(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164660
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】面材被覆構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/94 20060101AFI20241120BHJP
E04B 2/88 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
E04B1/94 R
E04B2/88
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080305
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 真美
(72)【発明者】
【氏名】西村 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】田村 知久
(72)【発明者】
【氏名】浮田 長志
(72)【発明者】
【氏名】藤井 俊洋
【テーマコード(参考)】
2E001
2E002
【Fターム(参考)】
2E001DE01
2E001FA04
2E001GA12
2E001HA01
2E001HA03
2E001HA21
2E002NB03
2E002NB06
2E002WA06
2E002XA01
(57)【要約】
【課題】耐火ボード40の破損を抑制しつつ、耐火ボード40に被覆材を取り付けることを目的とする。
【解決手段】面材被覆構造は、インサートナット80が埋設された耐火ボード40と、インサートナット80にボルト82で取り付けられ、耐火ボード40の内面40Aを覆う巻付け耐火被覆材90と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インサートナットが埋設された面材と、
前記インサートナットにボルトで取り付けられ、又は前記インサートナットにボルトで取り付けられた取付部材に取り付けられ、前記面材の表面を覆う被覆材と、
を備える面材被覆構造。
【請求項2】
面材と、
前記面材の表面に沿って配置されるベース部を有し、躯体に取り付けられ、前記面材を支持する支持部材と、
前記ベース部、及び該ベース部に取り付けられた取付部材の少なくとも一方に取り付けられ、前記面材の前記表面を覆う被覆材と、
を備える面材被覆構造。
【請求項3】
前記取付部材は、前記面材と前記被覆材との間に配置される、
請求項1又は請求項2に記載の面材被覆構造。
【請求項4】
前記取付部材は、前記被覆材に対して前記面材と反対側に配置され、前記面材との間で前記被覆材を挟んで保持する、
請求項1に記載の面材被覆構造。
【請求項5】
前記取付部材は、前記被覆材に対して前記面材と反対側に配置され、前記ベース部との間で前記被覆材を挟んで保持する、
請求項2に記載の面材被覆構造。
【請求項6】
前記被覆材は、前記ベース部に取り付けられる、
請求項5に記載の面材被覆構造。
【請求項7】
前記取付部材は、波形鋼板とされる、
請求項1又は請求項2に記載の面材被覆構造。
【請求項8】
前記面材は、メタルカーテンウォールの耐火ボードに用いられる、
請求項1又は請求項2に記載の面材被覆構造。
【請求項9】
前記面材は、建築物の外壁、若しくは間仕切壁を形成する押出成形セメント板に用いられる、
請求項1又は請求項2に記載の面材被覆構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面材被覆構造に関する。
【背景技術】
【0002】
石膏ボード、及びけい酸カルシウム板を積層した耐火ボードが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
天井を構成する石膏ボードの下面をガラス繊維で被覆する床の耐火構造が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
複数の内側耐火面材、金属箔、及び複数の外側耐火面材を積層した壁の耐火構造が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-122322号公報
【特許文献2】特開2002-332703号公報
【特許文献3】特開2006-257752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、耐火性能や断熱性能を高めるために、けい酸カルシウム板等の面材の表面に、巻付け被覆材等の被覆材をビス留めすることが考えられる。
【0007】
しかしながら、面材によっては、被覆材をビス留めする際に、面材が破損等する可能性がある。
【0008】
本発明は、上記の事実を考慮し、面材の破損を抑制しつつ、面材に被覆材を取り付けることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の面材被覆構造は、インサートナットが埋設された面材と、前記インサートナットにボルトで取り付けられ、又は前記インサートナットにボルトで取り付けられた取付部材に取り付けられ、前記面材の表面を覆う被覆材と、を備える。
【0010】
請求項1に係る面材被覆構造によれば、面材には、インサートナットが埋設される。このインサートナットには、面材の表面を覆う被覆材がボルトで取り付けられる。又は、インサートナットにボルトで取り付けられた取付部材に、面材の表面を覆う被覆材が取り付けられる。これにより、面材の耐火性能や断熱性能を高めることができる。
【0011】
また、本発明では、前述したように、面材に埋設されたインサートナットにボルトで被覆材を取り付け、又はインサートナットにボルトで取り付けられた取付部材に被覆材が取り付けられる。これにより、本発明では、面材に被覆材をビス留めする場合と比較して、面材の破損が抑制される。
【0012】
このように本発明では、面材の破損を抑制しつつ、面材に被覆材を取り付けることができる。
【0013】
請求項2に記載の面材被覆構造は、面材と、前記面材の表面に沿って配置されるベース部を有し、躯体に取り付けられ、前記面材を支持する支持部材と、前記ベース部、及び該ベース部に取り付けられた取付部材の少なくとも一方に取り付けられ、前記面材の前記表面を覆う被覆材と、を備える。
【0014】
請求項2に係る面材被覆構造によれば、支持部材は、躯体に取り付けられ、面材を支持する。また、支持部材は、面材の表面に沿って配置されるベース部を有する。このベース部には、面材の表面を覆う被覆材が取り付けられる。又は、ベース部に取り付けられた取付部材には、面材の表面を覆う被覆材が取り付けられる。これにより、面材の耐火性能や断熱性能を高めることができる。
【0015】
また、本発明では、前述したように、面材を支持する支持部材のベース部に被覆材が取り付けられ、又はベース部に取り付けられた取付部材に被覆材が取り付けられる。これにより、本発明では、面材に被覆材をビス留めする場合と比較して、面材の破損が抑制される。
【0016】
このように本発明では、面材の破損を抑制しつつ、面材に被覆材を取り付けることができる。
【0017】
請求項3に記載の面材被覆構造は、請求項1又は請求項2に記載の面材被覆構造において、前記取付部材は、前記面材と前記被覆材との間に配置される。
【0018】
請求項3に係る面材被覆構造によれば、取付部材は、面材と被覆材との間に配置される。この取付部材に被覆材を取り付けることにより、被覆材の施工性が向上する。
【0019】
また、支持部材のベース部に取付部材が取り付けられる構成では、例えば、火災時に、面材が脱落しても、支持部材のベース部、及び取付部材によって被覆材が保持される。したがって、被覆材の脱落が抑制される。
【0020】
請求項4に記載の面材被覆構造は、請求項1に記載の面材被覆構造において、前記取付部材は、前記被覆材に対して前記面材と反対側に配置され、前記面材との間で前記被覆材を挟んで保持する。
【0021】
請求項4に係る面材被覆構造によれば、取付部材は、被覆材に対して面材と反対側に配置される。この取付部材と面材との間で被覆材を挟んで保持することにより、被覆材の施工性が向上する。
【0022】
請求項5に記載の面材被覆構造は、請求項2に記載の面材被覆構造において、前記取付部材は、前記被覆材に対して前記面材と反対側に配置され、前記ベース部との間で前記被覆材を挟んで保持する。
【0023】
請求項5に係る面材被覆構造によれば、取付部材は、被覆材に対して面材と反対側に配置される。この取付部材と支持部材のベース部との間で被覆材を挟んで保持することにより、被覆材の施工性が向上する。
【0024】
また、火災時に、面材が脱落しても、支持部材のベース部、及び取付部材によって被覆材が保持される。したがって、被覆材の脱落が抑制される。
【0025】
請求項6に記載の面材被覆構造は、請求項5に記載の面材被覆構造において、前記被覆材は、前記ベース部に取り付けられる。
【0026】
請求項6に係る面材被覆構造によれば、被覆材は、ベース部に取り付けられる。これにより、被覆材の脱落がさらに抑制される。
【0027】
請求項7に記載の面材被覆構造は、請求項1又は請求項2に記載の面材被覆構造において、前記取付部材は、波形鋼板とされる。
【0028】
請求項7に係る面材被覆構造によれば、取付部材は、波形鋼板とされる。この波形鋼板において、例えば、被覆材側へ凸を成す凸部に被覆材を取り付けることにより、耐火性能の施工性が向上する。
【0029】
請求項8に記載の面材被覆構造は、請求項1又は請求項2に記載の面材被覆構造において、前記面材は、メタルカーテンウォールの耐火ボードに用いられる。
【0030】
請求項8に記載の面材被覆構造によれば、請求項1又は請求項2に記載の面材がメタルカーテンウォールの耐火ボードに用いられる。メタルカーテンウォールの耐火ボードとして一般に用いられるけい酸カルシウム板は被覆材をビス留めすると破損する恐れがあるが、請求項1又は請求項2に記載の面材をメタルカーテンウォールの耐火ボードに用いることにより、耐火ボードを破損させることなく耐火性能を高めることができる。
【0031】
請求項9に記載の面材被覆構造は、請求項1又は請求項2に記載の面材被覆構造において、前記面材は、建築物の外壁、若しくは間仕切壁を形成する押出成形セメント板に用いられる。
【0032】
請求項9に記載の面材被覆構造によれば、面材は、建築物の外壁、若しくは間仕切壁を形成する押出成形セメント板に用いられる。押出成形セメント板は被覆材をビス留めすると破損する恐れがあるが、請求項1又は請求項2の面材を押出成形セメント板を用いることにより、押出成形セメント板を破損させることなく耐火性能を高めることができる。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように、本発明によれば、面材の破損を抑制しつつ、面材に被覆材を取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】第一実施形態に係る面材被覆構造が適用された耐火ボードを示す断面図である。
【
図2】
図1に示される複層耐火ボードを室内側から見た立面図である。
【
図3】(A)は、
図3(B)の3A-3A線断面図であり、(B)は、
図2に対応する立面図である。
【
図4】第一実施形態に係る面材被覆構造の変形例を示す図であって、(A)は、
図4(B)の4A-4A線断面図であり、(B)は、
図2に対応する立面図である。
【
図5】第一実施形態に係る面材被覆構造の変形例を示す図であって、(A)は、
図5(B)の5A-5A線断面図であり、(B)は、
図2に対応する立面図である。
【
図6】第一実施形態に係る面材被覆構造の変形例を示す図であって、(A)は、
図6(B)の6A-6A線断面図であり、(B)は、
図2に対応する立面図である。
【
図7】第一実施形態に係る面材被覆構造の変形例を示す図であって、(A)は、
図7(B)の7A-7A線断面図であり、(B)は、
図2に対応する立面図である。
【
図8】第一実施形態に係る面材被覆構造の変形例を示す図であって、(A)は、
図8(B)の8A-8A線断面図であり、(B)は、
図2に対応する立面図である。
【
図9】第二実施形態に係る面材被覆構造を示す図であって、(A)は、
図9(B)の9A-9A線断面図であり、(B)は、
図2に対応する立面図である。
【
図10】第二実施形態に係る面材被覆構造の変形例を示す図であって、(A)は、
図10(B)の10A-10A線断面図であり、(B)は、
図2に対応する立面図である。
【
図11】第二実施形態に係る面材被覆構造の変形例を示す図であって、(A)は、
図11(B)の11A-11A線断面図であり、(B)は、
図2に対応する立面図である。
【
図12】第二実施形態に係る面材被覆構造の変形例を示す図であって、(A)は、
図12(B)の12A-12A線断面図であり、(B)は、
図2に対応する立面図である。
【
図13】第二実施形態に係る面材被覆構造の変形例を示す図であって、(A)は、
図13(B)の13A-13A線断面図であり、(B)は、
図2に対応する立面図である。
【
図14】第二実施形態に係る面材被覆構造の変形例を示す図であって、(A)は、
図14(B)の14A-14A線断面図であり、(B)は、
図2に対応する立面図である。
【
図15】(A)は、第一実施形態に係る面材被覆構造の変形例を示す
図3(A)に対応する断面図であり、(B)は、第二実施形態に係る面材被覆構造の変形例を示す
図9(A)に対応する断面図である。
【
図16】(A)は、第一実施形態に係る面材被覆構造の変形例を示す
図3(A)に対応する断面図であり、(B)は、第二実施形態に係る面材被覆構造の変形例を示す
図9(A)に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(第一実施形態)
先ず、第一実施形態について説明する。
【0036】
図1には、本実施形態に係る面材被覆構造が適用された耐火ボード40が示されている。層間区画部材としての耐火ボード(カーテンウォール用耐火ボード)40は、カーテンウォール30のスパンドレル部に設けられており、カーテンウォール30と共に構造物(建築物)の外壁の一部を構成している。なお、カーテンウォール30は、メタルカーテンウォールの一例である。
【0037】
耐火ボード40は、鉄骨梁10及びスラブ20の室外側(矢印OUT側)に配置されており、後述する耐火ボード支持構造によってスラブ20に支持されている。また、耐火ボード40の室内側の内面40Aは、後述する巻付け耐火被覆材90によって覆われている。
【0038】
(鉄骨梁)
図1に示されるように、鉄骨梁10は、H形鋼で形成されている。この鉄骨梁10は、上下方向に互いに対向する上側フランジ部12及び下側フランジ部14と、上側フランジ部12及び下側フランジ部14を接続するウェブ部16とを有している。ここでは図示を省略しているが、一定規模以上の建物(建築物)に用いる場合は、鉄骨梁10を耐火被覆(吹付け耐火被覆材、巻付け耐火被覆材、ボード耐火被覆材等で被覆)することで耐火性能を確保する。
【0039】
鉄骨梁10は、スラブ20の端部に沿って配置され、当該スラブ20の端部を支持している。スラブ20は、鉄筋コンクリート造とされており、鉄骨梁10の上に設けられている。また、スラブ20は、複数階からなる構造物の所定階の床を形成している。これらの鉄骨梁10、及びスラブ20の室外側(矢印OUT側)には、カーテンウォール30、及び耐火ボード40が設置されている。
【0040】
なお、鉄骨梁10、及びスラブ20は、躯体の一例である。
【0041】
(カーテンウォール)
カーテンウォール30は、スラブ20の上下階に亘って配置されており、構造物の外壁(外装)を構成している。このカーテンウォール30は、格子状に連結された複数の方立32及び無目34と、これらの方立32及び無目34によって形成された格子枠内に設けられた窓ガラス36とを備えている。
【0042】
複数の方立32及び無目34は、一例として、アルミ製とされている。複数の方立32は、水平方向に間隔を空けて立てられている。各方立32は、スラブ20の端部と対向して配置されており、図示しない方立ブラケット及びファスナ等を介して、スラブ20又は鉄骨梁10等の躯体に支持されている。隣り合う方立32には、複数の無目34が架設されている。複数の無目34は、上下方向に間隔を空けて配置されている。
【0043】
(耐火ボード)
耐火ボード40は、カーテンウォール30の室内側に、窓ガラス36と対向した状態で取り付けられている。この耐火ボード40の外周部は、方立32、及び無目34に沿って設けられた枠状の保持部(レール部)38によって保持されている。また、耐火ボード40は、後述する耐火ボード支持構造によって支持されている。
【0044】
また、耐火ボード40は、スラブ20の室外側に、スラブ20の上下階に亘って配置されるとともに、スラブ20の端部との間に間隔を空けて配置されている。この耐火ボード40とスラブ20の端部との間には、ロックウール等の層間塞ぎ材22が設けられている。この層間塞ぎ材22によって、火災時に、耐火ボード40とスラブ20の端部との間の空間から、スラブ20の上階に熱気や炎が流入することが抑制されている。
【0045】
耐火ボード40は、鉄骨梁10の室外側(矢印OUT側)の側方に配置され、鉄骨梁10の室外側の側面と対向している。この耐火ボード40によって、鉄骨梁10の室外側の側面が耐火被覆されている。
【0046】
図3(A)に示されるように、耐火ボード40は、一例として、積層接着された3枚のけい酸カルシウム板42を有している。けい酸カルシウム板42は、トバモライト系けい酸カルシウム板とされている。具体的には、けい酸カルシウム板42は、かさ密度が0.60g/mm
3以上で、かつ、曲げ強度が10.0N/mm
2以上とされている。
【0047】
3枚のけい酸カルシウム板42は、厚み方向に積層されている。また、隣り合うけい酸カルシウム板42は、表面(積層面)に塗布された接着剤を介して互いに接着されている。この耐火ボード40には、耐火ボード支持構造が適用されている。
【0048】
なお、耐火ボード40は、3枚に限らず、2枚以上のけい酸カルシウム板42を有しても良い。
【0049】
(耐火ボード支持構造)
図1に示されるように、耐火ボード支持構造は、複数のインサートナット50と、複数の支持部材60を有している。インサートナット50は、耐火ボード40の上部における室内側に埋設されており、その一端が耐火ボード40における室内側(矢印IN側)の内面40Aから露出している。このインサートナット50の一端には、後述する支持部材60及びブラケット70を接合するためのボルト52が捻じ込まれている。
【0050】
インサートナット50は、一例として、鬼目ナットとされている。このインサートナット50は、例えば、耐火ボード40に形成された下穴にインサートナット50を打ち込み、又は捻じ込むことにより、けい酸カルシウム板42に埋設される。
【0051】
なお、インサートナット50は、耐火ボード40を厚み方向に貫通せず、その他端が耐火ボード40における室外側(矢印OUT側)の外面40Bから露出していない。
【0052】
図2に示されるように、複数の支持部材(支持金物)60は、鋼板等の金属板によって形成されており、耐火ボード40の横幅方向(矢印W方向)に間隔を空けて配置されている。
【0053】
図1に示されるように、各支持部材60は、側面視にて、C字形状に形成されている。また、各支持部材60は、ベース部62と、下端フック部64と、上端フック部66とを有している。ベース部62は、帯状に形成されており、耐火ボード40の室内側(鉄骨梁10側)の内面40Aに沿って配置されている。
【0054】
ベース部62の下端部には、耐火ボード40の下端部を保持する下端フック部64が設けられている。一方、ベース部62の上端部には、耐火ボード40の上端部を保持する上端フック部66が設けられている。このベース部62は、ボルト52によって、インサートナット50に接合されている。
【0055】
また、インサートナット50には、ボルト52によってブラケット70が接合されている。つまり、支持部材60及びブラケット70は、ボルト52によってインサートナット50に共締めされている。
【0056】
なお、耐火ボード40の支持構造は、インサートナット50及び支持部材60に限らず、適宜変更可能である。また、支持部材60は躯体に取り付けられ、耐火ボード40等の面材を支持できればよく、
図1や
図2に示すようにベース部62と、下端フック部64と、上端フック部66とを有している必要はなく、ベース部62だけで構成され、耐火ボード40とボルト等で接合されてもよい。また、
図1や
図2に示すように耐火ボード40はインサートナット50を有している必要はなく、支持部材が耐火ボード40と一体的に結合され容易に外れない構造であればよい。さらには、ベース部62は耐火ボード40の上下の端部に跨る帯状の板材である必要はない。ベース部62の形状については板材に限らず、C形鋼、L形鋼、H形鋼等の形鋼やZ形の金物でもよい。
【0057】
(ブラケット、躯体側ファスナ)
ブラケット70は、躯体側ファスナ72を介してスラブ20に固定されている。躯体側ファスナ72は、一例として、断面L字状に形成されている。この躯体側ファスナ72は、スラブ20の端部の上面に、ボルトによって固定されている。また、躯体側ファスナ72には、ブラケット70がボルトによって固定されている。
【0058】
なお、ブラケット70及び躯体側ファスナ72の形状や配置等は、適宜変更可能である。また、ブラケット70及び躯体側ファスナ72は、別体とせず、一体に形成することも可能である。さらに、ブラケット70及び躯体側ファスナ72は、スラブ20に限らず、例えば、鉄骨梁10に固定されても良いし、鉄骨梁10に設けられたガセットプレート等に固定されても良い。
【0059】
(面材被覆構造)
図3(A)及び
図3(B)に示されるように、耐火ボード40における室内側(矢印IN側)の内面40Aは、巻付け耐火被覆材90によって覆われている。
【0060】
なお、耐火ボード40は、面材の一例であり、巻付け耐火被覆材90は、被覆材の一例である。また、
図3(A)及び
図3(B)では、支持部材60の図示が省略されている。一方、
図1では、巻付け耐火被覆材90の図示が省略されている。
【0061】
図3(A)に示されるように、耐火ボード40には、複数のインサートナット80が埋設されている。複数のインサートナット80は、耐火ボード40の縦幅方向及び横幅方向に間隔を空けて配列されている。これらのインサートナット80の一端側は、耐火ボード40の内面40Aから露出している。また、複数のインサートナット80は、インサートナット50と同様に、耐火ボード40を厚み方向に貫通せず、その他端側が耐火ボード40の内部に位置している。
【0062】
巻付け耐火被覆材90は、シート状に成形されたロックウールや、セラミックウール、アルカリアースシリケートウール等によって形成されている。また、巻付け耐火被覆材90は、厚み方向から見て、耐火ボード40と同様の大きさ及び形状とされている。この巻付け耐火被覆材90は、耐火ボード40の内面40Aに重ねられており、当該内面40Aを略全面に亘って覆っている。
【0063】
巻付け耐火被覆材90には、複数の取付孔92(
図3(A)参照)が形成されている。複数の取付孔92は、巻付け耐火被覆材90を厚み方向に貫通する円形状の貫通孔とされている。また、複数の取付孔92は、巻付け耐火被覆材90における複数のインサートナット80と対向する部位に形成されている。これらの取付孔92を介してボルト82をインサートナット80に捻じ込むことにより、巻付け耐火被覆材90が耐火ボード40に取り付けられている。
【0064】
なお、インサートナット80及びボルト82の配置や数は、適宜変更可能である。また、巻付け耐火被覆材90が耐火ボード40の内面40Aを覆う範囲も、適宜変更可能である。
【0065】
(作用)
次に、第一実施形態の作用について説明する。
【0066】
図3(A)及び
図3(B)に示されるように、本実施形態によれば、耐火ボード40には、複数のインサートナット80が埋設されている。これらのインサートナット80には、耐火ボード40の内面40Aを覆う巻付け耐火被覆材90がボルト82で取り付けられている。これにより、耐火ボード40の耐火性能や断熱性能を高めることができる。
【0067】
また、本実施形態では、前述したように、耐火ボード40に埋設されたインサートナット80にボルトで巻付け耐火被覆材90が取り付けられている。これにより、本実施形態では、耐火ボード40に巻付け耐火被覆材90をビス留めする場合と比較して、耐火ボード40の破損が抑制される。
【0068】
このように本実施形態では、耐火ボード40の破損を抑制しつつ、耐火ボード40に巻付け耐火被覆材90を取り付けることができる。
【0069】
また、本実施形態では、耐火ボード40に埋設された複数のインサートナット80に、巻付け耐火被覆材90を複数のボルト82で直接固定するため、巻付け耐火被覆材90の脱落をより確実に抑制することができる。
【0070】
さらに、複数のインサートナット80は、耐火ボード40を厚み方向に貫通せず、その他端側が耐火ボード40の外面40Bに露出していない。これにより、耐火ボード40の外面40Bの意匠性が向上する。
【0071】
しかも、耐火ボード40の施工前に、当該耐火ボード40に巻付け耐火被覆材90を取り付けておくことにより、巻付け耐火被覆材90の施工性が向上する。
【0072】
また、耐火ボード40と鉄骨梁10(
図1参照)との間隔が狭く、耐火ボード40の内面40Aに吹付けロックウールを吹き付けることが困難な場合にも、本実施形態は有効である。耐火ボード40の施工前に、当該耐火ボード40に巻付け耐火被覆材90を取り付けておくことにより、耐火ボード40と鉄骨梁10との間隔が狭い場合でも、耐火ボード40の内面40Aを巻付け耐火被覆材90によって容易に被覆することができる。
【0073】
(第一実施形態の変形例)
次に、上記第一実施形態の変形例について説明する。
【0074】
上記第一実施形態では、巻付け耐火被覆材90が、耐火ボード40に埋設されたインサートナット80にボルト82で取り付けられている。しかし、巻付け耐火被覆材90は、インサートナット80にボルト82で取り付けられた取付部材に取り付けられても良い。
【0075】
例えば、
図4(A)及び
図4(B)に示される変形例では、耐火ボード40に埋設された複数のインサートナット80に、複数の鉄骨部材100がボルト82でそれぞれ取り付けられている。なお、鉄骨部材100は、取付部材の一例である。
【0076】
複数の鉄骨部材100は、一例として、角形鋼管によって形成されており、耐火ボード40の横幅方向に沿って配置されるとともに、縦幅方向に間隔を空けて配置されている。これらの鉄骨部材100に、巻付け耐火被覆材90がビス102で取り付けられている。
【0077】
なお、鉄骨部材100等の取付部材は、角形鋼管等の鋼管に限らず、例えば、C形鋼、L形鋼、H形鋼等の形鋼や板材でも良い。また、巻付け耐火被覆材90は、ビス102に限らず、ボルトや固定ピン(スタッド溶接留め)等によって鉄骨部材100に取り付けられても良い。
【0078】
ここで、鉄骨部材100は、後述するメタルラス110(
図5(A)参照)と比較して剛性が高い。したがって、取付部材として鉄骨部材100を用いることにより、耐火ボード40を補剛しつつ、耐火ボード40に対する巻付け耐火被覆材90の固定度を高めることができる。
【0079】
次に、
図5(A)及び
図5(B)に示される変形例では、耐火ボード40に埋設された複数のインサートナット80に捻じ込まれたアイボルト84に、メタルラス110が図示しない結束線で取り付けられている。なお、メタルラス110は、取付部材の一例である。また、アイボルト84は、ボルトの一例である。
【0080】
メタルラス(リブラス)110は、金属製の網状体を帯状のリブで補強したものであり、例えば、塗り壁の下地材として使用される。このメタルラス110に、複数の結束線112によって巻付け耐火被覆材90が取り付けられている。
【0081】
ここで、メタルラス110は、前述した鉄骨部材100と比較して加工し易い。したがって、取付部材としてメタルラス110を用いることにより、巻付け耐火被覆材90の施工性が向上する。
【0082】
次に、
図6(A)及び
図6(B)に示される変形例では、耐火ボード40に埋設された複数のインサートナット80に鋼板120がボルト82で取り付けられている。なお、鋼板120は、取付部材の一例である。
【0083】
鋼板120は、厚み方向から見て、耐火ボード40と同様の大きさ及び形状とされており、耐火ボード40の内面40Aを略全面に亘って覆っている。この鋼板120に、巻付け耐火被覆材90が複数の溶接ピン122で取り付けられている。
【0084】
ここで、鋼板120は、前述した鉄骨部材100(
図4(A)参照)と比較して薄い。したがって、取付部材として鋼板120を用いることにより、耐火ボード40、鋼板120、及び巻付け耐火被覆材90の全体の厚みを薄くすることができる。
【0085】
次に、
図7(A)及び
図7(B)に示される変形例では、耐火ボード40に埋設された複数のインサートナット80に波形鋼板130がボルト82で取り付けられている。なお、波形鋼板130は、取付部材の一例である。
【0086】
波形鋼板130は、厚み方向から見て、耐火ボード40と同様の大きさ及び形状とされており、耐火ボード40の内面40Aを略全面に亘って覆っている。また、波形鋼板130の断面は、複数の凸部130Aが面外方向に交互に突出する波形形状とされている。この波形鋼板130において、室内側(巻付け耐火被覆材90側)に突出する凸部130Aに、巻付け耐火被覆材90が複数のビス132で取り付けられている。
【0087】
ここで、前述したように、波形鋼板130は、面外方向に交互に突出する複数の凸部130Aを有している。したがって、取付部材として波形鋼板130を用いることにより、波形鋼板130における室内側の凸部130Aに巻付け耐火被覆材90をビス132で容易に取り付けることができる。したがって、巻付け耐火被覆材90の施工性が向上する。
【0088】
次に、
図8(A)及び
図8(B)に示される変形例では、耐火ボード40と鋼板120との間で、巻付け耐火被覆材90が保持されている。
【0089】
具体的には、鋼板120は、巻付け耐火被覆材90に対して耐火ボード40と反対側(室内側)に配置されている。換言すると、耐火ボード40と鋼板120との間に、巻付け耐火被覆材90が配置されている。この鋼板120は、ボルト82によって、巻付け耐火被覆材90と共にインサートナット80に取り付けられている。つまり、鋼板120及び巻付け耐火被覆材90は、ボルト82によってインサートナット80に共締めされている。
【0090】
このように耐火ボード40と鋼板120との間で巻付け耐火被覆材90を挟んで保持することにより、巻付け耐火被覆材90の施工性が向上する。
【0091】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。なお、第二実施形態において、第一実施形態と同じ構成の部材等には、同符号を付して説明を適宜省略する。
【0092】
図9(A)及び
図9(B)に示されるように、第二実施形態に係る面材被覆構造では、耐火ボード40を支持する複数の支持部材60に、巻付け耐火被覆材90が取り付けられている。
【0093】
具体的には、各支持部材60は、耐火ボード40の内面40Aに沿って配置されるベース部62を有している。このベース部62に、巻付け耐火被覆材90が複数の溶接ピン122で取り付けられている。
【0094】
(作用)
次に、第二実施形態の作用について説明する。
【0095】
図1に示されるように、支持部材60は、ブラケット70及び躯体側ファスナ72を介してスラブ20(
図1参照)に取り付けられ、耐火ボード40を支持している。また、支持部材60は、耐火ボード40の内面40Aに沿って配置されるベース部62を有している。このベース部62に、巻付け耐火被覆材90が溶接ピン122で取り付けられている。これにより、耐火ボード40の耐火性能や断熱性能を高めることができる。
【0096】
また、本実施形態では、前述したように、耐火ボード40を支持する支持部材60のベース部62に巻付け耐火被覆材90が取り付けられている。これにより、本実施形態では、耐火ボード40に巻付け耐火被覆材90をビス留めする場合と比較して、耐火ボード40の破損が抑制される。
【0097】
このように本実施形態では、耐火ボード40の破損を抑制しつつ、耐火ボード40に巻付け耐火被覆材90を取り付けることができる。
【0098】
また、本実施形態では、例えば、耐火ボード40にインサートナット80(
図1参照)等を埋設する必要がないため、巻付け耐火被覆材90の施工性が向上する。
【0099】
さらに、本実施形態では、耐火ボード40を支持する支持部材60を、巻付け耐火被覆材90の下地材として兼用する。したがって、支持部材60とは別に、巻付け耐火被覆材90の下地材を設ける場合と比較して、部品点数を削減することができる。
【0100】
しかも、巻付け耐火被覆材90は、耐火ボード40を支持する支持部材60に取り付けられており、耐火ボード40に直接取り付けられていない。そのため、巻付け耐火被覆材90は、火災時における耐火ボード40の変形の影響を受け難い。したがって、火災時における巻付け耐火被覆材90の脱落等がさらに抑制される。
【0101】
(第二実施形態の変形例)
次に、上記第二実施形態の変形例について説明する。
【0102】
上記第二実施形態では、巻付け耐火被覆材90が、耐火ボード40を支持する支持部材60に溶接ピン122で取り付けられている。しかし、巻付け耐火被覆材90は、支持部材60に取り付けられた取付部材に取り付けられても良い。
【0103】
例えば、
図10(A)及び
図10(B)に示される変形例では、耐火ボード40を支持部材60のベース部62に、複数の鉄骨部材100が溶接やボルト、ビス等で取り付けられている。
【0104】
複数の鉄骨部材100は、耐火ボード40の横幅方向に沿って配置されるとともに、耐火ボード40の縦幅方向に間隔を空けて配置されている。これらの鉄骨部材100に、巻付け耐火被覆材90が複数の溶接ピン122で取り付けられている。
【0105】
ここで、鉄骨部材100は、後述するメタルラス110(
図11(A)参照)と比較して剛性が高い。したがって、取付部材として鉄骨部材100を用いることにより、鉄骨部材100によって耐火ボード40を補剛しつつ、耐火ボード40に対する巻付け耐火被覆材90の固定度を高めることができる。
【0106】
次に、
図11(A)及び
図11(B)に示される変形例では、耐火ボード40を支持する支持部材60にメタルラス110が図示しない結束線によって取り付けられている。このメタルラス110に、複数の結束線112によって巻付け耐火被覆材90が取り付けられている。
【0107】
次に、
図12(A)及び
図12(B)に示される変形例では、耐火ボード40を支持する支持部材60に鋼板120が溶接等で取り付けられている。この鋼板120に、巻付け耐火被覆材90が複数の溶接ピン122で取り付けられている。
【0108】
次に、
図13(A)及び
図13(B)に示される変形例では、耐火ボード40を支持する支持部材60に波形鋼板130が溶接等で取り付けられている。この波形鋼板130において、室内側(巻付け耐火被覆材90側)に突出する凸部130Aに、巻付け耐火被覆材90が複数のビス132で取り付けられている。
【0109】
次に、
図14(A)及び
図14(B)に示される変形例では、耐火ボード40を支持する支持部材60のベース部62と鋼板120との間で、巻付け耐火被覆材90が保持されている。
【0110】
具体的には、鋼板120は、巻付け耐火被覆材90に対して耐火ボード40と反対側(室内側)に配置されている。換言すると、耐火ボード40と鋼板120との間に、巻付け耐火被覆材90が配置されている。この鋼板120は、溶接ピン122によって、巻付け耐火被覆材90と共に支持部材60のベース部62に取り付けられている。
【0111】
このように支持部材60のベース部62と鋼板120との間で巻付け耐火被覆材90を挟んで保持することにより、巻付け耐火被覆材90の施工性が向上する。
【0112】
また、火災時に、仮に耐火ボード40が脱落しても、支持部材60のベース部62と鋼板120との間で巻付け耐火被覆材90が保持される。したがって、巻付け耐火被覆材90の脱落が抑制される。
【0113】
なお、本変形例では、支持部材60のベース部62と鋼板120との間で巻付け耐火被覆材90を挟んで保持するが、さらに、支持部材60のベース部62に巻付け耐火被覆材90を溶接ピンやビス等によって取り付けることも可能である。これにより、巻付け耐火被覆材90の脱落がさらに抑制される。
【0114】
(共通の変形例)
次に、上記第一実施形態及び第二実施形態に共通の変形例について説明する。
【0115】
上記第一実施形態及び第二実施形態では、被覆材が巻付け耐火被覆材90とされている。しかし、被覆材は、巻付け耐火被覆材90に限らず、例えば、耐火シート(熱発泡性耐火シート)や、吹付けロックウール、けい酸カルシウム板、石膏ボード、耐火塗料等でも良い。
【0116】
例えば、
図15(A)に示される第一実施形態の変形例では、耐火ボード40に埋設されたインサートナット80にボルト82で取り付けられた鋼板120の室内側の表面に、被覆材としての耐火シート140が張り付けられている。耐火シート140は、火災時に、熱発泡して断熱層(空気層)を形成する。これにより、耐火ボード40の耐火性能が高められる。
【0117】
また、例えば、
図15(B)に示される第二実施形態の変形例では、耐火ボード40を支持する支持部材60のベース部62に溶接等によって取り付けられた鋼板120の室内側の表面に、耐火シート140が張り付けられている。
【0118】
このように鋼板120の表面に耐火シート140を張り付けることにより、耐火ボード40の表面に耐火シート140を張り付ける場合と比較して、耐火シート140の剥がれ落ちが抑制される。
【0119】
また、耐火シート140が予め張り付けられた鋼板120を、耐火ボード40に埋設されたインサートナット80又は耐火ボード40を支持する支持部材60に取り付けることにより、耐火シート140の施工性が向上する。
【0120】
また、例えば、
図16(A)に示される変形例では、被覆材が吹付けロックウール150とされている。吹付けロックウール150は、耐火ボード40に埋設されたインサートナット80にボルト82で取り付けられた鋼板120の室内側の表面に吹き付けられている。
【0121】
ここで、例えば、耐火ボード40の室内側の内面40Aに吹付けロックウール150を直接的に吹き付けると、耐火ボード40を構成するけい酸カルシウム板42が吹付けロックウール150の水分を吸水し、耐火ボード40の室外側の外面40Bにシミ等ができて意匠性が低下する可能性がある。
【0122】
これに対して本変形例では、耐火ボード40に取り付けられた鋼板120の表面に吹付けロックウール150を吹き付けることにより、耐火ボード40を構成するけい酸カルシウム板42が吹付けロックウール150の水分を吸水することが抑制される。したがって、耐火ボード40の意匠性の低下が抑制される。
【0123】
また、上記第一実施形態及び第二実施形態では、面材が耐火ボード40とされている。しかし、面材は、耐火ボード40に限らず、例えば、押出成形セメント板(ECP板)、軽量気泡コンクリートパネル(ALCパネル)、プレキャストコンクリート板等でも良い。
【0124】
例えば、
図16(B)に示される変形例では、押出成形セメント板160に埋設されたインサートナット80にボルト82で取り付けられた鉄骨部材100に、巻付け耐火被覆材90がビス102で取り付けられている。
【0125】
なお、
図16(B)では、押出成形セメント板160に埋設されたインサートナット80にボルト82で取り付けられた鉄骨部材100に巻付け耐火被覆材90が取り付けられている。しかし、例えば、押出成形セメント板160が支持部材60(
図2参照)で支持される場合、支持部材60のベース部62、及びベース部62に取り付けられた鉄骨部材100等の取付部材の少なくとも一方に、巻付け耐火被覆材90等の被覆材を取り付けても良い。
【0126】
また、上記第一実施形態及び第二実施形態では、耐火ボード40がカーテンウォール30のスパンドレル部に設けられている。しかし、耐火ボード40は、カーテンウォール30に限らず、他の壁材(外壁材)に設けられても良い。
【0127】
また、上記第一実施形態及び第二実施形態では、面材としての耐火ボード40が壁材(外壁材)とされている。しかし、面材は、壁材(外壁材)に限らず、例えば、壁材(間仕切壁)、床材及び天井材とされても良い。
【0128】
また、上記第一実施形態及び第二実施形態では、被覆材が巻付け耐火被覆材90等の耐火被覆材とされている。しかし、被覆材は、耐火被覆材に限らず、断熱材でも良い。
【0129】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0130】
20 スラブ(躯体)
40 耐火ボード(面材)
42 けい酸カルシウム板(面材)
60 支持部材
62 ベース部
80 インサートナット
82 ボルト
84 アイボルト(ボルト)
90 巻付け耐火被覆材(被覆材)
100 鉄骨部材(取付部材)
110 メタルラス(取付部材)
120 鋼板(取付部材)
130 波形鋼板(取付部材)
140 耐火シート(被覆材)
150 吹付けロックウール(被覆材)
160 押出成形セメント板(面材)