローチャートである。
【0081】
図9のステップS111では、第1移動体制御装置10のCPU11が、走行レーンの幅に基づいて第1移動体100の走行可能範囲を計算する。
【0082】
ステップS112では、第1移動体制御装置10のCPU11が、走行ルールに沿って走行レーン内の第1移動体100の走行位置を変更する。つまり、ステップS111で計算した走行可能範囲内で相手の第2移動体200の走行ルートを回避する方向に第1移動体100を移動させる。
【0083】
ステップS113では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第1移動体100の走行ルートと第2移動体200の走行ルートとが交差するか否かを再度判定する。第1移動体100の走行ルートと第2移動体200の走行ルートとが交差すると判定した場合(肯定判定の場合)、ステップS114に移行し、第1移動体100の走行ルートと第2移動体200の走行ルートとが交差しないと判定した場合(否定判定の場合)、
図8のステップS107にリターンする。
【0084】
ステップS114では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第1移動体100の走行位置を変更する処理の試行回数がM回未満か否かを判定する。試行回数がM回未満であると判定した場合(肯定判定の場合)、ステップS112に戻り処理を繰り返し、試行回数がM回以上であると判定した場合(否定判定の場合)、すれ違いによる回避は出来ないと判定し、ステップS115に移行する。
【0085】
ステップS115では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第1移動体100の退避行動を行い、
図8のステップS107にリターンする。
【0086】
図10は、
図9に示すステップS115の退避行動の一例を示すフローチャートである。
【0087】
図10のステップS121では、第1移動体制御装置10のCPU11が、退避行動のために走行ルートのリルートが必要か否かを判定する。リルートが必要ないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップS122に移行し、リルートが必要と判定した場合(肯定判定の場合)、後述の
図12に示すステップS141に移行する。
【0088】
ステップS122では、第1移動体制御装置10のCPU11が、相手側の第2移動体200の進行方向を確認する。
【0089】
図11は、第1移動体100の走行ルート及び第2移動体200の走行ルートの一例を示す図である。
【0090】
図11(A)は、第1移動体100の走行ルートと第2移動体200の走行ルートとが交差するのみの場合について示す。
図11(B)は、第2移動体200が第1移動体100の走行ルートに進入し、第2移動体200の進行方向が第1移動体100の進行方向と逆となる場合について示す。
図11(C)は、第2移動体200が第1移動体100の走行ルートに進入し、第2移動体200の進行方向が第1移動体100の進行方向と同じとなる場合について示す。
【0091】
ステップS123では、第1移動体制御装置10のCPU11が、一例として、
図11(A)に示すように、交差するのみであるか否かを判定する。交差するのみであると判定した場合(肯定判定の場合)、ステップS124に移行し、交差するのみではないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップS129に移行する。
【0092】
ステップS124では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第1移動体100が安全に停止可能か否かを判定する。安全に停止可能であると判定した場合(肯定判定の場合)、ステップS125に移行し、安全に停止可能ではないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップS128に移行する。
【0093】
ステップS125では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第1移動体100を一時停止させる。
【0094】
ステップS126では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第2移動体200との衝突の危険があるか否かを判定する。衝突の危険がないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップS127に移行し、衝突の危険があると判定した場合(肯定判定の場合)、ステップS126で判定処理を繰り返す。
【0095】
ステップS127では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第1移動体100の走行を再開させ、
図8のステップS107にリターンする。
【0096】
一方、ステップS128では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第1移動体100の走行継続を第2移動体200に通知し、
図8のステップS107にリターンする。この場合、第2移動体200が一時停止し、走行継続の第1移動体100との衝突の危険がなくなるまで待機する。
【0097】
一方、ステップS129では、第1移動体制御装置10のCPU11が、一例として、
図11(C)に示すように、進行方向が同じであるか否かを判定する。進行方向が同じであると判定した場合(肯定判定の場合)、ステップS124に移行し、進行方向が同じではないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップS130に移行する。
【0098】
ステップS130では、第1移動体制御装置10のCPU11が、一例として、
図11(B)に示すように、進行方向が逆方向であるか否かを判定する。進行方向が逆方向であると判定した場合(肯定判定の場合)、ステップS131に移行し、進行方向が逆方向ではないと判定した場合(否定判定の場合)、
図8のステップS107にリターンする。
【0099】
ステップS131では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第1移動体100が進入側、つまり、第2移動体200の走行レーンに進入した側であるか否かを判定する。進入側であると判定した場合(肯定判定の場合)、ステップS132に移行し、進入側ではないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップS135に移行する。
【0100】
ステップS132では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第1移動体100を一時停止させる。
【0101】
ステップS133では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第2移動体200との衝突の危険があるか否かを判定する。衝突の危険がないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップS134に移行し、衝突の危険があると判定した場合(肯定判定の場合)、ステップS133で判定処理を繰り返す。
【0102】
ステップS134では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第1移動体100の走行を再開させ、
図8のステップS107にリターンする。
【0103】
一方、ステップS135では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第1移動体100の走行継続を第2移動体200に通知し、
図8のステップS107にリターンする。この場合、第2移動体200が一時停止し、走行継続の第1移動体100との衝突の危険がなくなるまで待機する。
【0104】
図12は、
図9に示すステップS115の退避行動の一例を示すフローチャートであり、
図10のフローチャートの続きである。
図12の例では、第1移動体100の進行方向と第2移動体200の進行方向とが対向する方向であり、すれ違いができない場合について示す。
【0105】
図12のステップS141では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第1移動体100の走行を停止させる。このとき、CPU11は、第2移動体200の走行も停止するように通知する。
【0106】
ステップS142では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第1移動体100の周辺の退避ポイントを探索する。このとき、第2移動体制御装置20のCPU21も第2移動体200の周辺の退避ポイントを探索する。
【0107】
ステップS143では、第1移動体制御装置10のCPU11が、相手側の第2移動体200に対して、第1移動体100のオブジェクト30を表示して第1移動体100の退避可否を通知する。
【0108】
ステップS144では、第1移動体制御装置10のCPU11が、相手側の第2移動体200のオブジェクト40から第2移動体200の退避可否を検知する。
【0109】
ステップS145では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第1移動体100及び第2移動体200の両方が退避可能か否かを判定する。両方が退避可能であると判定した場合(肯定判定の場合)、ステップS146に移行し、両方が退避可能ではないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップS153に移行する。
【0110】
ステップS146では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第1移動体100の退避コスト及び第2移動体200の退避コストを算出し、算出した退避コストを比較する。退避コストは、例えば、退避ポイントに移動するのにかかる時間として算出する。退避コストの低いほうを退避ポイントに移動させる。つまり、CPU11は、第1移動体100の退避コストが第2移動体200の退避コストよりも小さいか否かを判定する。第1移動体100の退避コストが第2移動体200の退避コストよりも小さいと判定した場合(肯定判定の場合)、ステップS147に移行し、第1移動体100の退避コストが第2移動体200の退避コスト以上であると判定した場合(否定判定の場合)、ステップS150に移行する。
【0111】
ステップS147では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第1移動体100の走行ルートをリルートし、第1移動体100を退避ポイントに移動させる。
【0112】
ステップS148では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第2移動体200の走行再開を検知する。
【0113】
ステップS149では、第1移動体制御装置10のCPU11が、衝突の危険がないと判断した後に、第1移動体100の走行を再開させ、
図8のステップS107にリターンする。
【0114】
一方、ステップS150では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第2移動体200に対して、第2移動体200の走行ルートをリルートし、第2移動体200を退避ポイントに移動するように通知する。
【0115】
ステップS151では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第1移動体100の走行を再開させる。
【0116】
ステップS152では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第2移動体200の走行再開を検知し、
図8のステップS107にリターンする。なお、第2移動体200は、衝突の危険がないと判断した後に走行を再開する。
【0117】
一方、ステップS153では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第1移動体100及び第2移動体200のどちらか一方が退避可能か否かを判定する。どちらか一方が退避可能であると判定した場合(肯定判定の場合)、ステップS154に移行し、どちらか一方が退避可能ではないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップS161に移行する。
【0118】
ステップS154では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第1移動体100が退避可能であるか否かを判定する。第1移動体100が退避可能であると判定した場合(肯定判定の場合)、ステップS155に移行し、第1移動体100が退避可能ではないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップS158に移行する。
【0119】
ステップS155では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第1移動体100の走行ルートをリルートし、第1移動体100を退避ポイントに移動させる。
【0120】
ステップS156では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第2移動体200の走行再開を検知する。
【0121】
ステップS157では、第1移動体制御装置10のCPU11が、衝突の危険がないと判断した後に、第1移動体100の走行を再開させ、
図8のステップS107にリターンする。
【0122】
一方、ステップS158では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第2移動体200に対して、第2移動体200の走行ルートをリルートし、第2移動体200を退避ポイントに移動するように通知する。
【0123】
ステップS159では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第1移動体100の走行を再開させる。
【0124】
ステップS160では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第2移動体200の走行再開を検知し、
図8のステップS107にリターンする。なお、第2移動体200は、衝突の危険がないと判断した後に走行を再開する。
【0125】
一方、ステップS161では、第1移動体制御装置10のCPU11が、監視センタ(図示省略)に対して、遠隔支援を要請する。
【0126】
図8に戻り、ステップS107では、第1移動体制御装置10のCPU11が、第1移動体100の走行を継続させる。
【0127】
ステップS108では、第1移動体制御装置10のCPU11が、終了タイミングが到来したか否かを判定する。終了タイミングが到来していないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップS101に戻り処理を繰り返し、終了タイミングが到来したと判定した場合(肯定判定の場合)、本移動体制御プログラム16Aによる一連の処理を終了する。
【0128】
このように本実施形態によれば、移動体間で理解可能な情報が付加されたオブジェクトを照射、検知することにより、双方の状況を踏まえた相対的な走行を実現することができる。これにより、移動体間で情報通信することなく、最適な走行判断を行うことができる。
【0129】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウエア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0130】
以上、実施形態に係る移動体制御システム及び移動体制御装置を例示して説明した。実施形態は、移動体制御装置が備える各部の機能をコンピュータに実行させるためのプログラムの形態としてもよい。実施形態は、これらのプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な非遷移的記録媒体の形態としてもよい。
【0131】
その他、上記実施形態で説明した移動体制御システム及び移動体制御装置の構成は、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更してもよい。
【0132】
また、上記実施形態で説明したプログラムの処理の流れも、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0133】
また、上記実施形態では、プログラムを実行することにより、実施形態に係る処理がコンピュータを利用してソフトウエア構成により実現される場合について説明したが、これに限らない。実施形態は、例えば、ハードウエア構成や、ハードウエア構成とソフトウエア構成との組み合わせによって実現してもよい。
【0134】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0135】
(付記1)
第1移動体に搭載された第1移動体制御装置と、
第2移動体に搭載された第2移動体制御装置と、
を含む移動体制御システムであって、
前記第1移動体制御装置のプロセッサは、
前記第1移動体が走行する路面に対して、前記第1移動体の走行情報に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表すオブジェクトを照射する制御を行い、
前記第2移動体制御装置のプロセッサは、
前記路面に照射された前記オブジェクトを検知し、
検知された前記オブジェクトに基づいて、前記第1移動体に対する前記第2移動体の相対的な走行を制御する、
移動体制御システム。
(付記2)
前記走行情報は、前記第1移動体と前記第2移動体とのすれ違い行動を示す情報を含み、
前記オブジェクトは、前記すれ違い行動に応じた前記線の形態及び位置の少なくとも一方を表す、
付記1に記載の移動体制御システム。
(付記3)
前記第2移動体制御装置の前記走行制御部は、前記オブジェクトが表す、前記すれ違い行動に応じた前記線の形態及び位置の少なくとも一方に基づいて、前記第1移動体に対する前記第2移動体の相対的なすれ違い行動を制御する、
付記2に記載の移動体制御システム。
(付記4)
前記走行情報は、前記第1移動体の回避行動を示す情報を含み、
前記オブジェクトは、前記回避行動に応じた前記線の形態及び位置の少なくとも一方を表す、
付記1~付記3の何れか1つに記載の移動体制御システム。
(付記5)
前記第2移動体制御装置の前記走行制御部は、前記オブジェクトが表す、前記回避行動に応じた前記線の形態及び位置の少なくとも一方に基づいて、前記第1移動体に対する前記第2移動体の相対的な回避行動を制御する、
付記4に記載の移動体制御システム。
(付記6)
前記走行情報は、前記第1移動体の進行方向を示す情報を含み、
前記オブジェクトは、前記第1移動体の進行方向に応じて前記線の形態が異なる複数の線を表す、
付記1~付記5の何れか1つに記載の移動体制御システム。
(付記7)
前記走行情報は、前記第1移動体の走行範囲を示す情報を含み、
前記オブジェクトは、前記第1移動体の走行範囲に応じて前記線の位置が異なる複数の線を表す、
付記1~付記6の何れか1つに記載の移動体制御システム。
(付記8)
前記走行情報は、前記第1移動体の予定進路上にある障害物に関する情報を含み、
前記オブジェクトは、前記障害物に応じた前記線の形態及び位置の少なくとも一方を表す、
付記1~付記7の何れか1つに記載の移動体制御システム。
(付記9)
前記走行情報は、前記第1移動体の移動速度で所定時間以内に到達可能な地点までの区間を分割して得られた複数の領域に関する情報を含み、
前記オブジェクトは、前記複数の領域に応じた前記線の形態及び位置の少なくとも一方を表す、
付記1~付記8の何れか1つに記載の移動体制御システム。
(付記10)
前記複数の領域は、互いの移動体が回避できない危険な領域である第1領域、少なくとも一方の移動体が急制動又は急停止により回避が可能な領域である第2領域、及び、互いの移動体が安全に停止又は回避が可能な領域である第3領域のいずれか2以上を含む、
付記9に記載の移動体制御システム。
(付記11)
前記走行情報は、前記第1移動体から前記第2移動体への予め定めた通知に関する情報を含み、
前記オブジェクトは、前記予め定めた通知に応じた前記線の形態及び位置の少なくとも一方を表す、
付記1~付記10の何れか1つに記載の移動体制御システム。
(付記12)
前記線の形態は、前記線の幅及び色の少なくとも一方を含む、
付記1~付記11の何れか1つに記載の移動体制御システム。
(付記13)
移動体に搭載された移動体制御装置であって、
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
前記移動体が走行する路面に対して、前記移動体の走行情報に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表すオブジェクトを照射する制御を行い、
別の移動体に搭載された別の移動体制御装置から前記路面に照射された、前記別の移動体の走行情報に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表す別のオブジェクトを検知し、
検知された前記別のオブジェクトに基づいて、前記別の移動体に対する前記移動体の相対的な走行を制御する、
移動体制御装置。
(付記14)
移動体に搭載された移動体制御装置による移動体制御方法であって、
前記移動体制御装置が、
前記移動体が走行する路面に対して、前記移動体の走行情報に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表すオブジェクトを照射する制御を行い、
別の移動体に搭載された別の移動体制御装置から前記路面に照射された、前記別の移動体の走行情報に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表す別のオブジェクトを検知し、
検知された前記別のオブジェクトに基づいて、前記別の移動体に対する前記移動体の相対的な走行を制御する、
移動体制御方法。
(付記15)
移動体に搭載された移動体制御装置の移動体制御プログラムであって、
前記移動体が走行する路面に対して、前記移動体の走行情報に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表すオブジェクトを照射する制御を行い、
別の移動体に搭載された別の移動体制御装置から前記路面に照射された、前記別の移動体の走行情報に応じた線の形態及び位置の少なくとも一方を表す別のオブジェクトを検知し、
検知された前記別のオブジェクトに基づいて、前記別の移動体に対する前記移動体の相対的な走行を制御することを、
コンピュータに実行させるための移動体制御プログラム。
【符号の説明】
【0136】
10 第1移動体制御装置、11、21 CPU、11A、21A 照射制御部、11B、21B 検知部、11C、21C 走行制御部、12、22 メモリ、13、23 撮影部、14、24 照射部、15、25 表示部、16、26 記憶部、16A、26A 移動体制御プログラム、17、27 センサ部、18、28 通信部、20 第2移動体制御装置、30、40 オブジェクト、100 第1移動体、200 第2移動体、300 移動体制御システム